(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】レーザ剥離統合化機器
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20230920BHJP
G01B 11/24 20060101ALI20230920BHJP
B23K 26/57 20140101ALI20230920BHJP
B23K 26/046 20140101ALI20230920BHJP
【FI】
H01L21/02 B
G01B11/24 D
B23K26/57
B23K26/046
(21)【出願番号】P 2021551876
(86)(22)【出願日】2020-06-01
(86)【国際出願番号】 CN2020093665
(87)【国際公開番号】W WO2021036381
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2021-08-30
(31)【優先権主張番号】201910788121.X
(32)【優先日】2019-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521387855
【氏名又は名称】東莞市中▲カ▼半導体科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SINO NITRIDE SEMICONDUCTOR CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】盧 敬権
(72)【発明者】
【氏名】任 俊傑
(72)【発明者】
【氏名】庄 文栄
(72)【発明者】
【氏名】孫 明
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-040564(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110102877(CN,A)
【文献】特開2009-152305(JP,A)
【文献】特開2015-166751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/77-21/78
H01L 21/20-21/205
G01B 11/24-11/255
B23K 26/00-26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離待ちウエハをレーザ剥離するように配置されたレーザ光源と、
前記剥離待ちウエハを支持するように配置された剥離チャンバーと、
前記剥離待ちウエハを剥離する時に必要となる温度を提供するように配置されたヒーターと、
前記剥離待ちウエハの表面輪郭情報を取得するように配置された輪郭測定装置と、
レフレクターと、
前記輪郭測定装置が取得した表面輪郭情報に基づき、前記剥離待ちウエハの所在高度を調節して、前記レーザ光源の焦点を前記剥離待ちウエハの剥離待ち位置に位置させるように配置された移動装置と、を含み、
前記輪郭測定装置は、前記剥離待ちウエハの表面輪郭情報を取得した後、前記表面輪郭情報に基づいて前記剥離待ちウエハの表面を内部の最大高度差が前記レーザ光源の焦点深度以下である複数の剥離待ちエリアに区画するようにさらに配置され、
前記輪郭測定装置および前記レフレクターは、それぞれ前記剥離待ちウエハの上方に位置し、且つそれぞれ
前記剥離
待ちウエハの両側に位置し、前記輪郭測定装置は、前記レフレクターに正対し、前記レフレクターは、斜めに回動することにより、前記剥離待ちウエハを反射して前記輪郭測定装置に画像形成するレーザ剥離統合化機器。
【請求項2】
前記輪郭測定装置には、表面輪郭計およびレーザ距離計のいずれかが含まれる、請求項1に記載のレーザ剥離統合化機器。
【請求項3】
前記輪郭測定装置が表面輪郭計であり、
