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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】ドライバへの通知装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20230920BHJP
   G08G 1/01 20060101ALI20230920BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20230920BHJP
   B60W 30/182 20200101ALI20230920BHJP
   G01C 21/26 20060101ALN20230920BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G08G1/01 E
B60W50/14
B60W30/182
G01C21/26 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020175314
(22)【出願日】2020-10-19
(65)【公開番号】P2022066781
(43)【公開日】2022-05-02
【審査請求日】2022-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】太田 貴史
【審査官】西 秀隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-024549(JP,A)
【文献】特開2020-152192(JP,A)
【文献】特開2022-035667(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60W 10/00-10/30
30/00-60/00
G01C 21/00-21/36
23/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲の渋滞度合いに応じて変化する少なくとも一つの渋滞関連パラメータの値が基準渋滞度合いに対応する基準値よりも渋滞度合いが低いことを表す値になっている場合には、第1運転モードにて前記車両の運転が行われ、前記渋滞関連パラメータの値が前記基準値よりも渋滞度合いが高いことを表す値になっている場合には、ドライバの運転寄与度合いが前記第1運転モードよりも低い第2運転モードにて前記車両の運転が行われる、自動運転可能な車両において用いられるドライバへの通知装置であって、
前記車両の表示装置に、前記渋滞関連パラメータの値及び前記基準値に関する表示を行わせる通知制御部を備え
前記車両の運転モードは、複数の前記渋滞関連パラメータのうち所定のパラメータの値がそれぞれの基準値よりも渋滞度合いが高いことを表す値になっている場合には、前記第2運転モードに設定され、前記所定のパラメータがその基準値よりも渋滞度合いが低いことを表す値になっている場合には、前記第1運転モードに設定され、
前通知制御部は、前記渋滞関連パラメータのうちの一部又全ての複数のパラメータの値と該複数のパラメータの前記基準値とに関する表示を前記表示装置に行わせ、
前記通知制御部は、前記車両の運転モードが第1モードにあるときには、前記複数の渋滞関連パラメータのうち、その基準値よりも渋滞度合いが高いことを表す値になっている渋滞関連パラメータの値とこの渋滞関連パラメータに対応する基準値とに関する表示を前記表示装置に行わせない、通知装置。
【請求項2】
前記車両の運転モードは一つの前記渋滞関連パラメータの値に基づいて設定され、
前記通知制御部は、前記一つの渋滞関連パラメータの値と一つの前記基準値とに関する表示を前記表示装置に行わせる、請求項1に記載の通知装置。
【請求項3】
前記渋滞関連パラメータは、前記車両の速度と該車両が走行している道路の法定速度との差、前記車両の周りの他車両の速度と法定速度との差、前記車両の周り領域に他車両が存在する密度又は数のうちの少なくとも一つに応じて変化するパラメータを含む、請求項1又は2に記載の通知装置。
【請求項4】
前記車両の運転モードが前記第1運転モードにあるときの前記基準値は、前記運転モードが前記第2運転モードにあるときの前記基準値よりも渋滞度合いが高いことを表す値である、請求項1~のいずれか1項に記載の通知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ドライバへの通知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
加速、制動、操舵などの車両の運転操作の少なくとも一部を車両が自動的に行う自動運転可能な車両において、運転環境に応じて運転モード(例えば、自動運転モードと手動運転モード)や自動運転制御の制御状態を切り換えることが知られている(特許文献1~6)。特に、特許文献1~4に記載の自動運転車両では、各運転モードの実行の可否や自動運転制御の制御状態の切り替えを判断するにあたって、車両の周りにおける渋滞の状態が考慮されている。
【0003】
また、特許文献5の自動運転車両では、運転モードが切り替わる場合には、その切り替わるタイミングがユーザに通知される。加えて、特許文献6に記載の自動運転車両では、自動運転制御を実施することができない場合にはその理由がユーザに通知される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-324661号公報
【文献】特開2013-215067号公報
【文献】特開2018-146552号公報
【文献】特開2015-184110号公報
【文献】特開2016-028927号公報
【文献】特開2017-165289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車両の運転モードが切り替わると、車両の運転に対するドライバの寄与度が変化する。したがって、ドライバとしては車両の運転モードが切り替わるタイミングを或る程度把握できることが好ましい。
【0006】
一方、上述したように、各運転モードの切り替えを、車両の周りにおける渋滞の状態に基づいて判断することが検討されている。しかしながら、ドライバは、車両の周りにおける渋滞の状態が車両によってどのように認識されているのか把握することができず、また、ドライバと車両とでは渋滞の状態の認識にズレが生じる場合がある。このため、ドライバは、渋滞の状態が現在の状態からどの程度変化すれば運転モードが切り替わるのかを把握することができない。この結果、ドライバに心理的な負担や急な運転交代を強いる可能性がある。
