特許 7351138 ケーブルピット改良方法

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2023-09-19

(45)【発行日】2023-09-27

(54)【発明の名称】ケーブルピット改良方法

(51)【国際特許分類】

   H02G 9/04 20060101AFI20230920BHJP

【ＦＩ】

H02G9/04

【請求項の数】 7

(21)【出願番号】P 2019151269

(22)【出願日】2019-08-21

(65)【公開番号】P2021035117

(43)【公開日】2021-03-01

【審査請求日】2022-07-21

(73)【特許権者】

【識別番号】000211307

【氏名又は名称】中国電力株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100104190

【弁理士】

【氏名又は名称】酒井 昭徳

(72)【発明者】

【氏名】杉本 修治

【審査官】木村 励

(56)【参考文献】

【文献】特開２００２－１９９５３２（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開平８－４９２８５（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１２－２３１６３４（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００２－１７０２９（ＪＰ，Ａ）

【文献】実開平１－１８０１３２（ＪＰ，Ｕ）

【文献】特開２０１７－１１２６９２（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００２－１７０３０（ＪＰ，Ａ）

【文献】米国特許第５４３７０８７（ＵＳ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｈ０２Ｇ ９／０４

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

施設の建物の外に設けられた略直線状の第１溝部と、当該施設の建物と当該第１溝部とをつなぐ略直線状の第２溝部とを有し、当該第１溝部と当該第２溝部とが、当該第１溝部と当該第２溝部が接する第１位置において所定の角度をなし、ケーブルが、当該第１溝部と当該第２溝部に、当該第１位置において屈曲するように敷設されているケーブルピットを改良するにあたり、
前記第１溝部の前記第１位置から所定距離だけ離れた第２位置と、前記第２溝部の前記第１位置から所定距離だけ離れた第３位置とを結ぶ、当該第１溝部よりも底部が高い略直線状の第３溝部を設け、
前記第２溝部における、前記第１位置と前記第３位置との間を埋めることを特徴とするケーブルピット改良方法。

【請求項2】

前記ケーブルを、前記第１溝部から前記第３溝部を経由して前記第２溝部へ敷設することを特徴とする請求項１に記載のケーブルピット改良方法。

【請求項3】

前記第３溝部の両端に、前記第２位置から前記第３位置に渡って、当該第３溝部を形成する所定の高さの第１壁部を設けることを特徴とする請求項１または２に記載のケーブルピット改良方法。

【請求項4】

前記第２溝部の前記第３位置から前記施設の建物までの間の両端に、所定の高さの第２壁部を設けることを特徴とする請求項３に記載のケーブルピット改良方法。

【請求項5】

前記第１壁部と前記第２壁部とを連結する第３壁部を設け、
前記第３壁部によって、前記第２溝部における、前記第１位置と前記第３位置との間を埋めることを特徴とする請求項４に記載のケーブルピット改良方法。

【請求項6】

前記第１溝部の前記第２位置付近の、前記第３溝部が接する一端とは反対の一端の当該第３溝部を設けた位置に対向する位置に、所定の高さの第４壁部を設けることを特徴とする請求項５に記載のケーブルピット改良方法。

【請求項7】

前記第１壁部、前記第２壁部、前記第３壁部および前記第４壁部の上に、当該第１壁部、当該第２壁部、当該第３壁部および当該第４壁部を覆う蓋部材を設けることを特徴とする請求項６に記載のケーブルピット改良方法。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

この発明は、ケーブルを敷設するケーブルピットを改良するケーブルピット改良方法に関する。

【背景技術】

【0002】

従来、制御ケーブルなどのケーブルを敷設する施設の建物外のケーブルピットにおいて、常時、雨水などの流入水は水中ポンプで排水するが、大雨で流入水が多い場合は、排水が追いつかずに、ケーブルピット水位が高くなり、施設の建物内のケーブルピット水位も高くなっていた。施設の建物内のケーブルピットが浸水することで、湿気によって、制御盤類の端子部が発錆したり、制御盤類の端子部にカビが発生したりするなどの悪影響が及ぶおそれがあった。

【0003】

関連する技術として、具体的には、たとえば、ケーブルピット内の配線ラックが、上下方向に延びて上端部に挿通孔ナットが設けられた支柱と、支柱に配設されケーブルを載置する配線棚と、を備えるケーブルピット用配線ラック構造に関する技術がある（たとえば、下記特許文献１を参照。）。

