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特許7351181クリーニング装置及びインクジェット記録装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】クリーニング装置及びインクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/00 20060101AFI20230920BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20230920BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20230920BHJP
   B41J 29/17 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
B65H5/00 B
G03G21/00 310
B41J2/01 305
B41J2/01 401
B41J29/17
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019198355
(22)【出願日】2019-10-31
(65)【公開番号】P2021070562
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】丸山 啓
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-223739(JP,A)
【文献】特開2005-22251(JP,A)
【文献】特開2011-75976(JP,A)
【文献】特開2005-288847(JP,A)
【文献】特開2010-184472(JP,A)
【文献】特開2011-191351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/00
G03G 21/00
G03G 15/20
B41J 2/01
B41J 29/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクが吐出されたシートを搬送する搬送部材の搬送面に付着した前記インクを除去するウェブを前記搬送面に押し当てるウェブ押圧部を備えるクリーニングユニットと、
前記ウェブの未使用部分に洗浄液を供給する洗浄液供給部と、
前記未使用部分を前記ウェブ押圧部と前記搬送面とのニップ領域に供給するウェブ駆動機構と、
前記洗浄液供給部により前記洗浄液が供給された前記未使用部分を前記ウェブ駆動機構により前記ニップ領域に供給させることで前記搬送面から前記インクを除去させた後、前記洗浄液が供給されていない前記未使用部分を前記ウェブ駆動機構により前記ニップ領域に供給させることで、前記搬送面に残留した前記洗浄液を除去させる制御装置と、を備えることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
前記洗浄液供給部は、前記未使用部分に前記洗浄液を吐出するノズルを備えることを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記搬送面に前記ウェブが押し当てられる清掃位置と、前記搬送面から前記ウェブが離間する離間位置と、に前記クリーニングユニットを移動させるユニット移動機構を備え、
前記制御装置は、前記ユニット移動機構により前記クリーニングユニットを前記離間位置に移動させた状態で前記洗浄液供給部により前記未使用部分に前記洗浄液を供給させ、前記洗浄液が供給された前記未使用部分を前記ウェブ駆動機構により前記搬送面に対向する位置に移動させ、前記ユニット移動機構により前記クリーニングユニットを前記清掃位置に移動させることで、前記洗浄液が供給された前記未使用部分によって前記搬送面から前記インクを除去させた後、前記洗浄液が供給されていない前記未使用部分を前記ウェブ駆動機構により前記ニップ領域に供給させることで、前記搬送面に残留した前記洗浄液を除去させ、その後、前記ユニット移動機構により前記クリーニングユニットを前記離間位置に移動させることを特徴とする請求項1又は2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記インクの吐出により前記シートに画像を形成する画像形成部と、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のクリーニング装置と、を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング装置及びインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンター等の画像形成装置の内部では、色材や紙粉等の異物が部材に付着して不具合を起こすことがある。そこで、従来、部材の表面を清掃する技術が検討されている。例えば、特許文献1では、画像形成装置本体に対して着脱自在に設けられるとともにフォトセンサが装着された搬送転写ベルトユニットに設けられ、ユニットのフレームに揺動自在に装着されたクリーニングアームと、クリーニングアームに設けられフォトセンサの表面を清掃可能なクリーニング部材とを有している。そして、クリーニングアームは、ユニットが装置本体に装着された状態ではクリーニング部材がフォトセンサの表面から待避した待避位置に位置し、かつユニットが装置本体から取り外される際にフォトセンサの表面を覆う位置に位置するように揺動するセンサクリーニング機構が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-134726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、インクジェット記録装置では、シートを搬送する搬送部材(搬送ローラー、搬送ベルト等)の搬送面(シートが接触する面)にインクが付着すると、搬送面から後続のシートにインクが転移して画像汚れが生じるおそれがある。