【0007】
上記課題に鑑みて、本開示の目的は、車両の周りの渋滞の状態がどの程度変化すれば運転モードが切り替わるのかをドライバが把握することができるようにする通知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の要旨は以下のとおりである。
【0009】
(1)車両の周囲の渋滞度合いに応じて変化する少なくとも一つの渋滞関連パラメータの値が基準渋滞度合いに対応する基準値よりも渋滞度合いが低いことを表す値になっている場合には、第1運転モードにて前記車両の運転が行われ、前記渋滞関連パラメータの値が前記基準値よりも渋滞度合いが高いことを表す値になっている場合には、ドライバの運転寄与度合いが前記第1運転モードよりも低い第2運転モードにて前記車両の運転が行われる、自動運転可能な車両において用いられるドライバへの通知装置であって、
前記車両の表示装置に、前記渋滞関連パラメータの値及び前記基準値に関する表示を行わせる通知制御部を備える、通知装置。
(2)前記車両の運転モードは一つの前記渋滞関連パラメータの値に基づいて設定され、
前記通知制御部は、前記一つの渋滞関連パラメータの値と一つの前記基準値とに関する表示を前記表示装置に行わせる、上記(1)に記載の通知装置。
(3)前記車両の運転モードは、複数の前記渋滞関連パラメータのうち所定のパラメータの値がそれぞれの基準値よりも渋滞度合いが高いことを表す値になっている場合には、前記第2運転モードに設定され、前記所定のパラメータがその基準値よりも渋滞度合いが低いことを表す値になっている場合には、前記第1運転モードに設定され、
前通知制御部は、前記渋滞関連パラメータのうちの一部又全ての複数のパラメータの値と該複数のパラメータの前記基準値とに関する表示を前記表示装置に行わせる、上記(1)に記載の通知装置。
(4)前記通知制御部は、前記車両の運転モードが第1モードにあるときには、前記複数の渋滞関連パラメータのうち、その基準値よりも渋滞度合いが高いことを表す値になっている渋滞関連パラメータの値とこの渋滞関連パラメータに対応する基準値とに関する表示を前記表示装置に行わせない、上記(3)に記載の通知装置。
(5)前記渋滞関連パラメータは、前記車両の速度と該車両が走行している道路の法定速度との差、前記車両の周りの他車両の速度と法定速度との差、前記車両の周り領域に他車両が存在する密度又は数のうちの少なくとも一つに応じて変化するパラメータを含む、上記(1)~(4)のいずれか1つに記載の通知装置。
(6)前記車両の運転モードが前記第1運転モードにあるときの前記基準値は、前記運転モードが前記第2運転モードにあるときの前記基準値よりも渋滞度合いが高いことを表す値である、上記(1)~(5)のいずれか1つに記載の通知装置。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、車両の周りの渋滞の状態がどの程度変化すれば運転モードが切り替わるのかをドライバが把握することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、車両に実装される車両制御システムを概略的に示す構成図である。
図2図2は、車両内に設けられるメータパネルを概略的に示す図である。
図3図3は、一つの実施形態に係るECUのハードウェア構成図である。
図4図4は、車両の運転モードを設定する運転制御処理及び通知処理に関する、ECUのプロセッサの機能ブロック図である。
図5図5は、ECUによって実行される運転制御処理のフローチャートである。図
図6図6は、渋滞情報表示領域を拡大して示した図である。
図7図7は、ECUによって実行される通知処理のフローチャートである。
図8図8は、第二実施形態に係るECUによって実行される運転制御処理の、図5と同様なフローチャートである。
図9図9は、本実施形態におけるディスプレイの渋滞情報表示領域を拡大して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
【0013】
<第一実施形態>
≪車両制御システムの構成≫
まず、第一実施形態に係る車両制御システム1及び通知装置について説明する。図1は、加速、制動、操舵などの車両の運転操作の少なくとも一部を車両が自動的に行う自動運転可能な車両100に実装される車両制御システム1を概略的に示す構成図である。車両制御システム1は、車両100を、ドライバの運転に対する寄与度の異なる複数の運転モードにて運転させることができる。
【0014】
図1に示したように、車両制御システム1は、速度センサ11と、車外カメラ12と、測距センサ13と、測位センサ14と、ストレージ装置15と、アクチュエータ19と、ディスプレイ20と、電子制御ユニット(以下、「ECU」という)21とを有する。
【0015】
しかしながら、車両制御システム1は、必ずしもこれら全てを有していなくてもよい。例えば、車両制御システム1は、車外カメラ12を有していれば必ずしも測距センサ13を有していなくてもよい。
【0016】
速度センサ11と、車外カメラ12と、測距センサ13と、測位センサ14と、ストレージ装置15と、アクチュエータ19と、ディスプレイ20と、ECU21とは、車内ネットワーク22を介して通信可能に接続される。車内ネットワーク22は、CAN(Controller Area Network)等の規格に準拠したネットワークである。なお、本実施形態では、速度センサ11やECU21等の全ての構成要素が車内ネットワークを介して互いに通信可能に接続されているが、一部の構成要素は車内ネットワークを介さずにケーブル等によって他の構成要素に直接接続されてもよい。
【0017】
速度センサ11は、車両100の速度を検出するセンサである。速度センサ11は、例えば、車両100のドライブシャフトの回転速度を検出し、検出した回転速度に基づいて車両100の速度を検出する。速度センサ11の出力信号は、車内ネットワーク22を介してECU21へ出力される。ECU21は、速度センサ11によって検出された車両100の速度の履歴に基づいて、車両100の加速度を算出することができる。
【0018】
