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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】照明制御システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/14 20200101AFI20230920BHJP
   H05B 47/155 20200101ALI20230920BHJP
   H05B 47/165 20200101ALI20230920BHJP
   H05B 47/19 20200101ALI20230920BHJP
【FI】
H05B47/14
H05B47/155
H05B47/165
H05B47/19
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019082613
(22)【出願日】2019-04-24
(65)【公開番号】P2020181660
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148057
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 淑己
(72)【発明者】
【氏名】野坂 哲郎
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-143599(JP,A)
【文献】特開2004-180411(JP,A)
【文献】特開2001-155868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が自己の消費電力値を算出し、モニタ信号に応じて前記消費電力値を無線で送信する複数の照明器具と、
ブロードキャストで前記モニタ信号を送信し、前記複数の照明器具から受信した複数の消費電力値の和を算出する照明コントローラと、
を備え、
前記照明コントローラは、外部からデマンド制御要求を受信すると前記モニタ信号を送信し、前記複数の消費電力値の前記和が予め定められた第1閾値よりも大きい場合、調光率を現在の値よりも低く設定する調光信号を前記複数の照明器具にブロードキャストで送信し、
前記照明コントローラは、前記調光信号の送信の後、再度前記モニタ信号を送信して前記和を算出し、その後前記和が前記第1閾値よりも小さくなるまで、前記調光信号の送信と、前記モニタ信号の送信と、前記和の算出と、を繰り返すことを特徴とする照明制御システム。
【請求項2】
前記複数の照明器具は、互いを識別するアドレスを有さないことを特徴とする請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項3】
前記複数の照明器具の各々は、前記消費電力値を送信する際に送信元アドレスを指定しないことを特徴とする請求項1または2に記載の照明制御システム。
【請求項4】
前記複数の照明器具の各々は、前記モニタ信号を受信すると、ランダムウェイト時間だけ経過した後に前記消費電力値を送信することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項5】
各々が自己の消費電力値を算出し、モニタ信号に応じて前記消費電力値を無線で送信する複数の照明器具と、
ブロードキャストで前記モニタ信号を送信し、前記複数の照明器具から受信した複数の消費電力値の和を算出する照明コントローラと、
を備え、
前記照明コントローラは、外部からデマンド制御要求を受信すると前記モニタ信号を送信し、前記複数の消費電力値の前記和が予め定められた第1閾値よりも大きい場合、調光率を現在の値よりも低く設定する第1調光信号を前記複数の照明器具にブロードキャストで送信し、
前記照明コントローラは、前記第1調光信号の送信の後、再度前記モニタ信号を送信して前記和を算出し、その後前記和が前記第1閾値よりも小さくなるまで、前記第1調光信号の送信と、前記モニタ信号の送信と、前記和の算出と、を繰り返し、
前記照明コントローラは、前記和が前記第1閾値よりも小さい第2閾値よりも小さくなった場合、前記複数の消費電力値の前記和が、前記第1閾値より低く、前記第2閾値よりも大きくなるように、調光率を現在の値よりも高く設定する第2調光信号を前記複数の照明器具に送信することを特徴とする照明制御システム。
【請求項6】
前記デマンド制御要求は、リモコン設定器から送信されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項7】
