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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 69/00 20060101AFI20230920BHJP
   A01D 69/06 20060101ALI20230920BHJP
   A01D 69/03 20060101ALI20230920BHJP
   F16H 3/083 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
A01D69/00 303A
A01D69/06
A01D69/03
F16H3/083
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020214466
(22)【出願日】2020-12-24
(65)【公開番号】P2022100473
(43)【公開日】2022-07-06
【審査請求日】2022-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089934
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 淳一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100092945
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 千秋
(72)【発明者】
【氏名】五島 一実
(72)【発明者】
【氏名】奥村 和哉
(72)【発明者】
【氏名】板山 真
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-032557(JP,A)
【文献】実開平06-060323(JP,U)
【文献】特開2012-229787(JP,A)
【文献】特開2009-232782(JP,A)
【文献】特開2002-274204(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0009465(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 69/00 - 69/12
B60K 17/08
F16H 3/00 - 3/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧式無段変速装置(20)により走行速度を無段階に変速可能な走行装置(2)の前方に刈取装置(4)を設け、走行装置(2)の上方には脱穀装置(3)を設け、ミッションケース(23)内に備えた中継軸(32)において油圧式無段変速装置(20)からの伝動を前記刈取装置(4)への出力と前記走行装置(2)への出力に分岐させる構成とし、前記刈取装置(4)への出力経路に備えた刈取出力軸(29)に、標準速を伝達する標準速伝達歯車(43)と倒伏作業用の倒伏回転を伝達する倒伏作業速伝達歯車(44)とを回転自在に設け、この標準速伝達歯車(43)と倒伏作業速伝達歯車(44)の回転を択一的に刈取装置(4)へ出力する構成とし、前記中継軸(32)には、前記刈取出力軸(29)に回転自在に設けた従動歯車(30)を経由して回転を伝達する構成とし、油圧式無段変速装置(20)の出力軸(24)の駆動回転が入力される入力軸(25)をミッションケース(23)の上部に設け、入力軸(25)に設けた出力歯車(27)に、刈取装置(4)に回転出力する刈取出力プーリー(31)を設けた刈取出力軸(29)に設けた従動歯車(30)を常時噛み合わせ、従動歯車(30)には中継軸(32)の中間歯車(33)を常時噛み合わせ、入力軸(25)の回転は出力歯車(27)と従動歯車(30)と中間歯車(33)を介してサイドクラッチ軸(35)に伝達する構成とし、前記刈取出力軸(29)には、刈取出力軸(29)に標準速を伝達する標準速伝達歯車(43)と倒伏作業用の倒伏回転を伝達する倒伏作業速伝達歯車(44)とを回転自在に設け、標準速伝達歯車(43)と倒伏作業速伝達歯車(44)には中間歯車(33)により駆動された中継軸(32)により回転伝達される構成としたコンバイン。
