(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】習慣改善装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20230920BHJP
【FI】
G16H20/00
(21)【出願番号】P 2018214027
(22)【出願日】2018-11-14
【審査請求日】2021-09-06
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 泰佑
(72)【発明者】
【氏名】尾林 慶一
(72)【発明者】
【氏名】武良 盛太郎
【審査官】谷川 智秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-000455(JP,A)
【文献】特開2017-097401(JP,A)
【文献】国際公開第2011/070831(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/146811(WO,A1)
【文献】特開2008-117174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2期間を構成する複数の第1期間のそれぞれにおけるユーザの活動量を取得して、前記第2期間における活動量の経時変化を示す分布パタンを算出する第1算出部であって、過去の複数の前記第2期間のそれぞれに対応する複数の前記分布パタンである複数の第1分布パタン及び現在の前記第2期間に対応する前記分布パタンである第2分布パタンを得る第1算出部と、
前記複数の第1分布パタン間の類似性に基づいて前記複数の第1分布パタンを複数のグループに分類する分類部と、
前記複数のグループのそれぞれについて、各グループに属する複数の第1分布パタンのうちの少なくとも1つに基づいて各グループの典型的な分布パタンである典型パタンを生成し、前記複数のグループのそれぞれについて、前記ユーザ以外の事項によって前記ユーザへもたらされる要因である外的要因に関する外的要因情報
に応じて前記典型パタン
における各第1期間の活動量を増大又は低減したパタンを、前記ユーザにとって目標となる目標パタン
として生成する第2算出部と、
前記第2分布パタンと前記複数のグループのそれぞれについて算出された前記目標パタンのうち前記第2分布パタンに対応する目標パタンとの
間の差を示す差パタンを算出し、前記算出した差パタンに対応する、前記ユーザの生活習慣を改善するためのアドバイス情報を
記憶部から取得し、前記取得したアドバイス情報を前記ユーザに提示する提示部と、を備え、
前記外的要因情報は、前記ユーザの位置情報、前記位置情報に基づく天気予報情報、及び前記ユーザのスケジュールに関するスケジュール情報のうちの少なくとも1つを含む、
習慣改善装置。
【請求項2】
前記分類部は、
前記複数の第1分布パタンを表す複数のベクトルを取得する取得部であって、前記複数のベクトルの各々が前記複数の第1期間のそれぞれにおける前記活動量を成分とするベクトルである取得部と、
前記成分から決定される基底で張られる空間内の点と前記ベクトルは対応し、前記空間内における複数の点に基づいて、前記複数の点を前記複数のグループにクラスタリングして分類するクラスタリング部と、を備え、
前記クラスタリング部は、
前記空間内のある点と他の点との距離を比較し最も距離が小さい2点は同一グループに属するとしてグループ化し、
あるグループに属する点と他のグループに属する複数の点との距離を比較し、これらの距離のうちの最小の距離がしきい値以下である場合には最小の距離になる点同士のグループ同士は同一グループとしてグループ化する、
請求項1に記載の習慣改善装置。
【請求項3】
前記第2算出部は、前記複数のグループのそれぞれについて、各グループに属する前記複数の第1分布パタンのうちの1つを前記典型パタンとする、
請求項1または2に記載の習慣改善装置。
【請求項4】
前記第2算出部は、前記複数のグループのそれぞれについて、各グループに属する複数の点の中心又は重心にある点に対応する分布パタンを前記典型パタンとする、
請求項2に記載の習慣改善装置。
【請求項5】
前記分類部は、前記複数の第1分布パタンを、各第1分布パタンの特定の時間帯での活動量がしきい値以上かどうかに基づいて前記グループに分類する、
請求項1に記載の習慣改善装置。
【請求項6】
前記第2算出部は、前記ユーザのスケジュールに関するスケジュール情報と、前記ユーザの位置情報とを参照して、前記ユーザがスケジュールで予定されている位置から逸脱しているかどうかを判定し、逸脱していると判定された場合には、前記位置情報により示される位置にある施設に応じて前記目標パタンを変更し、
前記提示部は
、前記変更された目標パタン
を使用して前記差パタンを再度算出し、前記再度算出した前記差パタンに対応するアドバイス情報を前記記憶部から再度取得し、前記ユーザに前記
再度取得したアドバイス情報を提示する、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の習慣改善装置。
【請求項7】
前記提示部は、
前記第2分布パタンと前記第2分布パタンに対応する前記目標パタンとの差を前記第1期間ごとに算出する
ことで前記差パタンを算出する算出部と、
前記差
パタンが前記活動量の不足を示す場合に、前記活動量を増やすよう促す前記アドバイス情報を生成するアドバイス生成部と、を備える、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の習慣改善装置。
【請求項8】
前記第1算出部は、前記活動量として、前記ユーザが消費するエネルギー消費量、及び前記ユーザの歩数のうちの少なくとも1以上を使用する、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の習慣改善装置。
【請求項9】
前記提示部は、前記アドバイス情報として、前記第2分布パタンと、前記第2分布パタンに対応する前記目標パタンとを比較可能な状態でユーザに提示する、
請求項1乃至
8のいずれか1項に記載の習慣改善装置。
【請求項10】
コンピュータにより実行される習慣改善方法であって、
第2期間を構成する複数の第1期間のそれぞれにおけるユーザの活動量を取得して、前記第2期間での活動量の経時変化を示す分布パタンを算出することを備え、
前記分布パタンを算出することは、
過去の複数の前記第2期間のそれぞれに対応する複数の前記分布パタンである複数の第1分布パタンを得ることと、
現在の前記第2期間に対応する前記分布パタンである第2分布パタンを得ることと、
を含み、
前記複数の第1分布パタン間の類似性に基づいて前記複数の第1分布パタンを複数のグループに分類し、
前記複数のグループのそれぞれについて、各グループに属する複数の第1分布パタンのうちの少なくとも1つに基づいて各グループの典型的な分布パタンである典型パタンを生成し、
前記複数のグループのそれぞれについて、前記ユーザ以外の事項によって前記ユーザへもたらされる要因である外的要因に関する外的要因情報
に応じて前記典型パタン
における各第1期間の活動量を増大又は低減したパタンを、前記ユーザにとって目標となる目標パタン
として生成し、
前記第2分布パタンと前記複数のグループのそれぞれについて算出された前記目標パタンのうち前記第2分布パタンに対応する目標パタンとの
間の差を示す差パタンを算出し、前記算出した差パタンに対応する、前記ユーザの生活習慣を改善するためのアドバイス情報を
記憶部から取得し、前記取得したアドバイス情報を前記ユーザに提示すること、を備え
、
前記外的要因情報は、前記ユーザの位置情報、前記位置情報に基づく天気予報情報、及び前記ユーザのスケジュールに関するスケジュール情報のうちの少なくとも1つを含む、
習慣改善方法。
【請求項11】
前記複数の第1分布パタンを前記複数のグループに分類することは、
前記複数の第1分布パタンを表す複数のベクトルを取得することであって、前記複数のベクトルの各々が前記複数の第1期間のそれぞれにおける前記活動量を成分とするベクトルである、ことと、
前記成分から決定される基底で張られる空間内の点と前記ベクトルは対応し、前記空間内での複数の点の位置に基づいて、前記複数の点を前記複数のグループにクラスタリングして分類することと、を備え、
前記複数の点を前記複数のグループにクラスタリングして分類することは、
前記空間内のある点と他の点との距離を比較し最も距離が小さい2点は同一グループに属するとしてグループ化することと、
あるグループに属する点と他のグループに属する複数の点との距離を比較し、これらの距離のうちの最小の距離がしきい値以下である場合には最小の距離になる点同士のグループ同士は同一グループとしてグループ化することと、
を備える、
請求項
10に記載の習慣改善方法。
【請求項12】
コンピュータを、請求項1乃至
9のいずれか1項に記載の習慣改善装置が備える各部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、習慣改善装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近では検診等の結果により生活習慣を改善する必要に迫られている人々(ユーザと称す)は少なくない。例えば、職場や自治体の組織が開催する検診などを契機として、生活習慣に起因する病気に将来罹患する可能性が高いこと、または既に罹患していることを、ユーザは指摘されることがある。このような場合ユーザは、例えば、専門家の指導を仰ぎ、または専門的なアプリ等を利用して、生活習慣を改善するために日常生活を変更するように計画することがある。この計画は、指摘された病気の症状に合わせて現在の生活習慣を見直すことにより、例えば、食生活での食事量を減らし、飲食物の種類を変更し、運動時間を増加させるように、日常生活を設計することを含む。
【0003】
運動時間を計測するためには、例えば、歩数計が利用される。歩数計は、人体の振動などを検出することによって歩数を計測する装置であって、主に健康機器として利用されるものである。歩数だけでなく、当該歩数のカウント値及び人体の動きや姿勢の変化等から歩行距離、歩行速度、消費カロリーなどを算出し表示する機能をもつ歩数計もある。これらの機能を有する機器によって、例えば、ユーザごとに1日の総歩数の目標値に対する、現時点での残り歩数を示すことができ、生活習慣を改善しようとしているユーザにとって利便性は大きい。
【0004】
例えば、特許文献1には、ユーザの歩数をその絶対数もしくは変化量で評価する事により、ユーザがウォーキングを無理なく継続するための最適なアドバイスを提供する健康支援装置が開示され、さらにカウントしたユーザの歩数に対して、歩数レベルの評価や歩数量の変化に着目してより適切なアドバイスを提供し、ユーザの健康維持、健康増進を導くことを目的とした健康支援装置が開示されている。
【0005】
特許文献1では、ユーザの歩数の評価方法に着目して、最近の一定期間における歩数量をレベル判定し、レベルに対応したアドバイスを提供する場合と、過去の一経過時点までの平均歩数と一経過時点以降の平均歩数を比較してその変化量を含めたアドバイスを提供する場合とを使い分け、また、歩数データを、情報端末を介してサーバ装置に送信する事によりデータのバックアップ、アドバイス文章の更新等、また場合によっては評価方法の変更を行う、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の健康支援装置は、カウントしたユーザの歩数によって、最近の一定期間における平均歩数レベルの評価を行う、もしくは過去の一経過時点までの平均歩数と一経過時点以降の平均歩数とを比較しその変化量を含めた評価を行う事により、ユーザの歩数量の状況に最適なアドバイスもしくは情報を提供する。
【0008】
このように従来の装置では、ユーザの歩数を、最近の一定期間における平均歩数レベルの評価、または、過去の異なる期間での平均歩数を比較した変化量を含めた評価に基づいて、ユーザにアドバイスもしくは情報を提供しているだけである。このため、歩行以外にユーザの生活習慣における活動を計測していない、さらに、ユーザの生活習慣にもたらす歩行以外の他の要因を考慮していないことにより、ユーザの生活習慣を適切に改善することができないことがある。
【0009】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、一側面では、ユーザの活動量と共に活動量以外の要因も考慮して適した生活習慣にユーザを導く、習慣改善装置、方法及びプログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0011】
すなわち、本開示の第1の側面に係る習慣改善装置は、第1期間ごとに積算したユーザの活動量を前記第1期間ごとに取得して、前記第1期間を含む第2期間での活動量の経時変化を示す分布パタンを算出する第1算出部と、複数の前記分布パタンを1以上のグループに分類する分類部と、前記活動量以外の要因に基づいて前記ユーザにとって目標となる目標パタンを前記グループに対応づけて算出する第2算出部と、現在の前記分布パタンと前記目標パタンとに基づいて前記ユーザにアドバイス情報を提示する提示部と、を備える。
【0012】
上記の構成では、第1算出部は、第2期間に渡りユーザの活動量の経時変化を示す分布パタンを算出し、第2期間に含まれる第1期間ごとに活動量を積算しているので、第1期間ごとに第2期間を区切った単位で活動量の分布パタンを得ることになる。典型的には例えば、第1期間は1時間であり、第2期間は1日であるが、第1期間が第2期間に含まれればどんな期間でもよい。これによって得られた複数の分布パタンを分類部が1以上のグループに分類する。分類部は、得られた複数の分布パタンを何らかの手法で分類する。分類するためのこの手法は、例えば、クラスタリング、クラス分類がある。そして、第2算出部が、ユーザにもたらされる外的要因(外部要因、外的環境、及び外部環境とも称す)に関する情報を取得し、この情報に基づいて、分類されたグループごとにユーザが目標とすべき目標パタンを算出する。
【0013】
前記活動量以外の要因に関する情報には、例えば、ユーザの属性情報及び/またはユーザの外的要因情報がある。ユーザの属性情報は、ユーザの属性に関する情報であり、ユーザ自体の事項に関係する情報であり、例えば、ユーザの性別、生年月日、居住地を示す情報である。また、ユーザの外的要因情報は、属性情報とは異なりユーザ以外の事項に関する情報であり、ユーザへもたらされる外的要因に関する情報である。なお、外的要因情報の詳細は、第10の側面で説明する。このため、第2算出部は、グループに対応づけて目標パタンを算出するので、ユーザの過去の活動量に基づく分布パタンも考慮して目標パタンを算出していることになる。換言すれば、第2算出部は、グループの特徴を考慮しつつ、ユーザの属性情報とユーザへもたらされる外的要因とに応じたユーザにとって望ましい目標パタンを算出することになる。
