(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】電磁継電器
(51)【国際特許分類】
H01H 50/30 20060101AFI20230920BHJP
H01H 1/50 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
H01H50/30 B
H01H1/50
(21)【出願番号】P 2019167423
(22)【出願日】2019-09-13
【審査請求日】2022-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】川口 直樹
(72)【発明者】
【氏名】箕輪 亮太
(72)【発明者】
【氏名】針持 裕之
(72)【発明者】
【氏名】小川 真一
(72)【発明者】
【氏名】大塚 航平
(72)【発明者】
【氏名】岩坂 博之
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-120751(JP,U)
【文献】特開昭56-121232(JP,A)
【文献】特開平10-154452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 45/00 - 47/36
H01H 50/00 - 50/92
H01H 1/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定端子と、
固定端子に接続された固定接点と、
前記固定端子に対して開方向と閉方向とに移動可能な可動接触片と、
前記可動接触片に接続され、前記固定接点に向かい合って配置された可動接点と、
前記可動接触片を移動させる電磁力を発生させるコイルと、
前記コイルへの電流を制御する駆動回路と、
前記可動接点と前記固定接点における電圧を検出する接点電圧検出ユニットと、
を備え、
前記駆動回路は、
前記コイルに電流を流す開始時点から、前記可動接点の前記固定接点への接触時点の前までの期間を含む第1期間において、第1上昇速度で前記電流を上昇させ、
前記接触時点後の期間を含む第2期間において、前記第1上昇速度よりも大きい第2上昇速度で前記電流を上昇させ
、
前記駆動回路は、前記接点電圧検出ユニットが検出した電圧から前記接触時点を検出する、
電磁継電器。
【請求項2】
前記駆動回路は、前記第2期間後の第3期間において、前記第1期間中の電流値よりも高い電流値で前記コイルへの電流を保持する、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項3】
前記駆動回路は、前記第3期間後の第4期間において、前記第3期間中の電流値よりも低い電流値に前記コイルへの電流を低減する、
請求項2に記載の電磁継電器。
【請求項4】
前記第1期間は、前記第2期間よりも長い、
請求項1から3のいずれかに記載の電磁継電器。
【請求項5】
前記駆動回路は、前記接点電圧検出ユニットが検出した電圧に基づいて前記第2期間を開始する、
請求項
1から4のいずれかに記載の電磁継電器。
【請求項6】
前記可動接触片に接続される可動機構と、
前記可動機構に接続され、前記コイルから発生する電磁力によって移動する可動鉄心と、
をさらに備え、
前記第1期間は、前記開始時点から前記可動鉄心が動き出すまでの期間を含む、
請求項1から
5のいずれかに記載の電磁継電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電磁継電器に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁継電器には、接点接触後にコイルへの電流を低減することで、接点保持時における消費電力を低減するものがある。例えば、特許文献1の電磁継電器では、PWM(Pulse Width Modulation)制御によりコイル電圧を制御している。詳細には、接点の駆動開始から接点の接触完了での間、コイル電圧のデューティー比が100%に設定される。そして、接点の保持時には、デューティー比が低減される。それにより、接点保持時にコイルへの電流が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した電磁継電器では、接点接触前に大きな電流がコイルを流れる。そのため、接点の衝突エネルギーが大きくなることで、接点接触時のバウンスが大きくなってしまう。本開示の目的は、電磁継電器において、接点接触時のバウンスを低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様に係る電磁継電器は、固定端子と、固定接点と、可動接触片と、可動接点と、コイルと、駆動回路とを備える。固定接点は、固定端子に接続される。可動接触片は、固定端子に対して開方向と閉方向とに移動可能である。可動接点は、可動接触片に接続され、固定接点に向かい合って配置される。コイルは、可動接触片を移動させる電磁力を発生させる。駆動回路は、コイルへの電流を制御する。駆動回路は、第1期間において、第1上昇速度で電流を上昇させる。第1期間は、コイルに電流を流す開始時点から、可動接点の固定接点への接触時点の前までの期間を含む。駆動回路は、第2期間において、第1上昇速度よりも大きい第2上昇速度で電流を上昇させる。第2期間は、接触時点後の期間を含む。