【請求項2】
請求項1記載の発明において、中継軸(32)の回転は、刈取出力軸(29)の軸方向にスライドする切替クラッチ(48)により伝達する構成としたコンバイン。
【請求項3】
請求項2記載の発明において、切替クラッチ(48)は標準速伝達歯車(43)と倒伏作業速伝達歯車(44)の間の刈取出力軸(29)に軸方向に摺動自在に取付けて構成したコンバイン。
【請求項4】
請求項3記載の発明において、前記刈取出力軸(29)には走行方向の右側に従動歯車(30)を回転自在に軸装したコンバイン。
【請求項5】
請求項2~請求項4記載の発明において、前記標準速伝達歯車(43)と倒伏作業速伝達歯車(44)のそれぞれの左右両側の刈取出力軸(29)にスラストベアリング(61)とレース(57)とブシュ(62)を設けたコンバイン。
【請求項6】
請求項2~請求項4記載の発明において、刈取出力軸(29)の中央部から右側に従動歯車(30)を配置し、刈取出力軸(29)の中央部から左側に標準速伝達歯車(43)および倒伏作業速伝達歯車(44)と切替クラッチ(48)を配置したコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、油圧式無段変速装置により走行速度を無段階に変速可能な走行装置の前方に刈取装置を設け、走行装置の上方には脱穀装置を設け、油圧式無段変速装置の出力軸24の駆動回転が入力される入力軸をミッションケースの上部に設け、入力軸に設けた出力歯車に、刈取装置に回転出力する刈取出力プーリーを設けた刈取出力軸に設けた従動歯車を常時噛み合わせ、従動歯車には中継軸の中間歯車を常時噛み合わせ、入力軸の回転は出力歯車と従動歯車と中間歯車を介してサイドクラッチ軸に伝達する構成とし、刈取出力軸には、標準速と倒伏作業用の倒伏回転を伝達する構成は、公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-90609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例は、副変速を切り替えるためには走行動力を遮断して停止した状態で行う必要があり、走行速度に対して刈取速度を増速した状態にする所謂倒伏作業への切り替え以外に、走行速度の高低速を切り替える際にも機体を停止させる必要があるという課題がある。
本願は、副変速機構を省略し、走行動力を遮断せずに変速可能にしたミッションケースを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、油圧式無段変速装置20により走行速度を無段階に変速可能な走行装置2の前方に刈取装置4を設け、走行装置2の上方には脱穀装置3を設け、ミッションケース23内に備えた中継軸32において油圧式無段変速装置20からの伝動を前記刈取装置4への出力と前記走行装置2への出力に分岐させる構成とし、前記刈取装置4への出力経路に備えた刈取出力軸29に、標準速を伝達する標準速伝達歯車43と倒伏作業用の倒伏回転を伝達する倒伏作業速伝達歯車44とを回転自在に設け、この標準速伝達歯車43と倒伏作業速伝達歯車44の回転を択一的に刈取装置4へ出力する構成とし、前記中継軸32には、前記刈取出力軸29に回転自在に設けた従動歯車30を経由して回転を伝達する構成とし、油圧式無段変速装置20の出力軸24の駆動回転が入力される入力軸25をミッションケース23の上部に設け、入力軸25に設けた出力歯車27に、刈取装置4に回転出力する