車外カメラ12は、車両の周囲を撮影する機器である。車外カメラ12は、可視光に感度を有する光電変換素子のアレイで構成された2次元検出器(CCD、C-MOSなど)と、その2次元検出器上に撮影対象となる領域の像を結像する結像光学系とを有する。本実施形態では、車外カメラ12は、車両100の周り、特に前方領域を撮影するように、例えば車両100の車内に取り付けられる。しかしながら、車外カメラ12は、前方領域だけでなく、後方領域や左右の領域を撮影するように取り付けられてもよい。車外カメラ12は、所定の撮影周期(例えば1/30秒~1/10秒)ごとに車両100の前方領域を撮影し、且つその前方領域が写った画像を生成する。車外カメラ12は、画像を生成する度に、生成した画像を車内ネットワーク22を介してECU21へ出力する。なお、車外カメラ12は単眼カメラであってもよいし、ステレオカメラであってもよい。車外カメラ12としてステレオカメラが用いられた場合には、車外カメラ12は測距センサ13としても機能する。車両100には、撮影方向または焦点距離が異なる複数の車外カメラが設けられてもよい。
【0019】
測距センサ13は、車両100の周囲に存在する物体までの距離を測定するセンサである。本実施形態では、測距センサ13は、車両100の周囲に存在する物体の方位も合わせて測定することができる。測距センサ13は、例えば、ミリ波レーダ等のレーダ又はライダー(LIDAR)である。さらに、測距センサ13は、車両100の周囲に存在する物体との相対速度を測定することができるように構成されてもよい。本実施形態では、測距センサ13は、車両の前方に存在する物体までの距離を測定する。測距センサ13は、車内ネットワーク22を介して、所定の周期ごとに周囲の物体までの距離の測定結果をECU21へ出力する。
【0020】
測位センサ14は、車両100の自己位置を測定するセンサである。測位センサ14は、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機である。GPS受信機は、複数のGPS衛星からGPS信号を受信し、受信したGPS信号に基づいて車両100の自己位置を測定する。測位センサ14は、所定の周期ごとに車両100の自己位置の測定結果を、車内ネットワーク22を介してECU21へ出力する。なお、測位センサ14は、車両100の自己位置を測定することができれば、他の衛星測位システムに準拠した受信機であってもよい。
【0021】
ストレージ装置15は、例えば、ハードディスク装置または不揮発性の半導体メモリを有する。ストレージ装置15は、地図情報を記憶する。地図情報は、道路の所定の区間ごとに、その区間の位置、道路標示を表す情報(例えば、車線、区画線または停止線)を含む。ストレージ装置15は、ECU21からの地図情報の読出し要求に従って地図情報を読み出し、車内ネットワーク22を介して地図情報をECU21へ送信する。
【0022】
アクチュエータ19は、車両100の加速、制動、操舵などの運転操作を制御するアクチュエータである。アクチュエータ19は、例えば、車両100の駆動が内燃機関によって行われている場合には、内燃機関の吸気通路に設けられたスロットル弁の開度を制御するモータを有し、このモータは車両100の加速を制御するアクチュエータとして機能する。また、アクチュエータ19は、車両100の駆動がモータジェネレータによって行われている場合には、モータジェネレータを制御するインバータ等を有し、インバータ等は車両100の加速及び制動を制御するアクチュエータとして機能する。また、アクチュエータ19は、ブレーキロータへのブレーキパッドの押し付け力を制御するモータを有し、このモータは車両100の制動を制御するアクチュエータとして機能する。加えて、アクチュエータ19は、前輪の向きを変更するステアリングシャフトの回転角度を制御するモータを有し、このモータは操舵を制御するアクチュエータとして機能する。各アクチュエータ19は、ECU21から制御信号を受信し、受信した制御信号に応じて作動する。
【0023】
ディスプレイ20は、車両100や車両100の運転に関する情報を表示する表示装置の一例である。ディスプレイ20は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等、画面上に画像を表示する装置である。或いは、ディスプレイ20は、車両100の前方の窓ガラス等、ドライバの前方に設けられた透明なプレートに画像を投影するヘッドアップディスプレイであってもよい。いずれにせよ、ディスプレイ20は、画像を表示することができれば、如何なるタイプのディスプレイであってもよい。ディスプレイ20は、車内ネットワーク22を介してECU21に接続される。ディスプレイ20は、ECU21から表示信号を受信し、受信した表示信号に応じた画像を表示する。
【0024】
図2は、車両100内に設けられるメータパネル50を概略的に示す図である。図2に示したメータパネル50は、車両100内においてドライバの前方に位置するように配置される。
【0025】
図2に示したように、メータパネル50は、車両100の速度素示すスピードメータ51と、燃料の残量を示す燃料計52と、ハイブリッドシステムの出力や回生レベルを示すハイブリッドシステムインジケータ53と、内燃機関の冷却水温を示す水温計54とを備える。加えて、メータパネル50は、これらスピードメータ51、燃料計52、ハイブリッドシステムインジケータ53及び水温計54の間に、ディスプレイ20を備える。ディスプレイ20には、後述する渋滞度合いに関する情報に加えて、各種警告灯やその他様々な情報が表示される。
【0026】
ECU21は、車両100の運転操作を制御する運転制御処理を行う運転制御装置の一例である。また、ECU21は、車両100の運転操作に関する情報をドライバへ通知する通知処理を行う通知装置の一例である。
【0027】
図3は、一つの実施形態に係るECU21のハードウェア構成図である。ECU21は、通信インターフェース31と、メモリ32と、プロセッサ33とを有する。なお、通信インターフェース31、メモリ32及びプロセッサ33は、別個の回路であってもよく、あるいは、一つの集積回路として構成されてもよい。
【0028】
通信インターフェース31は、ECU21を車内ネットワーク22に接続するための回路である。速度センサ11や車外カメラ12等の他の機器とは、通信インターフェースを介して信号が送受信される。
【0029】
メモリ32は、データを記憶する記憶装置である。メモリ32は、例えば、揮発性の半導体メモリ及び不揮発性の半導体メモリを有する。メモリ32は、ECU21のプロセッサ33により実行される運転制御処理及び通知処理のプログラムを記憶する。また、メモリ32は、車外カメラ12によって撮影された画像、車両100の速度、車両周囲の物体までの距離の測定結果、乗員からの入力情報、並びに運転制御処理及び通知処理において使用される各種のデータなどを記憶する。
