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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】支持体つき冷凍餃子
(51)【国際特許分類】
   A23L 35/00 20160101AFI20230920BHJP
   B65D 85/50 20060101ALI20230920BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20230920BHJP
   A23L 3/36 20060101ALI20230920BHJP
   B65D 67/00 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
A23L35/00
B65D85/50 100
A23L5/00 B
A23L3/36 A
B65D67/00 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022044585
(22)【出願日】2022-03-18
【審査請求日】2023-06-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100170184
【弁理士】
【氏名又は名称】北脇 大
(72)【発明者】
【氏名】清水 優子
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 大暉
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 由衣
(72)【発明者】
【氏名】小谷 良徳
(72)【発明者】
【氏名】細川 薫
【審査官】川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-203704(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110933942(CN,A)
【文献】特開2013-043658(JP,A)
【文献】特開2007-176502(JP,A)
【文献】特開2001-206332(JP,A)
【文献】実開昭58-073774(JP,U)
【文献】実開昭53-076184(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 3/36- 3/54
A23L 5/00
A23L 35/00
B65D 67/00-85/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凍結羽根形成組成物によって連結された複数の凍結餃子と、その連結面に接する支持体とを含み、該支持体は、凍結餃子が連結されたままの状態で該支持体上をスライド可能であるか、スライド可能となるように変形し得る形状である、支持体つき冷凍餃子。
【請求項2】
支持体が包装容器であり、連結された複数の凍結餃子は該包装容器に直接封入されている、請求項1に記載の冷凍餃子。
【請求項3】
包装容器が外装用の袋である、請求項2に記載の冷凍餃子。
【請求項4】
包装容器が箱体である、請求項2に記載の冷凍餃子。
【請求項5】
支持体が平板状体若しくはその変形体又は箱体である、請求項1に記載の冷凍餃子。
【請求項6】
連結された複数の凍結餃子と支持体とが袋に封入されてなる、請求項5に記載の冷凍餃子。
【請求項7】
包装容器又は支持体が、少なくとも連結された複数の凍結餃子と接する面において耐水性である、請求項4又は5に記載の冷凍餃子。
【請求項8】
包装容器又は支持体が耐水加工された紙である、請求項7に記載の冷凍餃子。
【請求項9】
連結された複数の凍結餃子の連結面が多角形又は略円形である、請求項1~8のいずれか一項に記載の冷凍餃子。
【請求項10】
請求項4、又は支持体が箱体である請求項5~8のいずれか一項に記載の冷凍餃子であって、連結された複数の凍結餃子を、連結されたままの状態で該箱体上をスライドさせて該箱体外に取り出せるように、該箱体の側面の全部又は一部が、存在しない又は存在しないように変形し得るか、あるいは鉛直方向に対して30度以上傾斜している、又は傾斜するように変形し得る形状である、冷凍餃子。
【請求項11】
箱体の側面の全部又は一部が、鉛直方向に対して30~90度だけ傾斜している、請求項10に記載の冷凍餃子。
【請求項12】
箱体の側面の全部又は一部が、該箱体の底面と一直線になるよう変形し得る、請求項10に記載の冷凍餃子。
【請求項13】
箱体に引き裂きジッパー部が設けられており、該引き裂きジッパー部を引き裂くことにより、箱体の側面の全部又は一部が存在しなくなる、請求項10に記載の冷凍餃子。
【請求項14】
凍結羽根形成組成物の厚さが3~10mmである、請求項1~13のいずれか一項に記載の冷凍餃子。
【請求項15】
一番近い凍結餃子間の距離が3~10mmである、請求項1~14のいずれか一項に記載の冷凍餃子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凍結された羽根形成組成物によって連結された複数の凍結餃子と、その連結面に接する支持体とを含む、支持体つき冷凍餃子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の冷凍餃子製品は段差のあるトレイに複数の凍結餃子が1個ずつ収容されているので、該冷凍餃子を調理する際、該トレイから1つずつ餃子を手で取り出しフライパン等の調理器具の上に並べる必要があり、手間であると同時に、すべての餃子を並べ終わる前に一部の凍結羽根形成組成物が融け出してしまい、仕上がりが悪いといった問題がある。また、トレイから餃子を手で取り出す際に手が汚れるという不満もあったそのため、複数の凍結餃子を一度にまとめて取り出すことによって並べる手間と時間を省くと同時に、手が汚れない冷凍餃子を提供するニーズが存在する。
【0003】
従来から、複数の凍結餃子を連結させた冷凍餃子については様々な提案がなされている。例えば、乳化羽根形成組成物付きの冷凍の連結餃子(特許文献1参照)、複数の餃子がトレイ底面上で互いに連結され固定されたトレイ入り冷凍餃子(特許文献2参照)、複数の餃子を連結させて凍結させることが可能な餃子用トレイ(特許文献3参照)、餃子を連結させて冷凍固化するための冷凍連結餃子用油脂組成物(特許文献4参照)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4483268号公報
