(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】産業車両
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20230920BHJP
【FI】
B66F9/24 P
(21)【出願番号】P 2020104616
(22)【出願日】2020-06-17
【審査請求日】2022-09-16
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センター「革新的技術開発・緊急展開事業(うち人工知能未来農業創造プロジェクト)」、産業技術力強化法第17条の適用を受けるもの
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】奥村 俊介
(72)【発明者】
【氏名】野々垣 保紀
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-210431(JP,A)
【文献】特開2003-246597(JP,A)
【文献】特開2006-240873(JP,A)
【文献】特開平11-278799(JP,A)
【文献】特開2003-212489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00-11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置と、前記走行装置の前側に配置された荷役装置と、前記荷役装置で取り扱う荷役対象物に取り付けられたマーカを認識する認識装置とを備えた産業車両であって、
前記荷役装置は、前記走行装置の前部に取り付けられたマストと、前記マストに昇降可能に支持されたリフトブラケットと、前記リフトブラケットに取り付けられた一対のフォークとを有し、
前記認識装置は、前記荷役装置の前方を撮像する撮像装置と、前記撮像装置の撮像範囲に照明光を照射する照明装置とを有し、
前記照明装置は、前記リフトブラケットよりも前側に配置されている産業車両。
前記フォークの基部には、当該フォークによる前記荷役対象物の支持位置を規定するスペーサが配置され、
前記照明装置は、前記スペーサ上に配置されている産業車両。
【請求項2】
前記照明装置は、前記荷役装置の平面視において前記フォークと重なる位置に配置されている請求項1記載の産業車両。
【請求項3】
前記照明装置は、前記一対のフォークのそれぞれに対応して配置されている請求項
1又は2記載の産業車両。
【請求項4】
前記照明装置は、前記マーカと正対しない高さ位置に配置されている請求項1~
3のいずれか一項記載の産業車両。
【請求項5】
前記撮像装置は、前記マーカの高さ位置に対応する高さ位置に配置され、
前記照明装置は、前記撮像装置よりも上方に配置されている請求項1~
4のいずれか一項記載の産業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、認識装置を有する産業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の認識装置として、例えば特許文献1に記載の認識装置がある。この従来の認識装置は、RGBによるカラー画像を撮像部で取得し、このRGBによるカラー画像を色相、彩度、及び明度の各成分情報を有するカラー画像に変換する。次に、各成分情報を有するカラー画像から赤・青・黄の色相成分情報を有する色相画像を生成し、道路標識に原則として使用されない緑に対応する色相値を色相環の0度の位置(基準値)にシフトし、道路標識を認識する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような認識装置は、自動運転フォークリフトといった産業車両への適用が検討されている。自動運転フォークリフトでは、屋内外の任意の位置に置かれたパレットの荷取りが行われる。この場合、例えば白黒柄のマーカをパレットに取り付け、当該マーカを車両側の認識装置で認識することにより、マーカの3次元位置の推定を実施できる。一方で、パレットが屋内外の任意の位置に置かれることから、パレットに取り付けられたマーカには、影がかかることがある。マーカの一部又は全部に影がかかると、マーカの柄が不鮮明となり、マーカの認識精度が低下してしまうおそれがある。
【0005】
本開示は、上記課題の解決のためになされたものであり、影による認識装置でのマーカの認識精度の低下を抑制できる産業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る産業車両は、走行装置と、走行装置の前側に配置された荷役装置と、荷役装置で取り扱う荷役対象物に取り付けられたマーカを認識する認識装置とを備えた産業車両であって、荷役装置は、走行装置の前部に取り付けられたマストと、マストに昇降可能に支持されたリフトブラケットと、リフトブラケットに取り付けられた一対のフォークとを有し、認識装置は、荷役装置の前方を撮像する撮像装置と、撮像装置の撮像範囲に照明光を照射する照明装置とを有し、照明装置は、リフトブラケットよりも前側に配置されている。
【0007】