【0014】
提示部は、現在のユーザの活動による活動量の分布パタンと、算出された目標パタンとを取得し、これらのパタンから現在のユーザへのアドバイス情報をユーザに提示する。現在の分布パタンは対応する第2期間の初めから現在までの分布パタンを示し、例えば、一日の始まり(例えば、起床)してから現在(例えば、昼食前の午前11時)までの分布パタンを示す。提示部は、この現在の分布パタン(すなわち、本日の現在までの活動量の履歴情報)と算出済みの目標パタンとを比較して、例えば、本日の現在までの活動量が目標パタンの積算の活動量より少ない場合には、今後多くの活動量を消費するようにアドバイス情報を提示し、逆の場合には活動量を目標パタンよりも小さくするように提示する。提示部は、活動量以外の、例えば、今後のスケジュールなどの外的要因及び属性情報も考慮してユーザにアドバイス情報を提示してもよい。
【0015】
したがって、本開示によれば、ユーザは、活動量以外の要因である例えば、外的要因も考慮した理想的な活動習慣(例えば、歩行習慣)に近づくためのアドバイスを知ることができ、活動習慣を実行する行動に移すことが容易になる。また、本開示によれば、第1期間(例えば、1時間)ごとの活動量(例えば、歩数)を機械学習のクラスタリング等によって分類することで、第1期間ごとのより詳細な個人の目標パタンを算出できるようになり、加えて、個人の外的要因を入力することによって、目標提示や健康につながる働きかけができるようになる。
すなわち、本開示の第1の側面に係る習慣改善装置によれば、従来の技術のように単なる活動量の平均値だけに基づいて判定するのではなく、活動量のパタンがグループ分けされることで、現在の分布パタンが普段のパタンと比較して異常であることを発見し、異なる目標設定が必要となることをユーザに知らせ、さらにこの目標設定のためのアドバイス情報も提示することができる。
【0016】
また、本開示の第1の側面に係る習慣改善装置によれば、第1期間及び第2期間を変更することによって、所望の分布パタン及び目標パタンの期間及びアドバイス時期を取得することができる。例えば(第1期間,第2期間)=(1時間,1日)の場合には、1時間ごとに変化可能な1日の分布パタンを知ることができ、1時間ごとにアドバイス情報を提供することが可能になる。他に例えば(第1期間,第2期間)=(1日,1か月)の場合には,1日ごとに変化可能な1か月の分布パタンを得ることができ、例えば(第1期間,第2期間)=(1週間,1年)の場合には、1週間ごとに変化可能で1年の分布パタンを得ることができる。このように第1期間及び第2期間を適切に設定すれば、ユーザが所望する分布パタン及び目標パタンを取得することができる。さらに、これらの期間を調整することによって、ユーザがアドバイス情報を提供されうる間隔を調整することができ、短中長期のいずれにも対応して分布パタンを分析することができ、対応するアドバイス情報をユーザに提供することができる。
【0017】
さらに、本開示の第1の側面に係る習慣改善装置は、ユーザの活動量情報、活動量以外の要因に関する情報(例えば、属性情報、及び外的要因情報)を取得してグループに分類して目標パタンを生成しアドバイス情報を提示するためのプログラムを実行することができる装置であればよく、例えば、ウェアラブル機器(例えば、スマートフォン、腕時計型ウェアラブル端末)、活動量計、据置型の装置(例えば、パーソナルコンピュータ)でもよい。また、習慣改善装置は、例えば、ユーザが装着していてもしていなくてもよく、活動量情報等を取得することができればよい。例えば、活動量を検出することができる検出装置をユーザが装着し、習慣改善装置はこの検出装置から活動量情報を取得して上記のプログラムを実行してもよい。
【0018】
本開示の第2の側面に係る習慣改善装置では、前記分類部は、前記第1期間ごとの活動量を成分とするベクトルであって前記第2期間ごとに1つのベクトルが前記第2期間における1つの分布パタンに対応し、前記第1算出部が算出する複数の前記分布パタンから複数の前記ベクトルの分布を取得する取得部と、前記成分から決定される基底で張られる空間内の点と前記ベクトルは対応し、前記空間内での複数の点の位置に基づいて、前記複数の点を1以上のグループにクラスタリングして分類するクラスタリング部と、を備える。
【0019】
上記の構成では、第1期間ごとの活動量を成分とするベクトルであって第2期間ごとに1つのベクトルが第2期間における1つの分布パタンに対応する。また、成分から決定される基底で張られる空間内の点とベクトルは対応している。例えば、ベクトルは、位置ベクトルを示し、位置ベクトルの始点はある第2期間に含まれる全ての第1期間で活動量がゼロである原点に対応し、位置ベクトルの終点は1つの分布パタンに対応する。すなわち、取得部は、第2期間ごとに1つのベクトルが第2期間における1つの分布パタンに対応し、第1算出部が算出する複数の分布パタンから複数のベクトルの分布を取得する。第2期間に含まれる第1期間の数以下の数が次元数となる、各軸が第1期間での活動量を示す空間を用意する。分類部は、例えば、第1期間が1時間であり第2期間が1日である場合には、第1期間の最大数は24となるので、この場合に用意される空間はせいぜい24次元空間となり、各軸が0時から24時までの1時間ごとのユーザの活動量に対応する。すなわち、この例での空間は、0時から1時までの活動量を示す軸、1時から2時までの活動量を示す軸、・・・、23時から24時までの活動量を示す軸の最大24軸を含む24次元空間になる。また、空間はこの例で24次元以下の空間でもよく、例えば、ユーザが活動していると想定される6時から23時の間を1時間ごと区切った17次元空間としてもよい。さらに、取得部は、第2期間(例えば、1日)ごとの分布パタンに対応する、空間内の1点を算出し、同様に、算出されている複数の分布パタンに対応する複数の点を取得する。このため、取得部は空間内に分布パタンの数だけの点を得ることができる。クラスタリング部は、空間内に分布する点の位置に基づいて、複数の点を1以上のグループにクラスタリングする。この結果、クラスタリング部は、分布傾向が類似していると想定されるグループに、分布パタンを分類することができる。
【0020】
したがって、本開示の第2の側面に係る習慣改善装置によれば、第1期間ごとの第2期間以下分の活動量を空間内の1点に対応させ、この点の分布をクラスタリングして点をグループごとに分類することによって、複数の分布パタンを分類することが可能になる。
【0021】
本開示の第3の側面に係る習慣改善装置では、前記クラスタリング部は、前記空間でのある点と他の点との距離を比較し最も距離が小さい2点は同一グループに属するとしてグループ化し、あるグループに属する点と他のグループに属する複数の点との距離を比較し、これらの距離のうちの最小の距離がしきい値以下である場合には最小の距離になる点同士のグループ同士は同一グループとしてグループ化する。
【0022】
上記の構成では、クラスタリング部は、(一般に多次元となる)空間内に分布する点同士の距離を求めて、距離を比較することによって、複数の点をグループ化する。本実施形態で使用する空間内の距離は、数学的な距離の公理を満たしていることが望ましいが、本実施形態での距離においては数学的な距離の公理は必要十分条件とはならない。より詳しくは、距離の公理は、数学的な距離に対する必要十分条件であるが、本願の実施形態における距離の概念に対する必要条件ではない。また、ここでの距離は、1、2または3次元空間での距離の概念を拡張したものであり、様々な定義があり得る。これら距離の定義のうち、典型的な例は、ユークリッド距離、シティブロック距離、ミンコフスキー距離、マハラノビス距離、コサイン類似度(距離とは逆の概念)がある。距離は、非類似度とも称されることもあり、データやクラスタにおいて、比較対象同士の大きさを測る関数である。本開示ではいずれの距離、非類似度、及び/または類似度を使用してもよいが、ここの記載では、便宜上、距離と記しここで述べた全ての概念を包含するとする。
【0023】
また、第3の側面に係る習慣改善装置では、クラスタリング部が実行する典型となる具体的な一例を示しているが、他にも様々な手法(凝集型(または分割型)階層的クラスタリング、最適化クラスタリング等)がある。例えば、凝集型階層的クラスタリングの手法は、例えば、以下の手順で実行されてもよい。まず、それぞれの点が孤立したグループを形成しているとしてスタートし、これら全てのグループでグループ対間の距離を計算し、最小の距離になるグループ対を見つけ出す。そして、このグループ対を併合し新しいグループを生成し、この新しいグループと他のグループとの距離を計算する。次に、この新しいグループを含めたグループ対の中で最小の距離になるグループ対を見つけ出し、このグループ対同士を併合し新しいグループを生成する。以降、同様にグループの併合と距離の再計算を繰り返し、全体の点が1つのグループとなる時点まで処理を進め、適切なグループ数または、併合回数等の時点でのグループまで戻り、グループ数を確定する。クラスタリング部は、以上に示した手順にしたがって、距離(非類似度)に基づいてグループ化を進め複数の点をグループに分けることができる。なお、グループ数を確定する際には全体の点が1つのグループになる手前の所望のグループ数になったら、そのグループで固定してもよい。
【0024】
本開示の第4の側面に係る習慣改善装置では、前記グループごとに前記グループに属する分布パタンのうちの1つを、前記グループの典型的なパタンである典型パタンとして生成するパタン生成部をさらに備える。
【0025】
上記の構成では、パタン生成部は、グループごとにそのグループに典型的とされるパタンを生成する。第4の側面に係る習慣改善装置では、グループに属する分布パタンのうちの1つを典型的なパタンとして生成する。このため、グループを扱う際にパタン生成部が生成した典型パタンを使用することができる。グループをパタンとして扱うことができるので、第2算出部が目標パタンをグループに対応づけて算出する場合に典型パタンに基づいて計算することができる。
【0026】
本開示の第5の側面に係る習慣改善装置では、前記グループに属する点の分布で決まる点に対応する分布パタンを、前記グループの典型的なパタンである典型パタンとして生成するパタン生成部をさらに備える。
【0027】
上記の構成では、パタン生成部は、空間内の点の分布に基づいて、グループごとにそのグループに典型的とされるパタンを生成する。第5の側面に係る習慣改善装置では、グループに属する分布パタンを示す点のグループ内での分布で決まる点に対応する分布パタンを典型的なパタンとして生成する。グループに属する分布パタンを示す点のグループ内での分布で決まる点とは、例えば、グループ内の複数の点によって決まる重心、グループが分布する空間の中心がある。このため、グループを扱う際にパタン生成部が生成した典型パタンを使用することができる。グループをパタンとして扱うことができるので、第2算出部が目標パタンをグループに対応づけて算出する場合に典型パタンに基づいて計算することができる。
【0028】
本開示の第6の側面に係る習慣改善装置では、前記分類部は、前記分布パタンの特定の時間帯での活動量がしきい値以上かどうかに基づいて前記グループに分類する。
【0029】
上記の構成では、活動量の分布パタンの特定の時間帯での活動量が大きいかどうか(すなわち、しきい値以上かどうか)に基づいて分布パタンをグループに分類する。この第6の側面に係る手法では、例えば、深夜0時以降(例えば2時まで)の活動量が大きい場合、早朝6時以前(例えば4時以降)の活動量が大きい場合、及び/または昼間(例えば9時から15時まで)の活動量が少ない(すなわち、あるしきい値より小さい)場合は、分類部は分布パタンをそれぞれ対応するグループに分類する。第6の側面に係る習慣改善装置の特徴的な観点は、第5の側面に係る習慣改善装置と同様に、グループを規定する条件(例えば、典型パタンであるかどうか、特定の時間帯での活動量のしきい値以上かどうか)が予め設定されている点であり、ユーザ等の設定者がグループの特徴を予め設定することができることである。第6の側面に係る習慣改善装置は、予め特定の時間帯での活動量がしきい値を設定することができるので、特定の時間帯での活動量がしきい値でグループ化されるグループを予め意味づけすることが可能になる。
【0030】
本開示の第7の側面に係る習慣改善装置では、前記第2算出部は、前記ユーザのスケジュールに関するスケジュール情報と、前記ユーザの位置情報とを参照して、前記ユーザがスケジュールで予定されている位置から逸脱しているかどうかを判定し、逸脱していると判定された場合には、逸脱している位置に応じて前記目標パタンを変更し、前記提示部は現在の前記分布パタンと前記変更された目標パタンとに基づいて前記アドバイス情報を提示する。
【0031】
上記の構成では、第2算出部は、ユーザのスケジュール情報とユーザの位置情報とを参照して、ユーザの現在の所在地が、スケジュールで予定されている位置から逸脱しているかどうかを判定する。例えば、第2算出部は、ユーザの現在の所在位置が、スケジュール情報で予定されている位置から予め設定された距離以上に離れているかどうかを判定する。この距離以上に離れていると判定した場合には、ユーザが予定されている位置から逸脱していると第2算出部が判定する。ユーザが予定位置から逸脱していると判定された場合には、第2算出部は、逸脱している位置(場所、または場所に紐付けてあるその位置に存在している建築物)に応じて前記目標パタンを変更する。例えば、逸脱している位置がスポーツジムである場合には、活動量を増大させる機会であるとして、活動量を上昇させる目標パタンを生成し、一方、逸脱している位置がレストランである場合には、レストランでの食事または休憩後の時刻を想定して活動量を通常よりも増大させる。レストランを退出する時刻は、第2算出部によって例えば、入店時の時間帯から食事内容を推定し退出時刻を推定する。そして、提示部は、現在の分布パタンと変更された目標パタンとに基づいてアドバイス情報をユーザに提示することによって適切なアドバイス情報を提示することができる。
【0032】
本開示の第8の側面に係る習慣改善装置では、前記提示部は、前記現在の分布パタンと前記現在の分布パタンに対応する目標パタンとの差を前記第1期間ごとに算出する算出部と、前記差に基づいて、前記アドバイス情報を生成するアドバイス生成部と、を備える。
【0033】
