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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20230920BHJP
   H02M 7/12 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
H02M3/28 H
H02M7/12 601B
H02M7/12 601A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020170271
(22)【出願日】2020-10-08
(65)【公開番号】P2022062337
(43)【公開日】2022-04-20
【審査請求日】2023-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 定典
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-010529(JP,A)
【文献】特開2011-259560(JP,A)
【文献】特開2003-023775(JP,A)
【文献】特開2013-158122(JP,A)
【文献】特開2005-033911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
H02M 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源から入力される交流電圧を直流電圧に変換する電力変換装置であって、
一次巻線と二次巻線とを有するトランスと、
第1キャパシタと、
第2キャパシタと、
前記交流電源が接続される一対の入力端と、第1インダクタと、上アームスイッチング素子と、下アームスイッチング素子と、上アーム整流素子と、下アーム整流素子とを有する一次側回路と、
第2インダクタと、二次側整流素子と、出力キャパシタと、第1出力端及び第2出力端と、を有する整流平滑回路と、
を備える電力変換装置であって、
前記上アームスイッチング素子と前記下アームスイッチング素子の直列接続と、前記上アーム整流素子と前記下アーム整流素子の直列接続とがハーフブリッジ回路を構成するとともに、前記上アームスイッチング素子と前記下アームスイッチング素子との接続点と、前記上アーム整流素子と前記下アーム整流素子の接続点とが、前記一対の入力端と、前記第1インダクタを介して接続され、
前記一次側回路は、前記第1キャパシタを介して、前記トランスの一次巻線と接続され、
前記整流平滑回路は、前記第2キャパシタを介して、前記トランスの二次巻線と接続される、
電力変換装置。
【請求項2】
前記整流平滑回路は、
前記第1出力端と前記出力キャパシタの一端とが接続され、
前記第2出力端と前記出力キャパシタの他端とが接続され、
前記第2インダクタの一端が、前記二次側整流素子を介して、前記出力キャパシタの一端に接続され、前記第2インダクタの他端が、前記出力キャパシタの他端に接続されており、
前記トランスの一次巻線と二次巻線は、前記上アームスイッチング素子と前記下アームスイッチング素子のどちらか一方が非導通状態のときに前記二次側整流素子が導通する極性を有するように磁気結合している、
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記整流平滑回路は、
前記第1出力端と前記出力キャパシタの一端とが接続され、
前記第2出力端と前記出力キャパシタの他端とが接続され、
前記二次側整流素子の一端が、前記第2インダクタを介して、前記出力キャパシタの一端に接続され、前記二次側整流素子の他端が、前記出力キャパシタの他端に接続されており、
前記トランスの一次巻線と二次巻線は、前記上アームスイッチング素子と前記下アームスイッチング素子のどちらか一方が非導通状態のときに前記二次側整流素子が導通する極性を有するように磁気結合している、
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記上アーム整流素子、前記下アーム整流素子、及び前記二次側整流素子の少なくとも一つは、スイッチング素子によって構成される、
請求項1から3のうちいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記上アームスイッチング素子、前記下アームスイッチング素子、および前記上アーム整流素子、前記下アーム整流素子、前記二次側整流素子のうちのいずれかまたは全てがスイッチング素子で構成される場合の当該スイッチング素子のスイッチングを制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記交流電圧と、前記第1インダクタを流れる電流とに基づいて、入力電力の力率が改善するようにスイッチングを制御する、
請求項1から4のうちいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記上アームスイッチング素子、下アームスイッチング素子、および前記上アーム整流素子、前記下アーム整流素子、前記二次側整流素子のうちのいずれか、又は全てがスイッチング素子で構成される場合において、当該スイッチング素子のスイッチングを制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記第1出力端と前記第2出力端との間の電圧に基づいて、所定の直流電圧が出力されるように、スイッチングを制御する、
