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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】エレベータの制御システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/18 20060101AFI20230920BHJP
【FI】
B66B1/18 K
B66B1/18 L
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022130564
(22)【出願日】2022-08-18
【審査請求日】2022-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須藤 豪
(72)【発明者】
【氏名】小村 章
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】特許第7088357(JP,B1)
【文献】特開2022-103826(JP,A)
【文献】特開2019-178006(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107601185(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各階に設置され、利用者から顔情報を取得する顔情報取得部と、
コードリーダと、
利用者が前記コードリーダに読み取らせたコードに対応する行先階について、それらの順序を降車順として登録することが可能となるように構成された登録部と、
前記登録部にて利用者が前記降車順を登録した場合に、当該降車順の登録のときに登録対象になった行先階のうちの少なくとも一部の行先階と、前記登録部で登録された前記降車順のうちの当該少なくとも一部の行先階についての降車順とを、前記顔情報取得部が取得した当該利用者の顔情報に対応付けた状態で行先階管理データに保存する行先階管理処理部と、
前記顔情報取得部が取得した前記利用者の顔情報が、前記行先階管理データに保存されている前記顔情報の何れかと合致するごとに、前記行先階管理データにて当該顔情報に対応付けられている前記降車順のとおりに、そのときの順序に対応した前記行先階を対象として呼び登録を行う呼び登録処理部と、
を備える、エレベータの制御システム。
【請求項2】
前記コードには宛先情報が含まれており、当該宛先情報ごとに行先階が対応付けされている宛先管理データ、を更に備え、
前記行先階管理処理部は、前記宛先管理データから、利用者が前記コードリーダに読み取らせたコード内の宛先情報に対応付けられている前記行先階を抽出し、
前記登録部は、前記行先階管理処理部が抽出した前記行先階についての前記降車順を登録することが可能となるように構成されている、請求項に記載のエレベータの制御システム。
【請求項3】
前記登録部には、利用者が前記コードリーダに読み取らせたコードに対応する行先階が選択可能に表示されると共に、同じ複数の行先階については1つに纏めて表示され、
前記登録部に表示されている前記行先階を利用者が順に選択した場合に、前記行先階管理処理部は、当該登録部での利用者による選択順が前記降車順として登録されたものとして、当該降車順の登録のときに選択された前記行先階のうちの少なくとも一部と、登録された前記降車順のうちの当該少なくとも一部の行先階についての降車順とを、前記顔情報に対応付けた状態で前記行先階管理データに保存する、請求項に記載のエレベータの制御システム。
【請求項4】
前記登録部には、利用者が前記コードリーダに読み取らせたコードに対応する行先階が選択可能に表示されると共に、各行先階に対応する前記コードに紐付いた宛名が更に表示され、且つ、その行先階が、同じ複数の行先階について1つに纏められたものである場合には、当該複数の行先階にそれぞれ対応する前記コードに紐付いている全ての宛名が表示される、請求項に記載のエレベータの制御システム。
【請求項5】
前記行先階管理処理部は、前記少なくとも一部の行先階を前記行先階管理データに保存する場合、各行先階を、当該行先階に対応する前記コードに紐付いた宛名と対応付けた状態で前記行先階管理データに保存し、且つ、その行先階が、同じ複数の行先階について1つに纏められたものである場合には、当該複数の行先階にそれぞれ対応する前記コードに紐付いている全ての宛名を当該1つの行先階に対応付けた状態で前記行先階管理データに保存し、
呼び登録処理部は、前記行先階を対象として前記呼び登録を行った場合、その行先階と、前記行先階管理データにて当該行先階に対応付けられている全ての前記宛名とを利用者に通知する、請求項に記載のエレベータの制御システム。
【請求項6】
前記登録部にて利用者が前記降車順を登録した場合には、
前記呼び登録処理部は、前記降車順の登録のときに登録対象になった前記行先階のうちの当該降車順が先頭であるものを対象として前記呼び登録を行い、
前記行先階管理処理部は、前記降車順の登録のときに対象になった前記行先階のうちの当該降車順が先頭であるものを除いた行先階と、登録された前記降車順のうちの当該行先階についての降車順とを、前記顔情報に対応付けた状態で前記行先階管理データに保存する、請求項1~5の何れか1つに記載のエレベータの制御システム。
【請求項7】
前記登録部にて利用者が前記降車順を登録した場合、前記行先階管理処理部は、当該登録部の設置階を、その登録部で登録された降車順の最後に加えて、前記少なくとも一部の行先階と共に前記行先階管理データに保存する、請求項1~5の何れか1つに記載のエレベータの制御システム。
【請求項8】
前記コードリーダは、利用者が所有する端末装置で構成されたものを含み、
前記登録部は、前記端末装置と近距離通信を行うことにより、その端末装置で読み取られたコードに対応する行先階について前記降車順を登録することが可能となるように構成されている、請求項1~5の何れか1つに記載のエレベータの制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔認証技術を利用したエレベータの制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
マンションやオフィスビルなどの建物に設置されるエレベータは、当該建物内の各部屋の入居者だけでなく、それらの部屋に配達物(新聞や郵便などを含む)を届ける配達員にも利用される(例えば、特許文献1参照)。そして、配達員は、同じ建物内の複数の部屋に配達物を届ける場合、配達伝票などで配達先を確認しながら、当該配達先の部屋がある行先階へエレベータで順に移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-206357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、例えば配達物の量が多くて配達員の手が塞がっている場合、配達員は、エレベータを利用する際に、その都度、配達物を降ろして行先階を手入力で登録しなければならず、エレベータの利用に際して煩わしい動作が強いられることになる。
【0005】
そこで本発明の目的は、エレベータを利用して異なる複数の行先階へ移動する場合の当該エレベータの利便性を向上させることが可能な制御技術を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るエレベータの制御システムは、顔情報取得部と、コードリーダと、行先階管理データと、呼び登録処理部と、を備える。顔情報取得部は、各階に設置され、利用者から顔情報を取得する。行先階管理データには、利用者がコードリーダに読み取らせたコードに対応する行先階のうちの少なくとも一部が、顔情報取得部が取得した当該利用者の顔情報と対応付けられた状態で保存される。呼び登録処理部は、顔情報取得部が取得した利用者の顔情報が、行先階管理データに保存されている顔情報の何れかと合致した場合に、行先階管理データにて当該顔情報に対応付けられている行先階のうちの何れか1つを対象として呼び登録を行う。
【0007】
上記制御システムによれば、マンションやオフィスビルなどの建物において配達員がエレベータを利用して配達物(新聞や郵便などを含む)を届ける場合において、配達伝票に、行先階の特定に利用できるコードが記載されている場合には、エレベータの利用者である配達員は、配達伝票に記載のコードをコードリーダに読み取らせることにより、当該コードに対応する行先階を、自身の顔情報に対応付けて行先階管理データに保存することができる。そして、配達員は、そのようにコードリーダにコードを読み取らせて行先階を登録しておくことにより、その後は、乗車階にて自身の顔情報を顔情報取得部に取得させるだけで、手入力での登録操作なしに次の行先階へ移動することが可能になる。具体的には、乗車階にて配達員が自身の顔情報を顔情報取得部に取得させるだけで、次の行先階へ移動するための呼び登録が自動で行われることになる。よって、例えば配達物の量が多くて配達員の手が塞がった状況であっても、その配達員にとって、次の行先階への移動が必要になるたびに配達物を降ろして行先階を手入力で登録しなければならないといった煩わしさがなくなる。
【0008】
上記制御システムは、登録部と、行先階管理データを管理する行先階管理処理部と、を更に備えていてもよい。ここで、登録部は、利用者がコードリーダに読み取らせたコードに対応する行先階について、それらの順序を降車順として登録することが可能となるように構成されていてもよい。この構成において、登録部にて利用者が降車順を登録した場合に、行先階管理処理部は、当該降車順の登録のときに登録対象になった行先階のうちの少なくとも一部と、登録部で登録された降車順のうちの当該少なくとも一部の行先階についての降車順とを、顔情報に対応付けた状態で行先階管理データに保存してもよい。また、呼び登録処理部は、顔情報取得部が取得した利用者の顔情報が、行先階管理データに保存されている顔情報の何れかと合致するごとに、行先階管理データにて当該顔情報に対応付けられている降車順のとおりに、そのときの順序に対応した行先階を対象として呼び登録を行ってもよい。
