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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】ロープテスタ用検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/83 20060101AFI20230920BHJP
   B66B 5/02 20060101ALN20230920BHJP
【FI】
G01N27/83
B66B5/02 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022170535
(22)【出願日】2022-10-25
【審査請求日】2022-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平田 智之
(72)【発明者】
【氏名】廣畑 圭司朗
(72)【発明者】
【氏名】田平 尚己
(72)【発明者】
【氏名】田 利軍
(72)【発明者】
【氏名】張 燕莉
【審査官】村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-160068(JP,A)
【文献】特開平11-211698(JP,A)
【文献】特開2012-154729(JP,A)
【文献】国際公開第2019/146742(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0106260(US,A1)
【文献】国際公開第2013/023818(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/72-27/9093
B66B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入溝の内部に配置されるロープから漏洩する磁束を検出するロープテスタを、検査するためのロープテスタ用検査装置であって、
前記挿入溝の内部に配置される装置本体と、
前記装置本体の外部に磁束を発生させる磁束発生部と、を備え
前記磁束発生部は、自身の周りに磁界を形成する磁石部を備え、
前記装置本体は、前記挿入溝をガイドするために、第1方向へ延びるガイド部と、前記磁石部を固定する固定部と、を備え、
前記磁石部は、前記ガイド部の前記第1方向の中間部に配置され、
前記ガイド部及び前記固定部は、非磁性体で形成される、ロープテスタ用検査装置。
【請求項2】
前記磁石部は、電流を流すことによって磁束を発生させるソレノイドを備える、請求項に記載のロープテスタ用検査装置。
【請求項3】
前記磁石部は、前記ソレノイドの内部に配置される磁性部を備える、請求項2に記載のロープタ用検査装置。
【請求項4】
挿入溝の内部に配置されるロープから漏洩する磁束を検出するロープテスタを、検査するためのロープテスタ用検査装置であって、
前記挿入溝の内部に配置される装置本体と、
前記装置本体の外部に磁束を発生させる磁束発生部と、を備え、
前記装置本体は、前記挿入溝をガイドするために、第1方向へ延びるガイド部を備え、
前記磁束発生部は、自身の周りに磁界を形成する磁石部を備え、
前記磁石部は、前記ガイド部の前記第1方向の中間部に配置され、
前記挿入溝は、溝幅方向に離れる一対の溝側面を備えることに対し、
前記ガイド部は、前記一対の溝側面をそれぞれガイド可能な一対の第1ガイド面と、前記一対の溝側面をそれぞれガイド可能な一対の第2ガイド面と、を備え、
前記一対の第1ガイド面間の距離は、前記一対の第2ガイド面間の距離と、異なる、ロープテスタ用検査装置。
【請求項5】
挿入溝の内部に配置されるロープから漏洩する磁束を検出するロープテスタを、検査するためのロープテスタ用検査装置であって、
前記挿入溝の内部に配置される装置本体と、
前記装置本体の外部に磁束を発生させる磁束発生部と、を備え、
前記装置本体は、前記挿入溝をガイドするために、第1方向へ延びるガイド部を備え、
前記磁束発生部は、自身の周りに磁界を形成する磁石部を備え、
前記磁石部は、前記ガイド部の前記第1方向の中間部に配置され、
前記装置本体は、前記磁石部が固定されるベース部を備え、
前記ガイド部は、前記ベース部に選択して装着されるために、前記ベース部に着脱可能な第1ガイド部及び第2ガイド部を含み、
前記挿入溝は、溝幅方向に離れる一対の溝側面を備えることに対し、
