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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】盤内機器診断装置及びサーバ
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/42 20060101AFI20230920BHJP
   H02B 3/00 20060101ALI20230920BHJP
   G01R 31/00 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
H02B1/42
H02B3/00 P
G01R31/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019226410
(22)【出願日】2019-12-16
(65)【公開番号】P2021097468
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】山崎 智史
(72)【発明者】
【氏名】石橋 広脩
(72)【発明者】
【氏名】町田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】米澤 隆仁
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 紀子
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1336317(KR,B1)
【文献】特開2013-252022(JP,A)
【文献】特開平6-327153(JP,A)
【文献】特開2003-299214(JP,A)
【文献】特開2015-198477(JP,A)
【文献】特開2015-111990(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0013675(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/40
G01R 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
盤内に設置される配電用機器である複数の盤内機器のそれぞれの設置位置で計測された電気情報を入力し、入力した2以上の前記電気情報に基づき、前記盤内機器の状態を診断する診断部を備え
前記診断部は、診断対象の盤内機器の一次側に設けられる盤内機器の電気情報と、前記診断対象の前記盤内機器の二次側に設けられる盤内機器の電気情報と、に基づき、前記診断対象の前記盤内機器の状態を診断する、
盤内機器診断装置。
【請求項2】
複数の前記盤内機器は、分電盤に設けられる主幹配線用遮断器と、前記主幹配線用遮断器の二次側の分岐回路に接続される配線用遮断器と、前記配線用遮断器の二次側に接続される電磁接触器と、前記電磁接触器の二次側に接続される過負荷リレーとを含み、
前記診断部は、前記主幹配線用遮断器、前記配線用遮断器、前記電磁接触器、及び過負荷リレーの少なくとも何れか2つの設置位置で計測された電気情報に基づき、前記主幹配線用遮断器、前記配線用遮断器、前記電磁接触器、及び過負荷リレーの何れかの端子にゆるみが生じているか否かを診断する
請求項1に記載の盤内機器診断装置。
【請求項3】
複数の前記盤内機器は、分電盤に設けられる主幹配線用遮断器と、前記主幹配線用遮断器の二次側の分岐回路に接続される配線用遮断器と、前記配線用遮断器の二次側に接続される電磁接触器と、前記電磁接触器の二次側に接続される過負荷リレーとを含み、
前記診断部は、前記主幹配線用遮断器、前記配線用遮断器、前記電磁接触器、及び過負荷リレーの少なくとも何れか2つの設置位置で計測された電気情報に基づき、前記主幹配線用遮断器、前記配線用遮断器、前記電磁接触器、及び過負荷リレーの何れかの接点の状態を診断する
請求項1又は2に記載の盤内機器診断装置。
【請求項4】
複数の前記盤内機器は、分電盤に設けられる主幹配線用遮断器と、前記主幹配線用遮断器の二次側の分岐回路に接続される配線用遮断器と、前記配線用遮断器の二次側に接続される電磁接触器と、前記電磁接触器の二次側に接続される過負荷リレーとを含み、
前記診断部は、前記主幹配線用遮断器、前記配線用遮断器、前記電磁接触器、及び過負荷リレーの少なくとも何れか2つの設置位置で計測された電気情報に基づき、前記主幹配線用遮断器、前記配線用遮断器、前記電磁接触器、及び過負荷リレーの間に配線される接続電線の状態を診断する
請求項1~3の何れか一項に記載の盤内機器診断装置。
【請求項5】
複数の前記盤内機器は、分電盤に設けられる主幹配線用遮断器と、前記主幹配線用遮断器の二次側の分岐回路に接続される配線用遮断器と、前記配線用遮断器の二次側に接続される電磁接触器と、前記電磁接触器の二次側に接続される過負荷リレーとを含み、
前記診断部は、前記配線用遮断器の電気情報と、前記過負荷リレーの電気情報に基づき、前記電磁接触器の接点の状態を診断する、
請求項1に記載の盤内機器診断装置。
【請求項6】
第1分電盤内に設置される配電用機器である複数の盤内機器のそれぞれの設置位置で計測された電気情報と、第2分電盤内に設置される配電用機器である複数の盤内機器のそれぞれの設置位置で計測された電気情報とを入力し、入力した2以上の前記電気情報に基づき、前記盤内機器の状態を診断する診断部を備え
前記診断部は、診断対象の盤内機器の一次側に設けられる盤内機器の電気情報と、前記診断対象の前記盤内機器の二次側に設けられる盤内機器の電気情報と、に基づき、前記診断対象の前記盤内機器の状態を診断する、
盤内機器診断装置。
【請求項7】
盤内に設置される配電用機器である複数の盤内機器のそれぞれの設置位置で計測された電気情報を入力し、入力した2以上の前記電気情報に基づき、前記盤内機器の状態を診断する診断部を備え、
前記診断部は、第1の電力系統である第1系統に設けられる前記盤内機器で計測された電気情報と、第2の電力系統である第2系統に設けられる前記盤内機器で計測された電気情報とに基づき、前記盤内機器の状態を診断し、
さらに前記診断部は、診断対象の盤内機器の一次側に設けられる盤内機器の電気情報と、前記診断対象の前記盤内機器の二次側に設けられる盤内機器の電気情報と、に基づき、前記診断対象の前記盤内機器の状態を診断する、
サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、盤内に設置される配電用機器の状態を診断する盤内機器診断装置及びサーバに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、分電盤が活線状態でも容易に設置ができる分電盤端子部の温度監視に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-81998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この種の従来技術には、盤内機器に異常が生じているか否かをリアルタイムに確認する対策が講じられていない。例えば、盤内機器の一例である配線用遮断器の接続端子(以下「端子」)に配線を接続するためのねじにゆるみが生じている場合や、長期あるいは悪環境下(高湿度やガス雰囲気等)での運用によって導体(端子や電線等)の経年劣化が発生しインピーダンスが上昇している場合、局所的な発熱を生じて、分電盤が焼損する虞がある。このような事象を防止するため従来では、盤内機器の定期点検が実施され、また前回の定期点検から次回の定期点検までの間は目視などの簡易的な確認のみ実施されていた。従って従来技術では異常への対応が遅れるという課題があった。このように従来技術では、盤内機器の健全性を確保する上での改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、盤内機器の健全性を確保できる盤内機器診断装置及びサーバを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明に係る盤内機器診断装置は、盤内に設置される配電用機器である複数の盤内機器のそれぞれの設置位置で計測された電気情報を入力し、入力した2以上の前記電気情報に基づき、前記盤内機器の状態を診断する診断部を備え、前記診断部は、診断対象の盤内機器の一次側に設けられる盤内機器の電気情報と、前記診断対象の前記盤内機器の二次側に設けられる盤内機器の電気情報と、に基づき、前記診断対象の前記盤内機器の状態を診断する