【0030】
プロセッサ33は、1個または複数個のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有する。プロセッサ33は、論理演算ユニットまたは数値演算ユニットといった他の演算回路をさらに有していてもよい。プロセッサ33は、運転制御処理を実行して車両100の運転操作に関するアクチュエータ19を制御すると共に、ディスプレイ20の表示処理を実行してディスプレイ20における表示を制御する。
【0031】
≪車両の運転モード≫
本実施形態では、ECU21は、車両100の運転モードを、ドライバによる運転寄与度合いの異なる複数のモードの間で切り替えることができる。特に、本実施形態では、ECU21は、車両100により自律的に運転操作が行われる自動運転モード(例えば、SAEのレベル3に相当)と、車両100によりドライバの運転支援が行われる運転支援モード(例えば、SAEのレベル2に相当)と、ドライバによって車両100の運転操作が行われる手動運転モード(例えば、SAEのレベル0に相当)との間で運転モードを切り替えることができる。自動運転モードにおけるドライバによる運転寄与度合いは運転支援モードにおけるドライバによる運転寄与度合いよりも小さく、運転支援モードにおけるドライバによる運転寄与度合いは手動運転モードにおけるドライバによる運転寄与度合いよりも小さい。
【0032】
ECU21は、手動運転モードでは、車両100の操作機器からの入力に従って、車両100の加速、減速及び操舵を行うアクチュエータ19や斯かるアクチュエータ19を制御する他のECUに制御信号を送信する。具体的には、ECU21は、アクセルペダルからの入力に従って、車両100の加速に関するアクチュエータ19を制御する。また、ECU21は、ブレーキペダルからの入力に従って、車両100の制動に関するアクチュエータ19を制御する。さらに、ECU21は、ステアリングホイールからの入力に従って、車両100の操舵に関するアクチュエータ19を制御する。
【0033】
また、ECU21は、運転支援モードでは、車両100の加速、制動及び操舵についてドライバの操作を支援する。例えば、ECU21は、車両100の同一レーンの直ぐ前方を走行する先行車両に追従するように、且つ先行車両が無い場合には予め設定された設定速度で走行するように車両100の加速及び制動を制御するアクチュエータ19を制御する。また、ECU21は、ドライバの操舵中に車両100が現在の走行レーンから逸脱するような場合には、元の走行レーンに戻すように車両100の操舵に関するアクチュエータ19を制御する。例えば、ECU21は、以下の手順に従って、ドライバによる操作を支援する。
【0034】
まず、ECU21は、車外カメラ12により得られた時系列の一連の画像や測距センサ13により得られた時系列の一連の距離情報から、車両100の前方の先行車両や区画線などを検出する。そして、ECU21は、先行車両との相対速度や距離に基づいて車両100の目標速度を算出し、車両100の速度が算出された目標速度になるように車両100の加速及び制動に関するアクチュエータ19に制御信号を送信する。また、ECU21は、検出された区画線と車両100との相対位置を算出し、車両100が区画線に所定距離以下にまで近づいているときなどに、車両100が区画線から離れるように操舵に関するアクチュエータ19に制御信号を送信する。
【0035】
加えて、ECU21は、自動運転モードでは、車両100の操作機器からの入力に関わらずに、車両100の加速、制動及び操舵を行うアクチュエータ19や斯かるアクチュエータ19を制御する他のECUに制御信号を送信する。ECU21は、これらアクチュエータ19を制御して、例えば、ナビゲーションシステム(図示せず)により設定された走行ルートに沿って車両100を自律的に走行させる。例えば、ECU21は、以下の手順に従って、車両100を自律的に走行させる。
【0036】
まず、ECU21は、車外カメラ12により得られた時系列の一連の画像や測距センサ13により得られた時系列の一連の距離情報から、車両100の周囲の物体や道路標示などを検出する。そして、ECU21は、検出した物体と車両100が衝突しないように且つ道路標示に合わせるように、走行ルート内における車両100の走行経路を設定する。ECU21は、走行経路を設定する際には、走行経路の各地点に車両100が到達する目標時刻も設定する。
【0037】
その後、ECU21は、車両100がその走行経路に沿って走行するよう、加速量、制動量及び操舵量などの制御量を決定する。そして、ECU21は、決定された制御量に従って、車両100の加速、制動及び操舵に関する制御信号を各アクチュエータ19に送信する。
【0038】
なお、本実施形態では、ECU21は、自動運転モードと、運転支援モードと、手動運転モードとの間で運転モードを切り替えている。しかしながら、車両100の運転モードは、ドライバによる運転寄与度合いの異なる複数のモードの間で切り替えることができれば、他の態様のモード間で切り替えられても良い。したがって、例えば、自動運転モードは上述したよりもドライバの運転寄与度合いが高い運転モード(例えば、車線変更は自動では行われないなど)であってもよいし、ECU21は二つ又は四つ以上のモード間で運転モードの切り替えを行ってもよい。
【0039】
≪運転モードの設定処理≫
本実施形態では、車両100の運転モードを手動運転モードにするか、自動運転モード又は運転支援モードにするかはドライバによって設定される。一方、本実施形態では、ECU21が、運転制御処理により、車両100の運転モードを自動運転モードと運転支援モードとの間で自動的に切り換える。特に、本実施形態では、車両100の周りの渋滞度合いが高いときには自動運転モードにより車両100の運転が行われ、車両100の周りの渋滞度合いが低いときには運転支援モードにより車両100の運転が行われる。
【0040】
図4は、車両100の運転モードを設定する運転制御処理及び通知処理に関する、ECU21のプロセッサ33の機能ブロック図である。図4に示したように、プロセッサ33は、車両100の運転モードを設定する運転制御処理を行う運転制御部331と、車両100の運転操作に関する情報をドライバに通知する通知処理を行う通知制御部332とを備える。プロセッサ33が有するこれら機能ブロックは、例えば、プロセッサ33上で動作するコンピュータプログラムにより実現される機能モジュールである。或いは、プロセッサ33が有するこれら機能ブロックは、プロセッサ33に設けられる専用の演算回路であってもよい。
