(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】マンコンベヤ欄干装置及びマンコンベヤ
(51)【国際特許分類】
B66B 29/00 20060101AFI20230920BHJP
【FI】
B66B29/00 F
(21)【出願番号】P 2022040001
(22)【出願日】2022-03-15
【審査請求日】2022-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】富永 保介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 剛
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-176229(JP,A)
【文献】特開2003-329602(JP,A)
【文献】特開2000-263699(JP,A)
【文献】特開2013-163568(JP,A)
【文献】特開2021-84804(JP,A)
【文献】特開2012-158411(JP,A)
【文献】特開2017-198511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスパネルと、
光が前記ガラスパネルの内部へ入るように、前記ガラスパネルへ光を投射する投光部と、
前記ガラスパネルの内部から出る光を受ける受光部と、を備え
、
前記ガラスパネルは、厚み方向で離れて且つ互いに平行な第1平面及び第2平面を備え、
前記投光部は、光が前記第1平面から前記ガラスパネルの内部へ入るように、前記第1平面へ光を投射し、
前記受光部は、前記第1平面又は前記第2平面の何れか一方の平面から出る光を受ける、マンコンベヤ欄干装置。
【請求項2】
前記投光部は、光が前記第2平面に対して臨界角よりも大きい入射角で入射するように、前記第1平面へ光を投射し、
前記マンコンベヤ欄干装置は、光がから出て内部に入るように、前記一方の平面に接する光学系を備え、
前記受光部は、前記光学系を透過する光を受ける、請求項1に記載のマンコンベヤ欄干装置。
【請求項3】
前記受光部は、前記第2平面で複数回反射する光を受ける、請求項2に記載のマンコンベヤ欄干装置。
【請求項4】
前記マンコンベヤ欄干装置は、前記第2平面に接して光を反射する反射部を備え、
前記受光部は、前記反射部で反射して前記第1平面から出る光を受ける、請求項1に記載のマンコンベヤ欄干装置。
【請求項5】
前記ガラスパネルの下端部を支持するパネル支持部を備え、
前記ガラスパネルは、高さ方向の領域において、前記パネル支持部に支持される支持領域を備え、
前記投光部は、前記支持領域へ光を投射し、
前記受光部は、前記支持領域から出る光を受ける、請求項1~4の何れか1項に記載のマンコンベヤ欄干装置。
【請求項6】
前記ガラスパネルの下端部を覆うカバー部を備え、
前記投光部及び前記受光部は、前記カバー部の内部に配置される、請求項1~5の何れか1項に記載のマンコンベヤ欄干装置。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項に記載のマンコンベヤ欄干装置と、
前記受光部での受光量に基づいて、前記ガラスパネルの異常の有無を判定する処理装置と、を備える、マンコンベア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、マンコンベヤ欄干装置及びマンコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、マンコンベヤ欄干装置は、複数のガラスパネルと、ガラスパネルに発生するひび割れを検出するために、ガラスパネル同士間に配置される圧力センサとを備えている(例えば、特許文献1)。ところで、特許文献1に係る構成とは異なる構成によって、ガラスパネルに発生するひび割れを検出したいという要望が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、課題は、ガラスパネルに発生するひび割れを検出することができるマンコンベヤ欄干装置及びマンコンベヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
マンコンベヤ欄干装置は、ガラスパネルと、光が前記ガラスパネルの内部へ入るように、前記ガラスパネルへ光を投射する投光部と、前記ガラスパネルの内部から出る光を受ける受光部と、を備える。
【0006】
