(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
B60K 35/00 20060101AFI20230920BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20230920BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20230920BHJP
H05K 5/03 20060101ALI20230920BHJP
G02B 27/01 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
B60K35/00 A
G09F9/00 351
G09F9/00 350A
H05K7/20 H
H05K7/20 G
H05K5/03 A
G02B27/01
G09F9/00 304B
(21)【出願番号】P 2020553218
(86)(22)【出願日】2019-10-16
(86)【国際出願番号】 JP2019040604
(87)【国際公開番号】W WO2020085160
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-08-12
(31)【優先権主張番号】P 2018200598
(32)【優先日】2018-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【氏名又は名称】原田 卓治
(72)【発明者】
【氏名】茂野 孝紀
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-148658(JP,A)
【文献】特開平09-113998(JP,A)
【文献】特開2000-112033(JP,A)
【文献】特開2016-055713(JP,A)
【文献】特開2014-153578(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00
G09F 9/00
H05K 7/20
H05K 5/03
G02B 27/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示光を出射する表示パネルと、
前記表示パネルに向けて風を送る送風部と、
前記送風部及び前記表示パネルを外部から閉じた空間に収容する筐体と、
前記表示パネルが設置される表示パネル設置部、及び前記表示パネル設置部の側方に位置し前記送風部を収容するファン収容部を有するホルダーと、を備える、
ヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項2】
前記送風部は、ブロア型のファンであり、前記表示パネルの面方向に沿うように風を送る、
請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項3】
前記送風部は、風を吹き出す吹出部と、外部から空気を取り込む吸入部と、を備え、
前記ファン収容部は、前記吹出部と前記吸入部の間の空気の流れを遮断する逆流防止壁部を備える、
請求項
1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項4】
前記表示パネル設置部は、前記表示パネル設置部との間で前記送風部からの風が通過する隙間を形成した状態で前記表示パネルを支持する表示パネル支持部を備える、
請求項
1から3の何れか1項に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項5】
前記表示パネル及び前記送風部を制御する制御基板と、
前記表示パネル及び前記送風部と前記制御基板の間に接続される中継基板と、
前記表示パネル設置部との間で前記表示パネルの外周を挟み込む表示パネルカバー部、及び前記ファン収容部に沿うように位置し前記中継基板が設置される中継基板設置部を有するカバーと、を備える、
請求項
1から
4の何れか1項に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドアップディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、表示光をフロントガラス等の被投射部材に照射することにより虚像を表示するヘッドアップディスプレイ装置が知られている。例えば、特許文献1に記載のヘッドアップディスプレイ装置は、液晶表示パネルと、液晶表示パネルを照明する発光素子と、送風手段と、送風手段、液晶表示パネル及び発光素子を保持する通風ダクトと、通風ダクトの吸気口及び排気口に設けられる防塵フィルタと、を備える。送風手段が動作すると、冷却風は、通風ダクトの吸気口から取り込まれ、液晶表示パネル及び発光素子を冷却し、通風ダクトの排気口から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の構成においては、通風ダクトには吸気口及び排気口が形成されるため、送風手段の動作音が防塵フィルタを通過して吸気口及び排気口から外部に漏れやすい。