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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】自律移動装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20230920BHJP
【FI】
G05D1/02 J
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018247794
(22)【出願日】2018-12-28
(65)【公開番号】P2020107238
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000039
【氏名又は名称】特許業務法人アイ・ピー・ウィン
(72)【発明者】
【氏名】小林 徹也
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 真理子
(72)【発明者】
【氏名】藤本 英基
(72)【発明者】
【氏名】金 雄范
(72)【発明者】
【氏名】梶山 肇
(72)【発明者】
【氏名】山本 訓稔
(72)【発明者】
【氏名】青木 哲平
【審査官】影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-221610(JP,A)
【文献】特開2016-184337(JP,A)
【文献】特開2019-200700(JP,A)
【文献】特開2010-37910(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置を移動させるための移動手段と、
周囲の物体との距離及びその形状を検出し、追随対象者の足元を撮像する撮像手段を備える検出手段と、
前記検出手段により検出された自装置の前方かつ自装置との間隔が一番狭い者である追随対象者の、前記撮像手段により撮像された前記足元の画像に対して画像処理を行うことにより、前記追随対象者の足の出し方若しくは歩き方の特徴である足の動きの特徴又は、両膝及び/又は下肢の開き方の特徴である足の形の特徴である、足元における特徴に関する情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された、前記足元における特徴に関する情報を用いて特定された追随対象者の動作に追随して自装置を移動させるよう前記移動手段を制御する制御手段と、
を備えた自律移動装置。
【請求項2】
自装置を移動させるための移動手段と、
周囲の物体との距離及びその形状を検出し、追随対象者の足元を撮像する撮像手段を備える検出手段と、
前記検出手段により検出された自装置の前方かつ自装置との間隔が一番狭い者である追随対象者の前記撮像手段により撮像された靴の形状、靴の色、靴底の減り方又は靴底の模様の画像に対して画像処理を行うことにより、前記追随対象者の靴の特徴である足元における特徴に関する情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された、前記足元における特徴に関する情報を用いて特定された追随対象者の動作に追随して自装置を移動させるよう前記移動手段を制御する制御手段と、
を備えた自律移動装置。
【請求項3】
前記取得手段は、前記移動手段による自装置の移動中において追随対象者の足元を前記撮像手段により撮像し、撮像された前記足元の画像に対して画像処理を行うことにより追随対象者の前記足元における特徴に関する情報を取得し、
前記制御手段は、前記取得手段により取得された追随対象者の前記足元における特徴に関する情報を記憶手段に記憶するよう制御する請求項1又は2記載の自律移動装置。
【請求項4】
前記取得手段は、予め設定された動作を追随対象者に要求し、要求に応じた追随対象者の足元を前記撮像手段により撮像し、撮像された前記足元の画像に対して画像処理を行うことにより追随対象者の前記足元における特徴に関する情報を取得し、
前記制御手段は、前記取得手段により取得された追随対象者の前記足元における特徴に関する情報を記憶手段に記憶するよう制御する請求項1又は2記載の自律移動装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記検出手段により追随対象者の候補を複数検出した場合、前記検出手段により検出された複数の追随対象者の候補の中から、記憶手段に記憶された追随対象者の前記足元における特徴に関する情報と一致する情報の追随対象者が特定されるまで、前記移動手段による移動を停止するよう制御する請求項1又は2に記載の自律移動装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記検出手段の検出可能範囲内に追随対象者の候補を複数検出した場合、前記移動手段により直近の者から順に検出可能範囲内に存在する追随対象者の候補を追随しながら、前記検出手段により検出された複数の追随対象者の候補の中から、記憶手段に記憶された追随対象者の前記足元における特徴に関する情報と一致する情報の追随対象者を特定するよう制御する請求項1又は2に記載の自律移動装置。
【請求項7】
前記制御手段は、追随対象者との距離が予め定められた間隔よりも大きくなった場合に、追随対象者の動作に追随して自装置を移動させるよう前記移動手段を制御し、前記検出手段の検出可能範囲内に追随対象者の候補を複数検出した場合、前記移動手段により直近の者から順に検出可能範囲内に存在する追随対象者の候補を追随しながら、前記検出手段により検出された複数の追随対象者の候補の中から、記憶手段に記憶された追随対象者の前記足元における特徴に関する情報と一致する情報の追随対象者を特定するよう制御する請求項1又は2に記載の自律移動装置。
【請求項8】
前記制御手段は、追随対象者の前記足の動きの特徴に関する情報を記憶する記憶手段に記憶された追随対象者の前記足の動きの特徴に関する情報を用いて特定された追随対象者の動作に追随して自装置を移動させるよう前記移動手段を制御する請求項1記載の自律移動装置。
【請求項9】
前記制御手段は、追随対象者の前記足の形の特徴に関する情報を記憶する記憶手段に記憶された追随対象者の前記足の形の特徴に関する情報を用いて特定された追随対象者の動作に追随して自装置を移動させるよう前記移動手段を制御する請求項1記載の自律移動装置。