マンコンベヤは、前記のマンコンベヤ欄干装置と、前記受光部の受光量に基づいて、前記ガラスパネルの異常の有無を判定する処理装置と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】同実施形態に係るマンコンベヤ欄干装置の要部平面図
【
図4】同実施形態に係るマンコンベヤの制御ブロック図
【
図5】他の実施形態に係るマンコンベヤ欄干装置の要部平面図
【
図6】さらに他の実施形態に係るマンコンベヤ欄干装置の要部平面図
【
図7】さらに他の実施形態に係るマンコンベヤ欄干装置の要部平面図
【
図8】さらに他の実施形態に係るマンコンベヤ欄干装置の要部平面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
各図面において、構成要素の寸法は、例えば、理解を容易にするために、実際の寸法に対して拡大、縮小して示す場合があり、また、各図面の間での寸法比は、一致していない場合がある。なお、各図面において、例えば、理解を容易にするために、構成要素の一部を省略して示す場合がある。
【0009】
第1、第2等の序数を含む用語は、多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、構成要素は、この用語によって特に限定されるものではない。なお、序数を含む構成要素の個数は、特に限定されず、例えば、一つでもよい場合がある。また、以下の明細書で用いられる序数は、特許請求の範囲に記載された序数と異なる場合がある。
【0010】
以下、マンコンベア及びマンコンベヤ欄干装置における一実施形態について、
図1~
図4を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、マンコンベア及びマンコンベヤ欄干装置の構成等の理解を助けるために例示するものであり、マンコンベア及びマンコンベヤ欄干装置の構成を限定するものではない。
【0011】
図1に示すように、マンコンベヤ1は、例えば、躯体に設置される構造体2と、人を搬送する搬送部3と、搬送部3を第1方向D1で挟むように配置される一対(
図1においては、一つのみ図示している)のマンコンベヤ欄干装置(以下、単に「欄干装置」ともいう)4と、搬送部3及び欄干装置4を駆動させる駆動部5と、駆動部5を制御する処理装置6とを備えていてもよい。
【0012】
なお、
図1において、第1方向D1は、水平方向であって、幅方向(「第1横方向」ともいう)D1といい、第2方向D2は、水平方向で且つ幅方向D1と直交する方向であって、前後方向(「第2横方向」ともいう)D2といい、第3方向D3は、鉛直方向であって、上下方向D3という。
【0013】
本実施形態に係るマンコンベヤ1は、人を搬送するために、踏面が階段状になるエスカレータであるが、斯かる構成に限られない。例えば、マンコンベヤ1は、人を搬送するために、踏面が平面状となる移動歩道(動く歩道)であってもよい。
【0014】
搬送部3は、例えば、本実施形態のように、駆動部5に駆動されることによって無端回転する環状の走行部(例えば、チェーン)3aと、走行部3aに接続されることによって走行部3aと共に走行し、人が乗る踏面を有する複数のステップ3bとを備えていてもよい。例えば、走行部3aは、幅方向D1に離れて一対設けられ、複数のステップ3bは、一対の走行部3a,3aの間に配置され、且つ、それぞれの走行部3aに対して幅方向D1を軸にして回転可能に接続されている、という構成でもよい。
【0015】
欄干装置4は、例えば、本実施形態のように、複数のガラスパネル7と、ガラスパネル7の周りを無端回転する環状の手摺ベルト4aと、手摺ベルト4aを支持するベルト支持部4bと、ガラスパネル7を支持する欄干本体部8と、ガラスパネル7の下端部を覆うカバー部9とを備えていてもよい。
【0016】
駆動部5は、例えば、本実施形態のように、駆動源(例えば、電動機)5aと、ステップ3bが反転するように走行部3aが巻き掛けられ、幅方向D1を軸にして回転する一対の回転部(例えば、スプロケット)5b,5bとを備えていてもよい。そして、駆動源5aからの駆動が走行部3a及び手摺ベルト4aに伝達されることによって、手摺ベルト4aの走行は、ステップ3bの走行と同期していてもよい。
【0017】
図1及び
図2に示すように、欄干本体部8は、例えば、トラス構造又はケタ構造である構造体2に固定されるベース部8aと、ガラスパネル7の下端部に接することによってガラスパネル7の下端部を支持するパネル支持部8bとを備えていてもよい。特に限定されないが、パネル支持部8bは、例えば、本実施形態のように、ガラスパネル7の長さ方向D4に間隔を有して複数(
図1においては、3つ)並べられていてもよい。
【0018】
