(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】漏電遮断器回路
(51)【国際特許分類】
H01H 83/02 20060101AFI20230920BHJP
H02H 3/16 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
H01H83/02 E
H01H83/02 H
H02H3/16 B
(21)【出願番号】P 2020526975
(86)(22)【出願日】2018-11-15
(86)【国際出願番号】 US2018061235
(87)【国際公開番号】W WO2019099636
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-11-12
(32)【優先日】2017-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】ジュリオ イー アコスタ
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-046570(JP,A)
【文献】特開2017-093237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 83/02
H02H 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
漏電遮断器(GFCI)回路であって、
複数のコンパレータであって、各々が、閾値電圧を負荷への電流フローと前記負荷からの電流フローとの差を表す信号と比較するように構成される、前記複数のコンパレータと、
複数の異なる閾値電圧を生成するように構成される閾値生成回路要素であって、前記複数の異なる閾値電圧の各々が、前記コンパレータの1つに対して前記閾値電圧として提供される、前記閾値生成回路要素と、
複数のタイマー回路であって、前記コンパレータの各々が前記タイマー回路の1つに結合され、前記タイマー回路の各々が、前記コンパレータに提供される前記閾値電圧に関連する時間の間に前記タイマー回路に結合される前記コンパレータの出力の活性化に応答して故障信号を活性化するように構成され、前記閾値電圧の値が低いほど前記時間が増加する、前記複数のタイマー回路と、
を含
み、
前記タイマー回路の各々が、前記コンパレータの1つに結合されるフィルタカウンタを含み、前記フィルタカウンタが、前記コンパレータの出力が所定の時間より長い間に活性であることに応答して、フィルタ出力信号を活性化するように構成され、
前記閾値電圧の値が低いほど前記所定の時間が増加する、GFCI回路。
【請求項2】
請求項
1に記載のGFCI回路であって、
前記タイマー回路の各々が、前記フィルタカウンタに結合される位相カウンタを更に含み、前記位相カウンタが、前記フィルタ出力信号が所定の数の前の交流電流サイクルの半分以上において活性であることに基づいて、前記故障信号をトリガするように構成される、GFCI回路。
【請求項3】
請求項
2に記載のGFCI回路であって、
前記閾値電圧の値が低いほど前記所定の数が増加する、GFCI回路。
【請求項4】
請求項1に記載のGFCI回路であって、
前記閾値電圧の第1の閾値電圧が、前記負荷への電流フローと前記負荷からの電流フローとの差の5ミリアンペア(ma)に対応し、
前記閾値電圧の第2の閾値電圧が、前記負荷からの電流フローと前記負荷からの電流フローとの差の20maに対応し、
前記閾値電圧の第3の閾値電圧が、前記負荷への電流フローと前記負荷からの電流フローとのの差の40maに対応し、
前記閾値電圧の第4の閾値電圧が、前記負荷からのへの電流フローと前記負荷からの電流フローとの100maの差に対応する、GFCI回路。
【請求項5】
請求項1に記載のGFCI回路であって、
前記コンパレータの各々に結合される出力を含む増幅器を更に含む、GFCI回路。
【請求項6】
請求項
5に記載のGFCI回路であって、
前記増幅器に結合される変流器であって、前記負荷への電流フローと前記負荷からの電流フローとの差を検出するように構成される、前記変流器を更に含む、GFCI回路。
【請求項7】
請求項1に記載のGFCI回路であって、
前記タイマー回路に結合されるスイッチであって、前記故障信号の活性化に応答して前記負荷への電流フローを中断するように構成される、前記スイッチを更に含む、GFCI回路。
【請求項8】
漏電遮断の方法であって、
負荷への電流フローと前記負荷からの電流フローとの差を表す信号を複数の閾値電圧と比較することであって、前記閾値電圧の各々が、前記電流フローの差の異なる値に対応する、前記比較することと、