【0041】
図4に示したように、運転制御部331は、パラメータ取得部41と、法定速度特定部42と、周辺車両検出部43と、渋滞度合い算出部44と、運転モード設定部45とを有する。
【0042】
パラメータ取得部41は、車両制御システム1の各種センサからパラメータを取得する。本実施形態では、パラメータ取得部41は、速度センサ11の出力に基づいて車両100の速度を取得し、また、測位センサ14によって測定された車両100の自己位置を取得する。
【0043】
法定速度特定部42は、車両100が現在走行している道路の法定速度を特定する。法定速度の特定は、例えば、車両100の自己位置及びストレージ装置15に格納されている地図情報に基づいて行われる。地図情報には各道路の法定速度情報が記憶されており、法定速度特定部42は、測位センサ14によって測定された車両100の自己位置に対応する道路の法定速度を、車両100が現在走行している道路の法定速度として特定する。なお、法定速度特定部42は、別の方法によって車両100が現在走行している道路の法定速度を特定してもよい。具体的には、例えば、法定速度特定部42は、車外カメラ12によって撮影された画像内の速度標識を任意の認識処理によって検出すると共に、検出された速度標識に基づいて車両100が現在走行している道路の法定速度を特定することが考えられる。
【0044】
周辺車両検出部43は、車両100の周りの他車両の位置、速度及び大きさを検出する。周辺車両検出部43は、例えば、車外カメラ12によって撮影された画像内の車両を任意の認識処理によって検出すると共に、認識された車両の画像内の位置と測距センサ13の出力とに基づいて、車両100の周りの他車両の位置を検出する。加えて、周辺車両検出部43は、測距センサ13の出力に基づいて車両100の周りの他車両と車両100との相対速度を算出し、この相対速度と速度センサ11によって検出された車両100の速度とに基づいて車両100の周りの他車両の速度を算出する。さらに、本実施形態では、周辺車両検出部43は、認識された車両の画像内の位置や大きさ及び測距センサ13の出力に基づいて、車両100の周りの各他車両の大きさ(長さ)を算出する。
【0045】
渋滞度合い算出部44は、車両100の周りにおける渋滞の度合いを算出する。本実施形態では、下記式(1)により、車両100の周囲の渋滞度合いに応じて変化する渋滞関連パラメータである渋滞レベルLJを算出する。
LJ=A×HV+B×CV+C×VD …(1)
HV=(Vl-Vh)/Vh …(2)
CV=(Vl-Vc)/Vc …(3)
VD=Ltv/Lr …(4)
式(1)において、A、B、Cは定数であり、予め実験的又は計算により最適な値が求められる。
【0046】
また、式(1)におけるHVは、車両100の速度に関連する自車項であり、上記式(2)によって算出される。式(2)のVlは法定速度を、Vhは車両100の速度をそれぞれ表している。したがって、自車項は、車両100の速度Vhと法定速度Vlとの差に応じて変化する。法定速度Vlには法定速度特定部によって特定された値が代入され、車両100の速度Vhにはパラメータ取得部41によって取得された値が代入される。自車項HVは、車両100の速度が高いほど小さくなる。また、上記式(2)の右辺によって算出された値が負の値になる場合には、自車項HVはゼロとされる。なお、自車項HVは、車両100の速度が高いほど小さくなるようなパラメータであれば、上記式(2)の右辺以外の方法で求められるパラメータであってもよい。
【0047】
式(1)におけるCVは、車両100の周囲の他車両に関する周辺車項であり、上記式(3)によって算出される。式(3)のVcは、車両100と進行方向が同一な走行レーンにおいて車両100の前後の所定範囲(以下、「周辺領域」という)内を走行している他車両(以下、「周辺車両」という)の平均速度を表している。したがって、他車両の速度Vcには、周辺車両検出部43によって算出された周辺車両の速度を平均することによって求められる。周辺車項CVは、周辺車両の平均速度が高くなるほど小さくなる。よって、周辺車項は、車両100の周りの他車両の速度Vcと法定速度Vlとの差に応じて変化するパラメータである。また、上記式(3)の右辺によって算出された値が負の値になる場合には、周辺車項CVはゼロとされる。なお、周辺車項CVは、周辺車両の速度が高いほど小さくなるようなパラメータであれば、上記式(3)の右辺以外の方法で求められるパラメータであってもよい。
【0048】
式(1)におけるVDは、車両100の周りの周辺領域に他車両が存在する程度(他車両が存在する密度)に関連する密度項であり、上記式(4)によって検出される。式(4)のLtvは、周辺領域内を走行する周辺車両の全長の合計を表しており、周辺車両検出部43によって算出された他車両の大きさ(長さ)を合計することによって算出される。式(4)のLrは、周辺領域の全長を表している。例えば、車両100が片側3車線の道路を走行している場合には、周辺領域は上述した所定範囲の前後方向の長さを3倍した値である。なお、密度項VDは、周辺領域に他車両が存在する程度を表していれば、例えば、周辺領域内に存在する他車両の数など、上記式(4)の右辺以外の方法で求められるパラメータであってもよい。
【0049】
なお、渋滞レベルLJは、上述した自車項、周辺車項及び密度項のうちの一部のパラメータのみに応じて変化するパラメータであってもよい。また、渋滞レベルLJは、上述した自車項、周辺車項及び密度項に加えて、又はこれらパラメータに替えて、他のパラメータ(例えば、車両100の速度を加速度で除算した値、周辺車両の平均速度を平均加速度で除算した値、先行車両の速度と法定速度との差を先行車両の速度で除算した値、先行車両の速度を加速度で除算した値など)に応じて変化する値であってもよい。
【0050】
また、車両100の周りの周辺領域における渋滞度合いを表す渋滞関連パラメータの値は他の方法によって求められてもよい。例えば、各車両と通信するサーバが各車両の位置情報に基づいて各道路の各地点における渋滞関連パラメータの値を算出すると共に算出された渋滞関連パラメータの値を各車両に送信し、車両100はサーバから渋滞関連パラメータの値を受信してもよい。
【0051】