【0009】
上記構成によれば、配達員は、配達先がある行先階へ移動する順序(降車順)を、登録部にて所望の順序で登録することができ、そのような降車順の登録を行うことにより、その後は、乗車階にて自身の顔情報を顔情報取得部に取得させるだけで、手入力での登録操作なしに、配達先がある行先階へ所望の順序で移動することが可能になる。
【0010】
上記制御システムは、宛先管理データを更に備えていてもよい。ここで、上記コードには宛先情報が含まれていてもよく、宛先管理データでは、当該宛先情報ごとに行先階が対応付けされていてもよい。この構成において、行先階管理処理部は、宛先管理データから、利用者がコードリーダに読み取らせたコード内の宛先情報に対応付けられている行先階を抽出してもよい。そして、登録部は、行先階管理処理部が抽出した行先階についての降車順を登録することが可能となるように構成されていてもよい。
【0011】
上記構成によれば、宛先管理データにおいて、コードに必ず含まれている配達先の宛名などの情報を宛先情報として、当該配達先がある階(行先階)と対応付けておくことにより、配達伝票に記載のコードに行先階が含まれていない場合や、含まれていたとしても受取り窓口は別の階であるといった場合であっても、宛先管理データを参照することによって、当該コードに対応する正確な行先階を取得することが可能になる。
【0012】
上記制御システムにおいて、登録部には、利用者がコードリーダに読み取らせたコードに対応する行先階が選択可能に表示されると共に、同じ複数の行先階については1つに纏めて表示されてもよい。そして、登録部に表示されている行先階を利用者が順に選択した場合に、行先階管理処理部は、当該登録部での利用者による選択順が降車順として登録されたものとして、当該降車順の登録のときに選択された行先階のうちの少なくとも一部と、登録された降車順のうちの当該少なくとも一部の行先階についての降車順とを、顔情報に対応付けた状態で行先階管理データに保存してもよい。この構成によれば、配達員は、登録部に表示された行先階を順に選択していくといった簡単な操作で降車順を登録することが可能になる。また、登録部にて同じ複数の行先階が1つに纏めて表示されることにより、配達員が誤って同じ階を繰り返し選択してしまうことが防止され、その結果として、一度降車した行先階を対象とする呼び登録が再び行われてしまうといった無駄が防止される。
【0013】
上記制御システムにおいて、登録部には、利用者がコードリーダに読み取らせたコードに対応する行先階が選択可能に表示されると共に、各行先階に対応するコードに紐付いた宛名が更に表示されてもよい。また、その行先階が、同じ複数の行先階について1つに纏められたものである場合には、当該複数の行先階にそれぞれ対応するコードに紐付いている全ての宛名が表示されてもよい。この構成によれば、配達員は、表示されている行先階ごとに、その行先階での配達先となる宛名やその数を確認することができ、降車順を登録する際の参考にすることができる。
【0014】
上記制御システムにおいて、行先階管理処理部は、降車順の登録のときに選択された行先階のうちの少なくとも一部を行先階管理データに保存する場合、各行先階を、当該行先階に対応するコードに紐付いた宛名と対応付けた状態で行先階管理データに保存してもよい。このとき、その行先階が、同じ複数の行先階について1つに纏められたものである場合には、行先階管理処理部は、当該複数の行先階にそれぞれ対応するコードに紐付いている全ての宛名を当該1つの行先階に対応付けた状態で行先階管理データに保存してもよい。そして、呼び登録処理部は、呼び登録を行った場合、その呼び登録で対象とした行先階と、行先階管理データにて当該行先階に対応付けられている全ての宛名とを利用者に通知してもよい。
【0015】
上記構成によれば、呼び登録の実行時に、配達員に対して、次の行先階と、その階での配達先となる宛先とが通知されることになる。従って、配達員は、行先階ごとに配達先となる宛名を確認することができる。また、通知された行先階が、同じ複数の行先階について1つに纏められたものである場合には、その行先階には複数の配達先が存在することになるが、そのような場合でも、配達員には、その行先階での配達先となる全ての宛名が通知されることになる。従って、配達員は、当該行先階での配達先となる全ての宛名を確認することができ、その結果として、配達漏れが生じにくくなる。
【0016】
上記制御システムにおいて、登録部にて利用者が降車順を登録した場合には、呼び登録処理部は、降車順の登録のときに登録対象になった行先階のうちの当該降車順が先頭であるものを対象として呼び登録を行ってもよい。そして、行先階管理処理部は、降車順の登録のときに対象になった行先階のうちの当該降車順が先頭であるものを除いた行先階と、登録された降車順のうちの当該行先階についての降車順とを、顔情報に対応付けた状態で行先階管理データに保存してもよい。この構成によれば、降車順が先頭である最初の行先階については、行先階管理データへの保存なしに呼び登録を行うことにより、当該最初の行先階についての行先階管理データでの管理(保存及び削除)を省略することができ、従って、制御処理(行先階管理処理)を簡略化することが可能になる。
【0017】
上記制御システムにおいて、登録部にて利用者が降車順を登録した場合、行先階管理処理部は、当該登録部の設置階を、その登録部で登録された降車順の最後に加えて、当該降車順の登録のときに登録対象になった行先階のうちの少なくとも一部と共に行先階管理データに保存してもよい。この構成によれば、配達員は、降車を予定していた全ての行先階への移動が完了した後、最後に降車した行先階にて自身の顔情報を顔情報取得部に取得させることにより、手入力での登録操作なしに、最初に乗りかごに乗車した階(降車順を登録した階)へエレベータを利用して戻ることができる。
【0018】
上記制御システムにおいて、コードリーダは、利用者が所有する端末装置で構成されたものを含んでいてもよい。そして、登録部は、端末装置と近距離通信を行うことにより、その端末装置で読み取られたコードに対応する行先階について降車順を登録することが可能となるように構成されていてもよい。ここで、コードリーダとして特定階に固定されたものしかない場合において、配達伝票が配達物に貼り付けられていて、且つ、その配達物が大型であった場合には、配達員は、その大型の配達物を、コードリーダにコードを読み取らせることが可能な位置及び姿勢となるように持ち上げなければならなくなる。このように、コードリーダとして特定階に固定されたものしかない場合には、コードリーダにコードを読み取らせるという作業において大きな負担が配達員に強いられるおそれがある。一方、上記構成によれば、配達員は、自身が所有する端末装置でコードを読み取ることができるため、大型の配達物であっても、例えば床や台車に置いた状態でコードを読み取ることができ、配達員の負担が軽減されることになる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、エレベータを利用して異なる複数の行先階へ移動する場合の当該エレベータの利便性を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態に係る制御システムが適用されたエレベータの全体構成を示した概念図である。
図2】実施形態において、特定階に設置される行先階登録装置の登録部に表示される(A)待機画面、(B)単一階登録画面、(C)(D)読取指示画面(操作に応じた画面の変化)、(E)降車順登録画面、及び(F)通知画面、をそれぞれ例示した概念図である。
図3】実施形態で用いられる行先階管理データの一例を示した概念図である。
図4】実施形態で用いられる宛先管理データの一例を示した概念図である。
図5】実施形態で用いられる装置管理データの一例を示した概念図である。
図6A】実施形態において群管理制御装置が実行する制御処理の一部を示したフローチャートである。
図6B】実施形態において群管理制御装置が実行する制御処理の一部を示したフローチャートである。
図6C】実施形態において群管理制御装置が実行する制御処理の一部を示したフローチャートである。
図6D】実施形態において群管理制御装置が実行する制御処理の一部を示したフローチャートである。
図7】第1変形例において群管理制御装置が実行する制御処理の一部を示したフローチャートである。
図8】第1変形例で表示される(A)降車順登録画面の一例及び(C)通知画面の一例、並びに第1変形例で用いられる(B)行先階管理データの一例をそれぞれ示した概念図である。
図9】第1変形例で表示される(A)降車順登録画面の他の例及び(C)通知画面の他の例、並びに第1変形例で用いられる(B)行先階管理データの他の例をそれぞれ示した概念図である。
図10】第2変形例に係る制御システムが適用されたエレベータの全体構成を示した概念図である。
図11】第3変形例で用いられる行先階管理データの一例を示した概念図である。
図12】第4変形例で用いられる行先階管理データの一例を示した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[1]実施形態
[1-1]エレベータの全体構成
図1は、実施形態に係る制御システムが適用されたエレベータの全体構成を示した概念図である。このエレベータは、異なる複数の行先階Fdへ移動する場合の利便性が高められたエレベータであり、図1に示されるように、乗りかごGと、行先階登録装置1(行先階登録装置1A及び1Bを含む)と、エレベータ制御装置2と、群管理制御装置3と、を備えている。図1の例では、乗りかごGが3つ設けられており、それらが符号G1~G3で区別されている。以下、各部の構成について具体的に説明する。尚、以下に説明する構成は、乗りかごGの数などが図1の例に示されたものと異なるエレベータにも適用できる。
【0022】
<行先階登録装置>
行先階登録装置1は、利用者が行先階Fdを登録するための装置である。本実施形態では、行先階登録装置1は、建物の特定階(例えば、建物の入口(玄関)がある階)に設置される行先階登録装置1Aと、特定階以外の各階に設置される行先階登録装置1Bと、を含んでいる。そして、各行先階登録装置1には、当該行先階登録装置1を他の装置と識別するための装置情報Pdが設定されている。
