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特許7351050飛行機のランディングギアの安全性診断方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】飛行機のランディングギアの安全性診断方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20230101AFI20230920BHJP
【FI】
G06Q10/04
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2023061907
(22)【出願日】2023-04-06
【審査請求日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】202210543945.2
(32)【優先日】2022-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522207877
【氏名又は名称】浙江工商大学
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】劉東升
(72)【発明者】
【氏名】陳亜輝
(72)【発明者】
【氏名】劉彦▲に▼
【審査官】石田 紀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-100083(JP,A)
【文献】特表2009-505884(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0144997(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第114329782(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが実行する飛行機のランディングギアの安全性診断方法であって、
ステップS101:飛行機のランディングギアシステムの履歴データを抽出し、そして予
定の比例ハザードモデルによって各サブシステム内の各要素の故障率を取得するステップ
と、
ステップS102:取得した各サブシステム内の各要素の、それぞれの故障率から、予定
のアルゴリズムによって、各サブシステムの複数評価状態にそれぞれ対応する確率値を算
出し、そしてそれぞれ各サブシステムにおける算出した複数確率値からその対応する評価
値を組み立て、複数評価状態は、安全状態、准安全状態、および危険状態を含み、評価値
は、安全状態の確率値、准安全状態の確率値、および危険状態の確率値を含むステップと

ステップS103:各サブシステムの実際の故障状態を取得し、そして取得した各サブシ
ステムの実際の故障状態に基づいて、各サブシステムの評価値を改訂し、実際の故障状態
は、欠陥が発生した状態と、故障が発生した状態とを含むステップと、
ステップS104:飛行機のランディングギアシステムのシステム故障を影響する物理サ
ブシステム関係および可能な論理原理に基づいて、各サブシステムを関連付け、ベイズネ
ットワークを構築するステップと、
ステップS105:構築したベイズネットワークおよび改訂した各サブシステムの評価値
に基づいて、ベイズ公式を用いて飛行機のランディングギアシステムの各評価状態に対応
する条件付き確率を取得し、そして飛行機のランディングギアシステムの取得した各評価
状態の条件付き確率に基づいて、飛行機のランディングギアシステムのシステム安全度を
確定するステップと、
を含む、コンピュータが実行する飛行機のランディングギアの安全性診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施例は飛行機のランディングギアの安全技術分野に関し、具体的には飛行機の
ランディングギアの安全性診断方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
統計データによると、着陸装置の故障頻度は全体の故障率の20%前後を占めている。ラ
ンディングギアシステムは飛行機の重要な構成部分として、飛行機の正常な運行にとって
極めて重要な役割を果たしている。飛行機が離陸したり着陸したりしたときに故障すると
、飛行士や乗客の生命の安全に重大な脅威を与えることがある。そのため、障害発生原因
の分析と安全リスクの評価と予測を強化する必要がある。
【0003】
従来技術では、飛行機のランディングギアの安全性または故障率評価には一般的に3つの
方法がある。一、専門家の経験を採用し、着陸装置システムの設計寿命と結合して退役時
間の推定を行う。二、オンラインモニタリングのいくつかの方法と結合して、いくつかの