請求項1から4のうちいずれか一項に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置、特に、交流電圧から直流電圧に変換するとともに、入力と出力とを絶縁する回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入力と出力とを絶縁するとともに、交流電圧から直流電圧に変換する回路として、トランスと、トランスの一次側に設けられた整流回路、及びインバータ回路と、トランスの二次側に設けられた整流回路とを備える電力変換装置が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の電力変換装置は、両整流回路、及びインバータ回路が、それぞれフルブリッジ回路により構成されている。この回路では、入力された交流電圧は、整流回路で直流電圧に変換されたのち、インバータ回路で高周波の交流電圧に変換してトランスに印加され、トランスにより絶縁して伝達され、再度整流回路で直流に変換される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-41428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、2つの整流回路とインバータ回路の合計3つのブリッジ回路を用いるため、能動素子の数を少なくすることが困難であった。ここで、能動素子とは、スイッチング素子と整流素子の総称である。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、フルブリッジ回路を用いる場合に比して、能動素子の数を少なくすることができる電力変換装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する電力変換装置は、交流電源から入力される交流電圧を直流電圧に変換する電力変換装置であって、一次巻線と二次巻線とを有するトランスと、第1キャパシタと、第2キャパシタと、前記交流電源が接続される一対の入力端と第1インダクタと上アームスイッチング素子と下アームスイッチング素子と上アーム整流素子と下アーム整流素子とを有する一次側回路と、第2インダクタと二次側整流素と出力キャパシタと第1出力端及び第2出力端とを有する整流平滑回路とを備え、上アームスイッチング素子と下アームスイッチング素子の直列接続と、上アーム整流素子と下アーム整流素子の直列接続とがブリッジ回路を構成するとともに、上アームスイッチング素子と下アームスイッチング素子との接続点と上アーム整流素子と下アーム整流素子の接続点とが一対の入力端と、第1インダクタを介して接続され、一次側回路は、第1キャパシタを介してトランスの一次巻線と接続され、整流回路は、第2キャパシタを介してトランスの二次巻線と接続される。
【0007】
かかる構成によれば、上アームスイッチング素子と下アームスイッチング素子とをスイッチングすることにより、トランスにより入力と出力とを絶縁するとともに、交流電圧が直流電圧に変換される。これにより、フルブリッジ回路を用いる場合に比して、能動素子の数を少なくすることができる。
【0008】
上記電力変換装置において、整流平滑回路は、第1出力端と出力キャパシタの一端とが接続され、第2出力端と出力キャパシタの他端とが接続され、第2インダクタの一端が、二次側整流素子を介して、出力キャパシタの一端に接続され、第2インダクタの他端が、出力キャパシタの他端に接続されており、トランスの一次巻線と二次巻線は、上アームスイッチング素子と下アームスイッチング素子のどちらか一方が非導通状態のときに二次側整流素子が導通する極性を有するように磁気結合するようにしてもよい。
【0009】
上記電力変換装置において、整流平滑回路は、第1出力端と出力キャパシタの一端とが接続され、第2出力端と出力キャパシタの他端とが接続され、二次側整流素子の一端が、第2インダクタを介して、出力キャパシタの一端接続され、二次側整流素子の他端が、出力キャパシタの他端に接続されており、トランスの一次巻線と二次巻線は、上アームスイッチング素子と下アームスイッチング素子のどちらか一方が非導通状態のときに二次側整流素子が導通する極性を有するように磁気結合するようにしてもよい。
【0010】
上記電力変換装置において、上アーム整流素子、下アーム整流素子、及び二次側整流素子の少なくとも一つは、スイッチング素子によって構成されるとよい。
かかる構成によれば、ダイオードを用いる場合と比較して、整流素子での導通損失を低減することができる。
【0011】
上記電力変換装置において、上アームスイッチング素子、下アームスイッチング素子、および上アーム整流素子、下アーム整流素子、二次側整流素子のうちのいずれかまたは全てがスイッチング素子で構成される場合の当該スイッチング素子のスイッチングを制御する制御部を更に備え、制御部は、交流電圧と、第1インダクタを流れる電流とに基づいて、入力電力の力率が改善するようにスイッチングを制御するものであってもよい。
【0012】
かかる構成によれば、交流電源から供給される電力の力率を制御することができる。
上記電力変換装置において、上アームスイッチング素子、下アームスイッチング素子、および上アーム整流素子、下アーム整流素子、二次側整流素子のうちのいずれかまたは全てがスイッチング素子で構成される場合の当該スイッチング素子のスイッチングを制御する制御部を更に備え、制御部は、第1出力端と第2出力端との間の電圧に基づいて、所定の直流電圧が出力されるようにスイッチングを制御するものであってもよい。
【0013】