この産業車両では、照明装置によって撮像装置の撮像範囲に照明光を照射する。これにより、荷役対象物が屋内外の任意の位置に置かれている場合であっても、マーカの一部又は全部に影がかかることを防止できる。また、照明装置は、リフトブラケットよりも前側に配置されているため、照明光の照射の際に撮像装置の撮像範囲にリフトブラケットの影がかかることもない。したがって、この産業車両では、影による認識装置でのマーカの認識精度の低下を抑制できる。
【0008】
照明装置は、荷役装置の平面視においてフォークと重なる位置に配置されていてもよい。この場合、照明装置の位置がフォークよりも車両幅方向の外側とならないため、荷役対象物を保持した状態での荷役装置の左右幅の増大を抑制できる。
【0009】
フォークの基部には、当該フォークによる荷役対象物の支持位置を規定するスペーサが配置され、照明装置は、スペーサ上に配置されていてもよい。スペーサの配置により、荷役対象物をフォークの先端側の所定位置で保持することができる。したがって、少ない動作で荷役対象物を所望の位置に置くことが可能となる。また、照明装置をスペーサ上に配置することで、スペーサ上の余剰空間を有効に利用した配置を実現できる。
【0010】
照明装置は、一対のフォークのそれぞれに対応して配置されていてもよい。これにより、マーカの一部又は全部に影がかかることを一層確実に防止できる。
【0011】
照明装置は、マーカと正対しない高さ位置に配置されていてもよい。この場合、照明光の反射光が過剰に撮像装置に入射することを防止できる。したがって、撮像装置での光量の飽和を抑制でき、認識装置におけるマーカの認識精度を担保できる。
【0012】
撮像装置は、マーカの高さ位置に対応する高さ位置に配置され、照明装置は、撮像装置よりも上方に配置されていてもよい。この場合、照明光の反射光が過剰に撮像装置に入射することを防止できる。したがって、撮像装置での光量の飽和を抑制でき、認識装置におけるマーカの認識精度を担保できる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、影による認識装置でのマーカの認識精度の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示に係る産業車両の一実施形態であるフォークリフトを示す側面図である。
【
図2】フォークリフトで取り扱う荷役対象物としてのパレットの一例を示す正面図である。
【
図3】フォークリフトに搭載される認識装置のブロック図である。
【
図5】
図1に示したフォークリフトの要部を示す斜視図である。
【
図6】
図1に示したフォークリフトの要部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本開示の一側面に係る産業車両の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0016】
図1は、本開示に係る産業車両の一実施形態であるフォークリフトを示す側面図である。
図1に示すように、フォークリフト1は、4体の車輪2aを有する走行装置2と、走行装置2の前側に配置された荷役装置3と、荷役装置3で取り扱う荷役対象物としてのパレット31に取り付けられたマーカ35(
図2参照)を認識する認識装置4(
図3参照)とを備えている。このフォークリフト1は、マーカ35の3次元位置を推定することにより、屋内外の任意の位置に置かれたパレット31の荷取位置まで自動で走行する自動運転フォークリフトとして構成されている。
【0017】
走行装置2は、ヘッドガード11aを含むフレームによって構成された運転室11を有している。運転室11内には、リフトシリンダ12の操作に用いるリフト操作レバー13、ティルトシリンダ14の操作に用いるティルト操作レバー15、フォークリフト1の操舵のためのステアリング16などが配置されている。本実施形態では、4体の車輪2aのうち、前輪が駆動輪、後輪が操舵輪となっている。
【0018】
荷役装置3は、走行装置2の前部に取り付けられたマスト21を有している。マスト21には、リフトブラケット22が昇降可能に支持されている。リフトブラケット22には、後述するパレット31を保持する左右一対のフォーク23,23が取り付けられている。また、リフトブラケット22には、マストよりも前側に配置されたバックレスト24が設けられている。バックレスト24は、フォーク23,23で保持されたパレット31が後方に変位することを防ぐ荷受け枠である。その他、荷役装置3には、フォーク23を昇降させるリフトシリンダ12、マスト21を傾動させるティルトシリンダ14などが配置されている。
【0019】
図2は、フォークリフトで取り扱う荷役対象物としてのパレットの一例を示す正面図である。
図2の例では、パレット31は、メッシュパレットであり、メッシュ状(網状)に構成されたパレット本体32と、パレット本体32の下部に取り付けられた4体の脚部33とを有している。パレット31の前面(正面)の下部には、当該パレット31の左右方向に延びるプレート34が取り付けられている。
【0020】
このプレート34には、認識装置4での認識対象となる2枚の位置検知用のマーカ35,35が貼り付けられている。
図2では、2枚のマーカ35は、いずれも正方形状をなし、プレート34の左右の両端部にそれぞれ貼り付けられている。マーカ35は、白黒柄のパターンを有している。マーカ35の数は特に2枚に限られず、1枚であってもよい。マーカ35を1枚とする場合、例えばプレート34の中央にマーカ35が貼り付けられる。
【0021】
図3は、フォークリフトに搭載される認識装置のブロック図である。