【0023】
行先階登録装置1Aには、コードリーダ10と、顔情報取得部11と、登録部12Aと、が設けられている。行先階登録装置1Bには、顔情報取得部11と、登録部12Bと、が設けられている。
【0024】
コードリーダ10は、宛先情報Paを含んだコードの読取りに用いられる。ここで、そのような宛先情報Paを含んだコードは、例えば配達伝票などに記載されており、行先階Fd(配達先がある階)の特定に利用できる。本実施形態では、コードリーダ10がコードを読み取った場合、当該コードに含まれている宛先情報Paが群管理制御装置3へ送信され、群管理制御装置3において、当該宛先情報Paに対応する行先階Fdが特定される。従って、エレベータの利用者である配達員が手入力で行先階Fdを入力しなくても、配達伝票に記載のコードをコードリーダ10に読み取らせるといった簡単な操作が行われることにより、当該コードに対応する行先階Fdが入力されたものとして扱われることになる。そして、配達伝票が複数ある場合には、それらの配達伝票に記載の全てのコードをコードリーダ10に読み取らせることにより、それらのコードに対応する全ての行先階Fd(重複する行先階Fdを含む)が一度に纏めて入力されたものとして扱われることになる。
【0025】
顔情報取得部11は、利用者から顔情報Piを取得する部分である。本実施形態では、顔情報取得部11は、利用者の顔画像データを取得する撮像装置であり、当該撮像装置が取得した顔画像データが、顔情報Piとして用いられる。そして、その顔画像データ(顔情報Pi)は、後述する群管理制御装置3にて実行される顔認証処理などに用いられる。尚、顔情報取得部11は、顔画像データに限らず、利用者を識別するための顔の特徴を捉えた情報(例えば、顔の骨格の情報など)を取得するものに適宜変更されてもよい。
【0026】
登録部12(登録部12A及び12Bを含む)は、利用者が行先階Fdや降車順を登録するための部分である。具体的には、登録部12は、入力部としての機能と表示部としての機能とを兼ね備えたタッチパネルで構成されている。そして、行先階Fdや降車順の登録に関連した様々な画面が、登録部12に表示される。尚、登録部12は、タッチパネルに限らず、入力部と表示部とが別個に構成されたものであってもよい。例えば、表示部が、表示専用のモニタで構成され、入力部が、行先階Fdなどを入力するための機械式のボタン(テンキーなど)で構成されてもよい。
【0027】
本実施形態では、登録部12Aは、配達員がコードリーダ10に読み取らせたコードに対応する行先階Fdについて、それらの順序を降車順として登録することが可能となるように構成されている。従って、配達員は、コードリーダ10でのコードの読取りを通じて入力した行先階Fdを、自身が所望する降車順と関連付けて登録することができる(図2(E)参照)。
【0028】
そして、そのような行先階Fdや降車順の登録に関連して、登録部12Aには、待機画面(図2(A)参照)、単一階登録画面(図2(B)参照)、読取指示画面(図2(C)及び図2(D)参照)、降車順登録画面(図2(E)参照)、及び通知画面(図2(F)参照)が適宜表示される。ここで、待機画面は、エレベータを利用するためには行先階登録装置1での登録が必要であることを利用者に知らせるための画面である。単一階登録画面は、行先階Fdを1つだけを登録するための画面である。本実施形態では、単一階登録画面には、コードリーダ10でのコードの読取りを有効にするためのコード読取りボタンが選択(押下)可能に表示される。読取指示画面は、コード読取りボタンが選択(押下)された場合に表示される画面であり、配達員に対して、コードリーダ10でのコードの読取りを促すための画面である。降車順登録画面は、コードリーダ10で読み取られたコードに対応する行先階Fdについて、それらの順序を降車順として登録するための画面である。通知画面は、利用者に、その利用者についての乗りかごGへの割当ての情報(当該乗りかごGを識別するためのかご情報や、そのときの割当ての対象になった行先階Fdなど)を通知するための画面である。
【0029】
一方、登録部12Bは、行先階Fdを1つだけを登録することが可能となるように構成されており、当該登録部12Bには、待機画面(図2(A)参照)と、単一階登録画面(図2(B)参照)においてコード読取りボタンのないものと、が適宜表示される。
【0030】
上述したように、顔情報取得部11が取得した利用者の顔情報Piは、群管理制御装置3にて実行される顔認証処理などに用いられる。また、コードリーダ10がコードを読み取った場合には、当該コードに含まれている宛先情報Paが群管理制御装置3に送信され、群管理制御装置3において、当該宛先情報Paに対応する行先階Fdが特定される。更に、登録部12Aで登録された降車順は、後述するように、群管理制御装置3にて実行される呼び登録処理や行先階管理処理などに用いられる。従って、行先階登録装置1が取得した顔情報Piなどの情報は、適宜、群管理制御装置3へ送信される。
【0031】
<エレベータ制御装置>
エレベータ制御装置2は、乗りかごGごとに設けられ、自身が対応している乗りかごGの動作を制御する装置である。
【0032】
<群管理制御装置>
群管理制御装置3は、エレベータ制御装置2を通じて乗りかごGを一元的に管理する装置である。本実施形態では、群管理制御装置3は、記憶部31と制御部32とを備えており、制御処理として、顔情報Piを用いた顔認証処理と、乗りかごGへの割当てなどを行う呼び登録処理と、行先階管理データDeを管理する行先階管理処理と、を実行する。
【0033】
記憶部31は、ROMやRAMなどの記憶デバイスで構成された部分であり、当該記憶部31には、制御処理に必要な情報が保存されている。具体的には、制御処理に必要な情報として、行先階管理データDeと、宛先管理データDfと、装置管理データDrと、が記憶部31に保存されている。
【0034】
行先階管理データDeには、エレベータの利用者である配達員がコードリーダ10に読み取らせたコードに対応する行先階Fdのうちの少なくとも一部と、当該少なくとも一部の行先階Fdについての降車順とが、顔情報取得部11が取得した当該配達員の顔情報Piと対応付けられた状態で保存される。
【0035】
本実施形態では、降車順は、登録部12に表示された降車順登録画面(図2(E)参照)での行先階Fdの選択順である。また、顔情報Piに対応付けられる上記少なくとも一部の行先階Fdは、降車順登録画面(図2(E)参照)での降車順の登録のときに選択された行先階Fd(換言すれば、降車順の登録のときに登録対象になった行先階Fd)のうちの降車順が先頭であるものを除いた行先階Fdである。ここで、先頭の行先階Fdは、降車順登録画面にて最初に選択された行先階Fdである。
【0036】
そして、行先階管理データDeには、降車順が先頭であるもの(最初の行先階Fd)を除いた行先階Fd(2番目以降の行先階Fd)が、降車順登録画面での選択順のとおりに並べられた状態で保存される。従って、行先階管理データDeには、行先階Fdと共に、その並び順が降車順として保存されることになる。一方、先頭の行先階Fd(最初の行先階Fd)については、行先階管理データDeへの保存なしに、それを対象とした呼び登録(最初の呼び登録)が行われる。
【0037】
図3(A)は、本実施形態で用いられる行先階管理データDeの一例を示した概念図である。図3(A)の例では、降車順登録画面(図2(E)参照)にて4つの行先階Fd(3階、6階、8階、及び10階)が3階→6階→10階→8階の順に選択されることによって、その選択順が降車順として登録され、先頭の3階を除く3つの階(6階、8階、10階)が選択順(降車順)のとおりに左から並べられて行先階管理データDeに保存された場合が示されている。先頭の3階については、行先階管理データDeへの保存なしに、それを対象とした呼び登録(最初の呼び登録)が行われる(図2(F)参照)。
【0038】
また、本実施形態では、行先階管理データDeは、次のように用いられる。顔情報取得部11が取得した利用者の顔情報Piが、行先階管理データDeに保存されている顔情報Piの何れかと合致した場合、群管理制御装置3は、行先階管理データDeにて当該顔情報Piに対応付けて保存されている行先階Fdのうちの降車順が最も前のものを対象として呼び登録を行う。具体的には、行先階管理データDeにおいて行先階Fdが降車順登録画面での選択順(配達員が意図する降車順)に並べられた状態で保存されている場合、群管理制御装置3は、行先階管理データDeに保存されている行先階Fdのうちの並び順が最も前のもの(図3(A)の例では、行先階Fdのうちの最も左端のもの)を対象として呼び登録を行う。そして、群管理制御装置3は、そのようにして呼び登録を行った場合、当該呼び登録で対象とした行先階Fdを行先階管理データDeから削除する。
【0039】
図3(B)の例では、顔画像データNo1に対応付けられている行先階Fdのうちの、並び順が最も前である6階(図3(A)参照)が、呼び登録の対象とされて行先階管理データDeから削除された場合が示されている。そして、呼び登録の対象とされた6階が削除されることにより、行先階管理データDeには、未だ降車していない8階及び10階のみが、並び順を変えることなく残ることになる。これにより、配達員が未だ降車していない行先階Fdが、当該配達員が意図した降車順のとおりに呼び登録の対象とされていくことになる。
【0040】
図4は、宛先管理データDfの一例を示した概念図である。この図に示されるように、宛先管理データDfでは、宛先情報Paごとに、当該宛先情報Paで特定される配達先についての行先階Fdが予め対応付けられている。図4の例では、宛先情報Paとして宛名Pb(会社名や個人名など)を用いた場合が示されている。
【0041】