【請求項10】
前記制御手段は、追随対象者の前記靴底の模様の画像を記憶する記憶手段に記憶された追随対象者の前記靴底の模様の画像を用いて特定された追随対象者の動作に追随して自装置を移動させるよう前記移動手段を制御する請求項2記載の自律移動装置。
【請求項11】
前記制御手段は、靴底の模様を予め設定した時間以上、前記撮像手段に撮像させる追随対象者の動きにより、前記移動手段による移動開始又は停止の制御を行う請求項2又は10に記載の自律移動装置。
【請求項12】
前記撮像手段は、周囲の画像を撮像し、
前記撮像手段により撮像された画像に障害物が含まれている場合に、周囲に障害がある旨を追随対象者に通知する通知手段をさらに備えた請求項1から11のいずれか1項に記載の自律移動装置。
【請求項13】
自装置を移動させるための移動ステップと、
周囲の物体との距離及びその形状を検出し、追随対象者の足元を撮像する検出ステップと、
検出された自装置の前方かつ自装置との間隔が一番狭い者である追随対象者の、撮像された前記足元の画像に対して画像処理を行うことにより、前記追随対象者の足の出し方若しくは歩き方の特徴である足の動きの特徴又は、両膝及び/又は下肢の開き方の特徴である足の形の特徴である、足元における特徴に関する情報を取得する取得ステップと、
取得された、前記足元における特徴に関する情報を用いて特定された追随対象者の動作に追随して自装置を移動させるよう制御する制御ステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項14】
自装置を移動させるための移動ステップと、
周囲の物体との距離及びその形状を検出し、追随対象者の足元を撮像する検出ステップと、
検出された自装置の前方かつ自装置との間隔が一番狭い者である追随対象者の撮像された靴の形状、靴の色、靴底の減り方又は靴底の模様の画像に対して画像処理を行うことにより、前記追随対象者の靴の特徴である足元における特徴に関する情報を取得する取得ステップと、
取得された前記足元における特徴に関する情報を用いて特定された追随対象者の動作に追随して自装置を移動させるよう制御する制御ステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律移動装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両に搭載された赤外線カメラにより取得されるグレースケール画像を2値化画像に変換し、該2値化画像から対象物である歩行者を認識する車両周辺監視装置であって、歩行者の足裏特徴を記憶する足裏特徴記憶手段と、前記2値化画像中の対象物が、前記足裏特徴を含むかどうかを判定する類似性判定手段と、該類似性判定手段により前記足裏特徴が含まれていると判定されたとき、前記対象物を歩行者であると認識する歩行者認識手段と、を備えることを特徴とする車両周辺監視装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-48650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、追随対象者の動作に追随して移動する際に、自装置からの距離に基づいて追随対象者を特定する場合と比較して、追随対象者以外の人を追随して移動する制御を実行してしまう可能性を低減することが可能な自律移動装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る本発明は、自装置を移動させるための移動手段と、周囲の物体との距離及びその形状を検出し、追随対象者の足元を撮像する撮像手段を備える検出手段と、前記検出手段により検出された自装置の前方かつ自装置との間隔が一番狭い者である追随対象者の、前記撮像手段により撮像された前記足元の画像に対して画像処理を行うことにより、前記追随対象者の足の出し方若しくは歩き方の特徴である足の動きの特徴又は、両膝及び/又は下肢の開き方の特徴である足の形の特徴である、足元における特徴に関する情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された、前記足元における特徴に関する情報を用いて特定された追随対象者の動作に追随して自装置を移動させるよう前記移動手段を制御する制御手段と、を備えた自律移動装置である。
請求項2に係る本発明は、自装置を移動させるための移動手段と、周囲の物体との距離及びその形状を検出し、追随対象者の足元を撮像する撮像手段を備える検出手段と、前記検出手段により検出された自装置の前方かつ自装置との間隔が一番狭い者である追随対象者の前記撮像手段により撮像された靴の形状、靴の色、靴底の減り方又は靴底の模様の画像に対して画像処理を行うことにより、前記追随対象者の靴の特徴である足元における特徴に関する情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された、前記足元における特徴に関する情報を用いて特定された追随対象者の動作に追随して自装置を移動させるよう前記移動手段を制御する制御手段と、を備えた自律移動装置である。
【0006】
請求項3に係る本発明は、前記取得手段は、前記移動手段による自装置の移動中において追随対象者の足元を前記撮像手段により撮像し、撮像された前記足元の画像に対して画像処理を行うことにより追随対象者の前記足元における特徴に関する情報を取得し、前記制御手段は、前記取得手段により取得された追随対象者の前記足元における特徴に関する情報を記憶手段に記憶するよう制御する請求項1又は2記載の自律移動装置である。
【0007】
請求項4に係る本発明は、前記取得手段は、予め設定された動作を追随対象者に要求し、要求に応じた追随対象者の足元を前記撮像手段により撮像し、撮像された前記足元の画像に対して画像処理を行うことにより追随対象者の前記足元における特徴に関する情報を取得し、前記制御手段は、前記取得手段により取得された追随対象者の前記足元における特徴に関する情報を記憶手段に記憶するよう制御する請求項1又は2記載の自律移動装置である。
【0008】
請求項5に係る本発明は、前記制御手段は、前記検出手段により追随対象者の候補を複数検出した場合、前記検出手段により検出された複数の追随対象者の候補の中から、記憶手段に記憶された追随対象者の前記足元における特徴に関する情報と一致する情報の追随対象者が特定されるまで、前記移動手段による移動を停止するよう制御する請求項1又は2に記載の自律移動装置である。
