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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】ガス精製方法、および、ガス精製装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/14 20060101AFI20230920BHJP
   B01D 53/44 20060101ALI20230920BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
B01D53/14 210
B01D53/44 100
B01D53/78 ZAB
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021562452
(86)(22)【出願日】2020-07-17
(86)【国際出願番号】 JP2020027882
(87)【国際公開番号】W WO2021111671
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】P 2019217726
(32)【優先日】2019-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安居 晃樹
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-501606(JP,A)
【文献】特開2005-279420(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109504468(CN,A)
【文献】中国実用新案第206298556(CN,U)
【文献】特開2006-223972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/14-53/18、
53/34-53/85、
53/92、53/96、
1/00- 8/00
B01B 1/00- 1/08
C10K 1/00- 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスに含まれる固体粒子を取り除く工程と、
前記固体粒子が取り除かれた前記ガスと、前記ガス中に含まれる除去物質の露点よりも低温であり、水を少なくとも含む第1洗浄液とを接触させる工程と、
前記第1洗浄液を接触させる工程を遂行した後、オイルスクラバにおいて、前記第1洗浄液に接触させた前記ガスと、オイルを少なくとも含む第2洗浄液とを接触させる工程と、
前記オイルスクラバの上部から、前記第2洗浄液と接触した後の前記ガスを排気する工程と、
前記第1洗浄液を接触させる工程を遂行することで得られた前記ガスと前記第2洗浄液とが接触することによって生じた凝縮水を、前記オイルスクラバの底部から外部に排出する工程と、
前記第1洗浄液を接触させる工程を遂行することで得られた前記ガスと接触した後の前記第2洗浄液を、前記オイルスクラバの前記上部と前記底部との間から外部に排出する工程と、
前記外部に排出された前記第2洗浄液を前記オイルスクラバに供給する工程と、
を含むガス精製方法。
【請求項2】
前記第1洗浄液の流量は、前記固体粒子を取り除く工程を遂行した後の前記固体粒子が取り除かれた前記ガスの温度に応じて定められる請求項1に記載のガス精製方法。
【請求項3】
ガスに含まれる固体粒子を取り除く除塵部と、
前記除塵部によって前記固体粒子が取り除かれた前記ガスと、前記ガス中に含まれる除去物質の露点よりも低温であり、水を少なくとも含む第1洗浄液とを接触させる第1スクラバと、
前記第1スクラバによって処理された前記ガスと、オイルを少なくとも含む第2洗浄液とを接触させる第2スクラバと、
前記第2スクラバの上部に接続され、前記第2洗浄液と接触した後の前記ガスを排気する第1配管と、
前記第2スクラバの底部に接続され、前記第1スクラバによって処理された前記ガスと前記第2洗浄液とが接触することによって生じた凝縮水を外部に排出する第2配管と、
前記第2スクラバの前記上部と前記底部との間に接続され、前記第1スクラバによって処理された前記ガスと接触した後の前記第2洗浄液を外部に排出する第3配管と、
前記第3配管によって排出された前記第2洗浄液を前記第2スクラバに供給するポンプと、
を備えるガス精製装置。
【請求項4】
前記第2スクラバで生じた排水を前記第1スクラバに供給する水供給部を備える請求項に記載のガス精製装置。
【請求項5】
前記第1スクラバにおいて生じた排水および前記第2スクラバで生じた排水を貯留するタールデカンタを備える請求項3または4に記載のガス精製装置。
【請求項6】
前記第1スクラバにおいて、前記ガスから除去された除去物質を利用する設備を備える請求項からのいずれか1項に記載のガス精製装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガス精製方法、および、ガス精製装置に関する。本出願は2019年12月2日に提出された日本特許出願第2019-217726号に基づく優先権の利益を主張するものであり、その内容は本出願に援用される。
【背景技術】
【0002】