【文献】特許第4584497号公報
【文献】特開平11-56313号公報
【文献】特許第6646963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの冷凍餃子は、トレイに収容された状態で外装用の袋に封入されているため、連結された状態のままで取り出そうとすると、例えば、餃子本体を両手で摘まんで持ち上げる等してトレイから剥がして調理器具上に並べるという煩雑な操作が必要な上、手が汚れるという不満も残ったままであった。
【0006】
また、従来の冷凍餃子用のトレイは、特許文献2および3において「ポリプロピレン等の合成樹脂」が例示されているようにプラスチック製であることから、調理後に出るゴミを捨てる際にトレイが嵩張ることや、プラスチックゴミによる環境破壊が問題となっている。
【0007】
上記の問題に鑑み、本発明は、冷凍餃子を手でトレイから1個ずつ剥がす手間を無くした冷凍餃子を提供することを目的とする。本発明はさらに、プラスチック製のトレイの使用を不要とすることにより、プラスチックゴミを減少させることをも目的とする。本発明はさらに、上記の課題を解決しつつ、味等の品質が従来品と同等以上である冷凍餃子を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記の問題を解決すべく鋭意検討した結果、凍結羽根形成組成物によって連結された複数の凍結餃子を、連結された状態でその上をスライドさせ得る支持体と組み合わせることにより上記課題を解決することに初めて成功した。本発明者等はさらに、該支持体として、少なくとも連結された複数の凍結餃子の連結面と接する面に耐水加工した紙を用いることで、融解した凍結羽根形成組成物が該支持体に染み込み製品が劣化するのを防ぎつつ環境に優しい冷凍餃子製品を製造することに成功した。本発明者等はまた、凍結羽根形成組成物の厚みと一番近い凍結餃子間の距離を最適化して、落下しても割れず、融解後再凍結させても連結状態を維持し且つ支持体上をスライド可能で、羽根形成組成物の焼け残りといった仕上がり品質にも悪影響のない冷凍餃子を提供することに成功し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明の主たる構成は、次の通りである。
[1]
凍結羽根形成組成物によって連結された複数の凍結餃子と、その連結面に接する支持体とを含み、該支持体は、凍結餃子が連結されたままの状態で該支持体上をスライド可能であるか、スライド可能となるように変形し得る形状である、支持体つき冷凍餃子。
[2]
支持体が包装容器であり、連結された複数の凍結餃子は該包装容器に直接封入されている、[1]に記載の冷凍餃子。
[3]
包装容器が外装用の袋である、[2]に記載の冷凍餃子。
[4]
包装容器が箱体である、[2]に記載の冷凍餃子。
[5]
支持体が平板状体若しくはその変形体又は箱体である、[1]に記載の冷凍餃子。
[6]
連結された複数の凍結餃子と支持体とが袋に封入されてなる、[5]に記載の冷凍餃子。
[7]
包装容器又は支持体が、少なくとも連結された複数の凍結餃子と接する面において耐水性である、[4]又は[5]に記載の冷凍餃子。
[8]
包装容器又は支持体が耐水加工された紙である、[7]に記載の冷凍餃子。
[9]
連結された複数の凍結餃子の連結面が多角形又は略円形である、[1]~[8]のいずれか1つに記載の冷凍餃子。
[10]
[4]、又は支持体が箱体である[5]~[8]のいずれか1つに記載の冷凍餃子であって、連結された複数の凍結餃子を、連結されたままの状態で該箱体上をスライドさせて該箱体外に取り出せるように、該箱体の側面の全部又は一部が、存在しない又は存在しないように変形し得るか、あるいは鉛直方向に対して30度以上傾斜している、又は傾斜するように変形し得る形状である、冷凍餃子。
[11]
箱体の側面の全部又は一部が、鉛直方向に対して30~90度だけ傾斜している、[10]に記載の冷凍餃子。
[12]
箱体の側面の全部又は一部が、該箱体の底面と一直線になるよう変形し得る、[10]に記載の冷凍餃子。
[13]
箱体に引き裂きジッパー部が設けられており、該引き裂きジッパー部を引き裂くことにより、箱体の側面の全部又は一部が存在しなくなる、[10]に記載の冷凍餃子。
[14]
凍結羽根形成組成物の厚さが3~10mmである、[1]~[13]のいずれか1つに記載の冷凍餃子。
[15]
一番近い凍結餃子間の距離が3~10mmである、[1]~[14]のいずれか1つに記載の冷凍餃子。
【発明の効果】
【0010】
本発明の支持体つき冷凍餃子によれば、餃子を手で触れることなく、支持体上をスライドさせることによって、フライパン等の調理器具の上に一挙に並べることが可能となる。
【0011】
また、本発明の支持体つき冷凍餃子によれば、トレイを使用しないことも可能となるため、調理後に出るゴミを捨てる際に嵩張らない。
【0012】
さらに、本発明の支持体つき冷凍餃子によれば、プラスチック製のトレイを使用しないことも可能となるため、環境に優しい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、凍結羽根形成組成物102によって連結された複数の凍結餃子100の形状及び凍結餃子101の配置の例を示す図である。図1(a-1)は略長方形、図1(b)は略正方形、図1(c)は略円形の連結面を有する連結された複数の凍結餃子100の平面図をそれぞれ示している。また、図1(a-2)は図1(a-1)の連結された複数の凍結餃子100の正面図を示している。
図2-1】図2-1は、本発明による支持体つき冷凍餃子の実施態様1(連結面が略長方形である場合;実施態様1-1)の概略図である。図2-1(a)は、実施態様1-1の平面図である。図2-1(b)は、袋200から連結された複数の凍結餃子100を取り出す様子を示す概略図である。図中、実際には見えない線を破線で描いている。
図2-2】図2-2は、本発明による支持体つき冷凍餃子の実施態様1(連結面が略円形である場合;実施態様1-2)の概略図である。図2-2(a)は、実施態様1-2の平面図である。図2-2(b)は、袋200から連結された複数の凍結餃子100を取り出す様子を示す概略図である。図中、実際には見えない線を破線で描いている。