図3に示すように、認識装置4は、荷役装置3の前方を撮像する撮像装置41と認識装置4等の動作を制御する制御部42とを含んで構成されている。撮像装置41と制御部42とは、相互に情報通信可能に接続されている。
【0022】
撮像装置41は、例えばCCDカメラなどの二次元撮像素子を備えて構成されている。撮像装置41は、カラー画像を取得するものであってもよく、モノクロ画像を取得するものであってもよい。撮像装置41は、パレット31に貼り付けられているマーカ35を撮像し、マーカ35の画像データを取得する。撮像装置41は、取得した画像データを制御部42に出力する。
【0023】
制御部42は、物理的な構成要素として、CPU、RAM、ROM、及び入出力インターフェース等を備えている。制御部42は、撮像装置41で取得した画像データに基づいてマーカ35の3次元位置を推定し、フォークリフト1がパレット31の荷取位置に到達するように走行モータ43及び操舵モータ44を制御する。荷取位置とは、フォークリフト1の一対のフォーク23,23がパレット31を荷取りすることが可能な位置である。走行モータ43及び操舵モータ44は、いずれも走行装置2を構成するモータである。走行モータ43は、フォークリフト1の前側に配置された車輪2a(駆動輪)を回転させるモータである。操舵モータ44は、フォークリフト1の後側に配置された車輪2a(操舵輪)を転舵させるモータである。
【0024】
制御部42は、機能的な構成要素として、画像処理部45と、マーカ認識部46と、経路生成部47と、駆動制御部48とを備えている。画像処理部45は、撮像装置41から受け取ったマーカ35の画像データを処理する部分である。画像処理部45での画像処理としては、例えば二値化や特徴抽出などが挙げられる。画像処理部45は、処理後の画像データをマーカ認識部46に出力する。
【0025】
マーカ認識部46は、画像処理部45から受け取った画像データに基づいてマーカ35の3次元位置を推定する部分である。マーカ認識部46は、マーカ35の3次元位置の推定結果を示す結果情報を生成し、経路生成部47に出力する。経路生成部47は、マーカ認識部46から受け取った結果情報に基づいて、パレット31の荷取位置までのフォークリフト1の走行経路に関する経路情報を生成し、駆動制御部48に出力する。駆動制御部48は、経路生成部47から受け取った経路情報に基づいて走行装置2を制御する部分である。駆動制御部48は、経路情報に従い、フォークリフト1がパレット31の荷取位置に到達するように走行モータ43及び操舵モータ44を制御する。
【0026】
続いて、上述した認識装置4について更に詳細に説明する。
【0027】
マーカ35を撮像装置41で撮像し、その画像データを処理してマーカ35を認識する場合、パレット31が屋内外の任意の位置に置かれることから、パレット31に取り付けられたマーカ35に影がかかることがある。例えば晴天の屋外下で荷役作業を行っている際、
図4(a)に示すように、マーカ35の一部(半分部分など)に影Kがかかると、マーカ35の白黒柄が不鮮明となり、認識装置4でのマーカ35の認識精度が低下してしまうことが考えられる。また、例えばフォークリフト1の後方からの日射があるような場面では、
図4(b)に示すように、マーカ35の全体に影Kがかかり、マーカ35の認識自体ができなくなるおそれがある。
【0028】
このような課題に対し、フォークリフト1の認識装置4は、撮像装置41の撮像範囲に照明光を照射する照明装置51を有している(
図5参照)。照明装置51は、例えばLED(light emitting diode)によって構成され、例えば運転室11を構成する機台に備わるフォークリフト1の走行用の照明装置(不図示)とは別に設けられている。照明装置51の光量は、走行用の照明装置の光量と同程度或いはそれ以上であることが好ましい。以下、照明装置51及び照明装置51と協働する撮像装置41の配置構成について説明する。
【0029】
図5は、フォークリフトの要部を示す斜視図である。また、
図6は、その側面図である。
図5に示すように、撮像装置41の配置にあたって、リフトブラケット22には、矩形の取付板52が設けられている。取付板52は、左右のフォーク23,23間に位置し、撮像装置41は、この取付板52を介してリフトブラケット22の車幅方向の中央に配置されている。これにより、撮像装置41は、リフトブラケット22よりも前側の位置でマーカ35の撮像を行うようになっている。
【0030】
撮像装置41の高さ位置は、マーカ35の高さ位置に対応している。マーカ35の高さ位置は、パレット31の脚部33の先端からマーカ35の中心までの高さである。撮像装置41は、例えばフォークリフト1とパレット31とが同一平面(例えば地平面)上に位置している場合に、撮像装置41の撮像軸とマーカ35の中心とが略一致するように、取付板52の下縁部分に取り付けられている。
【0031】
図5及び
図6に示すように、照明装置51は、リフトブラケット22よりも前側において、一対のフォーク23,23のそれぞれに対応して配置されている。より具体的には、照明装置51は、フォーク23の基部23aに配置されたスペーサ53上に取り付けられている。スペーサ53は、荷取りの際のフォーク23によるパレット31の支持位置を規定するための部材である。
【0032】
図5及び
