(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】ペダル操作状態表示装置
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20230920BHJP
B60K 26/02 20060101ALI20230920BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20230920BHJP
B60T 7/02 20060101ALI20230920BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
B60R16/02 650A
B60R16/02 640K
B60K26/02
B60K35/00 Z
B60T7/02 D
G07C5/00 Z
(21)【出願番号】P 2021179333
(22)【出願日】2021-11-02
(62)【分割の表示】P 2019161688の分割
【原出願日】2019-09-05
【審査請求日】2021-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000247719
【氏名又は名称】株式会社伊予エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100078776
【氏名又は名称】安形 雄三
(72)【発明者】
【氏名】山本 是樹
(72)【発明者】
【氏名】山本 一夫
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特許第5207159(JP,B1)
【文献】特開2005-177373(JP,A)
【文献】特開平06-278529(JP,A)
【文献】特開2004-291673(JP,A)
【文献】特開2016-186466(JP,A)
【文献】特開平11-183519(JP,A)
【文献】特開2003-252256(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00
B60R 16/02
B60T 7/02
F02D 9/00-11/10
G07C 5/00
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセルペダルの踏み込みを検出し、アクセル踏込データを出力するアクセル踏込検出手段と、
ブレーキペダルの踏み込みを検出し、ブレーキ踏込データを出力するブレーキ踏込検出手段と、
前記アクセル踏込データに基づいて、アクセル踏込スイッチを制御することによって、点灯制御されるアクセル表示灯と、
前記ブレーキ踏込データに基づいて、ブレーキ踏込スイッチを制御することによって、点灯制御されるブレーキ表示灯等の表示デバイスと、
日付及び時刻を生成する日時生成部と、
障害物を検知する超音波センサと、
前記アクセル踏込データ及び前記ブレーキ踏込データを記録するメモリ部と、
前記日時生成部からの日時データ及び前記超音波センサからの検知信号を入力すると共に、前記メモリ部への書き込みを制御する書き込み制御部と、
警報音を発生する警報装置若しくは音声を発生する音声発生装置と、
衝突を検知する衝突センサと、
を備え、
前記衝突センサの出力に基づいて、前記アクセル踏込データ、前記ブレーキ踏込データ及び前記日時データを前記メモリ部に記録するか否かを決定し、
前記超音波センサが前記障害物を検知し、前記アクセル踏込データが出力された時に、前記警報装置若しくは前記音声発生装置が前記警報音若しくは前記音声を発生するようになっていることを特徴とするペダル操作状態表示装置。
【請求項2】
前記衝突センサが、圧力チューブ式センサ若しくはシリコンカンチレバー式機械式センサである請求項1に記載のペダル操作状態表示装置。
【請求項3】
前記衝突の検知を、車両加速度情報から車両の減速度を検出して行うようになっている請求項1に記載のペダル操作状態表示装置。
【請求項4】
前記表示デバイスが第1の色光で発光し、前記アクセル表示灯が、前記第1の色光とは異なる第2の色光で発光する請求項1乃至3のいずれかに記載のペダル操作状態表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセルペダルとブレーキペダルとの踏み間違いによる事故(例えば、急発進)を防止するために、アクセルペダル及びブレーキペダルの操作状態(踏込み状態)を表示し、電子的に記録するペダル操作状態表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなど内燃機関を原動機とする自動車は、アクセルとブレーキの2ペダル型が一般化してきている。これは、多段自動変速機や無段変速機が一般化してきたことによる。
【0003】
また、モータを原動機とする電気自動車やモータと内燃機関のハイブリッド自動車も増加しつつあるが、内燃機関を原動機とする自動車の操作系を踏襲している。このため、アクセルとブレーキの2ペダル型が一般的である。
【0004】
特開平5-178127号公報(特許文献1)には、運転者がアクセルペダルとブレーキペダルを踏み間違えた場合に、ブレーキが働く急発進防止装置が開示されている。特開2001-354046号公報(特許文献2)には、運転者がアクセルペダルを強く踏むと、エンジン回転をアイドリング回転にし、ブレーキが掛けられる技術が開示されている。さらに、特開平8-053021号公報(特許文献3)には、運転者が自動車のアクセルペダルをブレーキペダルと間違えて突発的に強く踏み込んだ時、瞬時に変速レバーを中立位置に押し戻す技術が開示されている。
【0005】