刈取出力プーリー31を設けた刈取出力軸29に設けた従動歯車30を常時噛み合わせ、従動歯車30には中継軸32の中間歯車33を常時噛み合わせ、入力軸25の回転は出力歯車27と従動歯車30と中間歯車33を介してサイドクラッチ軸35に伝達する構成とし、前記刈取出力軸29には、刈取出力軸29に標準速を伝達する標準速伝達歯車43と倒伏作業用の倒伏回転を伝達する倒伏作業速伝達歯車44とを回転自在に設け、標準速伝達歯車43と倒伏作業速伝達歯車44には走行カウンタギヤ中間歯車33により駆動された中継軸32により回転伝達される構成としたコンバインとしたものである。
請求項の発明は、中継軸32の回転は、刈取出力軸29の軸方向にスライドする切替クラッチ48により伝達する構成としたコンバインとしたものである。
請求項の発明は、切替クラッチ48は標準速伝達歯車43と倒伏作業速伝達歯車44の間の刈取出力軸29に軸方向に摺動自在に取付けて構成したコンバインとしたものである。
請求項の発明は、前記刈取出力軸29には走行方向の右側に従動歯車30を回転自在に軸装したコンバインとしたものである。
請求項の発明は、前記標準速伝達歯車43と倒伏作業速伝達歯車44のそれぞれの左右両側の刈取出力軸29にスラストベアリング61とレース57とブシュ62を設けたコンバインとしたものである。
請求項の発明は、刈取出力軸29の中央部から右側に従動歯車30を配置し、刈取出力軸29の中央部から左側に標準速伝達歯車43および倒伏作業速伝達歯車44と切替クラッチ48を配置したコンバインとしたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、刈取装置4への出力経路に備えた刈取出力軸29に、標準速を伝達する標準速伝達歯車43と倒伏作業用の倒伏回転を伝達する倒伏作業速伝達歯車44とを回転自在に設け、この標準速伝達歯車43と倒伏作業速伝達歯車44の回転を択一的に刈取装置4へ出力する構成とし、前記中継軸32には、前記刈取出力軸29に回転自在に設けた従動歯車30を経由して回転を伝達する構成としているので、刈取出力軸29を刈取装置4へ出力する刈取出力軸29と副変速軸とを兼用し、所謂副変速用の歯車のみを設けた副変速軸を省略したミッションケース23を提供することができる。
ミッションケース23の上部に設けた入力軸25の出力歯車27に、刈取出力軸29に設けた従動歯車30を常時噛み合わせ、従動歯車30には中継軸32の中間歯車33を常時噛み合わせてサイドクラッチ軸サイドクラッチ軸35に伝達する構成とすると共に、刈取出力軸29に標準速を伝達する標準速伝達歯車43と倒伏作業用の倒伏回転を伝達する倒伏作業速伝達歯車44とを設け、標準速伝達歯車43と倒伏作業速伝達歯車44には走行カウンタギヤ中間歯車33により駆動された中継軸32により回転伝達される構成としているので、刈取出力軸29を刈取装置4へ出力する刈取出力軸29と副変速軸とを兼用し、所謂副変速用の歯車のみを設けた副変速軸を省略したミッションケース23を提供することができる。
請求項の発明では、中継軸32の回転は、刈取出力軸29の軸方向にスライドする切替クラッチ48により伝達する構成としているので、変速を容易にできる。
請求項の発明では、切替クラッチ48は標準速伝達歯車43と倒伏作業速伝達歯車44の間の刈取出力軸29に軸方向に摺動自在に取付けて構成しているので、切替クラッチ48をコンパクトに構成できる。
請求項の発明では、刈取出力軸29には走行方向の右側に従動歯車30を回転自在に軸装しているので、負荷が掛かる従動歯車30をミッションケース1の壁近傍に配置でき、これにより、刈取出力軸29の支持剛性を向上させられ、刈取出力軸29のたわみを防止できる。
請求項の発明では、標準速伝達歯車43と倒伏作業速伝達歯車44のそれぞれの左右両側の刈取出力軸29にスラストベアリング61とレース57とブシュ62を設けているので、標準速伝達歯車43および倒伏作業速伝達歯車44に掛かるスラスト方向の荷重をブシュ62が支受するので、摩耗を抑制する。