【0004】

また、関連する技術として、具体的には、たとえば、建造物内に設置された屋内電気設備と屋外設置機器との間、或いは該屋外設置機器間を接続するケーブルを布設するケーブルピットにおいて、ケーブルピットは、ケーブルを布設する側溝と、側溝の開口を閉止する蓋と、ケーブルを密着状態で貫通させる貫通穴を有し延焼防止板と、を備え、延焼防止板によってケーブルピット内を複数のブロックに区画するピット内ケーブルの保護構造に関する技術がある（たとえば、下記特許文献２を参照。）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0005】

【文献】特開２０１８－８８７８５号公報

【文献】特開２００７－１５９２４６号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0006】

しかしながら、既設ケーブルピットをそのまま嵩上げして堰を作ったとしても、ケーブルの長さが足りないため、ケーブルが堰を越えることはできない。すでに設置されているケーブルの長さを長くするには、多くの手間と費用がかかってしまう。したがって、従来のケーブルピットをそのまま嵩上げし、堰を作ることは難しいという問題点があった。

【0007】

この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、簡易かつ安価に、外部ケーブルピットから施設の建物内への浸水を防止することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0008】

上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかるケーブルピット改良方法は、施設の建物の外に設けられた略直線状の第１溝部と、当該施設の建物と当該第１溝部とをつなぐ略直線状の第２溝部とを有し、当該第１溝部と当該第２溝部とが、当該第１溝部と当該第２溝部が接する第１位置において所定の角度をなし、ケーブルが、当該第１溝部と当該第２溝部に、当該第１位置において屈曲するように敷設されているケーブルピットを改良するにあたり、前記第１溝部の前記第１位置から所定距離だけ離れた第２位置と、前記第２溝部の前記第１位置から所定距離だけ離れた第３位置とを結ぶ、当該第１溝部よりも底部が高い略直線状の第３溝部を設け、前記第２溝部における、前記第１位置と前記第３位置との間を埋めることを特徴とする。

【0009】

また、この発明にかかるケーブルピット改良方法は、上記発明において、前記ケーブルを、前記第１溝部から前記第３溝部を経由して前記第２溝部へ敷設することを特徴とする。

【0010】

また、この発明にかかるケーブルピット改良方法は、上記発明において、前記第３溝部の両端に、前記第２位置から前記第３位置に渡って、当該第３溝部を形成する所定の高さの第１壁部を設けることを特徴とする。

【0011】

また、この発明にかかるケーブルピット改良方法は、上記発明において、前記第２溝部の前記第３位置から前記施設の建物までの間の両端に、所定の高さの第２壁部を設けることを特徴とする。

【0012】

また、この発明にかかるケーブルピット改良方法は、上記発明において、前記第１壁部と前記第２壁部とを連結する第３壁部を設け、前記第３壁部によって、前記第２溝部における、前記第１位置と前記第３位置との間を埋めることを特徴とする。

【0013】

また、この発明にかかるケーブルピット改良方法は、上記発明において、前記第１溝部の前記第２位置付近の、前記第３溝部が接する一端とは反対の一端に、所定の高さの第４壁部を設けることを特徴とする。

【0014】

また、この発明にかかるケーブルピット改良方法は、上記発明において、前記第１壁部、前記第２壁部、前記第３壁部および前記第４壁部の上に、当該第１壁部、当該第２壁部、当該第３壁部および当該第４壁部を覆う蓋部材を設けることを特徴とする。

【発明の効果】

【0015】

この発明にかかるケーブルピット改良方法によれば、簡易かつ安価に、外部ケーブルピットから施設の建物内への浸水を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【0016】

【図1】この発明にかかる実施の形態のケーブルピット改良方法における改良前のケーブルピットの状態の一例を示す説明図である。

【図2A】この発明にかかる実施の形態のケーブルピット改良方法における改良前のケーブルピットの状態の別の一例を示す説明図である。

【図2B】この発明にかかる実施の形態のケーブルピット改良方法における改良前のケーブルピットの状態の別の一例を示す説明図である。

【図3A】この発明にかかる実施の形態のケーブルピット改良方法における改良後のケーブルピットの状態の一例を示す説明図である。

【図3B】この発明にかかる実施の形態のケーブルピット改良方法における改良後のケーブルピットの状態の別の一例を示す説明図である。

【図4】この発明にかかる実施の形態のケーブルピット改良方法における改良後のケーブルピットの状態の別の一例を示す説明図である。

【図5】この発明にかかる実施の形態のケーブルピット改良方法における改良後のケーブルピットの状態の別の一例を示す説明図である。

【図6】この発明にかかる実施の形態のケーブルピット改良方法における改良後のケーブルピットの状態の別の一例を示す説明図である。

【発明を実施するための形態】

【0017】

以下に添付図面を参照して、この発明にかかるケーブルピット改良方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。