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、盤内機器の健全性を確保できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態1に係る盤内機器診断システムの構成図
図2】過負荷リレーの構成例を示す図
図3】本発明の実施の形態1に係る盤内機器診断装置の構成例を示す図
図4】第1診断動作を説明するためのフローチャート
図5】第2診断動作を説明するためのフローチャート
図6】第3診断動作を説明するためのフローチャート
図7】本発明の実施の形態2に係る盤内機器診断装置の構成例を示す図
図8】本発明の実施の形態3に係る盤内機器診断システムの構成例を示す図
図9】本発明の実施の形態3に係るサーバの構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態に係る盤内機器診断装置及びサーバを図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。また、以下に示す実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0010】
実施の形態1
図1は本発明の実施の形態1に係る盤内機器診断システムの構成図である。盤内機器診断システム100は、サーバ1と、配電盤に設けられる商用系統の主幹配線用遮断器である配線用遮断器2と、第1分電盤である分電盤101-1に設けられる複数の盤内機器と、第2分電盤である分電盤101-2に設けられる複数の盤内機器と、分電盤101-1に設けられる盤内機器診断装置4-1と、分電盤101-2に設けられる盤内機器診断装置4-2と、を備える。
【0011】
なお、以下では、主に分電盤101-1に設けられる機器について説明し、分電盤101-2に設けられる機器は、分電盤101-1に設けられるものと同様に構成されているものとして、その詳細説明は省略する。また、分電盤101-1及び分電盤101-1を区別しない場合、「分電盤101」と称する。また、盤内機器診断装置4-2は、盤内機器診断装置4-1と同様に構成されているものとして、その詳細説明は省略する。また、盤内機器診断装置4-1及び盤内機器診断装置4-2を区別しない場合、「盤内機器診断装置4」と称する。
【0012】
分電盤101に設けられる複数の盤内機器は、配電用機器である。盤内機器は、例えば、分電盤101内の主幹配線用遮断器である複数の配線用遮断器5と、配線用遮断器5の二次側に接続される分岐回路用の配線用遮断器である配線用遮断器6aと、配線用遮断器5の二次側に接続される分岐回路用の配線用遮断器である配線用遮断器6bとを備える。また、分電盤101に設けられる複数の盤内機器は、配線用遮断器6aの二次側に接続される電磁接触器7aと、配線用遮断器6bの二次側に接続される電磁接触器7bと、電磁接触器7aの二次側に接続される過負荷リレー8aと、電磁接触器7bの二次側に接続される過負荷リレー8bとを備える。
【0013】
配線用遮断器2は、配電盤に設けられる盤内機器の一例である。配線用遮断器2の一次側には、系統電源200が接続される。配線用遮断器2の二次側には、電線16を介して、複数の配線用遮断器5のそれぞれの一次側が接続される。配線用遮断器5の二次側には、接続電線18を介して、配線用遮断器6a及び配線用遮断器6bのそれぞれの一次側が接続される。
【0014】
配線用遮断器6aの二次側には、接続電線18を介して、電磁接触器7aが接続される。電磁接触器7aの二次側には、接続電線18を介して、過負荷リレー8aが接続される。過負荷リレー8aの二次側には、接続電線18を介して、負荷9が接続される。
【0015】
配線用遮断器6bの二次側には、接続電線18を介して、電磁接触器7bが接続される。電磁接触器7bの二次側には、接続電線18を介して、過負荷リレー8bが接続される。過負荷リレー8bの二次側には、接続電線18を介して、負荷9が接続される。
【0016】
負荷9は、例えば系統電源200(三相交流電源など)から供給される電力で駆動するモータなどである。
【0017】
配線用遮断器5、配線用遮断器6a、電磁接触器7a、及び過負荷リレー8aは、電気情報を収集して、収集した電気情報を盤内機器診断装置4に送信する通信回路を備える。なお、当該通信回路で収集される電気情報の詳細については後述する。
【0018】
通信回路12は、配線用遮断器6bに装着できるように専用設計された通信ユニットであり、例えば配線用遮断器6aが備える通信回路と同様の機能を有する。通信回路12は、例えば、配線用遮断器6bが設置される位置における接続電線18に流れる電流を検出し、あるいは当該接続電線18の線間電圧などを検出するセンサを備える。そして、通信回路12は、当該センサで検出された電流又は電圧の値を示す電気情報を盤内機器診断装置4に送信する。
【0019】
通信回路13は、電磁接触器7bに装着できるように専用設計された通信ユニットであり、例えば配線用遮断器6aが備える通信回路と同様の機能を有する。通信回路13は、例えば、電磁接触器7bが設置される位置における接続電線18に流れる電流を検出し、あるいは当該接続電線18の線間電圧などを検出するセンサを備える。そして、通信回路13は、当該センサで検出された電流又は電圧の値を示す電気情報を盤内機器診断装置4に送信する。
【0020】
通信回路14は、分電盤101内のあらゆる箇所に設置可能な汎用の通信ユニットである。通信回路14は、例えば、電磁接触器7bと過負荷リレー8bとの間に配線される接続電線18に流れる電流を検出し、あるいは当該接続電線18の線間電圧などを検出するセンサを備える。そして、通信回路14は、当該センサで検出された電流又は電圧の値を示す電気情報を盤内機器診断装置4に送信する。
【0021】
盤内機器診断装置4は、配線用遮断器5、配線用遮断器6a、電磁接触器7a、過負荷リレー8a、通信回路12、通信回路13、及び通信回路14のそれぞれから送信される電気情報を収集する。そして、盤内機器診断装置4は、収集した電気情報に基づき、盤内機器の状態を診断する。診断方法の詳細は後述する。
【0022】
なお、盤内機器診断装置4での診断結果は、通信回線3を介して、例えばサーバ1に送信してもよい。通信回線3の通信方式は、無線通信方式や、フィールドバスなどの有線通信方式などである。無線通信方式は、例えば一対多の無線通信を可能とする通信規格であるBluetooth(登録商標)やZigBee(登録商標)や、多対多の無線通信を可能とする通信規格であるBluetooth(登録商標)meshを例示できる。なお、無線通信方式は、盤内機器診断装置4と盤内機器とが近距離無線通信を行う通信手段であればよく、当該通信規格に限定されない。