図3-1】図3-1は、本発明による支持体つき冷凍餃子の実施態様2(連結面が略長方形である場合;実施態様2-1)の概略図である。図3-1(a)は、実施態様2-1の平面図である。図3-1(b)及び(c)は、包装物から連結された複数の凍結餃子100を取り出す様子を示す概略図である。図中、実際には見えない線を破線で描いている。
図3-2】図3-2は、本発明による支持体つき冷凍餃子の実施態様2(連結面が略円形である場合;実施態様2-2)の概略図である。図3-2(a)は、実施態様2-2の平面図である。図3-2(b)及び(c)は、包装物から連結された複数の凍結餃子100を取り出す様子を示す概略図である。図中、実際には見えない線を破線で描いている。
図3-3】図3-3は、支持体が平板状体の変形体である態様の一例を概略図である。図3-3(a)は、平板状体の変形体である支持体300上に連結された複数の凍結餃子100を載せた態様の斜投影図である。図3-3(b)は、平板状体の変形体である支持体300から連結された複数の凍結餃子100をスライドさせる様子を示す概略図である。図中、実際には見えない線を破線で描いている。
図4-1】図4-1は、本発明による支持体つき冷凍餃子の実施態様3(連結面が略長方形である場合;実施態様3-1)の概略図である。図4-1(a)は、実施態様3-1の斜投影図である。図4-1(b)は、箱体から連結された複数の凍結餃子100を取り出す様子を示す概略図である。図中、実際には見えない線を破線で描いている。
図4-2】図4-2は、本発明による支持体つき冷凍餃子の実施態様3(連結面が略円形である場合;実施態様3-2)の概略図である。図4-2(a)は、実施態様3-2の斜投影図である。図4-2(b)は、箱体から連結された複数の凍結餃子100を取り出す様子を示す概略図である。図中、実際には見えない線を破線で描いている。
図5-1】図5-1は、本発明による支持体つき冷凍餃子の実施態様4(連結面が略長方形である場合;実施態様4-1)の概略図である。図5-1(a)は、実施態様4-1の斜投影図である。図5-1(b)は、箱体から連結された複数の凍結餃子100を取り出す様子を示す概略図である。図中、実際には見えない線を破線で描いている。
図5-2】図5-2は、本発明による支持体つき冷凍餃子の実施態様4(連結面が略円形である場合;実施態様4-2)の概略図である。図5-2(a)は、実施態様4-2の斜投影図である。図5-2(b)は、箱体から連結された複数の凍結餃子100を取り出す様子を示す概略図である。
図6-1】図6-1は、本発明による支持体つき冷凍餃子の実施態様5(連結面が略長方形である場合;実施態様5-1)の概略図である。図6-1(a)は、実施態様5-1の斜投影図である。図6-1(b)及び(c)は、箱体から連結された複数の凍結餃子100を取り出す様子を示す概略図である。図中、実際には見えない線を破線で描いている。尚、図6-1(a)の箱体を縦断する曲線の右側では、内部の凍結餃子の図示を省略している。
図6-2】図6-2は、本発明による支持体つき冷凍餃子の実施態様5(連結面が略円形である場合;実施態様5-2)の概略図である。図6-2(a)は、実施態様5-2の斜投影図である。図6-2(b)及び(c)は、箱体から連結された複数の凍結餃子100を取り出す様子を示す概略図である。図中、実際には見えない線を破線で描いている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の支持体つき冷凍餃子は、凍結羽根形成組成物102によって複数の凍結餃子101が連結されてなる成型物(「連結された複数の凍結餃子」、「連結された凍結餃子」ともいう。)100と、その連結面に接する支持体とを含み、該支持体は、傾斜させることによって凍結餃子101が連結されたままの状態で、即ち、成型物100の形状のまま該支持体上をスライド可能であるか、スライド可能となるように変形し得る形状である。
【0015】
本発明の支持体つき冷凍餃子における凍結餃子101に用いられる餃子の形状、大きさ、製造に用いられる皮の材料、厚さ、大きさ、形状(通常は円形である)、中具の成分、構成、量、調理法は、特に限定はなく、中具と皮の製造方法、包み方等は、当業者に周知の方法を用いることができる。一例としては、味の素社製「ギョーザ」が挙げられる。
【0016】
本発明の支持体つき冷凍餃子における凍結羽根形成組成物102を構成する羽根形成組成物(以下、単に「羽根形成組成物」ともいう)の組成は特に限定されず、当業者が適宜選択することができる。一例としては、水、澱粉、加工澱粉、油脂、乳化剤及び増粘剤を含むものが挙げられ、さらに穀物粉、タンパク質、乳化補助剤、調味料類、塩類、糖類、アミノ酸類、セルロース類等を含んでいてもよい。
【0017】
連結された複数の凍結餃子100の連結面は、多角形であってもよく、略円形であってもよい。連結面が多角形であるとき、該多角形としては、例えば三角形、四角形、五角形、六角形、八角形、十二角形等が挙げられ、四角形が好ましく、略長方形や略正方形がより好ましい。
【0018】
多角形が略長方形であるときの例としては、図1(a-1)に示されるように複数の凍結餃子101が直列に並んでいるものが挙げられる。本明細書では、この並べ方を「直列型」という。尚、図1(a-1)に示された例では、6個の凍結餃子101が連結されているが、例えば小分けにされたものの連結面が合わさって略長方形を形成してもよい(例えば、凍結餃子101の数が全体で6個の場合には、3個の凍結餃子101が連結されたもの2セット、2個の凍結餃子101が連結されたもの3セット等)。また、図1(a-1)に示された例では、1列の連結された凍結餃子100が示されているが、複数列の連結された凍結餃子100の連結面が略長方形を形成してもよい。この場合、複数列の凍結餃子101がすべて連結されて略長方形を形成してもよく、1列の連結された凍結餃子100がいくつか組み合わさって、全体として略長方形の不連続な連結面を形成してもよい。尚、略長方形を例に挙げて上記した事項は、適用可能な限り、下記の略正方形に適用されてもよい。
【0019】