運転モード設定部45は、渋滞度合い算出部44によって算出された渋滞レベルLJの値に基づいて運転モードを設定する。具体的には、運転モード設定部45は、渋滞レベルLJが予め設定された基準渋滞レベルLJref以上であって渋滞度合いが高いときには、運転モードを、ドライバの運転寄与度合いが低い自動運転モードに設定する。一方、運転モード設定部45は、渋滞レベルLJが基準渋滞レベルLJref未満であって渋滞度合いが低いときには、運転モードを、ドライバの運転寄与度合いが高い運転支援モードに設定する。なお、基準渋滞レベルLJrefは、基準となる渋滞度合い(以下、「基準渋滞度合い」という)であるときに渋滞レベルがとる値であり、基準渋滞度合いは高速での自動運転モードにおける走行性能等を考慮して予め設定される。
【0052】
本実施形態では、車両100の運転モードが頻繁に変化することがないように、基準渋滞レベルLJrefはヒステリシスを有している。したがって、車両100の運転モードが運転支援モードにあるときの基準渋滞レベルLJrefは、車両100の運転モードが自動運転モードにあるときに基準渋滞レベルLJrefよりも渋滞度合いが高くなるように設定される。
【0053】
なお、ヒステリシスを有しているものの、基準渋滞度合いは他のパラメータに応じて変化することなく一定であり、よって基準渋滞レベルLJrefも一定である。しかしながら、基準渋滞度合い(したがって、基準渋滞レベルLJref)は何らかのパラメータに基づいて変更されてもよい。具体的には、例えば、基準渋滞度合いは時間帯に基づいて変更されてもよい。
【0054】
いずれにせよ、本実施形態では、車両の周囲の渋滞度合いに応じて変化する渋滞関連パラメータである渋滞レベルLJの値が基準渋滞度合いに対応する基準渋滞レベルLJrefよりも渋滞度合いが低いことを表す値になっている場合には、第1運転モード(上述した例では運転支援モード)にて車両100の運転が行われる。加えて、渋滞レベルLJの値が基準渋滞レベルLJrefよりも渋滞度合いが高いことを表す値になっている場合には、第1運転モードよりもドライバの運転寄与度合いが低い第2運転モード(上述した例では、自動運転モード)にて車両100の運転が行われる。
【0055】
図5は、ECU21によって実行される運転制御処理のフローチャートである。図5に示したように、まず、パラメータ取得部41が、速度センサ11及び測位センサ14の出力に基づいて、車両100の速度と車両100の自己位置とを取得する(ステップS11)。
【0056】
次いで、法定速度特定部42が、ステップS11において取得された車両100の自己位置と、ストレージ装置15に格納されている地図情報とに基づいて、車両100が現在走行している道路の法定速度を特定する(ステップS12)。
【0057】
その後、周辺車両検出部43が、車両100周りの他車両(周辺車両)の位置、速度及び大きさ(長さ)を検出する(ステップS13)。上述したように、周辺車両検出部43は、車外カメラ12によって撮影された画像及び測距センサ13によって検出された車両100周りの物体までの距離情報に基づいて、検出する。
【0058】
次いで、渋滞度合い算出部44が、車両100の周りにおける渋滞レベルLJを算出する。渋滞度合い算出部44は、上記式(1)~(4)を用いて渋滞レベルLJを算出する(ステップS14)。
【0059】
渋滞レベルLJが算出されると、運転モード設定部45は、算出された渋滞レベルLJが基準渋滞レベルLJref以上であるか否かを判定する(ステップS15)。算出された渋滞レベルLJが基準渋滞レベルLJref以上であると判定された場合、すなわち車両100の周りが渋滞していて車両100を高い速度で走行させることができない場合には、運転モード設定部45は、運転モードを自動運転モードに設定する(ステップS16)。一方、ステップS15において、算出された渋滞レベルLJが基準渋滞レベルLJref未満であると判定された場合、すなわち車両100の周りが渋滞しておらず車両100を高い速度で走行させることができる場合には、運転モード設定部45は、運転モードを運転支援モードに設定する(ステップS17)。
【0060】
≪通知処理≫
また、本実施形態では、ディスプレイ20に、渋滞レベルLJと、基準渋滞レベルLJrefとが表示される。特に、本実施形態では、図2に示したように、ディスプレイ20の中央に渋滞情報表示領域60が設けられ、この渋滞情報表示領域60に渋滞レベルLJと基準渋滞レベルLJrefとが表示される。
【0061】
図6は、渋滞情報表示領域60を拡大して示した図である。図6に示したように、渋滞情報表示領域60には、インジケータバー61と指示マーク62とが表示される。インジケータバー61は、渋滞度合い算出部44によって算出された渋滞レベルLJを表しており、渋滞レベルに応じて基準(図中に左端)からの長さが変わる。本実施形態では、インジケータバー61は、渋滞レベルLJが高くなるほど長くなる。指示マーク62は、基準渋滞レベルLJrefを表しており、インジケータバー61が基準渋滞レベルLJrefに対応する長さになったときに到達する位置を指すように配置される。
【0062】
このようにディスプレイ20に渋滞レベルLJ等を表示させて車両100の周りの渋滞レベルを通知する通知処理は、ECU21のプロセッサの通知制御部332によって行われる。図4に示したように、通知制御部332は、パラメータ取得部47と、表示制御部48とを有する。
【0063】
パラメータ取得部47は、プロセッサ33の運転制御部331から、及び場合によっては車両制御システム1の各種センサから、パラメータを取得する。本実施形態では、パラメータ取得部47は、渋滞度合い算出部44から、算出された渋滞レベルLJを取得する。加えて、パラメータ取得部47は、運転モード設定部45から基準渋滞レベルLJrefを取得する。なお、基準渋滞レベルLJrefが一定の値である場合には、基準渋滞レベルLJrefは、パラメータ取得部47によって取得されなくてもよい。
【0064】
表示制御部48は、ディスプレイ20の渋滞情報表示領域60における表示を制御する。表示制御部48は、パラメータ取得部47によって取得された渋滞レベルLJに応じた長さのインジケータバー61をディスプレイ20に表示させる。加えて、表示制御部48は、パラメータ取得部47によって取得された基準渋滞レベルLJrefに応じた位置において指示マーク62をディスプレイ20に表示させる。
【0065】