【0006】
本態様に係る電磁継電器では、第1期間では、第2期間よりも遅い上昇速度でコイルに電流が流れる。そのため、接点の衝突エネルギーが低減される。それにより、接点のバウンスが低減される。また、第2期間では、第1期間よりも早い上昇速度でコイルに電流が流れる。そのため、可動接点の固定接点への押付け力が増大する。それにより、接点のバウンスがさらに低減される。
【0007】
駆動回路は、第2期間後の第3期間において、第1期間中の電流値よりも高い電流値でコイルへの電流を保持してもよい。この場合、接点のバウスンスを迅速に収束させて、安定的に接点を互いに接触させることができる。
【0008】
駆動回路は、第3期間後の第4期間において、第3期間中の電流値よりも低い電流値にコイルへの電流を低減してもよい。この場合、接点保持時における消費電力が低減される。
【0009】
第1期間は第2期間よりも長くてもよい。この場合、コイルへの電流をゆっくりと上昇させることで、接点の衝突エネルギーを低減することができる。
【0010】
電磁継電器は、接点電圧検出ユニットをさらに備えてもよい。接点電圧検出ユニットは、可動接点と固定接点とにおける電圧を検出してもよい。駆動回路は、接点電圧検出ユニットが検出した電圧から接触時点を検出してもよい。この場合、可動接点における電圧から接点の接触を精度よく検出することができる。
【0011】
駆動回路は、接点電圧検出ユニットが検出した電圧に基づいて第2期間を開始してもよい。この場合、接点の接触時点に応じて、第2期間を適切に開始することができる。
【0012】
電磁継電器は、可動機構と可動鉄心とをさらに備えてもよい。可動機構は、可動接触片に接続されてもよい。可動鉄心は、可動機構に接続され、コイルから発生する電磁力によって移動してもよい。第1期間は、開始時点から可動鉄心が動き出すまでの期間を含んでもよい。この場合、可動鉄心が動き出すまでコイルへの電流をゆっくりと上昇させることで、接点の衝突エネルギーを低減することができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、電磁継電器において、接点接触時のバウンスを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係る開状態の電磁継電器を示す側面断面図である。
【
図2】閉状態の電磁継電器を示す側面断面図である。
【
図4】駆動回路による電磁継電器の制御を示すタイミングチャートである。
【
図5】変形例に係る電磁継電器を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して実施形態に係る電磁継電器1について説明する。
図1は実施形態に係る電磁継電器1を示す側面断面図である。
図1に示すように、電磁継電器1は、接点装置2と、ハウジング3と、駆動装置4とを備える。
【0016】
なお、以下の説明において、上下左右の各方向は、
図1における上下左右の各方向を意味するものとする。詳細には、駆動装置4から接点装置2に向かう方向が、上方と定義される。接点装置2から駆動装置4に向かう方向が、下方と定義される。
図1において、上下方向に交差する方向が、左右方向と定義される。上下方向および左右方向に交差する方向が、前後方向と定義される。前後方向は、
図1の紙面に垂直な方向である。ただし、これらの方向は、説明の便宜上、定義されるものであって、電磁継電器1の配置方向を限定するものではない。
【0017】
接点装置2は、ハウジング3内に配置されている。接点装置2は、可動機構10と、第1固定端子11と、第2固定端子12と、可動接触片13と、第1固定接点14と、第2固定接点15と、第1可動接点16と、第2可動接点17とを含む。第1固定端子11と第2固定端子12とは、例えば銅、或いは銅合金などの導電性を有する材料製である。第1固定接点14は、第1固定端子11に接続されている。第2固定接点15は、第2固定端子12に接続されている。第1固定接点14と第2固定接点15とは、左右方向に互いに離れて配置されている。
【0018】
第1固定端子11は、第1接点支持部21と第1外部端子部22とを含む。第1接点支持部21は、可動接触片13と向かい合っている。第1固定接点14は、第1接点支持部21に接続されている。第1外部端子部22は、第1接点支持部21に接続されている。第1外部端子部22は、ハウジング3から外方に突出している。
【0019】
第2固定端子12は、第2接点支持部23と第2外部端子部24とを含む。第2接点支持部23は、可動接触片13と向かい合っている。第2固定接点15は、第2接点支持部23に接続されている。第2外部端子部24は、第2接点支持部23に接続されている。第2外部端子部24は、ハウジング3から外方に突出している。詳細には、第1外部端子部22と第2外部端子部24とは、ハウジング3から上方に突出している。
