(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】携帯情報端末用保持具
(51)【国際特許分類】
H04M 1/11 20060101AFI20230920BHJP
【FI】
H04M1/11 Z
(21)【出願番号】P 2023099251
(22)【出願日】2023-06-16
【審査請求日】2023-06-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523231196
【氏名又は名称】齊藤 則広
(74)【代理人】
【識別番号】110002435
【氏名又は名称】弁理士法人井上国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077919
【氏名又は名称】井上 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100172638
【氏名又は名称】伊藤 隆治
(74)【代理人】
【識別番号】100153899
【氏名又は名称】相原 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100159363
【氏名又は名称】井上 淳子
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 則広
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2022-0077033(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0063066(US,A1)
【文献】米国特許第8746448(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0201743(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0094264(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0370241(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/00-1/82
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯情報端末が保持された携帯情報端末用のケースに取り付けられるバンド部と、
前記バンド部に取り付けられ、手の指又は手の甲に接触する手側保持部とを備え、
前記バンド部は、前記バンド部の弾性力によって前記ケースに固定され、
前記手側保持部は、両端部のそれぞれがリング状部材によって前記バンド部に連結されていることを特徴とする携帯情報端末用保持具。
【請求項2】
前記手側保持部は、芯材の入った布部材によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末用保持具。
【請求項3】
前記手側保持部は、1つの長い前記布部材をループ状とし、これを2枚の布地が重なった弧状としたものであることを特徴とする請求項2に記載の携帯情報端末用保持具。
【請求項4】
前記リング状部材は、弧状の前記布部材の両端部で形成された筒状部に保持されていることを特徴とする請求項3に記載の携帯情報端末用保持具。
【請求項5】
前記リング状部材は、開閉機構を備えていることを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末用保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートフォンやタブレット等の携帯情報端末を手に持って使用する際に、当該携帯情報端末を安定して保持することができ、且つ落下を防止することができる保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン等の携帯情報端末は片手に持って操作することが多い。従来、携帯情報端末を片手で安定して保持するための保持具が提案されている。
特許文献1には、携帯情報端末用保持具の落下防止用リングを被覆するためのリングカバーが記載されている。
特許文献2には、シート状の保持具が記載されている。
特許文献3には、スマートフォン用ハードケースに巻き掛けるバンドが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2022-42096号公報
【文献】特開2019-125370号公報
【文献】実用新案登録第3177647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている落下防止用リングを有する携帯情報端末用保持具、および特許文献2に記載されているシート状の保持具は、接着剤や接着シートによって携帯情報端末の本体或いは携帯情報端末用ケースに固定されている。したがってこれらの保持具を交換する際、元の保持具を携帯情報端末或いは携帯情報端末用ケースから剥がすと、接着剤が当該本体或いはケースに残ってしまうことがある。また、特許文献1に記載されている携帯情報端末用保持具は、落下防止用リングと土台部との連結部に負荷が掛かるため、使用を重ねると摩耗によって当該連結部が比較的早期に破損してしまう虞がある。
【0005】
特許文献3に記載のバンドは、手の指或いは手の甲に接触する部分に伸縮性の部材を用いているため、手を弾性的に締め付ける。このため、バンドから手が抜けにくくなり、落下を防止することはできるが、長時間の使用では締め付けにより手が痛くなってしまう虞がある。
【0006】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、携帯情報端末を安定して保持すると共に、耐久性に優れ、長時間の使用でも手が痛くならない携帯情報端末用保持具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の携帯情報端末用保持具は、
携帯情報端末が保持された携帯情報端末用のケースに取り付けられるバンド部と、
前記バンド部に取り付けられ、手の指又は手の甲に接触する手側保持部とを備え、
前記バンド部は、前記バンド部の弾性力によって前記ケースに固定され、