前記表面輪郭計は、前記剥離待ちウエハの表面輪郭を間接的に測定するように配置されており、前記表面輪郭計が用いる測定方法には、白色光干渉測定方法、ノマルスキー干渉測定方法およびシアリング干渉測定方法のいずれかが含まれる、請求項2に記載のレーザ剥離統合化機器。
【請求項4】
前記表面輪郭計の測定方法が白色光干渉測定方法であり、
前記白色光干渉測定方法には、位相走査干渉測定方法および垂直走査干渉測定方法のいずれかが含まれる、請求項3に記載のレーザ剥離統合化機器。
【請求項5】
前記輪郭測定装置は、1つの前記剥離待ちエリアのレーザ剥離を完了するごとに、前記剥離待ちウエハの残りのエリアを走査するとともに、前記剥離待ちウエハの残りのエリアを改めて区画して新たな剥離待ちエリアを形成するようにさらに配置されている、請求項1に記載のレーザ剥離統合化機器。
【請求項6】
前記レーザ光源は、前記剥離待ちエリアの表面輪郭に基づいてレーザパラメータを調節可能であり、前記レーザパラメータには、走査線速度およびデューティサイクルのうちの少なくとも1つが含まれる、請求項1に記載のレーザ剥離統合化機器。
【請求項7】
前記移動装置は、前記剥離待ちウエハを駆動して水平移動および水平回動のうちの少なくとも1つの動きを発生させるようにさらに配置されている、請求項1に記載のレーザ剥離統合化機器。
【請求項8】
前記レーザ光源の波長が355マイクロミリメートルまたは266マイクロミリメートルである、請求項1に記載のレーザ剥離統合化機器。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、出願日2019年8月26日、出願番号201910788121.Xの中国特許出願に基づき優先権を主張し、該出願のすべての内容が引用により本願に援用される。
【技術分野】
【0002】
本願は、半導体製造機器の分野に属し、たとえば、レーザ剥離統合化機器に関する。
【背景技術】
【0003】
20世紀末、高周波数、高効率および大電力などの優れた性能を有する電子電力デバイスの製造を実現するために、窒化ガリウムを代表とした第三世代のワイドバンドギャップ半導体材料が、発展プロセスを加速させた。窒化ガリウム(GaN)は、性能が優れており、高電力・高周波数デバイスなどの他の特殊条件下で作動する半導体デバイスの製造に適用することができるので、広く研究・適用されている。窒化ガリウム(GaN)エピタクシー層の結晶体品質は、高性能の窒化ガリウム(GaN)基デバイスを実現するための根本的な保証である。窒化ガリウム(GaN)単結晶基板を用いてホモエピタキシャル成長を実現することは、窒化ガリウム(GaN)エピタクシー層の結晶体品質および窒化ガリウム(GaN)基デバイスを向上させる主な方法である。
【0004】
関連技術において、大型の窒化ガリウム自立基板の製造技術は、その発展過程における最大の障害の1つとなっている。その製造プロセスは、一般的にサファイア基板において窒化ガリウム膜をヘテロエピタキシャル成長させた後、レーザ剥離技術(Laser Lift-off Technique)により窒化ガリウム膜をサファイアから分離させることで、自立窒化ガリウム基板を得るものである。窒化ガリウムのエピタキシャル成長過程における、残留応力は、主に格子不整合応力および熱不整合応力である。格子不整合応力は、主にサファイア基板および窒化ガリウム結晶体の格子サイズが整合しないことに起因するものである。熱不整合応力は、主に両者の熱膨張係数が異なることに起因するものであり、窒化ガリウムエピタキシャルウエハは、800℃以上の高温状態で成長し、成長が完了し、冷却した後、両者の格子収縮割合には大きな違いがあるので、両者の間の格子が互いにけん制することにより、窒化ガリウム/サファイア複合基板の反りが大きくなる。
【0005】