多角形が略正方形であるときの例としては、図1(b)に示されるように、複数(図1(b)の例では3つ)の凍結餃子101のいくつかのセット(図1(b)の例では4つのセット)がそれぞれ、隣接するセットとは異なる方向を向いて(図1(b)の例では互いに垂直方向を向いて)配置され、全体の連結面が略正方形を形成するものが挙げられる。この場合、凍結餃子101がすべて連結されて略正方形の連結面を形成してもよく、連結された凍結餃子100のセットが複数組み合わさって、全体として略正方形の不連続な連結面を形成してもよい。尚、略正方形を例に挙げて上記した事項は、適用可能な限り、上記の略長方形に適用されてもよい。
【0020】
略長方形及び略正方形を例に挙げて上記した事項は、適用可能な限り、他の多角形や下記の略円形に適用されてもよい。
【0021】
図1(c)には、連結された複数の凍結餃子100の連結面が略円形である例が示されている。本明細書では、この並べ方を「円盤型」という。
【0022】
凍結羽根形成組成物102で連結された複数の凍結餃子100の作製方法は、特に限定されない。一例としては、以下の工程を含むものが挙げられる。
(工程S1)複数の未凍結の餃子(中具を皮で包んだ生餃子)又は凍結餃子の下面を下方に向け、羽根形成組成物を接触させる工程。
(工程S2)工程S1によって得られた状態で、複数の未凍結の餃子又は凍結餃子と羽根形成組成物とを凍結させ、それによって、凍結羽根形成組成物によって連結した複数の凍結餃子を得る工程。尚、凍結前に、餃子に蒸し加熱やボイル加熱などの予備的な加熱処理や、必要に応じた処理を適宜加えてもよい。
上記工程S1において、未凍結の餃子又は凍結餃子の下面に羽根形成組成物を凍結状態で一体化させる方法は任意であって、例えば、餃子本体に対して羽根形成組成物を位置させるための型を用いる方法や、冷却によって粘度を高めた羽根形成組成物を餃子に塗布する方法等であってもよい。
容器内において上記工程S1及びS2を順次実施することにより、該容器内に収容された状態で凍結羽根形成組成物102で連結された複数の凍結餃子100を完成させることができる。得られた連結された凍結餃子100は、その状態のままで適切な支持体上に載置させてもよいし、凍結に用いた容器が適切な支持体の要件を満たす場合には、そのまま本発明の支持体つき冷凍餃子とすることもできる。
【0023】
本発明の支持体つき冷凍餃子における支持体は、連結された凍結餃子100がそのまま(即ち、連結されたまま)の状態で該支持体上をスライドし、フライパン等の調理器具上に一挙に載置可能であれば特に限定されない。支持体は、それ自体が、支持体つき冷凍餃子を保存、輸送し、流通させることが可能な包装容器であってもよく、外装用の袋などに封入される平板状体、平板状体の変形体、箱体等であってもよい。ここで、平板状体の変形体とは、平板状体の端部の一部を立ち上がらせてなる立ち上がり部を形成したもの又は平板状体の端部の一部に別途調製した立ち上がり部を接続したもののことをいい、その一例を図3-3を参照して後述する。立ち上がり部は、凍結餃子100をスライドさせる際にガイドとして機能してもよく、凍結餃子100がズレないようにストッパーとして機能してもよい。
【0024】
支持体の材質は特に限定されず、例えば、紙、可撓性フィルム、両者を積層したもの、プラスチック、パルプモールド、シリコーン樹脂、ゴム、アルミ箔、これらの材料を積層したもの等が適宜用いられる。ゴミを捨てる際に嵩張らない、環境にやさしい等の効果を考慮すると、紙、可撓性フィルム、両者を積層したもの等が好ましく用いられる。
【0025】
支持体が包装容器であるとき、連結された複数の連結餃子100は該包装容器に直接封入されている。
【0026】
包装容器は、外装用の袋であってもよく、あるいは、それ自体で保存、輸送、流通が可能な限り、外装用の袋を有しない箱体であってもよい。この場合、該箱体は、少なくとも天面を有する閉鎖型のものである。
【0027】
包装容器が外装用の袋であるとき、該袋は、連結された凍結餃子100をそのままの状態で封入することが可能であり、かつ、開封されて傾けられた際に内部に封入された連結された凍結餃子100がそのままの状態でその内面をスライドし得るものであれば特に限定されない。一例を挙げると、袋は、可撓性フィルム(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、セロハン、ポリオレフィン、ポリエチレンなどの単層フィルムまたはこれらを多層に積層したもの等、紙等からなる平袋状の包装袋200である。本明細書では、この態様を「実施態様1」といい、図2-1及び図2-2にその概要を示す。図2-1(a)及び図2-2(a)は、包装袋200に連結された凍結餃子100を封入した包装物の平面図である。図2-1(b)及び図2-2(b)は、それぞれ図2-1(a)及び図2-2(a)の包装物を傾けて、連結された凍結餃子100をそのままの状態で、矢印方向にスライドさせている図である。
尚、実際に連結された凍結餃子100を袋200から取り出す際に、該袋を傾けて滑り出させるか、あるいは、例えば、開口部付近の凍結羽根形成組成物102を手で摘まんで引き出すか等は、消費者が適宜選択すればよいが、衛生面を考慮すれば、袋を持って傾けるだけで連結された凍結餃子100を滑り出させ得る状態であることが望ましい。
【0028】
包装容器が箱体であるとき、該箱体は、内部に連結された凍結餃子100をそのままの状態で載置可能な閉じた空間を有していれば特に限定されない。包装容器が箱体であるときの該箱体の外形としては、その底面が連結された凍結餃子100を収容し得る形状である柱体上であれば特に制限はないが、連結された凍結餃子100の連結面の形状に応じて、例えば、略直方体、略立方体、略逆円錐台形状又は略円柱状が挙げられる。
【0029】