前記第1ガイド部は、前記一対の溝側面をそれぞれガイド可能な一対のガイド面を備え、前記第2ガイド部は、前記一対の溝側面をそれぞれガイド可能な一対のガイド面を備え、
前記第1ガイド部の前記一対のガイド面間における距離は、前記第2ガイド部の前記一対のガイド面間における距離と、異なる、ロープテスタ用検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ロープテスタ用検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、ロープテスタは、挿入溝の内部に配置されるロープから漏洩する磁束を検出する(例えば、特許文献1)。ところで、例えば、製造して出荷前のロープテスタや現在使用しているロープテスタに対して、ロープテスタがロープから漏洩する磁束を検出することを検査したい、という要望が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-132395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、課題は、ロープテスタがロープから漏洩する磁束を検出することを検査することができるロープテスタ用検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ロープテスタ用検査装置は、挿入溝の内部に配置されるロープから漏洩する磁束を検出するロープテスタを、検査するためのロープテスタ用検査装置であって、前記挿入溝の内部に配置される装置本体と、前記装置本体の外部に磁束を発生させる磁束発生部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】一例のロープテスタの斜視図
図2】同ロープテスタの要部底面図
図3図1のIII-III線の要部拡大断面図
図4】同ロープテスタの構成要素の斜視図
図5】同ロープテスタの構成要素の正面図
図6】一実施形態に係るロープテスタ用検査装置の斜視図
図7】同ロープテスタ用検査装置の分解斜視図
図8】同ロープテスタ用検査装置の図((a):側面図、(b):正面図)
図9】同ロープテスタ用検査装置の要部正面図
図10】同ロープテスタ用検査装置の底面図
図11】同ロープテスタ用検査装置の底面図であって、第1のロープテスタを検査する状態を示す図
図12】同ロープテスタ用検査装置の底面図であって、第2のロープテスタを検査する状態を示す図
図13】同ロープテスタ用検査装置の斜視図であって、ベース部に別のガイド部を装着させた状態を示す図
図14図13に係るロープテスタ用検査装置の底面図
図15図13に係るロープテスタ用検査装置の底面図であって、第3のロープテスタを検査する状態を示す図
図16図13に係るロープテスタ用検査装置の底面図であって、第4のロープテスタを検査する状態を示す図
図17図13に係るロープテスタ用検査装置の底面図であって、第5のロープテスタを検査する状態を示す図
図18】同実施形態に係るロープテスタ用検査装置がロープテスタを検査する状態を示す図((a):斜視図、(b):(a)の状態からロープテスタ用検査装置をスライドさせた状態を示す正面図)
図19】他の実施形態に係るロープテスタ用検査装置の図((a):ガイド部の側面図、(b):分解底面図)
図20】さらに他の実施形態に係るロープテスタ用検査装置の分解図((a):側面図、(b):底面図)
【発明を実施するための形態】
【0007】
各図面において、構成要素の寸法は、例えば、理解を容易にするために、実際の寸法に対して拡大、縮小して示す場合があり、また、各図面の間での寸法比は、一致していない場合がある。なお、各図面において、例えば、理解を容易にするために、構成要素の一部を省略して示す場合がある。
【0008】
第1、第2等の序数を含む用語は、多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、構成要素は、この用語によって特に限定されるものではない。なお、序数を含む構成要素の個数は、特に限定されず、例えば、一つでもよい場合がある。また、以下の明細書及び図面で用いられる序数は、特許請求の範囲に記載された序数と異なる場合がある。
【0009】
まず、本実施形態に係るロープテスタ用検査装置の各構成を説明するのに先立って、ロープテスタの構成について、図1図5を参照しながら説明する。なお、以下のロープテスタは、ロープテスタの構成等の理解を助けるために例示するものであり、ロープテスタ用検査装置が検査するロープテスタの構成等を限定するものではない。