前記閾値電圧のうちの少なくとも1つについて、前記電流フローの差を表す信号が所定の数の前の交流電流サイクルの少なくとも半分において前記閾値電圧のうちの少なくとも1つを超えると判定することに応答して、障害信号を活性化することと、
を含む、方法。
【請求項9】
漏電遮断の方法であって、
負荷への電流フローと前記負荷からの電流フローとの差を表す信号を複数の閾値電圧と比較することであって、前記閾値電圧の各々が、前記電流フローの差の異なる値に対応する、前記比較することと、
前記閾値電圧のうちの少なくとも1つについて、前記電流フローの差を表す信号が所定の数の前の交流電流サイクルの少なくとも半分において前記閾値電圧のうちの少なくとも1つを超えると判定することに応答して、障害信号を活性化することと、
を含み、
前記閾値電圧の第1の閾値電圧が、5maの電流フローの差に対応し、前の交流電流サイクルの所定の数が少なくとも64であり、
前記閾値電圧の第2の閾値電圧が、20maの電流フローの差に対応し、前の交流電流サイクルの所定の数が少なくとも16であり、
前記閾値電圧の第3の閾値電圧が、40maの電流フローの差に対応し、前の交流電流サイクルの所定の数が少なくとも4であり、
前記閾値電圧の第4の閾値電圧が、100maの電流フローの差に対応し、前の交流電流サイクルの所定の数が2である、方法。
【請求項10】
漏電遮断器(GFCI)回路であって、
複数のコンパレータであって、各々が、閾値電圧を負荷への電流フローと前記負荷からの電流フローとの差を表す信号と比較するように構成される、前記複数のコンパレータと、
複数の異なる閾値電圧を生成するように構成される閾値生成回路要素であって、前記異なる閾値電圧の各々が、前記コンパレータの1つに対して前記閾値電圧として提供される、前記閾値生成回路要素と、
複数のタイマー回路であって、各々が、
前記コンパレータの1つに結合されるフィルタカウンタであって、所定の時間より長い間に活性である前記コンパレータの出力に応答してフィルタ出力信号を活性化するように構成され、前記閾値電圧の値が低いほど前記所定の時間が増加する、前記フィルタカウンタと、
前記フィルタカウンタに結合される位相カウンタであって、所定の数の前の交流電流サイクルの半分以上において活性である前記フィルタ出力信号に基づいて故障信号をトリガするように構成される、前記位相カウンタと、
を含む、前記タイマー回路と、
を含む、GFCI回路。
【請求項11】
請求項
10に記載のGFCI回路であって、
前記閾値電圧の値が低いほど前記所定の数が増加する、GFCI回路。
【請求項12】
請求項
10に記載のGFCI回路であって、
前記コンパレータの各々に結合される出力を含む増幅器を更に含む、GFCI回路。
【請求項13】
請求項
10に記載のGFCI回路であって、
前記故障信号の活性化に応答して前記負荷への電流フローをディセーブルするためにスイッチを開くように構成されるスイッチ制御回路要素を更に含む、GFCI回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電気的な配電は、典型的に、電気エネルギーを伝送し、安全のため接地経路を提供するための複数の導体配線を含む。電流を搬送する導体配線又は表面(電気機器の筐体など)からの意図しない経路、及び接地経路の事象において、感電の危険性がある。ライン導体(「ホット」と称されることもある)及びニュートラルな又は一般的な導体などの導体は、互いに、接地に、及び/又は接地への中間経路としての人物又は物体に、電流を漏洩し得る。
【0002】
漏電遮断器(GFCI:ground fault current interrupter)は、ホットラインとニュートラルラインとの間の電流の不均衡を監視することにより、感電の危険性を最小化及び/又は排除することができる。不均衡が検出された場合、GFCIは、ホット導体及びニュートラル導体を負荷から物理的に隔離し得る。
【発明の概要】
【0003】
記載される例において、漏電遮断器(GFCI)回路は、故障の大きさに関連して故障が存在する時間に基づいて作動する(trip)。より大きな障害に対してより迅速な作動が提供され、一方、誤(nuisance)作動を回避するためには、より長い時間にわたってより小さな障害が存在しなければならない。一例において、GFCI回路は、複数のコンパレータ、閾値生成回路要素、及び複数のタイマー回路を含む。コンパレータの各々は、閾値電圧を、負荷への電流フローと負荷からの電流フローとの差を表す信号と比較するように構成される。閾値生成回路要素は、複数の異なる閾値電圧を生成するように構成される。異なる閾値電圧の各々は、複数のコンパレータのうちの一つのための閾値電圧として提供される。コンパレータの各々はタイマー回路の一つに結合され、タイマー回路の一つは、コンパレータに提供される閾値電圧に関連する時間の間、コンパレータの出力の活性化に応答して故障信号を活性化するように構成される。この時間は、閾値電圧が小さくなるにつれて増大する。