前記手側保持部は、両端部のそれぞれがリング状部材によって前記バンド部に連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、携帯情報端末を安定して保持すると共に、耐久性に優れ、長時間の使用でも手が痛くならない携帯情報端末用保持具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る携帯情報端末用保持具の正面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る携帯情報端末用保持具の背面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る携帯情報端末用保持具の平面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る携帯情報端末用保持具の底面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る携帯情報端末用保持具の左側面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る携帯情報端末用保持具の右側面図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る携帯情報端末用保持具の使用状態の例を示す外観図であり、携帯情報端末用ケースに装着された状態を示している。
【
図8】
図8は、実施形態に係る携帯情報端末用保持具の使用状態の例を示す外観図であり、
図7とは異なる角度から見た状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る携帯情報端末用保持具を、図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、携帯情報端末としてスマートフォンを例として説明する。
図1および
図2は、実施形態に係る携帯情報端末用保持具の正面図および背面図である。
図3および
図4は、実施形態に係る携帯情報端末用保持具の平面図および底面図である。
図5および
図6は、実施形態に係る携帯情報端末用保持具の左側面図および右側面図である。
図7は、実施形態に係る携帯情報端末用保持具の使用状態の例を示す外観図であり、携帯情報端末用ケースに装着された状態を示している。
図8は、実施形態に係る携帯情報端末用保持具の使用状態の例を示す外観図であり、
図7とは異なる角度から見た状態を示している。
【0011】
本実施形態に係る携帯情報端末用保持具1(以下、説明の便宜上「保持具1」と略記する)は、手指の爪側部分或いは手の甲に接触する手側保持部3と、手側保持部3を携帯情報端末用ケース5(
図7、8参照。以下、説明の便宜上「ケース5」と略記する)に取り付けるためのケース側バンド部7と、ケース側バンド部7に手側保持部3を取り付けるための一対のリング状部材9a、9bとを備えている。
【0012】
手側保持部3の長手方向の長さは、保持具1が
図7、8に示すケース5に装着された状態において、ケース5の上部のレンズ用開口5a近傍から下部のケーブル用開口5b近傍に至る長さを有している。この長さは、大人の手の第2指から第5指までの幅を充分に覆うことができる長さとなっている。また、手側保持部3の短手方向の寸法は、手側保持部3の長手方向の長さの1/3程度の寸法を有している。
【0013】
手側保持部3は、芯材(図示省略)の入った布地が2枚重なった状態に形成されている。具体的には、芯材の入った1枚の長い布地の端部同士を縫い合わせて連結し、或いは接着して連結してループ状とし、ループ状の布地を
図5、
図6に示すように2枚の布地が重なった弧状とする。そしてその状態の布地の長手方向の各端部がそれぞれ、短手方向に貫通する第1の筒状部3aと第2の筒状部3bを形成するように、長手方向の各端部近傍部において重なった布地を縫い合わせ、或いは接着する。なお、本実施形態においては、長手方向の各端部近傍部のこれらの縫い合わせ部或いは接着部の間の部分の重なった布地については縫い合わせていないが、縫い合わせた構成としても良い。手側保持部3は、保持部1がケース5に装着された状態において、ケース5の外方へ膨出する弓型となっている。なお芯材の材質は限定されない。例えば金属や紙材等、様々な材質を用いることができる。
また、手側保持部3は、芯材の入った布地に代えて、皮革を用いて構成しても良い。
【0014】
ケース側バンド部7は、ゴム部材で構成されている。ケース側バンド部7の長手方向の長さは、保持具1が
図7、8に示すケース5に装着された状態において、ケース5の上部のレンズ用開口5aから下部のケーブル用開口5bに至る長さを有している。ケース側バンド部7の短手方向の寸法は、手側保持部3の短手方向の寸法の1/3程度の寸法を有している。
【0015】
ケース側バンド部7は長手方向に延在する一本のゴム部材であり、その中間部には、
図5、
図6に示すように、短手方向に貫通する第1の筒状部7aおよび第2の筒状部7bが形成されている。第1の筒状部7aと第2の筒状部7bとの間の距離は、手側保持部3の長手方向の寸法と同等となっている。
【0016】
ケース側バンド部7の一方側の端部11には、ケース側バンド部7を貫通する貫通孔13が形成されている。本実施形態においては3つの貫通孔13が形成されている。ケース側バンド部7の他方側の端部15には、凸部17が1つ形成されている。凸部17は貫通孔13に嵌合可能である。後述するように、保持具1がケース5に装着された状態において、凸部17が何れかの貫通孔13に嵌合することにより、保持具1がガタつきなくケース5に固定される。
【0017】
手側保持部3は、一対のリング状部材9a、9bによってケース側バンド部7に取り付けられている。具体的には、第1のリング状部材9aが、手側保持部3の第1の筒状部3aとケース側バンド部7の第1の筒状部7aとを貫通して配置され、これにより手側保持部3の第1の筒状部3aとケース側バンド部7の第1の筒状部7aとが連結されている。第1のリング状部材9aと手側保持部3の第1の筒状部3aとは、相対回動可能に連結されている。第1のリング状部材9aとケース側バンド部7の第1の筒状部7aとは、相対回動可能に連結されている。
【0018】