【0010】
図1に示すように、ロープテスタ11は、例えば、エレベータに用いられるエレベータ用ロープX1を診断するために用いられてもよい。なお、ロープテスタ11が診断するロープX1は、特に限定されない。
【0011】
ロープテスタ11は、ロープX1が内部に挿入されるために、第1方向D1へ延びる挿入溝12と、把持される把持部13とを備えていてもよい。挿入溝12は、例えば、ロープテスタ11の第3方向D3の一端に配置されていてもよく、また、把持部13は、例えば、ロープテスタ11の第3方向D3の他端に配置されていてもよい。なお、図1に係るロープテスタ11は、把持されて用いられるが、特に限定されず、例えば、エレベータの昇降路に固定されて用いられてもよい。
【0012】
また、各図において、第1方向D1は、挿入溝12が延びる溝長さ方向D1であり、第2方向D2は、挿入溝12の溝幅方向D2であり、第3方向D3は、挿入溝12の溝深さ方向D3である。なお、第1~第3方向D1~D3は、互いに直交する方向である。
【0013】
図2に示すように、挿入溝12は、例えば、溝幅方向D2に離れる一対の溝側面12a,12aと、一対の溝側面12a,12a同士を接続する溝底面12bとを備えていてもよい。これにより、挿入溝12は、溝長さ方向D1視において、溝深さ方向D3へ向けて一部が開放された凹面に形成されている。
【0014】
図3に示すように、ロープテスタ11は、例えば、ロープX1を磁化させる磁化部14と、ロープX1から漏洩する磁束を検出する磁束検出部15とを備えていてもよい。なお、特に限定されないが、磁束検出部15は、例えば、磁束の大きさを電圧(電流)の大きさに変換する各種磁気センサ(ホール素子、コイル)としてもよい。
【0015】
磁化部14は、例えば、第1及び第2磁石14a,14bと、第1磁石14aと第2磁石14bとを磁気的に接続する磁路部14cとを備えていてもよい。これにより、第1及び第2磁石14a,14bと磁路部14cとは、ロープX1と協働することによって、無端環状の磁気回路を構成することができる。
【0016】
なお、各磁石14a,14bは、特に限定されないが、例えば、永久磁石としてもよく、また、例えば、電磁石としてもよい。また、磁路部14cは、特に限定されないが、高い透磁率を有しており、例えば、純鉄や低炭素鋼で形成されていてもよい。
【0017】
また、挿入溝12は、例えば、ロープX1から漏洩する磁束を集める溝磁性部16と、溝磁性部16の透磁率よりも低い透磁率を有する溝非磁性部17とを備えていてもよい。そして、磁束検出部15は、例えば、磁化部14によって磁化されるロープX1から漏洩する磁束を検出するために、溝磁性部16の内部を通る磁束を検出していてもよい。
【0018】
溝磁性部16は、特に限定されないが、磁性体(強磁性体)で形成され、高い透磁率を有しており、例えば、純鉄や低炭素鋼で形成されていてもよい。また、溝非磁性部17は、特に限定されないが、非磁性体(常磁性体、反磁性体)で形成され、低い透磁率を有しており、例えば、ロープX1の硬度よりも低い硬度の金属(例えば、アルミ青銅、アルミ)や硬質樹脂で形成されていてもよい。
【0019】
また、例えば、磁性体の透磁率は、非磁性体の透磁率の100倍以上であることが好ましく、また、1000倍以上であることがより好ましい。また、例えば、磁性体の透磁率は、大気の透磁率の100倍以上であることが好ましく、また、1000倍以上であることがより好ましい。
【0020】
図4及び図5に示すように、溝磁性部16は、例えば、挿入溝12を構成する磁性凹部16a,16aと、磁性凹部16aと磁束検出部15とを接続する接続部16bとを備えていてもよい。これにより、図5に示すように、ロープX1の断線部分が磁性凹部16a,16a間に位置したときに、断線部分から漏洩した磁束が、溝磁性部16によって集められ、磁束検出部15は、溝磁性部16の内部(接続部16b,16b間)を通る磁束を検出する。
【0021】
このように、ロープテスタ11は、挿入溝12の内部に配置されるロープX1から漏洩する磁束を検出することができる。なお、ロープX1の断線部分が、磁性凹部16a,16a間でなく、例えば、一方の磁性凹部16aの近くに位置したときでも、断線部分から漏洩した磁束が、溝磁性部16によって集められ、磁束検出部15は、溝磁性部16の内部(接続部16b,16b間)を通る磁束を検出できる。