【0023】
無線通信方式を採用することによって、有線通信方式に比べて、盤内機器診断装置4と盤内機器との間の配線が不要になり、配線にかかる工数を大幅に削減することができる。また、盤内機器診断装置4と盤内機器との電気的な絶縁を確保できるため、電気情報を伝達するための配線による電気事故などを防止できる。
【0024】
また無線通信方式を採用することによって、分電盤101の内部の配線スペースが制約される場合でも、電気情報を盤内機器診断装置4に入力できる。
【0025】
また無線通信方式を採用することによって、通信回路12、13、14などの配置が制約されることなく、電気情報を盤内機器診断装置4に入力できるため、分電盤101の設計条件に自由度を持たせることができる。
【0026】
次に、盤内機器の一例として、過負荷リレー8aの構成例を、図2を参照して説明する。図2は過負荷リレーの構成例を示す図である。過負荷リレー8aは、メカニカルリレーのような有接点リレーか、半導体リレーのような無接点リレーを備えた電子式過負荷リレーである。過負荷リレー8aは、例えば、上記で説明したメカニカルリレーの入力部である電磁石部22d、出力部であるリレー接点22a、演算部22b、電源部22c、通信回路22e、及び電圧センサ22fを備える。これらの構成要素は、例えば基板50に実装される。
【0027】
演算部22bは、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、DSP(Digital Signal Processor)ともいう)、システムLSI(Large Scale Integration)などである。
【0028】
通信回路22eは、電気情報計測部の一例である電圧センサ22fと、電気情報を送信する手段である情報送信回路22gを備える。
【0029】
電圧センサ22fは、例えばU相、V相、W相の各接続電線18に直接接続された電圧検出用の配線から電圧情報を取得し、演算部22b及び情報送信回路22gに入力する。
【0030】
電圧情報を入力した演算部22bは、所定の閾値電圧に達する電圧を入力したとき、電源部22cにトリップ信号4aを入力する。電源部22cは、電荷を蓄えるトリップ用コンデンサを有し、トリップ信号4aを入力したとき、トリップ用コンデンサに蓄えられた電荷を放電する。これにより、電磁石部22dを駆動して接点機構(リレー接点22a)をトリップ動作させる。リレー接点22aがトリップ動作することで、電磁接触器7aのコイルの励磁が解かれて、接続電線18が開路される。トリップ動作後に所定時間が経過すると、演算部22bは、電源部22cにリセット信号を入力することで、電源部22cのリセット用コンデンサの放電によって電磁石部22dを駆動して接点機構(リレー接点22a)がリセット動作を行う。
【0031】
電圧情報を入力した情報送信回路22gは、盤内機器診断装置4に対して有線又は無線で情報を送信する。なお、基板50は、電圧情報が電圧センサ22f、演算部22b、情報送信回路22gの順で伝達され、盤内機器診断装置4へ有線又は無線で送信されるように構成してもよい。
【0032】
次に、盤内機器診断装置4の構成例を、図3を参照して説明する。図3は本発明の実施の形態1に係る盤内機器診断装置の構成例を示す図である。
【0033】
図3には、盤内機器診断装置4が有する機能が模式的に示される。盤内機器診断装置4は、複数の盤内機器のそれぞれの設置位置で計測された電気情報を入力し、入力した2以上の電気情報に基づき、盤内機器の状態を診断する診断部40と、診断部40による診断の結果、盤内機器に異常が生じているとき、盤内機器が異常であることをユーザに通知する異常通知部70と、盤内機器に異常が生じているとき、盤内機器を制御する制御指令を生成する制御指令生成部71とを備える。
【0034】
また図3には、盤内機器診断装置4の電気情報を入力する盤内機器の一例として、配線用遮断器5、配線用遮断器6a、電磁接触器7a、過負荷リレー8a、通信回路12が示される。
【0035】
ここで、盤内機器が備える通信回路から盤内機器診断装置4に送信される電気情報の具体例を説明する。
【0036】
盤内機器が備える通信回路は、配線用遮断器5、配線用遮断器6a、電磁接触器7a、及び過負荷リレー8aが設置される位置における接続電線18に流れる電流を検出し、あるいは当該接続電線18の線間電圧などを検出するセンサを備える。そして、当該通信回路は、当該センサで検出された電流又は電圧の値を示す電気情報を盤内機器診断装置4に送信する。
【0037】
なお、盤内機器診断装置4に送信される電気情報は、電流又は電圧の値を示す電気情報に限定されず、例えば、電流の波形と、電圧の波形と、電流の実効値と、電圧の実効値と、電流と電圧から演算される電力量、有効電力、又は無効電力と、皮相電力に対する有効電力の割合を示す力率との何れかを示す情報でもよい。
【0038】
なお、盤内機器診断装置4へ送信される情報には、電気情報以外にも、各盤内機器の状態を示す状態情報を含めてもよい。状態情報は、例えば、電磁接触器7a,7b及び過負荷リレー8a,8bのそれぞれのオンオフ状態を示す情報、これら盤内機器のそれぞれの動作回数(現地導入から現時点までの総動作回数)を示す情報、これら盤内機器のそれぞれの通電時間を示す情報などである。
【0039】
なお、状態情報は、これらに限定されず、例えば、配線用遮断器5及び配線用遮断器6a,6bのそれぞれがトリップ状態であるか否かを示す状態情報、配線用遮断器5及び配線用遮断器6a,6bのそれぞれのトリップ回数を示す情報、配線用遮断器5及び配線用遮断器6a,6bのそれぞれの通電時間を示す情報、分電盤101内の温度の値を示す情報などでもよい。
【0040】
診断部40は、第1分析部41、第2分析部42、第3分析部43、第4分析部44、第1判定部51、第2判定部52、第3判定部53、第4判定部54、及び第5判定部55を備える。
【0041】
第1分析部41は、例えば、主幹回路に設けられる配線用遮断器5から送信される電気情報と、各分岐回路に設けられる盤内機器(例えば配線用遮断器6a、電磁接触器7a、及び過負荷リレー8a)から送信される電気情報の差分を算出する。具体的には、電気情報が電圧の場合、第1分析部41は、配線用遮断器5で検出された電圧と、配線用遮断器6aで検出された電圧とを比較し、電位差を算出する。電位差は、交流電圧の実効値同士の差分、交流電圧の最大値同士の差分などである。
【0042】
なお、第1分析部41は、入力する電気情報が電流の場合、電流の差分を算出してもよい。電流の差分は、交流電流の実効値同士の差分、交流電流の最大値同士の差分などである。電気情報が電力量の場合、第1分析部41は、配線用遮断器5で検出された電力量と、配線用遮断器5の二次側に接続される各盤内機器のそれぞれで検出された電力量の合計値とを比較し、電力量の差分を算出する。電力量の差分は、有効電力同士の差分、無効電力同士の差分、皮相電力同士の差分などである。
【0043】
第2分析部42は、各分岐回路に設けられる盤内機器(例えば配線用遮断器6a、電磁接触器7a、及び過負荷リレー8a)から送信される電気情報の差分を算出する。具体的には、第2分析部42は、配線用遮断器6aで検出された電圧と、電磁接触器7aで検出された電圧を比較し、電位差を算出する。また、第2分析部42は、配線用遮断器6aで検出された電圧と、過負荷リレー8aで検出された電圧を比較し、電位差を算出する。また、第2分析部42は、電磁接触器7aで検出された電圧と、過負荷リレー8aで検出された電圧を比較し、電位差を算出する。