【0018】

（ケーブルピット改良方法の内容）
まず、この発明にかかる実施の形態のケーブルピット改良方法において、改良前のケーブルピットの概要について説明する。図１は、この発明にかかる実施の形態のケーブルピット改良方法における改良前のケーブルピットの状態の一例を示す説明図である。図１は、通常の使用状態におけるケーブルピットの外観を鉛直方向上側から下側に向かって見た図である。図２Ａは、この発明にかかる実施の形態のケーブルピット改良方法における改良前のケーブルピットの状態の別の一例を示す説明図である。図２Ａ（ａ）は、図１と同様に、ケーブルピットの外観を鉛直方向上側から下側に向かって見た図であり、図１において、蓋部材１５０を取り外した状態を示しており、かつ、ケーブル１６０の記載を省略している。また、図２Ａ（ｂ）は、図２Ａ（ａ）において、Ｘａ－Ｘａのラインを矢印Ａ方向から略水平方向に見た、第１溝部１０１の側壁面の状態を示している。図２Ｂは、この発明にかかる実施の形態のケーブルピット改良方法における改良前のケーブルピットの状態の別の一例を示す説明図である。図２Ｂも、図１、図２Ａ（ａ）と同様に、ケーブルピットの外観を鉛直方向上側から下側に向かって見た図である。図２Ｂは、図１において、蓋部材１５０を取り外した状態であり、ケーブルピットにケーブル１６０が敷設されている状況を示している。

【0019】

図１、図２Ａ、図２Ｂにおいて、符号１００は、施設の建物であり、符号１００ａは、施設の建物１００の壁面（ケーブル取込口）である。符号１０１は、第１溝部であり、符号１０１ａは、第１溝部１０１の側壁面である。符号１０２は、第２溝部である。符号１１１は、第１位置である。符号１５０は、蓋部材である。符号１６０は、ケーブルである。符号１７０は、第１溝部の底部を示している。符号１８０は、第１溝部の上部を示している。各図において、同一の符号は、同一の構成部である。これは、図３Ａ、図３Ｂ、図４、図５、図６においても、同様である。

【0020】

改良前のケーブルピットは、図２Ａ（ａ）に示すように、施設の建物１００の外に設けられた略直線状の第１溝部１０１と、施設の建物１００と第１溝部１０１とをつなぐ略直線状の第２溝部１０２とを有する。第１溝部１０１と第２溝部１０２とは、第１溝部１０１と第２溝部１０２が接する第１位置１１１において所定の角度（図２Ａ（ａ）においては、略直角（約９０度））をなしている。また、図２Ａ（ｂ）に示すように、第１溝部１０１の側壁面１０１ａは、底部１７０から上部１８０までの深さを有している。また、第１位置１１１付近では、第２溝部１０２を通して、施設の建物１００の壁面１００ａが見えている。施設の建物１００の壁面１００ａは、ケーブル１６０を施設の建物１００に取り込むためのケーブル取込口であってもよい。通常、運用されているケーブルピットにおいては、図１における蓋部材１５０を取り外すと、図２Ｂに示すように、ケーブル１６０が、第１溝部１０１と第２溝部１０２に、第１位置１１１において屈曲するように敷設されている。そして、ケーブル１６０は、第２溝部１０２を通って、施設の建物１００内（のケーブルピット）に取り込まれている。この状態においては、第１溝部１０１の深さも第２溝部１０２の深さも、底部１７０の位置となっているため、降雨により雨水がたまる。そして、排水作業をおこなわなかった場合には、雨水が第２溝部１０２を通って施設の建物１００内に浸水する場合がある。