図7は、ECU21によって実行される通知処理のフローチャートである。図7に示したように、まず、パラメータ取得部47が、渋滞度合い算出部44や運転モード設定部45から、渋滞レベルLJ及び基準渋滞レベルLJrefを取得する(ステップS21)。次いで、表示制御部48が、取得された渋滞レベルLJ及び基準渋滞レベルLJrefに応じて、ディスプレイ20の表示を制御する(ステップS22)。具体的には、本実施形態では、渋滞レベルLJ及び基準渋滞レベルLJrefに応じてインジケータバー61及び指示マーク62の表示を制御する。
【0066】
なお、本実施形態では、ディスプレイ20には、渋滞レベルLJ及び基準渋滞レベルLJrefがそれぞれインジケータバー61及び指示マーク62として表示されている。しかしながら、渋滞レベルLJ及び基準渋滞レベルLJrefは他の態様で表示されてもよい。具体的には、例えば、渋滞レベルLJ及び基準渋滞レベルLJrefが共に数値として表示されてもよい。したがって、表示制御部48は、渋滞関連パラメータの値と、基準渋滞度合いに対応する基準値とに関する表示を行わせているといえる。
【0067】
≪作用・効果≫
本実施形態によれば、ディスプレイ20に渋滞レベルLJに応じて変化するインジケータバー61が表示される。したがって、ドライバは、車両100の周りの渋滞度合いがECU21によってどのように把握されているかを確認することができる。また、本実施形態では、ディスプレイ20に基準渋滞レベルLJrefに対応した指示マーク62が表示される。したがって、ドライバは、運転モードが切り替わる基準渋滞レベルLJrefと、現在の渋滞レベルLJとの乖離度合いを確認することができる。この結果、ドライバは、車両100の周における渋滞度合いがどの程度変化すれば運転モードが切り替わるのかを把握することができる。特に、本実施形態では、渋滞度合いを表すパラメータとして渋滞レベルLJ及び基準渋滞レベルLJrefがそれぞれ一つのみ表示されているため、ドライバは現在の渋滞度合いやどの程度渋滞度合いが変化すれば運転モードが切り替わるのかを直感的に把握し易い。
【0068】
<第二実施形態>
次に、第二実施形態に係る車両制御システム1及び通知装置について説明する。以下では、第一実施形態に係る車両制御システム1及び通知装置と異なる部分を中心に説明する。
【0069】
上記第一実施形態では、運転モード設定部45は、渋滞度合い算出部44によって算出された一つのパラメータ(渋滞レベル)が基準値以上であるか否かに基づいて車両100の運転モードを設定していた。これに対して、本実施形態では、渋滞度合い算出部44によって渋滞度合いに応じて変化する複数の渋滞関連パラメータの値が算出されると共に、運転モード設定部45は複数の渋滞関連パラメータの値に基づいて車両100の運転モードを設定する。
【0070】
本実施形態では、渋滞度合い算出部44は、渋滞レベルLJを算出せずに、自車項HV、周辺車項CV及び密度項VDを、渋滞関連パラメータとして上述したように算出する。
【0071】
また、本実施形態では、運転モード設定部45は、渋滞度合い算出部44によって算出された渋滞関連パラメータ、すなわち自車項HV、周辺車項CV及び密度項VDの値に基づいて運転モードを設定する。具体的には、運転モード設定部45は、自車項HVの値が自車項基準値HVref以上であって、周辺車項CVの値が周辺車項基準値CVref以上であって且つ密度項VDの値が密度項基準値VDref以上であるときには、運転モードをドライバの運転寄与度合いが低い自動運転モードに設定する。一方、自車項HVの値が自車項基準値HVref未満であるか、周辺車項CVの値が周辺車項基準値CVref未満であるか又は密度項VDの値が密度項基準値VDref未満であるときには、運転モードを、ドライバの運転寄与度合いが高い運転支援モードに設定する。なお、自車項基準値HVref、周辺車項基準値CVref及び密度項基準値VDrefは、基準渋滞度合いであるときに自車項、周辺車項及び密度項がそれぞれとる値である。
【0072】
図8は、第二実施形態に係るECU21によって実行される運転制御処理の、図5と同様なフローチャートである。図8のステップS31~S33は、それぞれ図5のステップS11~S13と同様であるため説明を省略する。
【0073】
ステップS33において周辺車両の位置、速度及び大きさが検出されると、次いで、渋滞度合い算出部44が、自車項HV、周辺車項CV及び密度項VDの値を算出する(ステップS34)。渋滞度合い算出部44は、例えば、上記式(2)~(4)を用いて各項の値を算出する。
【0074】
自車項HV、周辺車項CV及び密度項VDの値が算出されると、運転モード設定部45は、算出された自車項HVの値が自車項基準値HVref以上であるか否か、算出された周辺車項CVの値が周辺車項基準値CVref以上であるか否か、及び算出された密度項VDの値が密度項基準値VDref以上であるか否かを判定する(ステップS35)。ステップS35において、自車項HVの値が自車項基準値HVref以上であり、周辺車項CVの値が周辺車項基準値CVref以上であり且つ密度項VDの値が密度項基準値VDref以上であると判定された場合には、運転モード設定部45は、運転モードを自動運転モードに設定する(ステップS36)。一方、ステップS35において、自車項HVの値が自車項基準値HVref未満であると判定されるか、周辺車項CVの値が周辺車項基準値CVref未満であると判定されるか、又は密度項VDの値が密度項基準値VDref未満であると判定された場合には、運転モード設定部45は、運転モードを運転支援モードに設定する(ステップS37)。
【0075】
図9は、本実施形態におけるディスプレイ20の渋滞情報表示領域60を拡大して示した図である。図9に示したように、渋滞情報表示領域60には、3つのインジケータバー61と、それぞれのインジケータバー61に対応する3つの指示マーク62とが表示される。
【0076】
3つのインジケータバー61のうち、第1インジケータバー61aは渋滞度合い算出部44によって算出された自車項CVの値を表しており、自車項HVの値が大きくなるほど基準(図中の左端)からの長さが長くなる。また、3つの指示マークのうち、第1指示マーク62aは自車項基準値HVrefを表しており、第1インジケータバー61aが自車項基準値HVrefに対応する長さになったときに到達する位置を指すように配置される。
【0077】