上記の構成では、提示部は、現在の分布パタンと、この分布パタンに対応する目標パタンとの差を取り、符号を含めた差分を、分布パタンの、活動量が積算される最小単位である第1期間ごとに算出し、この差に基づいて、現在の分布パタンが目標パタンよりもどれだけ大きいか、またはどれだけ小さいかを第1期間ごとに算出する。そして、提示部は、この第1期間ごとの差に基づいて、ユーザに提示するアドバイス情報を生成する。アドバイス情報は、ユーザの生活習慣を改善するためのコメントであり、例えば、現在までの分布パタンによる活動量が目標パタンよりも少ないので、今後、活動量を増やすように促すためのコメントである。なお、提示部は、この活動量及びその時間帯を、活動量以外の情報(例えば、ユーザの外的要因情報)にも基づいて算出してもよい。この場合は、例えば、提示部は、スケジュールによってユーザが活動する予定である時間帯であること、さらに活動する予定である時間である場合にこの時間帯では天気予報によって外で活動することが可能であるかどうかに基づいて活動量及び時間帯を算出して、対応するアドバイス情報を生成する。
【0034】
本開示の第9の側面に係る習慣改善装置では、前記第1算出部は、前記活動量として、前記ユーザが消費するエネルギー消費量、及び前記ユーザの歩数のうちの少なくとも1以上を使用する。
【0035】
上記の構成では、第1算出部は、ユーザが消費するエネルギー消費量、及び/またはユーザの歩数を使用して、活動量を算出する。このため、第1算出部は、例えば、活動量計を使用してエネルギー消費量を計測することができ、また、歩数計を使用して歩数を計測することもできる。活動量計は、例えば、加速度センサ(3次元加速度センサ)及び気圧センサを使用し、人体の動きや姿勢の変化を検出し様々な活動を識別して活動量を算出する。活動は、人間が動くことに関連し、例えば、歩行、ジョギング、掃除、洗濯での身体活動を示す。歩行は、例えば、通常の速度、ゆっくりした速度、早歩きの速度等も識別できる。エネルギー消費量は、ユーザがある期間(例えば、1日)に消費するエネルギーの総量を示す。
【0036】
本開示の第10の側面に係る習慣改善装置では、前記第2算出部は、前記活動量以外の要因として、前記ユーザ以外の事項によって前記ユーザへもたらされる要因である外的要因に関する外的要因情報に基づいて、前記目標パタンを前記グループに対応づけて算出する。
【0037】
上記の構成では、ユーザの外的要因情報は、ユーザの属性情報とは異なりユーザ以外の事項に関する情報であり、ユーザへもたらされる外的要因に関する情報であり、例えば、ユーザの現在の所在位置を示す位置情報、ユーザの位置情報に対応した天気予報情報、ユーザのスケジュールに関する情報がある。ここで外的要因とは、ユーザの外側、すなわち、ユーザを取り巻く環境によってもたらされる影響を示す。したがって、第2算出部は、グループの特徴を考慮しつつ、ユーザへもたらされる外的要因に応じたユーザにとって望ましい、グループに対応づけた目標パタンを算出することが可能になる。
【0038】
上記の第11の側面に係る習慣改善装置では、前記第2算出部は、前記外的要因情報として、前記ユーザの位置情報、前記位置情報に基づく天気予報情報、及び前記ユーザのスケジュールに関するスケジュール情報のうちの少なくとも1以上を使用する。
【0039】
上記の構成では、第2算出部で使用する外的要因情報を規定していて、外的要因情報は、ユーザにとって目標となる目標パタンを前記グループに対応づけて算出するために使用される情報であり、ユーザの現在の所在位置を示す位置情報、位置情報に基づく天気予報情報(例えば、今後の1時間ごとの天気状況)、及び/またはユーザのスケジュール情報(例えば、今後の1時間ごとの予定)を含む。これらの外的要因情報によって、第2算出部は、的確な目標パタンをグループに対応づけて算出することが可能になる。また、位置情報に加えて、この所在位置の履歴を記録した位置履歴情報も含んでもよく、特定の場所に応じて活動の行いやすさを記録または予測してこれも外的要因情報に含めてもよい。外的要因情報は、ユーザへもたらされる外的要因であれば何でもよく、ここに記載した事項に限定されない。
【0040】
上記の第12の側面に係る習慣改善装置では、前記提示部は、前記アドバイス情報として、前記現在の分布パタンと、前記現在の分布パタンに対応する目標パタンとを比較してユーザに提示する。
【0041】
上記の構成では、例えば、提示部が現在の分布パタンと対応する目標パタンとを比較してユーザに提示することによって、ユーザはパタンのどの部分が目標に達し、他の部分が目標に達していないこと、及び、今後どの程度の活動をいつ行えばよいかを知ることができる。分布パタンが例えば、活動量が時間履歴で記載されている場合には、活動量を測定する単位時間ごとに目標と実施の活動量とを比較することができて、ユーザは目標を達成するために必要な活動量を容易に認識することが可能になる。
【0042】
さらに別の側面に係る習慣改善装置では、前記分類部は、前記グループの典型的なパタンである、予め設定された複数の典型パタンに基づいて前記グループに分類する。
【0043】
上記の構成では、分類部は、グループごとにそのグループの特徴を示す予め設定された典型パタンを使用して、複数の分布パタンをグループに分類する。この側面に係る習慣改善装置で特徴的な観点は、典型パタンが予め設定されている点である。この側面では典型パタンはユーザ等の設定者によって予め設定されることが可能である。予め典型パタンを設定することができるので、典型パタンを予め意味づけすることが可能になる。第2の側面に係る習慣改善装置では類似した分布パタンが集められて1つのグループが形成され形成後のグループからグループの特徴が意味づけされるが、一方、この側面に係る習慣改善装置ではグループを形成する前に初めにグループの特徴(ここでは典型パタン)が決定されて、この特徴に基づいてグループが設定されこのグループに基づいて分布パタンを分類する。
【0044】
また、第2の側面の手法とこの側面の手法とを使用してもよい。例えば、第2の側面の手法によって分布パタンをグループ化して、そのグループに基づいてユーザが有用と見なすグループの典型パタンをグループごとに設定し、再度この典型パタンに基づいてこの側面の手法でグループ化してもよい。この結果、第2の手法によって実際の分布パタンの分布に基づいて、この手法によって典型パタンを設定することができるので、それぞれの手法だけで分類を実行するよりユーザの意図に沿ったグループの分類が可能になる。
【0045】
さらに別の側面に係る習慣改善装置では、前記第2算出部は、前記活動量以外の要因として、前記ユーザの属性に関する属性情報を含み、前記属性情報として、前記ユーザの身体情報、居住地情報、職業、勤務地、趣味、及び飲食嗜好のうちの少なくとも1以上を使用する。
【0046】
上記の構成では、第2算出部で使用する属性情報を規定していて、属性情報は、ユーザの目標パタンを算出する際に使用される情報であり、例えば、ユーザの活動量を測定する際に必要な身体情報、外的要因と関連付けるための居住地情報、職業、及び勤務地等の情報、活動に関連する趣味についての情報、外食する際に利用する飲食嗜好に関する情報がある。また、属性情報は、提示部が適切なアドバイス情報を提示するために利用されてもよい。
【0047】
さらに別の側面に係る習慣改善装置では、前記分類部は、第1期間ごとの活動量を成分とするベクトルであって前記第2期間ごとに1つのベクトルが前記第2期間における1つの分布パタンに対応し、第1期間を含む第2期間ごとに空間内の前記分布パタンの1つに対応する1点を算出し、前記第1算出部が算出する複数の前記分布パタンから複数の前記ベクトルの分布を取得する取得部と、前記成分から決定される基底で張られる空間内の点と前記ベクトルは対応し、前記空間内での前記複数の点の位置に基づいて、前記複数の点を1以上のグループにクラスタリングして分類するクラスタリング部と、を備え、前記空間は、前記活動量のうちのある指標が示す量の第1期間に対応する各軸と、前記活動量のうちの別の指標が示す量の前記第1期間に対応する各軸と、からなる空間である。
【0048】
上記の構成では、取得部は、前記活動量のうちのある指標が示す量の第1期間に対応する各軸と、前記活動量のうちの別の指標が示す量の前記第1期間に対応する各軸があるので、第2期間に含まれる第1期間の数の2倍が最大の次元数となる。例えば、前記活動量のうちのある指標は歩数であり、前記活動量のうちの別の指標はエネルギー消費量である。この例では、第1期間を1時間として第2期間を1日とすると、空間は最大で48次元空間となる。各軸が第1期間での活動量のうちのある指標と別の指標とを示す空間を用意する。分類部は、例えば、第1期間が1時間であり第2期間が1日である場合には、第1期間の最大数は24となるので、この場合に用意される空間は指標が2種類(すなわち、上記の「ある指標」と「別の指標」の2種類)あるため最大48次元空間となり、指標ごとに各軸が0時から24時までの1時間ごとのユーザの活動量に対応する。すなわち、この例での空間は、0時から1時までの活動量を示す2軸、1時から2時までの活動量を示す2軸、・・・、23時から24時までの活動量を示す2軸の最大2×24軸を含む48次元空間になる。また、空間はこの例で48次元以下の空間でもよく、例えば、ユーザが活動していると想定される6時から23時の間を1時間ごと区切った34次元空間としてもよい。
【0049】
さらに、取得部は、第2期間(例えば、1日)ごとの分布パタンに対応する、空間内の1点を算出し、同様に、算出されている複数の分布パタンに対応する複数の点を取得する。このため、取得部は空間内に分布パタンの数だけの点を得ることができる。クラスタリング部は、空間内に分布する点の位置に基づいて、複数の点を1以上のグループにクラスタリングする。この結果、クラスタリング部は、分布傾向が類似していると想定されるグループに、分布パタンを分類することができる。また、この習慣改善装置によれば、種類の異なる活動量を軸とすることによって、グループの特徴をより顕著にできる可能性がある。
【0050】
また、空間の軸に対応する活動量の種類は、他にも選択することができ、特定の種類でなくともよい。活動量の種類は、ここで挙げたものの他に例えば、活動エネルギー、基礎代謝、食事誘発体熱産生、速歩数、及び階段上昇数等がある。
【発明の効果】
【0051】
本発明によれば、一側面では、ユーザの活動量と共に活動量以外の要因も考慮して適した生活習慣にユーザを導く、習慣改善装置、方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】実施の形態に係る習慣改善装置、活動量計、腕時計型ウェアラブル端末、及びネットワーク経由で接続するサーバを含むシステムの概要を示す図。
【
図2】実施の形態に係る習慣改善装置のハードウェア構成の一例を模式的に例示する図。
【
図3】実施の形態に係る習慣改善装置のソフトウェア構成の一部の一例を例示する図。
【
図4】実施の形態に係る習慣改善装置の動作とユーザの行動を示す1日のタイムチャート。
【
図5】実施の形態に係る習慣改善装置に関する処理手順の一例を模式的に例示するフローチャート。
【
図6A】
図5のステップS502の処理手順の一例を模式的に例示するフローチャート。
【
図6B】
図6Aの処理手順で得られる活動量情報の一例を示すテーブル。
【
図7A】
図5のステップS503の処理手順の一例を模式的に例示するフローチャート。
【
図7B】
図7AのステップS701及びS702の処理手順の詳細な一例を模式的に例示するフローチャート。
【
図7C】
図7Bの処理手順で得られる分布パタンとそれらを分類したグループの一例を示す図。
【
図8A】
図5のステップS504の処理手順の一例を模式的に例示するフローチャート。
【
図8B】
図8AのステップS802の処理手順の一例を模式的に例示するフローチャート。
【
図8C】
図8BのステップS812で得られる典型パタンまたはステップS817で得られる基本パタンと、ステップS818で得られる目標パタンとの一例を示す図。
【
図8D】スケジュールに応じて典型パタンまたは基本パタンから目標パタンを生成する一例を示す図。
【
図8E】
図8Dに示したスケジュールに基づくユーザの行動を位置情報に依って確認する一例を示す図。
【
図9A】
図5のステップS505の処理手順の一例を模式的に例示するフローチャート。
【
図9B】
図9AのステップS901の処理手順の一例を模式的に例示するフローチャート。
【
図9C】
図9AのステップS902で得られるアドバイス情報の提示を模式的に例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態では、同一の番号を付した部分については同様の動作を行うものとして、重ねての説明を省略する。
【0054】
[概要]
まず、
図1を用いて、本発明の習慣改善装置の概要について説明する。
図1は、概要の一例に係る習慣改善装置100、活動量計110、腕時計型ウェアラブル端末120、サーバ130、ネットワーク140、及びGPS衛星150を模式的に例示している。活動量計110は、ユーザが所持する(または身に付ける)ことによってユーザの活動量を計測し、例えば、加速度センサ及び/または気圧センサを使用して、人体の動きや姿勢の変化を検出しユーザの様々な活動を識別して活動量を算出する。
【0055】
活動量は、ユーザがある期間(例えば、1日)に消費するエネルギーの合計であるエネルギー消費量である。エネルギー消費量は、ユーザのある期間での総消費エネルギーに対応し、例えば、活動エネルギー、基礎代謝、及び食事誘発体熱産生の和で示される。活動エネルギーはユーザが行う身体活動や運動によって消費されるエネルギーであり、基礎代謝は生命の維持(体温を維持、心臓を動かす等)に必要なエネルギーでありユーザが体を動かさなくても消費されるエネルギーである。また、食事誘発体熱産生は、食後、食物の消化や吸収などの活動によって消費するエネルギーである。活動エネルギーは、例えば、メッツ値、体重、運動時間、及び定数の積によって算出される。メッツ値は、運動によるエネルギー消費量が安静時の何倍に対応するかを示す値でありMETsという単位で示される。また、メッツ値は運動及び活動ごとに細分化して決定されている。
【0056】
しかし、ここでは、活動量は、活動エネルギー、基礎代謝、及び食事誘発体熱産生のうちのいずれか1以上であるとして定義してもよく、例えば、活動エネルギーのみ、活動エネルギー及び基礎代謝のみとしてもよい。さらに、単に歩数だけを活動量であるとしてもよい近似になるので、活動量は歩数としてもよい。
【0057】
活動量計110は、エネルギー消費量または活動エネルギー、基礎代謝、及び食事誘発体熱産生のうちのいずれか1以上等を測定するが、例えば、歩数、速歩数、ゆっくりした歩行での歩数、階段の上り歩数を測定してもよいし、また単に歩数だけを測定するでもよい。腕時計型ウェアラブル端末120も活動量計110と同様な活動量を計測することが可能である。