【0021】

つぎに、この発明にかかる実施の形態のケーブルピット改良方法において、改良後のケーブルピットの概要について説明する。図３Ａは、この発明にかかる実施の形態のケーブルピット改良方法における改良後のケーブルピットの状態の一例を示す説明図である。図３Ａ（ａ）は、図１、図２Ａ（ａ）、図２Ｂと同様に、ケーブルピットの外観を鉛直方向上側から下側に向かって見た図であり、ケーブル１６０の記載を省略している。また、図３Ａ（ｂ）は、図３Ａ（ａ）において、Ｘｂ－Ｘｂのラインを矢印Ｂ方向から略水平方向に見た第１溝部１０１の側壁面の状態を示している。また、図３Ａ（ｃ）は、図３Ａ（ａ）において、Ｘｃ－Ｘｃのラインを矢印Ｃ方向から略水平方向に見た第１溝部１０１の第４壁部１２４の側面の状態を示している。図３Ｂは、この発明にかかる実施の形態のケーブルピット改良方法における改良後のケーブルピットの状態の別の一例を示す説明図である。図３Ｂも、図１、図２Ａ（ａ）、図２Ｂ、図３Ａ（ａ）と同様に、ケーブルピットの外観を鉛直方向上側から下側に向かって見た図である。図３Ｂは、図３Ａ（ａ）において、ケーブルピットにケーブル１６０が敷設されている状況を示している。図４は、この発明にかかる実施の形態のケーブルピット改良方法における改良後のケーブルピットの状態の別の一例を示す説明図である。図４も、図１、図２Ａ（ａ）、図２Ｂ、図３Ａ（ａ）、図３Ｂと同様に、ケーブルピットの外観を鉛直方向上側から下側に向かって見た図である。図４は、図３Ｂにおいて、蓋部材１５０、１５１を第１溝部１０１、第２溝部１０２、第３溝部１０３に被せた状態を示している。図５は、この発明にかかる実施の形態のケーブルピット改良方法における改良後のケーブルピットの状態の別の一例を示す説明図である。図５は、図３Ａ（ａ）において、所定の高さの地点から矢印Ｃ方向に見た俯瞰図である。図６は、この発明にかかる実施の形態のケーブルピット改良方法における改良後のケーブルピットの状態の別の一例を示す説明図である。図６は、図４において、所定の高さの地点から矢印Ｄ方向に見た俯瞰図である。

【0022】

図３Ａ、図３Ｂ、図４、図５、図６において、符号１０３は、第３溝部である。符号１１２は、第２位置である。符号１１３は、第３位置である。符号１２１は、第１壁部であり、符号１２１ａ～１２１ｅは、第１壁部１２１の側面である。符号１２２は、第２壁部である。符号１２３は、第３壁部であり、符号１２３ａは、第３壁部１２３の側面である。符号１２４は、第４壁部であり、符号１２４ａは、第４壁部１２４の側面である。符号１５１は、蓋部材である。符号１５２は、アンカーボルトである。符号１９０は、第３溝部の底部である。各図において、同一の符号は、同一の構成部である。

【0023】

図３Ａ（ａ）などに示すように、第１溝部１０１の第１位置１１１から所定距離だけ離れた位置を、第２位置１１２とし、第２溝部１０２の第１位置１１１から所定距離だけ離れた位置を、第３位置１１３とする。そして、その第２位置１１２と第３位置１１３とを結ぶ略直線状の第３溝部１０３を設ける。この第３溝部１０３が斜めのルートのショートカットの新規ケーブルピットとなる。図３Ｂに示すように、この第３溝部１０３にケーブル１６０を敷設することによって、ショートカットとなっている分、ケーブル１６０を、第１溝部１０１と第２溝部１０２に、第１位置１１１において屈曲するように敷設するよりも、ケーブル１６０のケーブル長を余らせることができる。また、図３Ａ（ｂ）などに示すように、第３溝部１０３の底部１９０は、第１溝部１０１の底部１７０よりも、高くなる、すなわち、深度が浅くなるように構成されている。このようにして、第３溝部１０３は、底部１９０が、第１溝部１０１の底部１７０より嵩上げされ、堰として形成されている。このように、ケーブル１６０を、第１溝部１０１から第３溝部１０３を経由して第２溝部１０２へ敷設するので、ケーブル１６０を張替えることなく、ケーブルピットの嵩上げを可能にすることができる。したがって、第１溝部１０１に浸水した水の水位が、底部１９０の高さに達しなければ、第３溝部１０３からの施設の建物１００への浸水は生じない。