【0022】
そして、ロープテスタ11は、例えば、磁束検出部15で検出した情報を、有線又は無線によって、外部装置(例えば、当該情報に基づいてロープX1を診断する診断システム)へ向けて出力してもよい。なお、接続部16bと磁束検出部15との間には、例えば、隙間が形成されていてもよい。
【0023】
次に、ロープテスタ用検査装置における一実施形態について、図6図18を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、ロープテスタ用検査装置の構成等の理解を助けるために例示するものであり、ロープテスタ用検査装置の構成を限定するものではない。
【0024】
また、各図において、各方向D1~D3は、ロープテスタ用検査装置がロープテスタ1を検査するときの方向を示している。具体的には、第1方向D1は、溝長さ方向D1であり、第2方向D2は、溝幅方向D2であり、第3方向D3は、溝深さD3方向である。
【0025】
図6図9に示すように、ロープテスタ用検査装置(以下、単に「検査装置」ともいう)1は、例えば、挿入溝12の内部に配置される装置本体2と、装置本体2の外部に磁束X2を発生させる磁束発生部3とを備えていてもよい。そして、検査装置1は、ロープテスタ11を検査するために用いられる。
【0026】
例えば、本実施形態のように、磁束発生部3は、自身の周りに磁界を形成する磁石部4を備え、装置本体2は、磁石部4を固定する固定部5と、固定部5が固定されることによって、磁石部4が固定されるベース部6と、挿入溝12をガイドし、ベース部6に着脱可能であるガイド部7と、ベース部6に固定され、ロープテスタ11を当て止めする当止部9とを備えている、という構成でもよい。
【0027】
磁石部4は、例えば、本実施形態のように、電流を流すことによって磁束X2を発生させるソレノイド4aと、ソレノイド4aの内部に配置される磁性部4b(例えば、鉄心)とを備えていてもよい。これにより、ソレノイド4aに電流が流されることによって、磁束X2が発生するため、磁束X2が装置本体2の外部に発生する。なお、磁石部4は、例えば、磁性部4bを備えておらず、ソレノイド4aのみで構成されていてもよい。
【0028】
固定部5は、特に限定されないが、例えば、非磁性体で形成され、低い透磁率を有している。これにより、磁石部4の周りに形成される磁界に、固定部5が影響を及ぼさないため、装置本体2の外部に発生する磁束X2の大きさを一定に安定させることができる。
【0029】
なお、ベース部6、ガイド部7及び当止部9は、特に限定されないが、例えば、それぞれ非磁性体で形成され、低い透磁率を有していてもよい。例えば、装置本体2の全体は、非磁性体で形成され、低い透磁率を有していてもよい。
【0030】
また、検査装置1は、例えば、本実施形態のように、情報が入力される入力部1aと、ソレノイド4aに電流を流す電源部1bとを備えていてもよい。そして、電源部1bは、例えば、入力部1aに入力された情報に基づいて、所定の大きさの電流をソレノイド4aに流してもよい。
【0031】
例えば、入力部1aに、ソレノイド4aに流す電流の大きさ、又は、磁石部4で発生させる磁束X2の大きさ等の情報が入力されることによって、電源部1bは、ソレノイド4aに流す電流の大きさを変更する。これにより、装置本体2の外部に発生する磁束X2の大きさを変更することができるため、例えば、検査に適切な磁束X2の大きさに設定することができる。
【0032】
なお、特に限定されないが、例えば、設定される磁束X2は、ロープX1が実際に断線した(自然断線した)場合にロープテスタ11が検出する磁束よりも、小さくしてもよい。これにより、ロープテスタ11がロープX1から漏洩する磁束を検出する能力が一定の基準を満たしていることを検査することが可能となり、ロープテスタ11の検出能力を担保することができる。
【0033】
ガイド部7は、例えば、本実施形態のように、挿入溝12をガイドするために、第1方向D1へ延びていてもよい。それに対して、磁石部4は、例えば、本実施形態のように、ガイド部7の第1方向D1の中間部に配置されていてもよい。これにより、磁石部4が、ガイド部7の第1方向D1の中間部で、自身の周りに磁界を形成するため、ガイド部7の第1方向D1の中間部で、磁束X2が装置本体2の外部に発生する。
【0034】