なお、ガラスパネル7の高さ方向D5の領域のうち、パネル支持部8bに接して支持される下端部の領域は、支持領域7aという。また、例えば、本実施形態のように、ガラスパネル7は、互いに平行な第1平面7b及び第2平面7cを備えており、第1平面7b及び第2平面7cは、ガラスパネル7の厚み方向D6で反対側となる面である、という構成でもよい。
【0019】
本実施形態においては、ガラスパネル7の厚み方向D6は、幅方向D1(
図1参照)であって、第1平面7bは、幅方向D1の内側表面(ステップ3b側を向く表面)であり、第2平面7cは、幅方向D1の外側表面である。なお、第1平面7bは、幅方向D1の外側表面であり、第2平面7cは、幅方向D1の内側表面であってもよい。
【0020】
欄干装置4は、例えば、ガラスパネル7のひび割れや崩落といった異常を検出する検出装置10と、検出装置10と欄干本体部8とを接続することによって、検出装置10を欄干本体部8に固定する固定部11とを備えていてもよい。そして、例えば、ガラスパネル7に対する検出装置10の位置は、固定部11によって、変更可能であってもよい。
【0021】
なお、検出装置10の個数は、特に限定されないが、例えば、全てのガラスパネル7の異常を検出するために、一つのガラスパネル7に対して一つの検出装置10を備えることが、好ましい。また、検出装置10は、例えば、本実施形態のように、ガラスパネル7の第1平面7b側に配置されていてもよい。
【0022】
カバー部9は、例えば、本実施形態のように、欄干本体部8に対して着脱可能な複数のカバーパネル9aを備えていてもよい。これにより、カバー部9の内部に、空間が形成され、ガラスパネル7の下端部(例えば、支持領域7a)は、カバー部9の内部に配置されている。そして、検出装置10は、例えば、本実施形態のように、カバー部9の内部に配置されていてもよい。
【0023】
これにより、検出装置10がカバー部9に覆われているため、例えば、ステップ3bに乗った人が検出装置10を視認することを抑制することができる。したがって、例えば、検出装置10が触れられることを抑制することができたり、また、例えば、意匠性が低下することを抑制することができたりする。
【0024】
図3に示すように、検出装置10は、例えば、光L1を投射する投光部12と、光L1を受ける受光部13と、光L1を透過する光学系14と、投光部12、受光部13及び光学系14が固定される装置本体部15とを備えていてもよい。なお、例えば、投光部12、受光部13及び光学系14における互いの位置、即ち、装置本体部15に対する投光部12、受光部13及び光学系14のそれぞれの位置は、変更可能であってもよい。
【0025】
投光部12は、光L1を投射可能であれば、特に限定されないが、例えば、LED、LD(半導体レーザ)又は電球としてもよい。また、受光部13は、受光量を測定可能であれば、特に限定されないが、例えば、フォトダイオード、CCDイメージセンサ又はCMOSイメージセンサとしてもよい。
【0026】
光学系14は、例えば、本実施形態のように、投光部12からの光L1を内部に入れる入射光学部16と、内部から受光部13へ光L1を出す出射光学部17と、入射光学部16と出射光学部17とを接続する接続光学部18とを備えていてもよい。なお、光学系14は、光L1を透過可能であれば、特に限定されないが、例えば、ガラスで形成されていてもよい。
【0027】
入射光学部16は、例えば、本実施形態のように、ガラスパネル7の第1平面7bと接する第1接触平面16aと、第1接触平面16aと交差するように配置され、投光部12からの光L1が入射される入射面16bとを備えていてもよい。特に限定されないが、例えば、本実施形態のように、入射面16bは、光L1をコリメート(平行光に)するために、曲面状に形成されていてもよい。即ち、入射光学部16は、例えば、コリメートレンズの機能を有していてもよい。なお、入射面16bは、平面状に形成されていてもよい。
【0028】
出射光学部17は、例えば、本実施形態のように、ガラスパネル7の第1平面7bと接する第2接触平面17aと、第2接触平面17aと交差するように配置され、受光部13へ向けて光L1を出射する出射面17bとを備えていてもよい。特に限定されないが、例えば、本実施形態のように、出射面17bは、光L1を収束(集光)するために、曲面状に形成されていてもよい。即ち、出射光学部17は、例えば、収束(集光)レンズの機能を有していてもよい。なお、出射面17bは、平面状に形成されていてもよい。
【0029】