かかる構成によれば、出力電圧を所望の値に制御することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、フルブリッジ回路を用いる場合に比して少ない能動素子で、入力と出力とを絶縁するとともに、交流電圧を直流電圧に変換する電力変換装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態に係る電力変換装置1の動作の一例を示す図。
図2】第1実施形態に係る電力変換装置1の動作の一例を示す図。
図3】第1実施形態に係る電力変換装置1の動作の一例を示す図。
図4】第1実施形態に係る電力変換装置1の動作の一例を示す図。
図5】第2実施形態に係る電力変換装置1の動作の一例を示す図。
図6】第2実施形態に係る電力変換装置1の動作の一例を示す図。
図7】第2実施形態に係る電力変換装置1の動作の一例を示す図。
図8】第2実施形態に係る電力変換装置1の動作の一例を示す図。
図9】電力変換装置1の構成の他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
以下、本発明を具体化した一実施形態を説明する。電力変換装置1は、電力変換装置1は、交流電源V1から供給された交流電圧を直流電圧に変換し、電力変換装置1に接続される負荷に供給する装置である。
【0017】
電力変換装置1は、例えば、一次側回路10と、第1キャパシタ17と、トランス18と、第2キャパシタ19と、整流平滑回路20と、制御部50とを備える。
一次側回路10は、例えば、第1インダクタ11と、上アームダイオード12と、下アームダイオード13と、上アームスイッチング素子15と、下アームスイッチング素子16と、第1接続線CL1と、第2接続線CL2と、第1中間線ML1と、第2中間線ML2と、第1入力端t21と、第2入力端t22とを備える。上アームダイオード12は「上アーム整流素子」の一例であり、下アームダイオード13は「下アーム整流素子」の一例である。
【0018】
交流電源V1と一次側回路10とは、電気的に接続されている。具体的には、交流電源V1の第1端t11と、一次側回路10の第1入力端t21とは、第1入力線L1によって接続されている。交流電源V1の第2端t12と一次側回路10の第2入力端t22とは、第2入力線L2によって接続されている。これにより、入力端t21,t22に交流電圧が入力される。
【0019】
上アームダイオード12と下アームダイオード13とは、第2接続線CL2によって互いに直列に接続されている。具体的には、第2接続線CL2は、上アームダイオード12のアノードと、下アームダイオード13のカソードとを接続する。
【0020】
上アームスイッチング素子15は、第1端t31と、第2端t32とを有し、下アームスイッチング素子16は、第1端t41と、第2端t42とを有する。第1接続線CL1は、上アームスイッチング素子15の第2端t32と、下アームスイッチング素子16の第1端t41とを接続する。
【0021】
第1中間線ML1は、第1接続線CL1と第1入力端t21とを接続する。第1中間線ML1上には、第1インダクタ11が設けられる。第2中間線ML2は、第2接続線CL2と第2入力端t22とを接続する。したがって、上アームスイッチング素子15と下アームスイッチング素子16との接続点(つまり、第1接続線CL1上の点)と、上アームダイオード12と下アームダイオード13の接続点(つまり、第2接続線CL2上の点)とが、一対の入力端(入力端t21、t22)と、第1インダクタ11を介して接続されている。
【0022】
上アームダイオード12のカソードと上アームスイッチング素子15の第1端t31とが接続され、下アームダイオード13のアノードと下アームスイッチング素子16の第2端t42とが接続される。したがって、上アームスイッチング素子15と下アームスイッチング素子16の直列接続と、上アームダイオード12と下アームダイオード13の直列接続とがハーフブリッジ回路14を構成する。
【0023】
トランス18は、一次巻線W1と、二次巻線W2とを有する絶縁トランスである。一次巻線W1の始端(図1中の黒丸が付された側)は、第1キャパシタ17を介して上アームダイオード12のカソードと、上アームスイッチング素子15の第1端t31とに電気的に接続される。具体的には、第1キャパシタ17は、第1端t51と、第2端t52とを有しており、一次巻線W1の始端は、第1キャパシタ17の第2端t52に接続され、第1キャパシタ17の第1端t51は、上アームダイオード12のカソードと、上アームスイッチング素子15の第1端t31とに接続される。一次巻線W1の終端(図1中の黒丸が付されていない側)は、下アームダイオード13のアノードと、下アームスイッチング素子16の第2端t42とに接続される。したがって、一次側回路10は、第1キャパシタ17を介して、トランス18の一次巻線W1と接続されている。
【0024】
整流平滑回路20は、第2インダクタ21と、二次側ダイオード22と、出力キャパシタ23と、第1出力線OL1と、第2出力線OL2と、第1出力端t91と、第2出力端t92とを備える。第2インダクタ21は、第1端t71と、第2端t72とを有し、出力キャパシタ23は、第1端t81と、第2端t82とを有する。二次側ダイオード22は、「二次側整流素子」の一例である。また、第1端t81は、「出力キャパシタの一端」の一例であり、第2端t82は、「出力キャパシタの他端」の一例である。
【0025】