そして、例えば、本実施形態のように、磁石部4の一部は、露出していてもよい。これにより、磁石部4の位置を把握できるため、例えば、装置本体2の外部で発生している磁束X2の位置を把握することが容易となる。なお、特に限定されないが、中間部とは、ガイド部7の中央の位置であって、例えば、ガイド部7の第1方向D1の長さの80%の範囲の位置としてもよく、また、例えば、ガイド部7の第1方向D1の長さの50%の範囲の位置としてもよい。
【0035】
また、磁石部4は、例えば、本実施形態のように、第3方向D3へ突出して露出していてもよい。それに対して、ガイド部7は、磁石部4及び固定部5を収容するために、第2方向D2に開放された収容凹部7aを備えていてもよい。これにより、ガイド部7が磁石部4に対して第2方向D2へ変位することによって、ガイド部7をベース部6に着脱することができるため、例えば、ガイド部7が磁石部4に当たることを抑制することができる。
【0036】
ところで、ガイド部7,8は、例えば、ベース部6に選択して装着されるために、複数設けられていてもよい。本実施形態においては、ガイド部7,8は、図6図12に示す第1ガイド部7と、図13図17に示す第2ガイド部8とを備えている。これにより、例えば、検査するロープテスタ11の挿入溝12の大きさに対応して、複数のガイド部7,8のうち、一つのガイド部7,8がベース部6に装着される。
【0037】
なお、ガイド部7,8の個数は、本実施形態においては、二つであるが、特に限定されず、例えば、一つでもよく、また、例えば、三つ以上でもよい。また、ロープテスタ11の挿入溝12の大きさは、例えば、ロープテスタ11で診断するロープX1の直径の大きさに対応している。
【0038】
図10図12に示すように、第1ガイド部7は、例えば、第1ロープテスタ11aの一対の溝側面12a,12aをそれぞれガイド可能な一対の第1ガイド面7b,7bと、第2ロープテスタ11bの一対の溝側面12a,12aをそれぞれガイド可能な一対の第2ガイド面7c,7cとを備えていてもよい。
【0039】
そして、第1ガイド面7b,7b間の距離は、第2ガイド面7c,7c間の距離と、異なっている。例えば、本実施形態においては、第1ロープテスタ11aの溝側面12a,12a間の距離が、第2ロープテスタ11bの溝側面12a,12a間の距離よりも大きいことに対して、第1ガイド面7b,7b間の距離は、第2ガイド面7c,7c間の距離よりも、大きくなっている。
【0040】
これにより、第1ロープテスタ11aの溝側面12aを第1ガイド面7bでガイドすることができ、また、第2ロープテスタ11bの溝側面12aを第2ガイド面7cでガイドすることができる。したがって、検査するロープテスタ11の挿入溝12の大きさに対応して、適切なガイド面7b,7cでロープテスタ11の溝側面12aをガイドすることができる。
【0041】
なお、第1ガイド部7は、例えば、本実施形態のように、挿入溝12の先端部12c、即ち、ロープテスタ11の溝深さ方向D3の先端部12cをガイドする先端ガイド面7dを備えていてもよい。これにより、例えば、磁石部4が挿入溝12の溝底面12bに当たることを抑制することができる。また、例えば、溝長さ方向D1視において、挿入溝12に対する磁石部4の位置を一定にすることができる。そして、第1ガイド部7は、複数のガイド面7b,7c,7dによって、階段状に形成されている。
【0042】
また、図13図17に示すように、第2ガイド部8は、例えば、第3ロープテスタ11cの一対の溝側面12a,12aをそれぞれガイド可能な一対の第3ガイド面8b,8bと、第4ロープテスタ11dの一対の溝側面12a,12aをそれぞれガイド可能な一対の第4ガイド面8c,8cと、第5ロープテスタ11eの一対の溝側面12a,12aをそれぞれガイド可能な一対の第5ガイド面8d,8dとを備えていてもよい。
【0043】
そして、第3ガイド面8b,8b間の距離と、第4ガイド面8c,8c間の距離と、第5ガイド面8d,8d間の距離とは、それぞれ異なっている。例えば、本実施形態においては、第3ロープテスタ11cの溝側面12a,12a間の距離、第4ロープテスタ11dの溝側面12a,12a間の距離、第5ロープテスタ11eの溝側面12a,12a間の距離の順で、大きいことに対して、第3ガイド面8b,8b間の距離、第4ガイド面8c,8c間の距離、第5ガイド面8d,8d間の距離の順で、大きくなっている。
【0044】