ガスを精製する技術として、バグフィルタと、オイルスクラバとを備える排ガス処理設備が開示されている(例えば、特許文献1)。特許文献1の技術において、バグフィルタは、ガスからダストを取り除く。オイルスクラバは、バグフィルタによってダストが取り除かれたガスに洗浄油を接触させガス中の有機化合物を取り除く。オイルスクラバは、洗浄油をガスに接触させる気液接触部を備える。ガスと接触した洗浄油は、気液接触部に再度供給されることにより、オイルスクラバを循環する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-21187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記オイルスクラバは、ガスに含まれるタール、オレフィン、有機ハロゲン化物等の有機化合物を洗浄油に溶解させることで、ガスから有機化合物を取り除く。しかし、タールのうち、相対的に露点が高い重質タールが洗浄油に溶解すると、洗浄油の粘度が増加してしまう。
【0005】
そうすると、オイルスクラバへの洗浄油の循環が困難になり、オイルスクラバの運転ができなくなる。したがって、洗浄油を新油に頻繁に交換する必要が生じ、コストが高くなってしまうという問題がある。そこで、低コストでガスを精製できる技術の開発が希求されている。
【0006】
本開示は、このような課題に鑑み、低コストでガスを精製することが可能なガス精製方法、および、ガス精製装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
記課題を解決するために、本開示の一態様に係るガス精製方法は、ガスに含まれる固体粒子を取り除く工程と、固体粒子が取り除かれたガスと、ガス中に含まれる除去物質の露点よりも低温であり、水を少なくとも含む第1洗浄液とを接触させる工程と、第1洗浄液を接触させる工程を遂行した後、オイルスクラバにおいて、第1洗浄液に接触させたガスと、オイルを少なくとも含む第2洗浄液とを接触させる工程と、オイルスクラバの上部から、第2洗浄液と接触した後のガスを排気する工程と、第1洗浄液を接触させる工程を遂行することで得られたガスと第2洗浄液とが接触することによって生じた凝縮水を、オイルスクラバの底部から外部に排出する工程と、第1洗浄液を接触させる工程を遂行することで得られたガスと接触した後の第2洗浄液を、オイルスクラバの上部と底部との間から外部に排出する工程と、外部に排出された第2洗浄液をオイルスクラバに供給する工程と、を含む。
【0008】
また、第1洗浄液の流量は、固体粒子を取り除く工程を遂行した後の固体粒子が取り除かれたガスの温度に応じて定められてもよい。
【0011】
記課題を解決するために、本開示の一態様に係るガス精製装置は、ガスに含まれる固体粒子を取り除く除塵部と、除塵部によって固体粒子が取り除かれたガスと、ガス中に含まれる除去物質の露点よりも低温であり、水を少なくとも含む第1洗浄液とを接触させる第1スクラバと、第1スクラバによって処理されたガスと、オイルを少なくとも含む第2洗浄液とを接触させる第2スクラバと、第2スクラバの上部に接続され、第2洗浄液と接触した後のガスを排気する第1配管と、第2スクラバの底部に接続され、第1スクラバによって処理されたガスと第2洗浄液とが接触することによって生じた凝縮水を外部に排出する第2配管と、第2スクラバの上部と底部との間に接続され、第1スクラバによって処理されたガスと接触した後の第2洗浄液を外部に排出する第3配管と、第3配管によって排出された第2洗浄液を第2スクラバに供給するポンプと、を備える。
【0012】
また、ガス精製装置は、第2スクラバで生じた排水を第1スクラバに供給する水供給部を備えてもよい。
【0013】
また、ガス精製装置は、第1スクラバにおいて生じた排水および第2スクラバで生じた排水を貯留するタールデカンタを備えてもよい。
【0014】
また、ガス精製装置は、第1スクラバにおいて、ガスから除去された除去物質を利用する設備を備えてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、低コストでガスを精製することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、ガス化ガス製造装置を説明する図である。
図2図2は、ガス精製装置を説明する図である。
図3図3は、ガス精製方法の処理の流れを説明するフローチャートである。
図4図4は、変形例にかかる、油循環部および再生部を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0018】
[ガス化ガス製造装置100]
図1は、ガス化ガス製造装置100を説明する図である。なお、図1中、実線の矢印は、固形物(流動媒体、原料、および、残渣)および液体(水)の流れを示す。また、図1中、破線の矢印は、ガス(水蒸気、ガス化ガス、空気、および、燃焼排ガス)の流れを示す。
【0019】
図1に示すように、ガス化ガス製造装置100は、燃焼炉110と、サイクロン120と、熱交換器130と、バグフィルタ140と、ガス化炉150と、サイクロン160と、熱交換器170と、ガス精製装置200とを含む。
【0020】
ガス化ガス製造装置100は、流動媒体の流動層を用い、原料をガス化してガス化ガス(合成ガス)を製造する。原料は、例えば、石炭(褐炭等)、バイオマス(木質ペレット等)等の固体原料である。ガス化ガス製造装置100は、循環流動層式ガス化システムである。つまり、ガス化ガス製造装置100は、燃焼炉110、サイクロン120、ガス化炉150に、熱媒体として流動媒体を循環させている。流動媒体は、例えば、粒径が300μm程度の珪砂、カンラン石等の鉱物である。