二次巻線W2の始端(図1中の黒丸が付された側)は、第2キャパシタ19を介して第2インダクタ21の第1端t71と、二次側ダイオード22のアノードとに電気的に接続される。具体的には、第2キャパシタ19は、第1端t61と、第2端t62とを有しており、二次巻線W2の始端は、第2キャパシタ19の第1端t61に接続され、第2キャパシタ19の第2端t62は、第2インダクタ21の第1端t71と、二次側ダイオード22のアノードとに接続される。二次巻線W2の終端(図1中の黒丸が付されていない側)は、第2インダクタ21の第2端t72と接続される。したがって、整流平滑回路20は、第2キャパシタ19を介して、トランス18の二次巻線W2と接続されている。
【0026】
出力キャパシタ23は、第1出力線OL1と第2出力線OL2との双方に接続されている。具体的には、出力キャパシタ23の第1端t81は、第1出力線OL1に接続されている。そして、出力キャパシタ23の第2端t82は、第2出力線OL2に接続されている。
【0027】
第2インダクタ21は、第1出力線OL1と第2出力線OL2との双方に接続されている。具体的には、第2インダクタ21の第1端t71は、第1出力線OL1に接続され、第2インダクタ21の第2端t72は、第2出力線OL2に接続されている。第1端t71は、「第2インダクタの一端」の一例であり、第2端t72は、「第2インダクタの他端」の一例である。
【0028】
二次側ダイオード22は、第1出力線OL1上における第2インダクタ21と出力キャパシタ23との間の部分に設けられている。具体的には、二次側ダイオード22は、第1出力線OL1上における第2インダクタ21の接続点と出力キャパシタ23の接続点との間の部分に設けられている。上述したように、二次側ダイオード22のアノードと、第2インダクタ21の第1端t71とが接続されている。また、二次側ダイオード22のカソードと、出力キャパシタ23の第1端t81とが接続されている。
【0029】
図1に示すように、電力変換装置1は、第1インダクタ11に流れる電流を検出する電流センサC1を備えている。また、電力変換装置1は、入力電圧を検出する電圧センサC2と、出力電圧を検出する電圧センサC3とを備えている。電流センサC1、電圧センサC2、及び電圧センサC3は、その検出結果を制御部50に出力する。
【0030】
制御部50は、電流センサC1、電圧センサC2、及び電圧センサC3からの信号に基づいて上アームスイッチング素子15、及び下アームスイッチング素子16をON/OFFさせる。電力変換装置1は、上アームスイッチング素子15、及び下アームスイッチング素子16がON/OFFすることにより、交流電源V1が供給する交流電圧を直流電圧に変換し、その直流電圧を両出力端t91,t92から出力する。
【0031】
以下、図1図4を参照して、電力変換装置1の動作の詳細について説明する。なお、説明の便宜上、電力変換装置1が動作開始するタイミングにおいて、各キャパシタ17、19、23は充電されているものとする。
【0032】
まず、交流電源V1において第1端t11の電位が第2端t12の電位よりも高い状態におけるスイッチング制御について図1及び図2を用いて説明する。
この状態では、制御部50は、両スイッチング素子15、16のスイッチングパターンを、両スイッチング素子15、16の双方がON状態となる第1状態と、上アームスイッチング素子15がON状態であり且つ下アームスイッチング素子16がOFF状態となる第2状態とに交互に切り替える。
【0033】
スイッチングパターンが第1状態である場合の電流経路について説明する。図1に示すように、スイッチングパターンが第1状態である場合、交流電源V1からの電力の供給に伴う経路rt11と、第1キャパシタ17の放電に伴う経路rt12と、一次巻線W1から二次巻線W2への電磁誘導、及び第2キャパシタ19の放電に伴う経路rt21と、出力キャパシタ23の放電に伴う経路rt22とに電流が流れる。
【0034】
経路rt11は、交流電源V1の第1端t11から、第1インダクタ11、下アームスイッチング素子16、及び下アームダイオード13を経由した、交流電源V1の第2端t12までの経路である。スイッチングパターンが第1状態である場合、経路rt11に流れる電流は時間の経過とともに大きくなり、第1インダクタ11の磁束も当該電流の増大に伴い増加する。
【0035】
経路rt12は、第1キャパシタ17の第1端t51から、上アームスイッチング素子15、下アームスイッチング素子16、及び一次巻線W1の終端から始端を経由した、第1キャパシタ17の第2端t52までの経路である。トランス18の一次巻線W1には、第1キャパシタ17の両端の電圧が印加され、一次巻線W1の終端の電位が始端の電位よりも高くなる。この結果、トランス18の二次巻線W2の両端には、終端の電位が始端の電位よりも高くなるように電圧が発生する。
【0036】
経路rt21は、二次巻線W2の終端から、第2インダクタ21、及び第2キャパシタ19を経由した、二次巻線W2の始端までの経路である。スイッチングパターンが第1状態である場合、経路rt21に流れる電流は時間の経過とともに大きくなり、第2インダクタ21の磁束も当該電流の増大に伴い増加する。
【0037】
経路rt22は、出力キャパシタ23の第1端t81から、第1出力端t91、電力変換装置1に接続される負荷、及び第2出力端t92を経由した、出力キャパシタ23の第2端t82までの経路である。第1出力端t91と第2出力端t92との間には、出力キャパシタ23の両端の電圧である直流電圧が生じる。スイッチングパターンが第1状態のとき、二次側ダイオード22は導通状態にはない。
【0038】
一方、図2に示すように、スイッチングパターンが第2状態である場合、経路rt13と、経路rt23とに電流が流れる。