ここで、配達伝票に記載のコードには、行先階Fd(配達先がある階)が含まれていないことがある。また、行先階Fdが含まれていたとしても、配達先の会社が複数階に亘って入居している場合には、配達物の受取り窓口が、その行先階Fdとは別の階になっていることがある。従って、コードから行先階Fdを抽出しようとすると、行先階Fdを抽出できないといった事態や、受取り窓口がない行先階Fdを抽出してしまうといった事態が生じ得る。そこで、本実施形態では、宛先管理データDfにおいて、コードに必ず含まれている配達先の宛名Pbなどの情報が宛先情報Paとして、当該配達先(受取り窓口を含む)についての行先階Fdと対応付けられている。従って、配達伝票に記載のコードに行先階Fdが含まれていない場合や、含まれていたとしても受取り窓口は別の階であるといった場合であっても、群管理制御装置3は、宛先管理データDfを参照することによって、当該コードに対応する正確な行先階Fdを取得することができる。尚、宛先情報Paは、宛名Pbに限らず、配達先を特定できる情報であれば、部屋番号などの情報に適宜変更されてもよい。
【0042】
図5は、装置管理データDrの一例を示した概念図である。この図に示されるように、装置管理データDrには、行先階登録装置1ごとに、装置情報Pdが設置階Fsと対応付けられた状態で予め保存されている。
【0043】
ここで、設置階Fsは、装置情報Pdで特定される行先階登録装置1が設置されている階である。本実施形態では、エレベータを利用するためには、その都度、利用者による行先階登録装置1での登録が必要であり、利用者は、エレベータの利用のための登録を行った行先階登録装置1の設置階Fsから乗りかごGに乗車することになる。従って、行先階登録装置1の設置階Fsは、群管理制御装置3が乗りかごGへの割当てを行う際に、利用者の出発階(乗車階)として用いられる。
【0044】
制御部32は、CPUなどの処理デバイスで構成された部分であり、顔認証処理、呼び登録処理、及び行先階管理処理を実行する。以下、具体的に説明する。尚、より詳細な内容(制御の流れなど)については後述する。
【0045】
顔情報取得部11が利用者から顔情報Piを取得した場合、制御部32は、顔認証処理において、顔情報取得部11が取得した顔情報Piが、行先階管理データDeに保存されている顔情報Pi(保存済みの顔情報Pi)の何れかと合致するか否かを判断する。
【0046】
制御部32は、顔認証処理にて「合致しない(No)」と判断した場合であって、且つ、そのときの利用者が、これから特定階にて行先階登録装置1Aで行先階Fdを登録しようとしている利用者(登録のために行先階登録装置1Aに近づいた直後の利用者)であった場合には、登録部12Aにてコード読取りボタンを選択(押下)可能にすることにより(即ち、行先階登録装置1Aに単一階登録画面(図2(B)参照)を表示させることにより)、コードリーダ10でのコードの読取りを利用者が有効化できるようにする。
【0047】
その後、エレベータの利用者である配達員が、コードリーダ10でのコードの読取りを有効にして、そのコードリーダ10にコードを読み取らせた場合に、当該コードに含まれている宛先情報Paが、行先階登録装置1Aから群管理制御装置3へ送信される。このとき、配達員が、コードリーダ10に複数のコードを読み取らせた場合には、それらのコードに含まれている全ての宛先情報Paが一度に纏めて群管理制御装置3に送信される。
【0048】
群管理制御装置3が行先階登録装置1Aから宛先情報Paを受信した場合、制御部32は、行先階管理処理において、宛先管理データDfから、当該宛先情報Paに対応付けられている行先階Fdを抽出する。そして、制御部32は、抽出した行先階Fdについて、登録部12Aでの降車順の登録を可能にする(即ち、抽出した行先階Fdを登録対象とする降車順登録画面を、行先階登録装置1Aに表示させる。図2(E)参照)。
【0049】
その後、登録部12Aにて配達員が降車順を登録した場合に、その登録情報Pjが群管理制御装置3へ送信される。
【0050】
群管理制御装置3が行先階登録装置1Aから登録情報Pj(降車順)を受信した場合、制御部32は、呼び登録処理において、宛先管理データDfから抽出した行先階Fd(即ち、登録部12Aでの降車順の登録のときに登録対象になった行先階Fd)のうちの降車順が先頭であるものを対象として呼び登録を行う。また、制御部32は、行先階管理処理において、宛先管理データDfから抽出した行先階Fdのうちの降車順が先頭であるものを除いた行先階Fdと、当該行先階Fdについての降車順とを、配達員の顔情報Piに対応付けた状態で行先階管理データDeに保存する。
【0051】
一方、制御部32は、顔認証処理にて「合致する(Yes)」と判断した場合、呼び登録処理において、行先階管理データDeにて当該顔情報Piに対応付けられている行先階Fdのうちの降車順が最も前のものを対象として呼び登録を行う。また、制御部32は、行先階管理処理において、当該呼び登録で対象とした行先階Fdを行先階管理データDeから削除する。
【0052】
このような制御処理は、群管理制御装置3の制御部32内に構築される処理部によって実行される。図1では、そのような処理部として、顔認証処理部320、呼び登録処理部321、及び行先階管理処理部322が示されている。本実施形態では、当該処理部は、制御部32にプログラムを実行させることによってソフトウェアで構成される。そして、そのようなプログラムは、携帯可能な記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ等)に読取可能な状態で保存され、当該記憶媒体から読み出されてインストールされたものが群管理制御装置3の記憶部31に保存されてもよいし、他のサーバなどにダウンロード可能に保存され、当該サーバからダウンロードされてインストールされたものが記憶部31に保存されてもよい。尚、上記の処理部は、群管理制御装置3内に回路を構築することによってハードウェアで構成されてもよい。
【0053】
本実施形態では、このようなエレベータにおいて、異なる複数の行先階Fdへ移動する場合の当該エレベータの利便性を向上させるべく、それを可能にするための制御システムが、上述したエレベータの一部又は全部によって構成されている。
【0054】
[1-2]制御処理
上述したエレベータ及び制御システムにおいて、異なる複数の行先階Fdへ移動する場合の当該エレベータの利便性を向上させるための処理が、以下のとおり実行される。
【0055】
[1-2-1]行先階登録装置が実行する送信処理
本実施形態では、エレベータを利用するためには、その都度、利用者による行先階登録装置1での登録が必要である。具体的には、利用者は、群管理制御装置3に呼び登録を実行させるための情報を、行先階登録装置1(行先階登録装置1A及び1Bを含む)を通じて群管理制御装置3に提供する必要がある。そして、利用者は、行先階登録装置1の登録部12(登録部12A及び12Bを含む)に表示されている待機画面(図2(A)参照)を見ることで、エレベータを利用するためには行先階登録装置1での登録が必要であることを認識することができる。
【0056】
エレベータの利用者が待機画面を見て行先階登録装置1に近づくと、その装置の顔情報取得部11が当該利用者の顔情報Piを取得する。この場合、行先階登録装置1は、自身の顔情報取得部11が取得した顔情報Piを群管理制御装置3へ送信する。このとき、行先階登録装置1は、顔情報Piがどの装置から送信されてきたのかを群管理制御装置3に認識させるべく、顔情報Piと共に、自身の装置情報Pdを群管理制御装置3へ送信する。
【0057】
その後、登録部12(登録部12A及び12Bを含む)に単一階登録画面(図2(B)参照)が表示された場合であって、且つ、その画面で利用者が行先階Fdを登録した場合には、行先階登録装置1(行先階登録装置1A及び1Bを含む)は、その利用者の顔情報Piと共に、当該利用者が登録した単一の行先階Fdを群管理制御装置3へ送信する。このときも、行先階登録装置1は、顔情報Piなどの情報がどの装置から送信されてきたのかを群管理制御装置3に認識させるべく、顔情報Piと共に、自身の装置情報Pdを群管理制御装置3へ送信する。
【0058】
一方、エレベータの利用者である配達員が、登録部12Aに表示された単一階登録画面(図2(B)参照)にてコード読取りボタンが選択(押下)してから(即ち、コードリーダ10でのコードの読取りを有効にしてから)、コードリーダ10にコードを読み取らせた場合には、行先階登録装置1Aは、その配達員の顔情報Piと共に、当該コードに含まれている宛先情報Paを群管理制御装置3へ送信する。このときも、行先階登録装置1Aは、顔情報Piなどの情報がどの装置から送信されてきたのかを群管理制御装置3に認識させるべく、顔情報Piと共に、自身の装置情報Pdを群管理制御装置3へ送信する。
【0059】
このように、行先階登録装置1(行先階登録装置1A及び1Bを含む)からは、少なくとも次の何れかのタイミングで、顔情報Piを含んだ情報が群管理制御装置3へ送信される。即ち、エレベータを利用するために利用者が当該行先階登録装置1に近づいた場合、単一階登録画面にて利用者が行先階Fdを登録した場合、又はエレベータの利用者である配達員がコードリーダ10でのコードの読取りを完了した場合、の少なくとも何れかのタイミングで、当該利用者の顔情報Piを含んだ情報が群管理制御装置3へ送信される。
【0060】
その一方で、本実施形態では、登録部12Aに表示された降車順登録画面(図2(E)参照)にてエレベータの利用者である配達員が降車順を登録した場合には、行先階登録装置1Aは、その登録情報Pj(降車順)を群管理制御装置3へ送信し、このとき送信する情報には利用者(配達員)の顔情報Piを含めないものとする。
【0061】
以下、群管理制御装置3が実行する制御処理として、上述のような送信処理が行先階登録装置1(行先階登録装置1A及び1Bを含む)で実行される場合における制御処理について具体的に説明する。
【0062】
[1-2-2]群管理制御装置が実行する制御処理
図6A図6Dは、群管理制御装置3が実行する制御処理を示したフローチャートである。この制御処理は、群管理制御装置3が行先階登録装置1から顔情報Piを含んだ情報を受信した場合に開始される。以下では、このときに群管理制御装置3が受信した情報を纏めて「受信情報Pr」と称す。
【0063】