窒化ガリウム/サファイア複合基板の反りが大きいことで、レーザ剥離時にレーザが剥離面において焦点ずれを発生し、剥離の歩留まりを大幅に低下させてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願は、レーザ剥離過程で焦点ずれによるウエハ割れの問題を解決するとともに、全体の製造歩留まりを向上させることができるレーザ剥離統合化機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の実施形態は、
剥離待ちウエハをレーザ剥離するように配置されたレーザ光源と、
前記剥離待ちウエハを支持するように配置された剥離チャンバーと、
前記剥離待ちウエハを剥離する時に必要となる温度を提供するように配置されたヒーターと、
前記剥離待ちウエハの表面輪郭情報を取得するように配置された輪郭測定装置と、
前記輪郭測定装置が取得した表面輪郭情報に基づき、前記剥離待ちウエハの所在高度を調節して、前記レーザ光源の焦点を前記剥離待ちウエハの剥離待ち位置に位置させるように配置された移動装置と、
を含むレーザ剥離統合化機器を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本願の実施形態1に係るレーザ剥離統合化機器の構造模式図である。
【
図2】本願の実施形態1に係るレーザ剥離統合化機器の構造模式図である。
【
図3a】本願の一実施形態に係る剥離待ちウエハの剥離待ちエリアの区画模式図である。
【
図3b】本願の一実施形態に係る剥離待ちウエハの剥離待ちエリアの区画模式図である。
【
図4】本願の一実施形態に係る異なる剥離待ちエリアを剥離する場合の剥離待ちウエハの高度変化模式図である。
【
図5】本願の実施形態2に係るレーザ剥離統合化機器の構造模式図である。
【
図6】本願の実施形態2に係るレーザ剥離統合化機器の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願の実施形態を詳しく説明する際に、説明の便宜上、デバイスの構造を表す断面図は、通常の割合での部分的に拡大はされておらず、且つ前記模式図は、例示に過ぎず、ここでは本願の保護範囲を限定すべきではない。また、実際の製造においては、長さ、幅および深さという三次元空間サイズが含まれるべきである。
【0010】
説明の便宜上、ここでは、「下」、「下方」、「よりも低い」、「已下」、「上方」、「上」などの空間関係用語を使用して図面に示される素子または特徴と他の素子または特徴との関係を説明する可能性がある。それらの空間関係用語は、使用中または操作中のデバイスの、図面に示される方向以外の他の方向を含むことを意図することを理解すべきである。また、1つの層が、2つの層の「間」にあると呼ばれる場合、前記2つの層の間の唯一の層であってもよく、或いは1つまたは複数のその間に介在する層が存在してもよい。
【0011】
本願の説明において、記載される第1特徴が第2特徴「の上」にある構造は、第1および第2特徴が直接接触するように形成された実施形態を含んでもよく、他の特徴が第1特徴と第2特徴との間に形成された実施形態を含んでもよいため、第1および第2特徴は、直接接触しない可能性がある。
【0012】
なお、本実施形態に係る図面は、本願の基本的な思想を概略的な形態で説明したものであり、実際に実行する際のコンポーネントの数、形状、およびサイズに基づいて作成したわけではなく、図面では本願に関連するコンポーネントのみ表示しており、実際に実行する際に、複数のコンポーネントの形態、数および割合は、任意に変更してもよく、そのコンポーネントの配置形態もより複雑になる可能性がある。
【0013】
窒化ガリウム/サファイア複合基板の反りが大きいことで、レーザ剥離時にレーザが剥離面において焦点ずれを発生し、剥離の歩留まりを大幅に低下させてしまう。例えば、4インチの窒化ガリウム/サファイア複合基板の曲率半径は0.6~1.5メートルであり、対応する測定ウエハの屈曲度(wafer bow)は1200-1300ミクロンであるが、レーザの焦点深度は一般的に300ミクロン程度であり、且つレーザ焦点は剥離時に調整できない。ウエハ屈曲度は光源の焦点深度よりも大きい。さらに深刻なことに、ウエハ屈曲度が剥離の進行に伴って持続的に変化するので、レーザエネルギー密度が十分ではなかったり、過剰になったりしやすく、最終的に、剥離が完全ではなく、割れてしまうなどの不良現象を引き起こし、剥離の歩留まりに大きく影響する。