簡単な故障閾値を着陸装置システムの各サブシステムまたはサブエレメントの故障の判断
基準として設定することに依存する。三、ニューラルネットワークなどの知能アルゴリズ
ムを用いて飛行機のランディングギア故障率評価も導入された。
【0004】
しかし、これら3つの評価方法にはいずれも不足点があり、その不足点は以下の通りであ
る。第1の方法では、この方法は専門家の経験に影響されやすく、飛行機のランディング
ギアの設計寿命はある種類の設備にとって固定値であり、設備の実際の使用環境の変化に
応じて変更することはできない。そのため、着陸装置システムや構成部品の早期退役につ
ながると大きな資源浪費が発生し、安全性の低下は重大な災害を引き起こす可能性がある
。第2の方法では、この方法における閾値の判断基準は正確性を備えておらず、いくつか
の複雑なオンライン監視信号の識別は多元情報融合の安全性評価を実現できない。第3の
方法では、この方法はブラックボックスシステムであり、説明性に欠けており、飛行機の
ランディングギアは複雑なシステムとして独自の構造と特徴があり、異なる部品にも異な
る故障規則があり、これはすべてニューラルネットワークでは考えられない。そのため、
複数の冗長性のないサブシステムに存在する飛行機のランディングギアシステムにつなが
り、その安全性が正確に評価されない。
そのため、上述の3つの方法の不足点を鑑みて、1つの診断方法が飛行機のランディング
ギアの安全性を正確かつ迅速に評価する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本開示のいくつかの実施形態は、上記の背景技術で言及された技術的問題のうちの1つま
たは複数を解決するための飛行機着陸棚の安全性診断方法および装置を提案する。
【0006】
ステップS101:飛行機のランディングギアシステムの履歴データを抽出し、そして予
定の比例ハザードモデルによって各サブシステム内の各要素の故障率を取得するステップ
と、
ステップS102:取得した各サブシステム内の各要素の、そぞれの故障率から、予定の
アルゴリズムによって、各サブシステムの複数評価状態にそれぞれ対応する確率値を算出
し、そしてそれぞれ各サブシステムにおける算出した複数確率値からその対応する評価値
を組み立て、複数評価状態は、安全状態、准安全状態、および危険状態を含み、評価値は
、順に設定された安全状態の確率値、准安全状態の確率値、および危険状態の確率値を含
むステップと、
ステップS103:各サブシステムの実際の故障状態を取得し、そして取得した各サブシ
ステムの実際の故障状態に基づいて、各サブシステムの評価値を改訂し、実際の障害状態
は、欠陥が発生した状態と、故障が発生した状態とを含むステップと、
ステップS104:飛行機のランディングギアシステムのシステム故障を影響する物理サ
ブシステム関係および可能な論理原理に基づいて、各サブシステムを関連付け、ベイズネ
ットワークを構築するステップと、
ステップS105:構築したベイズネットワークおよび改訂した各サブシステムの評価値
に基づいて、ベイズ公式を用いて飛行機のランディングギアシステムの各評価状態に対応
する条件付き確率を取得し、そして飛行機のランディングギアシステムの取得した各評価
状態の条件付き確率に基づいて、飛行機のランディングギアシステムのシステム安全度を
確定するステップと、
を含む飛行機のランディングギアの安全性診断方法である。
【0007】
また、飛行機のランディングギアシステムの履歴データを抽出し、そして予定の比例ハ
ザードモデルによって各サブシステム内の各要素の故障率を取得するように用いられる故
障率取得ユニットS110と、
取得した各サブシステム内の各要素の、そぞれの故障率から、予定のアルゴリズムによっ
て、各サブシステムの複数評価状態にそれぞれ対応する確率値を算出し、そしてそれぞれ
各サブシステムにおける算出した複数確率値からその対応する評価値を組み立てるように
用いられる。複数評価状態は、安全状態、准安全状態、および危険状態を含む。評価値は
、順に設定された安全状態の確率値、准安全状態の確率値、および危険状態の確率値を含
む確率評価ユニットS120と、
各サブシステムの実際の故障状態を取得し、そして取得した各サブシステムの実際の故障
状態に基づいて、各サブシステムの評価値を改訂するように用いられる。実際の障害状態
は、欠陥が発生した状態と、故障が発生した状態とを含む確率評価改訂ユニットS130
と、
飛行機のランディングギアシステムのシステム故障を影響する物理サブシステム関係およ
び可能な論理原理に基づいて、各サブシステムを関連付け、ベイズネットワークを構築す
るように用いられるベイズネットワーク構築ユニットS140と、
構築したベイズネットワークおよび改訂した各サブシステムの評価値に基づいて、ベイズ