特に、レジストローラーはニップ圧力が高いため、表面に撥水性のよい材料を使用したとしてもインクが付着しやすい傾向がある。そこで、搬送面に布を押し当てることでインクを除去する構成が考えられるが、乾燥した布ではインクを除去する能力が低い。濡れた布を用いればインクを除去する能力は向上するが、搬送面に残った水分がシートに付着した場合、画像の滲みやシートのしわ等の不具合が発生するおそれがある。搬送面に残った水分を乾燥した布で除去する構成も考えられるが、装置の複雑化、大型化を招いてしまう。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮し、洗浄液を用いた搬送面の清掃と搬送面に残った洗浄液の除去とを1本のウェブで行うことのできるクリーニング装置及びインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るクリーニング装置は、インクが吐出されたシートを搬送する搬送部材の搬送面に付着した前記インクを除去するウェブを前記搬送面に押し当てるウェブ押圧部を備えるクリーニングユニットと、前記ウェブの未使用部分に洗浄液を供給する洗浄液供給部と、前記未使用部分を前記ウェブ押圧部と前記搬送面とのニップ領域に供給するウェブ駆動機構と、前記洗浄液供給部により前記洗浄液が供給された前記未使用部分を前記ウェブ駆動機構により前記ニップ領域に供給させることで前記搬送面から前記インクを除去させた後、前記洗浄液が供給されていない前記未使用部分を前記ウェブ駆動機構により前記ニップ領域に供給させることで、前記搬送面に残留した前記洗浄液を除去させる制御装置と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るクリーニング装置において、前記洗浄液供給部は、前記未使用部分に前記洗浄液を吐出するノズルを備えていてもよい。
【0008】
本発明に係るクリーニング装置は、前記搬送面に前記ウェブが押し当てられる清掃位置と、前記搬送面から前記ウェブが離間する離間位置と、に前記クリーニングユニットを移動させるユニット移動機構を備え、前記制御装置は、前記ユニット移動機構により前記クリーニングユニットを前記離間位置に移動させた状態で前記洗浄液供給部により前記未使用部分に前記洗浄液を供給させ、前記洗浄液が供給された前記未使用部分を前記ウェブ駆動機構により前記搬送面に対向する位置に移動させ、前記ユニット移動機構により前記クリーニングユニットを前記清掃位置に移動させることで、前記洗浄液が供給された前記未使用部分によって前記搬送面から前記インクを除去させた後、前記洗浄液が供給されていない前記未使用部分を前記ウェブ駆動機構により前記ニップ領域に供給させることで、前記搬送面に残留した前記洗浄液を除去させ、その後、前記ユニット移動機構により前記クリーニングユニットを前記離間位置に移動させるように構成されてもよい。
【0009】
また、本発明に係るインクジェット記録装置は、前記インクの吐出により前記シートに画像を形成する画像形成部と、上記のいずれかのクリーニング装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、洗浄液を用いた搬送面の清掃と搬送面に残った洗浄液の除去とを1本のウェブで行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るプリンターの内部構成を模式的に示す正面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るレジストローラー装置、クリーニングユニット及びユニット移動機構の構成を模式的に示す正面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るクリーニングユニットの斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係るクリーニングユニットの斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係るクリーニングユニット及びウェブ駆動機構の正面図である。
図6】クリーニングユニットが着脱位置に位置する様子を示す正面図である。
図7】クリーニングユニットが離間位置に位置する様子を示す正面図である。
図8】クリーニングユニットが清掃位置に位置する様子を示す正面図である。
図9】本発明の一実施形態に係る洗浄液供給部とウェブの斜視図である。
図10A】クリーニング装置の制御の手順を示す正面図である。
図10B】クリーニング装置の制御の手順を示す正面図である。
図11A】クリーニング装置の制御の手順を示す正面図である。
図11B】クリーニング装置の制御の手順を示す正面図である。
図12A】クリーニング装置の制御の手順を示す正面図である。
図12B】クリーニング装置の制御の手順を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係るクリーニング装置60及びプリンター1(インクジェット記録装置)について説明する。
【0013】
まず、図1を参照して、プリンター1の全体の構成について説明する。図1は、プリンター1の内部構成を模式的に示す正面図である。以下、図1における紙面手前側をプリンター1の正面側(前側)とし、左右の向きはプリンター1を正面から見た方向を基準として説明する。各図において、U、Lo、L、R、Fr、Rrは、それぞれ上、下、左、右、前、後を示す。以下の説明において、上流側、下流側とは、それぞれシートSの搬送方向上流側、搬送方向下流側を意味する。
【0014】