前記第1閾値は、リモコン設定器から設定されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、分電盤の1箇所で、測定対象の照明器具の全体の電力を測定する方法が開示されている。この方法では、ポータブル電力計を用いて、測定対象の照明器具の全点灯時の分電盤の全体の瞬時電力と全消灯時の分電盤の全体の瞬時電力を測定する。さらに、全点灯時の瞬時電力、全消灯時の瞬時電力の測定を繰り返し、繰り返しによって得られる全点灯時の瞬時電力と全消灯時の瞬時電力との電力差を算出し、電力差の値がほぼ同じ値となった時の電力差を測定対象の照明器具の全体の電力とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-53003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、消費電力を測定するために、既存の分電盤に電力計を設置する必要がある。このため、測定用の装置を新たに設置する工事が必要となるおそれがある。また、消費電力の測定のために複数の照明器具の全灯と消灯を繰り返す必要がある。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、容易に消費電力を取得できる照明制御システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る照明制御システムは、各々が自己の消費電力値を算出し、モニタ信号に応じて該消費電力値を無線で送信する複数の照明器具と、ブロードキャストで該モニタ信号を送信し、該複数の照明器具から受信した複数の消費電力値の和を算出する照明コントローラと、を備え、該照明コントローラは、外部からデマンド制御要求を受信すると該モニタ信号を送信し、該複数の消費電力値の該和が予め定められた第1閾値よりも大きい場合、調光率を現在の値よりも低く設定する調光信号を該複数の照明器具にブロードキャストで送信し、該照明コントローラは、該調光信号の送信の後、再度該モニタ信号を送信して該和を算出し、その後該和が該第1閾値よりも小さくなるまで、該調光信号の送信と、該モニタ信号の送信と、該和の算出と、を繰り返す。
本開示に係る照明制御システムは、各々が自己の消費電力値を算出し、モニタ信号に応じて該消費電力値を無線で送信する複数の照明器具と、ブロードキャストで該モニタ信号を送信し、該複数の照明器具から受信した複数の消費電力値の和を算出する照明コントローラと、を備え、該照明コントローラは、外部からデマンド制御要求を受信すると該モニタ信号を送信し、該複数の消費電力値の該和が予め定められた第1閾値よりも大きい場合、調光率を現在の値よりも低く設定する第1調光信号を該複数の照明器具にブロードキャストで送信し、該照明コントローラは、該第1調光信号の送信の後、再度該モニタ信号を送信して該和を算出し、その後該和が該第1閾値よりも小さくなるまで、該第1調光信号の送信と、該モニタ信号の送信と、該和の算出と、を繰り返し、該照明コントローラは、該和が該第1閾値よりも小さい第2閾値よりも小さくなった場合、該複数の消費電力値の該和が、該第1閾値より低く、第2閾値よりも大きくなるように、調光率を現在の値よりも高く設定する第2調光信号を該複数の照明器具に送信する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る照明制御システムでは、照明コントローラがブロードキャストでモニタ信号を送信し、複数の消費電力値の和を算出する。従って、容易に消費電力を取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る照明制御システムの構成を示す図である。
図2】実施の形態1に係るスケジュール設定情報の一例を示す図である。
図3】実施の形態1に係る照明器具の構成を示す図である。
図4】実施の形態1に係る照明制御システムの動作を示す第1のシーケンス図である。
図5】実施の形態1に係る照明制御システムの動作を示す第2のシーケンス図である。
図6】実施の形態1の変形例に係る照明制御システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態に係る照明制御システムについて図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明制御システム100の構成を示す図である。照明制御システム100は、照明コントローラ11、複数の照明器具2およびスイッチ3a、3bを備える。複数の照明器具2は、照明器具2a~2dを含む。照明制御システム100において、分電盤1からそれぞれの機器に電力が供給される。
【0011】
スイッチ3aは分電盤1と照明器具2a、2bとの間に接続される。分電盤1から照明器具2a、2bに供給される電力は、スイッチ3aでON、OFFされる。スイッチ3bは分電盤1と照明器具2c、2dとの間に接続される。分電盤1から照明器具2c、2dに供給される電力は、スイッチ3bでON/OFFできる。
【0012】
ここで、スイッチ3a、3bは機械的なスイッチである。スイッチ3a、3bは、照明コントローラ11と通信しない。スイッチ3a、3bは、遠隔操作でON、OFFするスイッチではない。スイッチ3a、3bは、分電盤1と照明器具2a~2dとの間の遮断および接続のみを行うものであっても良い。