これにより、第3ロープテスタ11cの溝側面12aを第3ガイド面8bでガイドすることができ、また、第4ロープテスタ11dの溝側面12aを第4ガイド面8cでガイドすることができ、また、第5ロープテスタ11eの溝側面12aを第5ガイド面8dでガイドすることができる。したがって、検査するロープテスタ11の挿入溝12の大きさに対応して、適切なガイド面8b,8c,8dでロープテスタ11の溝側面12aをガイドすることができる。
【0045】
なお、第2ガイド部8は、例えば、本実施形態のように、挿入溝12の先端部12c、即ち、ロープテスタ11の溝深さ方向D3の先端部12cをガイドする先端ガイド面8eを備えていてもよい。これにより、例えば、磁石部4が挿入溝12の溝底面12bに当たることを抑制することができる。また、例えば、溝長さ方向D1視において、挿入溝12に対する磁石部4の位置を一定にすることができる。そして、第2ガイド部8は、複数のガイド面8b,8c,8d,8eによって、階段状に形成されている。
【0046】
また、例えば、本実施形態のように、第1ガイド部7のガイド面7b,7b(7c、7c)間の距離は、第2ガイド部8のガイド面8b,8b(8c,8c;8d,8d)間の距離と、それぞれ異なっていてもよい。即ち、第1ガイド面7b,7b間の距離と、第2ガイド面7c,7c間の距離と、第3ガイド面8b,8b間の距離と、第4ガイド面8c,8c間の距離と、第5ガイド面8d,8d間の距離とは、それぞれ異なっていてもよい。
【0047】
例えば、本実施形態においては、第3ガイド面8b,8b間の距離、第1ガイド面7b,7b間の距離、第4ガイド面8c,8c間の距離、第2ガイド面7c,7c間の距離、第5ガイド面8d,8d間の距離の順で、大きくなっている。これにより、検査するロープテスタ11の挿入溝12の大きさに対応して、適切なガイド部7,8がベース部6に装着されることによって、ガイド面7b,7c,8b,8c,8dで、ロープテスタ11の溝側面12aをガイドすることができる。
【0048】
次に、検査装置1でロープテスタ11を検査する方法を、図18を参照しながら説明する。なお、以下の方法は、ロープテスタ11の検査方法等の理解を助けるために例示するものであり、ロープテスタ11の検査方法を限定するものではない。
【0049】
例えば、図18(a)に示すように、検査装置1がロープテスタ11に対して第1方向D1にスライドする。その後、例えば、図13(b)に示すように、当止部9がロープテスタ11に当て止めされる。
【0050】
このとき、例えば、第2方向D2視において、磁石部4の少なくとも一部は、溝磁性部16の磁性凹部16a,16a間に配置されていてもよい。これにより、当止部9がロープテスタ11に当て止めされた状態で、ロープテスタ11は、磁石部4で発生された磁束を検出する。したがって、ロープテスタ11がロープX1から漏洩する磁束を検出することを検査することができる。
【0051】
なお、特に限定されないが、例えば、本実施形態のように、磁石部4の第1方向D1の長さW1は、溝磁性部16の磁性凹部16a,16aの内端同士間における、第1方向D1の距離W2よりも、長く、且つ、溝磁性部16の磁性凹部16a,16aの外端同士間における、第1方向D1の距離W3よりも、短い、という構成が好ましい。
【0052】
[1]
以上より、ロープテスタ用検査装置1は、本実施形態のように、挿入溝12の内部に配置されるロープX1から漏洩する磁束を検出するロープテスタ11を、検査するためのロープテスタ用検査装置1であって、前記挿入溝12の内部に配置される装置本体2と、前記装置本体2の外部に磁束X2を発生させる磁束発生部3と、を備える、という構成が好ましい。
【0053】
斯かる構成によれば、装置本体2が、ロープテスタ11の挿入溝12の内部に配置され、磁束発生部3が、装置本体2の外部に磁束X2を発生させることによって、ロープテスタ11は、当該磁束X2を検出する。これにより、ロープテスタ11がロープX1から漏洩する磁束を検出することを検査することができる。
【0054】
[2]
また、上記[1]のロープテスタ用検査装置1においては、本実施形態のように、前記装置本体2は、前記挿入溝12をガイドするために、第1方向D1へ延びるガイド部7,8を備え、前記磁束発生部3は、自身の周りに磁界を形成する磁石部4を備え、前記磁石部4は、前記ガイド部7,8の前記第1方向D1の中間部に配置される、という構成が好ましい。
【0055】