【0020】
可動接触片13は、左右方向に延びている。可動接触片13は、上下方向において、第1固定端子11の第1接点支持部21と、第2固定端子12の第2接点支持部23とに向かい合って配置されている。可動接触片13は、閉方向Z1と開方向Z2とに移動可能に配置されている。閉方向Z1は、可動接触片13が第1固定端子11および第2固定端子12に近接する方向(
図1における上方)である。開方向Z2は、可動接触片13が第1固定端子11および第2固定端子12から開離する方向(
図1における下方)である。
【0021】
第1可動接点16と第2可動接点17とは、可動接触片13に接続されている。第1可動接点16と第2可動接点17とは、左右方向に互いに離れて配置されている。第1可動接点16は、上下方向において第1固定接点14に向かい合っている。第2可動接点17は、上下方向において第2固定接点15に向かい合っている。
【0022】
可動機構10は、可動接触片13を支持している。可動機構10は、可動接触片13と共に、閉方向Z1と開方向Z2とに移動可能に配置されている。可動機構10は、駆動軸19と、第1保持部材25と、第2保持部材26と、接点バネ27とを含む。駆動軸19は、上下方向に延びている。駆動軸19は、可動接触片13に接続されている。駆動軸19は、可動接触片13から下方に延びている。可動接触片13には、孔13aが設けられている。駆動軸19は孔13aに挿入されている。可動接触片13は、駆動軸19に対して、閉方向Z1と開方向Z2とに相対的に移動可能である。
【0023】
駆動軸19は、閉位置と開位置とに移動可能に設けられる。
図1は、開位置の駆動軸19を示している。
図1に示すように、駆動軸19が開位置で、可動接点16,17は、固定接点14,15から開離している。
図2は、閉位置の駆動軸19を示している。
図2に示すように、駆動軸19が閉位置で、可動接点16,17は、固定接点14,15と接触している。
【0024】
第1保持部材25は、駆動軸19に固定されている。接点バネ27は、可動接触片13と第1保持部材25との間に配置される。接点バネ27は、可動接点16,17が固定接点14,15に接触している状態で、可動接触片13を閉方向Z1に付勢する。第2保持部材26は、駆動軸19に固定されている。可動接触片13は、第2保持部材26と接点バネ27との間に位置している。
【0025】
駆動装置4は、電磁力によって可動接触片13を動作させる。駆動装置4は、閉方向Z1および開方向Z2に可動機構10を移動させる。それにより、駆動装置4は、閉方向Z1および開方向Z2に可動接触片13を移動させる。駆動装置4は、可動鉄心31と、コイル32と、固定鉄心33と、ヨーク34と、復帰バネ35とを含む。
【0026】
可動鉄心31は、駆動軸19に接続されている。可動鉄心31は、閉方向Z1および開方向Z2に移動可能に設けられている。コイル32は、通電されることで可動鉄心31を閉方向Z1に移動させる電磁力を発生させる。固定鉄心33は、可動鉄心31と向かい合って配置されている。復帰バネ35は、可動鉄心31と固定鉄心33との間に配置されている。復帰バネ35は、可動鉄心31を開方向Z2に付勢している。
【0027】
ヨーク34は、コイル32を囲むように配置されている。ヨーク34は、コイル32によって構成される磁気回路上に配置されている。ヨーク34は、コイル32の上方と、コイル32の側方と、コイル32の下方とに配置されている。
【0028】
次に、電磁継電器1の動作について説明する。コイル32に通電されていないときには、駆動装置4は励磁されていない。この場合、駆動軸19は、可動鉄心31と共に、復帰バネ35の弾性力によって開方向Z2に押圧されている。そのため、駆動軸19は、
図1に示す開位置に位置している。この状態で、可動機構10を介して、可動接触片13も開方向Z2に押圧されている。従って、駆動軸19が開位置で、第1可動接点16および第2可動接点17は、第1固定接点14および第2固定接点15から開離している。
【0029】
コイル32に通電されると、駆動装置4が励磁される。この場合、コイル32の電磁力により、可動鉄心31が、復帰バネ35の弾性力に抗して、閉方向Z1に移動する。それにより、駆動軸19と可動接触片13とが共に閉方向Z1に移動する。従って、
図2に示すように、駆動軸19は、閉位置へ移動する。その結果、
図2に示すように、駆動軸19が閉位置で、第1可動接点16および第2可動接点17は、第1固定接点14および第2固定接点15にそれぞれ接触する。
【0030】
コイル32への電流が停止され消磁されると、可動鉄心31は、復帰バネ35の弾性力によって開方向Z2に押圧される。それにより、駆動軸19と可動接触片13とが共に開方向Z2に移動する。従って、
