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特許7351427遠隔自動運転システム、サーバ、および車両の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】遠隔自動運転システム、サーバ、および車両の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 65/18 20060101AFI20230920BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230920BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
B62D65/18 Z
H02J7/00 B
H02J7/00 P
H02J13/00 301A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023017688
(22)【出願日】2023-02-08
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩堀 健人
(72)【発明者】
【氏名】横山 大樹
【審査官】西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-062790(JP,A)
【文献】特表2017-538619(JP,A)
【文献】特開2018-043616(JP,A)
【文献】特開2016-147576(JP,A)
【文献】特開2017-192216(JP,A)
【文献】特開2016-135651(JP,A)
【文献】特開2019-099018(JP,A)
【文献】特開2010-239705(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0109116(US,A1)
【文献】国際公開第2021/261042(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第106671785(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 65/18
H02J 7/00
H02J 13/00
B60L 1/00- 3/12
7/00-13/00
15/00-58/40
B60W 10/00-20/50
B60K 6/20- 6/547
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を製造する工場に用いられる遠隔自動運転システムであって、
前記工場における製造過程において前記工場内を走行可能な前記車両であって、遠隔制御のための通信機能を有する通信装置と、走行用の二次電池とを備える前記車両を遠隔制御する遠隔制御部と、
前記二次電池の充電率を取得する充電率取得部と、
充電率の目標値を取得し、取得した前記目標値と現在の充電率とを用いて、充電率を調整するか否かを判定する充電率調整判定部と、を備え、
前記遠隔制御部は、前記充電率調整判定部が充電率を調整すると判定する場合に、前記車両の遠隔制御により、前記二次電池を放電させる放電処理と、前記二次電池を充電させるための充電処理との少なくともいずれかを含む充電率調整処理を実行して、充電率を前記目標値へと近づける、
遠隔自動運転システム。
【請求項2】
前記遠隔制御部は、前記充電率調整処理として、前記車両が前記工場内を走行する際の加速度を調整する、請求項1に記載の遠隔自動運転システム。
【請求項3】
請求項2に記載の遠隔自動運転システムであって、
前記遠隔制御部は、前記放電処理として、前記加速度の増加と、前記車両を加速させる回数の増加との少なくともいずれかを実行する、
遠隔自動運転システム。
【請求項4】
請求項1に記載の遠隔自動運転システムであって、
前記遠隔制御部は、前記放電処理として、前記二次電池の電力を消費する補機を駆動して、前記補機による電力消費量を増加させる、
遠隔自動運転システム。
【請求項5】
請求項1に記載の遠隔自動運転システムであって、
前記遠隔制御部は、前記充電処理として、前記車両を、前記二次電池を充電するための充電装置による充電可能な位置に移動させる、
遠隔自動運転システム。
【請求項6】
請求項1に記載の遠隔自動運転システムであって、
前記遠隔制御部は、前記充電率調整処理として、さらに、前記二次電池の放電を抑制する放電抑制処理と、前記二次電池の充電を抑制する充電抑制処理とを実行する、
遠隔自動運転システム。
【請求項7】
請求項6に記載の遠隔自動運転システムであって、
前記遠隔制御部は、前記放電抑制処理として、前記車両が前記工場内を走行する際の加速度の低減と、前記車両を加速させる回数の低減との少なくともいずれかを実行する、
遠隔自動運転システム。
【請求項8】
前記遠隔制御部は、前記充電抑制処理として、前記車両の回生電力量を低下させる、請求項6に記載の遠隔自動運転システム。
【請求項9】
前記目標値は、前記車両の出荷時に要求される充電率を用いて設定される、請求項1に記載の遠隔自動運転システム。
【請求項10】
前記目標値は、前記製造過程の工程ごとに設定される、請求項1に記載の遠隔自動運転システム。
【請求項11】
車両を製造する工場に用いられるサーバであって、
前記工場における製造過程において前記工場内を走行可能な前記車両であって、遠隔制御のための通信機能を有する通信装置と、走行用の二次電池とを備える前記車両を遠隔制御する遠隔制御部と、
前記二次電池の充電率を取得する充電率取得部と、
充電率の目標値を取得し、取得した前記目標値と現在の充電率とを用いて、充電率を調整するか否かを判定する充電率調整判定部と、を備え、
前記充電率調整判定部が充電率を調整すると判定する場合に、
前記車両の遠隔制御により前記二次電池を放電させる放電処理と、前記車両の遠隔制御により前記二次電池を充電させる充電処理との少なくともいずれかを含む前記遠隔制御部による充電率調整処理と、
手動により前記二次電池を放電させる手動放電作業と、手動により前記二次電池を充電させる手動充電作業との少なくともいずれかを促すための前記充電率調整判定部による報知と、の少なくともいずれかが実行される、
サーバ。
【請求項12】
車両の製造方法であって、
工場における製造過程において、車両を遠隔制御によって前記工場内を走行させる工程と、
前記車両に搭載される走行用の二次電池の現在の充電率と、充電率の目標値とを用いて、充電率を調整するか否かを判定する工程と、
充電率を調整すると判定する場合に、前記車両の遠隔制御により、前記二次電池の放電と、前記二次電池の充電との少なくともいずれかを実行して、充電率を前記目標値へと近づける工程と、を備える、