【0021】
燃焼炉110は、筒形状である。燃焼炉110には、配管112を通じて、後述するガス化炉150から燃料および流動媒体が導入される。配管112は、燃焼炉110の下部と、ガス化炉150とを接続する。燃焼炉110は、燃料を燃焼させて、流動媒体を600℃以上1000℃以下に加熱する。燃焼排ガス、および、燃焼炉110において加熱された流動媒体は、配管114を通じて、サイクロン120に送出される。配管114は、燃焼炉110の上部と、サイクロン120とを接続する。
【0022】
サイクロン120は、配管114を通じて燃焼炉110から導入された流動媒体と燃焼排ガスとの混合物を固気分離する。サイクロン120によって分離された高温の流動媒体は、配管122を通じて、ガス化炉150に導入される。配管122は、サイクロン120の底部とガス化炉150とを接続する。
【0023】
高温の流動媒体は、ガス化炉150において、流動化ガス(例えば、水蒸気)によって流動化する。具体的に説明すると、ガス化炉150は、収容槽152と、水蒸気導入部154とを含む。収容槽152は、流動媒体および原料を収容する。
【0024】
水蒸気導入部154は、収容槽152に水蒸気を導入する。水蒸気導入部154は、風箱154aと、ボイラ154bとを含む。風箱154aは、収容槽152の下方に設けられる。風箱154aの上部は、収容槽152の底面としても機能する。風箱154aの上部は、通気可能な分散板で構成されている。ボイラ154bは、水蒸気を生成する。ボイラ154bは、風箱154aに接続される。ボイラ154bによって生成された水蒸気は、風箱154aに導入される。風箱154aに導入された水蒸気は、収容槽152の底面(分散板)から当該収容槽152内に導入される。ボイラ154bは、収容槽152内に流動媒体の流動層を形成可能な流速で水蒸気を風箱154aに導入する。したがって、サイクロン120から導入された高温の流動媒体は、水蒸気によって流動化する。これにより、収容槽152内において、流動媒体の流動層(例えば、気泡流動層(バブリング流動層))が形成される。
【0025】
また、ガス化炉150(収容槽152)には、配管122を通じて、原料が導入される。導入された原料は、流動媒体が有する600℃以上900℃以下の熱によってガス化され、これによってガス化ガス(合成ガス)が製造される。ガス化炉150で製造されたガス化ガスは、配管156を通じて、サイクロン160に導入される。配管156は、ガス化炉150の上部と、サイクロン160とを接続する。
【0026】
サイクロン160は、ガス化炉150から排出されたガス化ガスを固気分離する。固気分離されたガス化ガスは、配管162を通じて、熱交換器170に導入される。配管162は、サイクロン160の上部と熱交換器170とを接続する。また、固気分離された固形物(流動媒体、原料の残渣、一部のタール)は、配管164、配管112を通じて、燃焼炉110に導入される。配管164は、サイクロン160の底部と、配管112とを接続する。なお、本実施形態において、配管164にも原料が導入される。
【0027】
熱交換器170は、サイクロン160によって固気分離されたガス化ガスと、水蒸気、高圧水等との熱交換を行う。熱交換器170は、ガス化ガスの顕熱を水蒸気で回収し、ガス化ガスの出口温度を150℃以上200℃以下にする。熱交換器170によって冷却されたガス化ガスは、配管172を通じて、後述するガス精製装置200に導入される。ガス精製装置200の具体的な構成については後に詳述する。配管172は、熱交換器170とガス精製装置200(除塵部210)とを接続する。
【0028】
上記したように、ガス化炉150において流動化された流動媒体は、ガス化炉150と燃焼炉110とを接続する配管112を通じて燃焼炉110に戻される。このように、本実施形態にかかるガス化ガス製造装置100において、流動媒体は、燃焼炉110、サイクロン120、ガス化炉150を、この順に移動し、再度燃焼炉110に導入されることにより、これらを循環する。
【0029】
また、燃焼炉110には、配管112を通じて、ガス化炉150から原料の残渣が導入される。原料の残渣は、燃焼炉110において燃料として利用される。原料の残渣は、原料のうち、ガス化炉150においてガス化されずに残ったものである。
【0030】
また、サイクロン120によって分離された燃焼排ガスは、配管124を通じて、熱交換器130に導かれる。配管124は、サイクロン120の上部と熱交換器130とを接続する。熱交換器130は、例えば、ボイラである。熱交換器130は、サイクロン120によって分離された燃焼排ガスと水とを熱交換する。熱交換器130は、燃焼排ガスを冷却して、水を加熱する(気化させる)。
【0031】
バグフィルタ140は、配管132を通じて、熱交換器130から導入された燃焼排ガスを除塵する。配管132は、熱交換器130とバグフィルタ140とを接続する。バグフィルタ140によって除塵された燃焼排ガスは、不図示の脱硝装置によって脱硝される。脱硝された燃焼排ガスは、不図示の脱硫装置によって脱硫される。脱硫された燃焼排ガスは、外部に排気される。なお、脱硝装置および脱硫装置は、省略することもできる。
【0032】