【0013】
照明コントローラ11と照明器具2a~2dは、無線通信を行う。照明コントローラ11と照明器具2a~2dの各々は、例えば920MHz無線通信用帯域を用いた双方向無線通信61の送受信機能を持つ。照明コントローラ11と照明器具2a~2dとは、同じ無線チャンネルに設定される。無線チャンネルは、無線通信で使用される周波数帯を示す。
【0014】
照明コントローラ11は、照明器具2a~2dに対して双方向無線通信61により調光信号またはモニタ信号を送信する。調光信号は、例えば照明器具2a~2dに対して調光率の指示を行う信号である。調光信号は、照明器具2a~2dを点灯または消灯させる信号であっても良い。これに限らず、調光信号は照明器具2a~2dの点灯状態を制御する信号であれば良い。
【0015】
モニタ信号は、例えば照明器具2a~2dの調光率または消費電力をモニタする信号である。モニタ信号は、照明器具2a~2dのアドレスをモニタする信号であっても良い。これに限らず、モニタ信号は照明器具2a~2dについての情報をモニタする信号であれば良い。なお、本実施の形態では、照明器具2a~2dは、互いを識別するアドレスを有さない。
【0016】
照明コントローラ11は、双方向無線通信61が到達可能な範囲に設置された照明器具2a~2dの消費電力をモニタし、調光制御することができる。本実施の形態の照明制御システム100には、4台の照明器具2a~2dが設けられている。これに限らず、照明制御システム100に設けられる照明器具2の数は複数であればよい。1台の照明コントローラ11は、例えば数十台~数百台の照明器具2と通信することができる。
【0017】
複数の照明器具2に照明コントローラ11と無線通信できない照明器具2が含まれる場合、無線通信できない照明器具2は照明コントローラ11からの調光信号に従って調光されない。このため、管理者は、照明コントローラ11と無線通信できない照明器具2と、無線通信できる照明器具2とを区別できる。無線通信できない照明器具2は、双方向無線通信61が到達しない位置に設置された照明器具2、照明コントローラ11と無線チャンネルが異なる照明器具2または無線通信機能を有さない照明器具2である。
【0018】
照明制御システム100は、複数の照明コントローラ11を備えても良い。照明コントローラ11を増設することで、照明制御システム100の設置範囲を広げることができる。複数の照明コントローラ11は、それぞれ異なる調光制御またはスケジュール運転を行っても良い。
【0019】
リモコン設定器12は、赤外線通信62により照明コントローラ11と通信する。リモコン設定器12からは、照明コントローラ11のスケジュールの設定等ができる。ここで、スケジュールには、日付、曜日または時間帯に応じた照明器具2の調光率の制御または照明器具2の点灯、消灯の制御が含まれる。照明制御システム100がセンサを含む場合は、スケジュールに、センサの検出情報に応じた調光制御のON、OFFが設定されても良い。
【0020】
図2は、実施の形態1に係るスケジュール設定情報の一例を示す図である。図2は、リモコン設定器12から設定されるスケジュールの一例を示す。図2の例では、時刻毎にシーン番号が割り当てられる。各々のシーン番号には、各種のパラメータが割り当てられる。パラメータには、例えば照明器具2の調光率、照明器具2の点灯、消灯およびセンサの検出情報に応じた調光制御のON、OFFが含まれる。
【0021】
また、図2の例ではスケジュールパターン番号としてパターン1が設定されている。照明コントローラ11には、複数のスケジュールパターンが設定され、日付、曜日等に応じてスケジュールパターンが切り替えられても良い。
【0022】
図3は、実施の形態1に係る照明器具2の構成を示す図である。照明器具2a~2dの構成は、照明器具2と同様である。照明器具2は、光源21と点灯装置22とを備える。点灯装置22は、通信部23、制御部24、電力制御部25および電流電圧計測部26を備える。
【0023】
通信部23は、照明コントローラ11と双方向無線通信61により無線通信を行う。通信部23は、照明コントローラ11から調光信号を受信すると、受信した調光信号を制御部24に伝達する。制御部24は例えばマイコンである。制御部24は、調光信号に応じて電力制御部25を制御する。
【0024】
電力制御部25は、分電盤1から供給された電力を整流および変換して、光源21に供給する電力を生成する。電力制御部25は、例えばスイッチング素子のオンオフにより光源21を点灯させるスイッチング電源回路である。
【0025】