車両の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遠隔自動運転システム、サーバ、および車両の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、車両を生産するための製造システムを効率的に稼働させるために、遠隔制御等によって、車両を製造システムの組立ラインの終端から製造システムの駐車場まで走行させる車両走行方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2017-538619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の走行時には、車両に搭載される走行用の二次電池の電力が消費される。二次電池の劣化を抑制する等の観点から、二次電池の充電率(SOC:State Of Charge)は、車両の製造過程において適正な値で管理されることが好ましい。遠隔制御を利用する車両の製造過程において、遠隔制御により車両を自動走行させつつ、二次電池の充電率を適正な値で管理するための技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、車両を製造する工場に用いられる遠隔自動運転システムが提供される。この遠隔自動運転システムは、前記工場における製造過程において前記工場内を走行可能な前記車両であって、遠隔制御のための通信機能を有する通信装置と、走行用の二次電池とを備える前記車両を遠隔制御する遠隔制御部と、前記二次電池の充電率を取得する充電率取得部と、充電率の目標値を取得し、取得した前記目標値と現在の充電率とを用いて、充電率を調整するか否かを判定する充電率調整判定部と、を備える。前記遠隔制御部は、前記充電率調整判定部が充電率を調整すると判定する場合に、前記車両の遠隔制御により、前記二次電池を放電させる放電処理と、前記二次電池を充電させるための充電処理との少なくともいずれかを含む充電率調整処理を実行して、充電率を前記目標値へと近づける。
この形態の遠隔自動運転システムによれば、遠隔制御により車両を自動運転させる際に、二次電池の充放電を実行して充電率を目標値に調整することができる。したがって、遠隔制御による自動運転を利用した車両の製造過程において、二次電池の充電率を適正な値で管理することができる。
(2)上記形態の遠隔自動運転システムにおいて、前記遠隔制御部は、前記充電率調整処理として、前記車両が前記工場内を走行する際の加速度を調整してよい。
この形態の遠隔自動運転システムによれば、電力消費量に対する影響が大きい車両の加速度を調整することにより、二次電池の充電率を好適に調整することができる。
(3)上記形態の遠隔自動運転システムにおいて、前記遠隔制御部は、前記放電処理として、前記加速度の増加と、前記車両を加速させる回数の増加との少なくともいずれかを実行してよい。
この形態の遠隔自動運転システムによれば、加速度を利用した放電により、二次電池を通常の走行時よりも早期に放電させることができる。
(4)上記形態の遠隔自動運転システムにおいて、前記遠隔制御部は、前記放電処理として、前記二次電池の電力を消費する補機を駆動して、前記補機による電力消費量を増加させてよい。
この形態の遠隔自動運転システムによれば、補機を利用した放電により、充電率の調整による車両の走行への影響を小さくすることができる。
(5)上記形態の遠隔自動運転システムにおいて、前記遠隔制御部は、前記充電処理として、前記車両を、前記二次電池を充電するための充電装置による充電可能な位置に移動させてよい。
この形態の遠隔自動運転システムによれば、充電装置が工程間の走路から離れた位置に配置される場合であっても、車両の移動の自動化により、車両の充電処理を簡易化することができる。
(6)上記形態の遠隔自動運転システムにおいて、前記遠隔制御部は、前記充電率調整処理として、さらに、前記二次電池の放電を抑制する放電抑制処理と、前記二次電池の充電を抑制する充電抑制処理とを実行してよい。
この形態の遠隔自動運転システムによれば、放電処理時に充電を抑制し、充電処理時の放電を抑制することによって、放電処理と充電処理とによる充電率の調整にかかる時間を短縮することができる。
(7)上記形態の遠隔自動運転システムにおいて、前記遠隔制御部は、前記放電抑制処理として、前記車両が前記工場内を走行する際の加速度の低減と、前記車両を加速させる回数の低減との少なくともいずれかを実行してよい。
この形態の遠隔自動運転システムによれば、放電抑制処理に加速度を利用することにより、車両の走行時の充電率の減少を好適に抑制することができる。
(8)上記形態の遠隔自動運転システムにおいて、前記遠隔制御部は、前記充電抑制処理として、前記車両の回生電力量を低下させてよい。
この形態の遠隔自動運転システムによれば、車両の走行時の充電率の増加を抑制することができる。したがって、放電処理時の充電を抑制することによって、放電処理による放電量を低減させることができる。
(9)上記形態の遠隔自動運転システムにおいて、前記目標値は、前記車両の出荷時に要求される充電率を用いて設定されてよい。
この形態の遠隔自動運転システムによれば、出荷時の二次電池の充電率を、仕向国ごとなど、出荷先ごとに要求される適正な充電率に調整することができる。
(10)上記形態の遠隔自動運転システムにおいて、前記目標値は、前記製造過程の工程ごとに設定されてよい。
この形態の遠隔自動運転システムによれば、充電率を工程ごとに段階的に調整することによって、最終的な充電率の目標値への調整精度を向上させることができる。
(11)本開示の第二の形態によれば、車両を製造する工場に用いられるサーバが提供される。このサーバは、前記工場における製造過程において前記工場内を走行可能な前記車両であって、遠隔制御のための通信機能を有する通信装置と、走行用の二次電池とを備える前記車両を遠隔制御する遠隔制御部と、前記二次電池の充電率を取得する充電率取得部と、充電率の目標値を取得し、取得した前記目標値と現在の充電率とを用いて、充電率を調整するか否かを判定する充電率調整判定部と、を備える。前記充電率調整判定部が充電率を調整すると判定する場合に、前記車両の遠隔制御により前記二次電池を放電させる放電処理と、前記車両の遠隔制御により前記二次電池を充電させる充電処理との少なくともいずれかを含む前記遠隔制御部による充電率調整処理と、手動により前記二次電池を放電させる手動放電作業と、手動により前記二次電池を充電させる手動充電作業との少なくともいずれかを促すための前記充電率調整判定部による報知と、の少なくともいずれかが実行される。
この形態のサーバによれば、遠隔制御により車両を自動運転させる際に、二次電池の充放電を実行して充電率を目標値に調整することができ、手動により充放電を行う場合には報知により作業員に充放電を促すことができる。したがって、遠隔制御による自動運転を利用した車両の製造過程において、二次電池の充電率を適正な値で管理することができる。
本開示は、遠隔自動運転システム以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、車両、充電装置、車両の遠隔制御方法、車両の充電方法、充電装置の制御方法、車両の遠隔制御方法、その制御方法を実現するコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の遠隔自動運転システムの概略構成を示す説明図。
図2】サーバの内部機能構成を示す説明図。
図3】第1実施形態に係る遠隔自動運転システムが有するデータベースの一例を示す説明図。
図4】遠隔制御部による車両の遠隔制御を示す説明図。
図5】遠隔自動運転システムによって実行される車両の製造方法を示すフローチャート。
図6】放電処理の処理ルーチンを示すフローチャート。
図7】充電処理の処理ルーチンを示すフローチャート。
図8】第2実施形態に係る遠隔自動運転システムが有するデータベースの一例を示す説明図。