【0024】

また、第２溝部１０２において、第１位置１１１と第３位置１１３との間の溝部分を埋めるようにする。具体的には、たとえば、後述する第３壁部１２３によって、第２溝部１０２における、第１位置１１１と第３位置１１３との間の溝部分を埋めるようにしてもよい。これによって、第３壁部１２３が堰となって、第２溝部１０２からの浸水を防止することができる。このように、その斜めのルートである第３溝部１０３の底部１９０を嵩上げして堰として、そこにケーブル１６０を敷設し、改良前のルートを埋めることによって、ケーブル１６０の長さを変えなくても、新たな斜めのルートの堰部分を越えることができる。これにより、ケーブル長の不足の問題を解消することができる。そして、大雨で屋外のケーブルピットの水位が上昇しても、施設の建物のケーブルピットが浸水しないようにすることができる。

【0025】

また、図３Ａ（ａ）、図３Ｂ、図５などに示すように、第３溝部１０３の両端に、第２位置１１２から第３位置１１３に渡って、第３溝部１０３を形成する所定の高さの第１壁部１２１を設けるようにしてもよい。図３Ａ（ａ）、図３Ａ（ｂ）、図５などに示すように、符号１２１ａ、１２１ｂは、それぞれ、第１壁部１２１の側面を示している。これにより、第３溝部１０３の底部１９０を嵩上げしても、第３溝部１０３におけるケーブル１６０を敷設する空間を確保することができる。

【0026】

また、第２溝部１０２の第３位置１１３から施設の建物１００までの間の両端に、所定の高さの第２壁部１２２を設けるようにしてもよい。第２壁部１２２の高さは、第１壁部１２１の高さと同じにするとよい。これにより、第１壁部１２１との高さを調整でき、蓋部材１５１を安定して被せることができる。

【0027】

また、第１壁部１２１と第２壁部１２２とを連結する第３壁部１２３を設けるようにしてもよい。図３Ａ（ａ）、図３Ａ（ｂ）、図５などにおいて、符号１２３ａは、第３壁部１２３の側面を示している。そして、図３Ａ（ａ）、図３Ａ（ｂ）、図５などに示すように、第３壁部１２３によって、第２溝部１０２における、第１位置１１１と第３位置１１３との間を埋めるようにしてもよい。これにより、第３壁部１２３が堰となって、第２溝部１０２からの浸水を防止することができる。

【0028】

また、第１溝部１０１の第２位置１１２付近の、第３溝部１０３が接する一端とは反対の一端に、所定の高さの第４壁部１２４を設けるようにしてもよい。図３Ａ（ａ）、図３Ａ（ｃ）、図５などにおいて、符号１２４ａは、第４壁部１２４の側面を示している。第４壁部１２４の高さは、第１壁部１２１の高さと同じにするとよい。これにより、第１壁部１２１との高さを調整でき、蓋部材１５１を安定して被せることができる。

【0029】

また、図６に示すように、第１壁部１２１、第２壁部１２２、第３壁部１２３および第４壁部１２４の上に、第１壁部１２１、第２壁部１２２、第３壁部１２３および第４壁部１２４を覆う蓋部材１５１を設けるようにしてもよい。蓋部材１５１は、たとえば、アンカーボルト１５２などを用いて蓋部材１５１がずれないように、第１壁部１２１、第２壁部１２２、第３壁部１２３および第４壁部１２４に、それぞれ固定するようにするとよい。そして、それ以外の第１溝部１０１および第２溝部１０２には、改良前と同様に、蓋部材１５０を設けるようにするとよい。これにより、嵩上げされた第３溝部１０３に敷設されたケーブル１６０を確実に保護することができる。

【0030】

また、図２Ａ（ａ）、図２Ａ（ｂ）に示した施設の建物１００の壁面（ケーブル取込口）１００ａには、小動物侵入防止柵を取り付けるようにしてもよい。これにより、施設の建物１００内に小動物が侵入するのを防止することができる。