【0044】
第3分析部43は、第1分析部41及び第2分析部42のそれぞれで算出された情報の時系列な変化傾向(トレンドパターン)を算出する。例えば、各盤内機器は、接続電線18を接続するための端子(一次側端子、二次側端子)を備える。この端子に接続電線18を接続するためには、例えば、接続電線18の端部に設けられる圧着用端子などにねじを挿入し、ねじを端子にねじ込むことで行われる。ところが、当該ねじは、経年によってねじのゆるみが進行する。ゆるみの原因には様々な要因が考えられるが、例えば、ねじと端子との線膨張係数の違いによって、通電時に互いに接触部に応力が作用して、その応力の大きさに比例してゆるみが進行する。ゆるみが進行すると、端子と圧着用端子との接触圧力が低下して、端子と圧着用端子との接触面積が低下する。従って、端子と圧着用端子との接触面のインピーダンスの平均値が、時系列的に徐々に増加する傾向を示す。このように、接触面のインピーダンスが増加すると、第1分析部41及び第2分析部42のそれぞれで算出された電位差情報は、時系列に増加傾向を示す。
【0045】
第3分析部43は、このように変化する電位差情報の変化傾向を算出する。なお、第3分析部43は、一定期間毎(例えば数十分毎、数時間毎など)に第1分析部41及び第2分析部42のそれぞれで算出された情報を収集して、それらの平均値を算出してもよいし、収集した情報の内、最も高い値を示す最大値、最も低い値を示す最小値などを算出してもよい。なお、第3分析部43は、電圧の時系列な変化傾向の代わりに、電流、電力などの時系列な変化傾向を算出してもよい。
【0046】
第4分析部44は、各盤内機器のそれぞれで検出された情報の時系列な変化傾向(トレンドパターン)を算出する。なお、第4分析部44は、電圧の時系列な変化傾向以外にも、電流、電力などの時系列な変化傾向を算出してもよい。また、第4分析部44は、収集した情報の平均値を算出してもよいし、収集した情報の内、最も高い値を示す最大値、最も低い値を示す最小値などを算出してもよい。
【0047】
第1判定部51は、例えば第3分析部43で算出された時系列な変化傾向を示すデータを、予め設定された設定値と比較する。設定値は、電圧、電流、又は電力量の基準値、電圧、電流、又は電力量の出荷値などである。基準値は、例えば、分電盤101の製造時に満たすべき電圧、電流、又は電力量として予め定められた値である。出荷値は、例えば、分電盤101の出荷時に測定された電圧、電流、又は電力量として予め定められた値である。第1判定部51は、基準値及び出荷値の少なくとも一方と第3分析部43からのデータとを比較することによって、各盤内機器の何れかの電気情報が基準値又は出荷値を超えたことを検出し、又は各盤内機器の何れかの電気情報が基準値又は出荷値を下回ったことを検出したとき、何れかの盤内機器が点検を要する状態、又は異常な状態であることを示す情報を、異常通知部70及び制御指令生成部71に入力する。
【0048】
第2判定部52は、例えば、第3分析部43又は第4分析部44で算出された平均値と、各盤内機器の何れかの電気情報とを比較することで、各盤内機器の何れかの電気情報が平均値を超えたことを検出し、又は各盤内機器の何れかの電気情報が平均値を下回ったことを検出したとき、何れかの盤内機器が点検を要する状態、又は異常な状態であることを示す情報を、異常通知部70及び制御指令生成部71に入力する。
【0049】
第3判定部53は、例えば、第3分析部43又は第4分析部44で算出された最大値と、各盤内機器の何れかの電気情報とを比較することで、各盤内機器の何れかの電気情報が最大値を超えたことを検出したとき、何れかの盤内機器が点検を要する状態、又は異常な状態であることを示す情報を、異常通知部70及び制御指令生成部71に入力する。
【0050】
第4判定部54は、例えば、第3分析部43又は第4分析部44で算出された最小値と、各盤内機器の何れかの電気情報とを比較することで、各盤内機器の何れかの電気情報が最小値を下回ったことを検出したとき、何れかの盤内機器が点検を要する状態、又は異常な状態であることを示す情報を、異常通知部70及び制御指令生成部71に入力する。
【0051】
第5判定部55は、各盤内機器の何れかの電気情報と、予め設定された設定値と比較する。設定値は、電圧、電流、又は電力量の基準値、電圧、電流、又は電力量の出荷値などである。基準値は、例えば、分電盤101の製造時に満たすべき電圧、電流、又は電力量として予め定められた値である。出荷値は、例えば、分電盤101の出荷時に測定された電圧、電流、又は電力量として予め定められた値である。第5判定部55は、基準値及び出荷値の少なくとも一方と各盤内機器の何れかの電気情報とを比較することによって、各盤内機器の何れかの電気情報が基準値又は出荷値を超えたことを検出し、又は各盤内機器の何れかの電気情報が基準値又は出荷値を下回ったことを検出したとき、何れかの盤内機器が点検を要する状態、又は異常な状態であることを示す情報を、異常通知部70及び制御指令生成部71に入力する。
【0052】
これらの機能を有する診断部40は、例えば、各盤内機器の少なくとも何れか2つの設置位置で計測された電気情報に基づき、これらの盤内機器の何れかの端子に設けられるねじにゆるみが生じているか否かを診断する。
【0053】
例えば、診断部40は、配線用遮断器6a及び電磁接触器7aのそれぞれからの電圧情報を一定時間サンプリングして、それらの差分(電位差)の平均値を計測する。
【0054】
計測された電位差が、予め設定された電圧閾値未満の場合、診断部40は、配線用遮断器6aの一次側端子、配線用遮断器6aの二次側端子、電磁接触器7aの一次側端子、電磁接触器7aの二次側端子の少なくとも1つのねじに、ゆるみが生じていないと判定する。
【0055】
計測された電位差が、予め設定された電圧閾値以上の場合、診断部40は、配線用遮断器6aの一次側端子、配線用遮断器6aの二次側端子、電磁接触器7aの一次側端子、電磁接触器7aの二次側端子の少なくとも1つのねじに、ゆるみが生じていると判定する。
【0056】
なお、診断部40は、電磁接触器7a及び過負荷リレー8aのそれぞれかの電圧情報を入力して、電磁接触器7a及び過負荷リレー8aの一次側端子及び二次側端子の少なくとも1つのねじに、ゆるみが生じているか否かを判定するように構成してもよい。
【0057】
また、診断部40は、通信回路12及び通信回路13のそれぞれからの電圧情報を入力して、配線用遮断器6b及び電磁接触器7bの一次側端子及び二次側端子の少なくとも1つのねじに、ゆるみが生じているか否かを判定するように構成してもよい。
【0058】
このように、配線用遮断器5の二次側の分岐回路の内、一方の分岐回路に設けられる盤内機器からの電気情報を用いて、盤内機器の何れかの端子のねじにゆるみが生じているか否かを診断することで、ゆるみが進行して、電位差が電圧閾値以上になると、異常通知部70による通知動作と、制御指令生成部71によるトリップ動作(配線用遮断器5、6a、6bあるいは電磁接触器7a,7bの主接点をオフ状態にさせる信号の生成動作)との少なくとも一方が実行される。これにより、点検する作業者は端子のねじにゆるみが発生したことを知得でき、増し締め作業などを行うことができると共に、負荷の焼損事故を防止できる。
【0059】
なお、診断部40によるねじのゆるみ診断では、例えば、一方の分岐回路に設けられる盤内機器からの電気情報と、他方の分岐回路に設けられる盤内機器からの電気情報とを利用してもよい。