よって、送風手段の動作時の静粛性に改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、静粛性を高めることができるヘッドアップディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の観点に係るヘッドアップディスプレイ装置は、表示光を出射する表示パネルと、前記表示パネルに向けて風を送る送風部と、前記送風部及び前記表示パネルを外部から閉じた空間に収容する筐体と、前記表示パネルが設置される表示パネル設置部、及び前記表示パネル設置部の側方に位置し前記送風部を収容するファン収容部を有するホルダーと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ヘッドアップディスプレイ装置において、静粛性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置が搭載された車両の模式図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置の概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る表示部の分解斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る表示部の断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る表示部の断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るホルダー及びファンの分解斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るホルダー及びファンの一部を拡大した斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る表示部及び制御基板等の斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るカバーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係るヘッドアップディスプレイ装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置100は、車両200のダッシュボード内に設置される。ヘッドアップディスプレイ装置100は、車両200の被投射部材の一例であるフロントガラス201に向けて像を表す表示光Lを出射する。表示光Lはフロントガラス201で反射して視認者1(主に車両200の運転者)に到達する。これにより、虚像Vが視認者1により視認可能に表示される。
【0011】
図2に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置100は、表示部10と、平面鏡20と、凹面鏡30と、筐体60と、制御基板70と、を備える。
【0012】
表示部10は、制御基板70による制御のもと、像を表す表示光Lを出射する。表示部10の具体的な構成については後述する。
【0013】
平面鏡20は、表示部10が出射した表示光Lを凹面鏡30に向けて反射させる。凹面鏡30は、平面鏡20で反射した表示光Lをフロントガラス201に向けて拡大させつつ反射させる。
【0014】
筐体60は、非透光性の樹脂又は金属で形成されるとともに、中空の略直方体をなす。筐体60は、表示部10の後述するファン11を囲むように形成される。筐体60内には、ヘッドアップディスプレイ装置100の各構成が収納されている。詳しくは、筐体60は、上方向に向けて開口する箱状をなす下ケース60bと、下ケース60bの開口部を塞ぐ上ケース60aと、下ケース60b内に位置する中ケース60cと、表示部10の熱を放熱するヒートシンク60dと、を備える。
【0015】
上ケース60aには、フロントガラス201に対向する位置に開口部61が形成されている。上ケース60aは、開口部61を塞ぐ湾曲板状の窓部50を備える。窓部50は、表示光Lが透過するアクリル等の透光性の樹脂からなる。
【0016】
下ケース60bは、上方向に向けて開口した箱状をなす。下ケース60bは、表示部10が収容される孔からなる収容部60b1を有する。
中ケース60cは、下ケース60b内に位置し、表示部10から出射される表示光Lが通過する光出射孔60c1を有する。
【0017】
ヒートシンク60dは、表示部10の後述する照明装置18を囲むように下ケース60bの収容部60b1に向けて開口した箱状をなす。
図5に示すように、ヒートシンク60dは、ヒートシンク60dの外面に位置する板状の複数のフィン60fと、表示部10の後述するホルダー12及びカバー13から風が漏れ出す位置に設けられる追加フィン60d1,60d2と、を備える。追加フィン60d1,60d2は、ヒートシンク60dの表面積を増やすように板状に形成される。追加フィン60d1はヒートシンク60dの外部に位置し、追加フィン60d2はヒートシンク60dの内部に位置する。追加フィン60d1,60d2は、ファン11からの表示パネル14を経た風に含まれる熱を吸収及び放出するように機能する。
【0018】
図8に示すように、制御基板70は、CPU(Central Processing Unit)等の各種電子部品が実装されたプリント回路基板からなり、表示部10を制御する。制御基板70は、フレキシブルフラットケーブル18bを介して表示部10、正確には後述する中継基板16に接続される。
【0019】
次に、表示部10の構成について説明する。
図3に示すように、表示部10は、送風部の一例であるファン11と、ホルダー12と、カバー13と、表示パネル14と、拡散板15と、中継基板16と、照明装置18と、を備える。
なお、以下の説明では、表示部10の表示光Lを出射する光出射面を正面から見たときの方向に基づき、左右、上下、表裏が規定されている。
図3~
