(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両の充電制御方法及びハイブリッド車両の充電制御装置
(51)【国際特許分類】
B60W 10/26 20060101AFI20230920BHJP
B60W 20/13 20160101ALI20230920BHJP
B60K 6/46 20071001ALI20230920BHJP
B60L 50/61 20190101ALI20230920BHJP
B60L 58/13 20190101ALI20230920BHJP
B60L 58/16 20190101ALI20230920BHJP
B60L 1/00 20060101ALI20230920BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20230920BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20230920BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230920BHJP
H02J 7/14 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
B60W10/26 900
B60W20/13 ZHV
B60K6/46
B60L50/61
B60L58/13
B60L58/16
B60L1/00 L
H01M10/44 P
H01M10/48 P
H02J7/00 P
H02J7/00 303C
H02J7/14 H
(21)【出願番号】P 2019185597
(22)【出願日】2019-10-09
【審査請求日】2022-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】小野川 遼
(72)【発明者】
【氏名】馬場 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】後藤 健一
(72)【発明者】
【氏名】松本 充彦
(72)【発明者】
【氏名】小野 憲治
【審査官】佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-224070(JP,A)
【文献】特開平10-191503(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0116797(US,A1)
【文献】特開2002-152909(JP,A)
【文献】特開2016-068673(JP,A)
【文献】特開2005-042557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-20/50
B60K 6/20- 6/547
B60L 1/00-58/40
H01M 10/44
H01M 10/48
H02J 7/00
H02J 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド車両の駆動輪を駆動する駆動用電動機と、
上記駆動用電動機に電力を供給する第1バッテリと、
上記第1バッテリを充電する発電用電動機と、
上記発電用電動機を駆動して発電する内燃機関と、
上記ハイブリッド車両の補機類に電力を供給する第2バッテリと、を有し、
上記発電用電動機は、上記第1バッテリからの電力により上記内燃機関を始動させることが可能であり、
上記ハイブリッド車両のイグニッションオフ状態では、
上記内燃機関を始動する際の上記第1バッテリのSOCが上記内燃機関を始動するために必要な電力を供給可能なSOC範囲の下限値である第1SOC下限値以上となる範囲で、上記第1バッテリから上記第2バッテリへの送電を許可して該第2バッテリを充電し、
上記第1SOC下限値は、上記第2バッテリの劣化度に応じて補正することを特徴とするハイブリッド車両の充電制御方法。
【請求項2】
上記第1バッテリの温度に応じて上記第1SOC下限値を補正することを特徴とする請求項
1に記載のハイブリッド車両の充電制御方法。
【請求項3】
外気温に応じて上記第1SOC下限値を補正することを特徴とする請求項
1または
2に記載のハイブリッド車両の充電制御方法。
【請求項4】
内燃機関の潤滑油の温度に応じて上記第1SOC下限値を補正することを特徴とする請求項
1~3のいずれかに記載のハイブリッド車両の充電制御方法。
【請求項5】
内燃機関の冷却水の温度に応じて上記第1SOC下限値を補正することを特徴とする請求項
1~4のいずれかに記載のハイブリッド車両の充電制御方法。
【請求項6】
上記ハイブリッド車両のイグニッションオフ後に予め設定された所定時間Tが経過しても上記第1バッテリのSOCが上記第1SOC下限値以下にならないように、イグニッションオフ後に上記第1バッテリのSOCが上記第1SOC下限値に所定のマージンを上乗せした所定のSOC閾値Sとなるまで上記第2バッテリへの送電を繰り返し許可することを特徴とする請求項
1~5のいずれかに記載のハイブリッド車両の充電制御方法。
【請求項7】