図1に示されるように、プリンター1は、インクを吐出してシートSに画像を形成するインクジェット式の画像形成装置であり、シートSに対して片面印刷及び両面印刷が可能である。プリンター1は、各種機器が収容される箱形のハウジング10を備える。ハウジング10内の下部にはシートSが収容される引き出し可能な給紙カセット15が設けられ、ハウジング10の右側面11にはシートSが手差しで積載される手差しトレイ16が設けられている。ハウジング10の左側面12の上部には、画像形成済みのシートSが積載される排紙トレイ17が設けられ、左側面12における排紙トレイ17の上方の部分には、シートSが排出される排紙口56が形成されている。シートSは、普通紙、コート紙等の枚葉シートである。
【0015】
ハウジング10内の中央部には、シートSに画像を形成する画像形成部41が設けられ、画像形成部41の下方には、画像が形成されるシートSを搬送する第1搬送ユニット44が設けられ、第1搬送ユニット44の左方には、画像形成済みのシートSを搬送する第2搬送ユニット50が設けられている。
【0016】
ハウジング10内の右側部には、給紙カセット15から第1搬送ユニット44に至る第1搬送路21と、手差しトレイ16から第1搬送路21に合流する手差し搬送路24が形成されている。ハウジング10内の左側部には、第2搬送ユニット50から排紙トレイ17に至る第2搬送路22が形成されている。ハウジング10内の上部には、第2搬送路22から分岐して第1搬送路21に合流する第3搬送路23が形成されている。
【0017】
第1搬送路21の上流側端部には、給紙部18が設けられ、第1搬送路21の給紙部18よりも下流側には、レジストローラー装置30が設けられている。給紙部18は、給紙カセット15に収容されたシートSを1枚ずつ第1搬送路21に送り出すローラーを備える。レジストローラー装置30は、上下に対向する一対のレジストローラー32、33を備える。一対のレジストローラー32、33が互いに当接することで、シートSが挟持されるニップ領域N1が形成される。
【0018】
手差し搬送路24は、給紙部18とレジストローラー装置30との間で第1搬送路21に合流する。手差し搬送路24の上流側端部には、手差し給紙部19が設けられている。手差し給紙部19は、手差しトレイ16に積載されたシートSを1枚ずつ手差し搬送路24に送り出すローラーを備える。
【0019】
画像形成部41は、互いに異なる色のインクを吐出する複数のラインヘッド42C、42M、42Y、42Bk(ラインヘッド42と総称する。)がシートSの搬送方向に並べられたものである。ラインヘッド42は、シートSの搬送方向と交差する幅方向(前後方向)を長手方向とする箱状に形成され、それぞれの下面に多数のノズル穴が形成されている。シートSの搬送方向上流側から順に、ラインヘッド42C、42M、42Y、42Bkが設けられており、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのインクを吐出する。
【0020】
第1搬送ユニット44は、複数の張架ローラー46a乃至46eに巻き掛けられた第1搬送ベルト45を備える。張架ローラー46aがモーター等の駆動源(図示省略)で駆動されることで、第1搬送ベルト45がY2方向に駆動される。第1搬送ベルト45には多数の貫通穴が形成されている。第1搬送ベルト45の内側の画像形成部41に対向する位置には、第1搬送ベルト45の貫通穴に負圧を生じさせる第1吸引部47が設けられている。
【0021】
第2搬送ユニット50は、複数の張架ローラー52a、52bに巻き掛けられた第2搬送ベルト51を備える。張架ローラー52aがモーター等の駆動源(図示省略)で駆動されることで、第2搬送ベルト51がY3方向に駆動される。第2搬送ベルト51には多数の貫通穴が形成されている。第2搬送ベルト51の内側の上部には、第2搬送ベルト51の貫通穴に負圧を生じさせる第2吸引部53が設けられている。
【0022】
第2搬送路22の上流側端部には、デカール装置54が設けられ、第2搬送路22の下流側端部には、排紙部55が設けられている。デカール装置54は、複数のローラーに巻き掛けられたベルトと、ベルトに当接するローラーとを備え、モーター等の駆動源(図示省略)で駆動される。排紙部55は、第2搬送路22から排紙トレイ17にシートSを排出するローラーを備える。第2搬送路22の上流側端部と下流側端部の間には案内部材25が設けられている。案内部材25は、モーター等の駆動源(図示省略)により揺動する楔状の部材であり、第2搬送路22と第3搬送路23とのいずれかを閉鎖する。
【0023】
第3搬送路23は、第2搬送路22から分岐する上流側搬送路23aと、上流側搬送路23aから分岐してレジストローラー装置30よりも上流側で第1搬送路21に合流する下流側搬送路23bとを備え、上流側搬送路23aと下流側搬送路23bとの分岐点に、反転ローラー26と案内部材27とを備える。反転ローラー26は、正回転と逆回転が可能である。案内部材27は、モーター等の駆動源(図示省略)により揺動する楔状の部材であり、上流側搬送路23aと下流側搬送路23bとのいずれかを閉鎖する。
【0024】
次に、プリンター1の画像形成動作について説明する。プリンター1に画像形成指示が入力されると、シートSが、給紙カセット15又は手差しトレイ16から送り出され、第1搬送路21に沿ってY1方向に搬送される。シートSがレジストローラー装置30に到達すると、回転を停止したレジストローラー装置30のニップ領域N1にシートSの先端部(下流側端部)が突き当てられることでシートSのスキューが矯正され、画像形成部41によるインクの吐出タイミングに同期させてレジストローラー装置30から第1搬送ユニット44にシートSが搬送される。シートSは、第1搬送ベルト45の貫通穴の負圧によって第1搬送ベルト45に吸着され、Y2方向に搬送される。そして、ラインヘッド42から第1搬送ベルト45に吸着されたシートSに向けてインクが吐出されることでシートSの1面目に画像が形成される。