【0058】
また、習慣改善装置100は、活動量計110及び/または腕時計型ウェアラブル端末120から取得した活動量に基づいて、ユーザの分布パタンを第1期間(例えば1時間)ごとに積算しこの期間よりも大きな第2期間(例えば1日)に渡る分布パタンを算出する。そして、習慣改善装置100は、算出した分布パタンを複数のグループに分類する。グループに分類する手法は、例えば、クラスタリング、クラス分類等があるがグループ化できればどんな手法でもよい。グループ化した上で、習慣改善装置100は、ユーザの属性情報とユーザへの外的要因情報とに基づいて、グループごとにユーザの目標となる目標パタンを算出する。そして、習慣改善装置100は、目標パタンと現在の分布パタンとを比較してユーザへのアドバイス情報を生成しユーザへ提示する。
【0059】
なお、分布パタンは、横軸が時間を示し縦軸が活動量を示す2次元空間に分布するパタンで表現されるものであり、例えば、第1期間ごとにこの期間内の活動量の総和を示した度数が、時刻に対応づけられて第2期間分だけ2次元空間に表示されたものである。具体的な一例としては、分布パタンは、ユーザが起床後から就寝時前までに計測された活動量を1時間ごとに総和した量を1つの棒グラフで表現し、起床している期間分の棒グラフを並べたものである。すなわち、分布パタンは、ある期間ごとの活動量の総和の時間変化を表現しているものであればよい。
【0060】
分布パタンを算出し、分布パタンをグループ化して、グループごとに目標パタンを算出しアドバイス情報を提示するための、習慣改善装置100で実行されるプログラムは、例えば、ネットワーク140を経由してこのプログラムを提供するサーバ130から取得される。ユーザの属性情報も、ネットワーク140を経由して、対応する属性情報を有するサーバ130から取得してもよいし、習慣改善装置100の入力部によってユーザが属性情報を入力してもよい。なお、このプログラムはもちろん習慣改善装置100に予め記憶されていてもよい。また、外的要因情報は、ユーザ自身に関する情報以外であって、ユーザへもたらされる要因である外的要因に関する情報であり、例えば、位置情報、天気情報、ユーザのスケジュール情報等がある。これらの外的要因情報も、習慣改善装置100はネットワーク140を経由してサーバ130から取得する。なお、ユーザの位置情報は、習慣改善装置100がGPS衛星150からの信号を受信して算出されるが、習慣改善装置100が基地局及び/または無線LANアクセスポイントから情報を受信しこの情報に応じて位置情報を補正してもよい。
【0061】
なお、活動量計110及び/または腕時計型ウェアラブル端末120が検出する活動量を、習慣改善装置100が単独で検出することができる場合には、活動量計110等を使用せず、習慣改善装置100が検出する活動量を使用してもよい。この場合には習慣改善装置100は、活動量計110及び/または腕時計型ウェアラブル端末120の活動量を算出する装置部分を備えることになる。例えば、習慣改善装置100は、ウェアラブル端末装置(例えば、スマートフォン)であるので、加速度センサ及び圧力センサを備えていることは通常であり、歩数及び階数を測定することが可能であるので、歩数及び階数に基づく活動量を算出することが可能になる。
【0062】
以上の通り、本実施形態の習慣改善装置によれば、ユーザは、外的要因も考慮した理想的な活動習慣(例えば、歩行習慣)に近づくためのアドバイスを知ることができ、活動習慣を実行するようにユーザが容易に行動するようになると期待される。また、この習慣改善装置によれば、第1期間ごとの活動量をクラスタリング等によって分類することで、第1期間ごとのより詳細な個人の目標パタンを算出できるようになり、加えて、ユーザへの外的要因を考慮することによって、目標提示や健康につながる働きかけができるようになる。さらに本実施形態の習慣改善装置は、従来の技術のように単なる活動量の平均値だけに基づいて判定するのではなく、活動量のパタンがグループ分けされることで、現在の分布パタンが普段のパタンと比較して異常であることを発見し、異なる目標設定が必要となることをユーザに知らせ、さらにこの目標設定のためのアドバイス情報も提示することができる。
【0063】
[構成例]
(ハードウェア構成)
<習慣改善装置>
次に、
図2を用いて、本実施形態に係る習慣改善装置100のハードウェア構成の一例について説明する。
図2に示される通り、本実施形態に係る習慣改善装置100は、通信インタフェース201、記憶部202、入力装置203、出力装置204、制御部205、計時装置206、電源部207、GPS受信部208、及び外部インタフェース209が電気的に接続されたコンピュータを備えている。本実施形態に係る習慣改善装置100は、本発明の「習慣改善装置」に相当する。なお、
図2では、通信インタフェース及び外部インタフェースをそれぞれ、「通信I/F」及び「外部I/F」と記載している。
【0064】
通信インタフェース201は、例えば、近距離無線通信(例えば、Bluetooth(登録商標))モジュール、有線LAN(Local Area Network)モジュール、無線LANモジュール等であり、ネットワークを介した有線または無線通信を行うためのインタフェースである。通信インタフェース201は、習慣改善装置100を外部装置(例えば、コンピュータ、ネットワーク上の通信機器)に接続するためのインタフェースである。通信インタフェース201は、制御部205によって制御され、活動量計110及び/または腕時計型ウェアラブル端末120から活動量情報を受け取るためのものであり、他にネットワーク140を経由して外的要因情報、ユーザの属性情報、及び/または習慣改善装置100で実行されるプログラムをサーバ130等からダウンロードするためのものである。
【0065】
このネットワークを介した通信は、無線または有線のいずれでもよい。なお、通信インタフェース201は、ネットワークを介して、情報を外部装置へ送信することができてもよい。ネットワークは、インターネットを含むインターネットワークでもよいし、病院内LANのような他の種類のネットワークであってもよいし、USB(Universal Serial Bus)ケーブルなどを用いた1対1の通信であってもよい。通信インタフェース201は、マイクロUSBコネクタを含んでいてもよい。
【0066】
記憶部202は、コンピュータその他の装置、及び機械等が、記録されたプログラム等の情報を読み取り可能なように、当該プログラム等の情報を、電気的、磁気的、光学的、機械的または化学的作用によって蓄積する媒体である。記憶部202は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶装置であり、活動量計110及び/または腕時計型ウェアラブル端末120から取得した活動量情報、制御部205で算出されるパタン情報(例えば、分布パタン情報及び目標パタン情報)、入力装置203から入力される、またはネットワーク140を経由して取得されるユーザの属性情報、ネットワーク140を経由して取得されるユーザの外的要因情報、及び/または制御部205で実行される、取得された活動量情報に基づいて生活習慣改善のための情報をユーザに提示する生活習慣改善提示の実行プログラムを記憶している。活動量計110等が取得した活動量情報は、過去のある時期から全ての活動情報を記憶部202に記憶していてもよい。また、分布パタンにより求められる分類されたグループに関するグループ情報も記憶部202が記憶していてもよい。さらに、実行プログラムによって算出された差パタンと関連付けてアドバイス情報が記憶されていてもよい。このアドバイス情報と差パタンとは関連付けられてテーブルになっていてもよい。
【0067】
入力装置203は、入力を受け付ける装置であり、例えば、タッチパネル、物理ボタン、マウス、キーボード等である。出力装置204は、出力を行う装置であり、表示、音声等で情報を出力し、例えば、ディスプレイ、スピーカ等である。
【0068】
制御部205は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含み、情報処理に応じて各構成要素の制御を行う。取得された活動量情報に基づいて生活習慣改善をユーザに提示する実行プログラムは記憶部202に記憶されていて、制御部205は記憶部202から実行プログラムを呼び出して処理を実行する。また、制御部205は後述するGPS受信部208を介して受け取るGPS信号に基づいて測距演算を行い、習慣改善装置100の現在位置情報、つまり活動量計110または腕時計型ウェアラブル端末120を装着している被測定者(ユーザ)の位置を算出する。
【0069】
計時装置206は、時間を計測する装置であり、日時を計測できる。例えば、計時装置206はカレンダーを含む時計であり、現在の年月及び/または日時の情報を制御部205へ渡す。
【0070】
電源部207は、電力を供給可能なものであれば何でもよく、例えば、充電可能な2次電池または通常のコンセントから取得可能な交流電源である。電源部207は、習慣改善装置100本体に搭載されている各要素へ電力を供給する。電源部207は、例えば、通信インタフェース201、記憶部202、入力装置203、出力装置204、制御部205、計時装置206、GPS受信部208、及び外部インタフェース209へ電力を供給する。
【0071】
GPS受信部208は、複数のGPS衛星から送信されるそれぞれのGPS信号を受信し、受信したGPS信号を制御部205へ出力する。GPS受信部208は、習慣改善装置100ではなく、活動量計110及び/または腕時計型ウェアラブル端末120が備えていてもよく、これらがGPS信号を取得して通信インタフェース201を介して習慣改善装置100がGPS信号を受信し、制御部205が位置情報を算出してもよい。また、活動量計110及び/または腕時計型ウェアラブル端末120がGPS信号を受信し位置情報を算出して、位置情報を習慣改善装置100へ送信してもよい。
【0072】
外部インタフェース209は、習慣改善装置100の本体と外部との媒介をするためのものであり、例えば、USBポート等であり、外部装置(例えば、メモリ、通信機器)と接続するためのインタフェースである。外部インタフェース209は、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、及び/または地磁気センサ等の外部装置と接続するためのインタフェースである。
【0073】
(ソフトウェア構成)
<習慣改善装置100 生活習慣改善案提示>
次に、
図3を用いて、本実施形態に係る習慣改善装置100のソフトウェア構成の一例を説明する。
図3は、習慣改善装置100の制御部205で実行される、ユーザの活動量に基づいて算出した分布パタンをグループに分類しグループごとに目標パタンを算出し目標パタンと現在の分布パタンに基づいてユーザにアドバイス情報を提示するためのプログラムを実行するためのソフトウェア構成を示す。
【0074】
習慣改善装置100の制御部205は、必要なプログラムを実行する際に、記憶部202に記憶された、取得された活動量情報に基づいて生活習慣改善に関するアドバイス情報をユーザに提示する実行プログラムをRAMに展開する。そして、制御部205は、RAMに展開された、生活習慣改善に関するアドバイス情報をユーザに提示する実行プログラムをCPUにより解釈及び実行して、各構成要素を制御する。このように、
図3に示される通り、本実施形態に係る習慣改善装置100は、活動量取得部301、分布パタン算出部302、グループ分類部303、外的要因情報取得部304、属性情報取得部305、目標パタン算出部306、及びアドバイス提示部307を備える。
【0075】
活動量取得部301は、通信インタフェース201を経由して外部の活動量計110等から、所望のユーザの活動量情報を取得する。活動量取得部301は、一定の期間ごとに通信インタフェース201を経由して外部の活動量センサが取得した活動量情報を取得する。一定の期間は例えば、1時間ごとであるが、1分ごと等のより短い期間で活動量取得部301は活動量情報を取得しても構わない。また、外部の活動量センサは、活動量計110、腕時計型ウェアラブル端末120等であるが、習慣改善装置100がこれらの装置を備えていて、これらから活動量取得部301が活動量情報を取得してもよい。
【0076】
分布パタン算出部302は、活動量取得部301が取得した活動量を第1期間ごとに積算(累計)し、第1期間をまとめて第2期間にした分布パタンを算出する。以後は、第1期間を1時間、第2期間を1日とした場合を主な例として説明する。活動量が歩数である場合には、活動量取得部301は1時間ごとにその時間帯にユーザが歩いた歩数の和を計算する。分布パタン算出部302は、例えば、この歩数の計算を24時間分行い、横軸を時間、縦軸を歩数とした棒グラフを得る。この例では、分布パタン算出部302は、1日分の分布パタンとして、時間帯に対応する(0歩も含め)24個の歩数分の棒グラフを得る。分布パタン算出部302は、複数の第2期間について分布パタンを算出し複数の分布パタンを得る。分布パタン算出部302は、例えば、1日ごとに分布パタン算出するが、習慣改善装置100を起動した時点で過去の活動量情報が記憶部202にあった場合には、過去にさかのぼって現在までの分布パタンを算出してもよいし、第1期間ごとに分布パタンを算出してもよい。
【0077】
グループ分類部303は、分布パタン算出部302が算出した複数の分布パタンを1以上のグループに分類する。グループ分類部303は、異なるグループは異なる特徴があるようにグループを分類する。グループ分類部303は、分類するための手法として、クラスタリング、クラス分類等があり、分類する手法については特に拘らない。より具体的な例については、後に
図7A、
図7B、及び
図7Cを参照して説明する。
【0078】
グループ分類部303がクラスタリングによってグループを分類する場合は、例えば、1時間ごとの歩数を示す軸を24軸有する24次元空間を用意する。グループ分類部303は、各軸が0時から24時までの1時間ごとのユーザの歩数に対応する空間を使用してグループに分類する。さらに、グループ分類部303は、1日ごとの分布パタンに対応する、空間内の1点の位置を計算し、同様に、算出されている複数の分布パタンに対応する複数の点の位置を計算する。このため、分布パタン算出部302は空間内に分布パタンの数だけの点を得ることになる。グループ分類部303は、空間内に分布する点の位置に基づいて、複数の点を1以上のグループにクラスタリングする。この結果、クラスタリング部は、分布傾向が類似していると想定されるグループに、分布パタンを分類することができる。また、別の表現として、1時間ごとのユーザの歩数を成分とするベクトルを考え、成分から決定される基底で張られる空間内の点とこのベクトルを対応させてもよい。例えば、このベクトルは位置ベクトルを示し、位置ベクトルの始点は一日に含まれる全ての1時間ごとの期間で歩数がゼロである原点に対応し、位置ベクトルの終点は1つの分布パタンに対応する。