請求項の発明では、刈取出力軸29の中央部から右側に従動歯車30を配置し、刈取出力軸29の中央部から左側に標準速伝達歯車43および倒伏作業速伝達歯車44と切替クラッチ48を配置しているので、ミッションケース23を左ケース23Aと右ケース23Bとに左右に分割形成した場合、左ケース23Aと右ケース23Bとに跨がって、従動歯車30や切替クラッチ48の標準速伝達歯車43および倒伏作業速伝達歯車44を設けずに済み、これにより、組立が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】コンバインの側面図。
図2】ミッションケースの縦断正面図。
図3】同一部断面図。
図4】切替クラッチ付近の断面図。
図5】サイドクラッチ付近の断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の一実施形態を図面により説明すると、1は機体フレ-ム、2は機体フレ-ム1の下方位置に設けた走行装置、3は機体フレ-ム1の上方位置に設けた脱穀装置、4は機体フレ-ム1の前方に設けた刈取装置、5は前記脱穀装置3の側部に設けた該脱穀装置3より取出された穀物を一時貯留するグレンタンク、6は操縦部である。
前記刈取装置4の一例を示すと、分草体8、引起装置(図示省略)、刈刃9および搬送装置を有して構成する。
なお、図1は所謂自脱型のコンバインを図示しているが、掻込リール等を有する所謂普通型のコンバインでもよい。
8は分草体、9は引起、10は刈刃、12は搬送装置により搬送され穀稈を脱穀装置2の脱穀室(図示省略)に穀稈を供給する穀稈供給搬送装置である。
【0009】
前記穀稈供給搬送装置12は、前記刈取装置4で刈り取られた穀稈を脱穀装置2の脱穀室(図示省略)の穀稈供給口(図示省略)から供給し、脱穀されて脱穀室の穀稈排出口(図示省略)より排出するまで搬送するものであるが、刈取装置4で刈り取った穀稈を穀稈供給搬送装置12まで搬送する構成は任意である。
前記穀稈供給搬送装置12は、挾扼杆(図示省略)と搬送供給チエン(フィードチェン、図示省略)により構成する。挾扼杆は脱穀装置2の上部カバーに上下自在に取付けられ、搬送供給チエンに弾着して穀稈を挟持搬送する。搬送供給チエンは無端チエンにより構成し、任意構成の案内レール(図示省略)により案内されて移動するように構成する。
【0010】
しかして、走行装置2は油圧式無段変速装置(H.S.T.)20により走行速度変更可能に構成し、刈取装置4へ伝達する回転も走行装置2の走行速度に同調して変速するようにする。
即ち、エンジン22からの回転を油圧式無段変速装置20に入力し、油圧式無段変速装置20により無段階に変速した回転をミッションケース23を介して走行装置2および刈取装置4に出力して、走行速度に同調させた作業速度で刈取装置4を駆動させる。
換言すると、油圧式無段変速装置20からの変速回転を、走行装置2と刈取装置4のそれぞれに伝達し、走行速度に刈取作業速度を同調させ、さらに、標準速伝達歯車43と倒伏作業速伝達歯車44と切替クラッチ48により刈取装置4の刈取作業速度を変速させる構成としている。
【0011】
ミッションケース23の左右何れか一側上部に油圧式無段変速装置20を設け、油圧式無段変速装置20の出力軸24をミッションケース23の入力軸25に接続する。入力軸25には出力歯車27を設ける。入力軸25の近傍には刈取装置4に出力する刈取出力軸29を設け、刈取出力軸29に回転自在に設けた従動歯車30を出力歯車27に常時噛み合わせる。刈取出力軸29の端部はミッションケース23よりも外側に突出させ、刈取出力プーリー31を取付ける(図2)。
【0012】