第2インジケータバー61bは渋滞度合い算出部44によって算出された周辺車項CVの値を表しており、周辺車項CVの値が大きくなるほど基準(図中の左端)からの長さが長くなる。また、第2指示マーク62bは周辺車項基準値CVrefを表しており、第2インジケータバー61bが周辺車項基準値CVrefに対応する長さになったときに到達する位置を指すように配置される。
【0078】
第3インジケータバー61cは渋滞度合い算出部44によって算出された密度項VDの値を表しており、周辺車項VDの値が大きくなるほど基準(図中の左端)からの長さが長くなる。また、第3指示マーク62cは密度項基準値VDrefを表しており、第3インジケータバー61cが密度項基準値VDrefに対応する長さになったときに到達する位置を指すように配置される。
【0079】
なお、本実施形態でも、ディスプレイ20にはインジケータバー61と指示マーク62とが表示されている。しかしながら、ディスプレイ20には、各渋滞関連パラメータの値及びその基準値が共に数値として表示されてもよい。
【0080】
このようにディスプレイ20に渋滞レベルLJ等を表示させて車両100の周りの渋滞レベルを通知する通知処理は、第一実施形態と同様に、ECU21のプロセッサの通知制御部332によって行われる。
【0081】
本実施形態によれば、ディスプレイ20に、自車項HV、周辺車項CV及び密度項VDに応じて変化するインジケータバー61a~61cが表示される。したがって、ドライバは、車両100の渋滞度合いがECU21によってどのように把握されているかをより正確に把握することができる。また、本実施形態では、項目毎に異なるインジケータバー61a~61cが用いられているため、ドライバはどのような項目がどの程度変化すれば運転モードが切り替わるのかを把握することができる。
【0082】
第二実施形態では、渋滞関連パラメータとして、自車項HV、周辺車項CV及び密度項VDが用いられている。しかしながら、渋滞関連パラメータとして、これらパラメータに替えて又はこれらパラメータに加えて、他のパラメータ(例えば、車両100の速度を加速度で除算した値、周辺車両の平均速度を平均加速度で除算した値、先行車両の速度と法定速度との差を先行車両の速度で除算した値、先行車両の速度を加速度で除算した値など)が用いられてもよい。
【0083】
また、第二実施形態では、運転モード設定部45は、渋滞関連パラメータである自車項HV、周辺車項CV及び密度項VDの全てがそれぞれ対応する基準値以上であるか否かに基づいて運転モードを切り替えている。しかしながら、運転モード設定部45は、渋滞関連パラメータのうち一部がそれぞれ対応する基準値以上であるか否かに基づいて運転モードを切り換えてもよい。したがって、運転モード設定部45は、例えば、3つの渋滞関連パラメータのうちの2つがそれぞれ対応する基準値以上であるか否かい基づいて運転モードを切り換えてもよい。
【0084】
また、上記第二実施形態では、各パラメータの基準値はそれぞれヒステリシスを有していてもよい。したがって、運転モード設定部45は、自車項HVの値が自車項基準値HVref以上であって、周辺車項CVの値が周辺車項基準値CVref以上であって且つ密度項VDの値が密度項基準値VDref以上であるときに運転モードを自動運転モードに切り替え、また、自車項HVの値が自車項基準値HVref未満であり、周辺車項CVの値が周辺車項基準値CVref未満であり且つ密度項VDの値が密度項基準値VDref未満であるときに、運転モードを、ドライバの運転寄与度合いが高い運転支援モードに切り替えるようにしてもよい。
【0085】
また、各パラメータの基準値は、渋滞関連パラメータ以外の何らかの他のパラメータに基づいて変更されてもよい。例えば、周辺車項CV及び密度項VDの基準値は、車両100の速度に応じて変更されてもよい。
【0086】
以上を考慮すると、本実施形態では、車両の運転モードは、複数の渋滞関連パラメータのうち所定のパラメータの値がそれぞれの基準値よりも渋滞度合いが高いことを表す値になっている場合には、第2運転モード(上述した例では、自動運転モード)にて車両100の運転が行われる。加えて、上記所定のパラメータのそれぞれがその基準値よりも渋滞度合いが低いことを表す値になっている場合には、第2運転モードよりもドライバの運転寄与度合いが高い第1運転モード(上述した例では運転支援モード)にて車両100の運転が行われる。
【0087】
加えて、上記第二実施形態では、3つの渋滞関連パラメータの全てについて、対応するインジケータバー61a~61c及び対応する指示マーク62a~62cがディスプレイ20に表示される。しかしながら、ディスプレイ20には、運転モードの切り替えの判断に用いられる渋滞関連パラメータのうち一部のパラメータのみが表示されてもよい。
【0088】
この場合、例えば、運転モードが運転支援モードに設定されているときには、表示制御部48は、複数の渋滞関連パラメータのうち対応する基準値未満であるパラメータに関するインジケータバー61及び指示マーク62のみを表示させて、複数の渋滞関連パラメータのうち対応する基準値以上であるパラメータに関するインジケータバー61及び指示マーク62を表示させないようにしてもよい。
【0089】
同様に、運転モードが自動運転モードに設定されているときには、表示制御部48は、複数の渋滞関連パラメータ(上記第二実施形態では、自車項、周辺車項、密度項)のうち対応する基準値以上であるパラメータに関するインジケータバー61及び指示マーク62のみを表示させて、複数の渋滞関連パラメータのうち対応する基準値未満であるパラメータに関するインジケータバー61及び指示マーク62を表示させないようにしてもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、渋滞関連パラメータの値のみに基づいて、自動運転モードと運転支援モードとの間で運転モードが切り替えられている。しかしながら、渋滞関連パラメータの値に加えて、車両100の周りの渋滞度合いとは関連性の無い又は低い他のパラメータに基づいて、自動運転モードと運転支援モードとの間で運転モードが切り替えられてもよい。
【0091】
以上、本発明に係る好適な実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内で様々な修正及び変更を施すことができる。
【符号の説明】
【0092】
1 車両制御システム
12 車外カメラ
20 ディスプレイ
21 ECU
33 プロセッサ
100 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9