上記第2バッテリは、上記ハイブリッド車両のイグニッションオフ後に第1バッテリからの送電がない場合には当該ハイブリッド車両のイグニッションオフ後に予め設定された所定時間Tが経過するとSOCが所定の第2SOC下限値を下回り、当該ハイブリッド車両のイグニッションオフ後に第1バッテリからの送電がある場合には当該ハイブリッド車両のイグニッションオフ後に予め設定された所定時間Tが経過してもSOCが上記第2SOC下限値以上となるような容量を有することを特徴とする請求項1~
6のいずれかに記載のハイブリッド車両の充電制御方法。
【請求項8】
ハイブリッド車両の駆動輪を駆動する駆動用電動機と、
上記駆動用電動機に電力を供給する第1バッテリと、
上記第1バッテリからの電力により内燃機関を始動させることが可能であり、上記内燃機関により駆動されて上記第1バッテリを充電することが可能な発電用電動機と
上記ハイブリッド車両の補機類に電力を供給する第2バッテリと、
上記ハイブリッド車両のイグニッションオフ状態では、
上記内燃機関を始動する際の上記第1バッテリのSOCが上記内燃機関を始動するために必要な電力を供給可能なSOC範囲の下限値である第1SOC下限値以上となる範囲で、上記第1バッテリから上記第2バッテリへの送電を許可して該第2バッテリを充電し、上記第2バッテリの劣化度に応じて上記第1SOC下限値を補正する制御部と、を有することを特徴とするハイブリッド車両の充電制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両の充電制御方法及び充電制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、内燃機関により駆動されるモータ/ジェネレータと、上記モータ/ジェネレータが発電機として動作した際に発電された電力が充電されるとともに、車両の走行動力を発生させるモータに電力を供給する主バッテリと、車両の補機に電力を供給する補機バッテリと、を有し、車両のイグニションスイッチがオフ状態になると一定時間毎に主バッテリから補機バッテリに電力を供給して補機バッテリを充電する技術が開示されている。特許文献1において、内燃機関は、主バッテリからの電力をモータ/ジェネレータに供給し、モータ/ジェネレータをスタータモータとして駆動することで始動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1においては、例えば長期に亙って車両のイグニションスイッチがオフ状態となった場合、主バッテリから補機バッテリに供給される電力量が多くなって、主バッテリの充電量が大きく低下してしまう虞がある。
【0005】
そのため、特許文献1においては、車両のイグニションスイッチがオン状態となった際に、主バッテリの充電量が不足して、内燃機関を始動できない虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
車両は、イグニッションオフ状態では、内燃機関を始動する際の第1バッテリのSOCが上記内燃機関を始動するために必要な電力を供給可能なSOC範囲の下限値である第1SOC下限値以上となる範囲で、上記第1バッテリから第2バッテリへの送電を許可して該第2バッテリを充電する。上記内燃機関は、発電用電動機を駆動して発電するものである。上記発電用電動機は、発電した電力を上記第1バッテリに充電するものである。上記第1バッテリは、上記車両の駆動輪を駆動する駆動用電動機に電力を供給するものである。上記第2バッテリは、上記車両の補機類に電力を供給するものである。上記第1SOC下限値は、上記第2バッテリの劣化度に応じて補正する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両は、第1バッテリの充電不足により内燃機関が始動できない状態を回避できるとともに、イグニッションオフとなった後の第2バッテリのSOCの低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明が適用されたハイブリッド車両の概略構成を模式的に示した説明図。
【
図2】本発明が適用されたハイブリッド車両の制御系のシステム構成を模式的に示した説明図。
【
図3】イグニッションオフ状態における第1バッテリ及び第2バッテリのSOCの推移を温度別に示した特性図。
【
図4】本発明が適用されたハイブリッド車両がイグニッションオフとなっている状態における制御の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明が適用されたハイブリッド車両1の概略構成を模式的に示した説明図である。
図2は、本発明が適用されたハイブリッド車両1の制御系のシステム構成を模式的に示した説明図である。
【0010】
まず、
図1を用いて、ハイブリッド車両1の概略構成を説明する。ハイブリッド車両1は、
図1に示すように、車両の駆動輪2と、駆動輪2を回転駆動させる駆動用電動機3と、ターミナル4及び第1インバータ5を介して駆動用電動機3に電力を供給する第1バッテリ6と、第2インバータ7及びターミナル4を介して第1バッテリ6に電力を供給して充電する発電用電動機8と、発電用電動機8を駆動して発電する内燃機関9と、ターミナル4及びDC/DCコンバータ10を介して供給された第1バッテリ6の電力を充電可能な第2バッテリ11と、を有している。なお、ターミナル4は、例えば第1バッテリ6のターミナルである。
【0011】