図1に示すように、可動機構10は、開位置へ移動する。その結果、可動機構10が開位置で、第1可動接点16および第2可動接点17は、第1固定接点14および第2固定接点15から開離する。
【0031】
上記のようなコイル32への電流の制御は、
図3に示す駆動回路41によって行われる。電磁継電器1は、駆動回路41を備えている。駆動回路41は、外部からの制御信号に応じて、電磁継電器1を開状態と閉状態とに切り換える。駆動回路41は、コイル32に供給されるコイル電流とコイル電圧とを制御する。詳細には、駆動回路41は、PWM(Pulse Width Modulation)制御によりコイル電圧を制御する。
【0032】
駆動回路41は、電源回路42と、制御回路43と、スイッチング回路44と、還流回路45と、コイル電圧センサ46と、コイル電流センサ47と、接点電圧検出ユニット48とを含む。電源回路42は、図示しない外部の電源に接続される。電源回路42は、例えばスイッチを含む。電源回路42は、外部からの制御信号によって制御され、駆動回路41への電力のオン/オフを切り換える。
【0033】
制御回路43は、例えばプロセッサを含む。制御回路43は、スイッチング回路44にパルス信号を出力する。スイッチング回路44は、例えば、MOS-FET(Metal Oxide Semiconductor-Field Effect Transistor)などの半導体スイッチング素子を含む。スイッチング回路44は、制御回路43からのパルス信号に応じて、電源回路42からコイル32に入力される電圧のオン/オフを切り換える。
【0034】
還流回路45は、コイル32に並列に接続されている。還流回路45は、例えばダイオード素子を含む。コイル電圧センサ46は、コイル電圧を検出する。コイル電圧センサ46は、コイル電圧を示す信号を制御回路43に入力する。コイル電流センサ47は、コイル電流を検出する。コイル電流センサ47は、コイル電流を示す信号を制御回路43に入力する。接点電圧検出ユニット48は、接点電圧を検出する。接点電圧は、接点14-17間の電圧である。接点電圧検出ユニット48は、例えば、電圧センサである。ただし、接点電圧検出ユニット48は、フォトカプラなどの他の検出装置であってもよい。接点電圧検出ユニット48は、接点電圧を示す信号を制御回路43に入力する。
【0035】
図4は、駆動回路41による電磁継電器1の制御を示すタイミングチャートである。
図4(a)は、外部からの制御信号を示す。制御信号がオフを示すときには、電磁継電器1は開状態となる。制御信号がオンを示すときには、電磁継電器1は閉状態となる。
図4(b)は、コイル電圧信号を示している。コイル電圧信号は、コイル電圧を示す。
図4(c)は、コイル電流を示している。
図4(d)は、接点信号を示している。接点信号は、接点電圧を示す。電磁継電器1が開状態では、接点信号はオフを示す。電磁継電器1が閉状態では、接点信号はオンを示す。
【0036】
時間T0において、制御信号はオフである。従って、駆動回路41は、コイル32に電圧を印加せず、コイル32には電流が流れない。そのため、電磁継電器1は開状態であり、接点信号はオフを示す。
【0037】
時間T1において制御信号がオンに変わると、駆動回路41は、第1期間T1-T2において、電圧値V1且つデューティー比A1のコイル電圧信号をコイル32に印加する。デューティー比A1は、100%よりも小さい。それにより、第1期間T1からコイル32に電流が流れ始め、第1期間T1-T2において、コイル電流が第1上昇速度で上昇する。コイル電流の上昇速度は、単位時間当たりの電流の増加量を示す。従って、第1上昇速度は、
図4(c)において、第1期間T1-T2におけるコイル電流の傾きを示す。
【0038】
第1期間T1-T2において、コイル32に通電されることで、駆動装置4が励磁される。それにより、第1期間T1-T2において、可動鉄心31が閉方向Z1に動き出し、可動接点16,17が閉方向Z1に移動する。時間T2において、可動接点16,17が固定接点14,15に接触する。駆動回路41は、コイル電圧センサ46が検出した接点電圧から、接点14-17の接触を検出する。このとき、コイル電流は、電流値I1である。
【0039】
駆動回路41は、接点14-17の接触を検出すると、第2期間T2-T3において、電圧値V2且つデューティー比A2のコイル電圧信号をコイル32に印加する。デューティー比A2は、デューティー比A1よりも大きい。例えば、デューティー比A2は、100%である。ただし、デューティー比A2は100%より小さくてもよい。電圧値V2は、電圧値V1よりも大きい。それにより、第2期間T2-T3において、コイル電流が第2上昇速度で上昇する。第2上昇速度は、第1上昇速度よりも大きい。なお、第2期間T2-T3は、第1期間T1-T2よりも短い。すなわち、第1期間T1-T2は、第2期間T2-T3よりも長い。
【0040】