刈取出力軸29の近傍には中継軸32を設け、中継軸32には中間歯車33を固定し、中間歯車33を従動歯車30に常時噛み合わせる。中継軸32の左中間位置にはセンター出力歯車34を設け、センター出力歯車34にはサイドクラッチ軸35のセンター入力歯車36を常時噛み合わせる(図2、3)。
サイドクラッチ軸35のセンター入力歯車36の左右両側には左右サイドクラッチ37を設け、サイドクラッチ37の外側のサイドクラッチ軸35には多板式の左右ブレーキ38を設ける。
32Aは中継軸、39はサイドクラッチ37からの回転を出力するサイドクラッチ歯車、39Aはサイドクラッチ歯車39に噛み合う中継歯車、39Bは中継軸32Aに設けた中継歯車、40は左右ホイル軸41に設けたホイル歯車である。
【0013】
そのため、油圧式無段変速装置20で変速された回転が、出力軸24→入力軸25→出力歯車27→従動歯車30→中間歯車33→中継軸32→センター出力歯車34→サイドクラッチ37と伝達されてホイル軸41を駆動回転させて、走行装置2を駆動して、機体を走行させる。
そして、左右のサイドクラッチ37の一方を切りにすると、緩旋回し、さらに、ブレーキ38を掛けると急旋回可能となる。
しかして、刈取出力軸29には、刈取出力軸29に標準速を伝達する標準速伝達歯車43と刈取出力軸29に倒伏作業速を伝達する倒伏作業速伝達歯車44とを左右に所定間隔をおいて回転自在に取付け、標準速伝達歯車43および倒伏作業速伝達歯車44は中間歯車33により駆動された中継軸32により回転伝達される構成とする(図4)。
【0014】
すなわち、標準速伝達歯車43には中継軸32に固定の中間歯車45を常時噛み合わせ、倒伏作業速伝達歯車44には中継軸32に固定の中間歯車46を常時噛み合わせる。
そのため、中間歯車33(走行速度)に伝達する回転数を変更することなく刈取出力軸29に伝達する回転数を変更できる。
刈取出力軸29への回転伝達は刈取出力軸29の軸方向にスライドする切替クラッチ(ドグクラッチ)48で行う構成とする。
そのため、変速を容易にできる。
【0015】
すなわち、標準速伝達歯車43と倒伏作業速伝達歯車44の間の刈取出力軸29には切替クラッチ48を設け、切替クラッチ48は刈取出力軸29と一体回転するクラッチ体49を刈取出力軸29の軸方向に摺動自在に取付け、クラッチ体49の左右両面に係合体(ドグ)50を設け、標準速伝達歯車43と倒伏作業速伝達歯車44に設けた係合体(ドグ)51と選択的に噛み合わせる。
そのため、油圧式無段変速装置20で変速された回転が、出力軸24→入力軸25→出力歯車27→従動歯車30→中間歯車33→中継軸32と伝達され、中継軸32の駆動回転により標準速伝達歯車43と倒伏作業速伝達歯車44は油圧式無段変速装置20により変速された回転により常時回転しており、この状態で、切替クラッチ48のクラッチ体49を切り替えて、標準速伝達歯車43または倒伏作業速伝達歯車44の何れかを入にすると、標準速伝達歯車43または倒伏作業速伝達歯車44の何れかの回転がクラッチ体49を介して刈取出力軸29に伝達されて、刈取出力プーリー31から刈取装置4に伝達される。
【0016】
出力歯車27を設けた入力軸25と、出力歯車27に常時噛み合う従動歯車30を有する刈取出力軸29と、従動歯車30に常時噛み合う中間歯車33を有する中継軸32とを、ミッションケース23に設け、刈取出力軸29に設けた標準速伝達歯車43と倒伏作業速伝達歯車44のそれぞれに回転伝達する切替クラッチ48を中継軸32に設け、刈取出力軸29の刈取出力プーリー31に標準速伝達歯車43と倒伏作業速伝達歯車44の何れかの回転を伝達する構成とする。
したがって、刈取出力軸29を刈取出力軸29と副変速軸とを兼用し、所謂副変速用の歯車のみを設けた副変速軸を省略したミッションケース23を提供することができる。
そして、刈取出力軸29に標準速伝達歯車43と倒伏作業速伝達歯車44とを回転のみ自在に配置させる。
【0017】