駆動輪2は、駆動用電動機3を駆動源として回転駆動する。駆動輪2には、第1減速機構12及びディファレンシャルギヤ13を介して駆動用電動機3の回転が伝達される。第1減速機構12は、駆動用電動機3の回転を減速し、モータトルクを増大して走行駆動トルクを確保するものである。
【0012】
駆動用電動機3は、例えばロータに永久磁石を用いた同期型モータからなっている。駆動用電動機3は、ハイブリッド車両1の駆動源であり、第1インバータ5からの交流電力により駆動する。また、駆動用電動機3は、車両の減速時に発電機として機能する。すなわち、駆動用電動機3は、車両減速時の回生エネルギーを電力として第1インバータ5及びターミナル4を介して第1バッテリ6に充電可能となっている。
【0013】
第1インバータ5は、駆動用電動機3で発電された電力を直流電力に変換して第1バッテリ6に供給可能である。また、第1インバータ5は、第1バッテリ6から出力される直流電力を交流電力に変換して駆動用電動機3に供給可能である。
【0014】
強電バッテリとしての第1バッテリ6は、例えばリチウムイオンバッテリからなり、第2バッテリ11よりも高電圧かつ容量が大きいものである。第1バッテリ6は、発電用電動機8や駆動用電動機3で発電された電力を直流電力として充電可能な二次電池である。第1バッテリ6は、発電用電動機8を内燃機関9のスタータモータとして機能させる際には、充電された電力をターミナル4及び第2インバータ7を介して発電用電動機8に供給する。
【0015】
第1バッテリ6は、ハイブリッド車両1がイグニッションオン(ハイブリッド車両1のイグニションスイッチがオン)の状態では、SOCが少なくとも所定の第1SOC目標値P1(例えば50%)以上となるように制御されている。ここで、SOCは、バッテリの充電状態を表すものであり、0~100(%)の間で値が変化するものである。
【0016】
発電用電動機8は、例えばロータに永久磁石を用いた同期型モータからなっている。発電用電動機8は、内燃機関9に発生した回転エネルギーを電気エネルギーに変換し、第2インバータ7及びターミナル4を介して第1バッテリ6に供給可能となっている、また、発電用電動機8は、発電した電力を第2インバータ7及び第1インバータ5を介して駆動用電動機3に供給可能となっている。さらに発電用電動機8は、発電した電力を第2インバータ7、ターミナル4及びDC/DCコンバータ10を介して第2バッテリ11に供給可能となっている。
【0017】
発電用電動機8には、第2減速機構14を介して内燃機関9のクランクシャフト15の回転が伝達される。また、発電用電動機8は、内燃機関9の始動時にスタータモータとしても機能する。発電用電動機8は、内燃機関9のスタータモータとして使用する場合、ターミナル4及び第2インバータ7を介して第1バッテリ6から電力が供給される。
【0018】
内燃機関9は、ピストン(図示せず)の往復直線運動をクランクシャフト15の回転運動に変換して動力として取り出すいわゆるレシプロ式の内燃機関である。
【0019】
第2インバータ7は、発電用電動機8で発電された電力を直流電力に変換して第1バッテリ6に供給可能である。また、第2インバータ7は、第1バッテリ6から出力される直流電力を交流電力に変換して発電用電動機8に供給可能である。
【0020】
DC/DCコンバータ10は、ターミナル4を介して第1バッテリ6から第2バッテリ11に電力を供給する際や、ターミナル4を介して駆動用電動機3や発電用電動機8で発電した電力を第2バッテリ11に供給する際に、第2バッテリ11に適した電圧となるように電圧を変換(低下)させるものである。
【0021】
弱電バッテリとしての第2バッテリ11は、例えば鉛蓄電池からなり、第1バッテリ6よりも低電圧かつ容量が小さいものである。第2バッテリ11は、第1バッテリ6からの電力がターミナル4及びDC/DCコンバータ10を介して充電される二次電池である。第2バッテリ11は、低電圧(例えば12V)の車載電装品(例えば、各種コントローラを構成するコンピュータ、リレー、ランプ、エアコン等の補機類)に電力を供給するものである。第2バッテリ11は、イグニッションオンの状態では、SOCが所定の第2SOC目標値P2(例えば85%)となるように制御されている。
【0022】
第2バッテリ11は、ハイブリッド車両1のイグニッションオフ(ハイブリッド車両1のイグニションスイッチがオフ)後に第1バッテリ6からの送電がない場合にはハイブリッド車両1のイグニッションオフ後に予め設定された所定時間T(例えば60日)が経過するとSOCが所定の第2SOC下限値Bを下回る容量を有している。また、第2バッテリ11は、ハイブリッド車両1のイグニッションオフ後に第1バッテリ6からの送電がある場合にはハイブリッド車両1のイグニッションオフ後に予め設定された所定時間Tが経過してもSOCが第2SOC下限値B以上となるような容量を有している。第2SOC下限値Bは、第2バッテリ11の劣化を抑制するSOC範囲である劣化抑制SOC範囲の下限値である。
【0023】
なお、第2バッテリ11は、ハイブリッド車両1のイグニッションオフの状態のときに、第1バッテリ6の電力に加え、回生時に駆動用電動機3で発電された電力で充電してもよい。
【0024】
図2を用いて、ハイブリッド車両1の制御システムの概略構成を説明する。
【0025】