【0014】
実施形態1
図1および
図2に示すように、本実施形態は、レーザ光源205、剥離チャンバー203、ヒーター202、輪郭測定装置206および移動装置201を含むレーザ剥離統合化機器を提供する。
【0015】
図1に示すように、前記レーザ光源205は、前記剥離チャンバー203の上方に設けられ、剥離チャンバー203内の前記剥離待ちウエハ204をレーザ剥離するように配置されている。前記レーザ光源205の波長は355マイクロミリメートルまたは266マイクロミリメートルであってもよい。前記レーザ光源205は、剥離時に例えば250ミクロン~400ミクロンなどの予め設定された焦点深度を有する。本実施形態において、前記レーザ光源205の焦点深度は300ミクロンである。
【0016】
前記剥離チャンバー203は、前記剥離待ちウエハ204を支持し、前記剥離待ちウエハ204に対して密封環境を提供するように配置されている。該密封環境は、ウエハ剥離時に生成物が飛び散ることを阻止しながら、剥離に対して適切なプロセス雰囲気を提供することができる。前記剥離チャンバー203の頂部には、レーザを前記剥離チャンバー203内に進入させるための窓がある。前記窓は、剥離時に前記レーザ光源205の真下に位置し、前記窓の材質はサファイアまたは石英であってもよい。本実施形態においては、石英が用いられ、レーザを透過させながら、レーザによる窓の損傷を回避する。
【0017】
図1に示すように、前記ヒーター202は、前記剥離チャンバー203の下方に位置し、前記剥離待ちウエハ204を剥離する時に必要となる温度を提供するように配置されている。例えば、前記ヒーター202は、抵抗線ヒーター、無線周波ヒーターまたは赤外線ランプヒーターなどであってもよい。本実施形態において、前記ヒーター202は、赤外線ランプヒーターを用いる。
【0018】
図1に示すように、前記輪郭測定装置206は、前記剥離待ちウエハ204の表面輪郭情報を取得するように配置されている。本実施形態において、前記輪郭測定装置206は、表面輪郭計を用いる。前記表面輪郭計206は、前記剥離チャンバー203の上方に設置されており、前記表面輪郭計206は、間接的に前記剥離待ちウエハ204の表面輪郭を測定する。表面輪郭計206が用いる測定方法は、白色光干渉測定方法、ノマルスキー干渉測定方法およびシアリング干渉測定方法のいずれかを含む。そのうち、本実施形態において、前記表面輪郭計206の測定方法は、白色光干渉測定方法を用いる。前記白色光干渉測定方法は、位相走査干渉測定方法および垂直走査干渉測定方法のいずれかを含む。
【0019】
図3aおよび
図3bに示すように、前記輪郭測定装置206が前記剥離待ちウエハ204の表面輪郭情報を取得した後、前記表面輪郭情報に基づいて表面を複数の剥離待ちエリアに区画し、且つ各々の前記剥離待ちエリア内部の最大高度差は前記レーザ光源205の焦点深度以下である。例えば、4インチの剥離待ちウエハ204については、全体輪郭高度差が1200ミクロンであり、レーザ光源205の焦点深度が300ミクロンである場合、
図3aおよび
図3bに示すように、前記剥離待ちウエハ204を4つの剥離待ちエリア、それぞれ剥離待ちエリアA1、剥離待ちエリアA2、剥離待ちエリアA3および剥離待ちエリアA4に区画してもよい。これにより、各々の前記剥離待ちエリア内部の最大高度差は前記レーザ光源205の焦点深度以下である。好ましくは、実際の区画数は、剥離待ちウエハ204の全体輪郭高度差およびレーザ光源205の焦点深度に基づいて設定されてもよく、ここで挙げられた例に限定されない。