上記したように、ガス化炉150は、原料を600℃以上900℃以下の低温の温度範囲でガス化する。このため、ガス化炉150で生成されたガス化ガスには、タールが含まれる。ガス化ガスに含まれるタールは、サイクロン160によって一部が分離されるものの、大部分のタールは、ガス化ガスに同伴されて熱交換器170に導入される。また、ガス化ガスには、原料由来の灰、および、流動媒体等の固体粒子(ダスト)が含まれる。
【0033】
そこで、ガス化ガス製造装置100はガス精製装置200を備える。ガス精製装置200は、ガス化ガスから不純物(タールおよび固体粒子)を取り除くことにより、ガス化ガスを精製する。以下、ガス精製装置200について詳述する。
【0034】
[ガス精製装置200]
図2は、ガス精製装置200を説明する図である。なお、図2中、破線の矢印は、ガス化ガスの流れを示す。また、図2中、実線の矢印は、液体(第1洗浄液、排水、第2洗浄液、および、排油)の流れを示す。
【0035】
図2に示すように、ガス精製装置200は、除塵部210と、水スクラバ220と、オイルスクラバ230と、ミストセパレータ240と、誘引ファン250と、タールデカンタ260と、タール払出設備270と、水循環部280と、油循環部290とを含む。除塵部210、水スクラバ220、オイルスクラバ230、ミストセパレータ240は、互いに連通している。また、ミストセパレータ240は、誘引ファン250の吸入側に接続されている。したがって、誘引ファン250が駆動されると、ガス化ガスは、除塵部210、水スクラバ220、オイルスクラバ230、ミストセパレータ240をこの順で通過する。
【0036】
除塵部210は、例えば、バグフィルタ、セラミックフィルタ、および、サイクロンのうち、いずれか1または複数で構成される。除塵部210は、配管172を通じて、熱交換器170と接続される。除塵部210は、ガス化ガスに含まれる固体粒子およびタールの一部を取り除く。ガス化ガスに含まれるタールは、重質タールおよび軽質タールを含む。重質タールは、水より質量密度が大きい。重質タールは、重油と等しい性質、もしくは、重油に類似する性質を有するものである。軽質タールは、重質タールよりも沸点が低い。軽質タールは、主成分として、1つまたは2つの芳香環を有する芳香族化合物(ベンゼン、トルエン、キシレン、および、ナフタレン等)を含む。除塵部210は、重質タールの一部を取り除く。
【0037】
除塵部210によって固体粒子および重質タールの一部が取り除かれたガス化ガスは、配管212を通じて、水スクラバ220に導入される。
【0038】
水スクラバ220(第1スクラバ)は、除塵部210によって固体粒子が取り除かれたガス化ガスと、第1洗浄液とを接触させる。第1洗浄液は、ガス化ガスに含まれる重質タール(除去物質)の露点より低温である。第1洗浄液は、少なくとも水を含む液体である。水スクラバ220は、ガス化ガスと第1洗浄液とを接触させることにより、ガス化ガスを80℃以上100℃未満(例えば、85℃程度)に冷却する。
【0039】
本実施形態において、水スクラバ220は、本体220aと、噴霧部220bとを含む。本体220aは、筒形状である。本体220aの上部には、配管222が接続される。配管222は、水スクラバ220とオイルスクラバ230とを接続する。本体220aの底部には、配管282が接続される。配管282は、水スクラバ220とタールデカンタ260とを接続する。本体220aにおける配管222の接続箇所と、配管282の接続箇所との間には、配管212が接続される。したがって、配管212から導入されたガス化ガスは、本体220a内を上昇し、配管222から排気される。
【0040】
噴霧部220bは、本体220a内における配管222の接続箇所と、配管212の接続箇所との間に設けられる。噴霧部220bは、第1洗浄液を本体220a内に噴霧する。
【0041】
したがって、ガス化ガスは、本体220aを通過(上昇)する過程で第1洗浄液と接触し、85℃程度まで冷却される。そうすると、ガス化ガスに残存する重質タールが凝縮され、ガス化ガスから取り除かれる。そして、重質タールが取り除かれたガス化ガスは、配管222を通じてオイルスクラバ230に導入される。一方、凝縮した重質タールは、第1洗浄液とともに本体220aの底部に落下し、配管282を通じて、タールデカンタ260に導入される。
【0042】
このように、水スクラバ220が、ガス化ガスを80℃以上100℃未満に冷却することにより、流動性を維持したまま、重質タールを凝縮させることができる。これにより、水スクラバ220は、重質タールを第1洗浄液とともに自重でタールデカンタ260に移動させることが可能となる。つまり、水スクラバ220は、重質タールを容易にタールデカンタ260に移動させることができる。
【0043】
また、水スクラバ220は、ガス化ガスを80℃以上に維持する。これにより、水スクラバ220は、本体220aの内壁に、ナフタレンが析出してしまう事態を回避することができる。
【0044】
また、アンモニアおよび硫黄酸化物(SOx)は、第1洗浄液に溶解する。したがって、ガス化ガスにアンモニアまたは硫黄酸化物が含まれる場合、水スクラバ220は、アンモニアおよび硫黄酸化物をガス化ガスから取り除くことができる。
【0045】