経路rt13は、交流電源V1の第1端t11から、第1インダクタ11、上アームスイッチング素子15、第1キャパシタ17、一次巻線W1の始端から終端、及び下アームダイオード13を経由した、交流電源V1の第2端t12までの経路である。経路rt13に電流が流れることにより、第1キャパシタ17が充電される。一方、第1インダクタ11の磁束は減少する。また、トランス18の一次巻線W1には、始端の電位が終端の電位よりも高くなるような電圧が印加される。この結果、トランス18の巻線W2には、始端の電位が終端の電位よりも高くなるように電圧が発生する。
【0039】
経路rt23には、二つの経路が含まれる。一つは、第2インダクタ21の第1端t71から、二次側ダイオード22、第1出力端t91、電力変換装置1に接続される負荷、及び第2出力端t92を経由した、第2インダクタ21の第2端t72までの経路である。もう一つは、二次巻線W2の始端から、第2キャパシタ19、二次側ダイオード22、第1出力端t91、電力変換装置1に接続される負荷、及び第2出力端t92を経由した、二次巻線W2の終端までの経路である。この時、第2インダクタ21の磁束は、減少する。また、スイッチングパターンの第2状態では、二次側ダイオード22が導通している。すなわち、上アームスイッチング素子15が導通状態で、下アームスイッチング素子16が非導通状態のとき、二次側ダイオード22が導通する極性で、トランス18の一次巻線W1と二次巻線W2とが磁気結合している。
【0040】
次に、交流電源V1において第2端t12の電位が第1端t11の電位よりも高い状態におけるスイッチング制御について図3及び図4を用いて説明する。
この状態では、制御部50は、両スイッチング素子15、16のスイッチングパターンを、両スイッチング素子15、16の双方がON状態となる第1状態と、上アームスイッチング素子15がOFF状態であり且つ下アームスイッチング素子16がON状態となる第3状態とに交互に切り替える。
【0041】
図3に示すように、スイッチングパターンが第1状態である場合、交流電源V1からの電力の供給に伴う経路rt14と、第1キャパシタ17の放電に伴う経路rt12と、第2キャパシタ19の放電に伴う経路rt21と、出力キャパシタ23の放電に伴う経路rt22との電流が流れる。経路rt12、経路rt21、及び経路rt22については、既に説明したとおりであるため、詳細な説明は省略する。
【0042】
経路rt14は、交流電源V1の第2端t12から、上アームダイオード12、上アームスイッチング素子15、及び第1インダクタ11を経由した、第1端t11までの経路である。経路rt14に電流は時間の経過とともに増大し、第1インダクタ11の磁束は、当該電流の増加に伴い増加する。
【0043】
図4に示すように、スイッチングパターンが第3状態である場合、交流電源V1からの電力の供給に伴う経路rt15と、経路rt23とに電流が流れる。このとき、経路rt23上の二次側ダイオード22が導通している。すなわち、上アームスイッチング素子15が非導通状態で、下アームスイッチング素子16が導通状態のとき、二次側ダイオード22が導通する極性で、トランス18の一次巻線W1と二次巻線W2とが磁気結合している。経路rt23については、スイッチングパターンが第1状態であるときと同じなので、説明を省略する。
【0044】
経路rt15は、交流電源V1の第2端t12から、上アームダイオード12、第1キャパシタ17、一次巻線W1の始端から終端、下アームスイッチング素子16、及び第1インダクタ11を経由した、第1端t11までの経路である。経路rt15に電流が流れることにより、第1キャパシタ17が充電される一方、第1インダクタ11の磁束は減少する。
【0045】
以上のとおり、制御部50は、第1入力端t21の電位が第2入力端t22の電位よりも高い場合には、スイッチングパターンを第1状態と第2状態とに交互に切り替え、第2入力端t22の電位が第1入力端t21の電位よりも高い場合には、スイッチングパターンを第1状態と第3状態とに交互に切り替える。これにより、電力変換装置1において電力変換が行われる。
【0046】
詳細には、交流電圧V1の極性に応じてスイッチングパターンが、第1状態と第2状態の繰り返し、または第1状態と第3状態の繰り返しになることで、下アームスイッチング素子16の第2端t42の電位よりも、上アームスイッチング素子15の第1端t31の電位の方が常に高くなる。すなわち、上アームスイッチング素子15、下アームスイッチング素子16、上アーム整流素子12、及び下アーム整流素子13とのハーフブリッジ回路14により、交流電圧V1は直流電圧に変換される。
【0047】
第2状態または第3状態においては、第1巻線W1の始端の方が第1巻線W1の終端よりも高電位になる。また、このとき、第1キャパシタ17は、第1インダクタ11を流れる電流により充電される。さらに、このとき、二次側整流素子22が導通し、トランス18の第2巻線W2から、第2キャパシタ19及び二次側整流素子22を通って負荷に電流が流れる。したがって、第1インダクタ11に流れる電流が、トランス18を介して負荷に供給されることになる。
【0048】
スイッチングパターンの第1状態においては、第1キャパシタ17の両端の電圧が、トランス18の第1巻線W1に印加される。このとき、第1巻線W1の終端の電位が、第1巻線W1の始端の電位よりも高くなる。また、このとき、トランス18の第2巻線W2から、第2インダクタ21、第2キャパシタ19に電流が流れ、それぞれ電磁エネルギー、静電エネルギーとして蓄えられる。第1状態の時に第2インダクタ21、及び第2キャパシタ19に蓄えられたエネルギーは、第2状態または第3状態の時に、負荷に供給される。したがって、第1状態では、第1キャパシタからの電流により、第2インダクタ21、及び第2キャパシタ19でのエネルギー蓄積を介して、負荷に電流が供給される。第1状態、第2状態、又は第3状態の時も、トランス18の1次側から2次側へのエネルギー伝達が行われるので、トランス18の利用効率が高い。