【0020】
一部の応力が解放されるため、ウエハ輪郭は、レーザ剥離が持続して行う際に若干変化する。剥離位置の精確性を向上させるために、1つの剥離待ちエリアのレーザ剥離を完了するごとに、前記輪郭測定装置206を用いて前記剥離待ちウエハ204の残りのエリアを走査し、前記剥離待ちウエハ204の残りのエリアを改めて区画して、新たな剥離待ちエリアを形成してもよい。
【0021】
異なる剥離待ちエリアに対しては、前記レーザ光源205は、前記剥離待ちエリアの表面輪郭に基づいてレーザパラメータを調整する。前記レーザパラメータは、走査線速度およびデューティサイクルのいずれかまたは複数を含む。
【0022】
前記移動装置201は、前記輪郭測定装置206が取得した表面輪郭情報に基づいて前記剥離待ちウエハ204の所在高度を調整するように配置されていることで、剥離時にレーザ光源205の焦点が剥離待ち位置に位置させる。
図4に示すように、ここで、Hは、参照平面であり、対応する位置は現在の剥離待ちエリアの中間高度であり、且つレーザ焦点深度の中間である。異なる剥離段階において、前記移動装置201により剥離待ちウエハ204の高度を調整し、レーザ焦点が剥離時に調整できないので、剥離待ちウエハ204の高度を調整することにより、レーザ焦点を常にウエハの剥離待ちエリアに位置させることができる。
【0023】
本実施形態において、前記移動装置201は、前記剥離待ちウエハ204を駆動して水平移動させるようにさらに配置されている。
図1および
図2に示すように、前記移動装置201は、前記剥離待ちウエハ204を駆動して前記表面輪郭計206と前記レーザ光源205との間に移動させることができる。
【0024】
本実施形態は、以下のステップを含むレーザ剥離統合化機器の剥離方法をさらに提供する。
【0025】
ステップ1):剥離待ちウエハ204を剥離チャンバー203に入れ、保護雰囲気を導入して剥離温度までに昇温する。
【0026】
ステップ2):
図1、
図3aおよび
図3bに示すように、移動装置201を用いて、剥離チャンバー203、ヒーター202および剥離待ちウエハ204全体を表面輪郭計206の下方に水平移動させ、表面輪郭計206を用いて剥離待ちウエハ204の表面輪郭情報を測定し、表面輪郭情報に基づいて剥離待ちエリアA1、剥離待ちエリアA2、剥離待ちエリアA3および剥離待ちエリアA4に区画する。
【0027】
ステップ3):上述した表面輪郭情報に基づき、移動装置201を用いて剥離待ちウエハ204の高度を調整する。
【0028】
ステップ4):
図2に示すように、移動装置201を用いて剥離チャンバー203、ヒーター202および剥離待ちウエハ204全体をレーザ光源205の下方に水平移動させ、レーザで剥離待ちウエハ204の剥離待ちエリアA1を掃射する。
【0029】
ステップ5):レーザの掃射を停止させ、ステップ2)~ステップ4)を繰り返し、それぞれ剥離待ちエリアA2、剥離待ちエリアA3および剥離待ちエリアA4、またはその他のより多い剥離待ちエリアを剥離する。
【0030】
ステップ6):レーザ剥離を完了し、冷却させてウエハを取り出す。
【0031】
実施形態2
図5~
図6に示すように、本実施形態は、基本構造が実施形態1に示されているようなレーザ剥離統合化機器を提供し、そのうち、前記レーザ剥離統合化機器は、レーザ光源205、剥離チャンバー203、ヒーター202、輪郭測定装置206(すなわち、表面輪郭計)、移動装置201およびレフレクター207を含む。前記輪郭測定装置206および前記レフレクター207は、それぞれ前記剥離待ちウエハ204の上方に位置し、且つそれぞれ
前記剥離
待ちウエハ204の両側に位置する。前記輪郭測定装置206は、前記レフレクター207に正対する。前記レフレクター207は、斜めに回動することにより、前記剥離待ちウエハ204を反射して前記輪郭測定装置206に画像形成する。ここで、レフレクター207は、