オイルスクラバ230(第2スクラバ)は、水スクラバ220によって処理されたガス化ガスと、第2洗浄液とを接触させる。第2洗浄液は、第1洗浄液よりもタール(除去物質)との親和性が高い。第2洗浄液は、少なくともオイルを含む液体である。オイルは、例えば、鉱物油、軽油、バイオディーゼル燃料、および、植物油のうち、いずれか1または複数を含む。オイルスクラバ230は、ガス化ガスと第2洗浄液とを接触させることにより、ガス化ガスに含まれる軽質タールを第2洗浄液に溶解させる。これにより、オイルスクラバ230は、ガス化ガスから軽質タールを取り除く。
【0046】
本実施形態において、オイルスクラバ230は、本体230aと、分散部230bと、充填層230cとを含む。本体230aは、筒形状である。本体230aの上部には、配管232が接続される。配管232は、オイルスクラバ230とミストセパレータ240とを接続する。本体230aの底部には、配管234が接続される。配管234は、オイルスクラバ230とタールデカンタ260とを接続する。本体230aにおける配管232の接続箇所と、配管234の接続箇所との間には、配管292が接続される。配管292は、オイルスクラバ230とポンプ294とを接続する。本体230aにおける配管232の接続箇所と、配管292の接続箇所との間には、配管222が接続される。したがって、配管222から導入されたガス化ガスは、本体230a内を上昇し、配管232から排気される。
【0047】
分散部230bは、本体230a内における配管232の接続箇所と、配管222の接続箇所との間に設けられる。分散部230bは、ガス化ガスに含まれる水蒸気が凝縮する温度(例えば、50℃以下)の第2洗浄液を本体230a内に噴霧する。
【0048】
したがって、ガス化ガスは、本体230aを通過(上昇)する過程で第2洗浄液と接触することになる。これにより、ガス化ガスに含まれる軽質タールは、第2洗浄液に溶解される。そして、第2洗浄液に溶解された軽質タールは、本体230aの底部に落下する。
【0049】
また、ガス化ガスは、第2洗浄液によって冷却される。そうすると、ガス化ガスに残存する水蒸気が凝縮され、ガス化ガスから取り除かれる。そして、凝縮した水蒸気、つまり、凝縮水は、本体230aの底部に落下する。なお、凝縮水は、第2洗浄液および軽質タールを含む排油よりも質量密度が大きい。したがって、凝縮水は、本体230aの底部における排油の層よりも下方に滞留する。つまり、本体230aにおいて、排油と凝縮水とが沈降分離される。
【0050】
そして、本体230aの底部に滞留した凝縮水(排水)は、配管234を通じて、タールデカンタ260に導入される。また、本体230aにおける凝縮水の上方に滞留した排油は、配管292を通じて、ポンプ294に吸引される。
【0051】
また、軽質タールおよび水蒸気が取り除かれたガス化ガスは、配管232を通じてミストセパレータ240に導入される。
【0052】
充填層230cは、本体230a内における分散部230bと、配管222との接続箇所との間に設けられる。充填層230cは、リング、金網、棚段、トレイ等を含む。充填層230cは、第2洗浄液の落下速度を低下させる。オイルスクラバ230は、充填層230cを備えるため、ガス化ガスと第2洗浄液との接触効率を向上させることができる。したがって、オイルスクラバ230は、ガス化ガスに含まれる軽質タールを効率よく第2洗浄液に溶解させることが可能となる。
【0053】
ミストセパレータ240は、ガス化ガスに含まれるミスト(第2洗浄液)を取り除く。ミストセパレータ240の上部には配管242が接続される。配管242は、ミストセパレータ240と誘引ファン250の吸入側とを接続する。ミストセパレータ240の底部には配管244が接続される。配管244は、ミストセパレータ240とオイルスクラバ230(本体230a)とを接続する。本実施形態において、配管242は、本体230aにおける充填層230cの下方に接続される。ミストセパレータ240における配管242の接続箇所と、配管244の接続箇所との間には、配管232が接続される。したがって、配管232から導入されたガス化ガスは、ミストセパレータ240内でミストが取り除かれた後、配管242から排気される。また、ミストセパレータ240内でガス化ガスから取り除かれたミストは、配管244を通じてオイルスクラバ230に返送される。
【0054】
誘引ファン250は、吸入側が配管242(ミストセパレータ240)に接続され、吐出側が配管252に接続される。誘引ファン250は、ミストセパレータ240でミストが取り除かれたガス化ガス(精製ガス化ガス)を吸引して、配管252を通じて、後段のガス化ガス利用設備に送出する。ガス化ガス利用設備は、ガスエンジン等の発電設備、または、化学製品の製造装置である。
【0055】
タールデカンタ260は、水スクラバ220において生じた排水およびオイルスクラバ230で生じた凝縮水を貯留する。タールデカンタ260は、質量密度および粒径の違いによって、排水を上澄液と沈降物とに分離する。沈降物には、重質タールが含まれる。
【0056】
タール払出設備270は、例えば、スクリューコンベヤで構成される。タール払出設備270は、タールデカンタ260において分離された沈降物(重質タール)を外部に送出する。重質タール(除去物質)は、ボイラ、発電機等の燃焼設備(設備)の燃料に利用されたり、獣除けに利用されたりする。
【0057】