【0060】
具体的には、診断部40は、配線用遮断器6a及び電磁接触器7aからの電圧情報を一定時間サンプリングして、それらの差分(第1電位差)の平均値を計測する。さらに、診断部40は、通信回路12及び通信回路13からの電圧情報を一定時間サンプリングして、それらの差分(第2電位差)の平均値を計測する。
【0061】
そして、診断部40は、第1電位差の値が所定の値(例えば第2電位差の1.2倍から1.5倍程度の値)未満の場合には、配線用遮断器6aの一次側端子、配線用遮断器6aの二次側端子、電磁接触器7aの一次側端子、電磁接触器7aの二次側端子の少なくとも1つのねじに、ゆるみが生じていないと判定する。
【0062】
第1電位差の値が所定の値(例えば第2電位差の1.2倍から1.5倍程度の値)を超える場合には、配線用遮断器6aの一次側端子、配線用遮断器6aの二次側端子、電磁接触器7aの一次側端子、電磁接触器7aの二次側端子の少なくとも1つのねじに、ゆるみが生じていると判定する。
【0063】
このように、一方の分岐回路と他方の分岐回路のそれぞれに設けられる同じ機能の盤内機器同士の電気情報を比較することで、それぞれの分岐回路において同じ機能を有する盤内機器において、ねじのゆるみが進行している可能性があることを容易に判別できる。
【0064】
なお、診断部40は、ねじのゆるみ診断に加えて、各盤内機器の何れかの接点の状態や、各盤内機器の間に配線される接続電線18の状態などを診断するように構成してもよい。
【0065】
接点は、例えば、配線用遮断器6a,6b、電磁接触器7a,7bなどの開閉機構が有する可動接点、固定接点である。接点の状態は、接触抵抗値が増加傾向にあるか否かにより診断できる。接触抵抗値は、計測された電圧と電流から電圧V/電流Iとして算出できる。当該接触抵抗が、予め設定された抵抗値閾値未満であるか否かを判定することで、接触抵抗値が増加傾向にあることを診断できる。
【0066】
具体的には、診断部40は、配線用遮断器6aからの電流情報及び電圧情報を一定時間サンプリングして、配線用遮断器6aの接点の第1接触抵抗を算出する。さらに、診断部40は、通信回路12からの電流情報及び電圧情報を一定時間サンプリングして、通信回路12が設けられる配線用遮断器6bの接点の第2接触抵抗を算出する。そして、診断部40は、例えば第1接触抵抗の値が所定の接触抵抗閾値(例えば第2接触抵抗の1.2倍から1.5倍程度の値)未満の場合には、配線用遮断器6aの接点が正常であると判定する。診断部40は、第1接触抵抗の値が接触抵抗閾値を超える場合には、配線用遮断器6aの接点が異常であると判定する。このように、一方の分岐回路と他方の分岐回路のそれぞれに設けられる同じ機能の盤内機器同士の電気情報を比較することで、それぞれの分岐回路において同じ機能を有する盤内機器が有する接点の状態を容易に診断できる。
【0067】
接続電線18の状態は、接続電線18のインピーダンスが増加傾向にあるか否かにより診断できる。接続電線18のインピーダンスは、計測された電圧と電流から電圧V/電流Iとして算出できる。接続電線18のインピーダンスが、予め設定されたインピーダンス閾値未満であるか否かを判定することで、接続電線18のインピーダンスが増加傾向にあることを診断できる。
【0068】
具体的には、診断部40は、配線用遮断器6a及び電磁接触器7aからの電流情報と電圧情報をそれぞれ一定時間サンプリングして、配線用遮断器6aと電磁接触器7aとの間に配線される接続電線18の第1インピーダンスを算出する。さらに、診断部40は、通信回路12及び通信回路13からの電流情報と電圧情報をそれぞれ一定時間サンプリングして、配線用遮断器6bと電磁接触器7bとの間に配線される接続電線18の第2インピーダンスを算出する。そして、診断部40は、第1インピーダンスの値が所定のインピーダンス閾値(例えば第2インピーダンスの1.2倍から1.5倍程度の値)未満の場合には、配線用遮断器6aと電磁接触器7aとの間に配線される接続電線18が正常であると判定する。診断部40は、第1インピーダンスの値がインピーダンス閾値を超える場合には、配線用遮断器6aと電磁接触器7aとの間に配線される接続電線18が異常であると判定する。このように、一方の分岐回路と他方の分岐回路のそれぞれに設けられる同じ機能の盤内機器同士の電気情報を比較することで、それぞれの分岐回路において同じ位置に配線される接続電線18の状態を容易に診断できる。
【0069】
異常通知部70は、診断部40からの診断結果情報を入力すると、ユーザに対して、例えば、ねじにゆるみが生じていること、接点に異常が生じていること、接続電線18が異常であることなどを通知する通知情報を出力する。
【0070】
報知方法は、例えば警告表示、アラーム音、音声ガイダンスなどである。警告表示の場合、例えば、分電盤などに設けられる表示手段の点灯状態を、ねじのゆるみが生じていないとき、接点に異常が生じていないとき、又は、接続電線18が正常であるときの点灯状態と異ならせることで行われる。アラーム音の場合、例えば分電盤、監視センターなどに設置されるスピーカーに対して、ねじのゆるみが生じていること、接点に異常が生じていること、又は、接続電線18が異常であることを示す警告音を発生させることで行われる。音声ガイダンスの場合、例えば分電盤、監視センターなどに設置されるスピーカーに対して、例えば「分電盤内のねじにゆるみが生じています。」などのように、盤内機器の状態を認識できるガイダンスが音声で案内される。
【0071】
なお、異常通知部70による通知方法はこれらに限定されるものではなく、盤内機器の異常をユーザなどに報知できる方法であればよい。
【0072】
異常通知部70を設けることによって、盤内機器に異常が生じていることを、分電盤などの点検を行う作業者などに報知できるため、例えば、定期点検の周期よりも短周期で、例えば、ねじのゆるみが進行した場合でも、点検する作業者は、ねじのゆるみが発生したことを知得できるため、増し締め対策などを臨時に行うことができ、ねじのゆるみに起因する局所的な発熱を抑制できる。
【0073】
また異常通知部70を設けることによって、遠隔地でも、盤内機器の異常を容易に知得できる。
【0074】
また異常通知部70を設けることによって、定期点検でヒューマンエラー(チェック対象のねじの増し締め忘れなど)が生じた場合でも、表示手段や音発生手段を通じて知得できるため、ヒューマンエラーへの対応を確実に行うことができる。
【0075】
制御指令生成部71は、診断部40からの診断結果情報を入力すると、例えば、電磁接触器7a,7bの主接点をオフ状態にさせる信号を生成して、当該主接点をトリップ動作させる。
【0076】
なお、盤内機器診断装置4は、異常通知部70及び制御指令生成部71の一方を備えるように構成してもよい。
【0077】
異常通知部70のみ備える場合には、例えば、ねじのゆるみが発生したと診断されたとしても作業者による点検を即座に行うことができる状況であれば、負荷9の動作を継続させることができるため、生産ラインなどを停止させることなく、負荷9の損傷事故を防ぐことも可能である。
【0078】
制御指令生成部71のみ備える場合には、例えば、分電盤などが稼働する深夜帯などにおいて、ねじのゆるみなどが発生したと診断されたときでも、作業者による点検が実施されるまでに、負荷9への電力供給が遮断されて、負荷9の損傷事故を防ぐことができる。
【0079】
次に診断部40における診断動作を図4~6を参照して説明する。なお、ここでは、診断動作の一例として、ゆるみ診断、接続電線18の診断、接点の診断などの動作について説明するが、診断部40における診断内容はこれらに限定されるものではない。