【0025】
1面目に画像が形成されたシートSは、第1搬送ユニット44によって第2搬送ユニット50に搬送され、第2搬送ベルト51の貫通穴の負圧によって第2搬送ベルト51に吸着され、Y3方向に搬送される。続いて、シートSは、デカール装置54に搬送され、デカール装置54に挟持搬送されることでカールが矯正される。片面印刷動作時には、案内部材25が第3搬送路23を閉鎖することでシートSが第2搬送路22に沿ってY4方向に搬送され、排紙部55によってシートSが排紙トレイ17に排出される。
【0026】
一方、両面印刷動作時には、案内部材25が第2搬送路22を閉鎖することでシートSが第3搬送路23に案内され、案内部材27が下流側搬送路23bを閉鎖するとともに反転ローラー26が正回転することでシートSがY5方向に搬送される。シートSの左端部が反転ローラー26に到達すると、案内部材27が上流側搬送路23aを閉鎖するとともに反転ローラー26が逆回転することでシートSが下流側搬送路23bにスイッチバックされ、Y6方向に搬送される。そして、シートSは、表裏反転された状態でレジストローラー装置30に搬送される。シートSは、レジストローラー装置30によってスキューが矯正された後、第1搬送ユニット44に搬送され、シートSの2面目に画像が形成される。2面目に画像が形成されたシートSは、第2搬送ユニット50によりY3方向に搬送され、デカール装置54によってカールが矯正され、第2搬送路22に沿ってY4方向に搬送され、排紙部55によって排紙口56から排紙トレイ17に排出される。
【0027】
ところで、両面印刷動作においては、1面目に画像が形成された後、第3搬送路23経由で1面目を下向きにした状態でレジストローラー装置30にシートSが搬送される。このとき、1面目のインクが下側のレジストローラー33(搬送部材の一例)に付着し、付着したインクが後続のシートSに転移して画像汚れが発生するおそれがある。そこで、本実施形態に係るプリンター1は、レジストローラー33に付着したインクをクリーニング装置60によって除去するように構成されている。なお、上記の画像汚れは、比較的シート上に色材が残存しやすい顔料系インクの場合に発生しやすい。従って、本実施形態では顔料系インクの使用を想定するが、染料系インクを用いるインクジェット記録装置に本発明が適用されてもよい。
【0028】
以下、図2乃至9を参照して、レジストローラー装置30及びクリーニング装置60について説明する。図2は、レジストローラー装置30、クリーニングユニット61及びユニット移動機構62の構成を模式的に示す正面図である。図3及び4は、クリーニングユニット61の斜視図である。図5は、クリーニングユニット61及びウェブ駆動機構63の正面図である。図6は、クリーニングユニット61が着脱位置P3に位置する様子を示す正面図である。図7は、クリーニングユニット61が離間位置P2に位置する様子を示す正面図である。図8は、クリーニングユニット61が清掃位置P1に位置する様子を示す正面図である。図9は、洗浄液供給部130とウェブWの斜視図である。
【0029】
[制御装置]
レジストローラー装置30及びクリーニング装置60は、制御装置120によって制御される。制御装置120は、プロセッサーを用いてソフトウェアによって実現されてもよいし、集積回路等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現されてもよい。プロセッサーを用いる場合には、プロセッサーがメモリーに記憶されているプログラムを読み出して実行することで各種処理が実施される。プロセッサーとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)が使用される。メモリーは、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の記憶媒体を含む。メモリーには、プリンター1の各部の制御に用いられる制御プログラムが記憶される。
【0030】
[レジストローラー装置]
レジストローラー装置30(図2参照)は、シートSの搬送路が形成されたレジストハウジング31を有する。一対のレジストローラー32、33は、前後方向を軸方向として配置され、レジストハウジング31の前後の側壁に支持されている。上側のレジストローラー32は、金属で形成されている。下側のレジストローラー33は、ゴム製ローラーの外周面にPFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂)チューブが被せられたものである。下側のレジストローラー33は、上側のレジストローラー32に対して僅かにシートSの搬送方向の上流側(右側)に位置している。
【0031】
ばね等の付勢手段(図示省略)によりレジストローラー32がレジストローラー33に押し当てられることで、レジストローラー33の搬送面34が部分的に潰れてレジストローラー32と面接触し、ニップ領域N1が形成される。レジストローラー32又はレジストローラー33には動力伝達機構(図示省略)を介してレジスト用モーター35が連結されている。ニップ領域N1において一対のレジストローラー32、33にシートSが挟み込まれ、レジスト用モーター35の駆動力によって一対のレジストローラー32、33が回転することで、シートSが画像形成部41(図1参照)に向けて搬送される。
【0032】
[クリーニング装置]