【0009】
請求項6に係る本発明は、前記制御手段は、前記検出手段の検出可能範囲内に追随対象者の候補を複数検出した場合、前記移動手段により直近の者から順に検出可能範囲内に存在する追随対象者の候補を追随しながら、前記検出手段により検出された複数の追随対象者の候補の中から、記憶手段に記憶された追随対象者の前記足元における特徴に関する情報と一致する情報の追随対象者を特定するよう制御する請求項1又は2に記載の自律移動装置である。
【0010】
請求項7に係る本発明は、前記制御手段は、追随対象者との距離が予め定められた間隔よりも大きくなった場合に、追随対象者の動作に追随して自装置を移動させるよう前記移動手段を制御し、前記検出手段の検出可能範囲内に追随対象者の候補を複数検出した場合、前記移動手段により直近の者から順に検出可能範囲内に存在する追随対象者の候補を追随しながら、前記検出手段により検出された複数の追随対象者の候補の中から、記憶手段に記憶された追随対象者の前記足元における特徴に関する情報と一致する情報の追随対象者を特定するよう制御する請求項1又は2に記載の自律移動装置である。
【0015】
請求項8に係る本発明は、前記制御手段は、追随対象者の前記足の動きの特徴に関する情報を記憶する記憶手段に記憶された追随対象者の前記足の動きの特徴に関する情報を用いて特定された追随対象者の動作に追随して自装置を移動させるよう前記移動手段を制御する請求項1記載の自律移動装置である。
【0016】
請求項9に係る本発明は、前記制御手段は、追随対象者の前記足の形の特徴に関する情報を記憶する記憶手段に記憶された追随対象者の前記足の形の特徴に関する情報を用いて特定された追随対象者の動作に追随して自装置を移動させるよう前記移動手段を制御する請求項1記載の自律移動装置である。
【0021】
請求項10に係る本発明は、前記制御手段は、追随対象者の前記靴底の模様の画像を記憶する記憶手段に記憶された追随対象者の前記靴底の模様の画像を用いて特定された追随対象者の動作に追随して自装置を移動させるよう前記移動手段を制御する請求項記載の自律移動装置である。
【0022】
請求項11に係る本発明は、前記制御手段は、靴底の模様を予め設定した時間以上、前記撮像手段に撮像させる追随対象者の動きにより、前記移動手段による移動開始又は停止の制御を行う請求項2又は10に記載の自律移動装置である。
【0023】
請求項12に係る本発明は、前記撮像手段は、周囲の画像を撮像し、前記撮像手段により撮像された画像に障害物が含まれている場合に、周囲に障害がある旨を追随対象者に通知する通知手段をさらに備えた請求項1から11のいずれか1項に記載の自律移動装置である。
【0024】
請求項13に係る本発明は、自装置を移動させるための移動ステップと、周囲の物体との距離及びその形状を検出し、追随対象者の足元を撮像する検出ステップと、検出された自装置の前方かつ自装置との間隔が一番狭い者である追随対象者の、撮像された前記足元の画像に対して画像処理を行うことにより、前記追随対象者の足の出し方若しくは歩き方の特徴である足の動きの特徴又は、両膝及び/又は下肢の開き方の特徴である足の形の特徴である、足元における特徴に関する情報を取得する取得ステップと、取得された、前記足元における特徴に関する情報を用いて特定された追随対象者の動作に追随して自装置を移動させるよう制御する制御ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
請求項14に係る本発明は、自装置を移動させるための移動ステップと、周囲の物体との距離及びその形状を検出し、追随対象者の足元を撮像する検出ステップと、検出された自装置の前方かつ自装置との間隔が一番狭い者である追随対象者の撮像された靴の形状、靴の色、靴底の減り方又は靴底の模様の画像に対して画像処理を行うことにより、前記追随対象者の靴の特徴である足元における特徴に関する情報を取得する取得ステップと、取得された前記足元における特徴に関する情報を用いて特定された追随対象者の動作に追随して自装置を移動させるよう制御する制御ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0025】
請求項1及び請求項2に係る本発明によれば、追随対象者の動作に追随して移動する際に、自装置からの距離に基づいて追随対象者を特定する場合と比較して、追随対象者以外の人を追随して移動する制御を実行してしまう可能性を低減することが可能な自律移動装置を提供することができる。
また、請求項1及び請求項2に係る本発明によれば、記憶手段に予め追随対象者として記憶された者でなくても、追随対象者の動作に追随して移動しながら追随対象者を特定して追随して移動する制御を実行することが可能な自律移動装置を提供することができる。
また、請求項1に係る本発明によれば、追随対象者の足の動きの特徴又は足の形の特徴により、追随対象者を特定して追随して移動する制御を実行することが可能な自律移動装置を提供することができる。
また、請求項2に係る本発明によれば、追随対象者の靴の特徴により、追随対象者を特定して追随して移動する制御を実行することが可能な自律移動装置を提供することができる。
【0026】
請求項に係る本発明によれば、記憶手段に予め追随対象者として記憶された者でなくても、追随対象者の動作に追随して移動しながら追随対象者を特定して追随して移動する制御を実行することが可能な自律移動装置を提供することができる。
【0027】
請求項に係る本発明によれば、追随対象者の動作に追随して移動する際に、自装置からの距離に基づいて追随対象者を特定する場合と比較して、追随対象者以外の人を追随して移動する制御を実行してしまう可能性を低減することが可能な自律移動装置を提供することができる。
【0028】
請求項に係る本発明によれば、追随対象者の動作に追随して移動する際に、自装置の周囲に追随対象者の候補が複数いる場合であっても、自装置からの距離に基づいて追随対象者を特定する場合と比較して、追随対象者以外の人を追随して移動する制御を実行してしまう可能性を低減することが可能な自律移動装置を提供することができる。
【0029】