【0031】

以上説明したように、この発明にかかる実施の形態のケーブルピット改良方法は、施設の建物１００の外に設けられた略直線状の第１溝部１０１と、施設の建物１００と第１溝部１０１とをつなぐ略直線状の第２溝部１０２とを有し、第１溝部１０１と第２溝部１０２とが、第１溝部１０１と第２溝部１０２が接する第１位置１１１において所定の角度をなし、ケーブル１６０が、第１溝部１０１と第２溝部１０２に、第１位置１１１において屈曲するように敷設されているケーブルピットを改良するにあたり、第１溝部１０１の第１位置１１１から所定距離だけ離れた第２位置１１２と、第２溝部１０２の第１位置１１１から所定距離だけ離れた第３位置１１３とを結ぶ、第１溝部１０１よりも底部１７０が高い略直線状の第３溝部１０３を設け、第２溝部１０２における、第１位置１１１と第３位置１１３との間を埋めるので、新規ケーブルピットは、第３溝部１０３による斜めのルートになる。その分、ケーブル１６０のケーブル長を余らせることができる。その斜めのルートの部分を嵩上げして堰として、そこにケーブル１６０を敷設することによって、ケーブル１６０の長さを変えなくても、新たな斜めのルートの堰部分を越えることができる。これにより、ケーブル長の不足の問題も解消することができ、大雨で屋外のケーブルピットの水位が上昇しても、施設の建物１００のケーブルピットが浸水しないようにすることができる。

【0032】

また、この発明にかかる実施の形態のケーブルピット改良方法は、ケーブル１６０を、第１溝部１０１から第３溝部１０３を経由して第２溝部１０２へ敷設するので、ケーブル１６０を張替えることなく、ケーブルピットの嵩上げを可能にすることができる。

【0033】

また、この発明にかかる実施の形態のケーブルピット改良方法は、第３溝部１０３の両端に、第２位置１１２から第３位置１１３に渡って、第３溝部１０３を形成する所定の高さの第１壁部１２１を設けるので、底部１９０を嵩上げしても、第３溝部１０３におけるケーブル１６０を敷設する空間を確保することができる。

【0034】

また、この発明にかかる実施の形態のケーブルピット改良方法は、第２溝部１０２の第３位置１１３から施設の建物１００までの間の両端に、所定の高さの第２壁部１２２を設けるので、第１壁部１２１との高さを調整でき、蓋部材１５１を安定して被せることができる。

【0035】

また、この発明にかかる実施の形態のケーブルピット改良方法は、第１壁部１２１と第２壁部１２２とを連結する第３壁部１２３を設け、第３壁部１２３によって、第２溝部１０２における、第１位置１１１と第３位置１１３との間を埋めるので、第３壁部１２３が堰となって、第２溝部１０２からの浸水を防止することができる。

【0036】

また、この発明にかかる実施の形態のケーブルピット改良方法は、第１溝部１０１の第２位置１１２付近の、第３溝部１０３が接する一端とは反対の一端に、所定の高さの第４壁部１２４を設けるので、第１壁部１２１との高さを調整でき、蓋部材１５１を安定して被せることができる。

【0037】

また、この発明にかかる実施の形態のケーブルピット改良方法は、第１壁部１２１、第２壁部１２２、第３壁部１２３および第４壁部１２４の上に、第１壁部１２１、第２壁部１２２、第３壁部１２３および第４壁部１２４を覆う蓋部材１５１を設けるので、嵩上げされた第３溝部１０３に敷設されたケーブル１６０を確実に保護することができる。

【0038】

この発明にかかるケーブルピット改良方法によれば、簡易かつ安価に、外部ケーブルピットから施設の建物内への浸水を防止することができる。

【産業上の利用可能性】

【0039】

以上のように、この発明にかかるケーブルピット改良方法は、ケーブルを敷設するケーブルピットを改良するケーブルピット改良方法に有用であり、特に、外部ケーブルピットから施設の建物内への浸水を防止するのに適している。

【符号の説明】

【0040】

１００ 施設の建物
１００ａ （施設の建物の）壁面（ケーブル取込口）
１０１ 第１溝部
１０１ａ （第１溝部の）側壁面
１０２ 第２溝部
１０３ 第３溝部
１１１ 第１位置
１１２ 第２位置
１１３ 第３位置
１２１ 第１壁部
１２１ａ～１２１ｅ （第１壁部の）側面
１２２ 第２壁部
１２３ 第３壁部
１２３ａ （第３壁部の）側面
１２４ 第４壁部
１２４ａ （第４壁部の）側面
１５０、１５１ 蓋部材
１５２ アンカーボルト
１６０ ケーブル
１７０ 第１溝部の底部
１８０ 第１溝部の上部
１９０ 第３溝部の底部

【図1】

【図2A】

【図2B】

【図3A】

【図3B】

【図4】

【図5】

【図6】