そのため、標準速伝達歯車43と倒伏作業速伝達歯車44とに、中継軸32の中間歯車45と中間歯車46をそれぞれ常時噛み合わせに構成できる。
そのため、従来の複数の副変速用の歯車を一体で動かす構成と比して後述するシフタ60の操作荷重を軽減させることができる。
換言すると、油圧式無段変速装置20をモータ側可変変速可能な構成とし、ミッションケース23内の複数歯車の選択噛み合わせの有段の副変速機構を省略したミッションケース23を提供する。
そのため、油圧式無段変速装置20による刈取変速を行うことで副変速を廃止でき、操作性の向上となる。
前記刈取出力軸29には走行方向の右側に従動歯車30を回転自在に軸装し、従動歯車30の左側の刈取出力軸29の外周にカラー52を挿通し、カラー52の左側に倒伏作業速伝達歯車44を設ける。
【0018】
倒伏作業速伝達歯車44の左側の刈取出力軸29にはフランジ53を設け、倒伏作業速伝達歯車44はフランジ53とカラー52により挟持され、刈取出力軸29の軸方向の倒伏作業速伝達歯車44の移動を阻止する。
フランジ53の左側の刈取出力軸29の外周にはスプライン(キィー溝)54を設け、スプライン溝54にクラッチ体49を摺動のみ自在に取付ける。スプライン溝54の左端より左側の刈取出力軸29には標準速伝達歯車43を回転のみ自在に取付け、標準速伝達歯車43の左側に設けたカラー56をレース57を介してミッションケース23の右ケース58に当接させ、標準速伝達歯車43はスプライン溝54とカラー56により挟持されて位置決めされる。
前記クラッチ体49にはシフタ60を係合させ、シフタ60は入力軸25に軸方向に移動自在に取付け、所定位置に設けた操作部材(図示省略)によりシフタ60を移動させて、刈取出力軸29へ伝達する回転を標準速伝達歯車43と倒伏作業速伝達歯車44の何れかに選択操作する。
【0019】
そのため、標準速伝達歯車43と倒伏作業速伝達歯車44と切替クラッチ48とをコンパクトに構成することができる。
すなわち、標準速伝達歯車43と倒伏作業速伝達歯車44のそれぞれの左右両側の刈取出力軸29にスラストベアリング61とレース57をブシュ62で支持する構成とする。
そのため、標準速伝達歯車43および倒伏作業速伝達歯車44に掛かるスラスト方向の荷重をブシュ62が支受するので、摩耗を抑制する。
そのため、標準速伝達歯車43および倒伏作業速伝達歯車44の本体を摩耗させずにブシュ62で荷重を受けるので、経年時にブシュ62の交換で済み、メンテナンスが容易になる。
【0020】
スラストベアリング61は軸方向の荷重を受けるベアリングであり、レース57はスラストベアリング61のベアリングの転動体(所謂「コロ」)を受ける作用を奏し、ブシュ62は緩衝用の円筒であり、これらで軸方向の荷重を受け、円滑に回転させる。
この場合、ミッション中央部に配置する刈取ギヤの内径>端に配置する刈取ギヤとする。
そのため、刈取出力軸29の中央部を太くできるので剛性UPとなる。
なお、倒伏作業速伝達歯車44の方が標準速伝達歯車43よりも小径としてもよい。
刈取出力軸29(ミッションケース23)の中央部から右側に従動歯車30を配置する。
そのため、ミッションケース23を左ケース23Aと右ケース23Bとに左右に分割形成した場合、左ケース23Aと右ケース23Bとに跨がって、従動歯車30を設けていないので、これにより、組立が容易になる。
【0021】
刈取出力軸29(ミッションケース23)の中央部から左側に標準速伝達歯車43および倒伏作業速伝達歯車44と切替クラッチ48を配置する。
そのため、ミッションケース23を左ケース23Aと右ケース23Bとに左右に分割形成した場合、左ケース23Aと右ケース23Bとに跨がって、切替クラッチ48の標準速伝達歯車43と倒伏作業速伝達歯車44とを設けずに済み、これにより、組立が容易になる。
前記切替クラッチ48を切替えるシフタ60は、従来の走行変速の構成品を共用品として用いることもできる。