公式を用いて飛行機のランディングギアシステムの各評価状態に対応する条件付き確率を
取得し、そして飛行機のランディングギアシステムの取得した各評価状態の条件付き確率
に基づいて、飛行機のランディングギアシステムのシステム安全度を確定するように用い
られるシステム安全度決定ユニットS150と、を含み、
各サブシステムは、ブレーキサブシステム、前輪旋回システム、機輪サブシステム、動力
サブシステム、減衰サブシステム、伸収サブシステムなどを含み、
前記減衰サブシステムのサブシステムは、減衰支柱システムとトルクリンクシステムとを
含む、
飛行機のランディングギアの安全性診断装置である。
【0008】
本開示の上記各実施例は、以下のような有益な効果を有する。本発明の実施例では、比例
リスクモデルを用いて、複雑な飛行機のランディングギアシステムを複数のサブシステム
及び要素に分解して分析し、各サブシステムが安全状態、次安全状態及び危険状態に対応
する確率を評価する。そして、実際の故障状態に基づいて各サブシステムが得た確率を改
訂する。さらに正確に飛行機のランディングギアシステムの安全度を確定し、それによっ
て多種の情報源を融合することができ、ランディングギアシステムの複雑性を結合し、ラ
ンディングギアシステムの安全性数値を定量化し、ランディングギアシステムの安全性に
対して正確かつ迅速な評価を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示による飛行機のランディングギアの安全性診断方法の実施形態のフローチャートである。
図2】本開示の飛行機のランディングギアの安全性診断装置の実施形態の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本開示にかかる情報送信方法の一実施例のフローチャート100を示す。該情報
送信方法は下記のステップを含む。
ステップS101は、飛行機のランディングギア(飛行機の降着装置)システムの履歴デ
ータを抽出し、そして予定の比例ハザードモデルによって各サブシステム内の各要素の故
障率を取得する。
具体的には、飛行機のランディングギアシステムにおける各要素のリアルタイムオンライ
ン検こ出データと定期的な予防的実験データを抽出し、そして下式によって各サブシステ
ム内の各要素の故障率を取得する。
ただし、h(t,Z)は現在要素の故障率であり、時間に関係するだけでなく、変量Zの
値にも依存する。Ηはウイブル分布の尺度関数である。βはウイブル分布の形状関数であ
る。Zは現在要素の共変量ベクトルであり、共変量ベクトルの対象は、現在ランディング
ギアシステムの動作条件下で実際の収集可能なデータに基づいて、(z,z...z
)からなるとしてもよく、ただし各zは1つの状態変量を表し、状態変量は現在要素
の累計開閉回数、伸収回数などを含む。γはZと同じ長さのベクトルであり、共変量の回
帰パラメータであり、共変量の故障率に対する影響度を反映する。
累計故障率は(1):
となり、
故障率関数と安全度関数の関係は(2):
となり、ただし
であり、
安全度関数は
となり、
ここで、両者の尤度関数は(3):
となり、
さらに、2パラメータのウイブル比例故障モデルの確率密度関数と安全度関数を(3)に
代入すると、尤度関数(4):
が得られる。このとき、f(t,Z)においてn+2個の未知パラメータが含まれ、その
分布はβ,η,γベクトルとなり、ベイズ推定によって、それらの事前分布はβ~N(μ
β,σβ )、η~Γ(aη,bη)およびγ~N(μri,σγi )となる。
形状関数βと共変量rはに正規分布に従い、μβ,σβ ,μγi,σri はそれぞ
れ分布におけるパラメータである。ηはガンマ分布に従い、aη,bηはそれぞれ分布に
おけるパラメータである。
それで、ベイズ推定の事後分布は(5):
となり、該事後分布に基づいて、WINBUGSによって未知パラメータβ,η
,γの評価値を算出する。
各サブシステムは、ブレーキサブシステム、前輪旋回システム、機輪サブシステム、動力
サブシステム、減衰サブシステム、伸収サブシステムなどを含む。
ステップS102は、取得した各サブシステム内の各要素の、そぞれの故障率から、予定
のアルゴリズムによって、各サブシステムの複数評価状態にそれぞれ対応する確率値を算
出し、そしてそれぞれ各サブシステムにおける算出した複数確率値からその対応する評価
値を組み立てる。複数評価状態は、安全状態、准安全状態、および危険状態を含む。評価
値は、順に設定された安全状態の確率値、准安全状態の確率値、および危険状態の確率値
を含む。
具体的には、下記サブステップを含む。
サブステップ1は、取得した各サブシステム内の各要素の故障率から、各サブシステム内
の各要素の安全度値を取得する。