電流電圧計測部26は、電力制御部25の出力電圧および出力電流を検出する。電力制御部25の出力電流は、光源21を流れる電流に該当する。また、電力制御部25の出力電圧は、光源21に印加される電圧に該当する。電流電圧計測部26の検出電圧および検出電流は、制御部24に入力される。制御部24は、検出電圧および検出電流と、調光信号から換算される比較値とが一致するように、電力制御部25を制御する。制御部24は、電力制御部25のスイッチング素子のオンオフを制御する。つまり、制御部24および電力制御部25は、電流電圧計測部26の検出値に基づき、光源21を流れる電流および光源21に印加される電圧をフィードバック制御する。制御部24は、検出電流と、調光信号から換算される比較値とが一致するように、電力制御部25を定電流制御しても良い。
【0026】
また、制御部24は、電流電圧計測部26の検出電圧と検出電流とから、照明器具2の消費電力を算出する。つまり、消費電力測定部は制御部24と電流電圧計測部26とから構成される。このように、複数の照明器具2は、各々が自己の消費電力値を算出する。
【0027】
照明器具2a~2dの各々は、同じ無線チャンネルに設定された照明コントローラ11からの調光信号、モニタ信号等を通信部23で受信する。また、照明器具2a~2dの各々は、照明コントローラ11からのモニタ信号に応じて、通信部23からモニタ応答を送信する。
【0028】
照明コントローラ11と照明器具2a~2dの各々には、ディップスイッチが設けられる。ディップスイッチには、例えば1~10の数字が設定可能である。各々の機器において無線チャンネルの設定は、ディップスイッチを用いて行われる。
【0029】
図4は、実施の形態1に係る照明制御システム100の動作を示す第1のシーケンス図である。図4を用いて、照明器具2a~2dの消費電力値を取得する動作を説明する。照明コントローラ11は、ブロードキャストでモニタ信号を送信する。モニタ信号は、消費電力モニタ要求である。ブロードキャストは、送信先アドレスを指定しない一斉通信である。
【0030】
これにより、照明コントローラ11と同じ無線チャンネルに設定され、無線到達範囲に設置された照明器具2a~2dは、モニタ信号を受信する。照明器具2a~2dの各々は、モニタ信号に応じて、自己の消費電力値を消費電力モニタ応答として無線で送信する。ここで、照明器具2a~2dの各々は、消費電力値を送信する際に送信元アドレスを指定しない。
【0031】
また、消費電力モニタ応答では、送信先アドレスとして、照明コントローラ11のアドレスが指定される。照明器具2a~2dは予め照明コントローラ11のアドレスを記憶している。また、消費電力モニタ応答は送信先アドレスを指定せずブロードキャストで送信されても良い。
【0032】
照明器具2a~2dの各々は、モニタ信号を受信すると、ランダムウェイト時間だけ経過した後に消費電力値を送信する。照明器具2a~2dのランダムウェイト時間は、照明器具2a~2dの消費電力値の送信のタイミングがずれるように、ランダムに設定される。これにより、同時送信による通信の衝突の発生を抑制できる。
【0033】
照明コントローラ11は、照明器具2a~2dから消費電力モニタ応答を受信すると、照明器具2a~2dから受信した複数の消費電力値の和を算出する。この複数の消費電力値の合計値が、複数の照明器具2の全消費電力に該当する。
【0034】
ここで、消費電力モニタ応答には送信元アドレスが付されない。このため、照明コントローラ11は、照明器具2a~2dのうち何れの照明器具2からの応答を受信したかを把握できない。
【0035】
本実施の形態の変形例として、照明コントローラ11は複数の照明器具2に互いを識別するショートアドレスを割り当てても良い。これにより、特定の照明器具2と通信できる。従って、特定のショートアドレスにモニタ信号を送信して、特定の照明器具2を個別にモニタできる。また、照明コントローラ11は消費電力モニタ要求をブロードキャストで送信し、照明器具2a~2dは消費電力モニタ応答に送信元アドレスとして自己のショートアドレスを付して応答しても良い。これにより、照明コントローラ11は、照明器具2a~2dのうち何れの照明器具2からの応答を受信したかを把握できる。
【0036】
照明コントローラ11は、消費電力モニタ要求を定期的に送信しても良い。これにより、照明コントローラ11は複数の照明器具2全体の消費電力を定期的に把握できる。
【0037】
以上から、本実施の形態では、無線通信により容易に消費電力を取得できる。本実施の形態では、照明コントローラ11と照明器具2間の配線が不要である。また、消費電力値を取得するために、分電盤1に電力計等を取り付ける必要がない。従って、照明コントローラ11と照明器具2の通信設定の更新により、工事を行わずに消費電力値を容易に収集できる。
【0038】
また、本実施の形態では、複数の照明器具2に照明コントローラ11と同じ無線チャンネルを設定することで、無線通信が可能になる。このため、複数の照明器具2に個別のアドレスを設定し、登録する必要がない。従って、照明器具2の設定を容易にできる。特に、照明コントローラ11が数十~数百台の照明器具2と通信する場合に、アドレス設定の手間を低減できる。
【0039】