【0080】
図4は第1診断動作を説明するためのフローチャートである。図4には、端子のねじのゆるみ診断時における処理内容が示される。図4に示される各ステップの処理が実行されるタイミングは、例えば、盤内機器診断装置4の電源が投入され、かつ、負荷9への通電が開始されたときである。後述する図5及び図6の処理が実行されるタイミングについても同様である。
【0081】
ステップS1では、例えば、配線用遮断器6a及び電磁接触器7aのそれぞれからの電圧情報を一定時間サンプリングすることで、それらの差分(電位差)の平均値が計測される。
【0082】
ステップS2では、計測された電位差が電圧閾値未満であるか否かが判定される。
【0083】
電位差が電圧閾値未満の場合(ステップS2,Yes)、ねじのゆるみが発生していない(ゆるみ無し)と判定され(ステップS3)、再びステップS1の処理が実行される。
【0084】
電位差が電圧閾値以上の場合(ステップS2,No)、ねじのゆるみが発生している(ゆるみ有り)と判定される(ステップS4)。ゆるみ有りと判定されると、ステップS5において、報知とトリップ動作が行われる。
【0085】
図5は第2診断動作を説明するためのフローチャートである。図5には、接点の状態を診断する処理内容が示される。
【0086】
ステップS11では、例えば、配線用遮断器6aと過負荷リレー8aからの電流情報及び電圧情報を一定時間サンプリングして、電磁接触器7aの接点の第1接触抵抗が算出され、さらに、通信回路12と通信回路14からの電流情報及び電圧情報を一定時間サンプリングして、通信回路13が設けられる電磁接触器7bの接点の第2接触抵抗が算出される。すなわち、電源側(配線用遮断器)の機器情報と負荷側(過負荷リレー)の機器情報との差により、電源側の機器と負荷側の機器との間に挟まれている機器(電磁接触器)の値が算出される。
【0087】
ステップS12では、算出された第1接触抵抗と所定の接触抵抗閾値(例えば第2接触抵抗の1.2倍から1.5倍程度の値)を比較して、第1接触抵抗の値が接触抵抗閾値未満であるか否かが判定される。
【0088】
第1接触抵抗が接触抵抗閾値未満の場合(ステップS12,Yes)、電磁接触器7aの接点が正常であると判定され(ステップS13)、再びステップS11の処理が実行される。
【0089】
第1接触抵抗が接触抵抗閾値以上の場合(ステップS12,No)、電磁接触器7aの接点が異常と判定される(ステップS14)。接点異常と判定されると、ステップS15において、報知とトリップ動作が行われる。
【0090】
図6は第3診断動作を説明するためのフローチャートである。図6には、接続電線18の状態を診断する処理内容が示される。
【0091】
ステップS21では、例えば、配線用遮断器6a及び電磁接触器7aからの電流情報と電圧情報をそれぞれ一定時間サンプリングして、配線用遮断器6aと電磁接触器7aとの間に配線される接続電線18の第1インピーダンスが算出される。さらに、通信回路12及び通信回路13からの電流情報と電圧情報をそれぞれ一定時間サンプリングして、配線用遮断器6bと電磁接触器7bとの間に配線される接続電線18の第2インピーダンスが算出される。
【0092】
ステップS22では、算出された第1インピーダンスと所定のインピーダンス閾値(例えば第2インピーダンスの1.2倍から1.5倍程度の値)を比較して、第1インピーダンスの値がインピーダンス閾値未満であるか否かが判定される。
【0093】
第1インピーダンスがインピーダンス閾値未満の場合(ステップS22,Yes)、配線用遮断器6aと電磁接触器7aとの間に配線される接続電線18が正常であると判定され(ステップS23)、再びステップS21の処理が実行される。
【0094】
第1インピーダンスがインピーダンス閾値以上の場合(ステップS22,No)、配線用遮断器6aと電磁接触器7aとの間に配線される接続電線18が異常と判定される(ステップS24)。接続電線18が異常と判定されると、ステップS25において、報知とトリップ動作が行われる。
【0095】
本実施の形態に係る盤内機器診断装置4は、少なくとも2以上の盤内機器のそれぞれの設置位置で計測された電気情報に基づき、盤内機器の状態を診断する構成を有する。この構成により、端子のねじのゆるみ状態、接続電線18の状態、接点状態などを監視でき、分電盤などの信頼性を大幅に向上できると共に、メンテナンスに要する作業を効率的に行うことができる。
【0096】
実施の形態2
図7は本発明の実施の形態2に係る盤内機器診断装置の構成例を示す図である。以下では、実施の形態1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、異なる部分について述べる。
【0097】
実施の形態1では、1つの分電盤内に配置された盤内機器又は通信回路で収集された電気情報を利用して機器の健全性の診断を行っていた。実施の形態2では、例えば、盤内機器診断装置4-1を「第1盤内機器診断装置」とし、盤内機器診断装置4-1以外の1又は複数の盤内機器診断装置4-2~4-n(nは1以上の自然数)を「第2盤内機器診断装置」とした場合、第1盤内機器診断装置が第2盤内機器診断装置で収集された計測情報を入力し、第1盤内機器診断装置で収集された盤内機器(例えば配線用遮断器6a)の電気情報と、第2盤内機器診断装置で収集された当該盤内機器と同じ機能の盤内機器(配線用遮断器6a)の電気情報とを比較して、当該盤内機器の健全性を診断するように構成されている。この構成例を具体的に説明する。
【0098】
実施の形態2に係る盤内機器診断装置4-1は、実施の形態1の各構成要素に加えて、通信装置80及び第6判定部56を備える。
【0099】
通信装置80は、例えば、インターネット網、多数の基地局を末端とする携帯電話網などの通信回線を介して、盤内機器診断装置4-2~4-nとの間で情報の伝送を行う通信手段である。携帯電話網は、3G(Third Generation)、4G(Fourth Generation)、LTE(Long Term Evolution)、又は5G(Fifth Generation)等の無線通信回線である。
【0100】
なお、1又は複数の盤内機器診断装置4-2~4-nには、通信装置80と同様の通信手段が設けられている。
【0101】
通信装置80は、例えば、盤内機器診断装置4-2~4-nから送信された電気情報を受信して、第6判定部56に入力する機能と、分電盤101-1内の盤内機器から送信された電気情報を受信して、第6判定部56に入力する機能と、分電盤101-1内の盤内機器から送信された電気情報を、他の盤内機器診断装置4-2~4-nに対して送信する機能とを有する。
【0102】
第6判定部56は、診断部40が有する機能の一つである。第6判定部56は、例えば、分電盤101-1内の盤内機器から送信された電気情報と、盤内機器診断装置4-2~4-nから送信された電気情報とを入力し、以下に示す各診断を行う。
【0103】
ゆるみ診断を行う場合、第6判定部56は、例えば、盤内機器診断装置4-1内の配線用遮断器6a及び電磁接触器7aのそれぞれからの電圧情報を一定時間サンプリングすることで、それらの差分(第1電位差)の平均値を計測する。
【0104】
同様に、第6判定部56は、盤内機器診断装置4-2内の配線用遮断器6a及び電磁接触器7aのそれぞれからの電圧情報を利用して、第2電位差の平均値を計測する。
【0105】