請求項に係る本発明によれば、追随対象者の動作に追随して移動する際に、自装置の周囲に追随対象者の候補が複数いる場合であっても、自装置からの距離に基づいて追随対象者を特定する場合と比較して、追随対象者以外の人を追随して移動する制御を実行してしまう可能性を低減することが可能な自律移動装置を提供することができる。
【0030】
請求項に係る本発明によれば、追随対象者の動作に追随して移動する際に、自装置の周囲に追随対象者の候補が複数いる場合であっても、自装置からの距離に基づいて追随対象者を特定する場合と比較して、追随対象者以外の人を追随して移動する制御を実行してしまう可能性を低減することが可能な自律移動装置を提供することができる。
【0035】
請求項に係る本発明によれば、追随対象者の動作に追随して移動する際に、自装置からの距離に基づいて追随対象者を特定する場合と比較して、追随対象者以外の人を追随して移動する制御を実行してしまう可能性を低減することが可能な自律移動装置を提供することができる。
【0036】
請求項に係る本発明によれば、追随対象者の動作に追随して移動する際に、自装置からの距離に基づいて追随対象者を特定する場合と比較して、追随対象者以外の人を追随して移動する制御を実行してしまう可能性を低減することが可能な自律移動装置を提供することができる。
【0041】
請求項10に係る本発明によれば、追随対象者の動作に追随して移動する際に、自装置からの距離に基づいて追随対象者を特定する場合と比較して、追随対象者以外の人を追随して移動する制御を実行してしまう可能性を低減することが可能な自律移動装置を提供することができる。
【0042】
請求項11に係る本発明によれば、追随対象者を特定して、追随対象者の動作に追随して移動開始又は停止の制御を実行することが可能な自律移動装置を提供することができる。
【0043】
請求項12に係る本発明によれば、追随対象者の動作に追随して移動する際に、周囲に障害があることを、追随対象者に認識させることが可能な自律移動装置を提供することができる。
【0044】
請求項13及び請求項14に係る本発明によれば、追随対象者の動作に追随して移動する際に、自装置からの距離に基づいて追随対象者を特定する場合と比較して、追随対象者以外の人を追随して移動する制御を実行してしまう可能性を低減することが可能なプログラムを提供することができる。
また、請求項13及び請求項14に係る本発明によれば、記憶手段に予め追随対象者として記憶された者でなくても、追随対象者の動作に追随して移動しながら追随対象者を特定して追随して移動する制御を実行することが可能なプログラムを提供することができる。
また、請求項13に係る本発明によれば、追随対象者の足の動きの特徴又は足の形の特徴により、追随対象者を特定して追随して移動する制御を実行することが可能なプログラムを提供することができる。
また、請求項14に係る本発明によれば、追随対象者の靴の特徴により、追随対象者を特定して追随して移動する制御を実行することが可能なプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明の一実施形態に係る自律移動装置10を用いたシステム構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る自律移動装置10の外観を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る自律移動装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】本発明の一実施形態に係る自律移動装置10の機能構成を示すブロック図である。
図5】(A)は、自律移動装置10が後追いモードにて追随対象者1の後ろを走行している様子を示す図であって、(B)は、(A)で示す自律移動装置10のカメラ19が撮像する画像の一例を示す図である。
図6】(A)は、自律移動装置10が後追いモードを開始する前の追随対象者1の動作を示す図であって、(B)は、(A)で示す自律移動装置10のカメラ19が撮像する画像の一例を示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係る自律移動装置10の動作を説明するためのフローチャートである。
図8】(A)は、自律移動装置10が先行モードを開始する前の追随対象者1の動作を示す図であって、(B)は、(A)で示す自律移動装置10のカメラ19が撮像する画像の一例を示す図である。
図9】(A)は、自律移動装置10が先行モードにて追随対象者1の前を走行している様子を示す図であって、(B)は、(A)で示す自律移動装置10のカメラ19が撮像する画像の一例を示す図である。
図10】(A)、(B)は、自律移動装置10のカメラ19が撮像する画像の一例を示す図である。
図11】(A)、(B)は、自律移動装置10のカメラ19が撮像する画像の一例を示す図である。
図12】(A)、(B)は、追随対象者の足元における特徴の一例を説明するための図である。
図13】(A)、(B)は、追随対象者の足元における特徴の一例を説明するための図である。
図14】追随対象者の足元における特徴の一例を説明する図である。
図15】(A)~(C)は、追随対象者の候補を複数検出した場合の自律移動装置10の動作の一例を説明する図である。
図16】自律移動装置10のカメラ19が撮像する画像の一例を示す図である。
図17】本発明の一実施形態に係る自律移動装置10の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0047】
図1は、本発明の一実施形態の自律移動装置10を用いたシステムの構成を示す図である。
【0048】
本発明の一実施形態の自律移動装置10を用いたシステムは、図1に示されるように、自律移動装置10と、サーバ12とから構成されている。
【0049】
そして、自律移動装置10とサーバ12とは、例えば携帯電話通信網14、インターネット15を経由して相互に接続されている。
【0050】
自律移動装置10は、携帯電話通信網14との間でデータ等を送受信するように構成されている。また、自律移動装置10は、自装置を移動させるための移動手段を有し、この移動手段により、追随する対象とする人である追随対象者1の動作に追随して自律的に移動することができるような構成となっている。ここで、追随とは、追随対象として認識した追随対象者1の動きに応じて、追随対象者1に先行して又は後追いして自律移動することを意味する。