また、本実施の形態では、照明コントローラ11はブロードキャストでモニタ信号を送信し、無線到達範囲に設置された全ての照明器具2から消費電力値を受信する。このため、照明コントローラ11は複数の照明器具2の台数の増減および複数の照明器具2の各々のアドレスを把握する必要がない。従って、照明器具2を追加する場合にも、追加する照明器具2に照明コントローラ11の無線チャンネルを設定することで、照明コントローラ11から複数の照明器具2の全消費電力を把握できる。このように、本実施の形態では照明器具2の増減に左右されず、モニタ信号を送信した時点の消費電力の合計値をモニタできる。
【0040】
次に照明コントローラ11による簡易デマンド制御を説明する。デマンド制御は、複数の照明器具2の全消費電力が上限消費電力を超えないように制御する運転方法である。
【0041】
まず、照明制御システム100の管理者は、リモコン設定器12を操作して、デマンド制御要求を送信する。これにより、リモコン設定器12から照明コントローラ11にデマンド制御要求が送信される。照明コントローラ11は、外部からデマンド制御要求を受信すると、図4に示されるように、消費電力値のモニタ信号を送信する。これにより、照明コントローラ11は照明器具2a~2dから受信した複数の消費電力値の和を算出する。
【0042】
消費電力値の和が予め定められた第1閾値である上限消費電力よりも大きい場合、照明コントローラ11は、調光率を現在の値よりも低く設定する調光率指示である調光信号を照明器具2a~2dにブロードキャストで送信する。上限消費電力は、予めリモコン設定器12から設定される。これにより、照明器具2a~2dの消費電力を抑制できる。また、調光信号をブロードキャストで送信された照明器具2a~2dは、同じ調光率に設定される。
【0043】
照明コントローラ11は、調光信号の送信の後、再度モニタ信号を送信して消費電力値の和を算出する。再度算出した消費電力値の和が上限消費電力よりも大きい場合、照明コントローラ11は、調光率をさらに下げるように調光率指示を行う。このように、照明コントローラ11は、消費電力値の和が上限消費電力よりも小さくなるまで、調光信号の送信と、モニタ信号の送信と、消費電力値の和の算出とを繰り返す。
【0044】
このように、照明コントローラ11は、複数の照明器具2の全消費電力が上限消費電力より低くなるように制御する。調光信号の1回の送信により、照明器具2の調光率は一定値だけ下がるものとしても良い。これに限らず、照明コントローラ11は、現在の全消費電力から、全消費電力が上限消費電力よりも小さくなる調光率を算出し、算出した調光率を調光信号として指示しても良い。
【0045】
また、照明コントローラは、消費電力値の和が、上限消費電力より低く、第2閾値である下限消費電力よりも大きくなるように、調光信号を送信しても良い。下限消費電力は、上限消費電力よりも小さい。これにより、デマンド制御により調光率が下がりすぎることを防止できる。
【0046】
照明コントローラ11には、例えば上限消費電力と消費電力許容誤差とがあらかじめ設定される。デマンド制御時において、照明コントローラ11は照明器具2の全消費電力Pが、上限消費電力≧P≧上限消費電力-消費電力許容誤差となるように、調光率を制御する。上限消費電力-消費電力許容誤差は下限消費電力に相当する。
【0047】
照明コントローラ11は、照明器具2の全消費電力が下限消費電力よりも小さくなった場合、調光率を現在の値よりも高く設定する調光信号を複数の照明器具2に送信しても良い。以上から、複数の照明器具2の全消費電力を予め設定した範囲に制御できる。
【0048】
複数の照明器具2の全消費電力はリモコン設定器12からモニタできても良い。全消費電力は、デマンド制御時に自動でリモコン設定器12に表示されるものとしても良い。また、管理者がリモコン設定器12を操作して、全消費電力をモニタするモニタ信号を照明コントローラ11に送信し、照明コントローラ11はモニタ信号に応じて、算出した全消費電力をリモコン設定器12に送信しても良い。
【0049】
図5は、実施の形態1に係る照明制御システムの動作を示す第2のシーケンス図である。ここでは、スイッチ3a、3bのうちスイッチ3bがオフされている場合の動作について説明する。このとき、照明器具2c、2dに電力が供給されない。従って、照明器具2c、2dは消灯状態である。また、照明器具2c、2dは無線信号の送受信ができない。
【0050】
照明コントローラ11は消費電力モニタ要求をブロードキャストで送信する。これに対し、照明器具2a、2bは消費電力値を応答するが、照明器具2c、2dは消費電力モニタ応答を送信しない。このため、消費電力値の和に照明器具2c、2dの消費電力値は算入されない。つまり、照明コントローラ11は、応答がない照明器具2c、2dは消費電力が無いものとして扱うこととなる。
【0051】