第6判定部56は、第1電位差の値が所定の値(例えば第2電位差の1.2倍から1.5倍程度の値)未満の場合には、盤内機器診断装置4-1内の配線用遮断器6aの一次側端子、配線用遮断器6aの二次側端子、電磁接触器7aの一次側端子、電磁接触器7aの二次側端子の少なくとも1つのねじに、ゆるみが生じていないと判定する。
【0106】
第1電位差の値が所定の値(例えば第2電位差の1.2倍から1.5倍程度の値)を超える場合には、盤内機器診断装置4-1内の配線用遮断器6aの一次側端子、配線用遮断器6aの二次側端子、電磁接触器7aの一次側端子、電磁接触器7aの二次側端子の少なくとも1つのねじに、ゆるみが生じていると判定する。
【0107】
なお、ゆるみ診断において、3以上の盤内機器診断装置4で収集された情報を利用して、多数決処理によってゆるみの有無を判定してもよい。
【0108】
具体的には、例えば、第6判定部56は、第1電位差及び第2電位差の算出に加えて、盤内機器診断装置4-3内の配線用遮断器6a及び電磁接触器7aのそれぞれからの電圧情報を利用して、第3電位差の平均値を計測する。第6判定部56は、第1電位差が、第2電位差及び第3電位差のそれぞれと略同じ値である場合、盤内機器診断装置4-1内の配線用遮断器6a、電磁接触器7aの端子のねじに、ゆるみが生じていないと判定する。略同じ値とは、電位差が、出荷時の電位差の±10%以下、特に±5%以下であることをいう。第6判定部56は、第1電位差が、第2電位差及び第3電位差のそれぞれと略同じ値ではない場合、盤内機器診断装置4-1内の配線用遮断器6a、電磁接触器7aの端子のねじに、ゆるみが生じている可能性が高いと判定して、盤内機器が点検を要する状態、又は異常な状態であることを示す情報を、異常通知部70及び制御指令生成部71に入力する。
【0109】
接点の状態を診断する場合、第6判定部56は、例えば、盤内機器診断装置4-1内の配線用遮断器6aと過負荷リレー8aからの電流情報及び電圧情報を一定時間サンプリングして、当該電磁接触器7aの接点の第1接触抵抗を算出する。
【0110】
同様に、第6判定部56は、盤内機器診断装置4-2内の配線用遮断器6aと過負荷リレー8aからの電流情報及び電圧情報を一定時間サンプリングして、当該電磁接触器7aの接点の第2接触抵抗を算出する。
【0111】
第6判定部56は、第1接触抵抗と所定の接触抵抗閾値(例えば第2接触抵抗の1.2倍から1.5倍程度の値)を比較して、第1接触抵抗の値が接触抵抗閾値未満であるか否かを判定する。
【0112】
第1接触抵抗が接触抵抗閾値未満の場合、盤内機器診断装置4-1内の電磁接触器7aの接点が正常であると判定する。第1接触抵抗が接触抵抗閾値以上の場合、盤内機器診断装置4-1内の電磁接触器7aの接点が異常と判定する。
【0113】
なお、接点状態の診断において、3以上の盤内機器診断装置4で収集された情報を利用して、多数決処理によって接点状態を判定してもよい。
【0114】
具体的には、例えば、第6判定部56は、第1接触抵抗及び第2接触抵抗の算出に加えて、盤内機器診断装置4-3内の配線用遮断器6aと過負荷リレー8aからの電流情報及び電圧情報を利用して、第3接触抵抗を算出する。第6判定部56は、第1接触抵抗が、第2接触抵抗及び第3接触抵抗のそれぞれと略同じ値である場合、盤内機器診断装置4-1内の電磁接触器7aの接点が正常であると判定する。略同じ値とは、接触抵抗が、出荷時の接触抵抗の±10%以下、特に±5%以下であることをいう。第6判定部56は、第1接触抵抗が、第2接触抵抗及び第3接触抵抗のそれぞれと略同じ値ではない場合、盤内機器診断装置4-1内の電磁接触器7aの接点が異常であると判定する。そして、盤内機器が点検を要する状態、又は異常な状態であることを示す情報を、異常通知部70及び制御指令生成部71に入力する。
【0115】
接続電線18の状態を診断する場合、第6判定部56は、例えば、盤内機器診断装置4-1内の配線用遮断器6a及び電磁接触器7aからの電流情報と電圧情報をそれぞれ一定時間サンプリングして、配線用遮断器6aと電磁接触器7aとの間に配線される接続電線18の第1インピーダンスを算出する。
【0116】
同様に、第6判定部56は、盤内機器診断装置4-2内の配線用遮断器6a及び電磁接触器7aからの電流情報と電圧情報をそれぞれ一定時間サンプリングして、配線用遮断器6aと電磁接触器7aとの間に配線される接続電線18の第2インピーダンスを算出する。
【0117】
第6判定部56は、第1インピーダンスと所定のインピーダンス閾値(例えば第2インピーダンスの1.2倍から1.5倍程度の値)を比較して、第1インピーダンスの値がインピーダンス閾値未満であるか否かを判定する。
【0118】
第6判定部56は、第1インピーダンスの値がインピーダンス閾値未満の場合には、盤内機器診断装置4-1の接続電線18が正常であると判定する。第6判定部56は、第1インピーダンスの値がインピーダンス閾値を超える場合には、盤内機器診断装置4-1の接続電線18が異常であると判定する。
【0119】
なお、接続電線18の状態の診断において、3以上の盤内機器診断装置4で収集された情報を利用して、多数決処理によって接点状態を判定してもよい。
【0120】
具体的には、例えば、第6判定部56は、第1インピーダンス及び第2インピーダンスの算出に加えて、盤内機器診断装置4-3内の配線用遮断器6a及び電磁接触器7aからの電流情報及び電圧情報を利用して、第3インピーダンスを算出する。第6判定部56は、第1インピーダンスが、第2インピーダンス及び第3インピーダンスのそれぞれと略同じ値である場合、盤内機器診断装置4-1の接続電線18が正常であると判定する。略同じ値とは、インピーダンスが、出荷時のインピーダンスの±10%以下、特に±5%以下であることをいう。第6判定部56は、第1インピーダンスが、第2インピーダンス及び第3インピーダンスのそれぞれと略同じ値ではない場合、盤内機器診断装置4-1内の接続電線18が異常であると判定する。そして、盤内機器が点検を要する状態、又は異常な状態であることを示す情報を、異常通知部70及び制御指令生成部71に入力する。
【0121】
実施の形態2に係る盤内機器診断装置4によれば、第1盤内機器診断装置(盤内機器診断装置4-1など)で収集された電気情報を利用した場合には、盤内機器の状態が正常と判断される状況でも、1又は2以上の第2盤内機器診断装置(盤内機器診断装置4-2など)からの電気情報を利用することで、第1盤内機器診断装置に設けられる盤内機器の健全性をより正確に診断することができる。
【0122】
実施の形態3
図8は本発明の実施の形態3に係る盤内機器診断システムの構成例を示す図である。以下では、実施の形態1、2と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、異なる部分について述べる。
【0123】
実施の形態3に係る盤内機器診断システム100は、第1系統電源201に接続される第1の電力系統である第1系統210に含まれる盤内機器と、第2系統電源202に接続される第2の電力系統である第2系統220に含まれる盤内機器と、サーバ1とを備える。
【0124】
サーバ1は、第1系統210と第2系統220のそれぞれに接続される盤内機器から送信される電気情報を収集して、異なる系統間で、同じ機能の盤内機器の電気情報を比較することで、当該盤内機器の健全性を診断するように構成されている。
【0125】
第1系統210及び第2系統220には、電気情報を送信するための通信装置81が設けられる。通信装置81は、例えば、第1系統210及び第2系統220で収集した電気情報を、インターネット網、多数の基地局を末端とする携帯電話網などの通信回線を介して、サーバ1に送信する通信手段である。なお、サーバ1に接続される系統の数は2つに限定されるものではない。