接続光学部18は、例えば、本実施形態のように、ガラスパネル7の第1平面7bと接する第3接触平面18aと、第3接触平面18aと平行に配置される外側平面18bとを備えていてもよい。なお、入射光学部16、出射光学部17及び接続光学部18のそれぞれの接触平面16a,17a,18aは、例えば、本実施形態のように、連続した一つの平面を構成するように、面一となるように配置されていてもよい。
【0030】
図4に示すように、マンコンベヤ1は、例えば、各情報(データ)が入力される入力部19と、各情報が出力される出力部20とを備えていてもよい。特に限定されないが、入力部19は、例えば、スイッチ(押しボタンスイッチ、セレクトスイッチ等)、タッチパネル等としてもよく、また、出力部20は、例えば、表示部(例えば、表示板、表示灯)、音声部(例えば、ブザー、スピーカ)等としてもよい。
【0031】
処理装置6は、例えば、本実施形態のように、各情報を取得する取得部21と、各情報を記憶する記憶部22と、各情報を演算する演算部23と、各情報に基づいて、各部5,20を制御する制御部24とを備えていてもよい。
【0032】
なお、処理装置6は、例えば、CPU及びMPU等のプロセッサ(例えば、演算部23、制御部24)、ROM及びRAM等のメモリ(例えば、取得部21、記憶部22)、各種インターフェイス(例えば、取得部21)等を備えるコンピュータとしてもよい。これにより、メモリに格納されたプログラムをプロセッサが実行し、ソフトウェア及びハードウェアが協働することによって、処理装置6の各部21,22,23,24が実現される。
【0033】
また、処理装置6は、例えば、一つの装置で構成されていてもよく、また、例えば、互いに通信可能な複数の装置で構成されていてもよい。具体的には、処理装置6の各部21,22,23,24は、例えば、一つの装置に備えられていてもよく、また、例えば、互いに通信可能な複数の装置に分散して備えられていてもよい。
【0034】
演算部23は、例えば、本実施形態のように、受光部13での受光量に基づいて、ガラスパネル7の異常(ひび割れ、崩落)の有無を判定する異常判定部23aを備えていてもよい。なお、特に限定されないが、異常判定部23aがガラスパネル7の異常が有ると判定した場合に、制御部24は、例えば、駆動部5を制御することによって、ステップ3bの走行を停止してもよく、また、例えば、出力部20を制御することによって、ガラスパネル7が異常であることを出力部20で出力(表示、発音)してもよい。
【0035】
次に、本実施形態に係る検出装置10の検出原理について、
図3を参照しながら説明する。
【0036】
図3に示すように、投光部12が光L1を投射することによって、光L1は、入射光学部16を透過し(入射面16bから入り且つ第1接触平面16aから出て)、ガラスパネル7の第1平面7bからガラスパネル7の内部へ入る。そして、ガラスパネル7の屈折率が空気の屈折率よりも大きいことに対して、光L1が、ガラスパネル7の第2平面7cに対して臨界角よりも大きい第1入射角θ1で入射する。
【0037】
これにより、第2平面7cに入射した光L1は、第2平面7cで反射する。なお、平面7b,7c,18bに対する入射角とは、光L1の光軸(
図3において、二点鎖線で示している。
図5~
図8も同様。)と平面7b,7c,18bに対する垂線(
図3において、一点鎖線で示している。
図5~
図7も同様。)との間の角度のことである。
【0038】
その後、光L1は、ガラスパネル7を透過し(第1平面7bから出て)、接続光学部18の第3接触面18aから接続光学部18の内部へ入る。そして、光学系14(接続光学部18)の屈折率が空気の屈折率よりも大きいことに対して、光L1が、接続光学部18の外側平面18bに対して臨界角よりも大きい第2入射角θ2で入射するため、外側平面18bに入射した光L1は、外側平面18bで反射する。なお、第2平面7cと外側平面18bとが平行であるため、第2入射角θ2は、第1入射角θ1と同じである。
【0039】
その後、光L1は、接続光学部18を透過し(第3接触平面18aから出て)、ガラスパネル7の第1平面7bからガラスパネル7の内部へ入る。そして、光L1が、ガラスパネル7の第2平面7cに対して臨界角よりも大きい第3入射角θ3で入射するため、第2平面7cに入射した光L1は、第2平面7cで再び反射する。なお、第2平面7cと外側平面18bとが平行であるため、第3入射角θ3は、第2入射角θ2と同じである。
【0040】
その後、光L1は、ガラスパネル7を透過し(第1平面7bから出て)、出射光学部17の第2接触面17aから出射光学部17の内部へ入る。そして、光L1が出射光学部17を透過する(出射面17bから出る)ため、受光部13は、出射光学部17を透過した(出射面17bから出た)光L1を受ける。