制御処理を説明する前に、行先階管理データDeへの各種情報の保存がどのような場合に実行されるのかについて説明する。先ず、行先階管理データDeへの保存は、配達員が、コードリーダ10にコードを読み取らせた後、当該コードに対応する行先階Fdについて降車順登録画面(図2(E)参照)にて降車順を登録した場合に実行される。そして、行先階管理データDeには、配達員がコードリーダ10に読み取らせたコードに対応する行先階Fdのうちの少なくとも一部(具体的には、降車順登録画面での降車順の登録のときに登録対象になった行先階Fdのうちの降車順が先頭であるものを除いた行先階Fd)が、当該配達員の顔情報Piと対応付けられた状態で保存される。一方、単一階登録画面(図2(B)参照)にて利用者が行先階Fdを登録した場合には、行先階管理データDeへの保存は実行されず、従って、行先階管理データDeには、その利用者の顔情報Piや登録された単一の行先階Fdなどの情報は保存されない。
【0064】
そこで、制御処理が開始されると、群管理制御装置3は、エレベータを利用しようとしている利用者が、降車順登録画面での登録によって行先階管理データDeに各種情報が保存された利用者(配達員)であるかどうかを判断するべく、受信情報Pr内の顔情報Piが、行先階管理データDeに保存されている顔情報Pi(保存済みの顔情報Pi)の何れかと合致するか否か、を判断する(顔認証処理。ステップS101)。具体的には、群管理制御装置3は、行先階管理データDeに保存済みの顔情報Piの中に、受信情報Pr内の顔情報Piから認識できる利用者と同一の利用者を認識できるものが存在するか否かを判断する。
【0065】
群管理制御装置3は、ステップS101にて「合致しない(No)」と判断した場合には、その判断を以て、エレベータを利用しようとしている利用者は、降車順登録画面での登録によって行先階管理データDeに各種情報が保存された利用者(配達員)ではない、と判断できる。そして、そのような判断結果は、(1)これから行先階登録装置1で行先階Fdを登録しようとしている利用者(登録のために行先階登録装置1に近づいた直後の利用者)か、(2)行先階登録装置1にて単一の行先階Fdを登録した直後の利用者か、或いは、(3)コードリーダ10にコードの読み取らせた直後の利用者(配達員)、の何れかにおいて得られる結果である。そこで、群管理制御装置3は、それらの利用者(1)~(3)を判別するための処理を、以下のとおり行う。
【0066】
先ず、群管理制御装置3は、利用者(1)~(3)の中から利用者(2)を判別するべく、受信情報Prに行先階Fdが含まれているか否かを判断する(ステップS102)。群管理制御装置3は、ステップS102にて「含まれている(Yes)」と判断した場合には、その判断を以て、エレベータを利用しようとしている利用者は、利用者(2)であると判断できる。一方、群管理制御装置3は、ステップS102にて「含まれていない(No)」と判断した場合には、その判断を以て、エレベータを利用しようとしている利用者は、利用者(1)又は(3)であると判断できる。
【0067】
そこで、群管理制御装置3は、ステップS102にて「含まれていない(No)」と判断した場合には、次に利用者(1)と利用者(3)とを判別するべく、受信情報Prに宛先情報Paが含まれているか否かを判断する(ステップS103)。群管理制御装置3は、ステップS103にて「含まれている(Yes)」と判断した場合には、その判断を以て、エレベータを利用しようとしている利用者は、利用者(3)であると判断できる。一方、群管理制御装置3は、ステップS103にて「含まれていない(No)」と判断した場合には、その判断を以て、エレベータを利用しようとしている利用者は、利用者(1)であると判断できる。
【0068】
そして、群管理制御装置3は、ステップS103にて「含まれていない(No)」と判断した場合(即ち、利用者(1)であると判断した場合)、行先階登録装置1(行先階登録装置1A及び1Bを含む)での行先階Fdの登録を可能にするべく、受信情報Pr内の装置情報Pdで特定される行先階登録装置1に、登録部12に単一階登録画面を表示させるための指令信号Sqを送信する(ステップS104)。その後、群管理制御装置3は、制御処理を一旦終了させる。
【0069】
行先階登録装置1は、群管理制御装置3から指令信号Sqを受信した場合、登録部12に表示する画面を待機画面(図2(A)参照)から単一階登録画面(図2(B)参照)に切り替える。その後、行先階登録装置1は、単一階登録画面にて利用者が行先階Fdを登録した場合、登録された単一の行先階Fdを、当該利用者の顔情報Piと共に群管理制御装置3へ送信する。
【0070】
また、ステップS104での指令信号Sqの送信先が行先階登録装置1Aであった場合、行先階登録装置1Aは、単一階登録画面において、コードリーダ10でのコードの読取りを有効にするためのコード読取りボタンを選択(押下)可能に表示する。これにより、利用者に対して、コードリーダ10でのコードの読取りによって行先階Fdを登録できることを認識させることが可能になる。そして、単一階登録画面にてエレベータの利用者である配達員がコード読取りボタンを選択(押下)した場合には、行先階登録装置1Aは、登録部12Aに表示する画面を単一階登録画面(図2(B)参照)から読取指示画面(図2(C)参照)に切り替える。その後、読取指示画面の表示に従って配達員がコードリーダ10にコードを読み取らせた場合、行先階登録装置1Aは、当該コードに含まれている宛先情報Paを、当該配達員の顔情報Piと共に群管理制御装置3へ送信する。
【0071】
そして、群管理制御装置3は、上記単一の行先階Fd又は宛先情報Paを含んだ情報を行先階登録装置1から受信した場合に、改めて制御処理を開始する。この場合、群管理制御装置3は、ステップS102又はS103にて「含まれている(Yes)」と判断することになる。
【0072】
群管理制御装置3は、ステップS102にて「含まれている(Yes)」と判断した場合(即ち、利用者(2)であると判断した場合)には、受信情報Pr内の各種情報を行先階管理データDeに保存することなしに、受信情報Pr内の行先階Fdを対象とした呼び登録を実行する(呼び登録処理。図6B参照)。
【0073】
具体的には、群管理制御装置3は、装置管理データDrから、受信情報Pr内の装置情報Pdに対応付けられている設置階Fs(即ち、受信情報Pr内の顔情報Piを取得した行先階登録装置1の設置階Fs)を抽出する(ステップS111)。
【0074】
そして、群管理制御装置3は、ステップS111で抽出した設置階Fsを利用者の出発階(乗車階)として用い、当該出発階と受信情報Pr内の行先階Fd(即ち、単一階登録画面で登録された単一の行先階Fd)とを1つの乗場呼びとして、乗りかごGへの割当てを行う(ステップS112)。その後、群管理制御装置3は、ステップS112で実行した割当ての情報(乗りかごGを識別するためのかご情報や、そのときの割当ての対象になった行先階Fdなど)を利用者に通知する(ステップS113)。具体的には、群管理制御装置3は、受信情報Pr内の装置情報Pdで特定される行先階登録装置1の登録部12への通知画面(図2(F)参照)の表示により、割当ての情報を利用者に通知する。その後、群管理制御装置3は、制御処理を終了させる。
【0075】
一方、群管理制御装置3は、ステップS103にて「含まれている(Yes)」と判断した場合(即ち、利用者(3)であると判断した場合)には、行先階Fdなどの各種情報を行先階管理データDeに保存するための処理を、以下のとおり実行する(図6C参照)。
【0076】
先ず、群管理制御装置3は、行先階登録装置1Aにて配達員がコードリーダ10に読み取らせたコードに対応する行先階Fdを特定するべく、宛先管理データDfから、受信情報Pr内の宛先情報Pa(本実施形態では、宛名Pb)に対応付けられている行先階Fdを抽出する(ステップS121)。
【0077】
次に、群管理制御装置3は、ステップS121で抽出した行先階Fdについての降車順を配達員に登録させるべく、当該行先階Fdを、受信情報Pr内の装置情報Pdで特定される行先階登録装置1Aへ送信する(ステップS122)。
【0078】
行先階登録装置1Aは、群管理制御装置3から行先階Fdを受信した場合(ステップS201)、登録部12Aに表示する画面を読取指示画面(図2(D)参照)から降車順登録画面(図2(E)参照)に切り替える(ステップS202)。このとき、降車順登録画面では、ステップS201で受信した行先階Fdが選択可能に表示され、且つ、それらの行先階Fdを任意の順序で選択することが可能になる。
【0079】
ここで、群管理制御装置3は、ステップS121(図6C参照)で抽出した行先階Fdの中に同じ複数の行先階Fdがある場合には、それらの行先階Fdについては1つに纏め、その1つの行先階Fdを行先階登録装置1Aへ送信することができる。この場合、当該行先階登録装置1Aの登録部12Aに表示される降車順登録画面では、群管理制御装置3がステップS121にて抽出した行先階Fdが選択可能に表示されると共に、同じ複数の行先階Fdについては1つに纏めて(即ち、当該行先階Fdを選択するためのボタンが1つだけ)表示されることになる(図2(E)参照)。これにより、配達員が誤って同じ階を繰り返し選択してしまうことが防止され、その結果として、一度降車した行先階Fdを対象とする呼び登録が再び行われてしまうといった無駄が防止される。
【0080】
このように、登録部12Aは、ステップS201で受信した行先階Fd(即ち、配達員がコードリーダ10に読み取らせたコードに対応する行先階Fd)について、それらの順序を降車順として登録することが可能となるように構成されている。
【0081】
従って、登録部12Aに表示された降車順登録画面では、配達員は、行先階Fdを順に選択していくといった簡単な操作で降車順を登録することができる。具体的には、配達員は、自身が所望する順序で行先階Fdを選択していくことができる。そして、降車順登録画面にて配達員が全ての行先階Fdを選択し終えたときに、当該降車順登録画面での選択順が、降車順として登録されることになる。
【0082】