【0049】
特に、本実施形態では、制御部50は、第1インダクタ11を流れる電流と、入力電圧とに基づいて、入力電力の力率が改善するようにスイッチングを制御することが可能である。例えば、制御部50は、上アームスイッチング素子15、及び下アームスイッチング素子16の第1状態の時間を制御することにより、上アーム整流素子12、下アーム整流素子13、及びハーフブリッジ回路14を力率改善(PFC:Power Factor Correction)回路として動作させる。第1状態のスイッチングパターンでは、交流電源V1と第1インダクタ11とが閉回路を形成し、交流電源V1からの電流は第1インダクタ11により制限される。第1インダクタに流れる電流の増加分は、第1状態のスイッチングパターンを継続する時間に比例するため、第1状態のスイッチングパターンを継続する時間を制御することにより、第1インダクタ11の電流を制御することが可能となる。制御部50は、第1インダクタ11に流れる電流の波形が略正弦波状になり、当該正弦波の周波数と位相が、交流電源V1の周波数と位相と一致するように、電流センサC1と電圧センサC2からの信号に基づき、第1状態のスイッチングパターンの継続時間を制御する。
【0050】
また、制御部50は、電圧センサC3の検出結果に基づいて、所定の直流電圧が出力されるように、スイッチング制御を行うこともできる。詳細には、制御部50は、例えば、電圧センサC3によって検出された出力電圧と所定の直流電圧(目標電圧)との差に基づいて、両スイッチング素子15、16のデューティ比制御を行う。更に、制御部50は、入力電力の力率改善と、出力電圧の制御を同時に行うことも可能である。
【0051】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1-1)電力変換装置1は、交流電圧V1の極性に応じてスイッチングパターンを、第1状態と第2状態の繰り返し、または第1状態と第3状態の繰り返しに切替える。これにより、ハーフブリッジ回路14が交流電圧V1を直流電圧に変換する。
【0052】
同時に、上アームスイッチング素子15と下アームスイッチング素子16とのスイッチング動作により、トランス18の一次巻線W1に高周波の交流電圧を印加する。これにより、トランス18を介して、絶縁しながら電力をトランス18の二次側に伝達する。
【0053】
従来技術の回路では、交流電圧から直流電圧への変換と、変換された直流電圧から高周波の交流電圧への変換を別々のブリッジ回路で行っていた。一方、本実施形態の電力変換装置1では、交流から直流への変換と、変換された直流から高周波の交流への変換を一つのブリッジ回路で行っている。
【0054】
これにより、本実施形態の電力変換装置1は、従来技術の回路のようにフルブリッジ回路を用いる場合に比して、スイッチング素子や整流素子等の能動素子の数を少なくすることができる。また、本実施形態の電力変換装置1は、従来技術の回路のようにフルブリッジ回路を用いる場合に比して、電流が通過する能動素子の数が少ないので、能動素子における導通損失を低減することができる。
【0055】
(1-2)トランス18は、トランス18の一次巻線W1の始端と終端に印加される電圧の向きによらず、スイッチングパターンの第1状態~第3状態の全てにおいて、一次側から二次側に電力を伝達する。したがって、電力変換装置1は、トランス18の利用効率を高くすることができる。
【0056】
(1-3)電力変換装置1は、上アームスイッチング素子15、及び下アームスイッチング素子16のスイッチングを制御する制御部50を更に備える。制御部50は、第1インダクタ11を流れる電流と、交流電源V1からの入力電圧とに基づいて、力率が改善するようにスイッチングを制御する。
【0057】
かかる構成によれば、電力変換装置1は、交流電源V1から供給される電力の力率を改善することができる。
(1-4)制御部50は、第1出力端t91と第2出力端t92との間の電圧に基づいて、所定の直流電圧が出力されるように、上アームスイッチング素子15、及び下アームスイッチング素子16のスイッチングを制御する。
【0058】
かかる構成によれば、電力変換装置1は、第1出力端t91と第2出力端t92との間の電圧に基づいてフィードバック制御し、電力変換装置1が出力する直流電圧を、所定の直流電圧(目標電圧)に近づけることができる。
【0059】
<第2実施形態>
以下、図面を参照して第2実施形態について説明する。第2実施形態では、電力変換装置2が、整流平滑回路20に代えて、整流平滑回路30を備える点で、第1実施形態と異なる。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0060】
図5に示すように、電力変換装置2は、一次側回路10と、第1キャパシタ17と、トランス18と、第2キャパシタ19と、整流平滑回路30とを備える。
整流平滑回路30は、第2インダクタ21と、二次側ダイオード22と、出力キャパシタ23と、第1出力線OL1と、第2出力線OL2と、第1出力端t91と、第2出力端t92とを備える。
【0061】