クリーニング装置60(図2参照)は、レジストローラー装置30の下方に設けられている。クリーニング装置60は、インクが吐出されたシートSを搬送するレジストローラー33(搬送部材の一例)の搬送面34に付着したインクを除去するウェブWを搬送面34に押し当てる押圧ローラー67(ウェブ押圧部の一例)を備えるクリーニングユニット61と、ウェブWの未使用部分に洗浄液Cを供給する洗浄液供給部130と、搬送面34にウェブWが押し当てられる清掃位置P1と、搬送面34からウェブWが離間する離間位置P2と、にクリーニングユニット61を移動させるユニット移動機構62と、ウェブWの未使用部分を押圧ローラー67と搬送面34とのニップ領域N2に供給するウェブ駆動機構63と、を備える。
【0033】
具体的には、クリーニング装置60は、ハウジング10に対して着脱可能なクリーニングユニット61(図2乃至5参照)と、ハウジング10に固定されたユニット移動機構62(図2参照)及びウェブ駆動機構63(図5参照)と、を備える。クリーニングユニット61がハウジング10に装着されることで、クリーニングユニット61にユニット移動機構62及びウェブ駆動機構63が連結される。ユニット移動機構62によってクリーニングユニット61が上下方向に移動し、ウェブ駆動機構63によってウェブWの未使用部分が繰り出される。
【0034】
[クリーニングユニット]
クリーニングユニット61は、ウェブWを繰り出す繰り出しローラー66と、ウェブWを搬送面34に押し当てる押圧ローラー67と、ウェブWを巻き取る巻き取りローラー68と、を備える。
【0035】
図3及び4に示されるように、クリーニングユニット61は、全体として前後方向を長手方向とする形状のクリーニングフレーム71を備える。クリーニングフレーム71は、前後方向に対向する一対の支持フレーム72、73と、一対の支持フレーム72、73の下部を連結する下部フレーム74と、一対の支持フレーム72、73の右側部を連結する側部フレーム75とを備える。
【0036】
図2乃至4に示されるように、一対の支持フレーム72、73の右下部には、繰り出しローラー66の前後両端部が支持されている。一対の支持フレーム72、73の上部には、押圧ローラー67の前後両端部が支持されている。一対の支持フレーム72、73の左下部には、巻き取りローラー68の前後両端部が支持されている。繰り出しローラー66、押圧ローラー67、巻き取りローラー68が一対の支持フレーム72、73に支持されるとともに、下部フレーム74及び側部フレーム75によって一対の支持フレーム72、73が連結されることで、クリーニングフレーム71の剛性が確保されている。クリーニングフレーム71の上部は開放されており、押圧ローラー67に巻き掛けられたウェブWが露出されている。
【0037】
[ウェブ]
ウェブWは、吸水性を有する不織布や織布等の帯状の材料によって形成されている。繰り出しローラー66の外周面にはウェブWがロール状に巻かれたウェブロールWRが装着され、ウェブロールWRから繰り出されたウェブWが押圧ローラー67の外周面に巻き掛けられ、ウェブWの先端が巻き取りローラー68の外周面に固定されている。ウェブWは、押圧ローラー67によって下側のレジストローラー33の搬送面34に押圧される。
【0038】
押圧ローラー67は、芯金と、芯金の外周面に形成された弾性層と、弾性層の外周面に形成されたコート層と、を備える。芯金は、アルミニウム合金等の金属で形成されている。弾性層は、ゴム等の弾性体で形成されている。コート層は、PFA等のフッ素樹脂のチューブで形成されている。押圧ローラー67がレジストローラー33に押し当てられることで、レジストローラー33及び押圧ローラー67の外周面が部分的に潰れてウェブWとレジストローラー33の搬送面34とが面接触し、ニップ領域N2が形成される。
【0039】
押圧ローラー67のシャフトには、トルクリミッター76が設けられている(図3、4参照)。シートSが一対のレジストローラー32、33に挟持された状態で詰まった場合、図2において右方向にシートSを引き抜く必要があるが、シートSを引き抜くときにシートSとの摩擦により押圧ローラー67が図2において反時計回りに回転させられて繰り出しローラー66からウェブWが繰り出されてしまう。トルクリミッター76は、押圧ローラー67に過度な回転力が伝わった場合に、押圧ローラー67をロックすることで、繰り出しローラー66からウェブWが繰り出されることを防止する。
【0040】
一対の支持フレーム72、73の左下部の外面には、ユニット移動機構62(図2参照)に連結される支持ピン77が設けられている。一対の支持フレーム72、73の右上部の外面には、ハウジング10に対するクリーニングユニット61の移動をガイドするガイドローラー78が設けられている。前側の支持フレーム72の右下部には、ウェブ駆動機構63(図5参照)に連結される入力ギア79が設けられている。入力ギア79は、クリーニングフレーム71内に設けられた動力伝達機構(図示省略)を介して巻き取りローラー68に連結されている。
【0041】
下部フレーム74は、クリーニングフレーム71の底面を形成しており、ウェブW等から落下したインクの受け皿になっている。側部フレーム75は、クリーニングフレーム71の右側面の上半部を覆っており、クリーニングフレーム71の右側面の下半部は開口している。この右側面の開口からウェブロールWRを視認することで、ウェブロールWRの残量の少ないクリーニングユニット61がハウジング10に誤装着されることが防止される。また、下部フレーム74には、クリーニングフレーム71の左側面を覆うことで第1搬送ベルト45(図1参照)側へのインクの飛散を防止するシート部材80が取り付けられている。
【0042】
[洗浄液供給部]
洗浄液供給部130(図9参照)は、ウェブWの未使用部分に洗浄液Cを吐出するノズル132が形成された吐出管131と、洗浄液Cを収容するタンク133と、タンク133と吐出管131とを接続する管路134と、タンク133から吐出管131へ洗浄液Cを送り込むポンプ135と、を備える。
【0043】