水循環部280は、水スクラバ220に第1洗浄液を循環させる。水循環部280は、配管282、284、288と、ポンプ286とを含む。配管284は、タールデカンタ260とポンプ286の吸入側とを接続する。配管288は、ポンプ286の吐出側と噴霧部220bとを接続する。ポンプ286は、タールデカンタ260において分離された上澄液を第1洗浄液として噴霧部220bに供給する。
【0058】
また、上記したように、タールデカンタ260には、オイルスクラバ230で分離された凝縮水が導入される。したがって、配管234、タールデカンタ260、および、水循環部280は、オイルスクラバ230で生じた排水を水スクラバ220に供給する水供給部として機能する。
【0059】
油循環部290は、オイルスクラバ230に第2洗浄液を循環させる。油循環部290は、配管292、296と、ポンプ294と、冷却部298とを含む。上記したように、配管292は、オイルスクラバ230の本体230aとポンプ294の吸入側とを接続する。配管296は、ポンプ294の吐出側とオイルスクラバ230の分散部230bとを接続する。ポンプ294は、オイルスクラバ230の本体230aに滞留された排油を第2洗浄液として分散部230bに供給する。冷却部298は、配管296に設けられる。冷却部298は、第2洗浄液を冷却する。冷却部298を備える構成により、オイルスクラバ230は、ガス化ガスに含まれる軽質タールを効率よく第2洗浄液に溶解させることができる。
【0060】
[ガス精製方法]
続いて、上記ガス精製装置200を用いたガス精製方法を説明する。図3は、ガス精製方法の処理の流れを説明するフローチャートである。図3に示すように、ガス精製方法は、除塵工程S110と、水洗浄工程S120と、油洗浄工程S130とを含む。以下、各工程について詳述する。
【0061】
[除塵工程S110]
除塵工程S110は、除塵部210が、ガス化ガスに含まれる固体粒子を取り除く工程である。
【0062】
[水洗浄工程S120]
水洗浄工程S120は、水スクラバ220が、除塵工程S110において固体粒子が取り除かれたガス化ガスと、第1洗浄液とを接触させる工程である。水洗浄工程S120を遂行することにより、ガス化ガスから重質タールが取り除かれる。
【0063】
[油洗浄工程S130]
油洗浄工程S130は、オイルスクラバ230が、水洗浄工程S120において重質タールが取り除かれたガス化ガスと、第2洗浄液とを接触させる工程である。油洗浄工程S130を遂行することにより、ガス化ガスから軽質タールが取り除かれる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態のガス精製装置200およびこれを用いたガス精製方法は、除塵部210を備える。これにより、水スクラバ220の処理負荷を軽減することができる。したがって、ガス精製装置200は、水スクラバ220およびタールデカンタ260を小型化することが可能となる。
【0065】
また、ガス精製装置200は、水スクラバ220およびオイルスクラバ230を備える。水スクラバ220のみでガス化ガスを精製する従来技術は、タールの除去率が10%~25%程度と低い。一方、ガス精製装置200は、水スクラバ220によって重質タールを取り除き、オイルスクラバ230によって軽質タールを取り除くことができる。したがって、ガス精製装置200は、ガス化ガスに含まれるタールを効率よく取り除くことが可能となる。
【0066】
また、オイルスクラバ230のみでガス化ガスを精製する従来技術は、軽質タールのみならず、重質タールが第2洗浄液に溶解する。重質タールは、露点が高いため、第2洗浄液に溶解すると、第2洗浄液の粘度が増加する。そうすると、オイルスクラバ230への第2洗浄液の循環が困難になり、オイルスクラバ230の運転ができなくなる。したがって、オイルスクラバ230のみでガス化ガスを精製する従来技術では、第2洗浄液を頻繁に交換しなければならなかった。
【0067】
これに対し、ガス精製装置200は、オイルスクラバ230の前段に水スクラバ220を備える。これにより、オイルスクラバ230は、重質タールが取り除かれたガス化ガスと第2洗浄液とを接触させることになる。軽質タールは、第2洗浄液に溶解しても重質タールと比較して粘度が増加しない。このため、油循環部290は、オイルスクラバ230に安定して第2洗浄液を循環させることができる。したがって、ガス精製装置200は、オイルスクラバ230のみを備える従来技術と比較して、第2洗浄液の交換頻度を低減することが可能となる。これにより、ガス精製装置200は、低コストでガス化ガスを精製することができる。
【0068】
また、オイルスクラバ230のみでガス化ガスを精製する従来技術は、水溶性の不純物を取り除くことができない。このため、オイルスクラバ230のみでガス化ガスを精製する従来技術は、水溶性の不純物によって、ガス化ガスを利用する後段のガス化ガス利用設備に不具合が生じるおそれがある。これに対し、ガス精製装置200は、オイルスクラバ230に加えて水スクラバ220を備えるため、タールのみならず、水溶性の不純物をガス化ガスから取り除くことができる。したがって、ガス精製装置200は、ガス化ガスを利用する後段のガス化ガス利用設備の不具合を防止することが可能となる。
【0069】
また、ガス精製装置200は、タールデカンタ260を備える。これにより、ガス精製装置200は、排水から重質タールを分離することができる。したがって、ガス精製装置200は、重質タールを有効利用することが可能となる。