図6の例では、スペーサ53は、フォーク23の幅と同程度の幅を有する縦長の直方体形状をなしている。スペーサ53の前面53aは、パレット31の支持位置を規定する規定面となっている。荷取りの際にスペーサ53の前面53aにパレット31が突き当てられることにより、フォーク23の先端側の所定位置でパレット31が保持される。なお、左右のスペーサ53,53間(撮像装置41の両脇)には、パレット31がスペーサ53の前面53aに突き当たったことを検出するセンサが設けられていてもよい。
【0033】
スペーサ53の頂面53bは、照明装置51が配置される配置面となっている。本実施形態では、スペーサ53の頂面53bは、取付板52の上縁付近の高さに位置しており、撮像装置41よりも上方に位置している。照明装置51は、頂面53bの略中央に取り付けられ、荷役装置3の平面視においてフォーク23と重なる(フォーク23からはみ出さない)ように配置されている。これにより、照明装置51は、撮像装置41よりも上方に位置し、荷取りの際にマーカ35と正対しないようになっている。照明装置51から出射する照明光の光軸は、水平方向に沿っていてもよく、地平面に載置された状態のパレット31のマーカ35に向かって下方傾斜していてもよい。
【0034】
以上説明したように、フォークリフト1では、照明装置51によって撮像装置41の撮像範囲に照明光を照射する。これにより、パレット31が屋内外の任意の位置に置かれている場合であっても、マーカ35の一部又は全部に影Kがかかることを防止できる。また、照明装置51は、リフトブラケット22よりも前側に配置されているため、照明光の照射の際に撮像装置41の撮像範囲にリフトブラケット22の影がかかることもない。したがって、このフォークリフト1では、影Kによる認識装置4でのマーカ35の認識精度の低下を抑制できる。
【0035】
本実施形態では、照明装置51が荷役装置3の平面視においてフォーク23と重なる位置に配置されている。これにより、照明装置51の位置がフォーク23よりも車両幅方向の内側とならないため、パレット31を保持した状態での荷役装置3の左右幅の増大を抑制できる。
【0036】
本実施形態では、フォーク23の基部23aに当該フォーク23によるパレット31の支持位置を規定するスペーサ53が配置されている。このようなスペーサ53の配置により、パレット31をフォーク23の先端側の所定位置で保持することができ、少ない動作でパレット31を所望の位置に置くことが可能となる。また、本実施形態では、照明装置51がフォーク23の基部23aに配置されたスペーサ53上に設けられている。照明装置51をスペーサ53上に配置することで、スペーサ53上の余剰空間を有効に利用した配置を実現できる。
【0037】
さらに、この構成によれば、照明光の照射の際に撮像装置41の撮像範囲にバックレスト24の影がかかることも防止でき、影Kによる認識装置4でのマーカ35の認識精度の低下を一層効果的に抑制できる。さらに、荷取りの際にフォーク23でのパレット31の支持位置の調整のためにサイドシフト(フォーク23をマストに対して左右にシフトさせる動作)を行う場合であっても、照明装置51の位置がバックレスト24と連動してシフトするため、マーカ35に対する照射光の照射状態を維持できる。
【0038】
本実施形態では、照明装置51が一対のフォーク23,23のそれぞれに対応して配置されている。これにより、マーカ35の一部又は全部に影がかかることを一層確実に防止できる。また、
図2に示したように、パレット31においてプレート34の左右の両端部にそれぞれマーカ35が貼り付けられている構成に対し、それぞれのマーカ35に照射光を照射することができる。したがって、認識装置4でのマーカ35の認識精度の向上が図られる。
【0039】
本実施形態では、照明装置51は、マーカ35と正対しない高さ位置に配置されている。より具体的には、撮像装置41がマーカ35の高さ位置に対応する高さ位置に配置され、照明装置51が撮像装置41よりも上方に配置されている。これにより、マーカ35での照明光の反射光が過剰に撮像装置41に入射することを防止できる。したがって、撮像装置41での光量の飽和を抑制でき、認識装置4におけるマーカ35の認識精度を担保できる。
【0040】
本開示は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上記実施形態では、フォーク23の基部23a上に配置したスペーサ53上に照明装置51を設けているが、照明装置51は、必ずしもスペーサ53上に設ける必要はなく、バックレスト24などに固定する態様としてもよい。また、照明装置51から出射する照明光の光量をパレット31(マーカ35)とフォークリフト1との距離に応じて制御してもよい。この場合、例えばマーカ35までの距離が近づくにつれて照明光の光量を減少させることで、撮像装置41での光量の飽和をより確実に抑制できる。
【0041】
また、上記実施形態では、パレット31にマーカ35が取り付けられる例を示したが、マーカ35が取り付けられる荷役対象物は、パレット31に限られるものではない。例えばマーカ35は、荷物自体に取り付けられていてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1…フォークリフト(産業車両)、2…走行装置、3…荷役装置、4…認識装置、21…マスト、22…リフトブラケット、23…フォーク、23a…基部、31…パレット(荷役対象物)、35…マーカ、41…撮像装置、51…照明装置、53…スペーサ。