【0004】
別の例において、漏電遮断のための方法が、負荷への電流フローと負荷からの電流フローとの差を表す信号を、複数の閾値電圧と比較することを含む。閾値電圧の各々は、電流フローの差の別の値に対応している。閾値電圧のうちの少なくとも一つについて、電流フローの差を表す信号が、所定の数の以前の交流電流サイクルの少なくとも半分において閾値電圧の少なくとも一つを超えると判定することに応答して、故障信号が活性化される。
【0005】
更なる例において、GFCI回路が、複数のコンパレータ、閾値生成回路要素、及び複数のタイマー回路を含む。コンパレータの各々は、閾値電圧を、負荷への電流フローと負荷からの電流フローとの差を表す信号と比較するように構成される。閾値生成回路要素は、複数の異なる閾値電圧を生成するように構成される。異なる閾値電圧の各々は、コンパレータの一つのための閾値電圧として提供される。タイマー回路の各々は、コンパレータの一つに結合されるフィルタカウンタと、フィルタカウンタに結合される位相カウンタとを含む。フィルタカウンタは、コンパレータの出力が所定の時間より長く活性であることに応答して、フィルタ出力信号を活性化するように構成される。所定の時間は、閾値電圧の値が小さくなるにつれて増大する。位相カウンタは、所定の数の以前の交流電流サイクルの半分以上においてフィルタ出力信号が活性であることに基づいて、故障信号をトリガするように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】例示の実施例に従った、漏電遮断器(GFCI)回路を含む回路の一例のための概略図を示す。
【0007】
【
図2】例示の実施例に従ったGFCI回路のブロック図を示す。
【0008】
【
図3】例示の実施例に従ったGFCI回路における使用に適した閾値検出回路要素のブロック図を示す。
【0009】
【
図4】例示の実施例に従ったGFCI回路における使用に適したタイマー回路要素のブロック図を示す。
【0010】
【
図5】例示の実施例に従った漏電遮断器のための方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本記載において、「結合する(couple又はcouples)」という用語は、間接的又は直接的な有線又はワイヤレス接続のいずれかを意味する。そのため、第1のデバイスが第2のデバイスに結合する場合、その接続は、直接的接続を介し得、又は他のデバイス及び接続を介する間接的接続を介し得る。また、本記載において、「~に基づく」は「少なくとも部分的に~に基づく」を意味する。従って、XがYに基づく場合、Xは、Y及び任意の数の他の要因の関数であり得る。
【0012】
漏電遮断器(GFCI)は、ホット導体及びニュートラル導体において流れる電流の差を検出し、その差が閾値を超える場合に回路を開く。GFCIが故障条件を検出することは大切であるが、回路を不必要に開かせる偽検出、すなわち誤作動を回避することも望ましい。幾つかのGFCI実装は、誤作動を低減するためにフィルタを備える単一の作動閾値を適用する。このような実装は、依然として、かなりの数の誤作動を起こす。誤作動は、電力線に結合される、モーター、生成器、スイッチなどから生じる電力導体上のノイズによって引き起こされ得る。
【0013】
本明細書に記載されるGFCI回路は、誤作動の数を減らしながら接地故障を検出する。GFCI回路は、ホット導体及びニュートラル導体における電流フローの差を複数の閾値と比較する。異なる閾値は、電流差の範囲を画定する。電流差の各範囲において、電流差は、所定の時間の間存在する場合にのみ故障として識別される。この時間は、各電流差の範囲毎に異なる。例えば、電流差の範囲が高いほど時間は短くなり、電流差レンジが小さいほど時間が長くなる。そのため、回路の開放をトリガするためにより大きな電流差よりも、より小さな電流差がより長い時間存在しなければならない。より小さい電流差を有する故障の検出のためにより長い時間インタバルを適用することにより、本明細書に記載されるGFCI回路の実装は、接地故障検出を損なうことなく、誤作動を実質的に低減する。
【0014】
図1は、例示の実施例に従ったGFCI回路を含む接地故障監視回路100の一例のための概略図を示す。接地障害監視回路100は、変流器102、GFCI回路108、及びスイッチ110を含む。ホット導体104及びニュートラル導体106は、変流器102のコア114を通過する。ホット導体104及びニュートラル導体106を流れる電流の不均衡(すなわち、差)は、変流器102の二次巻線116における電流を生成する。GFCI回路108は、二次リード118及び120を介して変流器102に結合され、二次巻線116を流れる電流を監視する。二次巻線116を流れる電流が、接地故障を示す不均衡を示す場合、GFCI回路108はスイッチ制御信号122をアサートして、スイッチ110を開き、負荷112をホット導体104及びニュートラル導体106から切断する。