二次巻線W2の終端は、第2キャパシタ19を介して第2インダクタ21の第1端t71と、二次側ダイオード22のカソードとに電気的に接続される。具体的には、二次巻線W2の終端は、第2キャパシタ19の第1端t61に接続され、第2キャパシタ19の第2端t62は、第2インダクタ21の第1端t71と、二次側ダイオード22のカソードとに接続される。二次巻線W2の始端は、二次側ダイオード22のアノードと、第2出力線OL2とに接続されている。本実施形態において、二次側ダイオード22のカソードは、「二次側整流素子の一端」の一例であり、二次側ダイオード22のアノードは、「二次側整流素子の他端」の一例である。
【0062】
出力キャパシタ23は、第1出力線OL1と、第2出力線OL2との双方に接続されている。具体的には、出力キャパシタ23の第1端t81は、第1出力線OL1(詳細には、第1出力線OL1における二次側ダイオード22との接続点と第1出力端t91との間の部分)に接続されている。そして、出力キャパシタ23の第2端t82は、第2出力線OL2(詳細には、第2出力線OL2における二次側ダイオード22との接続点と第2出力端t92との間の部分)に接続されている。
【0063】
第2インダクタ21の第2端t72は、第1出力線OL1に接続されている。上述したように、第2インダクタ21の第1端t71と、二次側ダイオード22のカソードとが接続されている。また、第2インダクタ21の第2端t72と、出力キャパシタ23の第1端t81とが接続されている。したがって、整流平滑回路30は、第2キャパシタ19を介して、トランス18の二次巻線W2に接続されている。
【0064】
以下、図5図8を参照して、電力変換装置2の動作の詳細について説明する。図5は、交流電源V1において第1端t11の電位が第2端t12の電位よりも高い状態においてスイッチングパターンが第1状態である場合の電流経路を示し、図6は、交流電源V1において第1端t11の電位が第2端t12の電位よりも高い状態においてスイッチングパターンが第2状態である場合の電流経路を示す。図7は、交流電源V1において第2端t12の電位が第1端t11の電位よりも高い状態においてスイッチングパターンが第1状態である場合の電流経路を示し、図8は、交流電源V1において第2端t12の電位が第1端t11の電位よりも高い状態においてスイッチングパターンが第3状態である場合の電流経路を示す。
【0065】
まず、交流電源V1において第1端t11の電圧が第2端t12の電圧よりも高い場合のスイッチング制御について図5及び図6を用いて説明する。この状態では、制御部50は、両スイッチング素子15、16のスイッチングパターンを、上アームスイッチング素子15及び下アームスイッチング素子16の双方がON状態となる第1状態と、上アームスイッチング素子15がON状態であり且つ下アームスイッチング素子16がOFF状態となる第2状態と、に交互に切り替える。
【0066】
スイッチングパターンが第1状態である場合の電流経路について説明する。図5に示すように、スイッチングパターンが第1状態である場合、交流電源V1からの電力の供給に伴う経路rt11と、第1キャパシタ17の放電に伴う経路rt12と、第2キャパシタ19の放電に伴う経路rt31との電流が流れる。経路rt11及び経路rt12については、既に説明したとおりであるため、詳細な説明は省略する。
【0067】
経路rt31は、トランス18の終端から、第2キャパシタ19の第1端t61、第2キャパシタ19の第2端t62、第2インダクタ21、第1出力端t91、電力変換装置2に接続される負荷、第2出力端t92を経由した二次巻線W2の始端までの経路である。スイッチングパターンが第1状態である場合、第2インダクタ21に流れる電流は時間の経過とともに大きくなり、第2インダクタ21の磁束は、当該電流の増加に伴い増加する。
【0068】
一方、図6に示すように、スイッチングパターンが第2状態である場合、経路rt13と、経路rt32と、経路rt33とに電流が流れる。経路rt13については、既に説明した通りであるため、説明を省略する。
【0069】
経路rt32は、二次巻線W2の始端から、二次側ダイオード22、及び第2キャパシタ19を経由した、二次巻線W2の終端までの経路である。したがって、トランス18の一次巻線W1と二次巻線W2は、上アームスイッチング素子15と下アームスイッチング素子16のどちらか一方が非導通状態のときに二次側ダイオード22が導通する極性を有するように磁気結合している。
【0070】
経路rt33は、第2インダクタ21の第2端t72から、第1出力端t91、電力変換装置2に接続される負荷、第2出力端t92、及び二次側ダイオード22を経由した、第2インダクタ21の第1端t71までの経路である。この状態では、第2インダクタ21の磁束は、減少する。
【0071】
次に、交流電源V1において第2端t12の電圧が第1端t11の電圧よりも高い第2状態のスイッチング制御について図7及び図8を用いて説明する。
第1実施形態と同様に、制御部50は、両スイッチング素子15、16のスイッチングパターンを第1状態と、上アームスイッチング素子15がOFF状態であり且つ下アームスイッチング素子16がON状態となる第3状態と、に交互に切り替える。
【0072】
図7に示すように、この状態においてスイッチングパターンが第1状態である場合、経路rt14と、経路rt12と、経路rt31とに電流が流れる。経路rt12、経路rt14、及び経路rt31については、既に説明したとおりであるため、詳細な説明は省略する。
【0073】
図8に示すように、スイッチングパターンが第3状態である場合、経路rt15と、経路rt32と、経路rt33との電流が流れる。経路rt15、経路rt32、及び経路rt33については、既に説明したとおりであるため、詳細な説明は省略する。