吐出管131は、押圧ローラー67の右上方に押圧ローラー67と平行に配置されたパイプであり、金属や樹脂等で形成されている。吐出管131の前後方向の長さは、レジストローラー33の搬送面34の前後方向の長さと同等である。吐出管131の前後方向の両端部は密閉されている。吐出管131は、側部フレーム75の押圧ローラー67と対向する側の面に固定され、押圧ローラー67との間に所定距離の間隔を有している。吐出管131の押圧ローラー67と対向する部分には、前後方向に複数のノズル132が形成されている。ポンプ135は、例えばダイヤフラムポンプである。洗浄液Cは、例えば水である。制御装置120は、ポンプ135を駆動することでタンク133から吐出管131に洗浄液Cを供給する。
【0044】
[ユニット移動機構]
ユニット移動機構62(図2参照)は、清掃位置P1と、清掃位置P1の下方の離間位置P2(図7参照)と、離間位置P2の下方の着脱位置P3(図6参照)との間でクリーニングユニット61を移動させるように構成されている。清掃位置P1は、押圧ローラー67に巻き掛けられたウェブWがレジストローラー33の搬送面34に接する位置であり、離間位置P2は、清掃位置P1からクリーニングユニット61が離間した位置であり、着脱位置P3はハウジング10にクリーニングユニット61が着脱可能な位置である。清掃位置P1ではクリーニングユニット61とウェブ駆動機構63(図5参照)とが連結され、離間位置P2ではクリーニングユニット61とウェブ駆動機構63との連結が解除される。ハウジング10には、クリーニングユニット61がハウジング10に装着されたことを検知するセンサー(図示省略)が設けられている。
【0045】
ユニット移動機構62は、ハウジング10に支持された回転可能な支持シャフト91と、支持シャフト91に固定された前後一対(後側のみ図示)の揺動アーム92と、支持シャフト91に動力伝達機構(図示省略)を介して連結されたクリーニング用モーター94とを有している。揺動アーム92の基端部は支持シャフト91に固定されており、揺動アーム92の先端部にはクリーニングユニット61の支持ピン77を受け止めるフック93が形成されている。フック93は揺動アーム92の縁部に形成された切り欠きであり、フック93にクリーニングユニット61の支持ピン77が入り込むことで、クリーニングユニット61が、一対の揺動アーム92に支持され、一対の揺動アーム92に対して相対的に回転可能となる。
【0046】
図6に示されるように、ユニット移動機構62は、クリーニングユニット61を着脱位置P3から清掃位置P1(図8参照)までガイドする前後一対(後側のみ図示)のガイド部115を有している。各ガイド部115には、クリーニングユニット61のガイドローラー78に接するガイド面116が形成されている。クリーニング用モーター94から支持シャフト91に駆動力が伝達されると、揺動アーム92が支持シャフト91を中心に揺動し、クリーニングユニット61が着脱位置P3、離間位置P2、清掃位置P1に位置決めされる。また、ユニット移動機構62には、クリーニングユニット61の位置を検知するための第1センサー95、第2センサー96が設けられている。
【0047】
第1センサー95及び第2センサー96は、例えばフォトインタラプターであり、光が遮られた場合と光が遮られない場合とで異なるレベルの信号を出力する。クリーニング用モーター94の出力軸には、複数のスリットが放射状に等間隔で形成されたパルス板97が固定されている。第1センサー95は、パルス板97の回転により交互にレベルが変化するパルス信号を出力する。制御装置120は、第1センサー95から出力されたパルス信号に基づいて、着脱位置P3を基準としたクリーニング用モーター94の回転量を求め、求められた回転量からクリーニングユニット61の位置を判定する。第2センサー96は、クリーニングユニット61が清掃位置P1に位置する場合にクリーニングユニット61に光を遮られる位置に配置されており、光を遮られていない場合に第1レベルの検知信号を出力し、光を遮られた場合に第2レベルの検知信号を出力する。制御装置120は、第2センサー96から出力された検知信号が第1レベルから第2レベルに変化した場合にクリーニングユニット61が清掃位置P1に移動したと判定する。
【0048】
クリーニング用モーター94には制御装置120が接続されている。制御装置120からクリーニング用モーター94に回転量がフィードバックされることで、クリーニング用モーター94がサーボ制御され、クリーニングユニット61の移動量が調整される。なお、第1センサー95は、クリーニング用モーター94の回転量を検知可能であればよく、第2センサー96は、清掃位置P1のクリーニングユニット61を検知可能であればよい。よって、第1センサー95及び第2センサー96は、フォトリフレクター等でもよい。
【0049】
[ウェブ駆動機構]
ウェブ駆動機構63(図5参照)は、クリーニングユニット61に駆動力を伝達してレジストローラー33(図2参照)の搬送面34と押圧ローラー67とのニップ領域N2にウェブWの未使用部分を間欠的に供給する。上記したように、ウェブ駆動機構63は、クリーニングユニット61が清掃位置P1に位置決めされることで、クリーニングユニット61に連結され、クリーニングユニット61に動力を伝達する。ウェブ駆動機構63には駆動源としてウェブ用ソレノイド101(ソレノイドアクチュエーター)が設けられている。
【0050】
ウェブ用ソレノイド101の上部からは鉄芯と一体化されたロッド102の先端部が露出しており、制御装置120から出力される駆動指令に従ってロッド102が上下方向に出没する。ウェブ用ソレノイド101の左隣りにはロッド102の出没動作を回転動作に変換する揺動レバー103が設けられている。揺動レバー103は、支持シャフト104を介してハウジング10に支持され、時計回りに付勢されている。揺動レバー103は、支持シャフト104から側方に延びる側方レバー105と、支持シャフト104から下方に延びる下方レバー106とを有するL字状に形成されている。側方レバー105の下面にはロッド102の先端が当接し、下方レバー106の下端には検知片107が設けられている。