【0051】
具体的には、自律移動装置10は、自装置の上部に設けられた操作ボタンが押下されると、自装置の前方かつ自装置との間隔が一番狭い者を追随対象者1として特定する。そして、自律移動装置10は、追随して移動しながら、追随対象者1の足元における特徴を認識する。ここで、足元における特徴とは、足の動きの特徴や、足の形の特徴や、靴(靴底を含む)の特徴等である。
【0052】
自律移動装置10は、追随対象者1の後ろから後追いして移動する後追いモード、追随対象者1の前に先行して移動する先行モード、移動を停止する停止モード、のいずれかの動作モードにより動作することが可能に構成されている。そして、自律移動装置10は、後追いモードと先行モードと停止モードとの間で、ユーザによる動作モードの切替え操作が不要に構成されている。
【0053】
ここで、後追いモードとは、先行する追随対象者の後を追随するよう走行する動作モードである。そして、先行モードとは、追随対象者に先行して走行する動作モードである。
【0054】
また、自律移動装置10は、追随対象者1を後追いモードまたは先行モードで追随移動しながら追随対象者1の足元における特徴を取得する通常モード又は追随移動を開始する前に追随対象者1の足元における特徴を学習取得する学習モード、のいずれかの取得モードにより追随対象者1の足元における特徴に関する情報を取得し、自律移動装置10又はサーバ12の記憶手段である記憶装置に追随対象者毎に記憶するように構成されている。
【0055】
ここで、通常モードとは、後追いモードまたは先行モードにより走行しながら、追随対象者の足元における特徴に関する情報を取得する取得モードである。そして、学習モードとは、予め設定された動作を追随対象者に要求し、要求に応じた追随対象者の足元における特徴に関する情報を取得する取得モードである。
【0056】
なお、本実施形態では、自律移動装置10は、荷台部を備え、この荷台部に荷箱等の荷物を積載して、荷物を集荷、配達する配達員等の追随対象者1に先行して又は後追いして動作する例を用いて説明する。
【0057】
次に、自律移動装置10の構成を説明する。図2は、自律移動装置10の外観を示す斜視図である。
【0058】
自律移動装置10は、装置本体部16、荷台部17、装置本体部16を移動させるための移動機構18、撮像手段としてのカメラ19、検出手段としてのセンサ20、LEDランプ21、スピーカ22を備えている。
【0059】
荷台部17は、装置本体部16の上部に設けられており、荷箱等の荷物を積載する。
【0060】
カメラ19は、周囲の画像、特に、追随対象者の足元の画像を撮像する。カメラ19は、装置本体部16の前面及び後面の2カ所に設けられている。
【0061】
センサ20は、装置本体部16と荷台部17の間に設けられており、自装置の周囲360度に位置する物体との距離及びその形状を検出する。具体的には、センサ20は、レーザ光により物体との距離を検出するレーザレンジファインダ(レーザ距離センサ)等により構成され、LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)と呼ばれる技術により自装置の周囲に位置する物体との距離及びその形状を検出する。
【0062】
LEDランプ21は、荷台部17の前面及び後面の2カ所に設けられ、光を発することにより、周囲に障害がある旨を追随対象者に通知する。また、スピーカ22は、荷台部17の左右両面の2カ所に設けられ、音声を発することにより、周囲に障害がある旨を追随対象者に通知する。
【0063】
移動機構18は、装置本体部16の下部に設けられており、カメラ19やセンサ20により検出された追随対象者1の動作に追随して自装置を動作させる。移動機構18としては、具体的には、車輪や、車輪を駆動する駆動源としてのモータや、走舵輪の舵角やブレーキ等を制御するためのアクチュエータ、油圧ポンプ等により構成されている。
【0064】
図3は、自律移動装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0065】
自律移動装置10は、図3に示されるように、CPU31、メモリ32、記憶装置33、無線通信部34、移動機構18、カメラ19、センサ20、LEDランプ21、スピーカ22を有し、これらが制御バス25を介して接続されている。
【0066】
CPU31は、メモリ32または記憶装置33に格納された制御プログラムに基づいて予め定められた処理を実行して、自律移動装置10の動作を制御する。無線通信部34は、携帯電話通信網14との間で無線回線を介してデータの送受信を行っている。なお、本実施形態では、CPU31は、メモリ32または記憶装置33内に格納された制御プログラムを読み出して実行するものとして説明するが、当該プログラムをCD-ROM等の記憶媒体に格納してCPU31に提供することも可能である。
【0067】
図4は、上記の制御プログラムが実行されることにより実現される自律移動装置10の機能構成を示すブロック図である。
【0068】
本実施形態の自律移動装置10は、図4に示されるように、制御部40と、検出部41と、取得部42と、通知部43と、データ格納部44と、画像処理部45と、移動部46と、データ送受信部47と、特定部48を備えている。
【0069】
データ送受信部47は、制御部40による制御に基づいて、サーバ12との間でデータの送受信を行う。
【0070】
検出部41は、周囲の物体との距離及びその形状を検出する。具体的には、検出部41としてのセンサ20により追随対象者1の足元を含む、周囲の地面付近の物体との距離及び形状を検出し、検出部41としてのカメラ19により自装置の周囲の画像を撮像する。
【0071】
なお、本実施形態では、検出部41として、センサ20とカメラ19を用いる場合を例にして説明するが、検出部41として、センサ20のみにより、周囲の物体との距離およびその形状を検出するようにしてもよく、検出精度を高めたい等の場合にはカメラ19を併用することができる。
【0072】
画像処理部45は、検出部41としてのカメラ19により撮像された画像に対して画像処理を行うことにより追随対象者の足元における特徴を取得する。
【0073】