図9】第2実施形態に係る遠隔自動運転システムの構成を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1とともに、適宜に図2から図4を用いて、第1実施形態に係る遠隔自動運転システム500の構成について説明する。図1は、第1実施形態の遠隔自動運転システム500の概略構成を示す説明図である。遠隔自動運転システム500は、車両100を製造する工場FCで用いられ、車両100の製造過程において工場FC内を走行する車両100の自動運転を遠隔制御する。工場FCは、1つの建物である場合や、1箇所の敷地や住所に存在する場合などには限定されず、製造過程における各工程が複数の建物、複数の敷地、複数の住所等に亘って存在してもよい。「車両100が工場FC内を走行する」とは、車両100が、複数の場所に存在する工程の間を走行する場合を含み、例えば、車両100が複数の場所に存在する工場の間を移動するために、私道に限らず工場の間に存在する公道を走行する場合を含む。なお、本明細書では、製品として完成した車両と、製造途中の半製品・仕掛品としての車両とを総じて「車両100」とも呼ぶ。
【0009】
遠隔自動運転システム500は、充電装置200と、サーバ300とを備えている。充電装置200は、系統電源などの外部電源から供給される電力を車両100に供給する。充電装置200は、充電コネクタ250と、充電制御装置280と、通信部290と、を備える接触方式の充電装置である。本実施形態では、充電装置200から車両100への充電は、例えば、充電コネクタ250を手動で車両100に接続するなど、作業員の手動操作によって行われる。通信部290は、車両100やサーバ300などの外部の装置との無線通信を行うための無線通信装置である。
【0010】
充電制御装置280は、中央演算処理装置としてのCPU210と、RAMやROMなどのメモリ220とを備えるコンピュータで構成されている。CPU210がメモリ220に格納されたプログラムを実行することにより、充電制御部212などの機能の一部または全部が実現される。CPU210、メモリ220、ならびに通信部290は、内部バスやインターフェース回路を介して互いに接続されている。
【0011】
充電制御部212は、通信部290を介して、車両100に搭載された走行用バッテリ120の現在の充電率(SOC:State Of Charge)等の情報を車両100から取得する。充電制御部212は、走行用バッテリ120への充電時には、取得したSOC等を用いて、供充電力や充電時間などの充電条件が走行用バッテリ120に対して好適となるように調節する。充電制御部212は、現在のSOCのみには限らず、充電すべきSOCの目標値を、車両100あるいはサーバ300から取得してもよい。
【0012】
図2は、サーバ300の内部機能構成を示す説明図である。サーバ300は、中央演算処理装置としてのCPU310と、記憶装置320と、通信部390とを備えており、これらは、内部バスやインターフェース回路等を介して相互に接続されている。通信部390は、ネットワーク72を介して車両100、充電装置200、前工程管理装置52、ならびに後工程管理装置62などとの通信を行うための回路である。
【0013】
記憶装置320は、たとえば、RAM、ROM、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)等である。記憶装置320には、本実施形態において提供される機能を実現するための各種プログラムが格納されている。記憶装置320に記憶されたコンピュータプログラムがCPU310によって実行されることにより、CPU310は、遠隔制御部312、SOC調整判定部314、製造情報取得部316、ならびにSOC情報取得部318などとして機能する。また、記憶装置320には、データベースDBが格納されているとともに、車両100や各工程等から取得したデータが格納される。
【0014】
SOC情報取得部318は、車両100に搭載される走行用バッテリ120の現在のSOCを取得する充電率取得部として機能する。SOCは、例えば、車両100に設けられた図示しないセンサにより検出される走行用バッテリ120のセル電圧、電流、温度と、走行用バッテリ120の規格値などを用いて算出することができる。SOCは、走行用バッテリ120の出力値などに代えて、SOCを前回測定した時点からの経過時間、車両100の走行時間や走行距離などから推定されてもよい。
【0015】
製造情報取得部316は、工場FCにおける各工程の製造情報を取得する。「製造情報」には、例えば、各工程による処理の開始時刻および完了時刻、各工程に存在する車両100の車両識別情報、仕掛品の数、1日の製造予定数、車両100を1台製造するための工程の目標製造時間などが含まれる。目標製造時間は、「タクトタイム」と呼ばれることがある。製造情報取得部316は、例えば、前工程管理装置52から前工程50の製造情報を取得し、後工程管理装置62から後工程60の製造情報を取得する。製造情報取得部316は、各工程の製造情報を、工場FCの各工程の製造情報を統括管理する生産管理システムから取得してもよい。
【0016】
SOC調整判定部314は、SOC目標値と、SOC情報取得部318によって取得された現在のSOCとを比較することによって、走行中の車両100の走行用バッテリ120のSOCを調整するか否かを判定する充電率調整判定部として機能する。
【0017】
遠隔制御部312は、通信部390を介して、車両100の遠隔制御を要求する制御信号を車両100に送信する。車両100が遠隔制御の要求を受け付けると、ECU180によって運転制御が実現され、この結果、車両100が自動的に走行する。
【0018】
図3は、第1実施形態に係る遠隔自動運転システム500が有するデータベースDBの一例であるデータベースDB1を示す説明図である。データベースDB1は、充電率調整処理を実行するか否かの判定に用いられる。
【0019】
図3に示すように、データベースDB1には、車両識別情報ごとに設定されたSOC目標値が示されている。「車両識別情報」とは、車両100ごとに設定されるSOC目標値を識別可能な種々の情報を意味する。車両識別情報には、例えば、車両100ごとに与えられるID情報、車両100の車種・色・形状などの車両100の仕様情報、車両100の仕掛かり工程の名称などの生産管理情報などが含まれる。車両識別情報は、例えば、車両100それぞれに付されたRFタグから取得することができる。また、SOC目標値を車両識別情報とすることもできる。この場合には、データベースDBを用いることなく、車両100からSOC目標値を取得することができる。互いに同じSOC目標値を設定される複数の車両100が、1ロットごとなどのグループ単位で製造される場合には、ロット番号などを車両識別情報とすることもできる。また、生産管理情報などから車両100を識別できる場合には、生産管理情報を車両識別情報としてもよく、車両100の各工程での仕掛かり時刻ならびに処理の完了時刻などの時間情報などであってもよい。また、車両識別情報は、走路RT上の座標や工場FC内の座標など、工場FC内における車両100の位置情報などであってもよい。
【0020】
図3に示すように、車両100ごとに与えられた車両識別情報ID1,ID2,ID3のそれぞれに対して、仕向国と、仕向国への出荷時に要求されるSOC目標値の例とが設定されている。「仕向国」とは、製造された車両100の出荷先を意味する。なお、仕向国を、車両識別情報とすることもできる。仕向国への出荷にあたり、例えば船便が利用されるなど、輸送期間が長期化する場合には、走行用バッテリ120の寿命への影響を考慮したSOC目標値が設定されることが好ましい。
【0021】