図5に示す平面内で回動する。前記移動装置201は、単に、前記輪郭測定装置206が取得した表面輪郭情報に基づいて前記剥離待ちウエハ204の所在高度を調整することで、剥離時にレーザ光源205の焦点が剥離待ち位置に位置させるように配置されており、水平移動の機能が必要なく、機器を効果的に簡素化にし、移動誤差による剥離位置ずれを回避し、剥離の歩留まりを向上させることができる。
【0032】
本実施形態は、以下のステップを含むレーザ剥離統合化機器の剥離方法をさらに提供する。
【0033】
ステップ1):剥離待ちウエハ204を剥離チャンバー203に入れ、保護雰囲気を導入して剥離温度までに昇温する。
【0034】
ステップ2):水平面に対して45度の角度をなすようにレフレクター207を回転させる。
図6に示すように、表面輪郭計206が傾斜したレフレクター207に正対し、レフレクター207の反射による画像形成によりレフレクター207の下に位置するウエハの剥離待ちエリアの表面輪郭情報を測定し、
図1、
図3aおよび
図3bに示すように、表面輪郭情報に基づいて剥離待ちエリアA1、剥離待ちエリアA2、剥離待ちエリアA3および剥離待ちエリアA4を区画する。
【0035】
ステップ3):上述した表面輪郭情報に基づき、移動装置201を用いて剥離待ちウエハ204の高度を調整する。
【0036】
ステップ4):
図5に示すように、レフレクター207を水平面に対して垂直にしてレーザを遮蔽しないように回転させ、レーザで剥離待ちウエハ204の剥離待ちエリアA1を掃射する。
【0037】
ステップ5):レーザの掃射を停止させ、ステップ2)~ステップ4)を繰り返し、それぞれ剥離待ちエリアA2、剥離待ちエリアA3および剥離待ちエリアA4、またはその他のより多い剥離待ちエリアを剥離する。
【0038】
ステップ6):レーザ剥離を完了し、冷却させてウエハを取り出す。
【0039】
本実施形態における前記移動装置201は、単に、前記輪郭測定装置206が取得した表面輪郭情報に基づいて前記剥離待ちウエハ204の所在高度を調整することで、剥離時にレーザ光源205の焦点が剥離待ち位置に位置するように配置されており、水平移動の機能が必要なく、機器を効果的に簡素化にし、移動誤差による剥離位置ずれを回避し、剥離の歩留まりを向上させることができる。
【0040】
実施形態3
本実施形態は、基本構造が実施形態1に示されているようなレーザ剥離統合化機器を提供し、そのうち、前記輪郭測定装置206がレーザ距離計を用いる点が、実施形態1と異なっている。前記レーザ距離計206は、一回測定して1点のデータを取得し、水平回動および水平移動の機能を有する移動装置201を用いて、多点測定してデータをフィッティングすることによって表面輪郭情報を得ることができる。
【0041】
本実施形態は、以下のステップを含むレーザ剥離統合化機器の剥離方法をさらに提供する。
【0042】
ステップ1):剥離待ちウエハ204を剥離チャンバー203に入れ、保護雰囲気を導入して剥離温度までに昇温する。
【0043】
ステップ2):
図1、
図3aおよび
図3bに示すように、移動装置201を用いて剥離チャンバー203、ヒーター202および剥離待ちウエハ204全体をレーザ距離計の下方に水平移動させ、レーザ距離計を用いて剥離待ちウエハ204の表面輪郭情報を測定し、表面輪郭情報に基づいて剥離待ちエリアA1、剥離待ちエリアA2、剥離待ちエリアA3および剥離待ちエリアA4を区画する。
【0044】
ステップ3):上述した表面輪郭情報により、移動装置201を用いて剥離待ちウエハ204の高度を調整する。
【0045】
ステップ4):
図2に示すように、移動装置201を用いて剥離チャンバー203、ヒーター202および剥離待ちウエハ204全体をレーザ光源205の下方に水平移動させ、レーザで剥離待ちウエハ204の剥離待ちエリアA1を掃射する。
【0046】