照明コントローラ11の無線到達範囲に設置された照明器具2a~2dのうち、応答がない照明器具2c、2dは、対応するスイッチ3bがオフであり、電力が供給されていないことを意味する。つまり、照明器具2c、2dは動作していないため、消費電力はゼロまたは極めて小さい値である。このため、モニタ信号に対する応答がない照明器具2c、2dの消費電力をゼロと見なしても、実際の消費電力との誤差は小さい。従って、一部の照明器具2が動作していない場合にも正確な全消費電力を算出できる。
【0052】
また、例えば複数の照明器具2のうち無線通信ができない照明器具2が予め把握されている場合には、モニタ信号の応答として取得された消費電力値の和に、無線通信ができない照明器具2の消費電力を足して、全消費電力を算出しても良い。無線通信ができない照明器具2の消費電力は、例えば予め定められた固定値である。
【0053】
また、照明コントローラ11は上限消費電力をスケジュールによって変更しても良い。照明コントローラ11は、太陽光が得られる昼間は、上限消費電力を低く抑えて照明器具2の調光率を低く設定しても良い。また、照明コントローラ11は、夜は上限消費電力を高くして、照明器具2の調光率を高く設定しても良い。
【0054】
また、上限消費電力によるデマンド制御に代えて、目標調光率または上限調光率を用いてデマンド制御を行っても良い。
【0055】
本実施の形態では、上述したように簡易な構成で照明器具2の全消費電力を監視しできる。これにより、容易に消費電力を抑制するデマンド制御を実現できる。これにより、二酸化炭素の削減等の効果を得ることができる。
【0056】
また、本実施の形態では、リモコン設定器12との赤外線通信でデマンド制御ができる。照明制御システム100は、照明コントローラ11に予め設定された情報またはリモコン設定器12から設定された情報に基づき動作する。このように、照明制御システム100は、ネットワークを介して接続された上位機器からの制御が必要なく、スタンドアローンで動作する。このため、本実施の形態では、デマンド制御のために電力監視システムを持つ大規模なシステムを構築する必要がない。従って、簡易に消費電力を抑制できる。
【0057】
本実施の形態では、照明器具2a~2dは個別のアドレスを有さない。照明器具2a~2dには、照明コントローラ11と同じアドレスが割り振られても良い。この場合、照明コントローラ11は、自己と同じアドレスの照明器具2a~2dにモニタ信号を一斉送信する。また、照明器具2a~2dの各々は、自己と同じアドレスの照明コントローラ11に消費電力値を送信する。この場合も、複数の照明器具2に個別のアドレスを設定し、登録する手間を省くことができる。また、照明コントローラ11は照明器具2a~2dの台数およびアドレスを把握する必要がない。
【0058】
図6は、実施の形態1の変形例に係る照明制御システム200の構成を示す図である。照明制御システム200は、通信機器13と設定器14を備える点が、照明制御システム100と異なる。他の構成は、照明制御システム100と同じである。
【0059】
通信機器13は、設備インタフェース機器とも呼ばれる。通信機器13は、通信線63を介して照明コントローラ11と通信する。また、通信機器13は、通信網64を介して接続された設定器14と通信する。通信網64は、例えば有線または無線のLAN(Local Area Network)である。通信機器13は、通信線63を介した通信と、通信網64を介した通信との通信プロトコルを変換する。設定器14は、PCまたはサーバで構成される。
【0060】
照明制御システム200において、照明コントローラ11は取得した全消費電力を、通信機器13を介して設定器14に送信する。これにより、管理者または電力監視機器は、設定器14を介して、照明コントローラ11または通信機器13から離れていても、照明器具2a~2dの全消費電力をモニタできる。電力監視機器は、設定器14でも良いし、設定器14から全消費電力が送信される別の機器でも良い。
【0061】
また、設定器14は、照明器具2a~2dの全消費電力に応じて、照明器具2a~2dの調光率を指示する。これに応じて、照明コントローラ11は設定器14から指示された調光率を照明器具2a~2dに指示する。従って、照明制御システム200の消費電力を制御することができる。
【0062】
このように、設定器14から照明コントローラ11にデマンド制御要求を送信することにより、照明制御システム100と同様にデマンド制御を行うことができる。
【0063】
本実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 分電盤、2、2a~2d 照明器具、3a~3b スイッチ、11 照明コントローラ、12 リモコン設定器、13 通信機器、14 設定器、21 光源、22 点灯装置、23 通信部、24 制御部、25 電力制御部、26 電流電圧計測部、61 双方向無線通信、62 赤外線通信、63 通信線、64 通信網、100、200 照明制御システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6