図9においては、左はLfと略記され、右はRtと略記され、上はUpと略記され、下はDnと略記され、表はFrと略記され、裏はBkと略記される。また、左右方向はX方向と一致し、上下方向はY方向と一致し、表裏方向はZ方向に一致する。
【0020】
表示パネル14は、制御基板70により制御されるTFT(Thin Film Transistor)型の液晶表示パネルである。表示パネル14は、照明装置18からの光を受けて表示光Lを出射する。表示パネル14は、表示パネル14の外周を囲む枠状の金属製のベゼル14aを有する。
拡散板15は、表示パネル14の表面に位置し、長方形板状をなす。拡散板15は表示パネル14を経た光を拡散する。拡散板15は、表示パネル14との間にファン11からの風が通る通風路を形成する。
【0021】
図8に示すように、中継基板16は、表示パネル14と制御基板70の間を中継するための基板である。中継基板16は、フレキシブルフラットケーブル18bを介して制御基板70に接続され、
図4に示すように、フレキシブルフラットケーブル18aを介して表示パネル14に接続されている。
【0022】
図3に示すように、ファン11は、ブロア型のファンであり、プロペラ11pの遠心方向に送風する。ファン11は、
図4に示すように、電力線11cを介して中継基板16に接続される。ファン11は、中継基板16を介して制御基板70に接続され、制御基板70による制御のもと駆動する。ファン11は、表示パネル14におけるフレキシブルフラットケーブル18aに近い端部に向けて風を吹き出す吹出部11aと、外部から空気を取り込む吸入部11bと、を備える。
図6及び
図7に示すように、ファン11は、ファン11の外ケースにおける左右両側の縁部に形成されるつば部11tを備える。ファン11は、ホルダー12のファン収容部12bに収容され、表示パネル14に向けて表示パネル14の面方向に沿う風を送る。
図2に示すように、ファン11は、筐体60により閉じられた空間に位置する。本例では、ファン11は、ヒートシンク60d、上ケース60a及び下ケース60bにより形成される閉じた空間内に位置する。これにより、ファン11の動作音が筐体60の外部に漏れることが抑制される。また、ファン11の上方が中ケース60cにより覆われているため、中ケース60cによってもファン11の動作音が外部に伝わることが低減される。
【0023】
図3に示すように、照明装置18は、表示パネル14の裏側に位置し、制御基板70による制御のもと表示パネル14を照明する。照明装置18は、光を出射するLED(Light Emitting Diode)と、LEDからの光を整えるコンデンサレンズ及びフィールドレンズ等の光学素子と、を備える。
【0024】
図6に示すように、ホルダー12は、表示パネル設置部12aと、ファン収容部12bと、を備える。
表示パネル設置部12aは、長方形枠板状の支持板12a1と、支持板12a1の周縁部から裏側に延びる側壁12a2と、を備える。表示パネル設置部12aの支持板12a1には、表示パネル14を支持する複数、本例では3つの表示パネル支持部12a3が形成される。3つの表示パネル支持部12a3は、それぞれ、支持板12a1の右上角部、支持板12a1の左上角部、及び支持板12a1のX方向の中央の下部に配置される。表示パネル支持部12a3は、先端が表示パネル14のベゼル14aに向けて突出するL字状をなす。表示パネル支持部12a3の表側の端部は、支持板12a1の表面よりも表示パネル14のベゼル14aに向けて突出している。このため、表示パネル支持部12a3は、表示パネル14と支持板12a1の間に隙間S1(
図4参照)を形成した状態で表示パネル14を支持する。
また、
図6に示すように、表示パネル設置部12aの側壁12a2の外面には、複数、本例では4つのフック12a4が設けられている。フック12a4は、U字状をなし、カバー13の後述する係止部13a3(
図3参照)に係止する。
【0025】
図6に示すように、ファン収容部12bは、ファン11を収容可能に構成され、表示パネル設置部12aの側壁12a2に設けられる。ファン収容部12bは、側壁12a2の上面に位置し、側壁12a2から上方向に離れるにつれて裏側に近づくように傾斜している。
詳しくは、ファン収容部12bは、ファン11の側周囲を囲む枠部12dと、ファン11の下面に位置する底板部12eと、逆流防止壁部12cと、突起部12b2と、フック部12b3と、開口部12b4と、を備える。開口部12b4は、ファン収容部12bの先端に位置し、ファン11が挿入可能な孔を有する。底板部12eには、ファン11が空気を吸入可能となるように、ファン11のプロペラ11pに対向する範囲に孔が形成される。
【0026】
逆流防止壁部12cは、ファン収容部12b内のファン11の上面にX方向に沿って延びる。逆流防止壁部12cは、ファン11の上面に沿う平板部12c1と、平板部12c1における表示パネル設置部12aの側壁12a2に近い端部から延びる傾斜部12c2と、を備える。傾斜部12c2は、平板部12c1から離れるにつれて表側に近づくように傾斜する。
図4に示すように、逆流防止壁部12cは、ファン11における吹出部11aと吸入部11bの間の空気の流れを遮断する機能を有する。
【0027】
図6に示すように、突起部12b2は、底板部12eの内面におけるファン収容部12bの基端側に位置する。本例では、突起部12b2は、底板部12eの内面の左側及び表側に位置する。突起部12b2は、ファン収容部12bの底板部12eの内面から離れるにつれて側壁12a2に向かうように斜めに延びる。