【0051】
支持シャフト104の後端には支持シャフト104と一体に回転する出力ギア108が設けられている。支持シャフト104にはワンウェイクラッチ(図示省略)を介して揺動レバー103が連結されており、ロッド102が下方に退避することで揺動レバー103が時計回りに揺動した場合に、支持シャフト104と出力ギア108が回転する。一方、ロッド102が上方に突出することで揺動レバー103が反時計回りに揺動した場合には、支持シャフト104と出力ギア108は回転しない。出力ギア108には、複数の伝達ギア111、112を介してクリーニングユニット61の入力ギア79が連結されている。入力ギア79は、動力伝達機構(図示省略)を介して巻き取りローラー68に連結されている。従って、図5に示されるように、揺動レバー103が時計回りに揺動した場合にのみ、巻き取りローラー68が駆動されてウェブWが巻き取られる。ウェブWの巻き取り方向は一方向であり、ウェブWの逆巻きや弛みを防止するために、繰り出しローラー66に制動機構(図示省略)が設けられ、巻き取りローラー68にワンウェイクラッチ(図示省略)が設けられている。
【0052】
下方レバー106の下方には、検知片107を検知する第3センサー109が設けられている。第3センサー109は、例えばフォトインタラプターであり、揺動レバー103が時計回りに揺動した場合には、検知片107に光を遮られないため第1レベルの検知信号を出力し、揺動レバー103が反時計回りに揺動した場合には、検知片107に光を遮られるため第2レベルの検知信号を出力する。なお、第3センサー109は、検知片107を検知可能であればよいため、フォトリフレクター等でもよい。
【0053】
[クリーニング装置の基本的動作]
次に、図5乃至8を参照して、クリーニング装置60の基本的動作(クリーニングユニット61の移動動作、清掃動作、ウェブWの巻き取り動作)について説明する。
【0054】
[クリーニングユニットの移動動作]
ハウジング10にクリーニングユニット61が装着されたとき、クリーニングユニット61は着脱位置P3に位置する(図6参照)。着脱位置P3においては、揺動アーム92の先端部が下方に向けられており、フック93によってクリーニングユニット61の支持ピン77が支持されている。また、クリーニングユニット61のガイドローラー78がガイド部115のガイド面116から離間している。
【0055】
ハウジング10にクリーニングユニット61が装着されたことが検知されると、制御装置120からの駆動指令によってクリーニング用モーター94が駆動され、支持シャフト91に固定された揺動アーム92が反時計回りに揺動する。揺動アーム92のフック93によってクリーニングユニット61の支持ピン77が押し上げられ、クリーニングユニット61のガイドローラー78がガイド部115のガイド面116上を転がることで、クリーニングユニット61が着脱位置P3から上方に移動する。このとき、クリーニングユニット61の支持ピン77が揺動アーム92のフック93に相対的に回転可能なため、揺動アーム92の揺動に従ってクリーニングユニット61がスムーズに持ち上げられる。
【0056】
制御装置120は、第1センサー95から出力されたパルス信号に基づいてクリーニングユニット61の位置を判定し、クリーニングユニット61が離間位置P2に到達したと判定すると、クリーニング用モーター94の駆動を停止し、クリーニングユニット61を離間位置P2に位置決めする(図7参照)。制御装置120は、レジストローラー33の非清掃時には、クリーニングユニット61を離間位置P2に待機させる。
【0057】
レジストローラー33の清掃を実行する場合には、制御装置120からの駆動指令によってクリーニング用モーター94が駆動され、揺動アーム92がさらに反時計回りに揺動し、第2センサー96によりクリーニングユニット61が検知されることでクリーニングユニット61が清掃位置P1に位置決めされる(図8参照)。このとき、クリーニングユニット61とウェブ駆動機構63が連結される(図5参照)。
【0058】
[清掃動作]
清掃位置P1においては、ウェブWがレジストローラー33の搬送面34に押し当てられた状態で、レジストローラー33が図8のA方向に回転する。搬送面34に付着したインクは、ウェブWに吸収される。
【0059】
なお、クリーニングユニット61によるレジストローラー33の清掃中に、制御装置120からクリーニング用モーター94に励磁電流が供給され続けることで、揺動アーム92の下方への揺動が抑えられてクリーニングユニット61が清掃位置P1に保持される。
【0060】
[ウェブの巻き取り動作]
ウェブWの巻き取りを実行する場合には、制御装置120からの駆動指令によってウェブ用ソレノイド101のロッド102が退避することで、揺動レバー103が時計回りに揺動し、ワンウェイクラッチを介して揺動レバー103と支持シャフト104が一体に回転し、巻き取りローラー68が駆動されてウェブWの使用済み部分が所定量だけ巻き取られる。
【0061】
[クリーニング装置の制御]
次に、図10A乃至12Bを参照して、搬送面34の清掃に係るクリーニング装置60の制御について説明する。図10A乃至図12Bは、クリーニング装置60の制御の手順を示す正面図である。なお、搬送面34の清掃を実行するタイミングは画像形成ジョブが実行されていないタイミングが挙げられる。
【0062】
初期状態において(図10A参照)、クリーニングユニット61は、離間位置P2に位置する。制御装置120は、クリーニングユニット61が離間位置P2に位置する状態で洗浄液供給部130によりウェブWの未使用部分に洗浄液Cを吐出する(図10B参照)。吐出された洗浄液Cは、ウェブWの未使用部分に吸収される。