サブステップ2は、モンテカルロ法の終了判定条件を用いて、サンプリング回数mを決定
する。ただしmは正の整数である。
サブステップ3は、サンプリングを行って、[0,1]の間に位置する現在乱数Nを生成
し、NがRより小さい場合、S=1となり、NがRより大きい場合、S=0とな
る。
確定した各サブシステム内の各要素の安全度値をそれぞれ現在乱数Nと比較し、相応の0
または1に変換する。Sは現在要素の状態であり、iは自然数であり且つ現在要素の属
するサブシステムにおける要素数以下の総量である。1は動作状態、0は故障状態、R
は現在要素の安全度値である。
サブステップ4は、それぞれ各サブシステムにおける0の数を統計し、そして予定の評価
規則に基づいて各サブシステムの対応する現在評価状態を確定するとともに、各サブシス
テムの現在評価状態を1とする。
サブステップ5は、m-1回サンプリングして、ステップS3に戻る。
サブステップ6は、サンプリング回数mが0である場合、各サブシステムの各評価状態を
値1にする数を統計し、そして統計した各サブシステムの各評価状態を値1にする数をそ
れぞれサンプリング回数mで割り、それにより各サブシステムの各評価状態のそれぞれ対
応する確率値を取得する。
サブステップ7は、取得した各サブシステム各評価状態のそれぞれ対応する確率値に基づ
いて、各サブシステムの対応する評価値を設定する。
要素からサブシステムを組み立てる方法は、モンテカルロ法を用いて、評価されるイベン
トを一定の確率モデルに変換し、コンピュータにより乱数を生成する。サブシステムのす
べての要素の状態からサブシステム全体の状態を組み立てる。ここで要素iの状態をS
と示し、0と1の2状態、すなわち故障状態と正常状態に簡略化し、[0,1]の間に発
生する乱数Nを利用して要素のある状態を確定することができる。平均的な確率で[0,
1]の間で1つの数を抽出するとしたら、i回目に抽出される値はNとし、Rは現在
の要素の安全度値を示すと、NがRより小さい場合、今回のサンプリングの現在の要
素は正常(1)であるとし、NがRより大きい場合、今回のサンプリングの現在の要
素は故障(0)であるとする。
あるサブシステムは、n個の要素がある場合、サブシステムの状態はこのn種類の要素状
態から組み立てるとしてもよい。下記ベクトル:T={S,S,...S}で示
してもよい。ただし、Tはサブシステムの状態iを表し、総数は2個有し、各要素は
それぞれ一の要素の状態を表す。全てのサンプリング回数における、状態結合Tiの発生
する回数はmとする。Tはサブシステム内のすべての要素の状態、すなわち状態空間を
記述する。該状態空間の対応するのは評価結果集合であり、Hと記し、その要素は安全状
態、准安全状態、危険状態がある。
状態値Tと評価結果集合Hはマッピング関係で対応する。このマッピング関係の確定は
飛行機のランディングギアシステムの実際状況と専門家経験によって確定することにする
。すなわち予設される評価規則となる。一例として、サブシステム内のキー要素は故障が
発現していないと、安全状態と記し、2個以下の非キー要素故障は准安全状態と記し、2
個以上の非キー要素故障は危険状態と記す。
確率論の知識から分かるように、サンプリング回数が十分に多い場合、平均値をもって数
学的な期待に迫ることができる。このため、サンプリング回数がmと十分に大きい場合、
安全状態を例にして、評価結果に対応して安全状態であるすべての組立状態Tをq個と
し、q番目の状態が発生する回数をmとすると、安全状態にある確率値Kは(6):
である。
本発明の一実施例において、減衰サブシステムを例にして、該減衰サブシステムは、外筒
と、ピストン内筒と、キックバルブと、減衰孔支持管と、オイルニードル等とのいくつか
の要素を含む。あるサンプリングの要素がすべて正常であり、すなわちTは(1,1,
1,1,1)であるとすれば、素子がすべて正常であるため、サブシステムも正常であり
、安全状態は値1にする。あるサンプリングがオイルニードル故障(1,1,1,1,0
)であれば、一般的にオイルニードルに故障がある場合、システムは依然として作業する
ことができるため、この状態は准安全状態と記す。このように、欠健康の状態は値1にす
る。あるサンプリングが(1,1,0,1,1)であれば、キックバルブはサブシステム
の重要な部品であるため、危険状態は値1にする。モンテカルロ法の終了判定条件により
、いくつかのサンプリングを行った後、このサブシステム内の安全状態の値1にする数、
准安全状態の値1にする数、危険状態の値1にする数をそれぞれ統計し、その後、安全状
態、准安全状態、危険状態の統計数値をサンプリングの総数mで割ると、このサブシステ
ムの3状態の確率値が得られる。最後に、得られた3つの確率値を、安全状態の確率値、