【0126】
図9は本発明の実施の形態3に係るサーバの構成例を示す図である。サーバ1は、実施の形態1の各構成要素に加えて、通信装置81及び第7判定部57を備える。
【0127】
通信装置81は、第1系統210及び第2系統220で収集された電気情報を受信して第7判定部57に入力する機能を有する。
【0128】
第7判定部57は、診断部40が有する機能の一つである。第7判定部57は、例えば、第1系統210で収集された電気情報と、第2系統220から送信された電気情報とを入力し、以下に示す各診断を行う。
【0129】
ゆるみ診断を行う場合、第7判定部57は、例えば、第1系統210内の配線用遮断器6a及び電磁接触器7aのそれぞれからの電圧情報を一定時間サンプリングすることで、それらの差分(第1電位差)の平均値を計測する。
【0130】
同様に、第7判定部57は、第2系統220内の配線用遮断器6a及び電磁接触器7aのそれぞれからの電圧情報を利用して、第2電位差の平均値を計測する。
【0131】
なお、第7判定部57は、電気情報に含まれる盤内機器の識別情報を利用することで、第1系統210と第2系統220で同じ機能を有する盤内機器でそれぞれ計測された電気情報について、第1電位差及び第2電位差を計測する。
【0132】
第7判定部57は、第1電位差の値が所定の値(例えば第2電位差の1.2倍から1.5倍程度の値)未満の場合には、第1系統210内の配線用遮断器6aの一次側端子、配線用遮断器6aの二次側端子、電磁接触器7aの一次側端子、電磁接触器7aの二次側端子の少なくとも1つのねじに、ゆるみが生じていないと判定する。
【0133】
第1電位差の値が所定の値(例えば第2電位差の1.2倍から1.5倍程度の値)を超える場合には、第1系統210内の配線用遮断器6aの一次側端子、配線用遮断器6aの二次側端子、電磁接触器7aの一次側端子、電磁接触器7aの二次側端子の少なくとも1つのねじに、ゆるみが生じていると判定する。
【0134】
接点の状態を診断する場合、第7判定部57は、例えば、第1系統210内の配線用遮断器6aと過負荷リレー8aからの電流情報及び電圧情報を一定時間サンプリングして、電磁接触器7aの接点の第1接触抵抗を算出する。
【0135】
同様に、第7判定部57は、第2系統220内の配線用遮断器6aと過負荷リレー8aからの電流情報及び電圧情報を一定時間サンプリングして、電磁接触器7aの接点の第2接触抵抗を算出する。
【0136】
なお、第7判定部57は、電気情報に含まれる盤内機器の識別情報を利用することで、第1系統210と第2系統220で同じ機能を有する盤内機器でそれぞれ計測された電気情報について、第1接触抵抗及び第2接触抵抗を計測する。
【0137】
第7判定部57は、第1接触抵抗と所定の接触抵抗閾値(例えば第2接触抵抗の1.2倍から1.5倍程度の値)を比較して、第1接触抵抗の値が接触抵抗閾値未満であるか否かを判定する。
【0138】
第1接触抵抗が接触抵抗閾値未満の場合、第1系統210内の電磁接触器7aの接点が正常であると判定する。第1接触抵抗が接触抵抗閾値以上の場合、第1系統210内の電磁接触器7aの接点が異常と判定する。
【0139】
接続電線18の状態を診断する場合、第7判定部57は、例えば、第1系統210内の配線用遮断器6a及び電磁接触器7aからの電流情報と電圧情報をそれぞれ一定時間サンプリングして、配線用遮断器6aと電磁接触器7aとの間に配線される接続電線18の第1インピーダンスを算出する。
【0140】
同様に、第7判定部57は、第2系統220内の配線用遮断器6a及び電磁接触器7aからの電流情報と電圧情報をそれぞれ一定時間サンプリングして、配線用遮断器6aと電磁接触器7aとの間に配線される接続電線18の第2インピーダンスを算出する。
【0141】
なお、第7判定部57は、電気情報に含まれる盤内機器の識別情報を利用することで、第1系統210と第2系統220で同じ機能を有する盤内機器でそれぞれ計測された電気情報について、第1インピーダンス及び第2インピーダンスを計測する。
【0142】
第7判定部57は、第1インピーダンスと所定のインピーダンス閾値(例えば第2インピーダンスの1.2倍から1.5倍程度の値)を比較して、第1インピーダンスの値がインピーダンス閾値未満であるか否かを判定する。
【0143】
第7判定部57は、第1インピーダンスの値がインピーダンス閾値未満の場合には、第1系統210の接続電線18が正常であると判定する。第7判定部57は、第1インピーダンスの値がインピーダンス閾値を超える場合には、第1系統210の接続電線18が異常であると判定する。
【0144】
実施の形態3に係るサーバ1によれば、サーバ1は、複数の系統のそれぞれに接続される盤内機器から送信される電気情報を収集して、異なる系統間で、同じ機能の盤内機器の電気情報を比較することで、当該盤内機器の健全性を診断できる。そのため、1つの系統に設けられる盤内機器からの電気情報を利用する場合に比べて、当該盤内機器の健全性をより正確に診断することができる。また、特定の系統に接続される盤内機器が頻繁に異常と診断された場合には、盤内機器を収納する分電盤の設置環境が、例えば塩害地域、高温多湿の地域などの可能性がある。そのため、実施の形態3のように複数の系統に接続された盤内機器からの電気情報を利用すれば、机上検討では把握できない地域特別状況による機器の劣化傾向なども把握できるため、地域特別状況を加味した盤内機器を設置するなどの対策も講じることができる。
【0145】
なお、実施の形態3には実施の形態2の構成を組み合わせてもよい。
【0146】
また、実施の形態1~3によれば、初期からの変化量を確認することで予備保守(Condition Based Maintenance:CBM)に活用することができ、コストの軽減や、未然の事故防止に有益である。また、何か異常が発生した際、一括で同時に全電路状態を監視しているため、その原因特定にも有益と考える。
【0147】
なお、実施の形態1~3の診断部40が備える機能は、これらの各機能を実現するプログラムをメモリに格納しておき、盤内機器診断装置4及びサーバ1の動作を司るCPUが当該プログラムを読み出して実行することによって実現される。
【0148】
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0149】
1:サーバ
1a:コイル
2:配線用遮断器
3:通信回線
4,4-1,4-2,4-3:盤内機器診断装置
4a:トリップ信号
5,6,6a,6b:配線用遮断器
7a,7b:電磁接触器
8a,8b:過負荷リレー
9:負荷
10:電磁接触器
12,13,14:通信回路
16:電線
18:接続電線
22a:リレー接点
22b:演算部
22c:電源部
22d:電磁石部
22e:通信回路
22f:電圧センサ
22g:情報送信回路
40:診断部
41:第1分析部
42:第2分析部
43:第3分析部
44:第4分析部
50:基板
51:第1判定部
52:第2判定部
53:第3判定部
54:第4判定部
55:第5判定部
56:第6判定部
57:第7判定部
70:異常通知部
71:制御指令生成部
80,81:通信装置
100:盤内機器診断システム
101,101-1,101-2:分電盤
200:系統電源
201:第1系統電源
202:第2系統電源
210:第1系統
220:第2系統
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9