【0063】
次に、制御装置120は、洗浄液Cが吐出された未使用部分をウェブ駆動機構63により搬送面34に対向する位置に移動させる(図11A参照)。
【0064】
次に、制御装置120は、ユニット移動機構62によりクリーニングユニット61を清掃位置P1に移動させてニップ領域N2を形成し、洗浄液Cが吐出された未使用部分を搬送面34に押し当てる(図11B参照)。制御装置120は、レジストローラー33をA方向に回転させて搬送面34を周回させることで、洗浄液Cが吐出された未使用部分に対して搬送面34を擦り付ける。この動作によって、搬送面34からインクが除去される。このとき、搬送面34に洗浄液Cが残留する場合がある。
【0065】
次に、制御装置120は、洗浄液Cが吐出されていない未使用部分をウェブ駆動機構63によりニップ領域N2に供給する(図12A参照)。制御装置120は、引き続きレジストローラー33をA方向に回転させて搬送面34を周回させることで、洗浄液Cが吐出されていない未使用部分に対して搬送面34を擦り付ける。この動作によって、搬送面34に残留した洗浄液Cが除去される。
【0066】
最後に、制御装置120は、ユニット移動機構62によりクリーニングユニット61を離間位置P2に移動させ(図12B参照)、レジストローラー33の回転を停止させる。
【0067】
以上説明した本実施形態に係るクリーニング装置60によれば、制御装置120が、洗浄液供給部130により洗浄液Cが供給されたウェブWの未使用部分をウェブ駆動機構63によりニップ領域N2に供給させることで搬送面34からインクを除去させた後、洗浄液Cが供給されていない未使用部分をウェブ駆動機構63によりニップ領域N2に供給させることで、搬送面34に残留した洗浄液Cを除去させるから、洗浄液Cを用いた搬送面34の清掃と搬送面34に残った洗浄液Cの除去とを1本のウェブWで行うことができる。
【0068】
また、本実施形態に係るクリーニング装置60によれば、洗浄液供給部130がウェブWの未使用部分に洗浄液Cを吐出するノズル132を備えるから、簡易な構成でウェブWに洗浄液Cを供給することができる。
【0069】
ウェブWを搬送面34に押し当てると、レジストローラー33の回転に対する抵抗が生じるため、シートSの搬送速度が低下するおそれがある。また、洗浄液Cが供給された未使用部分と、洗浄液Cが供給されていない未使用部分とでは、抵抗の大きさが異なるため、搬送速度が変動するおそれがある。従って、搬送面34の清掃は、画像形成ジョブが実行されていないときに、又は、実行中の画像形成ジョブを中断して行われることが望ましいが、その場合、搬送面34の清掃中は、画像形成が行われないダウンタイムとなる。本実施形態に係るクリーニング装置60によれば、制御装置120が、ユニット移動機構62によりクリーニングユニット61を離間位置P2に移動させた状態で洗浄液供給部130によりウェブWの未使用部分に洗浄液Cを供給させ、洗浄液Cが供給された未使用部分をウェブ駆動機構63により搬送面34に対向する位置に移動させ、ユニット移動機構62によりクリーニングユニット61を清掃位置P1に移動させることで、洗浄液Cが供給された未使用部分によって搬送面34からインクを除去させた後、洗浄液Cが供給されていない未使用部分をウェブ駆動機構63によりニップ領域N2に供給させることで、搬送面34に残留した洗浄液Cを除去させ、その後、ユニット移動機構62によりクリーニングユニット61を離間位置P2に移動させるから、ダウンタイムを最小限に抑えることができる。
【0070】
上記実施形態は以下のように変形されてもよい。
【0071】
上記実施形態では、クリーニング装置60がレジストローラー33に付着したインクを除去する例が示されたが、クリーニング装置60がレジストローラー33以外の搬送部材に付着したインクを除去するように構成されてもよい。レジストローラー33以外の搬送部材とは、例えば、第1搬送ベルト45、第2搬送ベルト51、デカール装置54に備えられたローラー及びベルト、第2搬送路22及び第3搬送路23に備えられた搬送ローラー、反転ローラー26等である。このうち、第1搬送ベルト45、第2搬送ベルト51、デカール装置54、第2搬送路22に備えられた搬送部材に対しては、片面印刷時にもシートSからインクが転移する可能性があるため、片面印刷時にもクリーニングユニット61を離間位置P2から清掃位置P1に移動させるように構成されてもよい。
【0072】
上記実施形態では、ウェブ押圧部の一例として押圧ローラー67が示されたが、ウェブ押圧部は、ウェブWの巻き取りに追従して回転しない部材(図示省略)でもよい。この場合、部材の表面は、フッ素樹脂等の摩擦係数の低い材料で形成されることが望ましい。
【0073】
上記実施形態では、吐出管131が側部フレーム75に固定されている例が示されたが、吐出管131は、押圧ローラー67に対して接近及び離間が可能であってもよい。例えば、吐出管131を左右に移動させるソレノイドアクチュエーター(図示省略)が支持フレーム72、73に設けられ、吐出管131が右方に移動した場合に吐出管131がウェブWの未使用部分から離間し、吐出管131が左方に移動した場合に吐出管131が未使用部分に接触し、吐出管131が未使用部分に接触した状態で未使用部分に洗浄液Cが吐出される。この構成によれば、洗浄液Cの飛散を減らすことができる。
【符号の説明】
【0074】
1 プリンター(インクジェット記録装置)
33 レジストローラー(搬送部材)
34 搬送面
41 画像形成部
60 クリーニング装置
61 クリーニングユニット
62 ユニット移動機構
63 ウェブ駆動機構
67 押圧ローラー(ウェブ押圧部)
120 制御装置
130 洗浄液供給部
132 ノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B