本実施形態では、SOC目標値は、下限値以上、上限値以下の数値の範囲で設定されている。下限値は、例えば、10%、20%、25%、30%、50%などの任意の値で設定することができる。上限値は、例えば、90%、80%、75%、70%、50%などの任意の値で設定することができる。SOC目標値の下限値は、SOC低下による走行用バッテリ120の劣化を抑制または防止するために、SOCの品質管理上の下側規格限界(LSL)あるいはそれよりも高い値を用いてもよい。SOC目標値の上限値は、過充電による走行用バッテリ120の劣化を抑制または防止するために、SOCの品質管理上の上側規格限界(USL)あるいはそれよりも低い値を用いてもよい。なお、SOC目標値は、数値範囲には限定されず、特定の数値を用いて設定されてもよい。SOC目標値が特定の数値である場合には、例えば、現在のSOCがSOC目標値より高い場合、あるいはSOC目標値よりも低い場合に、SOC目標値に近づけるように充電率調整処理が実行される。また、SOC目標値は、下限値と、上限値とのいずれか一方のみが用いられてもよい。この場合には、現在のSOCが下限値未満であれば、下限値以上となるように充電率調整処理が実行され、現在のSOCが上限値より大きければ、上限値以下となるように充電率調整処理が実行される。
【0022】
図1に示すように、車両100は、乗用車、トラック、バス、ならびに工事用車両などの種々の車両である。車両100は、通信部190と、受電装置150と、走行用バッテリ120と、負荷装置170と、ECU(Electronic Control Unit)180とを備えている。
【0023】
通信部190は、例えばドングルなど、車両100に搭載される無線通信装置である。通信部190は、走行用バッテリ120のSOC等の情報を充電装置200およびサーバ300に送信する。通信部190は、車両100の制御などに用いられるCAN(Controller Area Network)通信を用いて通信することができる。CAN通信は、多方向に送信または受信を行うことができる通信規格である。CAN通信により車両100と、充電装置200との間で相互に通信が行われる。また、通信部190は、工場FC内のアクセスポイント70を介して、ネットワーク72に接続されたサーバ300などの車両100の外部の装置との無線通信などを行う通信機能を有する。これにより、車両100とサーバ300との間で相互に通信が行われる。通信部190は、さらに、ダイアグノシス通信を用いてもよい。ダイアグノシス通信は、要求と応答が1対1で対応付けることができる通信規格であり、故障の診断などに用いられる。
【0024】
受電装置150は、受電器152と、受電回路154と、を備えている。本実施形態では、受電器152は、充電装置200の充電コネクタ250に対応するコネクタ規格に準拠する充電インレットである。受電回路154は、例えば、整流器およびDC/DCコンバータなどである。受電器152から交流電力が供給される場合には、受電回路154は、供給される交流電力を整流器によって直流電力に変換し、DC/DCコンバータを介して、負荷としての走行用バッテリ120に供給する。なお、整流器およびDC/DCコンバータは、充電装置200に設けられてもよい。この場合には、受電装置150には、充電装置200からの直流電力が供給される。
【0025】
負荷装置170は、走行用バッテリ120に接続されている。負荷装置170には、例えば、補機用バッテリ172と、補機174と、モータ176とが含まれている。補機用バッテリ172は、例えば12Vのバッテリであり、走行用バッテリ120よりも低電圧のバッテリである。補機用バッテリ172は、補機174の駆動に利用される。補機用バッテリ172は、走行用バッテリ120からの電力が供給されることによって充電される。
【0026】
補機174は、補機用バッテリ172に電気的に接続されており、補機用バッテリ172の電力を利用して駆動する。補機174は、例えば、カーオーディオ、エアコンディショナ、パワーウインドウ、ライト類、ドアロック、ワイパ、ブレーキ、カーナビゲーションシステムなどである。なお、補機174は、走行用バッテリ120の電力などを用いて駆動されてもよい。
【0027】
モータ176は、例えば、交流同期モータであり、電動機および発電機として機能する。モータ176が電動機として機能するとき、モータ176は、走行用バッテリ120に蓄えられた電力を動力源として駆動される。モータ176の出力は、減速機および車軸を介して車輪に伝達される。車両100の減速時には、モータ176は、車輪の回転を利用する発電機として機能し、回生電力を発電する。
【0028】
走行用バッテリ120は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池などの充電可能な二次電池である。走行用バッテリ120は、例えば、数百Vの高電圧バッテリであり、車両100の走行に利用される電力を蓄えている。充電装置200から受電装置150に供給される電力、ならびにモータ176によって発電された回生電力が走行用バッテリ120に供給されると、走行用バッテリ120が充電され、SOCは上昇する。
【0029】
走行用バッテリ120と、モータ176との間には、図示しないPCU(Power Control Unit)が電気的に接続されている。PCUは、インバータ、昇圧コンバータ、ならびにDC/DCコンバータを有している。インバータは、走行用バッテリ120から供給された直流電力を交流電力に変換し、変換された交流電力をモータ176に供給する。インバータは、モータ176から供給される回生電力を直流電力に変換して走行用バッテリ120に供給する。昇圧コンバータは、走行用バッテリ120に蓄えられた電力がモータ176に供給されるときに、走行用バッテリ120の電圧を昇圧する。DC/DCコンバータは、走行用バッテリ120に蓄えられた電力を補機174等に供給する場合に、走行用バッテリ120の電圧を降圧する。PCUは、走行用バッテリ120に供給する回生電力量を調節して走行用バッテリ120に供給してもよい。
【0030】
ECU180は、車両100に搭載され、車両100の各種の制御を実行する。ECU180は、例えば、車両100の運転制御を実行する運転制御部、ならびに補機174を駆動させる補機制御部として機能する。「運転制御」とは、例えば、加速度、速度、ならびに舵角の調整などである。ECU180は、HDD、光記録媒体、半導体メモリ等のメモリと、中央演算処理装置としてのCPUなどを備えている。CPUがメモリに格納された各種のコンピュータプログラムを実行することによって、各種の機能が実現される。遠隔制御では、ECU180は、通信部190を介してサーバ300から受信した遠隔制御の制御信号に従い、車両100に搭載された各アクチュエータを制御する。ECU180は、PCUを制御することによって、走行用バッテリ120とモータ176との間の電力の授受を制御する。また、後述するように、放電処理では、ECU180は、負荷装置170を駆動させることによって、走行用バッテリ120の放電を制御する。充電処理では、ECU180は、受電装置150の受電回路154を制御することによって、走行用バッテリ120への充電を制御する。
【0031】
図1に示すように、工場FCには、前工程50と、後工程60と、前工程50と後工程60とを繋ぐ車両100の走路RTと、走路RTと連続する充電用走路BAと、カメラ80とが備えられている。充電用走路BAには、充電装置200が設置されている。
【0032】
前工程50は、例えば、車体に部品を組み付ける組み立て工程である。前工程50は、組み立て工程に限らず、前工程50による処理後の車両100が遠隔制御によって走行可能であれば種々の製造工程を採用することができる。前工程50は、前工程50の製造情報を管理するための前工程管理装置52を備えている。
【0033】