図7に示すように、突起部12b2は、ファン11のつば部11tに当接することによりファン11の位置を規制するストッパとして機能する。また、突起部12b2は、誤った向きでファン11がファン収容部12bへ組み付けられることを防止する機能を有する。
【0028】
図6に示すように、フック部12b3は、開口部12b4の縁部に位置し、ファン収容部12bの先端側に突出する。フック部12b3は、開口部12b4におけるX方向の中央に位置し、三角柱状をなす。フック部12b3は、ファン収容部12b内のファン11に当接することにより、ファン収容部12b内にファン11を保持する。
【0029】
図3に示すように、カバー13は、表示パネルカバー部13aと、中継基板設置部13bと、を備える。表示パネルカバー部13aは、長方形枠板状の表板13a1と、表板13a1の周縁部から裏側に延びる側壁13a2と、を備える。表板13a1は、表示パネル14のベゼル14aを覆うように形成される。
図9に示すように、表示パネルカバー部13aの表板13a1の内面には、表示パネル14のベゼル14aに接触する複数、本例では3つの突部13cが形成される。突部13cは円板状をなす。3つの突部13cは、それぞれ、表板13a1の右上角部、表板13a1の左上角部、及び表板13a1のX方向の中央の下部に配置される。突部13cは、表示パネル14との間に風が通過可能な隙間S2(
図4参照)を形成する。
【0030】
図3に示すように、カバー13における側壁13a2の外面には、ホルダー12のフック12a4が係止する係止部13a3が形成される。各フック12a4が係止部13a3に係止することにより、カバー13は、ホルダー12との間で表示パネル14を挟み込んだ状態で、ホルダー12に固定される。
【0031】
中継基板設置部13bは、表示パネルカバー部13aの側壁13a2から離れるにつれて裏側に近づくように傾斜している。
図4に示すように、中継基板設置部13bは、ファン収容部12bの上側においてファン収容部12bと平行をなすように延びる。中継基板設置部13bの上面には、中継基板16が設置された状態でねじ止めされる。
【0032】
次に、ファン11が作動した際の作用について説明する。
図4に示すように、ファン11が作動すると、矢印A1,A2,A3に示すように、ファン11の吸入部11bにより空気が吸入される。そして、矢印A4,A5に示すように、ファン11の吹出部11aから表示パネル14の端部に向けて空気が吹き出される。ファン11から吹き出された空気は、表示パネル14の表面と裏面とに分かれ、それぞれ表示パネル14の裏面とホルダー12の隙間S1、及び表示パネル14の表面とカバー13の隙間S2を通る。表示パネル14の両面を風が通ることにより、ファン11による表示パネル14の冷却効果を高めることができる。
また、隙間S2を通る風は、表示パネル14と拡散板15の間を通る。これにより、隙間S2を通る風が表側に逃げることが抑制され、表示パネル14の冷却効果を高めることができる。
【0033】
図5に示すように、隙間S1,S2を通過した風は、ホルダー12とカバー13のファン11とは反対側の端部からホルダー12とカバー13の外部に出る。外部に出た風は追加フィン60d1,60d2の周辺に到達する。追加フィン60d1,60d2により、表示パネル14から奪った熱を含んだ風が冷却され、表示部10における温度上昇を抑制することができる。
【0034】
次に、表示部10の組み立て方法について説明する。
図6に示すように、ファン11は、ファン収容部12bの開口部12b4を介してファン収容部12b内に挿入される。そして、ファン11のつば部11tがファン収容部12bの突起部12b2に接触する。これにより、ファン11がファン収容部12b内で位置決めされる。このとき、ファン収容部12bのフック部12b3によりファン11がファン収容部12b内に保持される。
そして、
図3に示すように、ホルダー12の表示パネル設置部12aには表示パネル14が設置される。そして、ホルダー12のフック12a4をカバー13の係止部13a3に係止させることにより、ホルダー12にカバー13が装着される。これで、ホルダー12、カバー13、ファン11及び表示パネル14からなる組み立て部品が完成する。この組み立て部品が照明装置18に装着されることにより、表示部10の組み立てが完了する。
【0035】
(効果)
以上、説明した一実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0036】
(1)ヘッドアップディスプレイ装置100は、表示光Lを出射する表示パネル14と、表示パネル14に向けて風を送る送風部の一例であるファン11と、ファン11及び表示パネル14を外部から閉じた空間に収容する筐体60と、を備える。
この構成によれば、ファン11が筐体60により閉じられた空間に位置する。このため、ファン11の動作音がヘッドアップディスプレイ装置100の外部に漏れることが抑制される。従って、ヘッドアップディスプレイ装置100における静粛性を高めることができる。
【0037】
(2)ファン11は、ブロア型のファンであり、表示パネル14の面方向に沿うように風を送る。
この構成によれば、ファン11から表示パネル14の面方向に沿って風が送られる。よって、表示パネル14の温度上昇を効率的に抑制することができる。
【0038】
(3)ヘッドアップディスプレイ装置100は、表示パネル14が設置される表示パネル設置部12a、及び表示パネル設置部12aの側方に位置しファン11を収容するファン収容部12bを有するホルダー12を備える。