時間T3において、コイル電流が電流値I2に到達すると、駆動回路41は、コイル電圧を電圧値V1まで低下させる。駆動回路41は、第3期間T3-T4においてコイル電圧を電圧値V1に保持する。駆動回路41は、第3期間T3-T4において、電圧値V1且つデューティー比A3のコイル電圧信号をコイル32に印加する。デューティー比A3は、デューティー比A1よりも大きい。デューティー比A3は、例えば100%である。ただし、デューティー比A3は、100%より小さくてもよい。
【0041】
第3期間T3-T4において、コイル電流が電流値I2に保持される。電流値I2は、電流値I1よりも大きい。このように、第2期間T2-T3及び第3期間T3-T4において、コイル電流が急速に上昇して高い電流値I2に保持されることで、可動接点16,17の固定接点14,15への押付け力が増大する。それにより、第2期間T2-T3および第3期間T3-T4において、可動接点16,17のバウンスが低減される。
【0042】
時間T3から所定時間が経過すると、時間T4以降の第4期間において、駆動回路41は、電圧値V1且つデューティー比A4のコイル電圧信号をコイル32に印加する。デューティー比A4は、100%よりも小さい。デューティー比A4は、デューティー比A1よりも小さい。それにより、接点14-17が閉状態に保持されている間の消費電力が低減される。
【0043】
以上説明した本実施形態に係る電磁継電器1では、第1期間T1-T2では、第2期間T2-T3よりも遅い上昇速度でコイル32に電流が流される。そのため、接点14-17の衝突エネルギーが低減される。それにより、接点のバウンスが低減される。また、第2期間T2-T3では、第1期間T1-T2よりも早い上昇速度でコイル32に電流が流される。そのため、可動接点16,17の固定接点14,15への押付け力が増大する。それにより、接点のバウンスがさらに低減される。また、接点接触時の衝突音が低減される。
【0044】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0045】
上記の実施形態では、駆動装置4が駆動軸19を駆動装置4側から押し出すことで、可動接触片13が閉方向Z1に移動する。また、駆動装置4が駆動軸19を駆動装置4側に引き込むことで、可動接触片13が開方向Z2に移動する。しかし、接点を開閉するための駆動軸19の動作方向は、上記の実施形態と逆であってもよい。すなわち、駆動装置4が駆動軸19を駆動装置4側に引き込むことで、可動接触片13が閉方向Z1に移動してもよい。駆動装置4が駆動軸19を駆動装置4側から押し出すことで、可動接触片13が開方向Z2に移動してもよい。すなわち、閉方向Z1と開方向Z2とは、上記の実施形態とは逆であってもよい。
【0046】
第1固定端子11、第2固定端子12、或いは可動接触片13の形状、或いは配置が変更されてもよい。例えば、
図5に示すように、第1外部端子部22と第2外部端子部24とは、左右方向にハウジング3から突出してもよい。或いは、第1外部端子部22と第2外部端子部24とは、前後方向にハウジング3から突出してもよい。可動鉄心31、コイル32、固定鉄心33、或いはヨーク34の形状、或いは配置が変更されてもよい。第1固定接点14、第2固定接点15、第1可動接点16、第2可動接点17の形状、或いは配置が変更されてもよい。
【0047】
第1固定接点14は、第1固定端子11と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。第2固定接点15は、第2固定端子12と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。第1可動接点16は、可動接触片13と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。第2可動接点17は、可動接触片13と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。
【0048】
駆動回路41の構成は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。駆動回路41は、PWM制御を行うための公知の回路であってもよい。接点電圧検出ユニット48は、省略されてもよい。上記の実施形態では、駆動回路41は、接点14-17の接触が検出された時点で、コイル電流の上昇速度を第1上昇速度から第2上昇速度に変更している。しかし、駆動回路41は、時間T1からの経過時間を計測し、時間T1から所定時間が経過したときに、コイル電流の上昇速度を第1上昇速度から第2上昇速度に変更してもよい。この場合、第1期間は、時間T1から接点14-17の接触時点の前までの期間であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本開示によれば、電磁継電器において、接点接触時のバウンスを低減することができる。
【符号の説明】
【0050】
10 可動機構
11 第1固定端子
13 可動接触片
14 第1固定接点
16 第1可動接点
31 可動鉄心
32 コイル
41 駆動回路
48 接点電圧検出ユニット