【0015】
故障が起こりそうになり状況において、スイッチ110の開放及び負荷112からの電力の切断を防止するために、GFCI回路108は、検出された電流不均衡の範囲に基づいて故障を検出する。したがって、変流器102によって検出された電流不均衡が小さい場合、GFCI回路108は、GFCI回路108が障害が存在すると見なしてスイッチ110を開くまでに、比較的長い時間、不均衡が存在することを要求する。同様に、変流器102によって検出された電流不均衡が大きい場合、GFCI回路108は、GFCI回路108が障害が存在すると見なしてスイッチ110を開く前に、比較的短い時間、不均衡が存在することを要求する。このようにして、GFCI回路108は、ホット導体104及びニュートラル導体106における過渡現象から生じる誤作動の数を減少させる。
【0016】
図2は、例示の実施例に従ったGFCI回路200のブロック図を示す。GFCI回路200は、GFCI回路108の一実装である。GFCI回路200は、増幅器202、閾値生成回路要素204、閾値検出回路要素206、タイマー回路要素208、及びスイッチ制御回路要素210を含む。増幅器202は、変流器102の二次巻線116を流れる電流を電圧に変換する。増幅器202の入力は、リード118及びリード120を介して変流器102の二次巻線116に結合される。接地故障監視回路100の幾つかの実装において、リード118は抵抗器を介して増幅器202の反転入力に結合され、増幅器202によって生成された出力信号212は、抵抗器を介して増幅器202の反転入力にフィードバックされる。出力信号212は、二次巻線116において流れる電流に比例し、接地故障の検出に用いるために閾値検出回路要素206に提供される。
【0017】
閾値生成回路要素204は、複数の範囲を定義するために閾値検出回路要素206によって用いられる閾値電圧214を生成するための回路要素を含む。閾値生成回路要素204によって生成される閾値電圧214の数は、GFCI回路200の異なる実装において異なる。例えば、閾値生成回路要素204の一つの実装は8つの閾値電圧214を生成し、ここで、4つの閾値電圧214が、正の電流不均衡の異なるレベルを表し、4つの閾値電圧214が、負の電流不均衡の異なるレベルを表す。閾値生成回路要素204の他の実装が、異なる数の閾値電圧を生成する。また、閾値生成回路要素204の実装は、増幅器202の非反転入力に基準電圧を設定するためにリード120に提供される基準電圧222を生成する基準生成回路要素を含む。閾値生成回路要素204の幾つかの実装は、電圧基準回路要素、抵抗性分圧器、及び/又は、閾値電圧214及び基準電圧222を生成するその他の回路要素を含む。
【0018】
閾値検出回路要素206は、増幅器202から受信した出力信号212を、閾値生成回路要素204から受信した閾値電圧214と比較する。
図3は、例示の実施例に従ったGFCI回路における使用に適した閾値検出回路要素300のブロック図を示す。閾値検出回路要素300は、閾値検出回路要素206の一実装である。閾値検出回路要素300は、正のコンパレータ302及び負のコンパレータ304を含む。
図3に図示される閾値検出回路要素300の実装において、正のコンパレータ302が4つのコンパレータ:コンパレータ302A、コンパレータ302B、コンパレータ302C、及びコンパレータ302Dを含む。同様に、負のコンパレータ304は、4つのコンパレータ:コンパレータ304A、コンパレータ304B、コンパレータ304C、及びコンパレータ304Dを含む。閾値検出回路要素300の幾つかの実装は、異なる数のコンパレータを含む。正のコンパレータ302の各々は、出力信号212を、閾値生成回路要素204によって提供される閾値電圧214のうちの一つと比較する。コンパレータ302Aは出力信号212を閾値電圧214Aと比較し、コンパレータ302Bは出力信号212を閾値電圧214Bと比較し、コンパレータ302Cは出力信号212を閾値電圧214Cと比較し、コンパレータ302Dは出力信号212を閾値電圧214Dと比較する。閾値電圧214の各々は、二次巻線116内の異なる電流フローを表す。例えば、閾値検出回路要素300の幾つかの実装において、閾値電圧214Aは+5ミリアンペア(ma)の電流フローを表し、閾値電圧214Bは+20maの電流フローを表し、閾値電圧214Cは+40maの電流フローを表し、閾値電圧214Dは+100maの電流フローを表す。閾値電圧214は、幾つかの実装における異なる値の電流フローを表す。コンパレータ302Aは、出力信号212が閾値電圧214Aを超えるかどうかを示す出力信号216Aを生成する。コンパレータ302Bは、出力信号212が閾値電圧214Bを超えるかどうかを示す出力信号216Bを生成する。コンパレータ302Cは、出力信号212が閾値電圧214Cを超えるかどうかを示す出力信号216Cを生成する。コンパレータ302Dは、出力信号212が閾値電圧214Dを超えるかどうかを示す出力信号216Dを生成する。