【0079】
グループ分類部303がクラス分類によってグループを分類する場合は、グループ分類部303は例えば、特定の時間帯での活動量がしきい値以上かどうかに基づいてグループに分類する。一例として深夜23時から翌日未明2時までの時間帯にしきい値以上であるかどうかで2つのグループに分類する。複数の時間帯についてそれぞれしきい値を設け、しきい値以上であるかでグループを分けて、複数のグループを生成する。他に、グループ分類部303が同一の時間帯で複数のしきい値を設け、この時間帯でのしきい値で3以上にグループ化してもよい。例えば、グループ分類部303は、午前10時から午前12時までの間に500歩未満のグループ、500歩以上1000歩未満のグループ、1000歩以上のグループの3つに分類する。この場合は、しきい値が500歩と1000歩との2つである。
【0080】
外的要因情報取得部304は、ユーザに直接関係しない、ユーザの属性情報以外の情報であって、ユーザへ影響をもたらす要因である外的要因に関する外的要因情報を、通信インタフェース201を経由してネットワーク140等から取得する。外的要因情報は、例えば、ユーザの現在の所在位置を示す位置情報、位置情報に基づく天気予報情報(例えば、今後の1時間ごとの天気状況)、ユーザのスケジュール情報(例えば、今後の1時間ごとの予定)がある。本実施形態では、この外的要因情報は、ユーザにとって目標となる目標パタンをグループに対応づけて算出するために使用される情報である。また、位置情報に加えて、この所在位置の履歴を記録した位置履歴情報も含んでもよく、特定の場所に応じて活動の行いやすさを記録または予測してこれも外的要因情報に含めてもよい。外的要因情報は、ユーザへもたらされる外的要因であれば何でもよく、ここに記載した事項に限定されない。また、外的要因情報は、アドバイス提示部307が適切なアドバイス情報を提示するために利用されてもよい。
【0081】
属性情報取得部305は、ユーザの属性に関する情報である属性情報を、記憶部202から取得する。また、属性情報は、ユーザの目標パタンを算出する際に使用される情報であり、例えば、ユーザの活動量を測定する際に必要な身体情報(例えば、性別、身長、体重)、外的要因と関連付けるための居住地情報、職業及び勤務地等の職業情報、活動に関連する趣味についての情報、外食する際に利用する飲食嗜好に関する情報がある。また、属性情報は、アドバイス提示部307が適切なアドバイス情報を提示するために利用されてもよい。
【0082】
目標パタン算出部306は、グループ分類部303で分類されたグループごとに、属性情報と外的要因情報とに基づいて、ユーザの目標となる目標パタンを算出する。目標パタン算出部306は、グループの特徴を間接的に反映しつつ、ユーザの属性情報とユーザへもたらされる外的要因とに応じたユーザにとって望ましい目標パタンを算出することになる。さらに目標パタン算出部306は、現在進行中のまだ完了していない分布パタン及び/または前日以前の分布パタン及び目標パタン(及び/またはアドバイス情報)をも参照して、今後の目標パタンを算出してもよい。
【0083】
アドバイス提示部307は、分布パタン算出部302から取得した現在進行中の分布パタンと、目標パタン算出部306でグループごとに算出された目標パタンのうち、現在進行中の分布パタンに対応する目標パタンとに基づいて、ユーザへのアドバイス情報を生成し出力装置204へ渡す。アドバイス情報は、目標パタン算出されるたびに生成され、目標パタンが変更されるごとに生成される。また、ユーザが所定の操作を行うことにより、そのとき有効な目標パタンに基づくアドバイス情報をユーザに提示できるように、常に最新のアドバイス情報を記憶部202が記憶しておいてもよい。出力装置204は、アドバイス提示部307からアドバイス情報を受け取るとこの情報をユーザへ提示する。現在取得が進行中のパタンは、目標パタンに対応した内容であり、分布パタンを取得した第1期間及び第2期間のそれぞれが目標パタンと同一の長さであり、活動量の種類も同一であるものである。活動量の種類は、例えば、エネルギー消費量、活動エネルギー、歩数などがある。アドバイス提示部307は、第2期間の分布パタンと目標パタンとを記憶部202に履歴情報として記憶しておく。さらにアドバイス提示部307は、分布パタンと目標パタンとに関連付けてアドバイス情報も記憶部202に記憶しておいてもよい。また、分布パタンと目標パタンとの差パタンと、アドバイス情報とを関連付けて(例えば、テーブルとして)記憶部202が記憶していてもよい。
【0084】
<その他>
習慣改善装置100の動作に関しては後述する動作例で詳細に説明する。なお、本実施形態では、習慣改善装置100の制御部205はいずれも汎用のCPUによって実現されてもよい。しかしながら、以上の動作(または機能)の一部または全部が、1または複数の専用のプロセッサにより実現されてもよい。また、習慣改善装置100の構成に関して、実施形態に応じて、適宜、省略、置換及び追加が行われてもよい。
【0085】
次に、
図4を用いて、習慣改善装置100を使用した場合の1日のユーザの行動と、習慣改善装置100のアドバイス情報の一例を表示して説明する。
図4は、ユーザの1日の行動例と、習慣改善装置100の動作及び表示例を模式的に示したタイムチャートである。
(午前0時)ユーザは午前0時までには就寝し午前8時に起床する予定である。睡眠中も活動量計110及び/または腕時計型ウェアラブル端末120をユーザが装着してこの機器が活動量を検出して、習慣改善装置100の活動量取得部301がこの活動量情報を取得する。また、睡眠時は活動量計110及び腕時計型ウェアラブル端末120はオフにしてユーザは装着せず、習慣改善装置100もオフにしていてもよい。
【0086】
(午前8時;起床)ユーザは午前8時に起床しその後、ユーザの属性情報、外的要因情報、及びスケジュール情報等をユーザが入力装置203を用いて習慣改善装置100に入力する。しかしながら、これらの情報のうちで事前に取得することが可能な情報(例えば、ユーザの属性情報、スケジュール情報)は、事前にユーザが習慣改善装置100の記憶部202に記憶させておいてもよい。また、ユーザが起床した後に、習慣改善装置100の出力装置204にユーザの本日一日の目標パタンを表示させる。目標パタンは、起床までの活動量に基づいて習慣改善装置100の制御部205が算出する。特に目標パタンと関連付けられたアドバイス情報がある場合には、出力装置204にアドバイス情報を表示する。
図4の例では「今日はこれ」という文言と共に目標パタンを表示する。もちろん、文言は音声で出力装置204によって出力されても構わない。また、起床後直ちに、もしくはしばらくしてから、活動量計110及び/または腕時計型ウェアラブル端末120を装着するようにユーザにアドバイス情報を表示もしくは音声で提示してもよい。その後ユーザは、活動量計110等を装着し、目標パタンを確認し、一日の行動を開始する。
【0087】
(午前12時;中間チェック)習慣改善装置100は、目標パタンを算出し、さらに午前中の活動量を示す分布パタンと目標パタンとに基づいてアドバイス情報を生成する(振り返り(1))。出力装置204に目標パタンと午前中の分布パタンとを表示すると共にアドバイス情報もユーザに音声または画像で出力装置204によって提示する。
図4の例では、午前中の活動量が目標パタンによる活動量よりも小さかったので、出力装置204は「少し足りないから、後でもう少し歩く!」というアドバイス情報をユーザに提示する。そして、さらに習慣改善装置100は目標パタンと共に分布パタンを、出力装置204を利用してユーザに提示する。
【0088】
(午後23時;最終チェック)習慣改善装置100は、中間チェックと同様に、目標パタンを算出し、さらに本日一日の分布パタンと目標パタンとに基づいてアドバイス情報を生成する(振り返り(2))。出力装置204に本日の目標パタンと本日の活動量を示す分布パタンとを表示すると共にアドバイス情報もユーザに音声または画像で出力装置204によって提示する。例えば、習慣改善装置100は、
図4に示すように本日の目標パタンと本日の分布パタンとを表示して、活動量が不足しているかどうかについてアドバイス情報(
図4の例では「明日の朝早く出勤して歩くようにしましょう」)を生成し、明日以降に目標パタン算出部306が目標パタンを算出する際に、これらのパタン及び/またはアドバイス情報にも基づいて目標パタンを算出する。
【0089】
(午後24時;就寝)習慣改善装置100は、ユーザの就寝前に出力装置204を使用して、明日の目標パタンをユーザに提示してもよい。ユーザは明日の目標パタンを事前に知ることで明日の活動を円滑に行うことができると期待される。また、就寝前に
図4の例のアドバイス情報「明日の朝早く出勤して歩くようにしましょう」を出力装置204がユーザに提示してもよい。
【0090】
[動作例:全体]
次に、
図5を用いて、習慣改善装置100の動作例の概略を説明する。
【0091】
図5は、習慣改善装置100の処理手順の一例を例示するフローチャートである。なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてよい。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
【0092】
(起動)
まず、ユーザは習慣改善装置100を、入力装置203を介して起動し、さらに設定等の入力を受け付ける。習慣改善装置100の制御部205は、以下の処理手順にしたがって、処理を進める。
【0093】
(ステップS501)
ステップS501では、制御部205は、属性情報取得部305として動作し、記憶部202からユーザの属性情報を取得する。この属性情報は、例えば、入力装置203または通信インタフェース201を介して予め記憶部202に記憶されている。ユーザは入力装置203を使用して自身の属性情報を記憶部202に記憶させる。また、クラウド上にユーザの属性情報があり、習慣改善装置100が通信インタフェース201を介してそこから属性情報を取得し記憶部202に記憶してもよい。なお、属性情報はステップS504で使用するので、このステップS501はステップS504以前であればいつ実行されてもよい。
【0094】
(ステップS502)
ステップS502では、制御部205は、活動量取得部301として動作し、通信インタフェース201を介して活動量計110及び/または腕時計型ウェアラブル端末120から活動量情報(例えば、歩数データ)を取得して、活動量情報を記憶部202に記憶させる。活動量取得部301は例えば、1時間ごとの活動量情報を取得してこの活動量情報を時間帯情報と共に記憶部202に記憶する。
【0095】
(ステップS503)
ステップS503では、制御部205は、分布パタン算出部302、及びグループ分類部303として動作する。分布パタン算出部302は、活動量取得部301が取得した1時間ごとの活動量情報を記憶部202から取得してこの活動量をグラフ化した分布パタンを算出する。そして、グループ分類部303は、分布パタン算出部302が算出した複数の分布パタンを1以上のグループに分類する。そして、算出された分布パタンはグループに関連づけられて記憶部202に記憶される。
(ステップS504)
ステップS504では、制御部205は、外的要因情報取得部304、属性情報取得部305、及び目標パタン算出部306として動作する。外的要因情報取得部304は、GPS受信部208、通信インタフェース201からユーザの位置情報、外的要因情報、ユーザのスケジュール情報を取得する。属性情報取得部305は、ユーザの属性情報を取得する。目標パタン算出部306は、ユーザの属性情報、位置情報、外的要因情報、及びスケジュール情報に基づいて、グループごとに目標パタンを算出する。目標パタン算出部306は、算出した目標パタンと現在進行中の分布パタンとを比較して、さらに目標パタンをアップデートしてもよい。すなわち、例えば、ユーザの属性情報及び外的要因情報等に基づいて、1時間ごとに歩数を取得するごとに目標パタンと比較して、目標パタンを1時間ごとに見直して1日の歩数の目標数を達成するための目標パタンを生成してもよい。
【0096】
(ステップS505)
ステップS505では、制御部205は、アドバイス提示部307として動作し、目標パタン算出部306が算出した目標パタンと、分布パタン算出部302が算出した最新の分布パタンとを比較して、目標の達成度合いに応じてアドバイス情報を生成し、出力装置204を介してユーザにアドバイス情報を提示する。
【0097】
[動作例:S502]
次に、
図6A、
図6Bを用いて、
図5のステップS502の一例を説明する。
(ステップS601)
ステップS601では、制御部205は、活動量取得部301として動作し、通信インタフェース201を介して活動量計110及び/または腕時計型ウェアラブル端末120から活動量情報(例えばここでは、歩数データ)を取得する。
【0098】
(ステップS602)
ステップS602では、制御部205は、活動量取得部301として動作し、取得した活動量である歩数の情報を記憶部202に記憶させる。活動量取得部301は例えば、1時間ごとの活動量情報を取得して、この情報を記憶部202に記憶してゆく。
図6Bに示すように、活動量取得部301は、ユーザを特定することが可能なユーザID(User_ID)、活動量を検出した年月日、曜日及び時刻を活動量計110及び/または腕時計型ウェアラブル端末120から取得し、活動量と共に互いに関連付けた情報(これを測定情報と称す)を記憶部202に記憶する。
図6Bに示したテーブルは、測定情報の一例を含んでいる。
【0099】
なお、活動量計110及び/または腕時計型ウェアラブル端末120が活動量を検出するとほぼ同時に習慣改善装置100へ送信する場合には、年月日、曜日、及び時刻は、活動量取得部301が通信インタフェース201を介して活動量情報を取得した年月日、曜日及び時刻でもよい。この場合には、習慣改善装置100は計時装置206を使用して年月日等を取得する。
【0100】
[動作例:S503]
次に、
図7Aを用いて、
図5のステップS503の一例を説明する。
(ステップS701)
ステップS701では、制御部205は、分布パタン算出部302として動作し、分布パタン算出部302は、活動量取得部301が取得した1時間ごとの活動量情報を含む測定情報を記憶部202から取得してこの測定情報をグラフ化することが可能な分布パタンを算出する。