支持体が平板状体もしくはその変形体あるいは、天面の全部もしくは一部及び/又は連結された凍結餃子100が排出される側面の全部もしくは一部が開口している箱体であるとき、該支持体は、連結された凍結餃子100とともに包装容器、例えば、外装用の袋等に封入される。例えば、図3-1(a)及び図3-2(a)では、連結された凍結餃子100が平板状体である支持体300上に載置され、包装袋200に封入されている。図3-1(b)及び図3-1(c)並びに図3-2(b)及び図3-2(c)は、それぞれ図3-1(a)及び図3-2(a)の包装物から連結された凍結餃子100を取り出す一態様を示しており、包装袋200を持った状態で傾けるか、開口部付近の支持体300を手で摘まんで該支持体の全部を連結された凍結餃子100とともに包装袋200の外に矢印方向に引き出し、該支持体300を傾けることにより、連結された凍結餃子100を矢印方向にスライドさせている。別の態様では、開口部付近の支持体300を手で摘まんで該支持体の一部を連結された凍結餃子100とともに包装袋200の外に引き出し、該支持体300を傾けることにより、連結された凍結餃子100をスライドさせることもできる。さらに別の態様では、包装袋200と支持体300とを持った状態で傾けて、連結された凍結餃子100をそのままの状態で、スライドさせることもできる。また、図3-3は、支持体が平板状体の変形体である態様の一例を示している。図3-3(a)では、連結された凍結餃子100が、長方形の平板状体において、凍結餃子100のスライド方向に沿って両端部を鉛直方向に立ち上がらせて立ち上がり部を形成した平板状体の変形体である支持体300上に載置されている。図3(b)は、該支持体300を傾けることにより、連結された凍結餃子100を矢印方向にスライドさせている。
【0030】
支持体が外装用の袋等に封入される箱体であるとき、該箱体は、内部に連結された凍結餃子100をそのままの状態で載置可能な空間を有していれば特に限定されず、該空間は必ずしも閉じている必要はない(例えば、箱体の天面や、側面の一部が開口していてもよい)。支持体が箱体であるときの箱体の外形としては、その底面が連結された凍結餃子100を収容し得る形状である柱体上であれば特に制限はないが、連結された凍結餃子100の連結面の形状に応じて、例えば、略直方体、略立方体、略逆円錐台形状又は略円柱状が挙げられる。
【0031】
包装容器が箱体であるとき、又は外装用の袋に封入される支持体が箱体であるとき、連結された複数の凍結餃子100を連結されたままの状態で、該箱体の、連結面と接する面上をスライドさせて該箱体外に取り出せるように、該箱体の側面の全部又は一部が、存在しない又は存在しないように変形し得るか、あるいは鉛直方向に対して所定の角度、例えば30度以上傾斜している、又は傾斜するように変形し得る形状であることが好ましい。
【0032】
一実施態様においては、箱体の側面の全部又は一部は、鉛直方向に対して30~90度だけ傾いていてもよいし、傾斜するように変形し得る形状であってもよい。箱体の側面の一部が傾いている場合、傾いている部分は、連結された凍結餃子100をスムーズにスライドさせて該箱体外に取り出し可能な限り、特に制限はない。好ましい傾斜角としては、例えば、40~80度が挙げられる。本明細書では、支持体が箱体400であって、該箱体の側面の全部又は一部が鉛直方向に対して45度だけ傾斜している、又は傾斜するように変形し得る形状である箱体を用いた態様を「実施態様3」といい、図4-1及び図4-2にその具体例を示す。図4-1は箱体が略直方体状、図4-2は箱体が略逆円錐台形状である態様をそれぞれ示している。図4-1(a)では、箱体400の一側面401が45度だけ傾斜しており、ストッパー402によってその傾斜角が保持されている。ストッパー402は、可撓性の材料よりなるか、谷折り、蛇腹式等によって開閉自在とすることができ、その場合、ストッパー402が閉じた状態では該箱体400は直方体状となり、特に天面403を有する場合には、該箱体400自体が包装容器となり得る。図4-2(a)では、略円柱状の箱体の側面401の全部が45度外向きに傾斜しており、それ自体がストッパーの役目を果たすことで傾斜角が保持されているが、連結された凍結餃子100をスムーズにスライドさせて該箱体外に取り出し可能な限り、該側面401の一部のみ(例えば、連続した半分以上)が傾斜していてもよい。該側面401の傾いている部分を、例えばアルミカップのような蛇腹式の形状とすることにより開閉自在とすることができ、その場合、側面401が折り畳まれた状態では該箱体400は円柱状となる。図4-1(b)及び図4-2(b)に示されるように、箱体400を傾斜させた場合に、傾いた側面401がフライパン等の調理器具に対して略水平となることにより、連結された凍結餃子100をより衝撃が少ない状態で該調理器具上に載置させることができ、連結された凍結餃子100の破断を避け得ることが期待できる。
【0033】
また、箱体の側面の全部又は一部は、該箱体の底面と一直線になるよう変形してもよい。本実施態様は、前記実施態様3において、傾斜角が90度である場合に相当するので、実施態様3のうちの特別な実施態様とも捉えられる。本明細書では、支持体(包装容器)が箱体500であって、該箱体の側面の全部又は一部が、引っ張ることにより該箱体の底面と一直線になるよう変形する前記箱体を用いた態様を「実施態様4」といい、その具体例を図5-1及び図5-2に示す。図5-1は一側面501が閉じた状態で箱体500が直方体状、図5-2は側面501が閉じた状態で箱体500が逆円錐台形状である態様をそれぞれ示している。図5-1(a)では、側面501を引っ張って該側面が箱体500の底面と一直線になった状態を示しており、ストッパー502によってその状態が保持されている。ストッパー502は、可撓性の材料よりなるか、谷折り、蛇腹式等によって開閉自在とすることができ、特に箱体500が天面503を有する場合には、該箱体500自体が包装容器となり得る。図5-2(a)では、逆円錐台形状の箱体の側面501の全部を引っ張って該側面が箱体500の底面と一直線になった状態を示しており、該側面自体がストッパーの役目を果たすことで一直線の状態が保持されているが、連結された凍結餃子100をスムーズにスライドさせて該箱体外に取り出し可能な限り、該側面501の一部のみ(例えば、連続した半分以上)が箱体500の底面と一直線になってもよい。また、図5-2(a)では、該側面501の引っ張る部分をアルミカップのような蛇腹式の形状としているが、例えば側面501に底面と鉛直方向に多数の破断線(ミシン目)を入れておいたりすることにより、引っ張った際に開閉自在とすることができる。図5-1(b)及び図5-2(b)に示されるように、箱体500を傾斜させた場合に、連結された凍結餃子100がスライドして該箱体外に取り出される。あるいは、側面501が箱体500の底面と一直線になった開口部付近の凍結羽根形成組成物102を手などで摘まんで、連結された凍結餃子100をそのままの状態で箱体500の外部に引っ張り出すこともできる。
【0034】