斯かる構成によれば、磁石部4は、ガイド部7,8の第1方向D1の中間部で、自身の周りに磁界を形成する。これにより、ガイド部7,8の第1方向D1の中間部で、磁束X2が装置本体2の外部に発生する。
【0056】
[3]
また、上記[2]のロープテスタ用検査装置1においては、本実施形態のように、前記磁石部4は、電流を流すことによって磁束X2を発生させるソレノイド4aを備える、という構成が好ましい。
【0057】
斯かる構成によれば、ソレノイド4aに電流が流されることによって、磁束X2が発生するため、磁束X2が装置本体2の外部に発生する。そして、ソレノイド4aに流す電流の大きさを変更することによって、装置本体2の外部に発生する磁束X2の大きさを変更することができる。
【0058】
[4]
また、上記[2]又は[3]のロープテスタ用検査装置1においては、本実施形態のように、前記挿入溝12は、溝幅方向D2に離れる一対の溝側面12a,12aを備えることに対し、前記装置本体2は、前記一対の溝側面12a,12aをそれぞれガイド可能な一対の第1ガイド面7b,7b(8b,8b)と、前記一対の溝側面12a,12aをそれぞれガイド可能な一対の第2ガイド面7c,7c(8c,8c;8d,8d)と、を備え、前記一対の第1ガイド面7b,7b(8b,8b)間の距離は、前記一対の第2ガイド面7c,7c(8c,8c;8d,8d)間の距離と、異なる、という構成が好ましい。
【0059】
斯かる構成によれば、第1ガイド面7b,7b(8b,8b)間の距離が、第2ガイド面7c,7c(8c,8c;8d,8d)間の距離と、異なっているため、挿入溝12の溝側面12a,12a間の距離に対応して、第1ガイド面7bが溝側面12aをガイドしたり、第2ガイド面7cが溝側面12aをガイドしたりする。これにより、挿入溝12の大きさに対応して、ガイド面7b,7c(8b,8c,8d)で溝側面12aをガイドすることができる。
【0060】
[5]
また、上記[2]~[4]の何れか一つのロープテスタ用検査装置1においては、前記装置本体2は、前記磁石部4が固定されるベース部6を備え、前記ガイド部7,8は、前記ベース部6に選択して装着されるために、前記ベース部6に着脱可能な第1ガイド部7及び第2ガイド部8を含み、前記挿入溝12は、溝幅方向D2に離れる一対の溝側面12a,12aを備えることに対し、前記第1ガイド部7は、前記一対の溝側面12a,12aをそれぞれガイド可能な一対のガイド面7b,7b(7c,7c)を備え、前記第2ガイド部8は、前記一対の溝側面12a,12aをそれぞれガイド可能な一対のガイド面8b,8b(8c,8c;8d,8d)を備え、前記第1ガイド部7の前記一対のガイド面7b,7b(7c,7c)間における距離は、前記第2ガイド部8の前記一対のガイド面間における距離8b,8b(8c,8c;8d,8d)と、異なる、という構成が好ましい。
【0061】
斯かる構成によれば、第1ガイド部7のガイド面7b,7b(7c,7c)間の距離が、第2ガイド部8のガイド面8b,8b(8c,8c;8d,8d)間の距離と、異なっているため、挿入溝12の溝側面12a,12a間の距離に対応して、第1ガイド部7のガイド面7b,7cが溝側面12aをガイドしたり、第2ガイド部8のガイド面8b,8c,8dが溝側面12aをガイドしたりする。これにより、挿入溝12の大きさに対応して、適切なガイド部7,8がベース部6に装着されることによって、ガイド面7b,7c,8b,8c,8dで溝側面12aをガイドすることができる。
【0062】
なお、ロープテスタ用検査装置1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、ロープテスタ用検査装置1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0063】
(A)上記実施形態に係るロープテスタ用検査装置1においては、ガイド部7,8は、磁石部4及び固定部5を収容するために、第2方向D2に開放された収容凹部7a,8aを備えている、という構成である。しかしながら、ロープテスタ用検査装置1は、斯かる構成に限られない。
【0064】
例えば、図19に示すように、ガイド部7は、磁石部4及び固定部5を収容するために、第3方向D3に貫通する収容凹部7aを備えていてもよい。斯かる構成においては、ガイド部7がベース部6に対して第3方向D3へ変位することによって、ガイド部7をベース部6に着脱することができる。
【0065】