ハイブリッドコントローラ21は、電装品コントローラ22、第1バッテリコントローラ23及びエンジンコントローラ24等からの入力信号に基づいて様々な統合制御を実施している。ハイブリッドコントローラ21は、双方向に情報交換可能なCAN通信線を介して、電装品コントローラ22、第1バッテリコントローラ23及びエンジンコントローラ24と接続されている。
【0026】
電装品コントローラ22は、車載の各種電装品への電力供給を制御するとともに、自動充電実施要求信号(Extra Feeding実施要求信号)と第2バッテリ11の劣化度をハイブリッドコントローラ21に出力している。
【0027】
自動充電実施要求信号は、電装品コントローラ22の内部タイマー等により、イグニッションオフ後に所定時間毎(例えば24時間毎)に出力される。
【0028】
第2バッテリ11の劣化度は、例えば、第2バッテリ11の内部抵抗から判定可能である。第2バッテリ11は、劣化するほど内部抵抗が高くなる。第2バッテリ11の内部抵抗は、第2バッテリ11の電流値が本来(例えば新品時)の電流値よりも高くなるほど高くなる。そして、第2バッテリ11は、第2バッテリ11の電流値が本来(例えば新品時)の電流値よりも高くなるほど劣化度が大きくなっている。つまり、電装品コントローラ22は、例えば、第2バッテリ11の電流値が初期の電流値よりも高くなるほど第2バッテリ11の劣化度が大きいと判定する。第2バッテリ11は、劣化するほど新品時に比べて容量が減少する。
【0029】
電装品コントローラ22は、イグニッションオンの状態では、所定時間毎に第2バッテリ11の劣化度を算出し、ハイブリッドコントローラ21に出力している。電装品コントローラ22は、イグニッションオフの状態では、自動充電実施要求信号が出力されるタイミングで、その時点における第2バッテリ11の劣化度を算出し、ハイブリッドコントローラ21に出力している。
【0030】
第1バッテリコントローラ23は、第1バッテリ6のSOCあるいは充電残量や第1バッテリ6の温度等を管理している。
【0031】
第1バッテリコントローラ23は、イグニッションオンの状態では、所定時間毎に第1バッテリ6のSOCや第1バッテリ6の温度をハイブリッドコントローラ21に出力している。第1バッテリコントローラ23は、イグニッションオフの状態では、自動充電実施要求信号が出力されたタイミングで、その時点における第1バッテリ6のSOCや第1バッテリ6の温度をハイブリッドコントローラ21に出力している。
【0032】
エンジンコントローラ24は、各種センサ類等による各種の入力情報に基づいて、内燃機関9の始動制御、燃料噴射制御、点火制御燃料カット制御、アイドル回転制御、等を行うものである。エンジンコントローラ24には、内燃機関9の潤滑油及び冷却水の温度や、外気温等を検出する各種センサからの信号が入力されている。
【0033】
エンジンコントローラ24は、イグニッションオンの状態では、所定時間毎に内燃機関9の潤滑油及び冷却水の温度と、外気温と、をハイブリッドコントローラ21に出力している。エンジンコントローラ24は、イグニッションオフの状態では、自動充電実施要求信号が出力されるタイミングで、その時点における内燃機関9の潤滑油及び冷却水の温度と、外気温と、をハイブリッドコントローラ21に出力している。
【0034】
ハイブリッドコントローラ21は、自動充電実施判定部(Extra Feeding実施判定部)を有し、第1バッテリ6からの電力で第2バッテリ11を充電するか否か判定する。
【0035】
ハイブリッドコントローラ21は、第1バッテリ6の電力で第2バッテリ11を充電してもよいと判定すると、第1バッテリ6から第2バッテリ11への送電(Extra Feeding)を実施するためにDC/DCコンバータ10の起動要求(Extra Feeding DCDC起動要求)を出力し、電磁リレーをスイッチとして使用するリレーシーケンスにより、強電リレーオン指令と、DC/DCコンバータオン指令を出力する。なお、DC/DCコンバータ10の作動状態に関する情報は、電装品コントローラ22にフィードバックされている。
【0036】
ハイブリッドコントローラ21は、イグニッションオンの状態では、例えば、第1バッテリ6のSOCが第1SOC目標値P1以上であり、第2バッテリ11のSOCが第2SOC目標値P2未満のときに、第1バッテリ6の電力で第2バッテリ11を充電してもよいと判定する。
【0037】
第2バッテリ11は、イグニションオン状態では、第2SOC目標値P2となるように制御されているが、イグニッションオフ(ハイブリッド車両1のイグニションスイッチがオフ)の状態になると暗電流(待機電流)と自己放電とによりSOCが低下することになる。
【0038】
そのため、ハイブリッドコントローラ21は、イグニッションオフ後、所定時間毎(例えば24時間毎)に第1バッテリ6から電力で第2バッテリ11を充電するか否か判定し、必要に応じて第2バッテリ11を充電している。
【0039】
しかしながら、ハイブリッド車両1は、イグニションオフ状態のとき第2バッテリ11のSOCに応じて第1バッテリ6の電力で第2バッテリ11を充電すると、第1バッテリ6のSOCが過度に低下し、発電用電動機8で内燃機関9を始動する際に第1バッテリ6から発電用電動機8に供給する電力が不足して、イグニションオン状態になったときに内燃機関9を始動できない虞がある。
【0040】