【0041】
なお、パネル支持部8bがガラスパネル7の支持領域7aを支持しているため、ガラスパネル7の支持領域7aが動くことを抑制している。それに対して、投光部12から投射された光L1は、ガラスパネル7の支持領域7aから内部へ入り、受光部13は、ガラスパネル7の支持領域7aから出る光L1を受けている(
図1及び
図2も参照)。これにより、受光部13で安定して光L1を受けることができる。
【0042】
また、特に限定されないが、光学系14の屈折率は、例えば、本実施形態のように、ガラスパネル7の屈折率と、同じ(完全に同じだけでなく、±5%の差を有する略同じも含む)であってもよい。これにより、光L1がガラスパネル7及び光学系14間を進行するときに、光L1がガラスパネル7の第1平面7b及び光学系14の接触平面16a,17a,18aで反射することを抑制することができる。
【0043】
また、特に限定されないが、光学系14の接触平面16a,17a,18aは、樹脂(例えば、シリコン)で形成されるフィルム又はシートで形成されていてもよい。これにより、光学系14の接触平面16a,17a,18aは、ガラスパネル7の第1平面7bに密着する(光学的に接着する)。
【0044】
したがって、ガラスパネル7及び光学系14間に空気が入ることを抑制することができる。その結果、光L1がガラスパネル7及び光学系14間を進行するときに、光L1がガラスパネル7の第1平面7b及び光学系14の接触平面16a,17a,18aで反射することを抑制することができる。
【0045】
ところで、例えば、ガラスパネル7にひび割れが発生し、ガラスパネル7の内部を進行する光L1が、ひび割れ部分に入射した場合に、光L1は、ひび割れ部分で散乱する。しかも、光L1が複数回(本実施形態においては、2回)もガラスパネル7の第2平面7cで反射しているため、光L1がガラスパネル7の内部を進行する距離は、長くなっている。
【0046】
これにより、光L1がひび割れ部分に入射する確率が高くなるため、光L1がひび割れ部分で散乱する確率は、高くなる。そして、光L1がひび割れ部分で散乱することによって、受光部13での受光量は、少なくなる。したがって、ガラスパネル7に発生するひび割れを検出することができる。
【0047】
また、例えば、ガラスパネル7が崩落した場合には、投光部12から投射された光L1は、入射光学部16を透過した後、空気中を進行することになる。これにより、受光部13での受光量は、無くなる(ゼロになる)。したがって、ガラスパネル7の崩落も検出することができる。
【0048】
なお、例えば、受光部13は、受光量の大きさに対応した大きさの信号(例えば、電流)を出力してもよい。そして、例えば、受光部13での受光量が減少した場合に、処理装置6は、ガラスパネル7のひび割れが発生したと判定し、また、受光部13での受光量が無くなった(ゼロになった)場合に、処理装置6は、ガラスパネル7の崩落が発生したと判定してもよい。
【0049】
また、例えば、受光部13は、受光量が第1閾値以上である場合と、受光量が第2閾値以上で且つ第1閾値未満である場合と、受光量が第2閾値未満である場合とで、それぞれ第1~第3信号を出力するように、出力する信号を切り替えてもよい。そして、例えば、受光部13から第2信号が出力された場合に、処理装置6は、ガラスパネル7のひび割れが発生したと判定し、また、受光部13から第3信号が出力された場合に、処理装置6は、ガラスパネル7の崩落が発生したと判定してもよい。
【0050】
また、例えば、受光部13は、受光量が閾値以上である場合と受光量が閾値未満である場合とで、出力信号のオンオフ(信号を出力する、信号の出力を停止する)を切り替えてもよい。そして、例えば、受光部13からの出力信号のオンオフが切り替わった場合に、処理装置6は、ガラスパネル7に異常(ひび割れ、崩落)が発生したと判定してもよい。
【0051】
以上より、本実施形態のように、マンコンベヤ欄干装置4は、ガラスパネル7と、光L1が前記ガラスパネル7の内部へ入るように、前記ガラスパネル7へ光L1を投射する投光部12と、前記ガラスパネル7の内部から出る光L1を受ける受光部13と、を備える、という構成が好ましい。
【0052】
斯かる構成によれば、投光部12が光L1を投射することによって、光L1がガラスパネル7の内部へ入り、受光部13は、ガラスパネル7の内部から出た光L1を受ける。そして、ガラスパネル7にひび割れが発生し、光L1がひび割れ部分に入射した場合には、光L1がひび割れ部分で散乱するため、受光部13での受光量が少なくなる。これにより、ガラスパネル7に発生するひび割れを検出することができる。
【0053】