また、例えば、図20に示すように、ガイド部7は、磁石部4及び固定部5を第2方向D2で挟む一対のガイド片7e,7eを備え、ガイド片7eは、磁石部4及び固定部5を収容するために、第2方向D2に開放する収容凹部7aを備えている、という構成でもよい。斯かる構成においては、ガイド片7eがベース部6に対してそれぞれ第2方向D2へ変位することによって、ガイド部7をベース部6に着脱することができる。
【0066】
(B)また、上記実施形態に係るロープテスタ用検査装置1においては、磁束発生部3は、自身の周りに磁界を形成する磁石部4を備えている、という構成である。しかしながら、ロープテスタ用検査装置1は、斯かる構成に限られない。
【0067】
例えば、装置本体2は、第1方向D1に延びて磁性を有する長尺体(例えば、ロープ、鉄の棒等)であり、磁束発生部3は、長尺体の各端部に連結される磁石(例えば、永久磁石、電磁石等)と、長尺体の中間部に形成される凹み(例えば、欠損傷等)とである、という構成でもよい。斯かる構成によれば、当該凹みから磁束が漏洩するため、装置本体2の外部に磁束X2を発生させることができる。
【0068】
(C)また、上記実施形態に係るロープテスタ用検査装置1においては、磁石部4は、電流を流すことによって磁束を発生させるソレノイド4aを備える、即ち、電磁石である、という構成である。しかしながら、ロープテスタ用検査装置1は、斯かる構成に限られない。例えば、磁石部4は、永久磁石である、という構成でもよい。
【0069】
(D)また、上記実施形態に係るロープテスタ用検査装置1においては、ガイド部7,8は、一対のガイド面7b,7c(8b,8c,8d)を複数備え、一対のガイド面7b,7c(8b,8c,8d)間の距離は、互いに異なる、という構成である。しかしながら、ロープテスタ用検査装置1は、斯かる構成に限られない。例えば、各ガイド部7,8は、一対のガイド面7b,7c(8b,8c,8d)を一つのみ備えている、という構成でもよい。
【0070】
(E)また、上記実施形態に係るロープテスタ用検査装置1においては、ガイド部7,8は、ベース部6に着脱可能である、という構成である。しかしながら、ロープテスタ用検査装置1は、斯かる構成に限られない。例えば、ガイド部7,8は、ベース部6と一体であって、ベース部6に着脱不能である、という構成でもよい。
【0071】
(F)なお、例えば、特許請求の範囲、明細書及び図面において示した方法及び装置における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、前の処理の出力を後の処理で用いるものでない限り、任意の順序で実現できる。例えば、便宜上、「まず」、「次に」等を用いて説明したとしても、この順で実行することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0072】
1…ロープテスタ用検査装置、1a…入力部、1b…電源部、2…装置本体、3…磁束発生部、4…磁石部、4a…ソレノイド、4b…磁性部、5…固定部、6…ベース部、7…第1ガイド部、7a…収容凹部、7b…第1ガイド面、7c…第2ガイド面、7d…先端ガイド面、7e…ガイド片、8…第2ガイド部、8a…収容凹部、8b…第3ガイド面、8c…第4ガイド面、8d…第5ガイド面、8e…先端ガイド面、9…当止部、11…ロープテスタ、11a…第1ロープテスタ、11b…第2ロープテスタ、11c…第3ロープテスタ、11d…第4ロープテスタ、11e…第5ロープテスタ、12…挿入溝、12a…溝側面、12b…溝底面、12c…先端部、13…把持部、14…磁化部、14a…第1磁石、14b…第2磁石、14c…磁路部、15…磁束検出部、16…溝磁性部、16a…磁性凹部、16b…接続部、17…溝非磁性部、D1…溝長さ方向,第1方向、D2…溝幅方向,第2方向、D3…溝深さ方向,第3方向、X1…ロープ、X2…磁束
【要約】
【課題】 ロープテスタがロープから漏洩する磁束を検出することを検査することができるロープテスタ用検査装置を提供する。
【解決手段】 ロープテスタ用検査装置は、挿入溝の内部に配置されるロープから漏洩する磁束を検出するロープテスタを、検査するためのロープテスタ用検査装置であって、挿入溝の内部に配置される装置本体と、装置本体の外部に磁束を発生させる磁束発生部と、を備える。
【選択図】 図9
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20