【0101】
(ステップS702)
ステップS702では、制御部205は、グループ分類部303として動作し、グループ分類部303は、分布パタン算出部302が算出した複数の分布パタンを1以上のグループに分類する。そして、グループ分類部303は、算出した分布パタン(例えば、1時間ごとの1日分の歩数データ)をグループに関連づけて記憶部202に記憶する。グループ分類部303は、過去の特定の期間の複数の分布パタンを分類する。分布パタンは1日ごとの歩数データであり、グループ分類部303は例えば、過去1か月分の歩数データを分類する。
【0102】
[動作例:S701及びS702]
次に、
図7Bを用いて、
図7のステップS701及びS702の詳細な動作の一例を説明する。
(ステップS711)
ステップS711では、制御部205は、分布パタン算出部302として動作し、活動量計110及び/または腕時計型ウェアラブル端末120から通信インタフェース201を介して1時間ごとのユーザの活動量情報を記憶部202から取得する。
【0103】
(ステップS712)
ステップS712では、制御部205は、分布パタン算出部302として動作し、ステップS711で取得した活動量情報を、活動量計110及び/または腕時計型ウェアラブル端末120が活動量を検出した日時、または習慣改善装置100が活動量を取得した日時に従って、分布パタンを算出する。結果として、例えば、1日分の活動量から、1日の時刻に対する活動量の経時変化を示す分布パタンを算出することになる。
【0104】
(ステップS713)
ステップS713では、制御部205は、グループ分類部303として動作し、分布パタン算出部302が算出した複数の分布パタンを1以上のグループに分類する。グループ分類部303は、例えば、24時間分の活動量の分布パタンを24次元空間にマッピングする。この24次元空間は、各軸が1時間ごとの活動量に対応している。換言すれば、この空間は1時間ごとの活動量を成分(24個)とするベクトルから決定される基底で張られる24次元空間である。従って、ある日の活動量の分布パタンは、24次元空間内の1点に対応する。すなわち、24次元空間には、分布パタン算出部302が算出した全ての分布パタンに対応する複数の点が分布することになる。この点は、各軸に対応する活動量のうちの1つのみが異なっても24次元空間の点の位置は異なるものであり、24次元空間内での距離が近いほどこの点同士の分布パタンは類似していると考えられる。
【0105】
(ステップS714)
ステップS714では、制御部205は、グループ分類部303として動作し、24次元空間にマッピングした点をどのようにグループ化するかを判定する。
図7Bの例ではグループ分類部303がマッピングした点をクラスタリングによる手法でグループ化するかどうかについて判定する。この判定は、通常は予めグループ化をクラスタリングによる手法で行うかどうかをユーザまたは習慣改善装置100の設計時に定めておく。習慣改善装置100の入力装置203を使用してユーザがクラスタリングを使用するかどうかを設定することができてもよく、ステップS714ではこの設定によってクラスタリングを実行するかどうかを判定してもよい。
【0106】
(ステップS715)
ステップS715では、制御部205は、グループ分類部303として動作し、24次元空間内に分布している点を、クラスタリングの手法を使用してグループ化し、1以上のグループを生成する。ここでは、クラスタリングの一手法である、階層的クラスタリングを想定して説明するが、この手法に拘るわけではなく、分割最適化クラスタリング等を使用してもよい(ただし、変更になる手順が生じる)。
【0107】
(ステップS716)
ステップS716では、制御部205は、グループ分類部303として動作し、ステップS715で生成されたグループのグループ数がクラスタの所望の階層に対応するかどうかを判定する。ステップS716で所望の階層に対応すると判定されて場合にはステップS717へ進み、一方、ステップS716で所望の階層に対応すると判定されなかった場合にはステップS714へ戻る。凝集型の階層的クラスタリングの場合には、空間内の点それぞれが個々のクラスタである状態から、順次これらのクラスタを併合し、クラスタの階層を生成してゆき、最終的に1つのクラスタまで併合する。ここで階層とは、2つのクラスタが併合された状態のことを示し、併合が進むにつれて階層が変化する。例えば、クラスタの階層が異なれば、クラスタが含む点の数は異なる。
【0108】
分割型の階層的クラスタリングの場合には、凝集型の階層的クラスタリングとは逆に1つのクラスタから分割していくクラスタリングであり、データの集合体の全体が1つのクラスタである状態から分割を開始し、順次これらを分割して、クラスタの階層を生成する。
【0109】
また、ステップS716では、グループ分類部303が、グループ数が所望の数になったかどうかを判定してもよい。グループ数が所望の数になったと判定した場合にはステップS717へ進み、一方、グループ数がまだ所望の数になっていないと判定した場合にはステップS714へ進む。
【0110】
(ステップS717)
ステップS717では、制御部205は、グループ分類部303として動作し、ステップS716で判定された所望の階層に対応するグループ数及びこのグループ数に対応するグループに決定される。
【0111】
(ステップS718)
ステップS718では、制御部205は、グループ分類部303として動作し、ステップS717で決定されたグループのいずれか1つに空間中のそれぞれの点が分類される。
【0112】
(ステップS719)
ステップS719では、制御部205は、グループ分類部303として動作し、24次元空間に分布している1以上の点を、クラスタリングとは異なる手法(例えば、クラス分類)を使用してグループ化する場合に対応し、ここでは一例として、活動量が多い(及び/または少ない)時間帯に基づいて分類するために、これらの時間帯を抽出する。ステップS719以下の手法は、予めグループの特徴を設定してこの特徴に基づいて空間内の点を分類する点で、クラスタリングによる手法とは異なるものである。
【0113】
(ステップS720)
ステップS720では、制御部205は、グループ分類部303として動作し、活動量の特徴的な時間帯を有する1以上のグループを生成する。グループ分類部303は、例えば、平日は同一の分布パタンと見なす旨をユーザから設定されている場合には、グループの分類基準として例えば、日中の時間帯での活動量が第1しきい値以上であり、他の時間帯の活動量が第2しきい値以下である場合には同一のグループに属するとする。また、これとは異なり、例えば、ユーザの過去の分布パタンのデータから、平日の時間帯ごとの平均値(他に例えば、分散、標準偏差が算出されてもよい)を算出し、グループ分類部303は、その平均値を中心とした、信頼水準(confidence level)が95%に入る空間内に、ある分布パタンに対応する点が位置する場合には、この分布パタンはこの平日のグループに属すると分類してもよい。
【0114】
グループ分類部303が生成するグループは、空間(例えば、24次元空間)内の特定の領域に対応し、それぞれのグループは互いに交わることはない。また、グループ分類部303は、他にも様々な特徴を有するグループを作成することが可能である。例えば、グループ分類部303は、上記と同様にして休日での活動量の特徴を捉える分類基準を設定して対応するグループを生成することができる。
【0115】
(ステップS721)
ステップS721では、制御部205は、グループ分類部303として動作し、ステップS720で生成された1以上のグループに、空間内の点を分類する。
【0116】
(ステップS722)
ステップS722では、制御部205は、グループ分類部303として動作し、空間内に分布した全ての点のそれぞれがステップS721で生成されたグループのいずれか1つに属していて、未分類の点がないかどうかを判定する。グループ分類部303が、グループに分類されていない点があると判定した場合にはステップS723へ進み、一方、グループに分類されていない点が無いと判定した場合にはステップS718へ進む。
【0117】
(ステップS723)
ステップS723では、制御部205は、グループ分類部303として動作し、いずれのグループにも未分類であると判定された点から、予め設定された距離以内に、ステップS720で生成されたグループのいずれかがあるかどうかを判定し、2以上のグループが該当した場合にはその中で最も近い(距離が小さい)グループに未分類の点を分類し、1つのグループが該当した場合にはそのグループに未分類の点を分類する。
【0118】
空間内の点からグループへの距離は、様々な定義があり、一意に定まり合理的であればどんな定義でもよい。例えば、この距離は、空間内の点から、所望のグループに属している点までの距離のうち最小の距離とする。また、グループの境界を定義して,空間内の点からグループの境界までの距離を、点とグループとの距離と定義してもよい。ここでは、前者の定義を採用し、ステップS723では、グループ分類部303が、いずれのグループにも未分類であると判定された点から、あるグループに属している点との距離のうち、最も小さい距離となる点を検索し、この距離が予め設定された距離以内かどうかを判定する。この距離が予め設定された距離以内である場合には、この未分類であると判定された点は、このグループに属するとして、他に未分類である点があるかどうか判定する。
【0119】
(ステップS724)
ステップS724では、制御部205は、グループ分類部303として動作し、ステップS723での予め設定された距離よりも大きい未分類の点がないかどうかを判定し、この距離よりも大きい未分類の点がないと判定された場合にはステップS718へ進み、一方、この距離よりも大きい未分類の点がある場合にはステップS725へ進む。未分類の点はいずれのグループにも属していないので、この未分類の点を含む新たなグループを生成する必要がある。
【0120】
(ステップS725)
ステップS725では、制御部205は、グループ分類部303として動作し、ステップS724で未分類の点として判定された点を含むようにグループを生成して、ステップS721へ戻る。この生成されるグループは、例えば、グループ分類部303によって、ステップS723での予め設定された距離(または、この距離よりも小さい長さ)を半径とする、空間の次元を有する多次元球(例えば、24次元球)であり、この多次元球内の領域に存在する点を同一グループであるとしてもよい。このようにグループを生成すれば、生成されるグループは他のグループと領域を重複することはない。
【0121】
なお、ここでは、空間内の1以上の点をグループ化する方法は、クラスタリングによる手法と、クラス分類等のクラスタリングによらない手法とのいずれか一方の手法のみを使用している例であるが、この両方の手法を使用してもよい。例えば、特定の1以上の時間帯についての活動量を規定した複数のグループを予め設定して、これらのグループに属していない空間の領域に存在する点についてはクラスタリングによって1以上のグループに分類する手法がある。
【0122】
次に、
図7Cを用いて、例えば、
図7Bに示したフローチャートを使用して分布パタンをグループに分類した結果の具体例を示したものである。
図7Cは、3週間分の歩数の分布パタンを1日ごとにまとめて示したものであり、この例は分布パタンが4つのグループに分類される場合である。
【0123】
図7Cでは、異なるグループは、異なる棒グラフの模様で示されている。
図7Cの例では、(1)線分で囲まれた輪郭を有し内部が斜線で示される棒グラフ、(2)破線で囲まれた輪郭を有し内部が白抜きで示される棒グラフ、(3)線分で囲まれた輪郭を有し内部が黒塗りで示される棒グラフ、(4)線分で囲まれた輪郭を有し内部が白抜きで示される棒グラフ、の4種類のグループに分類されている。なお、この一例は、クラスタリングでもクラス分類でも他のどんな手法で分類されたものでも必ず厳密に同一の分類結果になるとは限らないが、いずれの手法でもほぼこのような結果を得ることができる。
【0124】
実線枠751で囲まれた平日の5日分の棒グラフは、平日というカテゴリは同一であるが、分布パタンが異なることから、月曜日から木曜日までの分布パタン((1)に対応)と、金曜日の分布パタン((2)に対応)とが異なるグループに属すると分類されている。このグループ化は、例えば、ステップS719、S720、及びS721に示したように予め設定された時間帯に活動量が所定値よりもあるかどうかによって判定される。この場合では、例えば、23時以降に活動量(歩数)があるかどうかが判定基準の1つである。すなわち、実線枠751内の金曜日は23時以降に歩数が500以上あり、実線枠751内の月曜日から木曜日では23時以降の歩数は500歩未満(この例では0歩)である。この分類は、グループ数を決定するクラスタの階層を調整すれば、クラスタリングによっても同様に分類される可能性はある。
【0125】
一点破線枠752で囲まれた4日分の棒グラフは、曜日は同一であるが、分布パタンが異なるので、曜日が同一でも異なるグループに属すると分類されていることがわかる。このグループ化も上記の実線枠751内のグループ化と同様の手法で行うことができる。なお、例えば、一点破線枠752の左上のグラフと右下のグラフでは23時以降の歩数が500歩未満である分布パタン((1)に対応)であり、一点破線枠752内の右上のグラフと左下のグラフでは23時以降の歩数がいずれも500歩以上である分布パタン((2)に対応)である。
【0126】
二点破線枠753で囲まれた6日分の棒グラフは、土日という意味では同一であるが、土曜日と日曜日とは特定の時間帯の活動量が異なることから、土曜日の分布パタン((3)に対応)と日曜日の分布パタン((4)に対応)とが異なるグループに属すると分類されている。このグループ化も上記の実線枠751内のグループ化と同様の手法で行うことができる。なお、例えば、土曜日は0時以降に歩数が100以上であり、10時から13時までの合計歩数が1000歩以上であり、一方、日曜日は0時以降に歩数が100未満(0歩)であり、10時から13時までの合計歩数が1000歩未満である。
【0127】
[動作例:S504]
次に、
図8Aを用いて、
図5のステップS504の一例を説明する。
(ステップS801)
ステップS801では、制御部205は、外的要因情報取得部304及び属性情報取得部305として動作し、ユーザの外的要因情報と、ユーザごとにユーザの属性情報とを記憶部202、GPS受信部208、及び/または通信インタフェース201から取得する。
【0128】
(ステップS802)