また、本実施形態のように、マンコンベヤ欄干装置4においては、前記ガラスパネル7は、互いに平行な第1平面7b及び第2平面7cを備え、前記投光部12は、光L1が前記第2平面7cに対して臨界角よりも大きい入射角θ1で入射するように、前記第1平面7bへ光L1を投射し、前記マンコンベヤ欄干装置4は、光L1が前記第1平面7b又は前記第2平面7cの何れか一方の平面(本実施形態においては、第1平面)7bから出て内部に入るように、前記一方の平面7bに接する光学系14を備え、前記受光部13は、前記光学系14を透過する光L1を受ける、という構成が好ましい。
【0054】
斯かる構成によれば、投光部12が第1平面7bへ光L1を投射することによって、光L1が第2平面7cに対して臨界角よりも大きい入射角θ1で入射するため、第2平面7cに入射した光L1は、第2平面7cで反射する。そして、光学系14が第1平面7b又は第2平面7cの何れか一方の平面(本実施形態においては、第1平面)7bに接しているため、光L1は、当該平面7bから光学系14の内部に入る。その後、受光部13は、光学系14を透過した光L1を受ける。
【0055】
これにより、ガラスパネル7にひび割れが発生し、光L1がひび割れ部分に入射した場合には、光L1がひび割れ部分で散乱するため、受光部13での受光量は、少なくなる。したがって、ガラスパネル7に発生するひび割れを検出することができる。しかも、ガラスパネル7が崩落した場合には、光L1は、空気中を進行することになる。したがって、受光部13での受光量が無くなる(ゼロになる)ため、ガラスパネル7の崩落も検出することができる。
【0056】
また、本実施形態のように、マンコンベヤ欄干装置4においては、前記受光部13は、前記第2平面7cで複数回反射する光L1を受ける、という構成が好ましい。
【0057】
斯かる構成によれば、光L1が第2平面7cで複数回反射した後に、受光部13が光L1を受けるため、光L1がガラスパネル7の内部を進行する距離を長くすることができる。これにより、ガラスパネル7にひび割れが発生した場合に、光L1がひび割れ部分に入射する確率が高くなるため、ガラスパネル7に発生するひび割れを確実に検出することができる。
【0058】
また、本実施形態のように、マンコンベヤ欄干装置4は、前記ガラスパネル7の下端部を支持するパネル支持部8bを備え、前記ガラスパネル7は、高さ方向D5の領域において、前記パネル支持部8bに支持される支持領域7aを備え、前記投光部12は、前記支持領域7aへ光L1を投射し、前記受光部13は、前記支持領域7aから出る光L1を受ける、という構成が好ましい。
【0059】
斯かる構成によれば、パネル支持部8bがガラスパネル7の支持領域7aを支持しているため、ガラスパネル7の支持領域7aが動く(例えば、振動する)ことを抑制することができる。そして、投光部12が支持領域7aへ光L1を投射し、受光部13が支持領域7aから出る光L1を受ける。これにより、受光部13で安定して光L1を受けることができる。
【0060】
また、本実施形態のように、マンコンベヤ欄干装置4は、前記ガラスパネル7の下端部を覆うカバー部9を備え、前記投光部12及び前記受光部13は、前記カバー部9の内部に配置される、という構成が好ましい。
【0061】
斯かる構成によれば、ガラスパネル7の下端部がカバー部9に覆われていることに対して、投光部12及び受光部13は、カバー部9の内部に配置されている。これにより、投光部12及び受光部13がカバー部9に覆われているため、投光部12及び受光部13が視認されることを抑制することができる。
【0062】
また、本実施形態のように、マンコンベヤ1は、前記のマンコンベヤ欄干装置4と、前記受光部13での受光量に基づいて、前記ガラスパネル7の異常の有無を判定する処理装置6と、を備える、という構成が好ましい。
【0063】
斯かる構成によれば、ガラスパネル7にひび割れが発生した場合に、受光部13での受光量が少なくなるため、受光部13での受光量に基づいて、ガラスパネル7の異常の有無が判定される。これにより、ガラスパネル7に発生するひび割れを検出することができる。
【0064】
なお、マンコンベヤ1及びマンコンベヤ欄干装置4は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、マンコンベヤ1及びマンコンベヤ欄干装置4は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0065】