准安全状態の確率値および危険状態の確率値の順に並べ替え、該サブシステムの評価値を
組み立てる。
ステップS103:各サブシステムの実際の故障状態を取得し、そして取得した各サブシ
ステムの実際の故障状態に基づいて、各サブシステムの評価値を改訂する。実際の障害状
態は、欠陥が発生した状態と、故障が発生した状態とを含む。
具体的には、正確な各サブシステムの評価値を取得するために、サブシステムの実際の障
害状態に基づいて、各サブシステムの評価値を改訂し更新する必要がある。実際の障害状
態が欠陥が発生した状態である1つまたは複数のサブシステムを取得した場合、取得した
1つまたは複数のサブシステムの評価値を(0,0.5,0.5)に改訂する。実際の障
害状態が故障が発生した状態である1つまたは複数のサブシステムを取得した場合、、取
得した1つ以上のサブシステムの評価値が(0,0.1,0.9)に改訂する。
ステップS104:飛行機のランディングギアシステムのシステム故障を影響する物理サ
ブシステム関係および可能な論理原理に基づいて、各サブシステムを関連付け、ベイズネ
ットワークを構築する。
具体的には、飛行機のランディングギアシステムをルートノードとし、ブレーキサブシス
テム、前輪旋回システム、機輪サブシステム、動力サブシステム、減衰サブシステム、伸
収サブシステムなどを含む各サブシステムをそれぞれ1級ノードとし、各サブシステムの
サブシステムを2級ノードとする。ここで、1級ノードが2級ノードの親ノードであり、
このように類推する。
ステップS105は、構築したベイズネットワークおよび改訂した各サブシステムの評価
値に基づいて、ベイズ公式を用いて飛行機のランディングギアシステムの各評価状態に対
応する条件付き確率を取得し、そして飛行機のランディングギアシステムの取得した各評
価状態の条件付き確率に基づいて、飛行機のランディングギアシステムのシステム安全度
を確定する。
具体的には、構築したベイジアンネットワークおよび改訂した各サブシステムの評価値に
基づいて、ベイズ公式を用いてベイズネットワークにおける各親ノードの条件付き確率を
算出し、そして算出した各親ノードの条件付き確率により、飛行機のランディングギアシ
ステムのルートノードとして複数の評価状態に対応してそれぞれ取得する条件付き確率を
確定する。
飛行機のランディングギアシステムが健康状態で取得した条件付き確率が最も大きいと検
出した場合、飛行機のランディングギアシステムのシステム安全度が最も高いと確定する

飛行機のランディングギアシステムが准安全状態で取得した条件付き確率が最も大きいと
検出した場合、飛行機のランディングギアシステムのシステム安全度が適切であると確定
する。
飛行機のランディングギアシステムが危険状態で取得した条件付き確率が最も大きいと検
出した場合、飛行機のランディングギアシステムのシステム安全度が最も低いと確定する

条件付き確率は、ベイズネットワークにおける、親ノードがある状態にある場合の子ノー
ドの確率である。例えば、減衰サブシステムのサブノードは、減衰支柱システムとトルク
リンクシステムである例を挙げる。減衰支柱システムが安全状態にあり、動力サブシステ
ムが准安全状態にある場合、減衰サブシステムの安全状況は条件付き確率であり、p(減
衰サブシステム=安全|減衰支柱システム=安全、トルクリンクシステム=准安全)と表
してもよい。この例では、親ノードの確率値、すなわち減衰支柱システムが安全、トルク
リンクシステムが准安全の確率はステップS102またはステップS103によって取得
される。
条件付き確率値は以下の方法により算出される。
変数群X=(X,X,...,X)の連結物理性分布があるネットワーク構造S中
にエンコード可能とすれば、各変数はネットワーク内のあるノードの状態、減衰サブシス
テム=セキュリティなどを表すとなり、ネットワークの連結分布は(7):
と表すことができる。式(7)において、θは分布p(x|pa,θ,S)の
パラメータベクトルであり。θはパラメータ群(θ,θ,...,θ)のi个番
目の値を表し、Sは現在のネットワーク構造を表示す。paは該ノードの親ノードを
表示する。
各変数Xは離散的であり、γ個の可能な値x ,x ,…,x γiがあるとす
れば、ここで、γ=3とし、
,x ,…,x γiは安全、准安全と危険を表すと、各局所関数は多項式分布
の集合であり、1つの分布はpaの1つの成分に対応する。即ち(8):
θij=(θij1,θij1,...,θijn),(i=1,2,…,n;j=1
,2,…,q;k=1,2,…,γ)となる。
θijの事前分布はDirichlet分布(9):Dir(θij|aij1,aij
,…,aijγi);aij1,aij2,…とする。aijγiはDirichle
t分布におけるパラメータとする。
取得した事後分布は(10):