この構成によれば、ホルダー12により表示パネル14とファン11が保持される。よって、ファン11を表示パネル14に近い位置に設けることができ、これにより、ファン11による表示パネル14の冷却効果を高めることができる。また、表示パネル14とファン11の組み付けが容易となる。
また、ファン収容部12bは、表示パネル設置部12aに対してフレキシブルフラットケーブル18aが引き出される方向に位置する。よって、ホルダー12とカバー13の間のフレキシブルフラットケーブル18aが通る隙間をファン11からの風が通る隙間として有効に利用することができる。
さらに、表示パネル設置部12a及びファン収容部12bは互いに異なる角度で接続されている。よって、表示部10をよりコンパクトに構成することができる。
【0039】
(4)ファン11は、風を吹き出す吹出部11aと、外部から空気を取り込む吸入部11bと、を備える。ファン収容部12bは、吹出部11aと吸入部11bの間の空気の流れを遮断する逆流防止壁部12cを備える。
この構成によれば、逆流防止壁部12cにより吹出部11aから吹き出された風が吸入部11bから吸引されることが抑制される。これにより、ファン11の送風能力の低下を抑制することができる。
【0040】
(5)表示パネル設置部12aは、表示パネル設置部12aとの間でファン11からの風が通過する隙間S1を形成した状態で表示パネル14を支持する表示パネル支持部12a3を備える。
この構成によれば、表示パネル14と表示パネル支持部12a3の間に隙間S1が形成される。このため、表示パネル14の裏面に風がより確実に送られ、ファン11による表示パネル14の冷却効果を高めることができる。
【0041】
(6)ヘッドアップディスプレイ装置100は、表示パネル14及びファン11を制御する制御基板70と、表示パネル14及びファン11と制御基板70の間に接続される中継基板16と、表示パネル設置部12aとの間で表示パネル14の外周を挟み込む表示パネルカバー部13a、及びファン収容部12bに沿うように位置し中継基板16が設置される中継基板設置部13bを有するカバー13と、を備える。
この構成によれば、ファン11と中継基板16が近い位置に設けられるため、ファン11と中継基板16を接続する電力線11cを短くすることができる。よって、電力線11cが発するノイズを低減することができる。また、ファン11と中継基板16の間の接続作業が容易となる。
【0042】
なお、本発明は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0043】
(変形例)
上記実施形態においては、拡散板15は表示パネル14の表面に位置していたが、表示パネル14の裏面に位置していてもよい。
【0044】
上記実施形態においては、ファン11はブロア型のファンであったが、ブロア型以外のファンであってもよい。また、送風部は、ファン11に限らず、例えば、コンプレッサであってもよい。
【0045】
上記実施形態においては、ファン11は、ホルダー12のファン収容部12bに収容されていたが、これに限らず、ホルダー12とは別に、例えば、筐体60、例えば下ケース60bに固定されていてもよい。
【0046】
上記実施形態においては、ファン収容部12bは逆流防止壁部12cを備えていたが、逆流防止壁部12cは省略されてもよい。
【0047】
上記実施形態においては、中継基板16は、カバー13の中継基板設置部13bに設置されていたが、これに限らず、カバー13とは別に、例えば、筐体60、例えば下ケース60bに固定されていてもよい。この場合、カバー13の中継基板設置部13bは省略されてもよい。
また、中継基板16は省略されてもよい。この場合、ファン11及び表示パネル14は中継基板16を介さずに直接に制御基板70に接続される。
【0048】
上記実施形態においては、表示パネル設置部12aは表示パネル支持部12a3を備えていたが、表示パネル支持部12a3は省略されてもよい。また、上記実施形態においては、カバー13は突部13cを備えていたが、突部13cは省略されてもよい。
【0049】
上記実施形態においては、表示部10は、TFT型の液晶表示パネルである表示パネル14及び照明装置18を備えていたが、これらに代えて、有機EL(Electro-Luminescence)表示パネルを備えていてもよい。
【0050】
上記実施形態においては、表示パネル設置部12a及びファン収容部12bは互いに異なる角度で接続されていたが、表示パネル設置部12a及びファン収容部12bは互いに直線上に接続されていてもよい。
【0051】
上記実施形態においては、ヘッドアップディスプレイ装置100は車両200に搭載されていたが、車両200以外の飛行機、船等の乗り物に搭載されていてもよい。また、被投射部材はフロントガラスに限らず、専用のコンバイナであってもよい。
【符号の説明】
【0052】
10 表示部
11 ファン
11a 吹出部
11b 吸入部
12 ホルダー
12a 表示パネル設置部
12a3 表示パネル支持部
12b ファン収容部
12c 逆流防止壁部
13 カバー
13a 表示パネルカバー部
13b 中継基板設置部
13c 突部
14 表示パネル
15 拡散板
16 中継基板
18 照明装置
20 平面鏡
30 凹面鏡
50 窓部
60 筐体
60a 上ケース
60b 下ケース
60c 中ケース
60d ヒートシンク
60d1,60d2 追加フィン
70 制御基板
100 ヘッドアップディスプレイ装置
200 車両
201 フロントガラス
S1,S2 隙間