そこで、制御部としてのハイブリッドコントローラ21は、イグニッションオフ状態では、内燃機関9を始動するために必要な電力を第1バッテリ6に残せる範囲で、第1バッテリ6から第2バッテリ11への送電(Extra Feeding)を許可して第2バッテリ11を充電する。
【0041】
すなわち、ハイブリッドコントローラ21は、イグニッションオフ状態では、内燃機関9を始動する際の第1バッテリ6のSOCが内燃機関9を始動するために必要な電力を供給可能なSOC範囲の下限値である第1SOC下限値A(例えば36%)以上となる範囲で、第1バッテリ6から第2バッテリ11への送電(Extra Feeding)を許可して第2バッテリ11を充電する。
【0042】
詳述すると、ハイブリッドコントローラ21は、イグニッションオフの状態では、イグニッションオフとなってから所定時間T経過後の内燃機関9の始動時に内燃機関9を始動させることが可能となるように、第1バッテリ6のSOCが第1SOC下限値Aに所定のマージン(例えば4%)を加えたSOC閾値S(例えば40%)となるまで、第1バッテリ6から第2バッテリ11への送電(Extra Feeding)を許可して第2バッテリ11を充電する。
【0043】
つまり、ハイブリッドコントローラ21は、第1バッテリ6の温度に関わらず、イグニッションオフ後にイグニッションオンされることなく所定時間Tが経過しても第1バッテリ6のSOCが第1SOC下限値A以下にならないように、イグニッションオフ後に第1バッテリ6のSOCが第1SOC下限値Aに所定のマージンを上乗せしたSOC閾値Sとなるまで、第1バッテリ6から第2バッテリ11への送電(Extra Feeding)を繰り返し許可する。
【0044】
換言すれば、ハイブリッドコントローラ21は、イグニッションオフとなってから所定時間T経過後に内燃機関9を始動するために必要な電力を賄えるSOCが第1バッテリ6に確保できない場合、第1バッテリ6から第2バッテリ11への送電(Extra Feeding)を禁止する。
【0045】
ハイブリッドコントローラ21は、イグニッションオフ後、所定時間毎(例えば24時間毎)に、第1バッテリ6から第2バッテリ11への送電(Extra Feeding)の可否を判定し、そのつど第2バッテリ11を所定時間(例えば一分間)充電する。つまり、ハイブリッドコントローラ21は、内燃機関9の始動可能範囲で第1バッテリ6から第2バッテリ11への送電を繰り返し許可して第2バッテリ11を充電する。
【0046】
内燃機関9の始動時に第1バッテリ6に要求されるSOCである第1SOC下限値Aは、発電用電動機8をスタータとして使用する場合の発電用電動機8の回転数と、内燃機関9を回転させる際の抵抗値と、を用いて算出される電力から算出可能である。
【0047】
内燃機関9を回転させる際の抵抗値は、内燃機関9のフリクション、潤滑油の粘度等から算出可能である。
【0048】
これによって、ハイブリッド車両1は、第1バッテリ6の充電不足により内燃機関9が始動できない状態を回避できるとともに、イグニッションオフとなった後の第2バッテリ11のSOCの低下を抑制することができる。また、ハイブリッド車両1は、第2バッテリ11の容量を小さくして、小型化することができる。
【0049】
つまり、ハイブリッド車両1は、イグニッションオフの状態になってから所定期間の間内燃機関9の始動ができることと、過放電による第2バッテリ11の劣化を防止することとを両立しつつ、第2バッテリ11の容量を小さくして第2バッテリ11を小型化できる。
【0050】
ハイブリッドコントローラ21は、内燃機関9の始動に必要な第1バッテリ6のバッテリ残量の精度を高めるために、第1バッテリ6の温度、内燃機関9の潤滑油及び冷却水の温度、外気温、によって第1SOC下限値Aの値を補正し、これらの要素を加味して第1バッテリ6から第2バッテリ11への送電(Extra Feeding)の可否を判定するようにしてもよい。
【0051】
ハイブリッドコントローラ21は、第1バッテリ6の温度が低くなるほど第1SOC下限値Aが高くなるように補正し、第1バッテリ6の温度が高くなるほど第1SOC下限値Aが低くなるように補正してもよい。
【0052】
第1バッテリ6は、温度が低くなると、同じ電力を得るためにより高いSOCが必要になる。
【0053】
これによって、ハイブリッド車両1は、第1バッテリ6の温度に応じて、精度良く第1バッテリ6の充電不足により内燃機関9が始動できない状態を回避することができる。詳述すると、ハイブリッド車両1は、第1バッテリ6の温度を考慮した内燃機関9の始動可能範囲で第1バッテリ6から第2バッテリ11への送電を許可するので、精度良く第1バッテリ6の充電不足により内燃機関9が始動できない状態を回避することができる。
【0054】
ハイブリッドコントローラ21は、外気温が低くなるほど第1SOC下限値Aが高くなるように補正し、外気温が高くなるほど第1SOC下限値Aが低くなるように補正してもよい。
【0055】
内燃機関9のフリクションは、外気温が高くなると潤滑油の粘度が下がるため小さくなる。
【0056】
これによって、ハイブリッド車両1は、外気温に応じて、精度良く第1バッテリ6の充電不足により内燃機関9が始動できない状態を回避することができる。詳述すると、ハイブリッド車両1は、外気温を考慮した内燃機関9の始動可能範囲で第1バッテリ6から第2バッテリ11への送電を許可するので、精度良く第1バッテリ6の充電不足により内燃機関9が始動できない状態を回避することができる。