、ただしXi=x 且つpa=pa の場合の例数である。
線形損失関数を使用して、θijの推定値は(11):
となる。
サンプル数の増加に伴い、パラメータにおける事前パラメータの比重が低下し、サンプル
の重みが増加し、事前分布がDirichlet分布の代わりに0から1の間の平均分布
を使用する場合、ベイズ推定は極大尤度推定とへ退化し、大サンプルの条件下で、条件付
き確率は下記簡単式(12):
で推定できる。ここで、count(x^pa )は、統計的に親ノードがpa
にあり、且つノードがx条件にあるサンプルの数を示し、count(pa )は親
ノードがpa 条件にあるサンプルの数を示す。式(12)は親ノードがpa 条件
にあり、且つノードがx条件にある確率を表す。
【0011】
図2に示すように、上述した各図に示す方法の実現として、本開示は、飛行機のランディ
ングギアの安全性診断装置のいくつかの実施例を提供する。これらの装置は、図1に示す
方法の実施形態に対応する。この装置は、具体的に様々な電子機器に適用できる。
本開示にかかる飛行機のランディングギアの安全性診断装置は、複数のサブシステムを含
む、および各サブシステムが複数要素を含む、ランディングギアシステム上で実現する。
該装置は、以下のユニットを含む。
故障率取得ユニットS110、飛行機のランディングギアシステムの履歴データを抽出し
、そして予定の比例ハザードモデルによって各サブシステム内の各要素の故障率を取得す
るように用いられる。
確率評価ユニットS120は、取得した各サブシステム内の各要素の、そぞれの故障率か
ら、予定のアルゴリズムによって、各サブシステムの複数評価状態にそれぞれ対応する確
率値を算出し、そしてそれぞれ各サブシステムにおける算出した複数確率値からその対応
する評価値を組み立てるように用いられる。複数評価状態は、安全状態、准安全状態、お
よび危険状態を含む。評価値は、順に設定された安全状態の確率値、准安全状態の確率値
、および危険状態の確率値を含む。
確率評価改訂ユニットS130は、各サブシステムの実際の故障状態を取得し、そして取
得した各サブシステムの実際の故障状態に基づいて、各サブシステムの評価値を改訂する
ように用いられる。実際の障害状態は、欠陥が発生した状態と、故障が発生した状態とを
含む。
ベイズネットワーク構築ユニットS140:飛行機のランディングギアシステムのシステ
ム故障を影響する物理サブシステム関係および可能な論理原理に基づいて、各サブシステ
ムを関連付け、ベイズネットワークを構築するように用いられる。
ステップS150は、構築したベイズネットワークおよび改訂した各サブシステムの評価
値に基づいて、ベイズ公式を用いて飛行機のランディングギアシステムの各評価状態に対
応する条件付き確率を取得し、そして飛行機のランディングギアシステムの取得した各評
価状態の条件付き確率に基づいて、飛行機のランディングギアシステムのシステム安全度
を確定するように用いられる。
各サブシステムは、ブレーキサブシステム、前輪旋回システム、機輪サブシステム、動力
サブシステム、減衰サブシステム、伸収サブシステムなどを含む。
本開示の各実施例は、以下のような有益な効果を有する。本発明の実施例では、比例リス
クモデルを用いて、複雑な飛行機のランディングギアシステムを複数のサブシステム及び
要素に分解して分析し、各サブシステムが安全状態、次安全状態及び危険状態に対応する
確率を評価する。そして、実際の故障状態に基づいて各サブシステムが得た確率を改訂す
る。さらに正確に飛行機のランディングギアシステムの安全度を確定し、それによって多
種の情報源を融合することができ、ランディングギアシステムの複雑性を結合し、ランデ
ィングギアシステムの安全性数値を定量化し、ランディングギアシステムの安全性に対し
て正確かつ迅速な評価を行うことができる。
【要約】      (修正有)
【課題】飛行機着陸棚の安全性診断方法および装置を提供する。
【解決手段】安全性診断方法は、各サブシステム内の各要素の故障率を取得するステップと、取得した各サブシステム内の各要素の、それぞれの故障率から、予定のアルゴリズムによって、各サブシステムの複数評価状態にそれぞれ対応する確率値を算出するステップと、各サブシステムの実際の故障状態に基づいて、各サブシステムの評価値を改訂するステップと、各サブシステムを関連付け、ベイズネットワークを構築するステップと、構築したベイズネットワークおよび改訂した各サブシステムの評価値に基づいて、ベイズ公式を用いて飛行機のランディングギアシステムの各評価状態に対応する条件付き確率を取得し、そして飛行機のランディングギアシステムの取得した各評価状態の条件付き確率に基づいて、飛行機のランディングギアシステムのシステム安全度を確定するステップと、を含む。
【選択図】図1
図1
図2