【0070】
また、ガス精製装置200は、水供給部(配管234、タールデカンタ260、および、水循環部280)を備える。これにより、ガス精製装置200は、オイルスクラバ230で生じた排水を水スクラバ220で利用することができる。したがって、ガス精製装置200は、第1洗浄液に要するコストを低減することが可能となる。
【0071】
また、ガス精製装置200は、除塵部210、水スクラバ220、および、オイルスクラバ230を備える。このため、ガス精製装置200は、ガス化ガスに含まれるタールを除去するために従来用いられていた酸化改質炉を省略しても、ガス化ガスから効率よくタールを取り除くことができる。酸化改質炉は、ガス化炉150で生成されたガス化ガスに酸素や空気を加え、ガス化ガスの一部を燃焼させる。したがって、ガス精製装置200は、酸化改質炉を省略することにより、精製後のガス化ガスに含まれる燃焼ガス(水素、一酸化炭素)の量を増加させることが可能となる。
【0072】
[変形例]
上記ガス精製装置200は、オイルスクラバ230で利用された第2洗浄液を再生する再生部をさらに備えてもよい。図4は、変形例にかかる、油循環部310および、再生部350を説明する図である。なお、図4中、破線の矢印は、ガス(ガス化ガス、缶出ガス、および、留出ガス)の流れを示す。また、図4中、実線の矢印は、液体(凝縮水、第2洗浄液、排油、缶出液、および、留出液)の流れを示す。
【0073】
図4に示すように、油循環部310は、沈降分離部320と、配管322、330、334、336と、ポンプ332と、熱交換器340と、冷却部298とを含む。なお、上記油循環部290と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0074】
沈降分離部320は、オイルスクラバ230で生じた排油および凝縮水を分離する。沈降分離部320は、収容槽320aと、仕切板320bとを含む。収容槽320aは、オイルスクラバ230で生じた排油および凝縮水を貯留する。仕切板320bは、収容槽320a内を第1室と、第2室とに仕切る。仕切板320bの上部は、収容槽320aの上部と離隔する。仕切板320bの側部および下部は、収容槽320aの内壁に接続される。
【0075】
配管234は、オイルスクラバ230の本体230aの底部と、収容槽320aの第1室とを接続する。したがって、オイルスクラバ230で生じた排油および凝縮水は、収容槽320aの第1室に貯留される。収容槽320aの第1室において、凝縮水が沈降し、排油から分離される。沈降分離された凝縮水は、配管322を通じてタールデカンタ260に導入される。配管322は、収容槽320aの第1室の底部とタールデカンタ260とを接続する。
【0076】
一方、第1室において凝縮水が沈降することで分離された排油は、仕切板320bを越流して収容槽320aの第2室に移動する。そして、排油は、配管330を通じて、ポンプ332の吸入側に導入される。ポンプ332の吐出側は、配管334に接続される。配管334は、ポンプ332の吐出側と、再生部350(再生塔352)とを接続する。ポンプ332は、沈降分離部320で分離された排油を再生部350に導入する。再生部350は、排油を再生する。つまり、再生部350は、排油から軽質タールを取り除く。再生部350の具体的な構成は後に詳述する。
【0077】
再生部350によって再生された排油(第2洗浄液)は、配管336を通じて、オイルスクラバ230の分散部230bに供給される。
【0078】
熱交換器340は、配管334を通過する排油と、配管336を通過する第2洗浄液とを熱交換する。熱交換器340は、排油を加熱し、第2洗浄液を冷却する。冷却部298は、配管336における熱交換器340の設置位置と、オイルスクラバ230との間に設けられる。
【0079】
再生部350(蒸留部)は、再生塔352と、リボイラ354と、コンデンサ356とを含む。再生塔352は、筒形状である。再生塔352内には、充填層が設けられる。充填層は、棚段を含む。配管334は、再生塔352の中央に接続される。リボイラ354は、再生塔352の塔底から缶出液を抜き出し、所定温度に加熱する。リボイラ354によって加熱され、缶出液から気化した缶出ガスは、再生塔352に返送される。一方、リボイラ354によって缶出ガスが取り除かれた缶出液は、第2洗浄液として配管336に導入される。コンデンサ356は、再生塔352の塔頂から留出ガスを抜き出し、所定温度に冷却して凝縮させる。コンデンサ356によって凝縮された留出液は、一部が外部に抜き出され、残りは、再生塔352に返送される。留出液には、軽質タールが含まれる。
【0080】
オイルスクラバ230は、ガス化ガスに含まれる軽質タールを第2洗浄液に溶解させることで、ガス化ガスから軽質タールを取り除く。このため、オイルスクラバ230では、運転時間が長くなるに従って、第2洗浄液中の軽質タールの蓄積量が増加し、第2洗浄液が劣化する。そこで、変形例は、再生部350を備える。これにより、排油から軽質タールを取り除いて、オイルスクラバ230で再利用することができる。したがって、変形例は、第2洗浄液の交換頻度をさらに低減することが可能となる。
【0081】
以上、添付図面を参照しながら実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0082】