(1)上記実施形態に係るマンコンベヤ欄干装置4においては、光L1がガラスパネル7の第2平面7cに対して臨界角よりも大きい入射角θ1で入射することによって、光L1は第2平面7cで反射する、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ欄干装置4は、斯かる構成に限られない。
【0066】
例えば、
図5に示すように、マンコンベヤ欄干装置4は、ガラスパネル7の第2平面7cに接して光L2を反射する反射部(例えば、ミラー)25を備え、光L2は、反射部25で反射する、という構成でもよい。これにより、第2平面7cに対する入射角θ4が小さくても(例えば、第2平面7cに対する入射角θ4が、空気に接する第2平面7cにおける臨界角より小さくても)、光L2は、反射部25で反射する。
【0067】
このように、
図5に示すように、マンコンベヤ欄干装置4においては、前記ガラスパネル7は、互いに平行な第1平面7b及び第2平面7cを備え、前記投光部12は、前記第1平面7bへ光L2を投射し、前記マンコンベヤ欄干装置4は、前記第2平面7cに接して光L2を反射する反射部25を備え、前記受光部13は、前記反射部25で反射して前記第1平面7bから出る光L2を受ける、という構成でもよい。
【0068】
斯かる構成によれば、投光部12が第1平面7bへ光L2を投射することによって、光L2は、第1平面7bからガラスパネル7の内部に入り、第2平面7cに接する反射部25で反射する。その後、受光部13は、反射部25で反射して第1平面7bから出た光L2を受ける。
【0069】
これにより、ガラスパネル7にひび割れが発生し、光L2がひび割れ部分に入射した場合には、光L2がひび割れ部分で散乱するため、受光部13での受光量は、少なくなる。したがって、ガラスパネル7に発生するひび割れを検出することができる。
【0070】
しかも、例えば、投光部12及び受光部13が欄干本体部8に接続されていることに対して、反射部25がガラスパネル7に接続されており、そして、ガラスパネル7が崩落することに伴って、反射部25も落下した場合には、光L2は、空気中を進行することになる。したがって、受光部13での受光量が無くなる(ゼロになる)ため、ガラスパネル7の崩落も検出することができる。
【0071】
(2)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ欄干装置4においては、光学系14は、ガラスパネル7の第1平面7bに接する、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ欄干装置4は、斯かる構成に限られない。例えば、
図6に示すように、光学系14は、ガラスパネル7の第2平面7cに接する、という構成でもよい。
【0072】
(3)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ欄干装置4においては、投光部12は、ガラスパネル7の第1平面7bへ光L1を投射し、受光部13は、ガラスパネル7の第1平面7bから出た光L1を受ける、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ欄干装置4は、斯かる構成に限られない。例えば、
図6に示すように、投光部12は、ガラスパネル7の第1平面7bへ光L3を投射し、受光部13は、ガラスパネル7の第2平面7cから出た光L3を受ける、という構成でもよい。
【0073】
(3-1)一例として、
図6に示すように、光L3が第2平面7c及び第1平面7bに対して臨界角よりも大きい入射角θ5,θ6で入射することによって、光L3は、第2平面7c及び第1平面7bで反射した後に、第2平面7cから光学系14の内部に入り、その後、受光部13は、光学系14を透過した光L3を受ける、という構成でもよい。
【0074】
(3-2)別の例として、例えば、投光部12は、ガラスパネル7の第1平面7bへ光を投射し、第1平面7bからガラスパネル7の内部に入った光は、第2平面7cで反射することなく、ガラスパネル7を透過し(第2平面7cから出て)、受光部13は、ガラスパネル7の第2平面7cから出た光を受ける、という構成でもよい。
【0075】
(4)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ欄干装置4においては、受光部13は、第2平面7cで複数回反射する光L1を受ける、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ欄干装置4は、斯かる構成に限られない。
【0076】
例えば、
図7に示すように、受光部13は、第2平面7cで1回だけ反射する光L4を受ける、という構成でもよい。一例として、