尚、実施態様4において、ストッパー502として可撓性の材料を用いることにより、フライパン等の調理器具上に側面501を載置した場合に、連結された凍結餃子100を最もスライドさせやすい、及び/又は、調理器具上に排出される際に連結された凍結餃子100が破断しにくいように、消費者は適宜傾斜角を調整することができる。
【0035】
さらに、箱体に引き裂きジッパー部が設けられ、該引き裂きジッパー部を引き裂くことにより、箱体の側面の一部又は全部が存在しなくなるように、該箱体を設計してもよい。例えば、引き裂きジッパー部は、少なくとも箱体の天面を横断又は縦断して箱体の2つの側面の下部まで延びるもの(すなわち、底面において繋がったままのもの)であってもよく、箱体の底面をも横断又は縦断するもの(すなわち、箱体を2つの部分に切り離すもの)であってもよい。引き裂きジッパー部はまた、箱体の側面の一部又は全部に、底面から所定の高さをもって(即ち、引き裂きジッパー部が所定の幅をもって)左右方向に設けられてもよい。当該所定の高さは、引き裂きジッパー部が切り離された結果、それにより形成された開口部から連結された凍結餃子100がスムーズにスライドして該箱体外に取り出し可能であれば特に制限はなく、例えば、凍結餃子の高さより大きいことが好ましい。本明細書では、支持体(包装容器)が箱体600であって、該箱体に引き裂きジッパー部610が設けられた前記箱体を用いた態様を「実施態様5」といい、図6-1及び図6-2にその具体例を示す。図6-1は箱体600が直方体状であり、引き裂きジッパー部610が該箱体を2つの部分に切り離し得るように設けられた態様を示している。(図6-1(a)は引き裂きジッパー部610を引っ張る前の状態を示しており、図6-1(b)は引き裂きジッパー部610を引っ張って箱体600を2つの断片(620,630)に切り離し、それにより連結された凍結餃子100の一部が該箱体外に露出した状態を示している。さらに図6-1(c)において、連結された凍結餃子100を含む箱体600の断片620を傾けて、連結された凍結餃子100を矢印方向に取り出す様子を示している。一方、図6-2は箱体600が円柱状であり、引き裂きジッパー部610が該箱体の側面の全部に、底面から所定の高さをもって左右方向に設けられた態様を示している。図6-2(a)は、引き裂きジッパー部610を引っ張る前の状態を示しており、図6-2(b)は引き裂きジッパー部610の一部を引っ張って、箱体600の側面に、連結された凍結餃子100をスライドさせて該箱体外に取り出し可能な程度の開口部を形成させた状態を示している。さらに図6-2(c)において、箱体600の断片を傾けて、連結された凍結餃子100を矢印方向に取り出す様子を示している。
【0036】
本発明の支持体つき冷凍餃子は、複数の凍結餃子101が凍結羽根形成組成物102によって連結されているが、輸送・流通過程で外気に晒される間に凍結羽根形成組成物が融解する場合があり得るので、本発明における包装容器及び/又は包装容器に封入される支持体は、少なくとも連結された複数の凍結餃子100と接する面において耐水性であることが好ましい。その点では、該包装容器又は該支持体は、耐水性の素材からなるものであることが好ましく、例えば、プラスチックや可撓性フィルム等を挙げることができる。しかしながら、該包装容器又は該支持体がプラスチック等からできている場合には、使用後のゴミが嵩高くなったり、環境への負荷が大きい等の問題がある。そのため、本発明の好ましい位置実施態様においては、該包装容器又は該支持体は耐水加工された紙であることが好ましい。耐水加工された紙は特に限定されないが、一例として、坪量(目付)が310g/mである片面コートカードBの片面(本明細書では、凍結餃子と接する面)に、12μmの厚さのポリエチレンテレフタレートが積層されたもの(以下、「片面コートカードB310g/内面PET12μ」ともいう。)が挙げられる。前述の図3-1~図3-3においては、平板状の支持体としての耐水加工された紙300を用いることができる。また、図2-1、図2-2、図3-1及び図3-2における平袋状の包装袋200としても、その内面が耐水加工された紙を用いることもできる。さらに、図4-1及び図4-2における箱体400の少なくとも内底面、好ましくは内底面及び内側面、天面を有する場合はさらに内天面に、図5-1及び図5-2における箱体500の少なくとも内底面、好ましくは内底面及び内側面、天面を有する場合はさらに内天面に、図6-1及び図6-2における箱体600の少なくとも内底面、好ましくは内底面及び内側面、天面を有する場合はさらに内天面に、それぞれ耐水加工された紙を用いることが好ましい。
【0037】
本発明の支持体つき冷凍餃子は、少なくとも部分的には、連結された凍結餃子100を支持体上をスライド可能にすることにより、従来の冷凍餃子製品における一個ずつフライパン等の調理器具上に載置しなければならず、そのためにすべての凍結餃子を置き終わる前に、凍結羽根形成組成物が融解してしまい、うまく焼き上がらないといった課題を解決した点にその特徴がある。従って、本発明は、該支持体上をスライドさせて複数の凍結餃子を一気に調理器具上に載置し得る限り、載置する際に連結された凍結餃子100が2個以上の断片に破断してしまうことを排除しない。さらに、保存、輸送、流通の過程で包装容器に封入された状態で落下した場合にも、部分的に連結状態が維持されている限り、連結された凍結餃子100が2個以上の断片に破断してしまうことを排除しない。しかしながら、仕上がり(餃子の配置等)の美しさなどを考慮すれば、連結された凍結餃子100は、単にそのままの状態で取り出し可能なだけでなく、完全に連結された状態のままで、調理器具上に載置される、及び/又は落下しても完全には連結状態を消失しないことが望ましい。しかも、味等の品質を劣化させないで、当該効果を達成することが望ましい。
【0038】
本発明において、複数の凍結餃子101を連結する凍結羽根形成組成物102の厚さT1(図1(a-2)参照)としては、例えば3~10mmが挙げられ、4~8mmが好ましく、4~7mmがより好ましい。以下の実施例に示されるように、凍結羽根形成組成物の厚さがこの範囲内であることで、連結された複数の凍結餃子が包装容器に封入された状態で落下しても凍結羽根形成組成物102が割れず、一旦融解した後で再凍結させても連結された複数の凍結餃子100を包装容器又は支持体上でスライドさせることが可能であり、かつ、羽根形成組成物が焼け残らない。
【0039】