前工程管理装置52は、中央演算処理装置としてのCPU522と、ROMやRAM等のメモリ524と、サーバ300との通信を行うための通信部54とを備える情報処理装置である。これらは内部バスやインターフェース回路を介して互いに接続されている。メモリ524に格納されたプログラムをCPU522が実行することにより、前工程情報取得部526などの機能の一部あるいは全部が実現される。前工程情報取得部526は、前工程50に設けられる図示しないカメラやセンサなどから、前工程50での車両100の製造情報を取得する。前工程情報取得部526は、取得した前工程50の製造情報を、通信部54を介してサーバ300に送信する。
【0034】
後工程60は、例えば、車両100の検査工程である。前工程50から払い出されて後工程60の仕掛品となった車両100は、後工程60への投入許可が得られると後工程60に投入される。車両100は、検査工程を終えると製品として完成され、出荷を待機するための工場FC内の待機場所へと走行する。その後、車両100は、車両100の識別情報ごとに対応する仕向国へと出荷される。後工程60には、後工程の製造情報を管理するための後工程管理装置62が備えられている。
【0035】
後工程管理装置62は、中央演算処理装置としてのCPU622と、ROMやRAM等のメモリ624と、サーバ300との通信を行うための通信部64とを備える情報処理装置である。これらは内部バスやインターフェース回路を介して互いに接続されている。メモリ624に格納されたプログラムをCPU622が実行することにより、後工程情報処理部626などの機能の一部あるいは全部が実現される。後工程情報処理部626は、後工程60に設けられる図示しないセンサなどから、後工程での車両100の製造情報を取得する。後工程情報処理部626は、取得した後工程の製造情報を、通信部64を介してサーバ300に送信する。
【0036】
前工程50と後工程60との間には、カメラ80が配置されている。カメラ80は、走路RTおよび充電用走路BAと、走行する車両100とを撮像できる位置に固定されている。カメラ80は、走路RTおよび充電用走路BAに対する車両100の相対位置を確認可能な画像を取得する。カメラ80による撮像画像は、遠隔制御部312による車両100の遠隔制御に利用される。このように構成することにより、カメラ、ミリ波レーダー、LiDARなどの車両100に搭載された検出器を用いることなく、遠隔制御による車両100の自動走行を実行することができる。ただし、遠隔自動運転システム500による遠隔制御中の衝突防止などのために、車両100に搭載された検出器が補助的に利用されてもよい。
【0037】
図4は、遠隔制御部312による車両100の遠隔制御を示す説明図である。図4の例では、走路RTは、第一走路RT1と、第二走路RT2と、第三走路RT3と、第四走路RT4とを含んでいる。第一走路RT1と、第二走路RT2とは、直角のカーブを介して互いに接続されている。第三走路RT3と、第四走路RT4との間には、充電用走路BAが接続されている。遠隔制御部312は、充電処理を行わない通常時などでは、車両100を、走路RTに沿って後工程60への投入位置PGまで走行させる。
【0038】
カメラ80は、図4に示すように、走路RTおよび充電用走路BA上の車両100を上方から俯瞰する画像を取得する。カメラ80の数は、カメラ80の画角などを考慮して、走路RTおよび充電用走路BAの全体を撮像することが可能な数で設定されている。図4の例では、カメラ80は、第一走路RT1の全体を含む範囲RG1を撮像可能なカメラ801と、第二走路RT2の全体を含む範囲RG2を撮像可能なカメラ802と、第三走路RT3および第四走路RT4の全体を含む範囲RG3を撮像可能なカメラ803と、充電用走路BAの全体を含む範囲RG4を撮像可能なカメラ804とを含んでいる。なお、カメラ80は、車両100の上方からの画像に限らず、車両100の前方、後方、側方などからの画像を取得してもよい。また、これらの画像を取得するカメラが任意に組み合わせられてもよい。
【0039】
走路RTには、車両100が走行すべき目標ルートが予め設定されている。遠隔制御部312は、カメラ80によって取得される走路RTと車両100との画像を所定の時間間隔で解析しながら、ECU180に車両100の運転制御を実行させる。遠隔制御部312が目標ルートに対する車両100の相対位置を逐次に調節することによって、車両100は、目標ルートに沿って走行することができる。なお、遠隔制御には、車両100全体の画像が用いられてもよく、車両100に設けられるアライメントマークなど、車両100の一部の画像が用いられてもよい。
【0040】
図4に示す位置P1のように、各走路の接続位置では、接続される各走路に対応するカメラ80の画角が互いに重複するように構成されている。位置P1の例では、第一走路RT1に対応するカメラ801の画角と、第二走路RT2に対応するカメラ802の画角とが互いに重複する。前工程50から払い出された車両100は、カメラ801の撮像画像を利用した遠隔制御によって位置P1まで走行する。位置P1に到達すると、カメラ801に代えてカメラ802が取得する撮像画像を用いた遠隔制御に切り替えられ、車両100は、第二走路RT2を走行する。同様に、第三走路RT3および第四走路RT4の走行にはカメラ803による撮像画像が用いられ、充電用走路BAの走行にはカメラ804による撮像画像が用いられる。このように、遠隔制御部312は、解析する撮像画像を走路RTの範囲ごとに適宜に切り替えながら車両100の遠隔制御を行う。
【0041】
車両100の遠隔制御において、遠隔自動運転システム500は、図3で示したデータベースDB1を用いてSOC目標値を車両100ごとに取得し、取得したSOC目標値と、走行用バッテリ120の現在のSOCとを用いて、SOCを調整するか否かを判定する。より具体的には、SOC調整判定部314がSOCを調整すると判定した場合には、遠隔制御部312は、車両100を遠隔制御して、放電処理と、充電処理と、放電抑制処理と、走行用バッテリ120の充電を抑制する充電抑制処理とを含む充電率調整処理を実行する。
【0042】
「放電処理」とは、走行用バッテリ120を放電させて、SOCを減少させるための処理である。放電処理には、負荷装置170の駆動などが含まれる。放電処理では、負荷装置170の使用方法に応じて走行用バッテリ120の電力消費量を調整することができる。例えば、一般的には、車両100を加速する際の電力消費量が大きいことから、車両100の加速度の調整は、放電処理として好適である。補機174の駆動による補機用バッテリ172の電力消費も放電処理に含まれる。例えば、オーディオやエアコンディショナなど、製造過程において車両100の走行中に使用予定がない補機174をオンにすることで、車両100の走行中の電力消費量を多くすることができる。車両100がクラッチを備えるなど、モータ176と駆動輪との接続を切断できる場合には、モータ176と駆動輪との接続を切断した状態でモータ176の回転数を上げることによって放電させてもよい。また、車両100が変速機を備える場合には、例えば、車両100の速度に対して非効率的な変速比に切り替えることによって電力消費量を大きくすることによって放電させてもよい。なお、走行用バッテリ120の放電は、放電処理に代えて、作業員の手動による負荷装置170の操作など、作業員の手動により走行用バッテリ120を放電させる手動放電作業によって実行されてもよい。手動放電作業が行われる場合には、SOC調整判定部314は、さらに、手動放電作業を作業員に促すための作業員等への報知を行う。
【0043】