特定部48は、操作ボタンにより自律移動装置10による追随移動開始の操作を受け付けると、検出部41により検出された自装置の前方かつ自装置との間隔が一番狭い者を追随対象者1として特定する。
【0074】
例えば、追随対象者1が自律移動装置10の前方で操作ボタンを押すと、自律移動装置10は、追随対象者1を追随対象として特定し、追随移動を開始する。そして、図5(A)に示すように、自律移動装置10が後追いモードで追随対象者1の後ろにて走行している場合、検出部41は、追随対象者1の足元との距離や足元における特徴を検出する。具体的には、センサ20は、追随対象者1の足元との距離を検出し、カメラ19は、図5(B)で示すように、追随対象者1の足元における特徴を撮像する。
【0075】
ここで、足元における特徴とは、追随対象者のがに股、内股、幅のある歩き方、幅のない歩き方等の足の動きの特徴や、O脚やX脚等の足の形の特徴や、靴の形状や靴の色、靴底の減り方、靴底の模様等の靴の特徴である。
【0076】
移動部46は、自装置を移動させるための移動手段であり、制御部40による制御に基づいて、検出部41により検出された追随対象者1の動作に追随して自装置を移動させる。
【0077】
取得部42は、追随対象者の足元を検出部41により検出することにより追随対象者の足元における特徴を取得する。
【0078】
また、取得部42は、予め設定された動作を追随対象者に要求し、要求に応じた追随対象者の足元を検出部41により検出することにより追随対象者1の足元における特徴を取得する学習取得手段として機能する。
【0079】
そして、制御部40は、取得部42により取得された追随対象者1の足元における特徴をデータ格納部44またはサーバ12の記憶装置に記憶するよう制御する。
【0080】
また、制御部40は、特定部48により特定された追随対象者の足元における特徴を用いて追随対象者の動作に追随して自装置を移動させるよう移動部46を制御する。具体的には、制御部40は、特定部48により特定された追随対象者と自装置との間隔が予め定められた間隔を保持して自装置を移動させるよう移動部46を制御する。つまり、制御部40は、特定部48により特定された追随対象者と自装置との間隔が予め定められた間隔よりも大きくなった場合に、追随対象者の動作に追随して自装置を移動させるよう移動部46を制御する。
【0081】
また、制御部40は、検出部41により検出された追随対象者の足の動きを用いて、追随対象者が進もうとする進路や追随対象者の停止動作を予測して、移動部46を制御する。
【0082】
データ格納部44は、制御部40による制御に基づいて、自装置の移動制御を行うための各種データを格納する。また、データ格納部44は、追随対象者毎に追随対象者の足元における特徴と移動開始終了日時や移動ルート等を記憶する記憶手段として機能する。
【0083】
そして、制御部40は、データ格納部44に格納された追随対象者の足元における特徴またはサーバ12に格納された追随対象者の足元における特徴を用いて特定された追随対象者の動作に追随して自装置を移動させるよう移動部46を制御する。
【0084】
具体的には、制御部40は、検出部41により検出された追随対象者の靴底の模様の画像と、データ格納部44又はサーバ12の記憶装置に格納された靴底の模様に関する情報を用いて特定された追随対象者の動作に追随して自装置を移動させるよう移動部46を制御する。また、制御部40は、追随対象者の進行方向を、検出部41により検出された靴底の模様の画像と、データ格納部44又はサーバ12の記憶装置に格納された靴底の模様に関する情報に基づいて移動部46による移動を制御する。
【0085】
また、制御部40は、検出部41により追随対象者の足元における特徴が予め設定された時間以上検出された場合に、追随対象者を特定し、移動部46による追随移動の開始又は停止の制御を行う。具体的には、カメラ19により追随対象者の足または靴底の模様の画像が予め設定した時間以上撮像された場合に、移動部46による追随移動の開始又は停止の制御を行う。
【0086】
また、通知部43は、検出部41により進路に障害物が検出された場合に、周囲に障害がある旨を追随対象者に通知する。具体的には、カメラ19により撮像された画像に障害物が含まれている場合に、通知部43であるスピーカ22から音を発したり、通知部43であるLEDランプ21を点滅させる等により、周囲に障害がある旨を追随対象者に通知する。
【0087】
また、制御部40は、通常モードによる自装置の追随移動中において追随対象者1の足元における特徴を取得してデータ格納部44やサーバ12の記憶装置に追随対象者1の足元における特徴として格納するよう制御する。また、学習モードにより追随対象者1の足元における特徴を学習取得してデータ格納部44やサーバ12の記憶装置に追随対象者1の足元における特徴として格納するよう制御する。
【0088】
また、制御部40は、検出部41により追随対象者1の候補を複数検出した場合、検出部41により検出された複数の追随対象者の候補の中から、データ格納部44やサーバ12の記憶装置に記憶された追随対象者1の足元における特徴と一致若しくは類似する特徴の追随対象者が特定されるまで、移動部46による移動を停止するよう制御する。
【0089】
また、制御部40は、検出部41により追随対象者1の候補を複数検出した場合、移動部46により追随対象者の候補を追随しながら、検出部41により検出された複数の追随対象者の候補の中から、データ格納部44やサーバ12の記憶装置に記憶された追随対象者1の足元における特徴と一致若しくは類似する特徴の追随対象者を特定するよう制御する。
【0090】
次に、自律移動装置10の後追いモードの動作の一例について、図6図7に基づいて説明する。本実施形態においては、追随対象者の足元における特徴として靴底の模様をカメラ19により撮像して検出する場合を例にして説明する。
【0091】
先ず、追随対象者1が操作ボタンを押下してカメラ19に対して靴底を一定時間向ける。すると、特定部48により追随対象者1が特定され、検出部41が追随対象者1の足元における特徴を検出する。そして、図6(A)及び図6(B)に示されているように、カメラ19により靴底の模様の画像が予め設定した時間以上撮像されると、撮像された靴底の模様に関する情報が検出され(ステップS10)、検出された靴底の模様に関する情報がデータ格納部44又はサーバ12の記憶装置に格納されているか否かを判定する(ステップS11)。