すなわち、複数の副変速歯車を複数軸に設けた従来の副変速機構に使用するシフタ構成を援用することができ、そのため、従来のミッションケース23を簡単に転用して構成することが可能となり、部品の共用化が図れる。
【0022】
標準速伝達歯車43と倒伏作業速伝達歯車44のうち、倒伏作業速伝達歯車44は刈取出力軸29の中央部分に配置する。
そのため、たわみが起きやすい中央側の刈取出力軸29に使用頻度の少ない倒伏作業速伝達歯車44を配置することで、耐久性の向上が図れる。
反対に、標準速伝達歯車43は、刈取出力軸29の端部側に配置する。
そのため、ミッションケース23による支持剛性の高い端部側の刈取出力軸29に使用頻度の多い標準速伝達歯車43を配置することで耐久性の向上が図れる。
刈取出力軸29に標準速伝達歯車43と倒伏作業速伝達歯車44を回転のみ自在に取付ける。
そのため、標準速伝達歯車43と倒伏作業速伝達歯車44に常時中継軸32の中間歯車45、46とを常時かみ合わせることができ、標準速伝達歯車43と倒伏作業速伝達歯車44が常時中継軸32に対して軸方向に移動しないので、横ずれによる歯の摩耗が防止できる。
【0023】
刈取ギヤにブシュを設けフリーで配置させる。
そのため、べアリング構成よりスペースを必要としない。
標準速伝達歯車43と倒伏作業速伝達歯車44のそれぞれの左右両端側にスラストベアリング61とレース57とブシュ62を設けフリーで配置させる。
そのため、スラスト方向の荷重を受けた時に摩耗を防止する。
標準速伝達歯車43と倒伏作業速伝達歯車44は中間歯車33により駆動された中継軸32により回転伝達する。
そのため、従動歯車30を変更することなく刈取出力軸29の回転を変更できる。
刈取出力軸29への回転伝達はスライドする切替クラッチ48で行う。
そのため、変速が容易にできる。
ミッションケース23の中央部に配置した倒伏作業速伝達歯車44の内径>端に配置した標準速伝達歯車43の外径とする。
【0024】
そのため、刈取出力軸29の中央部を太くできるので剛性UPとなる。
ミッションケース23の中央部から右側に出力歯車27と従動歯車30と中間歯車33を配置する。
そのため、ミッションケース23を左ケース23Aと右ケース23Bとに左右に分割形成した場合、左ケース23Aと右ケース23Bとに跨がって、出力歯車27と従動歯車30と中間歯車33を配置せずに済み、これにより、組立が容易になる。
ミッションケース23の中央部から左側に標準速伝達歯車43と倒伏作業速伝達歯車44と切替クラッチ48を配置する。
そのため、ミッションケース23を左ケース23Aと右ケース23Bとに左右に分割形成した場合、ミッションケース23の中央部から左側に標準速伝達歯車43と倒伏作業速伝達歯車44と切替クラッチ48を配置するので、左ケース23Aと右ケース23Bとに跨がって配置せずに済み、これにより、組立が容易になる。
【0025】
切替クラッチ48のスライド操作(切替操作)は従来の走行変速の構成を用いる。
そのため、従来型変速ミッションに簡単に搭載可能となる。
油圧式無段変速装置20は、モータ側可変変速可能な構成とし、副変速機構はなしとする。
刈取変速を油圧式無段変速装置20により行うことで、副変速機構を廃止でき、油圧式無段変速装置20による変速操作のみで幅広く変速でき、変速操作の操作性を向上させられる。
標準速伝達歯車43と倒伏作業速伝達歯車44の内、刈取出力軸29の中央部に倒伏作業速伝達歯車44を配置する。
【0026】
刈取出力軸29のたわみが起きやすい中央側に使用頻度の少ない倒伏作業速伝達歯車44を配置することで耐久性の向上が図れる。
標準速伝達歯車43と倒伏作業速伝達歯車44のうち、刈取出力軸29の端部に標準速伝達歯車43を配置する。
刈取出力軸29の支持剛性の高い端部側に使用頻度の多い標準速伝達歯車43を配置することで耐久性の向上が図れる。