「充電処理」とは、走行用バッテリ120を充電させてSOCを増加させるための処理である。充電処理には、例えば、モータ176から走行用バッテリ120への回生電力の供給、充電装置200から走行用バッテリ120への電力供給などが含まれる。「充電装置200から走行用バッテリ120への電力供給」には、遠隔自動運転システム500の各部の制御によって充電装置200から車両100に自動による充電が可能な状態と、作業員などによって充電装置200から車両100に手動による充電が可能な状態とが含まれる。「車両100に自動による充電が可能な状態」には、車両100が移動することによって充電装置200から車両100への充電が自動的に行われる状態と、車両100が移動することなく充電装置200から車両100への充電が自動的に行われる状態とが含まれる。「車両100に手動による充電が可能な状態」には、充電装置200から車両100への手動による充電が可能な位置に車両100が移動することによって、作業員の手動による充電である手動充電作業が可能となる状態と、車両100が移動することなく作業員の手動充電作業が可能となる状態とが含まれる。手動充電作業が行われる場合には、SOC調整判定部314は、さらに、手動充電作業を作業員に促すための作業員等への報知を行う。なお、手動放電作業と手動充電作業との双方が行われず、いずれか一方のみが行われてもよい。
【0044】
本実施形態では、充電処理において、遠隔制御部312は、遠隔制御により、車両100を充電用走路BAに走行させて、車両100に手動による充電が可能な状態とする。より具体的には、遠隔制御部312は、車両100を、図4で示したように、充電装置200を用いて作業員が手動で充電することが可能な状態となる位置P2まで走行させる。さらに、充電装置200による車両100への手動の充電を実行する作業者等に、手動による給電を作業員に促すための作業員等への報知がSOC調整判定部314によって実行されてもよい。報知は、例えば、後工程管理装置62のディスプレイなどの表示画面や、充電装置200あるいは車両100に搭載されたスピーカによる音声等によって実行できる。
【0045】
「放電抑制処理」とは、走行用バッテリ120の放電を抑制するための処理であり、SOCの減少を抑制する。放電抑制処理には、例えば、車両100の走行時の加速度の低減、走行速度の低減、走行を予定する距離のうちの巡航距離の割合の増加などが含まれる。「充電抑制処理」とは、走行用バッテリ120の充電を抑制するための処理であり、SOCの増加を抑制する。充電抑制処理には、例えば、回生電力量の低減、走行用バッテリ120への回生電力の供給量の低減などが含まれる。回生電力量は、例えば、車両100を減速する回数、モータ176による発電効率などによっても調整することができる。
【0046】
図5は、本実施形態に係る遠隔自動運転システム500によって実行される車両100の製造方法を示すフローチャートである。図5に示すフローは、例えば、前工程50の処理の完了、あるいは、後工程60からの車両100の投入要求を受信した製造情報取得部316によって開始される。
【0047】
ステップS10では、遠隔制御部312は、遠隔制御により、車両100を後工程60に向かって走行させる。ステップS20では、車両100の車両識別情報およびSOC目標値が取得される。例えば、製造情報取得部316は、前工程50の処理を終えた車両100の製造情報としての車両識別情報を、前工程管理装置52から取得する。SOC調整判定部314は、データベースDB1を参照し、取得された車両識別情報に対応するSOC目標値を取得する。本実施形態では、図3で示した車両識別情報ID2の車両100を例として用いて説明する。
【0048】
ステップS30では、SOC情報取得部318は、通信部390を介して、車両100に搭載される走行用バッテリ120の現在のSOCを取得する。SOC情報取得部318は、現在のSOCを、後工程60までの車両100の走行中に、例えば数秒ごとなど、所定の期間ごとに繰り返し取得してよい。ただし、SOCは、例えば、前工程50からの払い出し時など、所定のタイミングのみに取得されてもよい。SOCを調節する充電率調整処理は、効率を良くする観点から、車両100の走行中に実行することが好ましい。そのため、SOCは、車両100が走行を開始するタイミング、あるいはそれよりも前に取得されることが好ましい。
【0049】
ステップS40では、SOC調整判定部314は、取得された現在のSOCと、SOC目標値とを比較する。ステップS50では、SOC調整判定部314は、比較した結果を用いて、車両100のSOCを調整するか否かを判定する。具体的には、SOC調整判定部314は、現在のSOCがSOC目標値の範囲以内であれば(S50:NO)、充電率を調整しないと判定し、処理をステップS300へ移行する。ステップS300では、遠隔制御部312は、遠隔制御により車両100を走行させて後工程60へと投入する。遠隔制御部312は、後工程60へと引き渡し可能な位置まで車両100を移動させて、処理を終了する。この場合には、車両100のSOCは調整されない。
【0050】
SOC調整判定部314は、現在のSOCがSOC目標値の範囲外であれば(S50:YES)、充電率を調整すると判定し、処理をステップS60へと移行して、充電率調整処理を実行する。ステップS60では、SOC調整判定部314は、車両100の遠隔制御により走行用バッテリ120を放電させる放電処理と、車両100の遠隔制御により走行用バッテリ120を充電させる充電処理とのいずれを実行するかを判定する。具体的には、SOC調整判定部314は、現在のSOCがSOC目標値の上限値よりも大きい場合には、放電処理を実行すると判定する(S60:放電)。SOC調整判定部314は、処理をステップS100へと移行し、放電処理を実行する。SOC調整判定部314は、現在のSOCがSOC目標値の下限値よりも小さい場合には、充電処理を実行すると判定する(S60:充電)。SOC調整判定部314は、処理をステップS200へと移行し、充電処理を実行する。
【0051】
図6は、放電処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。ステップS110では、SOC調整判定部314は、SOCをSOC目標値以内にするために必要な放電量を算出する。SOC調整判定部314は、算出した放電量が、例えば20%など、予め定められた閾値以上であるか否かを確認する。閾値は、放電量が大きいか否かを判定するための判断基準として用いられる。SOC調整判定部314は、算出した放電量が閾値未満である場合には(S110:NO)、処理をステップS160へと移行する。
【0052】
ステップS160では、遠隔制御部312は、補機174を駆動させて、補機用バッテリ172あるいは走行用バッテリ120に蓄えられた電力を消費させる。例えば、遠隔制御部312は、車両100の走行中に、オーディオやエアコンディショナなどの補機174をオンにする。この結果、走行用バッテリ120は、通常の車両100の走行時よりも多く消費される。遠隔制御部312は、さらに、オーディオの音量調整やエアコンディショナの温度調整など、補機174の電力消費量を調整することによって、走行用バッテリ120の電力消費量を調整してもよい。また、オーディオやエアコンディショナ以外の補機174が用いられてもよい。
【0053】