【0057】
ハイブリッドコントローラ21は、潤滑油の温度が低くなるほど第1SOC下限値Aが高くなるように補正し、潤滑油の温度が高くなるほど第1SOC下限値Aが低くなるように補正してもよい。
【0058】
内燃機関9のフリクションは、潤滑油の温度が高くなると潤滑油の粘度が下がるため小さくなる。
【0059】
これによって、ハイブリッド車両1は、潤滑油の温度に応じて、精度良く第1バッテリ6の充電不足により内燃機関9が始動できない状態を回避することができる。詳述すると、ハイブリッド車両1は、潤滑油の温度を考慮した内燃機関9の始動可能範囲で第1バッテリ6から第2バッテリ11への送電を許可するので、精度良く第1バッテリ6の充電不足により内燃機関9が始動できない状態を回避することができる。
【0060】
ハイブリッドコントローラ21は、冷却水の温度が低くなるほど第1SOC下限値Aが高くなるように補正し、冷却水の温度が高くなるほど第1SOC下限値Aが低くなるように補正するようにしてもよい。
【0061】
内燃機関9のフリクションは、冷却水の温度が高くなると潤滑油の粘度が下がるため小さくなる。
【0062】
これによって、ハイブリッド車両1は、冷却水の温度に応じて、精度良く第1バッテリ6の充電不足により内燃機関9が始動できない状態を回避することができる。詳述すると、ハイブリッド車両1は、冷却水の温度を考慮した内燃機関9の始動可能範囲で第1バッテリ6から第2バッテリ11への送電を許可するので、精度良く第1バッテリ6の充電不足により内燃機関9が始動できない状態を回避することができる。
【0063】
また、ハイブリッドコントローラ21は、第2バッテリ11の容量変化に応じて第1SOC下限値Aを補正するようにしてもよい。具体的には、第2バッテリ11の劣化度が大きくなるほど第1SOC下限値Aが高くなるように補正し、第2バッテリ11の劣化度が小さくなるほど第1SOC下限値Aが低くなるように補正するようにしてもよい。
【0064】
これによって、ハイブリッド車両1は、第2バッテリ11の劣化度に応じて、精度良く第1バッテリ6の充電不足により内燃機関9が始動できない状態を回避することができる。詳述すると、ハイブリッド車両1は、第2バッテリ11の劣化度を考慮した内燃機関9の始動可能範囲で第1バッテリ6から第2バッテリ11への送電を許可するので、精度良く第1バッテリ6の充電不足により内燃機関9が始動できない状態を回避することができる。
【0065】
なお、ハイブリッドコントローラ21は、ハイブリッド車両1のボンネット(あるいはHood、リアテールゲート、バックドア)等が開いている場合、イグニッションオフ状態で行う第1バッテリ6から第2バッテリ11への送電(Extra Feeding)を禁止するようにしてもよい。
【0066】
図3は、イグニッションオフ状態における第1バッテリ6から第2バッテリ11への送電(Extra Feeding)とイグニッションオフ状態における放電とによる各バッテリ6、11のSOCの推移を温度別に示した特性図である。
図3においては、第1バッテリ6から第2バッテリ11への送電(Extra Feeding)を所定期間毎(例えば24時間毎)に実施している。ここで、第1バッテリ6における放電とは自己放電であり、第2バッテリ11における放電とは暗電流による放電と自己放電である。
【0067】
第1SOC下限値Aは、第1バッテリ6が発電用電動機8を駆動して内燃機関9を駆動できる駆動可能SOC範囲(NG領域外の範囲)の下限である。第2SOC下限値Bは、暗電流放電及び自己放電による第2バッテリ11の劣化を抑制する劣化抑制SOC範囲(NG領域外の範囲)の下限である。
【0068】
なお、
図3のおける第1SOC下限値Aは、ハイブリッド車両1のイグニッションオフ後にイグニッションオンされることなく予め設定された所定時間Tが経過しても内燃機関9を始動させることが可能となるようなマージンを含むように設定されている。
【0069】
第1バッテリ6に関する特性線L1~L4は、第1バッテリ6から第2バッテリ11への送電(Extra Feeding)と自己放電とによるイグニッションオフ状態における第1バッテリ6のSOCの推移を示している。
【0070】
第2バッテリ11に関する特性線L5~L8は、第1バッテリ6から第2バッテリ11への送電(Extra Feeding)と暗電流放電及び自己放電とによるイグニッションオフ状態における第2バッテリ11のSOCの推移を示している。
【0071】
なお、第2バッテリ11に関する特性線L9は、イグニッションオフ後の暗電流放電及び自己放電による第2バッテリ11のSOCの変化を示している。すなわち、特性線L9は、イグニッションオフ後に第1バッテリ6から第2バッテリ11への送電(Extra Feeding)を行わない場合の第2バッテリ11のSOCの推移を示す比較例である。
【0072】
図3中に実線で示す特性線L1は、第1バッテリ6の温度が第1所定温度H1(例えば40℃程度)の場合の第1バッテリ6のSOCの推移を示している。第1バッテリ6の温度が第1所定温度H1の場合、第1バッテリ6は、時刻t1においてSOCがSOC閾値Sとなり、時刻t1以降に第2バッテリ11への送電(Extra Feeding)を行っていない。