また、特開2005-153847号公報(特許文献4)及び特開2012-099076号公報(特許文献5)には、ブレーキペタルをアクセルペタルの上方に配置(縦列配置)して誤動作を防止するブレーキペタル踏間違防止装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平5-178127号公報
【文献】特開2001-354046号公報
【文献】特開平8-053021号公報
【文献】特開2005-153847号公報
【文献】特開2012-099076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1~3に記載の急発進防止装置では、アクセルペダルとブレーキペダルを踏み間違えという運転者の行為自体を、運転者に対して、アクセルペダルとブレーキペダルの状態を視認できるように警告して、踏み間違えを防止することはできない。
【0008】
また、特許文献4及び5に記載されたようなブレーキペタル踏間違防止装置はブレーキペダルとアクセルペダルの配置が工夫されているものの、運転者が足元を見ないようにして、アクセルペダルとブレーキペダルの踏み込み状態を確認することは原理的に不可能である。
【0009】
さらに、上記の特許文献1~5に記載された技術では、アクセルペタル又はブレーキペタルの踏込み操作の事実を、電子データとして記録を残すことは原理的に不可能である。このため、事故発生の際、運転者が踏み間違えていたか否かを示す物証が保存されないという問題がある。
【0010】
本発明は上述の点に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、アクセルペダルとブレーキペダルとの踏み間違いによる事故(例えば、急発進)を防止するために、アクセルペダル及びブレーキペダルの操作状態(踏込み状態)を表示し、電子的に記録するペダル操作状態表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明はペダル操作状態表示装置に関し、本発明の上記目的は、アクセルペダルの踏み込みを検出し、アクセル踏込データを出力するアクセル踏込検出手段と、ブレーキペダルの踏み込みを検出し、ブレーキ踏込データを出力するブレーキ踏込検出手段と、前記アクセル踏込データに基づいて、アクセル踏込スイッチを制御することによって、点灯制御されるアクセル表示灯と、前記ブレーキ踏込データに基づいて、ブレーキ踏込スイッチを制御することによって、点灯制御されるブレーキ表示灯等の表示デバイスと、日付及び時刻を生成する日時生成部と、障害物を検知する超音波センサと、前記アクセル踏込データ及び前記ブレーキ踏込データを記録するメモリ部と、前記日時生成部からの日時データ及び前記超音波センサからの検知信号を入力すると共に、前記メモリ部への書き込みを制御する書き込み制御部と、警報音を発生する警報装置若しくは音声を発生する音声発生装置と、衝突を検知する衝突センサとを備え、前記衝突センサの出力に基づいて、前記アクセル踏込データ、前記ブレーキ踏込データ及び前記日時データを前記メモリ部に記録するか否かを決定し、前記超音波センサが前記障害物を検知し、前記アクセル踏込データが出力された時に、前記警報装置若しくは前記音声発生装置が前記警報音若しくは前記音声を発生することにより達成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明のペダル操作状態表示装置によれば、運転者がブレーキ又はアクセルのいずれを踏んでいるのかを、足元のブレーキ及びアクセルを視認することに代えて、表示部(すなわち、視覚的情報、目視情報、又は表示デバイス)を介して確認できることによって、運転者自身がブレーキとアクセルの踏み間違えないように促すという効果を奏し得る。さらに、事故発生の際、事故に至るまでの過程において、アクセルとブレーキの踏込み状態を所定の間隔で記録することによって、事故の原因が、運転者によるアクセルとブレーキとを踏み間違えたことにあるのか、若しくは、車両の不具合又は消耗等にあるのかを容易に判断することができるという格別の効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るペダル操作状態表示装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係るペダル操作状態表示装置において、ブレーキ踏込スイッチ及びアクセル踏込スイッチが、ブレーキ表示灯及びアクセル表示灯を駆動する回路図の一例である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係るペダル操作状態表示装置が行う処理内容のフローチャートの一例である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係るペダル操作状態表示装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】車両が備えるフロントバンパーに、衝突センサが設けられている様子を示す図である。
【
図6】本発明の第3の実施形態に係るペダル操作状態表示装置の構成を示すブロック図である。
【
図7】運転席側フロアのアクセルペダル及びブレーキペダル近傍の外観の一例である。
【
図8】本発明の第4の実施形態に係るペダル操作状態表示装置の構成を示すブロック図である。
【
図9】本発明の第5の実施形態に係るペダル操作状態表示装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、ペダル操作状態表示装置において、アクセルペダルの踏み込みを検出し、アクセル踏込信号を出力するアクセル踏込検出手段と、ブレーキペダルの踏み込みを検出し、ブレーキ踏込信号を出力するブレーキ踏込検出手段と、アクセル踏込信号に基づいて、アクセル踏込スイッチを制御することによって、点灯制御されるアクセル表示灯と、ブレーキ踏込信号に基づいて、ブレーキ踏込スイッチを制御することによって、点灯制御されるブレーキ表示灯とを備えるによって、アクセルペダルとブレーキペダルとの踏み間違いによる事故(又は、急発進)を防止するために、アクセルペダル及びブレーキペダルの操作状態を表示、さらに記録することができるという格別の効果を奏する。