そこで、行先階登録装置1Aは、ステップS202での降車順登録画面の表示後、その降車順登録画面にて降車順が登録されたか否かを判断する(ステップS203)。具体的には、行先階登録装置1Aは、降車順登録画面に表示されている行先階Fdが全て選択されたか否かを判断する。このステップS203は、当該ステップS203にて「登録された(Yes)」と判断できるか、或いは、所定時間が経過してタイムアウトになるまで繰り返し実行される。ここで、タイムアウトになった場合には、行先階登録装置1Aは、実行中の一連の処理を終了させる。
【0083】
そして、行先階登録装置1Aは、ステップS203にて「登録された(Yes)」と判断できた場合には、登録情報Pj(降車順)を群管理制御装置3へ送信する(ステップS204)。
【0084】
群管理制御装置3は、ステップS122での行先階Fdの送信後、当該行先階Fdの送信先である行先階登録装置1Aから登録情報Pj(降車順)を受信したか否かを判断する(ステップS123)。このステップS123は、当該ステップS123にて「受信した(Yes)」と判断できるか、或いは、所定時間が経過してタイムアウトになるまで繰り返し実行される。ここで、タイムアウトになった場合には、群管理制御装置3は、実行中の一連の処理を終了させる。
【0085】
そして、群管理制御装置3は、ステップS123にて「受信した(Yes)」と判断できた場合には、行先階登録装置1Aから受信した登録情報Pj(降車順)を用いて、ステップS121で抽出した行先階Fd(具体的には、降車順登録画面での降車順の登録のときに登録対象になった行先階Fd。より具体的には、降車順登録画面で選択された行先階Fd)のうちの降車順が先頭であるものを対象として呼び登録を行う(呼び登録処理。ステップS124~S126)。
【0086】
具体的には、群管理制御装置3は、装置管理データDrから、受信情報Pr内の装置情報Pdに対応付けられている設置階Fs(即ち、受信情報Pr内の顔情報Piを取得した行先階登録装置1Aの設置階Fs)を抽出する(ステップS124)。また、群管理制御装置3は、行先階登録装置1Aから受信した登録情報Pj(降車順)を用いて、ステップS121で抽出した行先階Fdから、降車順が先頭であるもの(最初の行先階Fd)を更に抽出する(ステップS124)。
【0087】
そして、群管理制御装置3は、ステップS124で抽出した設置階Fsを配達員の出発階(乗車階)として用い、当該出発階と上記最初の行先階Fdとを1つの乗場呼びとして、乗りかごGへの割当てを行う(ステップS125)。その後、群管理制御装置3は、ステップS125で実行した割当ての情報(乗りかごGを識別するためのかご情報や、そのときの割当ての対象になった行先階Fdなど)を配達員に通知する(ステップS126)。具体的には、群管理制御装置3は、受信情報Pr内の装置情報Pdで特定される行先階登録装置1Aの登録部12Aへの通知画面(図2(F)参照)の表示により、割当ての情報を配達員に通知する。
【0088】
また、群管理制御装置3は、ステップS121で抽出した行先階Fdのうちの降車順が先頭であるものを除いた行先階Fd(2番目以降の行先階Fd)と、当該行先階Fdについての降車順とを、受信情報Pr内の顔情報Piに対応付けた状態で行先階管理データDeに保存する(行先階管理処理。ステップS127)。その後、群管理制御装置3は、制御処理を一旦終了させる。
【0089】
このように、降車順が先頭である最初の行先階Fdについては、行先階管理データDeへの保存なしに呼び登録を行うことにより、当該最初の行先階Fdについての行先階管理データDeでの管理(保存及び削除)を省略することができ、従って、制御処理(行先階管理処理)を簡略化することが可能になる。
【0090】
また、ステップS121~S127の処理によれば、ステップS126での通知を受けた配達員は、通知された乗りかごGに乗車して最初の行先階Fdへ移動した後、次の行先階Fdへ移動する場合に、乗車階(ここでは、最初の行先階Fd)に設置されている行先階登録装置1にて自身の顔情報Piを顔情報取得部11に取得させるだけで、手入力での登録操作なしに次の行先階Fdへ移動することが可能になる。
【0091】
具体的には、配達員は、各階に設置されている行先階登録装置1(主に行先階登録装置1Bであるが、行先階登録装置1Aであってもよい)に近づくことで、その装置の顔情報取得部11に自身の顔情報Piを取得させることができる。この場合、行先階登録装置1は、取得した顔情報Piを群管理制御装置3へ送信する。このとき、行先階登録装置1は、顔情報Piがどの装置から送信されてきたのかを群管理制御装置3に認識させるべく、顔情報Piと共に、自身の装置情報Pdを群管理制御装置3へ送信する。
【0092】
そして、群管理制御装置3は、上記顔情報Piを含んだ情報を行先階登録装置1から受信した場合に、改めて制御処理を開始する。この場合、群管理制御装置3は、ステップS101にて「合致する(Yes)」と判断することになり、その判断を以て、エレベータを利用しようとしている利用者は、降車順登録画面での登録によって行先階管理データDeに各種情報が保存された利用者(配達員)である、と判断することになる。そして、群管理制御装置3は、行先階管理データDeにて上記顔情報Piに対応付けられている行先階Fdのうちの降車順が最も前のものを対象として呼び登録を行う(呼び登録処理。図6D参照)。
【0093】
具体的には、群管理制御装置3は、装置管理データDrから、受信情報Pr内の装置情報Pdに対応付けられている設置階Fs(即ち、受信情報Pr内の顔情報Piを取得した行先階登録装置1の設置階Fs)を抽出する(ステップS131)。また、群管理制御装置3は、行先階管理データDeから、受信情報Pr内の顔情報Piに対応付けられている行先階Fdのうちの降車順が最も前のもの(次の行先階Fd)を抽出する(ステップS131)。より具体的には、行先階管理データDeにおいて行先階Fdが降車順登録画面での選択順(配達員が意図する降車順)に並べられた状態で保存されている場合、群管理制御装置3は、行先階管理データDeに保存されている行先階Fdのうちの並び順が最も前のもの(図3(A)の例では、行先階Fdのうちの最も左端のもの)を抽出する。
【0094】
そして、群管理制御装置3は、ステップS131で抽出した設置階Fsを配達員の出発階(乗車階)として用い、当該出発階と上記次の行先階Fdとを1つの乗場呼びとして、乗りかごGへの割当てを行う(ステップS132)。その後、群管理制御装置3は、ステップS132で実行した割当ての情報(乗りかごGを識別するためのかご情報や、そのときの割当ての対象になった行先階Fdなど)を配達員に通知する(ステップS133)。具体的には、群管理制御装置3は、受信情報Pr内の装置情報Pdで特定される行先階登録装置1の登録部12への通知画面(図2(F)参照)の表示により、割当ての情報を配達員に通知する。
【0095】
また、群管理制御装置3は、上記呼び登録(具体的には、ステップS132での割当て)で対象とした行先階Fdを行先階管理データDeから削除する(行先階管理処理。ステップS134)。このような処理によれば、配達員が一度降車した行先階Fd(呼び登録で対象とされた行先階Fd)が行先階管理データDeから削除されることになるため、行先階管理データDe内には、顔情報Piに対応付けられている行先階Fdとして、未だ降車していない行先階Fdのみが残ることになる。従って、当該配達員についての呼び登録は、常に、未だ降車していない別の行先階Fdを対象として行われることになる。
【0096】
その後、群管理制御装置3は、制御処理を一旦終了させ、その後、行先階登録装置1から情報を受信するごとに改めて制御処理を開始し、そのような処理を、行先階管理データDeから行先階Fdが全て削除されるまで繰り返し実行する。
【0097】
このようにして、群管理制御装置3は、ステップS101にて受信情報Pr内の顔情報Piについて「合致する(Yes)」と判断するごとに(即ち、顔情報取得部11が取得した利用者の顔情報Piが、行先階管理データDeに保存されている顔情報Piの何れかと合致するごとに)、行先階管理データDeにて当該顔情報Piに対応付けられている降車順のとおりに、そのときの順序に対応した行先階Fdを対象として呼び登録を行う。
【0098】
そして、群管理制御装置3は、顔情報Piに対応付けられている全ての行先階Fdについて呼び登録が完了し、ステップS134にて最後の行先階Fdを行先階管理データDeから削除するときに、当該顔情報Piに関連する全ての情報(その顔情報Piも含む)を行先階管理データDeから削除する。
【0099】
上述した制御システム及び制御処理によれば、マンションやオフィスビルなどの建物において配達員がエレベータを利用して配達物(新聞や郵便などを含む)を届ける場合において、配達伝票に、行先階Fdの特定に利用できるコードが記載されている場合には、エレベータの利用者である配達員は、配達伝票に記載のコードをコードリーダ10に読み取らせることにより、当該コードに対応する行先階Fdを、自身の顔情報Piに対応付けて行先階管理データDeに保存することができる。そして、配達員は、そのようにコードリーダ10にコードを読み取らせて行先階Fdを登録しておくことにより、その後は、乗車階にて自身の顔情報Piを顔情報取得部11に取得させるだけで、手入力での登録操作なしに次の行先階Fdへ移動することが可能になる。具体的には、乗車階にて配達員が自身の顔情報Piを顔情報取得部11に取得させるだけで、次の行先階Fdへ移動するための呼び登録が自動で行われることになる。よって、例えば配達物の量が多くて配達員の手が塞がった状況であっても、その配達員にとって、次の行先階Fdへの移動が必要になるたびに配達物を降ろして行先階Fdを手入力で登録しなければならないといった煩わしさがなくなる。
【0100】
また、配達員は、降車順登録画面において、配達先がある行先階Fdへ移動する順序(降車順)を所望の順序で登録することができ、そのような降車順の登録を行うことにより、その後は、乗車階にて自身の顔情報Piを顔情報取得部11に取得させるだけで、手入力での登録操作なしに、配達先がある行先階Fdへ所望の順序で移動することが可能になる。