【0092】
そして、検出された靴底の模様に関する情報が、データ格納部44又はサーバ12の記憶装置に格納されている場合には(ステップS11においてYes)、格納されている靴底の模様に関する情報に基づいて追随対象者1を特定し、後追いモードが開始される。
【0093】
また、検出された靴底の模様に関する情報が、データ格納部44又はサーバ12の記憶装置に格納されていない場合には(ステップS11においてNo)、検出部41により周囲に人が少ないか否かを判定する(ステップS12)。
【0094】
そして、周囲に人が少ないと判定された場合には(ステップS12においてYes)、通常モードを開始し(ステップS15)、後追いモードにより追随対象者1を後から追随移動しながら追随対象者1の足元における特徴を取得し、取得された足元における特徴をデータ格納部44又はサーバ12の記憶装置に格納する(ステップS16)。つまり、周囲に人が少ない場所では、自律移動装置10は、追随対象者1を追随移動しながら追随対象者1の足元における特徴を取得して追随対象者1の認識精度を向上させる。
【0095】
具体的には、自律移動装置10は、追随対象者1を後追いモードで移動中に、追随対象者1の足の動き、足の形、靴底の模様の画像等に基づいて追随対象者1の足元における特徴を特定し、例えば靴底の模様の画像により歩く方向であって、真っ直ぐ、左右に曲がる、後ろずさり、振り返り、回転等を推測する。
【0096】
また、自律移動装置10は、追随対象者1を後追いモードで移動中に、足の上げ方、足の降ろし方、歩幅、足間の間隔、体重の掛け方等の特徴も取得する。
【0097】
また、周囲に人が多いと判定された場合には(ステップS12においてNo)、後追いモードを開始する前に学習モードを開始する(ステップS13)。すなわち、自律移動装置10から予め設定された「歩いて」、「もう少し早く」、「走って」、「止まって」、「右に曲がって」、「左に曲がって」、「バックして」等の動作指示が追随対象者に要求され(ステップS14)、要求に応じた追随対象者1の足元を検出部41が検出することにより、追随対象者1の足元における特徴に関する情報が取得され、データ格納部44又はサーバ12の記憶装置に格納される。つまり、周囲に人が多い場所では、追随移動を開始する前に、学習モードにより追随対象者の認識精度を向上させる。
【0098】
なお、靴の特徴に関する情報がデータ格納部44又はサーバ12の記憶装置に格納されている追随対象者1が靴を変更した場合には、靴の変更時に、カメラ19により予め設定された時間、靴を撮像して、新たな靴の形状や靴の色、靴底の模様等の靴の特徴に関する情報を取得させることにより、すでに取得した追随対象者の足元における特徴に関する情報と結び付けて追随動作を行うことができる。
【0099】
そして、追随対象者1の足元における特徴に関する情報が取得されたか否かが判定される(ステップS17)。
【0100】
そして、足元における特徴に関する情報が取得されたと判定された場合には(ステップS17においてYes)、後追いモードが開始される。また、足元における特徴に関する情報が取得されていないと判定された場合には(ステップS17においてNo)、ステップS12の動作に戻る。
【0101】
そして、後追いモード中に、追随対象者1の動作により検出部41が靴底を一定時間検出することにより後追いモードが解除され、自律移動装置10は、停止モードに切り替えられて減速して停止する。
【0102】
次に、自律移動装置10の先行モードの動作の一例について、図8及び図9に基づいて説明する。
【0103】
先ず、追随対象者1が操作ボタンを押下してカメラ19に対して靴底を一定時間向ける。すると、特定部48により追随対象者1が特定され、検出部41が追随対象者1の足元における特徴を検出する。そして、図8(A)及び図8(B)に示されているように、カメラ19により靴底の模様の画像が予め設定した時間以上撮像されると、撮像された靴底の模様に関する情報が検出され(ステップS10)、検出された靴底の模様に関する情報がデータ格納部44又はサーバ12の記憶装置に格納されているか否かを判定する(ステップS11)。
【0104】
そして、検出された靴底の模様に関する情報が、データ格納部44又はサーバ12の記憶装置に格納されている場合には(ステップS11においてYes)、格納されている靴底の模様に関する情報に基づいて追随対象者1を特定し、先行モードが開始される。
【0105】
そして、検出された靴底の模様に関する情報が、データ格納部44又はサーバ12の記憶装置に格納されていない場合の動作について、上述した後追いモードのステップS12~ステップS17と同様のため説明を省略する。
【0106】
そして、先行モード中に、追随対象者1の動作により検出部41が靴底を一定時間検出することにより、先行モードが解除され、自律移動装置10は、停止モードに切り替えられて減速して停止する。
【0107】
次に、自律移動装置10の検出部41により検出される追随対象者の足元における特徴の変形例について図10図14に基づいて説明する。
【0108】
図10(A)は、外股(がに股)の歩き方をする追随対象者1の足元を撮像した図であり、図10(B)は、内股の歩き方をする追随対象者1の足元を撮像した図である。ここで、外股歩きとは、膝より下側が外側を向き、足のつま先を外側に向けて歩く歩き方である。また、内股歩きとは、足のつま先を内側に向けて歩く歩き方である。
【0109】
図11(A)は、幅のある歩き方をする追随対象者の足元を撮像した図であり、図11(B)は、幅のない歩き方をする追随対象者の足元を撮像した図である。
【0110】
図10(A)、図10(B)、図11(A)及び図11(B)に示すように、人によって足の出し方や歩き方に癖があり足の動きが異なる。つまり、図10(A)、図10(B)、図11(A)及び図11(B)に示すような追随対象者の足の動きの特徴を検出部41により検出することにより、追随対象者を特定し、追随対象者の追随移動をすることが可能である。
【0111】
図12(A)及び図12(B)は、O脚である追随対象者の足元を示した図であり、図13(A)及び図13(B)は、X脚である追随対象者の足元を示した図である。ここで、O脚とは、直立すると両膝がつかないで開き、脚がO字形を示す状態をいい、X脚とは、直立すると下肢が膝のところで外側に開きX字型を示す状態をいう。