ステップS170では、SOC調整判定部314は、走行用バッテリ120のSOCがSOC目標値以内になるまで放電されたか否かを確認する。具体的には、SOC調整判定部314は、SOC情報取得部318によって取得された現在のSOCを取得し、取得した現在のSOCと、SOC目標値とを比較する。取得されたSOCがSOC目標値以内でなければ(S170:NO)、処理をステップS160に戻す。SOCがSOC目標値以内であれば(S170:YES)、処理を終了する。なお、車両100の走行中、すなわち車両100が投入位置PGに到達するまでに、SOCがSOC目標値以内にならなかった場合には、遠隔制御部312は、車両100を一時的に停止させて後工程60への投入を待機させた状態で、SOC目標値が達成されるまで充電調整処理を継続してもよい。車両100を待機させる位置は、図4で示した後工程60への投入位置PG、充電用走路BAの位置P2、あるいは走路RT上の任意の位置であってよい。また、放電処理は、SOC目標値が達成していなくても、車両100が後工程60への投入位置PGに到着したことをもって終了してもよい。この場合には、SOC目標値は、後工程60、あるいは後工程60以降でSOCが調整されることによって達成される。
【0054】
ステップS110において、SOC調整判定部314は、算出した放電量が閾値以上である場合には(S110:YES)、処理をステップS120へと移行し、ステップS160よりも大きい放電量の放電処理を実行する。ステップS120では、上述したステップS160と同様の処理が行われる。ステップS130では、遠隔制御部312は、さらに、車両100の走行中の加速度を増加させる。加速度の増加は、車両100の走行の安全性を確保できる範囲内で行われる。加速度は、正の加速度と、負の加速度との双方が含まれ得る。すなわち、遠隔制御部312は、いわゆる急発進により、前工程50から出発する発進時の車両100の加速度を通常時よりも大きくし、いわゆる急停車により、後工程60に到着する停止時の車両100の減速度を通常時よりも大きくする。また、遠隔制御部312は、前工程50から後工程60への車両100の走行中の加減速の回数を多くしてもよい。この結果、走行用バッテリ120は、通常の車両100の走行時よりも多く消費される。
【0055】
ステップS140では、遠隔制御部312は、さらに、走行用バッテリ120の充電を抑制する充電抑制処理を実行する。具体的には、遠隔制御部312は、ECU180にPCUを制御させて、モータ176から走行用バッテリ120への回生電力の供給量を低減させる。走行用バッテリ120への充電を抑制することにより、走行用バッテリ120のSOCを早期に減少させることができる。
【0056】
ステップS150では、ステップS170と同様に、SOC調整判定部314は、走行用バッテリ120のSOCが目標値以内であるか否かを確認する。SOC目標値外であれば(S150:NO)、処理をステップS120に戻す。SOC目標値以内であれば(S150:YES)、処理を終了する。
【0057】
図7は、充電処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。ステップS210では、SOC調整判定部314は、充電処理を実行するとの判定結果を、充電装置200による手動の充電を実行する作業者に報知する。ステップS220では、遠隔制御部312は、遠隔制御により、車両100を、図4で示したように、充電装置200を用いて手動で充電することが可能な充電用走路BA上の位置P2まで走行させる。
【0058】
ステップS230では、遠隔制御部312は、さらに、走行用バッテリ120の放電を抑制する放電抑制処理を実行する。具体的には、遠隔制御部312は、車両100が充電装置200に向かう際の加速度、加速回数、走行速度を低減させる。これにより、車両100が充電装置200に向かう走行中でのSOCの減少を抑制することができる。したがって、充電装置200による充電量を低減させることができ、また充電装置200による充電時間を短縮することができる。
【0059】
ステップS240では、作業員は、位置P2に到着した車両100の受電器152に、充電装置200の充電コネクタ250を接続して、走行用バッテリ120への手動による充電を開始する。ステップS250では、作業員は、SOCがSOC目標値以内になるまで充電して充電作業を完了させる。なお、充電制御部212が、CAN通信により車両100からSOCを取得し、取得したSOCに基づいて充電量を調節してもよい。充電が完了すると、遠隔制御部312は、車両100を後工程60への投入位置PGに移動させて、処理を終了する。
【0060】
以上、説明したように、本実施形態の遠隔自動運転システム500によれば、SOC調整判定部314は、走行用バッテリ120のSOC目標値を取得し、取得したSOC目標値と、現在の走行用バッテリ120のSOCとを用いて、走行用バッテリ120の現在のSOCを調整するか否かを判定する。遠隔制御部312は、SOC調整判定部314がSOCを調整すると判定する場合に、車両100の遠隔制御により、走行用バッテリ120を放電させる放電処理と、走行用バッテリ120を充電させる充電処理とを含む充電率調整処理してSOCをSOC目標値へと近づける。本実施形態の遠隔自動運転システム500によれば、遠隔制御により車両100を自動運転させる際に、走行用バッテリ120の充放電を実行してSOC目標値に調整することができる。したがって、遠隔制御による自動運転を利用した車両100の製造過程において、走行用バッテリ120のSOCを適正な値で管理することができる。
【0061】
本実施形態の遠隔自動運転システム500によれば、遠隔制御部312は、充電率調整処理として、車両100が工場FC内を走行する際の加速度を調整する。電力消費量に対する影響が大きい車両100の加速度を調整することにより、走行用バッテリ120のSOCを好適に調整することができる。
【0062】
本実施形態の遠隔自動運転システム500によれば、遠隔制御部312は、放電処理として、車両100の走行時の加速度を増加させる。したがって、走行用バッテリ120を通常の走行時よりも早期に放電させることができる。
【0063】
本実施形態の遠隔自動運転システム500によれば、遠隔制御部312は、放電処理として、走行用バッテリ120の電力を消費する補機174を駆動して、補機174による電力消費量を増加させる。モータ176とは異なる負荷装置170を放電処理に用いることにより、SOCの調整による車両100の走行への影響を小さくすることができる。
【0064】
本実施形態の遠隔自動運転システム500によれば、遠隔制御部312は、充電処理として、車両100を、走行用バッテリ120を充電するための充電装置200による充電可能な位置P2に移動させる。したがって、充電装置200が走路RTから離れた位置に配置される場合であっても、充電装置200への車両100の移動を自動化することにより、車両100の充電処理を簡易化することができる。
【0065】
本実施形態の遠隔自動運転システム500によれば、遠隔制御部312は、充電率調整処理として、さらに、走行用バッテリ120の放電を抑制する放電抑制処理と、走行用バッテリ120の充電を抑制する充電抑制処理とを実行する。放電処理時に充電を抑制し、充電処理時の放電を抑制することによって、放電処理と充電処理とによるSOCの調整にかかる時間を短縮することができる。
【0066】
本実施形態の遠隔自動運転システム500によれば、遠隔制御部312は、放電抑制処理として、車両100が工場FC内を走行する際の加速度の低減と、車両100を加速させる回数の低減とを実行する。電力消費量に対する影響が大きい車両100の加速度を低減することにより、車両100の走行時のSOCの減少を好適に抑制することができる。
【0067】
本実施形態の遠隔自動運転システム500によれば、遠隔制御部312は、充電抑制処理として、車両100の回生電力量を低下させる。したがって、車両100の走行時のSOCの増加を抑制することができる。放電処理時の充電を抑制することによって、放電処理による放電量を低減させることができ、また放電時間を短縮することができる。