【0101】
具体例として、配達員は、大きな配達物と小さな配達物とを手に持って届ける場合、大きな配達物の上に小さな配達物を置くことが多い。その場合、配達員は、上に置いた小さな配達物から先に届けたほうが、配達をスムーズに進めやすくなる。そして、本実施形態の制御システムでは、上述したように配達先がある行先階Fdを所望の降車順で登録できるため、大きな配達物の配達順が最後になるように降車順を登録しておくことにより、配達をスムーズに進めることが可能になる。しかも、顔認証だけで呼び登録が自動で行われるため、大きな配達物で手が塞がってしまう場合でも、配達物を降ろさずにエレベータを利用して移動できる。
【0102】
[2]変形例
[2-1]第1変形例
図7は、第1変形例において群管理制御装置3が実行する制御処理の一部を示したフローチャートである。群管理制御装置3は、図6CのステップS121に代えて、受信情報Pr内の宛先情報Paを用いて宛先管理データDfから行先階Fdを抽出すると共に、当該宛先情報Paから配達先の宛名Pb(会社名や個人名など)を抽出してもよい(ステップS121A)。そして、抽出された宛名Pbは、以下に説明するように、降車順登録画面への表示や行先階管理データDeへの保存に用いられてもよい。
【0103】
尚、上記実施形態のように宛先情報Paとして宛名Pbが用いられる場合(図4参照)には、群管理制御装置3は、受信情報Pr内の宛先情報Pa(=宛名Pb)をそのまま用いることができる。また、宛名Pbの抽出方法は、宛先情報Paから直接的に抽出する方法に限らず、コードに紐付いた宛名Pbを抽出できる方法であれば、別の方法に適宜変更されてもよい。具体例として、宛先管理データDfにおいて、宛名Pbを、行先階Fdと共に宛先情報Paに対応付けた状態で保存しておくことにより、群管理制御装置3は、当該宛先管理データDfから行先階Fdを抽出するときに宛名Pbも一緒に抽出することができる。
【0104】
<降車順登録画面への宛名の表示>
群管理制御装置3は、ステップS122にて行先階Fdを行先階登録装置1Aへ送信するときに、当該行先階Fdに対応する宛名Pb(ステップS121Aにて当該行先階Fdと共に抽出した宛名Pb。即ち、その行先階Fdに対応するコードに紐付いた宛名Pb)も一緒に行先階登録装置1Aへ送信することができる(ステップS122)。このとき、群管理制御装置3は、ステップS121Aで抽出した行先階Fdの中に同じ複数の行先階Fdがある場合には、それらの行先階Fdについては1つに纏め、その1つの行先階Fdと共に、纏める前の当該複数の行先階Fdにそれぞれ対応している全ての宛名Pbを行先階登録装置1Aへ送信する。
【0105】
行先階登録装置1Aは、群管理制御装置3から行先階Fd及び宛名Pbを受信した場合(ステップS201)、降車順登録画面において、ステップS201で受信した行先階Fdを選択可能に表示すると共に、各行先階Fdに対応している宛名Pbを、その行先階Fdとの対応関係が明らかとなるように(即ち、その行先階Fdでの配達先であることを配達員に認識させることができるように)更に表示する(ステップS202)。このとき、行先階登録装置1Aは、降車順登録画面に表示する行先階Fdが、同じ複数の行先階Fdについて1つに纏められたものである場合には、その1つの行先階Fdに対応している全ての宛名Pbを、その1つの行先階Fdとの対応関係が明らかとなるように表示する。
【0106】
図8(A)は、第1変形例で表示される降車順登録画面の一例を示した概念図である。図8(A)の例では、10階が、行先階Fdとして2つあったものが1つに纏められたものであり、その10階での配達先である2つの宛名Pb(B社、D社)が、10階を選択するための1つのボタンに表示された場合が示されている。
【0107】
図9(A)は、第1変形例で表示される降車順登録画面の他の例を示した概念図である。図9(A)の例では、図8(A)の例での表示に加えて、宛名Pbごとに、配達員がコードリーダ10にコードを読み込ませた順序を示す番号(No.1など)が配達物情報Pcとして更に表示された場合が示されている。この例によれば、2つ以上の配達物について、それらの配達先である宛名Pbが同じである場合であって、それらの宛名Pbが降車順登録画面では1つに纏めて表示される場合であっても、配達員は、その1つの配達先(宛名Pb)に対して複数の配達物があることを、降車順登録画面にて確認することができる。尚、配達物情報Pcは、コードを読み込ませた順序を示す番号に代えて、コードに含まれている伝票番号など、配達員が配達物の識別のために利用できる情報に適宜変更されてもよい。
【0108】
このような降車順登録画面への宛名Pbの表示によれば、配達員は、表示されている行先階Fdごとに、その行先階Fdでの配達先となる宛名Pbやその数、更には配達物の数などを確認することができ、降車順を登録する際の参考にすることができる。例えば、配達員は、配達物の数が多い行先階Fdを最初の行先階Fdとして選択することができる。
【0109】
<行先階管理データへの宛名の保存>
群管理制御装置3は、ステップS127A(図7参照)において、ステップS121Aで抽出した行先階Fd(具体的には、降車順登録画面での降車順の登録のときに登録対象になった行先階Fd。より具体的には、降車順登録画面で選択された行先階Fd)のうちの降車順が先頭であるものを除いた行先階Fd(2番目以降の行先階Fd)を行先階管理データDeに保存する。このステップS127Aでは、群管理制御装置3は更に、各行先階Fdと、当該行先階Fdに対応する宛名Pb(ステップS121Aにて当該行先階Fdと共に抽出した宛名Pb。即ち、その行先階Fdに対応するコードに紐付いた宛名Pb)とを、それらの対応関係を維持したままの状態で行先階管理データDeに保存する。このとき、群管理制御装置3は、行先階管理データDeに保存する行先階Fdが、同じ複数の行先階Fdについて1つに纏められたものである場合には、その1つの行先階Fdと、当該1つの行先階Fdに対応している全ての宛名Pbとを、それらの対応関係を維持したままの状態で行先階管理データDeに保存する。
【0110】
図8(B)は、第1変形例で用いられる行先階管理データDeの一例を示した概念図である。図8(B)の例では、降車順登録画面(図8(A)参照)にて4つの行先階Fd(3階、6階、8階、及び10階)が3階→6階→10階→8階の順に選択されることによって、その選択順が降車順として登録され、先頭の3階を除く3つの階(6階、8階、10階)が降車順のとおりに上から並べられて行先階管理データDeに保存された場合が示されている。また、第1変形例で用いられる行先階管理データDeでは、行先階Fdごとに、その行先階Fdでの配達先である全ての宛名Pbが対応づけられる。図8(B)の例では、10階が、行先階Fdとして2つあったものが1つに纏められたものであり、その10階での配達先である2つの宛名Pb(B社、D社)と対応付けられている。
【0111】
図9(B)は、第1変形例で用いられる行先階管理データDeの他の例を示した概念図である。図9(B)の例では、図8(B)の例での保存に加えて、宛名Pbごとに、配達員がコードリーダ10にコードを読み込ませた順序を示す番号(No.1など)が配達物情報Pcとして更に対応付けられた状態で保存された場合が示されている。尚、配達物情報Pcは、コードを読み込ませた順序を示す番号に代えて、コードに含まれている伝票番号など、配達員が配達物の識別のために利用できる情報に適宜変更されてもよい。
【0112】
ステップS127Aでの行先階管理データDeへの保存後、群管理制御装置3は、改めてステップS101からの制御処理を開始した場合において、ステップS101(図6A参照)にて「合致する(Yes)」と判断し、ステップS132(図6D参照)にて乗りかごGへの割当てを行った場合、ステップS133では、ステップS132で割り当てた乗りかごGの情報(かご情報)の他に、ステップS132での割当ての対象になった行先階Fdと、行先階管理データDeにて当該行先階Fdに対応付けられている全ての宛名Pbとを利用者に通知する。
【0113】
図8(C)は、第1変形例で表示される通知画面の一例を示した概念図である。図8(C)の例では、10階が、ステップS132での割当ての対象になった場合が示されている。ここで、10階は、行先階Fdとして2つあったものが1つに纏められたものであり、行先階管理データDeでは、その10階は、2つの宛名Pb(B社、D社)と対応付けられた状態で保存されている(図8(B)参照)。従って、通知画面では、次の行先階Fdである10階と共に、その10階での配達先である2つの宛名Pb(B社、D社)が表示される。
【0114】
図9(C)は、第1変形例で表示される通知画面の他の例を示した概念図である。図9(C)の例では、図8(C)の例での表示に加えて、配達員がコードリーダ10にコードを読み込ませた順序を示す番号(No.1など)が配達物情報Pcとして更に表示された場合が示されている。この例によれば、2つ以上の配達物について、それらの配達先である宛名Pbが同じである場合であって、それらの宛名Pbが通知画面では1つに纏めて表示される場合であっても、配達員は、その1つの配達先(宛名Pb)に対して複数の配達物があることを、通知画面にて確認することができる。尚、配達物情報Pcは、コードを読み込ませた順序を示す番号に代えて、コードに含まれている伝票番号など、配達員が配達物の識別のために利用できる情報に適宜変更されてもよい。
【0115】
このような行先階管理データDeへの宛名Pbの保存によれば、群管理制御装置3がステップS101(図6A参照)にて「合致する(Yes)」と判断した後に実行する呼び登録処理(図6D参照)において、配達員に対して、次の行先階Fdと、その階での配達先となる宛名Pbとが通知されることになる。従って、配達員は、行先階Fdごとに配達先となる宛名Pbを確認することができる。また、通知された行先階Fdが、同じ複数の行先階Fdについて1つに纏められたものである場合には、その行先階Fdには複数の配達先が存在することになるが、そのような場合でも、配達員には、その行先階Fdでの配達先となる全ての宛名Pbが通知されることになる。従って、配達員は、当該行先階Fdでの配達先となる全ての宛名Pbを確認することができ、その結果として、配達漏れが生じにくくなる。