同様に、第2のリング状部材9bが、手側保持部3の第2の筒状部3bとケース側バンド部7の第2の筒状部7bとを貫通して配置され、これにより手側保持部3の第2の筒状部3bとケース側バンド部7の第2の筒状部7bとが連結されている。第2のリング状部材9bと手側保持部3の第2の筒状部3bとは、相対回動可能に連結されている。第2のリング状部材9bとケース側バンド部7の第2の筒状部7bとは、相対回動可能に連結されている。
【0019】
第1および第2のリング状部材9a、9bは金属で構成され、開閉可能な構造を有している。このようなリング状部材9a、9bを用いることにより、ケース側バンド部7から手側保持部3を容易に取り外すことができると共に、取り外した手側保持部3を容易にケース側バンド部7に取り付けることができる。したがって、手側保持部3の洗浄や交換等のメンテナンスが容易になる。なお、第1および第2のリング状部材9a、9bは、カラビナを用いることができる。
【0020】
次に保持具1のケース5への装着方法について説明する。
ケース5は合成樹脂、金属等の素材で形成されている。ケース5は、長方形の板状の本体部21と、本体部21の上側の縁部に形成された上側壁部23と、本体部21の下側の縁部に形成された下側壁部25と、上側壁部23の両端と下側壁部25の両端とを上下方向にそれぞれ連結する右側壁部27と左側壁部29とから構成されている。ケース5は、本体部21と上側壁部23と下側壁部25と右側壁部27と左側壁部29とにより長方形皿状に形成され、内部に図示しない携帯情報端末であるスマートフォンが収容される。具体的には、スマートフォンは、スマートフォンの背面(画面とは反対側の面)が本体部21の内側面に当接し、スマートフォンの上側面、下側面、右側面および左側面が、それぞれケース5の上側壁部23、下側壁部25、右側壁部27および左側壁部29の各内周面に当接するように収容される。スマートフォンのレンズに対応する本体部21の部分には、レンズ用開口5aが設けられている。また、下側壁部25には、ケーブル用開口5bが設けられている。
【0021】
本実施形態の保持具1をケース5に装着するには、まず、ケース側バンド部7の一方側の端部11を、ケース5のレンズ側開口5aからケース5の内側へ挿通し、ケース側バンド部7の他方側の端部15を、ケース5のケーブル用開口5bからケース5の内側へ挿通する。そして本体部21の内側において、ケース側バンド部7の一方側の端部11の貫通孔13の何れかに、ケース側バンド部7の他方側の端部15の凸部17を押し込み、嵌合させる。この時、ケース側バンド部7が伸びる方向に弾性変形した状態となるように、凸部17と貫通孔13とを嵌合させる。これにより、ケース側バンド部7は、レンズ側開口5aとケーブル用開口5bとの間において、本体部21の外側面と内側面とに密着する方向に弾性復帰する力によってケース5に固定される。したがって保持具1がガタつきなくケース5に固定される。以上で、保持具1がケース5に装着される。その後、ケース5の内部にスマートフォンを収容する。
【0022】
上述したように、保持具1がケース5に装着された状態において、手側保持部3はケース5の外方へ膨出する弓型となっている。ケース5に収容されたスマートフォン(図示省略)を把持する際は、手側保持部3と、本体部21の外側面に配置されたケース側バンド部7との間の空間Sに手を入れて、ケース5を指と掌で把持する。これによりスマートフォンを安定して保持することができ、落下を防止することができる。
【0023】
本実施形態の保持具1は、手の指或いは手の甲に接触する部分に布部材で形成された手側保持部3を配置しているため、手側保持部3が手を締め付けることがない。したがって長時間の使用でも手が痛くならない。また、手側保持部3はリング状部材9a、9bによってケース側バンド部7に取り付けられており、リング状部材9a、9bが貫通する第1、第2の貫通孔3a、3bは、上述したように芯材の入った1枚の布地をループ状とし、これを2枚の布地が重なった弧状となるようにし、この状態の布地の両端部によって構成されているため、非常に丈夫に形成されている。したがって保持具1は耐久性に優れている。また、保持具1は、ケース5への装着に接着剤や接着シートを用いていないため、保持具1をケース5から取り外しても、ケース5に接着剤や接着シートに残ってしまうことがない。
【0024】
また、手側保持部3は、芯材が入っているため比較的変形しにくい。このような構成により、下側のリング状部材9bをケース側バンド部7から取り外し、リング状部材9bを接地させることにより、保持具1をスマートフォン用スタンドとして使用することも可能である。
また、手側保持部3は布地あるいは皮革で構成されているため、好みの色や柄のものと適宜交換可能である。これによりファッション性を向上させることができる。
また、手側保持部3にポケットやジッパーを設けることにより、手側保持部3に収納機能を付加することもできる。
【0025】
以上説明したように、本実施形態の保持具1によれば、携帯情報端末を安定して保持すると共に、耐久性に優れ、長時間の使用でも手が痛くならない携帯情報端末用保持具を提供することができる。
【0026】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、適宜変更が可能である。例えば、手側保持部3は、各端部が1つのリング状部材によってケース側バンド部7に取り付けられているが、各端部が複数のリング状部材によってケース側バンド部7に取り付けられても良い。また、ケース側バンド部7は貫通孔13と凸部17との嵌合によってケース5に固定されているが、他の機構によって固定されても良い。
【符号の説明】
【0027】
1 携帯情報端末用保持具
3 手側保持部
3a 第1の筒状部
3b 第2の筒状部
5 携帯情報端末用ケース
5a レンズ用開口
5b ケーブル用開口
7 ケース側バンド部
7a 第1の筒状部
7b 第2の筒状部
9a 第1のリング状部材
9b 第2のリング状部材
13 貫通孔
17 凸部
【要約】
【課題】携帯情報端末を安定して保持すると共に、耐久性に優れ、長時間の使用でも手が痛くならない携帯情報端末用保持具を提供すること。
【解決手段】 携帯情報端末が保持された携帯情報端末用のケース5に取り付けられるケース側バンド部7と、ケース側バンド部7に取り付けられ、手の指又は手の甲に接触する手側保持部3と備え、ケース側バンド部7は、ケース側バンド部7の弾性力によってケース5に固定され、手側保持部3は、両端部のそれぞれがリング状部材9a、9bによってケース側バンド部7に連結されていることを特徴とする。
【選択図】
図8