【0068】
本実施形態の遠隔自動運転システム500によれば、SOC目標値は、車両100の出荷時に要求される充電率を用いて設定されている。したがって、出荷時の走行用バッテリ120のSOCを、仕向国ごとに適正な値に調整することができる。
【0069】
B.第2実施形態:
図8は、第2実施形態に係る遠隔自動運転システム500が有するデータベースDBの一例であるデータベースDB2を示す説明図である。上記第1実施形態では、データベースDB1には、出荷時に要求されるSOC目標値のみが示される例を用いて説明した。これに対して、本実施形態では、図8に示すように、データベースDB2には、工程Bから出荷時までの工程ごとにSOC目標値が設定されている点で相違する。
【0070】
図9は、第2実施形態に係る遠隔自動運転システム500の構成を示す説明図である。第2実施形態の遠隔自動運転システム500は、第1実施形態の遠隔自動運転システム500とは、サーバ300にデータベースDB2が格納されている点で相違し、それ以外の構成は同様である。図9の例では、遠隔制御部312は、車両識別情報ID4,ID5,ID6のそれぞれの車両100に対して個別に遠隔制御および充電率調整処理を実行して、工程毎のSOC目標値を達成させる。
【0071】
図8に示すように、データベースDB2には、図9に示した車両識別情報ID4,ID5,ID6のそれぞれの車両100に対して、工程Bの仕掛かり時、工程Cの仕掛かり時、ならびに仕向国への出荷時のそれぞれのタイミングに要求されるSOC目標値の例が設定されている。工程ごとのSOC目標値は、上限値および下限値を有する数値範囲で設定されている。また、SOC目標値の数値範囲は、出荷時に向けて段階的に狭くなるように設定されている。このように構成することにより、各工程間で調整すべきSOCの充放電の量のばらつきを小さくすることができる。また、出荷時のみでSOCが調整される場合には、SOCの調整量が過剰になることがある。これに対して、SOCを段階的に調整することによって、出荷時のみにSOCを調整する場合と比較して、出荷時のSOCの調整精度を向上させることができる。
【0072】
以上のように、第2実施形態の遠隔自動運転システム500によれば、SOC目標値が製造過程の工程ごとに設定されている。本実施形態の遠隔自動運転システム500によれば、SOCを工程ごとに段階的に調整することによって、最終的なSOC目標値への調整精度を向上させることができる。
【0073】
C.他の実施形態:
(C1)上記第1実施形態では、充電装置200が接触方式の充電装置である例を示した。これに対して、充電装置200は、車両100に搭載される受電装置に対して磁界共振結合(磁界共鳴)による非接触の電力伝送を行う非接触給電装置であってもよい。この場合には、充電装置200は、例えば、走路RTの一部または全部に亘って敷設され、走路RTを走行中の車両100に対して非接触の電力伝送を行う。すなわち、車両100が別の走路RTとは異なる別の場所へ移動することなく充電装置200から車両100への給電を自動的に行うことができる。「車両100の走行中」とは、車両100が走行のために走路RT上に位置する状態を意味し、車両100が実際にゼロよりも大きい任意の速度で走っている状態のみならず、走路上で停止している状態も含む。このように構成することにより、例えば、遠隔制御による前工程50から後工程60への走行中の車両100に充電することができ、効率よく走行用バッテリ120のSOCを調節することができる。したがって、生産効率の低下を抑制または防止しつつ、走行用バッテリ120のSOCを所定の値に調節することができる。なお、非接触給電装置としての充電装置200は、走路RTの一部または全部には限らず、図1の位置P2など、走路RTとは別の位置に設置されていてもよい。この場合には、遠隔制御により車両100を非接触給電装置としての充電装置200が設けられる位置へと移動させることによって、充電装置200bから車両100bへの給電が自動的に行われる。また、この構成において「充電処理」には、車両100を非接触給電により充電可能な状態にすることのみならず、実際に充電が行われることも含まれる。
【0074】
(C2)上記第1実施形態では、遠隔制御部312が放電処理と充電処理との双方を実行し得る例を示した。これに対して、遠隔制御部312は、放電処理と充電処理とのいずれかのみを実行してもよい。
【0075】
(C3)上記第1実施形態では、遠隔制御部312が充電抑制処理および放電抑制処理の双方を実行し得る例を示した。これに対して、遠隔制御部312は、充電抑制処理と放電抑制処理とのいずれかのみを実行してもよく、また、充電抑制処理および放電抑制処理を実行しないように構成されてもよい。
【0076】
(C4)上記各実施形態では、SOC調整判定部314、製造情報取得部316、SOC情報取得部318がサーバ300に備えられる例を示した。これに対して、SOC調整判定部314、製造情報取得部316、SOC情報取得部318などの機能の全部またはその一部は、車両100などのサーバ300以外の装置に備えられてもよい。
【0077】
本開示に記載の制御及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0078】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0079】
50…前工程、52…前工程管理装置、54…通信部、60…後工程、62…後工程管理装置、64…通信部、70…アクセスポイント、72…ネットワーク、80,801,802,803,804…カメラ、100,100b…車両、120…走行用バッテリ、150…受電装置、152…受電器、154…受電回路、170…負荷装置、172…補機用バッテリ、174…補機、176…モータ、180…ECU、190…通信部、200,200b…充電装置、210…CPU、212…充電制御部、220…メモリ、250…充電コネクタ、280…充電制御装置、290…通信部、300…サーバ、310…CPU、312…遠隔制御部、314…SOC調整判定部、316…製造情報取得部、318…SOC情報取得部、320…記憶装置、390…通信部、500…遠隔自動運転システム、522…CPU、524…メモリ、526…前工程情報取得部、622…CPU、624…メモリ、626…後工程情報処理部、BA…充電用走路、DB、DB1,DB2…データベース、FC…工場、PG…投入位置、RT…走路、RT1…第一走路、RT2…第二走路、RT3…第三走路、RT4…第四走路
【要約】
【課題】遠隔制御による自動運転を利用した車両の製造過程において、二次電池の充電率を適正な値で管理することができる技術を提供する。
【解決手段】車両を製造する工場に用いられる遠隔自動運転システムは、工場における製造過程において工場内を走行可能な車両であって、遠隔制御のための通信機能を有する通信装置と、走行用の二次電池とを備える車両を遠隔制御する遠隔制御部と、二次電池の充電率を取得する充電率取得部と、充電率の目標値を取得し、取得した目標値と現在の充電率とを用いて、充電率を調整するか否かを判定する充電率調整判定部と、を備える。遠隔制御部は、充電率調整判定部が充電率を調整すると判定する場合に、車両の遠隔制御により、二次電池を放電させる放電処理と、二次電池を充電させるための充電処理との少なくともいずれかを含む充電率調整処理を実行して、充電率を目標値へと近づける。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9