【0116】
第1変形例で説明した降車順登録画面への宛名Pbの表示及び行先階管理データDeへの宛名Pbの保存についての構成は、それらの両方が上記実施形態からの変更点として適用されてもよいし、何れか一方のみが上記実施形態からの変更点として適用され、もう一方については適用されずに上記実施形態のままであってもよい。
【0117】
[2-2]第2変形例
図10は、第2変形例に係る制御システムが適用されたエレベータの全体構成を示した概念図である。この図に示されるように、コードリーダ10は、行先階登録装置1Aに設置されたものに限らず、利用者が所有する端末装置4(スマートフォンなど)で構成されたものを含んでいてもよい。具体的には、端末装置4に設けられた撮像デバイス(カメラなど)を利用してコードを読み取るためのアプリケーションソフトウェア(以下、「コード読取アプリ」と称す)が、端末装置4にインストールされていてもよい。この場合、配達員は、自身が所有する端末装置4にてコード読取アプリを立ち上げることにより、当該端末装置4をコードリーダ10として機能させることができる。
【0118】
このような構成によれば、配達員は、特定階において、自身の端末装置4をコードリーダ10として機能させ、配達物に貼り付けられている配達伝票に記載のコードを当該端末装置4で読み取った後、その特定階に設置されている行先階登録装置1Aと近距離通信を行うことにより、コード内の宛先情報Paを行先階登録装置1Aへ送信することができる。これにより、配達員は、行先階登録装置1Aに設置されているコードリーダ10にコードを読み取らせた場合と同様に、当該行先階登録装置1Aに対して配達物ごとの宛先情報Paを提供することができる。
【0119】
その結果として、登録部12Aに表示される降車順登録画面には、端末装置4で読み取られたコードに対応する行先階Fdが選択可能に表示されることになる。このように本変形例においては、行先階登録装置1Aの登録部12Aは、端末装置4と近距離通信を行うことにより、その端末装置4で読み取られたコードに対応する行先階Fdについて降車順を登録することが可能となるように構成されていてもよい。
【0120】
ここで、コードリーダ10として特定階に固定されたもの(ここでは、行先階登録装置1Aに設置されたもの)しかない場合において、配達伝票が配達物に貼り付けられていて、且つ、その配達物が大型であった場合には、配達員は、その大型の配達物を、コードリーダ10にコードを読み取らせることが可能な位置及び姿勢となるように持ち上げなければならなくなる。このように、コードリーダ10として特定階に固定されたものしかない場合には、コードリーダ10にコードを読み取らせるという作業において大きな負担が配達員に強いられるおそれがある。一方、上述した第2変形例によれば、配達員は、自身が所有する端末装置4でコードを読み取ることができるため、大型の配達物であっても、例えば床や台車に置いた状態でコードを読み取ることができ、配達員の負担が軽減されることになる。
【0121】
[2-3]第3変形例
図11は、第3変形例で用いられる行先階管理データDeの一例を示した概念図である。上述した制御システム及び制御処理において、降車順登録画面(図2(E)参照)にて配達員が降車順を登録した場合、群管理制御装置3は、図11に示されるように、当該降車順登録画面が表示された行先階登録装置1Aの設置階Fs(即ち、当該配達員が降車順を登録した階)を、その降車順登録画面で登録された降車順の最後に加えて、ステップS121(図6C)で抽出した行先階Fd(具体的には、降車順登録画面での降車順の登録のときに登録対象になった行先階Fd。より具体的には、降車順登録画面で選択された行先階Fd)のうちの降車順が先頭であるものを除いた行先階Fdと共に行先階管理データDeに保存してもよい。図11の例では、1階に設置されている行先階登録装置1Aの登録部12Aにて降車順が登録され、その1階が降車順の最後に加えられた場合が示されている。
【0122】
第3変形例によれば、配達員は、降車を予定していた全ての行先階Fdへの移動が完了した後、最後に降車した行先階Fdにて自身の顔情報Piを顔情報取得部11に取得させることにより、手入力での登録操作なしに、最初に乗りかごGに乗車した階(降車順を登録した階。即ち、特定階であり、コードリーダ10にコードを読み取らせた階でもある)へエレベータを利用して戻ることができる。
【0123】
[2-4]第4変形例
図12は、第4変形例で用いられる行先階管理データDeの一例を示した概念図である。上述した制御システム及び制御処理において、行先階登録装置1Aの登録部12Aは、降車順登録画面或いは別の画面において、行先階Fd及び降車順の登録に関する有効期限(具体的には、行先階管理データDeへの行先階Fd及び降車順の保存期間)を設定できるものに適宜変更されてもよい。その場合、行先階管理データDeでは、図12に示されるように、設定された有効期限(例えば、西暦及び時刻など)が、行先階Fd及び降車順と共に、顔情報Piに対応付けられた状態で保存されることになる。
【0124】
そして、行先階管理データDeにて有効期限が対応付けられている顔情報Piについては、群管理制御装置3は、その顔情報Piに対応付けられている行先階Fdが全て削除されるか、或いは、有効期限が過ぎた場合に、当該顔情報Piと共にそれに関連する全ての情報(行先階Fdや有効期限など)を、行先階管理データDeから削除する。
【0125】
[2-5]第5変形例
上述した制御システム及び制御処理において、行先階管理データDeでの降車順の保存方法は、行先階Fdの並び順を降車順として保存する方法に限らず、降車順登録画面で配達員が登録した降車順(即ち、配達員が意図した降車順)を群管理制御装置3に認識させることができるものであれば、別の方法に適宜変更されてもよい。
【0126】
[2-6]第6変形例
上述した制御システム及び制御処理は、降車順登録画面を表示させずに、配達員がコードリーダ10にコードを読み取らせる作業を行うだけで、当該コードに対応する行先階Fdのうちの少なくとも一部が、顔情報Piに対応付けられた状態で行先階管理データDeに保存されるものに適宜変更されてもよい。
【0127】
この場合、群管理制御装置3は、配達員がコードリーダ10に読み取らせたコードに対応する行先階Fdだけを(即ち、降車順とは関連付けずに)、当該配達員の顔情報Piと対応付けた状態で行先階管理データDeに保存することができる。このような行先階管理データDeを用いた呼び登録処理では、群管理制御装置3は、ステップS101にて受信情報Pr内の顔情報Piについて「合致する(Yes)」と判断した場合に、行先階管理データDeにて当該顔情報Piに対応付けられている行先階Fdのうちの何れか1つを対象として呼び登録を行うことができる(図6DのステップS132参照)。このとき、群管理制御装置3は、行先階管理データDeに保存されている行先階Fdのうちの、階数が最も小さいものを用いて順に呼び登録を行っていくことができる。また、群管理制御装置3は、当該呼び登録で対象とした行先階Fdを行先階管理データDeから削除することができる(図6DのステップS134参照)。
【0128】
他の例として、群管理制御装置3は、行先階管理データDeに行先階Fdを保存するときに、それらを階数が最も小さいものから順に並べ、その並び順を降車順として行先階管理データDeに保存してもよい。
【0129】
[2-7]他の変形例
上述した制御システム及び制御処理において、顔情報取得部11は、行先階登録装置1(行先階登録装置1A及び1Bを含む)以外の箇所に設けられてもよい。例えば、顔情報取得部11は、各階に設置されている監視カメラで代用されてもよいし、各階において行先階登録装置1とは別の箇所に新たに設置されてもよい。
【0130】
上述の実施形態及び変形例の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態や変形例ではなく、特許請求の範囲によって示される。更に、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0131】
また、上述の実施形態や変形例からは、発明の対象として、エレベータの制御システムに限らず、その制御システムを構成する装置、当該制御システムで実行される制御処理やプログラムなどが個々に抽出されてもよいし、それらの一部が部分的に抽出されてもよい。
【符号の説明】
【0132】
1、1A、1B 行先階登録装置
2 エレベータ制御装置
3 群管理制御装置
4 端末装置
10 コードリーダ
11 顔情報取得部
12、12A、12B 登録部
31 記憶部
32 制御部
De 行先階管理データ
Df 宛先管理データ
Dr 装置管理データ
Fd 行先階
Fs 設置階
Pa 宛先情報
Pb 宛名
Pc 配達物情報
Pd 装置情報
Pi 顔情報
Pj 登録情報
Pr 受信情報
Sq 指令信号
320 顔認証処理部
321 呼び登録処理部
322 行先階管理処理部
【要約】
【課題】エレベータを利用して異なる複数の行先階へ移動する場合の当該エレベータの利便性を向上させることが可能な制御技術を提案する。
【解決手段】エレベータの制御システムは、顔情報取得部と、コードリーダと、行先階管理データと、呼び登録処理部と、を備える。顔情報取得部は、各階に設置され、利用者から顔情報を取得する。行先階管理データには、利用者がコードリーダに読み取らせたコードに対応する行先階のうちの少なくとも一部が、顔情報取得部が取得した当該利用者の顔情報と対応付けられた状態で保存される。呼び登録処理部は、顔情報取得部が取得した利用者の顔情報が、行先階管理データに保存されている顔情報の何れかと合致した場合に、行先階管理データにて当該顔情報に対応付けられている行先階のうちの何れか1つを対象として呼び登録を行う。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9
図10
図11
図12