本発明において、連結された凍結餃子100における一番近い凍結餃子101間の距離としては、例えば3~10mmが挙げられ、4~10mmが好ましく、5~10mmがより好ましい。ここで「一番近い凍結餃子101間の距離」とは、隣接する凍結餃子101間の距離のうち最も短いもののことをいい、図1(a)に示された直列型の例ではD1、図1(c)に示された円盤型の例ではD2のことである。以下の実施例に示されるように、一番近い凍結餃子101間の距離がこの範囲内であることで、連結された複数の凍結餃子100が包装容器に封入された状態で落下しても凍結羽根形成組成物102が割れず、一旦溶けた後で再凍結させても連結された複数の凍結餃子100を包装容器又は支持体上でスライドさせることが可能であり、かつ、羽根形成組成物が焼け残らない。
【0040】
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例
【0041】
〔餃子本体の準備〕
味の素社製「ギョーザ」の餃子を包餡成型後に凍結したものを、冷蔵庫(-5℃)にて解凍した。
〔羽根形成組成物の調製〕
表1に記載の配合の羽根形成組成物を作製した。
【0042】
【表1】
【0043】
まず、水に粉体材料を全て投入し、ホモジナイザー(IKA-WERKE社製「ULTRA-TURRAX T50 basic」)にて3分間混合した(結果物A)。次に、乳化剤としてのレシチンと増粘剤としてのキサンタンガムをサラダ油に投入した後、ゴムベラで混合した(結果物B)。最後に、前記ホモジナイザーで攪拌しながら結果物Aに結果物Bを少量ずつ投入し、5分間混合することで羽根形成組成物を調製した。
【0044】
〔凍結羽根形成組成物102によって連結された複数の凍結餃子100の作製〕
上記で調製した羽根形成組成物を、片面コートカードB310g/内面PET12μ製の、直方体状のの容器(長辺18cm×短辺7cm×高さ5.5cm)及び逆円錐台形状の容器(底面の直径が14cm、16cm、18cm、20cmの4通り、高さが2cm、側面の鉛直方向に対する傾斜角度が45度)に充填し、上記で解凍した餃子本体を置いて95~100℃で9分間スチームコンベクションオーブン(ホシザキ電気株式会社製「МIC-6SA3-1」)にて蒸し加熱した。加熱後、急速凍結庫(庫内温度:-30℃)にて凍結させた。
【0045】
[支持体つき冷凍餃子の作製]
凍結羽根形成組成物102によって連結された複数の凍結餃子100を容器から剥がして、下記の包装容器に入れ替えた。
【0046】
実施態様1
凍結羽根形成組成物102によって連結された複数の凍結餃子100のみを、袋200(材質及び厚さ:易接着性ポリエチレンテレフタレート(厚さ12μm)と線状低密度ポリエチレン(厚さ40μm)を積層したもの、サイズ:平面視で長辺23cm×短辺12cmの長方形(直列型)又は一辺26cmの正方形(円盤型))に直接入れた。
【0047】
実施態様2
凍結羽根形成組成物102によって連結された複数の凍結餃子100を、片面コートカードB310g/内面PET12μ(平面視で長辺18cm×短辺7cmの長方形(直列型)又は一辺20cmの正方形(円盤型))300に載せた状態で袋200(材質及び厚さ:易接着性ポリエチレンテレフタレート(厚さ12μm)と線状低密度ポリエチレン(厚さ40μm)を積層したもの、サイズ:平面視で長辺23cm×短辺12cmの長方形(直列型)又は一辺26cmの正方形(円盤型))に入れた。
【0048】
実施態様3
凍結羽根形成組成物102によって連結された複数の凍結餃子100を、片面コートカードB310g/内面PET12μ製の、長辺18cm×短辺7cm×高さ5.5cmの直方体の一方の短側面401を、鉛直方向に対して45度だけ傾斜させた包装容器400、及び片面コートカードB310g/内面PET12μ製の、底面の直径がそれぞれ14cm、16cm、18cm、20cm、高さが2cmである逆円錐台形の側面401の全部を、鉛直方向に対して45度だけ傾斜させた箱体400に入れた。
【0049】
実施態様4
凍結羽根形成組成物102によって連結された複数の凍結餃子100を、片面コートカードB310g/内面PET12μ製の、長辺18cm×短辺7cm×高さ5.5cmの直方体の一方の短側面501を、該直方体の底面と一直線になるように開口させることが可能な包装容器500、及び片面コートカードB310g/内面PET12μ製の、底面の直径がそれぞれ14cm、16cm、18cm、20cm、高さが5cm、側面の鉛直方向に対する傾斜角度が45度である逆円錐台形の側面501の全部を、該逆円錐台形の底面と一直線になるように開口させることが可能な包装容器500に入れた。
尚、本実施態様における逆円錐台形のものについて、下記の実施例では、天面の無いものを使用した。
【0050】
実施態様5
凍結羽根形成組成物102によって連結された複数の凍結餃子100を、片面コートカードB310g/内面PET12μ製の、長辺18cm×短辺7cm×高さ5.5cmの直方体であって引き裂きジッパー部610(天面、両側面及び底面を横断するように、各面における長辺の一端から2cm開けて、1.5cmの幅を有して設けられており、縦方向に引き裂かれる)が設けられた包装容器600、及び片面コートカードB310g/内面PET12μ製の、底面の直径が20cm、高さが5.5cmである円柱形であって引き裂きジッパー部610(側面の全周にわたって5cmの幅を有して設けられており、横方向に引き裂かれる)が設けられた包装容器600に入れた。
尚、本実施態様について、下記の実施例では、直方体は天面の無い箱体を2つ組み合わせて作製した(組み合わせる前に、一方の箱体の底面に凍結餃子を載置した)。円柱形は、天面の無い箱体の底面に凍結餃子を載置し、その後で天面を付けることで作製した。
【0051】
[試験区(1)]
凍結羽根形成組成物102によって直列型又は円盤形型に連結された凍結餃子100を包装容器に入れ、該包装容器の内面をスライドさせてフライパン上に置くことが可能か否かを確認した。
【0052】
試験方法
上記の通り、支持体つき冷凍餃子を作製した。尚、凍結羽根形成組成物102の厚さは5mm、一番近い凍結餃子101間の距離は5mmとした。評価指標を表2に、評価結果を表3にそれぞれ示す。