【0019】
正のコンパレータ302と同様に、負のコンパレータ304の各々は、出力信号212を、閾値生成回路要素204によって提供される閾値電圧214のうちの一つと比較する。コンパレータ304Aは、出力信号212を閾値電圧214Eと比較し、コンパレータ304Bは、出力信号212を閾値電圧214Fと比較し、コンパレータ304Cは、出力信号212を閾値電圧214Gと比較し、コンパレータ304Dは、出力信号212を閾値電圧214Hと比較する。幾つかの実装において、閾値電圧214Eは、-5ミリアンペア(ma)の電流フローを表し、閾値電圧214Fは、-20maの電流フローを表し、閾値電圧214Gは、-40maの電流フローを表し、閾値電圧214Hは、-100maの電流フローを表す。閾値電圧214は、幾つかの実装における異なる値の電流フローを表す。コンパレータ304Aは、出力信号212が閾値電圧214Eを超えるかどうかを示す出力信号216Eを生成する。コンパレータ304Bは、出力信号212が閾値電圧214Fを超えるかどうかを示す出力信号216Fを生成する。コンパレータ304Cは、出力信号212が閾値電圧214Gを超えているかどうかを示す出力信号216Gを生成する。コンパレータ304Dは、出力信号212が閾値電圧214Hを超えるかどうかを示す出力信号216Hを生成する。
【0020】
閾値検出回路要素206の出力216は、タイマー回路要素208に提供される。タイマー回路要素208は、出力216を適用して、出力信号212によって表される電流不均衡が閾値電圧214の各々を超える時間を測定する。時間値は、閾値電圧214の各々に関連している。閾値電圧214がより小さいと、時間値が高くなる。
【0021】
図4は、例示の実施例に従ったGFCI回路における使用に適したタイマー回路要素400のブロック図を示す。タイマー回路要素400は、タイマー回路要素208の一実装である。タイマー回路要素400は複数のタイマー回路を含み、各コンパレータ302及び304は、タイマー回路の一つに結合される。
図4に示されるタイマー回路要素400の実装は、タイマー回路402、タイマー回路412、タイマー回路422、及びタイマー回路472を含む。
図3のコンパレータ回路要素を参照すると、タイマー回路402はコンパレータ302Aに結合され、タイマー回路412はコンパレータ304Aに結合され、タイマー回路422はコンパレータ302Bに結合され、タイマー回路472はコンパレータ304Dに結合される。タイマー回路要素400は付加的なタイマー回路(
図4において図示せず)を含み、これらの各々が、コンパレータ302C、302D、304B、又は304Cのうちの一つに結合されている。タイマー回路要素400の幾つかの実装は、異なる数のコンパレータに対応するために、異なる数のタイマー回路を含む。
【0022】
タイマー回路の各々は、フィルタカウンタ及び位相カウンタを含む。位相カウンタはフィルタカウンタに結合される。タイマー回路402についてタイマー回路のオペレーションを説明する。タイマー回路402は、フィルタカウンタ404及び位相カウンタ406を含む。フィルタカウンタ404は、コンパレータ302Aによって生成された出力信号216Aが活性状態である複数の逐次クロックサイクルをカウントする。例えば、フィルタカウンタ404が1メガヘルツのクロック信号でクロックされる場合、フィルタカウンタ404は、出力信号216Aが継続的に活性状態であるマイクロ秒の数をカウントする。出力信号216Aが少なくとも所定の時間の間、継続的に活性状態である場合、フィルタカウンタ404はフィルタ出力信号408を活性化する。そのため、フィルタカウンタ404は、出力信号216Aをフィルタして、出力信号216Aが少なくとも所定の時間の間、接地故障と見なされるように、継続的に活性状態であることを保証する。
【0023】
位相カウンタ406は、フィルタカウンタ404がフィルタ出力信号408をアサートするとき活性化される。位相カウンタ406は、フィルタ出力信号408が活性である間、ホット導体104及びニュートラル導体106内を流れる交流(AC)電力信号の複数の連続サイクルを計数する。フィルタ出力信号408が所定の数の前のACサイクルの少なくとも2分の1の間活性である場合、位相カウンタ406は、接地故障が検出されたことを示す故障信号410を活性化する。