【0074】
以上のとおり、制御部50は、交流電源V1において第1端t11の電圧が第2端t12の電圧よりも高い場合には、スイッチングパターンを第1状態と第2状態とに交互に切り替え、交流電源V1において第2端t12の電圧が第1端t11の電圧よりも高い場合には、スイッチングパターンを第1状態と第3状態とに交互に切り替える。これにより、電力変換装置2において電力変換が行われる。
【0075】
上記実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(2-1)本実施形態の電力変換装置2によれば、交流電源V1の極性、及び上アームスイッチング素子15、下アームスイッチング素子16の導通/非導通状態に関わらず、第2インダクタ21により、負荷に電流が供給される。したがって、電力変換装置2は、出力キャパシタ23のリプル電流を低減することができる。
【0076】
上記各実施形態は以下のように変更してもよい。なお、上記実施形態及び以下の各別例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせてもよい。
〇上述の各実施形態では、上アーム整流素子12と下アーム整流素子13としてダイオードを用いたが、これに限られず、ダイオードに代えてスイッチング素子を用いてもよい。この場合、上アーム整流素子12、下アーム整流素子13が導通するタイミングで、当該スイッチング素子をONする、いわゆる同期整流制御を行う。ダイオードに代えてスイッチング素子を用いることにより、導通損失を低減することができる。
【0077】
○上述では、整流平滑回路20、及び整流平滑回路30は、二次側整流素子として、二次側ダイオード22を備える場合について説明したが、これに限られない。整流平滑回路20、及び整流平滑回路30は、二次側ダイオード22に代えて、スイッチング素子を有していてもよい。図9は、上アーム整流素子12と下アーム整流素子13に代えてスイッチング素子を用い、二次側ダイオード22に代えて、スイッチング素子22を用いた場合の電力変換装置1を示す図である。この場合、二次側ダイオード22が導通するスイッチングパターンの状態で、当該スイッチング素子をONする、いわゆる同期整流制御を行う。二次側ダイオード22に代えてスイッチング素子22を用いることにより、導通損失を低減することができる。
【0078】
○上述の各実施形態では、第1インダクタ11が第1入力端t21と第1接続線CL1との間に接続されたが、第1インダクタ11の位置はこれに限られず、第2入力端t22と第2接続線CL2との間に接続されてもよい。また、第1インダクタ11は二つのインダクタであるとして、第1入力端t21と第1接続線CL1との間と、第2入力端t22と第2接続線CL2との間の両方に接続してもよい。
【0079】
〇上述の各実施形態では、第1キャパシタ17が、上アームスイッチング素子15の第1端t31と一次巻線W1の始端との間に接続されたが、第1キャパシタ17の位置はこれに限られず、下アームスイッチング素子16の第2端t42と一次巻線W2の終端との間に接続されてもよい。また、第1キャパシタ17は二つのキャパシタにより構成されてもよく、この場合、上アームスイッチング素子15の第1端t31と一次巻線W1の始端との間と、下アームスイッチング素子の第2端t42と一次巻線W2の終端との間の両方に接続される。
【0080】
〇上述の第1実施形態では、第2キャパシタ19が、二次巻線W2の始端と二次側ダイオード22のアノードとの間に接続されたが、第2キャパシタ19の位置はこれに限られるものではなく、二次巻線W2の終端と第2インダクタの第2端t72との間に接続してもよい。また、第2キャパシタ19は、二つのキャパシタにより構成されてもよく、この場合、二次巻線W2の始端と二次側ダイオード22のアノードとの間と、二次巻線W2の終端と第2インダクタの第2端t72との間の両方に接続される。
【0081】
〇上述の第2実施形態では、第2キャパシタ19が、二次巻線W2の始端と二次側ダイオード22のカソードとの間に接続されたが、第2キャパシタの位置はこれに限られるものではなく、二次巻線W2の終端と二次側ダイオード22のアノードとの間に接続してもよい。また、第2キャパシタ19は二つのキャパシタにより構成されてもよく、この場合、二次巻線W2の始端と二次側ダイオード22のカソードとの間と、二次巻線W2の終端と二次側ダイオード22のカソードとの間の両方に接続される。
【0082】
〇電流センサC1は、第1中間線ML1上ではなく、第2中間線ML2上に設けてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1、2…電力変換装置、10…一次側回路、11…第1インダクタ、12…上アームダイオード、13…下アームダイオード、14…ハーフブリッジ回路、15…上アームスイッチング素子、16…下アームスイッチング素子、17…第1キャパシタ、18、18a、18b…トランス、19…第2キャパシタ、20、30…整流平滑回路、21…第2インダクタ、22…二次側ダイオード、23…出力キャパシタ、50…制御部、C1…電流センサ、C2…電圧センサ、CL1…第1接続線、CL2…第2接続線、L1…第1入力線、L2…第2入力線、ML1…第1中間線、ML2…第2中間線、OL1…第1出力線、OL2…第2出力線、t21…第1入力端、t22…第2入力端、t91…第1出力端、t92…第2出力端、V1…交流電源、W1…一次巻線、W2…二次巻線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9