【0073】
第1バッテリ6の温度が第1所定温度H1の場合、第1バッテリ6から第2バッテリ11への送電(Extra Feeding)は、時刻t1まで所定時間毎(例えば24時間毎)に所定時間(例えば1分)実施される。
【0074】
図3中に破線で示す特性線L2は、第1バッテリ6の温度が第1所定温度H1よりも低い第2所定温度H2(例えば25℃程度)の場合の第1バッテリ6のSOCの推移を示している。第1バッテリ6の温度が第1所定温度H1よりも低い第2所定温度H2の場合、第1バッテリ6は、時刻t1よりも遅れた時刻t2においてSOCがSOC閾値Sとなり、時刻t2以降に第2バッテリ11への送電(Extra Feeding)を行っていない。
【0075】
第1バッテリ6の温度が第2所定温度H2の場合、第1バッテリ6から第2バッテリ11への送電(Extra Feeding)は、時刻t2まで所定時間毎(例えば24時間毎)に所定時間(例えば1分)実施される。
【0076】
図3中に一点鎖線で示す特性線L3は、第1バッテリ6の温度が第2所定温度H2よりも低い第3所定温度H3(例えば0℃程度)の場合の第1バッテリ6のSOCの推移を示している。第1バッテリ6の温度が第2所定温度H2よりも低い第3所定温度H3の場合、第1バッテリ6は、時刻t2よりも遅れた時刻t3においてSOCがSOC閾値Sとなり、時刻t3以降に第2バッテリ11への送電(Extra Feeding)を行っていない。
【0077】
第1バッテリ6の温度が第3所定温度H3の場合、第1バッテリ6から第2バッテリ11への送電(Extra Feeding)は、時刻t3まで所定時間毎(例えば24時間毎)に所定時間(例えば1分)実施される。
【0078】
図3中に二点鎖線で示す特性線L4は、第1バッテリ6の温度が第3所定温度H3よりも低い第4所定温度H4(例えば-10℃程度)の場合の第1バッテリ6のSOCの推移を示している。第1バッテリ6の温度が第4所定温度H4よりも低い第4所定温度H4の場合、第1バッテリ6は、時刻t3よりも遅れた時刻t4においてSOCがSOC閾値Sとなり、時刻t4以降に第2バッテリ11への送電(Extra Feeding)を行っていない。
【0079】
第1バッテリ6の温度が第4所定温度H4の場合、第1バッテリ6から第2バッテリ11への送電(Extra Feeding)は、時刻t4まで所定時間毎(例えば24時間毎)に所定時間(例えば1分)実施される。
【0080】
図3に示すように、SOC閾値Sは、第1バッテリ6の温度に関わらず、イグニッションオフとなってから所定時間Tが経過しても第1バッテリ6のSOCが第1SOC下限値A以上となるように設定される。
【0081】
第1バッテリ6は、イグニッションオフとなってから予め設定された所定時間Tが経過してもSOCを第1SOC下限値A以上とするため、バッテリ温度が高くなるほどイグニッションオフ後に第2バッテリ11への送電(Extra Feeding)を行う期間が短くなっている。
【0082】
図3中に実線で示す特性線L5は、第2バッテリ11の温度が第1所定温度H1(例えば40℃程度)の場合の第2バッテリ11のSOCの推移を示している。第2バッテリ11の温度が第1所定温度H1の場合、第1バッテリ6から第2バッテリ11への送電(Extra Feeding)は、時刻t1まで所定時間毎(例えば24時間毎)に所定時間(例えば1分)実施される。
【0083】
第2バッテリ11の温度が第1所定温度H1の場合、第2バッテリ11は、時刻t1まで第1バッテリ6からの送電(Extra Feeding)と暗電流放電及び自己放電とがバランスしてSOCが概ね第2SOC目標値P2に維持されている。また、第2バッテリ11の温度が第1所定温度H1の場合、第2バッテリ11は、時刻t1以降、暗電流放電及び自己放電によりSOCが低下している。
【0084】
図3中に破線で示す特性線L6は、第2バッテリ11の温度が第1所定温度H1よりも低い第2所定温度H2(例えば25℃程度)の場合の第2バッテリ11のSOCの推移を示している。第2バッテリ11の温度が第2所定温度H2の場合、第1バッテリ6から第2バッテリ11への送電(Extra Feeding)は、時刻t1よりも遅れた時刻t2まで所定時間毎(例えば24時間毎)に所定時間(例えば1分)実施される。
【0085】
第2バッテリ11の温度が第2所定温度H2の場合、第2バッテリ11は、時刻t2まで第1バッテリ6からの送電(Extra Feeding)と暗電流放電及び自己放電とがバランスしてSOCが概ね第2SOC目標値P2に維持されている。また、第2バッテリ11の温度が第2所定温度H2の場合、第2バッテリ11は、時刻t2以降、暗電流放電及び自己放電によりSOCが低下している。
【0086】
図3中に一点鎖線で示す特性線L7は、第2バッテリ11の温度が第2所定温度H2よりも低い第3所定温度H3(例えば0℃程度)の場合の第2バッテリ11のSOCの推移を示している。第2バッテリ11の温度が第3所定温度H3の場合、第1バッテリ6から第2バッテリ11への送電(Extra Feeding)は、時刻t2よりも遅れた時刻t3まで所定時間毎(例えば24時間毎)に所定時間(例えば1分)実施される。
【0087】