ステップ5):レーザの掃射を停止させ、ステップ2)~ステップ4)を繰り返し、それぞれ剥離待ちエリアA2、剥離待ちエリアA3および剥離待ちエリアA4、またはその他のより多い剥離待ちエリアを剥離する。
【0047】
ステップ6):レーザ剥離を完了し、冷却させてウエハを取り出す。
【0048】
上述のように、本願に係るレーザ剥離統合化機器は、以下の有益な効果を有する。
【0049】
本願に係るレーザ剥離統合化機器およびその使用方法は、剥離待ちウエハ204の表面輪郭情報をリアルタイムで測定し、剥離時にウエハの高度をリアルタイムで調整することで、剥離時にレーザ焦点が剥離待ち位置に位置することを確保し、レーザが剥離面において焦点ずれが発生しないようにし、レーザ剥離の歩留まりを向上させることができる。
[発明の項目]
[項目1]
剥離待ちウエハをレーザ剥離するように配置されたレーザ光源と、
前記剥離待ちウエハを支持するように配置された剥離チャンバーと、
前記剥離待ちウエハを剥離する時に必要となる温度を提供するように配置されたヒーターと、
前記剥離待ちウエハの表面輪郭情報を取得するように配置された輪郭測定装置と、
前記輪郭測定装置が取得した表面輪郭情報に基づき、前記剥離待ちウエハの所在高度を調節して、前記レーザ光源の焦点を前記剥離待ちウエハの剥離待ち位置に位置させるように配置された移動装置と、を含むレーザ剥離統合化機器。
[項目2]
前記輪郭測定装置には、表面輪郭計およびレーザ距離計のいずれかが含まれる、項目1に記載のレーザ剥離統合化機器。
[項目3]
前記輪郭測定装置が表面輪郭計であり、
前記表面輪郭計は、前記剥離待ちウエハの表面輪郭を間接的に測定するように配置されており、前記表面輪郭計が用いる測定方法には、白色光干渉測定方法、ノマルスキー干渉測定方法およびシアリング干渉測定方法のいずれかが含まれる、項目2に記載のレーザ剥離統合化機器。
[項目4]
前記表面輪郭計の測定方法が白色光干渉測定方法であり、
前記白色光干渉測定方法には、位相走査干渉測定方法および垂直走査干渉測定方法のいずれかが含まれる、項目3に記載のレーザ剥離統合化機器。
[項目5]
前記輪郭測定装置は、前記剥離待ちウエハの表面輪郭情報を取得した後、前記表面輪郭情報に基づいて前記剥離待ちウエハの表面を内部の最大高度差が前記レーザ光源の焦点深度以下である複数の剥離待ちエリアに区画するようにさらに配置されている、項目1に記載のレーザ剥離統合化機器。
[項目6]
前記輪郭測定装置は、1つの前記剥離待ちエリアのレーザ剥離を完了するごとに、前記剥離待ちウエハの残りのエリアを走査するとともに、前記剥離待ちウエハの残りのエリアを改めて区画して新たな剥離待ちエリアを形成するようにさらに配置されている、項目5に記載のレーザ剥離統合化機器。
[項目7]
前記レーザ光源は、前記剥離待ちエリアの表面輪郭に基づいてレーザパラメータを調節可能であり、前記レーザパラメータには、走査線速度およびデューティサイクルのうちの少なくとも1つが含まれる、項目5に記載のレーザ剥離統合化機器。
[項目8]
前記移動装置は、前記剥離待ちウエハを駆動して水平移動および水平回動のうちの少なくとも1つの動きを発生させるようにさらに配置されている、項目1に記載のレーザ剥離統合化機器。
[項目9]
レフレクターをさらに含み、
前記輪郭測定装置および前記レフレクターは、それぞれ前記剥離待ちウエハの上方に位置し、且つそれぞれ前記剥離待ちウエハの両側に位置し、
前記輪郭測定装置は、前記レフレクターに正対し、
前記レフレクターは、斜めに回動することにより前記剥離待ちウエハを反射して前記輪郭測定装置に画像形成する、項目1に記載のレーザ剥離統合化機器。
[項目10]
前記レーザ光源の波長が355マイクロミリメートルまたは266マイクロミリメートルである、項目1に記載のレーザ剥離統合化機器。
【符号の説明】
【0050】
201、移動装置
202、ヒーター
203、剥離チャンバー
204、剥離待ちウエハ
205、レーザ光源
206、輪郭測定装置
207、レフレクター