尚、本試験区において、直列型については連結された凍結餃子の数は6つ、円盤型については連結された凍結餃子の数は8つであった。また、円盤型については、実施態様1及び3については、底面の直径が14cm、16cm、18cm及び20cmの容器を用いて作製したものを、底面の直径が14cm、16cm、18cm及び20cmの容器にそれぞれ入れたが、結果は変わらなかった。実施態様2及び4については、底面の直径が18cmの容器を用いて作製したものを、底面の直径が18cmの包装容器に入れた。実施態様5については、底面の直径が18cmの容器を用いて作製したものを、底面の直径が20cmの包装容器に入れた。
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
表3から分かるように、実施態様1~5の全てについて、直列型であっても円盤型であっても、凍結羽根形成組成物102によってに連結された凍結餃子100をスライドさせてフライパン上に置くことが可能であった。
【0056】
[試験区(2)]
本発明の支持体つき冷凍餃子では、従来の冷凍餃子に使用されるトレイを使用しないため、夏場に持ち帰る際に凍結羽根形成組成物バッター200が溶けて包装容器に張り付く可能性、落下時に凍結羽根形成組成物102が割れやすい可能性、及び羽根形成組成物が焼け残りやすい可能性があった。そこで、凍結羽根形成組成物200の厚さを変動させることでこれらの課題を解決可能か否かを確認した。
【0057】
試験方法
一番近い凍結餃子101間の距離は5mmとし、羽根形成組成物の量を異ならせて凍結羽根形成組成物102によって連結された複数の凍結餃子100を作製した。その後、直列型については実施態様2の支持体つき凍結餃子を、円盤型については実施態様1の支持体つき凍結餃子を作製し、冷凍庫で-18℃にて保存後、以下の試験に供した。

持ち帰り試験・・・30℃のインキュベーター(三洋電機株式会社製「МIR-153」)内に45度傾けて支持体つき冷凍餃子を配置し、20分後に急速凍結で再凍結した。再凍結後、複数の凍結餃子100を連結された状態でスライドさせてフライパン上に配置することができるかを確認した。
落下試験・・・30cmの高さから1回垂直に落下させて、凍結羽根形成組成物200の割れを確認した。
調理試験・・・フライパンに蓋をして5分間蒸し焼きした後、蓋を開けて餃子に焼き目がつくまで焼いた。

評価指標を表4に、直列型の評価結果を表5、円盤型の評価結果を表6にそれぞれ示す。
尚、本試験区において、直列型については連結された凍結餃子の数は6つ、円盤型については連結された凍結餃子の数は8つであった。また、円盤型については、底面の直径が18cmの容器を用いて作製したものを用いた場合のデータを示している(底面の直径が14cm、16cm及び20cmの容器を用いて作製したものを用いた場合も試験したが、結果は変わらなかった)。
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【0061】
表5及び表6から、凍結羽根形成組成物の厚さを異ならせても、スライド可能であることが分かる。また、表5から、直列型では、凍結羽根形成組成物102の割れ羽根形成組成物の焼け残りの観点から、凍結羽根形成組成物102の厚さの最適範囲は3~10mmであることが分かる。さらに、表6から、円盤型では、凍結羽根形成組成物102の割れ及び羽根形成組成物の焼け残りの観点から、凍結羽根形成組成物102の厚さの最適範囲は1~10mmであることが分かる。
【0062】
[試験区(3)]
試験区(2)において説明したように、本発明の支持体つき冷凍餃子では、従来の冷凍餃子に使用されるトレイを使用しないため、夏場に持ち帰る際に凍結羽根形成組成物102が溶けて包装容器に張り付く可能性、落下時に凍結羽根形成組成物102が割れやすい可能性、及び羽根形成組成物が焼け残りやすい可能性があった。そこで、本試験区では、一番近い凍結餃子101間の距離を変動させることでこれらの課題を解決可能か否かを確認した。
【0063】
試験方法
凍結羽根形成組成物102の厚さは5mmとし、一番近い凍結餃子101間の距離を異ならせて凍結羽根形成組成物102によって連結された複数の凍結餃子100を作製したこと以外は、試験区(2)と同様であり、評価指標も表4と同様である。直列型の評価結果を表7、円盤型の評価結果を表8にそれぞれ示す。
尚、円盤型については、底面の直径が18cmの容器を用いて作製したものを用いた場合のデータを示している(底面の直径が14cm、16cm及び20cmの容器を用いて作製したものを用いた場合も試験したが、結果は変わらなかった)。
【0064】
【表7】
【0065】
【表8】
【0066】
表7及び表8から、一番近い凍結餃子間の距離を異ならせても、スライド可能であることが分かる。また、表7から、直列型では、凍結羽根形成組成物102の割れ及び羽根形成組成物の焼け残りの観点から、一番近い凍結餃子101間の距離の最適範囲は3~10mmであることが分かる。さらに、表8から、円盤型では、凍結羽根形成組成物102の割れ及び羽根形成組成物の焼け残りの観点から、一番近い凍結餃子101間の距離の最適範囲は3~20mmであることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の支持体つき冷凍餃子によれば、餃子を手で触れることなしにフライパン等の調理器具の上に一挙に並べることが可能となる。また、本発明の支持体つき冷凍餃子はプラスチック製等のトレイを使用しないことも可能になるため、調理後に出るゴミ捨てる際に嵩張らず、さらに環境にも優しい。
【要約】
【課題】従来の冷凍餃子の多くは、段差のあるプラスチック製のトレイに収容されていることから、(1)餃子を1個ずつ手でトレイから剥がしてフライパン等の調理器具の上に並べることが手間であると同時に手が汚れるという不満がある、(2)調理後に出るゴミを捨てる際にトレイが嵩張る、(3)プラスチックゴミによる環境破壊が問題となっている、といった課題が存在する。
【解決手段】凍結羽根形成組成物によって連結された複数の凍結餃子と、その連結面に接する支持体とを含み、該支持体は、凍結餃子が連結されたままの状態で該支持体上をスライド可能であるか、スライド可能となるように変形し得る形状である、支持体つき冷凍餃子によって上記課題を解決した。
【選択図】図2-1
図1
図2-1】
図2-2】
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図4-1】
図4-2】
図5-1】
図5-2】
図6-1】
図6-2】