【0024】
タイマー回路412、タイマー回路422、及びタイマー回路472は、タイマー回路402と同様に動作する。タイマー回路412は、フィルタカウンタ414及び位相カウンタ416を含む。タイマー回路422は、フィルタカウンタ424及び位相カウンタ426を含む。タイマー回路472は、フィルタカウンタ474及び位相カウンタ476を含む。フィルタカウンタの各々に関連する所定の時間は、位相カウンタの各々に関連する所定の数の交流サイクルとは異なる。より高い所定の時間値及びより高い所定の交流サイクル値が、下側閾値電圧を用いて動作するコンパレータに結合されたフィルタカウンタ及び位相カウンタに割り当てられる。後述の表1は、タイマー回路402、412、422、及び432において適用される所定の時間値及び所定のサイクルカウント値の一例を示す。タイマー回路要素400の幾つかの実装は、異なる所定の時間値及び所定のサイクルカウント値を適用する。
【0025】
タイマー回路要素400の位相カウンタ406、416、426、又は436のいずれかが所定数のサイクルをカウントする場合、位相カウンタは、接地故障が検出されたことを示す故障信号410、420、430、又は440を生成する。
図2において、故障信号218は、組み合わされた故障信号410、420、430、及び440(例えば、故障信号の論理和)を表す。スイッチ制御回路要素210は、故障信号218を受信し、スイッチ110を開いて負荷112への電流フローを停止するための信号を生成する。例えば、接地故障監視回路100の幾つかの実装において、スイッチ110は、ソレノイドによって、又はシリコン制御整流器によって制御される他のアクチュエータによって制御される。スイッチ制御回路要素210は、SCRをトリガするための信号を生成し、この信号により、ソレノイドが作動し、スイッチ110が開く。
【0026】
図5は、例示の実施例に従った、漏電遮断器のための方法500のフローチャートを示す。便宜上順次示されているが、示されている行為の少なくとも幾つかが、異なる順で実施され得、及び/又は並列に実施され得る。また、幾つかの実装において、示される行為の幾つかのみが行われる。方法500のオペレーションは、接地故障監視回路100によって行われる。
【0027】
ブロック502において、変流器102は、ホット導体104において流れる電流とニュートラル導体106において流れる電流との差に比例する電流を二次巻線116において生成する。増幅器202は、検出された電流差を増幅し、出力信号212を閾値検出回路要素206に供給する。ブロック502のオペレーションは、幾つかの実装において方法500の他のオペレーションと並行して行われる。
【0028】
オペレーション520は、接地故障を検出するために適用される電流閾値に対して行われる。例えば、GFCI回路200が8つのコンパレータ302、304及び8つの対応する閾値を含む場合、オペレーション520は、8つの閾値の各々に対して個別に行われる。
【0029】
ブロック504において、閾値検出回路要素206は、出力信号212を、閾値生成回路要素204によって生成された閾値電圧214の所与の一つと比較する。閾値電圧214の各々は、異なる値の電流差を表す。ブロック504のオペレーションは、幾つかの実装において方法500の他のオペレーションと並行して行われる。
【0030】
ブロック506において、出力信号212が閾値電圧214を超えない場合、ブロック508において、閾値電圧に関連するタイマー回路要素208のカウンタがリセットされる。
【0031】
ブロック506において、出力信号212が閾値電圧214を超える場合、ブロック510において、タイマー回路要素208は、出力信号212が閾値電圧214を超える時間を測定する。ブロック512において、出力信号212が閾値電圧214を超える時間が、閾値電圧214に対応する所定の時間よりも大きい場合、ブロック514において、タイマー回路要素208は、出力信号212が閾値電圧214を超える間にホット導体104又はニュートラル導体106上に存在する連続の交流サイクルの数をカウントする。
【0032】
ブロック516において、出力信号212が閾値電圧214を超える間にホット導体104又はニュートラル導体106上に存在する連続の交流サイクルの数が所定のサイクル数の2分の1よりも大きい場合、ブロック518において、GFCI回路108は、スイッチ110を開く故障信号を活性化する。幾つかの実装において、GFCI回路108は、接地故障が検出されたことをユーザーに通知する信号などの信号も活性化する。
【0033】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に改変が成され得、他の実施例が可能である。