例えば、上述した実施形態において、ガス精製装置200が、ガス化炉150によって製造されたガス化ガスを精製する場合を例に挙げた。しかし、ガス精製装置200は、固体粒子と、タール、オレフィン等の有機化合物とを含むガスを精製することができる。ガス精製装置200は、例えば、ライムキルン、コークス炉等の原料を蒸し焼き(乾留)する装置によって製造されたガスを精製してもよい。また、ガス精製装置200は、塗装工場の排気ガスを精製してもよい。
【0083】
また、上記実施形態において、ガス化炉150は、流動媒体の流動層で固体原料をガス化する構成を例に挙げて説明した。しかし、ガス化炉150は、流動媒体が有する熱で固体原料をガス化できればよい。ガス化炉150は、例えば、流動媒体の移動層で固体原料をガス化してもよい。
【0084】
また、上記実施形態において、ガス精製装置200が、オイルスクラバ230で生じた排水を水スクラバ220に供給する水供給部を備える構成を例に挙げた。しかし、ガス精製装置200は、オイルスクラバ230で生じた排水を水スクラバ220に供給せずともよい。
【0085】
また、上記実施形態において、ガス精製装置200がタールデカンタ260を備える構成を例に挙げた。しかし、ガス精製装置200は、タールデカンタ260を備えずともよい。
【0086】
また、上記実施形態において、ガス精製装置200が誘引ファン250を備える構成を例に挙げた。しかし、誘引ファン250は、必須の構成ではない。例えば、圧力差により、ガスが、除塵部210、水スクラバ220、オイルスクラバ230をこの順で通過することができれば、誘引ファン250を省略することができる。
【0087】
また、水スクラバ220が噴霧する第1洗浄液に酸を添加して、第1洗浄液を酸性にしてもよい。これにより、水スクラバ220は、ガスに含まれるアルカリ成分(例えば、アンモニア)を効率よく取り除くことができる。同様に、水スクラバ220が噴霧する第1洗浄液にアルカリを添加して、第1洗浄液をアルカリ性にしてもよい。これにより、水スクラバ220は、ガスに含まれる酸成分(例えば、硫黄酸化物)を効率よく取り除くことができる。
【0088】
また、水循環部280は、排水を抜き出す機構および第1洗浄液を補充する機構を備えてもよい。同様に、油循環部290は、排油を抜き出す機構および第2洗浄液を補充する機構を備えてもよい。
【0089】
また、上記実施形態において、ガス精製装置200は、オイルスクラバ230で生じた排油および凝縮水を分離する沈降分離部320を備えてもよい。
【0090】
また、上記実施形態において、分散部230bが、第2洗浄液を本体230a内に噴霧する構成を例に挙げた。しかし、分散部230bは、本体230aの水平断面に対し、実質的に均一に第2洗浄液を分散させることができれば構成に限定はない。分散部230bは、例えば、分散材を含んでもよい。
【0091】
また、上記実施形態および変形例において、配管234にポンプが設けられていてもよい。また、変形例において、配管336およびコンデンサ356にポンプが設けられていてもよい。
【0092】
また、上記実施形態において、第1洗浄液が少なくとも水を含む場合を例に挙げた。しかし、第1洗浄液は、ガス中に含まれる除去物質の露点よりも低温であれば、構成に限定はない。第1洗浄液は、例えば、メタノールおよびエタノールのうち、いずれか一方または両方である。ガス精製装置200は、除去物質の露点よりも低温の第1洗浄液をガス化ガスに接触させることにより、除去物質を効率よく除去することができる。
【0093】
上記実施形態において、また、除去物質として、芳香族化合物を含むタールを例に挙げた。しかし、除去物質は、オレフィンを含んでいてもよい。
【0094】
また、水スクラバ220が供給する第1洗浄液の流量は、バグフィルタ140から排気されたガス化ガスの温度または流量に応じて定められてもよい。例えば、バグフィルタ140から排気されたガス化ガスの温度、または、水スクラバ220内の温度を測定する温度測定部を備え、制御部は、温度測定部の測定結果に基づいて、水スクラバ220が供給する第1洗浄液の流量を決定する。この場合、制御部は、水スクラバ220内の温度が、重質タールの露点未満であり、軽質タールの露点以上となるように、水スクラバ220が供給する第1洗浄液の流量を決定するとよい。これにより、制御部は、水スクラバ220の出口のガスの温度を重質タールの露点未満とすることができ、重質タールの除去率を向上させることが可能となる。
【0095】
また、上記実施形態において、水スクラバ220が噴霧部220bを備える構成を例に挙げた。しかし、水スクラバ220は、除塵部210によって固体粒子が取り除かれたガス化ガスと、第1洗浄液とを接触させることができれば構成に限定はない。水スクラバ220は、オイルスクラバ230と同様の構成であってもよく、例えば、分散材を備えていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本開示は、ガス精製方法、および、ガス精製装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0097】
200:ガス精製装置 210:除塵部 220:水スクラバ(第1スクラバ) 230:オイルスクラバ(第2スクラバ) 234:配管(水供給部) 260:タールデカンタ(水供給部) 280:水循環部(水供給部)
図1
図2
図3
図4