ステップS802では、制御部205は、目標パタン算出部306として動作し、クラスタリングまたはクラス分類等による分類手法に応じてステップS503でグループに分類された分布パタンから、グループごとにグループにとって典型的な典型パタン(または、基本パタン)を特定し、この典型パタンから、ステップS801で取得されたユーザごとの属性情報及び外的要因情報に基づいて、ユーザごとの目標パタンをグループごとに算出する。なお、クラスタリング、クラス分類等の手法によってグループ化された場合にグループにとって典型的なパタンを典型パタンと称するが、実施の形態では、便宜的識別のため、サンプルとなる分布パタン数がしきい値以下の場合にグループ化された場合にグループにとって典型的なパタンを基本パタンと称することにする。
【0129】
[動作例:S802]
次に、
図8Bを用いて、
図8AのステップS802の一例を説明する。
(ステップS811)
ステップS811では、制御部205は、目標パタン算出部306として動作し、ステップS503で算出された分布パタンの数がしきい値よりも大きいかどうかを判定する。このしきい値は、分布パタン数がグループの特徴を分類することができるほど十分多いかどうかの基準であり、通常は事前に設定されている数値である。しきい値の値が大きいほど、このステップS811でYESと判定される分布パタン数が多くなりグループごとの特徴が顕著になると想定されるので、より正確な目標パタンを得ることが可能になる。例えば、
図7Cのように毎日歩数の分布パタンを取得する場合には、しきい値を6として、歩数のサンプルを採り初めてから最初の1週目はステップS815に進み、2週目からはステップS812へ進む例がある。
【0130】
ステップS812では、制御部205は、目標パタン算出部306として動作し、クラスタリング、及びクラス分類等で得られるグループごとに、グループの典型となる典型パタンを特定する。すなわち、本実施形態では、分布パタン数が大きいほど、クラスタリング等でグループを高精度に分類可能であり、より正確な目標パタンを得ることができるとして、サンプルとなる分布パタン数がしきい値よりも大きい場合には、クラスタリング等による手法で得たグループごとに典型パタンを取得する。典型パタンの特定は、目標パタン算出部306によって、例えば、それぞれのグループに属しているパタンからグループの中心または重心の位置にある点に対応する分布パタンを典型パタンとして算出する。またこれとは異なり、目標パタン算出部306は、グループに属している分布パタンからランダムにパタンを選択し対応するグループの典型パタンとしてもよい。
【0131】
ステップS813では、制御部205は、属性情報取得部305及び目標パタン算出部306として動作し、記憶部202からユーザの属性情報を取得する。
【0132】
ステップS814では、制御部205は、外的要因情報取得部304及び目標パタン算出部306として動作し、通信インタフェース201及びGPS受信部208から外的要因情報を取得する。
【0133】
ステップS815では、制御部205は、ステップS813と同様にしてユーザの属性情報を取得する。
【0134】
ステップS816では、制御部205は、ステップS815で取得した属性情報に対応する1以上のグループを特定する。例えば、ユーザの身体情報、居住地情報、趣味情報、職業及び勤務地等の職業情報である。これに加えて、例えば、ユーザが日本人であり会社員であれば、平日と土曜日及び日曜日は、異なるグループになると想定されるので、ユーザの属性情報と平日、土曜日、及び日曜日で3つのグループでもよい。さらに、ユーザが習い事、スポーツジム等に定期的に通っている場合にはこれらも考慮してさらにグループを増やしてもよい。
【0135】
ステップS817では、制御部205は、目標パタン算出部306として動作し、ステップS816で特定されたグループごとに想定される分布パタンから1つのパタンを選択しこれを基本パタンとし、グループごとに1つの基本パタンを特定する。想定される分布パタンは、グループに属する限りユーザ等が自在に設定することができてもよく、ユーザの属性情報に合わせて設定される。また、目標パタン算出部306は、ユーザの属性情報に応じて自動的に分布パタンを生成し、これらの分布パタンを、それぞれグループの基本パタンとしてもよい。
【0136】
ステップS818では、制御部205は、目標パタン算出部306として動作し、ユーザの属性情報と外的要因情報に基づいて、ユーザの典型パタンまたは基本パタンからそのユーザの目標パタンを生成する。
【0137】
次に、
図8C及び
図8Dを参照して、
図8Bの特定のステップについて説明する。
図8Cでは、分布パタンを分類することによって得られるグループごとの典型パタン、または、ユーザの属性情報等に基づいて設定されるグループごとの基本パタンと、典型パタンまたは基本パタンから外的要因情報に応じて生成されるユーザごとの目標パタンとを示している。
図8Dでは、典型パタンまたは基本パタンから、ユーザのスケジュール情報に基づいて活動量を増減させ、または活動時間帯をシフトさせる場合の例を示している。
【0138】
ステップS812で特定される典型パタン、またはステップS817で特定される基本パタンは、例えば、
図8Cの左側に示した分布パタンのようになる。すなわち、ある日の典型パタンまたは基本パタンをユーザの属性情報に基づいて目標パタン算出部306が特定する。
【0139】
そして、目標パタン算出部306は、ステップS814及びステップS818でのように外的要因情報を取得してこの情報に基づいて目標パタンを生成する。
図8Cの(a)の例では、ユーザの居住地及び勤務地等のユーザの行動範囲に基づいて、目標パタン算出部306は活動量を増減させる。(a)では、このユーザの行動範囲の地域では特定の時間帯の降水量が多いことが既知であるので、特定の時間帯(この例では12時から14時まで)は活動量(この例では、歩数)を基本パタンまたは典型パタンから減らす。そして、この減らした分の活動量を他の時間帯(この例では15時から18時まで)に割り当てる。
【0140】
図8Cの(b)の例では、外的要因情報のうちのスケジュール情報に基づいて、この日は早出出社日なので、基本パタンまたは典型パタンを全体とし出社時刻に合わせて前倒しする。そして、目標パタン算出部306は、前倒しした基本パタンまたは典型パタンをベースとして、さらに他の外的要因情報や属性情報に基づいて、この日の目標パタンを生成する。
【0141】
図8Dの例では、図の左側に示した、本日の基本パタンまたは典型パタンに基づいて、目標パタン算出部306はユーザの予定情報に応じて活動時間帯及び活動量を変化させている。
図8Dの右上部の例は、本日19時から宴会が予定されている場合であり、目標パタン算出部306は、宴会時の活動量は減少するので、その減少した活動量の分を朝の通勤時に余分に歩くまたは軽くジョギングして歩数を増やすように目標パタンを生成する。
【0142】
図8Dの右下の例では、本日19時からスポーツジムで運動することが予定されているので、目標パタン算出部306はスポーツジムでの活動量を増加させるような目標パタンを生成する。また、スポーツジム以外の活動量を減らす必要がないので、目標パタン算出部306は他の活動は基本パタンまたは典型パタンの通りで問題無いとして目標パタンを生成する。
【0143】
次に、
図8Eを使用して、ユーザが予定情報とは異なる行動をとった場合に、目標パタン算出部306がこの行動に合わせて目標パタンを変更することを説明する。
目標パタン算出部306は、ユーザがスケジュールをきちんとこなしているかどうかを判定し、スケジュールと異なった行動をとっている場合には、その行動に基づいて目標パタンを変更する。例えば、目標パタン算出部306は活動量取得部301から現在の活動量を取得し、外的要因情報取得部304からはユーザの位置情報及びスケジュール情報を取得してユーザの行動を監視する。
【0144】
また、現在進行中、最近、及び/または現在の活動量情報は、活動量取得部301が取得した活動量情報が記憶部202に記憶され、その活動量情報が記憶部202を経由して目標パタン算出部306が取得してもよい。目標パタン算出部306は、ユーザが目標パタンをどの程度達成しているかを監視し、目標パタンと実際の分布パタンとが乖離している場合には、活動量を確保するために目標パタンを変更してもよい。また、ユーザが突然に予定を変更した場合でもそのスケジュール及び活動量を目標パタン算出部306が常に監視してもよい。なお、目標パタンと実際の分布パタンとが乖離している場合は、例えば、ある時間帯の目標パタンと実際の分布パタンと活動量の差がしきい値よりも大きく離れている場合である。
【0145】
図8Eの上部の例では、ユーザは19時からスポーツジムに行く予定であったが、気分が変わってパチンコに行ってしまった例である。この場合には、GPS受信部208によるユーザの位置情報とスケジュール情報とに基づいてユーザがスケジュール通りに行動していないと目標パタン算出部306が判定する。このように、位置情報とユーザの活動量情報等とに基づいて、ユーザがパチンコをしていることを目標パタン算出部306が自動的に検出することも可能である。この場合には、目標パタン算出部306がスポーツジムをパチンコに予定変更して、活動量が減少した分を例えば、明日の予定に繰り込む等の再スケジューリングを行う。
【0146】
図8Eの下部の例では、ユーザは19時から宴会である予定であり、予定通り宴会に行っている例である。GPS受信部208によるユーザの位置情報とスケジュール情報に基づいてユーザがスケジュール通りに行動していることを目標パタン算出部306が確認する。この場合には、ユーザはスケジュール通りの行動なので、目標パタン算出部306は目標パタンを変更する必要はないと判定する。
【0147】
[動作例:S505]
次に、
図9Aを用いて、
図5のステップS505の一例を説明する。
(ステップS901)
ステップS901では、制御部205は、アドバイス提示部307として動作し、分布パタン算出部302から現在進行中の分布パタン(例えば、今日の午前0時から現在までの分布パタン)と、ステップS802で生成した目標パタンとの差をとり、差パタンを算出する。この差パタンは、時刻ごとの分布パタンでの活動量と目標パタンでの活動量との差が、時間分布しているパタンである。
【0148】
(ステップS902)
ステップS902では、制御部205は、アドバイス提示部307として動作し、ステップS901で算出された差パタンに対応したアドバイス情報を記述したテーブルからアドバイス情報を記憶部202から抽出して、出力装置204を介してユーザに提示する。
【0149】
[動作例:S901及びS902]
次に、
図9Bを用いて、
図9AのステップS901及びステップS902の一例を説明する。
(ステップS911)
ステップS911では、制御部205は、アドバイス提示部307として動作し、通信インタフェース201を経由して活動量取得部301が取得した活動量情報から分布パタン算出部302が算出した現在進行中の分布パタンを取得する。この現在進行中の分布パタンは、例えば、本日の分布パタンであり、本日の最初の活動量取得時から今までの分布パタンである。
【0150】
(ステップS912)
ステップS912では、制御部205は、アドバイス提示部307として動作し、目標パタン算出部306から、本日の目標パタンを取得する。目標パタン算出部306は、ユーザの本日の外的要因情報及び属性情報等に基づいて目標パタンを算出する。
【0151】
(ステップS913)
ステップS913では、制御部205は、アドバイス提示部307として動作し、本日現在進行中の分布パタンと、ステップS912で算出された目標パタンとの差を時間帯(第1期間;例えば、1時間)ごとに算出して時間帯ごとの活動量の差を求め、全ての時間帯に渡ってこの差を並べた差パタンを算出する。
【0152】
(ステップS914)
ステップS914では、制御部205は、アドバイス提示部307として動作し、ステップS913で算出された差パタン及び/または外的要因情報に基づいて、ユーザへのアドバイス情報を生成する。このアドバイス情報は、例えば、記憶部202に差パタンと関連付けて記憶されている。また、アドバイス提示部307が、差パタンの状態に基づいてアドバイス情報を生成してもよい。アドバイス情報は、例えば、差パタンがマイナスの値を示している場合(詳しくは、目標パタンの活動量の積算量が、分布パタンの対応する時間帯での活動量の積算量より小さい場合)には、「少し足りないから、後でもう少し歩くこと!」等であり、表示または音声等でユーザに提示される。他のアドバイス情報としては、例えば、今日19時から宴会がスケジュール情報に予定されている場合には、起床後朝にユーザに提示する一例としては「飲む量を抑えて朝の散歩を増やしましょう」があり、他の例として、今日19時からスポーツジムに行くことがスケジュール情報に予定されている場合には、スポーツジムでの運動を推奨するような励ましのメッセージがある。
【0153】
また、アドバイス提示部307は、外的要因情報に基づいてユーザへのアドバイス情報を生成してもよい。外的要因情報のうち、例えば、ユーザのスケジュール情報、ユーザの位置情報及びスケジュール情報に基づく天気予報を使用してアドバイス情報を提示することが主に想定される。この外的要因情報は、目標パタン算出部306で目標パタンを算出する際に参照した情報が参照した理由と共にアドバイス提示部307に目標パタン算出部306が渡す。例えば、本日のランニング予定地での予定時間帯の天気予報が雨の場合に、目標パタン算出部306がランニング予定時間帯には予定活動量を下げて、その他の時間帯に活動量を増大させるように目標パタンを算出する。この場合には、この情報を目標パタン算出部306がアドバイス提示部307へ渡し、アドバイス提示部307がこの情報に対応するアドバイス情報を生成しユーザへ提示する。
【0154】
他に、スケジュール情報によるアドバイス情報の例は、上記の今日19時から宴会が予定されている場合、または今日19時からスポーツジムに行くことが予定されている場合等に、目標パタン算出部306はこのスケジュール情報に基づいて目標パタンを算出した場合には、スケジュール情報をどのように目標パタンに反映したかを示す反映情報をアドバイス提示部307へ渡す。アドバイス提示部307はこの反映情報に基づいてアドバイス情報を生成しユーザに提示する。
【0155】
次に、
図9Cを用いて、目標パタン算出部306が算出した目標パタンと実際の本日の現在進行中の分布パタンとを示して、アドバイス提示部307が提示するアドバイス情報の一例を示す。
【0156】
目標パタン算出部306は、18時までの活動量の分布パタンを記憶部202または活動量取得部301から取得し、さらにグループ分類部303及び外的要因情報取得部304からの情報に基づいて、現時点(