【0112】
図12(A)、図12(B)及び図13(A)、図13(B)に示すように、人によって足の形に特徴がある場合がある。つまり、図12(A)、図12(B)及び図13(A)、図13(B)に示すような追随対象者の足の形の特徴を検出部41により検出することにより、追随対象者を特定し、追随対象者の追随移動をすることが可能である。
【0113】
また、図14は、靴底が減っている靴を示した図である。
【0114】
図14に示すように、人によって靴底の減り方が異なる。図14に示すような追随対象者の靴の特徴を検出部41により検出することにより、追随対象者を特定し、追随対象者の追随移動をすることが可能である。
【0115】
つまり、追随対象者を上述したような足元における特徴を検出部41により検出し、追随対象者を特定することにより、追随対象者以外の人を追随して移動する制御を実行してしまうことが防止される。
【0116】
次に、検出部41により追随対象者1の候補が複数検出された場合の自律移動装置10の動作の一例について、図15(A)~図15(C)及び図16に基づいて説明する。
【0117】
自律移動装置10では、操作ボタンが押下されると、前方かつ自装置との間隔が一番近くにいる者を追随対象者1として特定する。具体的には、図15(A)に示すように、操作ボタンが押下された時に、自装置の前方かつ自装置との間隔が一番狭い者を追随対象者1として特定する。
【0118】
そして、図15(B)に示すように、信号待ち等により自律移動装置10の周囲に複数人が集まり、検出部41により追随対象者の候補が複数検出されてしまい、追随対象者1の特定が困難となる場合がある。
【0119】
このような場合に、自律移動装置10では、図15(C)に示すように、データ格納部44又はサーバ12の記憶装置に格納されている追随対象者の足元における特徴と一致若しくは類似する特徴により追随対象者1を特定して追随対象者1に追随して移動する。
【0120】
具体的には、例えば図16に示すように、カメラ19により撮像された3人の靴底の模様を検出し、撮像された3人の靴底の模様に関する情報の中から、データ格納部44又はサーバ12の記憶装置に格納され、予め追随対象者として足元における特徴が取得されている追随対象者1の足元における特徴と一致若しくは類似する特徴の追随対象者1を特定して追随対象者1に追随して移動する。
【0121】
なお、予め追随対象者として足元における特徴が取得されている追随対象者1の足元における特徴と一致若しくは類似する特徴が複数ある場合には、直近で追随対象者として足元における特徴を取得した者の足元における特徴と一致若しくは類似する者を追随対象者1として特定する。
【0122】
なお、自律移動装置10では、追随対象者1が特定されるまで移動を停止し、追随対象者1が特定されてから移動を開始するよう制御する。
【0123】
また、自律移動装置10では、追随対象者1が特定される前であっても、自装置と追随対象者の候補との距離が予め定められた間隔よりも大きくなった場合に、追随対象者の候補を追随しながら、追随対象者1を特定するようにしてもよい。このとき、自律移動装置10では、追随対象者の候補全員が検出可能範囲に存在するように移動するよう制御する。
【0124】
なお、自律移動装置10では、追随対象者の候補のうち最初に移動を開始した者が追随対象者の候補から外れた場合には、候補から外れた者を追随せずに、残りの追随対象者の候補を追随しながら、追随対象者1を特定する。このとき、自律移動装置10では、残りの追随対象者の候補を追随可能な範囲に移動方向や速度を調整する。
【0125】
次に、自律移動装置10の動作の変形例について、図17に基づいて説明する。
【0126】
自律移動装置10は、追随対象者1を追随中に、検出部41により障害物を検出すると(ステップS20)、通知部43により進路に障害物がある旨を通知する。具体的には、追随対象者1の少し先の道の形状の画像を撮像し、段差等の危険な箇所となる障害物を追随対象者1に通知する。つまり、LEDランプ21を点滅させたり、スピーカ22から音を出したりして追随対象者が障害物を認識できるよう通知する(ステップS21)。
【0127】
そして、自装置が追随対象者1をこのまま追随可能か否かを判定する(ステップS22)。追随可能であると判定された場合には(ステップS22においてYes)、ステップS20の動作に戻って、追随対象者1の追随移動を継続する。
【0128】
また、追随可能でないと判定された場合には(ステップS22においてNo)、進路を変更して追随可能であるか否かを判定する(ステップS23)。
【0129】
そして、進路を変更して追随可能であると判定された場合には(ステップS23においてYes)、一時的に並走する等、進路を変更して段差等の障害物となる箇所を避けて追随移動し(ステップS24)、ステップS20の動作に戻って、追随対象者1の追随移動を継続する。
【0130】
また、進路を変更して追随できないと判定された場合には(ステップS23においてNo)、追随できない旨を通知し(ステップS25)、停止モードに切り替えて停止する。
【0131】
また、足元における特徴として、靴底の模様の画像を撮像して追随対象者を特定する例について説明したが、これに限らず、足または靴の画像を撮像して、撮像した画像に基づいて足の動きや足の形、靴の形状、靴の色、靴底の減り方等の足元における特徴を検出して追随対象者を特定して追随移動可能である。
【0132】
また、複数の足元における特徴を用いて、追随対象者を特定してもよい。複数の足元における特徴を用いて追随対象者を特定することにより、追随対象者の認識精度を向上させることが可能である。
【0133】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、荷箱等の荷物を積載して移動する自律移動装置10について説明したが、これに限らず、人に追随して移動する自律移動可能な装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0134】
10 自律移動装置
12 サーバ
16 装置本体部
17 荷台部
18 移動機構
19 カメラ
20 センサ
21 LEDランプ
22 スピーカ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17