図7に示すように、光L4が第2平面7cに対して臨界角よりも大きい入射角θ7で入射することによって、光L4は、第2平面7cで反射した後に、第1平面7bから光学系14の内部に入り、その後、受光部13は、光学系14を透過した光L4を受ける、という構成でもよい。
【0077】
(5)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ欄干装置4においては、光L1は、第2平面7cで反射した後に、光学系14(接続光学部18)の外側平面18bで反射する、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ欄干装置4は、斯かる構成に限られない。
【0078】
例えば、
図8に示すように、光L5は、第2平面7cで反射した後に、第1平面7bで反射する、という構成でもよい。特に限定されないが、例えば、接続光学部18は、ガラスパネル7の第1平面7bから離れていてもよく、また、例えば、
図8に示すように、接続光学部18の第3接触平面18aは、光L5を反射する機能(例えば、ミラー)を備えていてもよい。
【0079】
(6)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ欄干装置4においては、投光部12は、ガラスパネル7の支持領域7aへ光L1を投射し、受光部13は、ガラスパネル7の支持領域7aから出る光L1を受ける、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ欄干装置4は、斯かる構成に限られない。
【0080】
例えば、投光部12は、ガラスパネル7の支持領域7aよりも上方の領域へ光を投射する、という構成でもよい。また、例えば、受光部13は、ガラスパネル7の支持領域7aよりも上方の領域から出る光を受ける、という構成でもよい。
【0081】
(7)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ欄干装置4においては、投光部12及び受光部13は、カバー部9の内部に配置されている、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ欄干装置4は、斯かる構成に限られない。例えば、投光部12及び受光部13は、カバー部9の外部に配置されている、という構成でもよい。
【0082】
(8)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ欄干装置4においては、固定部11は、検出装置10と欄干本体部8とを接続することによって、検出装置10は、欄干本体部8に固定されている、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ欄干装置4は、斯かる構成に限られない。例えば、固定部11は、検出装置10とガラスパネル7とを接続することによって、検出装置10は、ガラスパネル7に固定されている、という構成でもよい。
【0083】
(9)また、マンコンベヤ欄干装置4においては、ガラスパネル7は、例えば、第1平面7b及び第2平面7cの少なくとも一方に貼られる飛散防止フィルムを備えている、という構成でもよい。これにより、ガラスパネル7がひび割れした後に崩落することを抑制することができる。
【符号の説明】
【0084】
1…マンコンベヤ、2…構造体、3…搬送部、3a…走行部、3b…ステップ、4…マンコンベヤ欄干装置、4a…手摺ベルト、4b…ベルト支持部、5…駆動部、5a…駆動源、5b…回転部、6…処理装置、7…ガラスパネル、7a…支持領域、7b…第1平面、7c…第2平面、8…欄干本体部、8a…ベース部、8b…パネル支持部、9…カバー部、9a…カバーパネル、10…検出装置、11…固定部、12…投光部、13…受光部、14…光学系、15…装置本体部、16…入射光学部、16a…第1接触平面、16b…入射面、17…出射光学部、17a…第2接触平面、17b…出射面、18…接続光学部、18a…第3接触平面、18b…外側平面、19…入力部、20…出力部、21…取得部、22…記憶部、23…演算部、23a…異常判定部、24…制御部、25…反射部、D1…幅方向、D2…前後方向、D3…上下方向、D4…長さ方向、D5…高さ方向、D6…厚み方向、L1,L2,L3,L4,L5…光
【要約】
【課題】 ガラスパネルに発生するひび割れを検出することができるマンコンベヤ欄干装置を提供する。
【解決手段】 マンコンベヤ欄干装置は、ガラスパネルと、光がガラスパネルの内部へ入るように、ガラスパネルへ光を投射する投光部と、ガラスパネルの内部から出る光を受ける受光部と、を備える。
【選択図】
図3