図9Cの例では18時)での目標パタンを作成している。
図9Cでの目標パタンは、現時点までの活動量が目標パタンの活動量よりも少ないので、帰宅を早めて20時からスポーツジムに行くなどして運動することを勧めるもの(反映情報)である。目標パタン算出部306はこの反映情報をアドバイス提示部307へ渡し、アドバイス提示部307はこの反映情報に基づいて例えば、「20時からもう少し頑張って運動して!今日は早めに退社しましょう」等のアドバイス情報を生成しユーザに提示する。また、反映情報とアドバイス情報とを関連付けて記憶部202に記憶しておき、アドバイス提示部307は目標パタン算出部306から受け取った反映情報に基づいて記憶部202からアドバイス情報を取得してもよい。
【0157】
[作用と効果]
以上のように、本実施形態の習慣改善装置100は、ステップS502で取得した1時間ごとの歩数情報を記録して、ステップS503で歩数情報により1日の歩数の分布パタンを算出する。そして、習慣改善装置100は、分布パタン算出部302で算出された複数の分布パタンを、グループ分類部303でのクラスタリング及び/またはクラス分類等によってグループに分類し、さらにステップS504では、目標パタン算出部306でユーザの属性情報及び外的要因情報に基づいてグループごとのユーザにとって望ましい目標となる目標パタンを算出する。この目標パタンは、ユーザの属性情報及び外的要因情報に基づいて算出される。したがって、グループによってユーザの特徴を分類した上でさらに、分布パタンだけでは情報を抽出することが容易でないユーザの属性情報を含めるので、習慣改善装置100はユーザにとって有効な目標パタンを算出することができる。さらに、目標パタンは、ユーザの外的要因情報にも基づいて算出され、ユーザ自身以外の環境等の外的な要因に基づいて算出される。このため、分布パタンだけでは抽出することが不可能な、さらにユーザの属性情報と分布パタンとを合わせても抽出することが不可能な外的要因情報を含めて算出することになり、習慣改善装置100は、さらにユーザにとって精度の高い有効な目標パタンを算出することができる。
【0158】
さらに、ステップS505では、アドバイス提示部307は、算出された目標パタンに基づいて、例えば、ユーザのスケジュール情報と関連付けてユーザに適切なアドバイス情報を提示することが可能になる。さらに、目標パタン算出部306は、現在進行中の分布パタンと、この分布パタンに対応する目標パタンと、に基づいて、目標パタンの修正及び/または変更を随時行うことができ、目標パタンを修正及び/または変更した場合にアドバイス提示部307がユーザに修正変更に対応するアドバイス情報を提示する。この結果、習慣改善装置100によれば、ユーザは適宜適したタイミングで活動についてのアドバイス情報を受けることができ、目標パタンを達成する可能性を高めることができる。
【0159】
[変形例]
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。例えば、以下のような変更が可能である。また、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。なお、以下では、上記実施形態と同様の構成要素に関しては同様の符号を用い、上記実施形態と同様の点については、適宜説明を省略した。以下の変形例は適宜組み合せ可能である。
【0160】
<1>
外的要因情報取得部304が、ユーザ以外の他人ユーザの属性情報(上記したように、例えば、年齢、居住地、及び/または性別等の情報)と、そのユーザの目標パタンとを取得し、属性情報取得部305が取得した本人ユーザの属性情報と他人ユーザの属性情報とをマッチングさせ(例えば、目標パタン算出部306が実行する)、予め設定された判定基準よりもマッチング度合いが高い場合には、この他人ユーザの目標パタンを採用してもよい。
【0161】
したがって、類似した他人ユーザの属性情報を参照することによって、類似した分布パタンを多数サンプリングした場合と同様な効果を得ることができるので、ユーザの目標パタンを精度良く算出することが可能になる。この結果、本実施形態の習慣改善装置は、さらに適切なアドバイス情報をユーザに提示することができるようになる。
【0162】
さらに、この場合に、他人ユーザが目標パタンを達成している実際のサンプルがあれば、その目標パタンをより採用しやすくする(例えば、重み付けを大きくする)ことが望ましい。この目標パタンは他の達成されていない目標パタンを採用するよりもユーザがより達成しやすくなる可能性が高くなると期待できる。
【0163】
<2>
属性情報が類似する他人ユーザの分布パタンとスケジュール情報とを参考にして、他人ユーザが既に実現している属性に近づくために、本人ユーザがこの他人ユーザの分布パタン及び/または目標パタンを使用して効率的に所望の属性を実現することが考えられる。このためには、まず本人ユーザが実現したい属性を定め、この実現したい属性(例えば、血圧値、BMI値)を既に有していて、他の属性は本人ユーザの属性に類似している他人ユーザをデータベース等から見つけ出す。この他人ユーザの属性を見つけ出すためには、例えば、属性情報取得部305が通信インタフェース201を経由してサーバ130に接続し検索することによって実現する。なお、この場合サーバ130は、多数のユーザからの属性情報、外的要因情報、及び、分布パタン及び目標パタンの情報を記憶しておけばよい。
【0164】
このようにして検索し探し出した分布パタン及び/または目標パタンをユーザが閲覧して参考にするだけでも有効であるが、さらに、このパタンを目標パタンとして採用して上記実施の形態に示したように目標パタン算出部306が目標パタンを算出してさらにアドバイス提示部307がアドバイス情報をユーザに提示してもよい。
【0165】
このようなシステムがあれば、ユーザが目標とする属性を実現する(例えば、ユーザは理想的な体型を実現する)ためには、どのような分布パタンを実現すればよいかの実際の分布パタン(他人ユーザの分布パタン)を目安にすることができ、実現するための目標パタンを精度良く算出することができる可能性が高くなる。
【0166】
また、ユーザが目標パタンを実現する以前のユーザの属性情報と、目標パタンを実現した以後のユーザの属性情報との差分を属性情報の項目ごとに属性情報としてユーザごとにサーバ等に記憶されていることが望ましい。この場合には、サーバを参照して本人ユーザの現在の属性情報と実現したい属性情報とに基づいて、他人ユーザの同様な属性情報を検索して、本人ユーザと同様な属性情報から本人ユーザが所望する属性情報を有する他人ユーザを効率的に見つけ出すことができるようになる。これによって、本人ユーザは他人ユーザの有効な目標パタンを効率よく見つけ出し利用することができるので、本人ユーザは所望の属性に到達することが容易になる。この構成によれば、例えば、40代でやせ形になりたい人はこのような生活習慣(属性情報、及び分布パタン及び/または目標パタンに対応)が多いから、別の運動習慣(分布パタンに対応)をしたほうが良いなどをユーザに適切に提示することができる。
【0167】
<3>
図7BのステップS719以下は、例えば、以下の様にして空間内の点をグループに分類してもよい。
【0168】
グループ分類部303は、例えば、ユーザの属性情報から平日は仕事で特定の時間帯を特定の場所で過ごすことが判明すると、平日はほぼ同一の分布パタンを示すと推定して、平日の時間帯ごとの平均値を算出し、その平均値を有する分布パタンを基本パタンの1つとする。グループ分類部303は、他にも様々な特徴を有する基本パタンを作成することが可能である。グループ分類部303は上記と同様にして休日での基本パタンを生成することができる。
【0169】
グループ分類部303は例えば、基本パタンを導入しなくても以下のようにグループを作成して分布パタンを分類してもよい。グループ分類部303は、例えば、平日の深夜(例えば、23時以降から翌日2時以前まで)に活動量が第1しきい値(例えば、平日の活動量の平均値よりも50%多い値)よりも多いかどうかによってグループを分ける。活動量及びその時間帯については、多くの基準を設定し、これらの基準を同時に使用して複数のグループに分類する。例えば、活動量の全体が第2しきい値(例えば、平日の活動量の50%)よりも小さいかどうか、平日の深夜の活動量が第1しきい値よりも大きいかどうかの2通りの基準で分類する場合には、第1及び第2しきい値によって2×2=4グループに分類することができる。これらの活動量の基準以外に他の基準を導入しこれらの基準も含めて空間内の点を分類してもよい。例えば、平日(月曜日から金曜日まで)であるか土日祝祭日であるかの基準を導入してもよい。また、金曜日の行動が平日とは異なることが判明している場合には、金曜日は平日とは異なるグループに分類してもよい。
【0170】
<4>
グループ分類部303は、グループの典型的なパタンである、予め設定された複数の典型パタンに基づいてグループに分類してもよい。この構成では、グループ分類部303は、グループごとにそのグループの特徴を示す予め設定された典型パタンを使用して、複数の分布パタンをグループに分類する。典型パタンが予め設定されている点に特徴があり、ユーザ等の設定者が典型パタンを予め設定することができることである。したがって、ユーザの複数の分布パタンをグループに分類する際に、意味づけを明確にしたグループ化を実現することができる。
【0171】
<5>
図示はしていないが、活動量計110、腕時計型ウェアラブル端末120、及び/または習慣改善装置100は、加速度センサ、圧力センサ、ジャイロセンサ、及び/または地磁気センサを備えていてもよい。
【0172】
なお、加速度センサは、加速度を検出するセンサであり、例えば3軸加速度センサであり、センサの加速度を線型独立な3軸(例えば、互いに直交した3軸)に関して検出する。そして、加速度センサは、3方向の加速度を表す加速度信号を制御部205へ出力する。加速度センサは、静止時の加速度の値から、ロール角とピッチ角とを得ることができる。
【0173】
圧力センサは、圧力を検出する一般的なものであり、例えば、圧力センサによれば、気圧を測定することでユーザの標高を検出することができる。
【0174】
ジャイロセンサは、センサの角速度を検出可能な一般的なものであり、例えば、3軸ジャイロセンサでありセンサの角速度を線型独立な3軸に関して検出する。ジャイロセンサは、3方向の角速度を表す角速度信号を制御部205へ出力する。
【0175】
地磁気センサは、一般的なものであり、ユーザの姿勢を判定するために使用する。地磁気センサは、例えば、3軸地磁気センサであり、センサ周辺の地磁気の強度を方向と強さ(大きさ)を含めて3軸に関して検出する。
【0176】
制御部205は、加速度センサと地磁気センサの情報から、ジャイロセンサから得られる角速度にドリフトによる誤差を補正する手法を使用して、ユーザの初期の姿勢情報から角速度を積分することによって角度を得て、初期時刻からの所望の経過時間でのセンサごとの姿勢角を得てもよい。初期姿勢は、加速度センサによって、ロール角とピッチ角とを得ることができる。ヨー角については、地磁気センサを使用して求めることができる。
【0177】
地磁気センサによって得られる磁場の3次元成分と、先に求めたロール角とピッチ角とから、傾斜誤差を補正した磁場の3次元成分を算出する。この傾斜誤差を補正した磁場の3次元成分のうちのx成分とy成分とからヨー角を算出することができる。初期姿勢からユーザが動いた場合には、角速度を時間積分して角度を得て、初期姿勢と経過時間によって任意の時刻でのセンサごとの姿勢角を得ることができる。
【0178】
姿勢角の変化にもとづいて、ユーザが静止している際の動き(例えば、腕及び/または脚の動き)を検出することができ、例えば、ユーザの位置はほとんど変わらないが運動をする場合(例えば、ダンス、スポーツジムでの運動)を、これらを検出しない場合と比較してより正確に検出することができる。
【0179】
<6>
本発明の装置は、コンピュータとプログラムによっても実現でき、プログラムを記録媒体(または記憶媒体)に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
また、以上の各装置及びそれらの装置部分は、それぞれハードウェア構成、またはハードウェア資源とソフトウェアとの組み合せ構成のいずれでも実施可能となっている。組み合せ構成のソフトウェアとしては、予めネットワークまたはコンピュータ読み取り可能な記録媒体(または記憶媒体)からコンピュータにインストールされ、当該コンピュータのプロセッサに実行されることにより、各装置の動作(または機能)を当該コンピュータに実現させるためのプログラムが用いられる。
【0180】
<7>
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【0181】
また、「及び/または」とは、「及び/または」でつながれて列記される事項のうちの任意の1つ以上の事項という意味である。具体例を挙げると、「x及び/またはy」とは、3要素からなる集合{(x),(y),(x,y)}のうちのいずれかの要素という意味である。もう1つの具体例を挙げると、「x,y,及び/またはz」とは、7要素からなる集合{(x),(y),(z),(x,y),(x,z),(y,z),(x,y,z)}のうちのいずれかの要素という意味である。
【0182】
(付記1)
第1期間ごとに積算したユーザの活動量を前記第1期間ごとに取得して、前記第1期間を含む第2期間での活動量の経時変化を示す分布パタンを算出する第1算出部(301、302)と、
複数の前記分布パタンを1以上のグループに分類する分類部(303)と、
前記活動量以外の要因に基づいて、前記ユーザにとって目標となる目標パタンを前記グループに対応づけて算出する第2算出部(304、305、306)と、
現在の前記分布パタンと前記目標パタンとに基づいて前記ユーザにアドバイス情報を提示する提示部(307)と、を備える、
習慣改善装置(100)。
【符号の説明】
【0183】
100…習慣改善装置
110…活動量計
120…腕時計型ウェアラブル端末
130…サーバ
140…ネットワーク
150…GPS衛星
201…通信インタフェース
202…記憶部
203…入力装置
204…出力装置
205…制御部
206…計時装置
207…電源部
208…GPS受信部
209…外部インタフェース
301…活動量取得部
302…分布パタン算出部
303…グループ分類部
304…外的要因情報取得部
305…属性情報取得部
306…目標パタン算出部
307…アドバイス提示部
751…実線枠
752…一点破線枠
753…二点破線枠