操縦部6の操作パネルに雑草ボタンを配置し、圃場の雑草部分を刈るときに雑草ボタンを操作する。
そのため、雑草が多い圃場では、雑草ボタンを「ON」操作し、刈取装置4の自動穀稈条合わせ走行の、動作感度を鈍くさせる。
【0027】
雑草ボタンは、雑草ボタンの「ON」操作により、刈取装置4の自動穀稈条合わせ走行の、動作感度を鈍くさせる。
雑草ボタンの「ON」操作すると、「ON」作業した場所を所定位置に設けた記録部(記憶部)に記録(記憶)させる。
圃場内を周り刈りしているとき、周回作業で前回の雑草の多い場所と記録(記憶)した場所で、自動的に雑草ボタンを作動させ、感度を鈍くさせられる。
そのため、操作性を向上させられる。
脱穀装置3の後方に脱穀済みの排藁切断するカッターを設け、操縦部6のカッター操作スイッチを操作すると、操作した場所を記録する。
そのため、排藁を放擲した場所を管理することができ、圃場がやせることを防止でき、圃場管理を容易にする。
【0028】
脱穀装置3の後方に脱穀済みの排藁を所定量ずつ落下させるドロッパを設け、操縦部6のドロッパ操作スイッチを操作すると、操作した場所を記録する。
そのため、排藁を放擲した場所を管理することができ、圃場がやせることを防止でき、圃場管理を容易にする。
圃場で機体を緩旋回操作したときには、緩旋回した場所を記録する。
そのため、湿田とみなし次期の管理に役立たせる。
機体フレーム1と走行装置2の間に、機体を水平にさせる水平制御機構を設け、水平制御機構による車体水平の値を記録し、水平制御状況(場所)を記録する構成とする。
そのため、湿田とみなし次期の管理に役立たせる。
【0029】
グレンタンク5の収量を検出し、これを記憶部の圃場マップに記憶管理し、また、同様に、施肥マップ、雑草部マップ、湿田マップを記憶部に作成しつつ、刈取脱穀作業する構成とする。
乾燥した部分と湿った部分とが混在している圃場にて、乾田あるいは湿田の範囲を記憶し、作業終了後に乾田の位置で泥を落としてから圃場を出る構成とする。
そのため、圃場内で、走行装置2に付着した泥を落とすことができ、路上走行中の泥の落下を抑制する。
乾いた圃場位置を記憶し、作業終了後に乾田の位置で泥を落としてから圃場を出る構成とし、乾湿田位置の判定は機体前方に取り付けたカメラ(図示省略)にて実施する。
【0030】
そのため、圃場内で、走行装置2に付着した泥を落とすことができ、路上走行中の泥の落下を抑制する。
機体の所定位置には、機体の傾斜を検出する傾斜センサを設け、乾田位置の判定は傾斜センサにて機体が傾むかなかった場所とする。
乾田な場所で前後に規定回数作動後、圃場から移動する。
乾田な場所で前後に規定回数作動、車体を上下に規定回数作動後、圃場から移動する。
乾田な場所で前後に規定回数作動、車体を上下に規定回数作動後、乾田な場所を通って圃場から移動する。
圃場全体が湿田の場合は、圃場から出ず、オペレータの操作により移動する。
【符号の説明】
【0031】
1…機体フレ-ム、2…脱穀装置、3…走行装置、4…刈取部、5…グレンタンク、10…穀稈供給搬送装置、11…シンクロ用前側供給搬送装置、20…油圧式無段変速装置、23…ミッションケース、24…出力軸、25…入力軸、27…出力歯車、29…刈取出力軸、30…従動歯車、31…刈取出力プーリー、32…中継軸、33…中間歯車、34…センター出力歯車、35…サイドクラッチ軸、36…センター入力歯車、37…サイドクラッチ、38…ブレーキ、39…サイドクラッチ歯車、40…ホイル歯車、41…ホイル軸、43…標準速伝達歯車、44…倒伏作業速伝達歯車、45…中間歯車、46…中間歯車、48…切替クラッチ、49…クラッチ体、50…係合体、51…係合体、52…カラー、53…フランジ、54…スプライン溝、56…カラー、57…レース、58…右ケース、60…シフタ、61…スラストベアリング、62…ブシュ。
図1
図2
図3
図4
図5