第2バッテリ11の温度が第3所定温度H3の場合、第2バッテリ11は、時刻t3まで第1バッテリ6からの送電(Extra Feeding)と暗電流放電及び自己放電とによりSOCが第2SOC目標値P2から緩やかに減少している。また、第2バッテリ11の温度が第3所定温度H3の場合、第2バッテリ11は、時刻t3以降、暗電流放電及び自己放電によりSOCが低下している。
【0088】
図3中に二点鎖線で示す特性線L8は、第2バッテリ11の温度が第3所定温度H3よりも低い第4所定温度H4(例えば-10℃程度)の場合の第2バッテリ11のSOCの推移を示している。第2バッテリ11の温度が第4所定温度H4の場合、第1バッテリ6から第2バッテリ11への送電(Extra Feeding)は、時刻t3よりも遅れた時刻t4まで所定時間毎(例えば24時間毎)に所定時間(例えば1分)実施される。
【0089】
第2バッテリ11の温度が第4所定温度H4の場合、第2バッテリ11は、時刻t4まで第1バッテリ6からの送電(Extra Feeding)と暗電流放電及び自己放電とによりSOCが第2SOC目標値P2から緩やかに減少している。また、第2バッテリ11の温度が第4所定温度H4の場合、第2バッテリ11は、時刻t4以降、暗電流放電及び自己放電によりSOCが低下している。
【0090】
第2バッテリ11は、イグニッションオフ後に第1バッテリ6からの送電(Extra Feeding)を実施することで、イグニッションオフとなってから予め設定された所定時間Tが経過しても、SOCが第2SOC下限値Bを下回らない容量になっている。また、第2バッテリ11は、イグニッションオフ後に第1バッテリ6からの送電(Extra Feeding)を実施しない場合、ハイブリッド車両1のイグニッションオフ後に予め設定された所定時間Tが経過するとSOCが第2SOC下限値Bを下回る容量となっている。
【0091】
図4は、上述した実施例のハイブリッド車両1がイグニッションオフとなっている状態における制御の流れを示すフローチャートである。
【0092】
ステップS1では、イグニッションオフ状態になってから所定時間経過したか否かを判定する。詳述すると、ステップS1では、イグニッションオフになってから所定時間(例えば24時間)が経過する毎に、所定時間経過したものと判定する。ステップS1でイグニッションオフ状態になってから所定時間経過したと判定された場合には、ステップS2へ進む。ステップS1でイグニッションオフ状態になってから所定時間経過していないと判定された場合には、今回のルーチンを終了する。
【0093】
ステップS2では、システムを自動で起動して上述したCAN通信線による通信を再開する(CAN Wake UP指令)。つまり、ハイブリッド車両1は、イグニッションオフになってから所定時間(例えば24時間)が経過したタイミング毎に、システムの一部を自動で起動(CAN Wake UP指令)する(ステップS1及びステップS2)。
【0094】
ステップS3では、電装品コントローラ22から自動充電実施要求信号(Extra Feeding実施要求信号)を出力する。
【0095】
ステップS4では、ハイブリッド車両のボンネット(あるいはHood)が閉まっているか否かを判定している。ステップS4でボンネットが閉まっていると判定された場合には、ステップS5へ進む。ステップS4でボンネットが閉まっていないと判定された場合には、ステップS9へ進む。
【0096】
ステップS5では、第1バッテリ6のSOCがSOC閾値S以上あるか否かを判定する。ステップS5で第1バッテリ6のSOCがSOC閾値S以上であると判定された場合には、ステップS6へ進む。ステップS5で第1バッテリ6のSOCがSOC閾値S未満であると判定された場合には、ステップS9へ進む。
【0097】
ステップS6では、ハイブリッドコントローラ21から上述した強電リレーオン指令を出力する。
【0098】
ステップS7では、第1バッテリ6から第2バッテリ11への送電(Extra Feeding)を実施するためのDC/DCコンバータ10の起動要求(Extra Feeding DCDC起動要求)であるDC/DCコンバータ起動指令をハイブリッドコントローラ21から出力する。
【0099】
ステップS8では、所定時間(例えば1分)、第1バッテリ6から第2バッテリ11への送電(Extra Feeding)が実施する。ステップS8による第1バッテリ6から第2バッテリ11への送電(Extra Feeding)が終了すると、システムを自動で休止状態にして上述したCAN通信線による通信を終了する。
【0100】
ステップS9では、第1バッテリ6から第2バッテリ11への送電(Extra Feeding)を禁止し、今回のルーチンを終了する。
【0101】
上述した実施例は、ハイブリッド車両1の充電制御方法及びハイブリッド車両1の充電制御装置に関するものである。
【符号の説明】
【0102】
1…ハイブリッド車両
2…駆動輪
3…駆動用電動機
4…ターミナル
5…第1インバータ
6…第1バッテリ
7…第2インバータ
8…発電用電動機
9…内燃機関
10…DC/DCコンバータ
11…第2バッテリ
12…第1減速機構
13…ディファレンシャルギヤ
14…第2減速機構
15…クランクシャフト
21…ハイブリッドコントローラ
22…電装品コントローラ
23…第1バッテリコントローラ
24…エンジンコントローラ