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(各実施例を組み合わせる等)して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0016】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1乃至
図3は本発明の第1の実施形態を示す。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るペダル操作状態表示装置10を車両(例えば、自動車)に搭載した第1の実施形態に係るペダル操作状態表示装置10の構成を示す図である。
【0017】
ブレーキ踏込センサ11aは、車両のブレーキが踏み込まれているか否かの状態(以下、「ブレーキ情報信号」と称する。)を出力する。同様に、アクセル踏込センサ11bは、車両のアクセルが踏み込まれているか否かの状態(以下、「アクセル情報信号」と称する。)を出力する。そして、ブレーキ踏込スイッチ12aは、ブレーキ情報信号に基づいて、開閉するスイッチである。同様に、アクセル踏込スイッチ12bは、アクセル情報信号に基づいて、開閉するスイッチである。さらに、ブレーキ踏込スイッチ12aは、ブレーキ情報信号に基づいて、ブレーキが踏み込まれたことを運転者に示すために、ブレーキ表示灯13aが点灯する。同様に、アクセル踏込スイッチ12bは、アクセル情報信号に基づいて、アクセルが踏み込まれたことを運転者に示すために、アクセル表示灯13bが点灯する。また、ブレーキ踏込センサ11a及びアクセル踏込センサ11bは、それぞれ車両のアクセル情報信号及びブレーキ情報信号を記録部14に出力する。
【0018】
そして、記録部14は、アクセル情報信号及びブレーキ情報信号を所定のタイミングでブレーキ情報及びアクセル情報として記録するため、所定の時間間隔でサンプリングを行う。
【0019】
そのような動作を行うため、記録部14は、基本クロック信号を供給するタイマー14aと、基本クロック信号に基づいて、アクセル踏込信号及びブレーキ踏込信号を、それぞれアクセル踏込データ及びブレーキ踏込データに変換するタイミングを制御する第1のタイミング信号、及びアクセル踏込データ及びブレーキ踏込データを後述するメモリ部14dに書き込むタイミングを制御する第2のタイミング信号を生成する書き込み制御部14bと、第1のタイミング信号に基づいてアクセル踏込信号及びブレーキ踏込信号をそれぞれアクセル踏込データ及びブレーキ踏込データに変換するA/D変換部14cと、第2のタイミング信号に基づいてアクセル踏込データ及びブレーキ踏込データを順次時系列のデジタルデータとして記録するメモリ部14dと、を備える。
【0020】
また、エンジン回転センサ15は、イグニッションスイッチがオンしたことによるエンジンの始動、又はエンジンの停止を示す信号を記録部14に出力する。
【0021】
記録部14では、書き込み制御部14bが生成する第1のタイミング信号に基づいて、所定時間T1ごとに、A/D変換部14cは、アクセル情報信号及びブレーキ情報信号を、ブレーキ情報データ及びアクセル情報データ(以下、「車両情報」と称する。)に変換する。書き込み制御部14bは、第1の基本タイミング信号及び第2の基本タイミング信号を生成するために、第1のカウンタ及び第1のカウンタと異なる第2のカウンタを有するようにしても良い。第1のカウンタ及び第2のカウンタは、それぞれタイマー14aが供給する基本クロック信号に基づいて、第1のタイミング信号及び第2のタイミング信号を生成するように構成しても良い。
【0022】
そして、記録部14では、第2のタイミング信号に基づいて書き込み制御部14bが計測する所定時間T2(>T1)ごとに、A/D変換部14cからの車両情報をメモリ部14dに記録する。なお、メモリ部14dは、不揮発性メモリが好適である。メモリ部14dの例としては、EEPROM(electrically erasable and programmable read-only memory)のようなものでも良い。また、書き込み制御部14bによって、最新の車両情報が常に最も古い車両情報が記憶されたメモリ部14d上の領域に上書きされるように制御される。例えば、メモリ部14d内に空きが無くなった場合は、時系列で一番古い情報がある領域に上書きを行うような書き込み制御が行なわれ、ペダル操作状態表示装置の低コスト化、又は小規模化に寄与するようにしても良い。
【0023】
本発明の第1の実施形態に係るペダル操作状態表示装置10において、ブレーキ踏込スイッチ12a及びアクセル踏込スイッチ12bが、ブレーキ表示灯13a及びアクセル表示灯13bを点灯させる回路の一例を
図2に示す。
図2において、ブレーキ踏込スイッチ12a及びブレーキ表示灯13aは、直列に接続され、同様にアクセル踏込スイッチ12b及びアクセル表示灯13bは直列に接続される。さらに、ブレーキ踏込スイッチ12a及びブレーキ表示灯13aと、アクセル踏込スイッチ12b及びアクセル表示灯13bとは、並列に接続される。ブレーキ踏込スイッチ12a及びアクセル踏込スイッチ12bの一端は、それぞれ電源端子に接続され、ブレーキ表示灯13a及びアクセル表示灯13bの他端は、それぞれ接地される(GNDに接続される)。このような接続によって、ブレーキ踏込スイッチ12aをON(導通)状態になれば、ブレーキ表示灯13aは点灯する。同様に、アクセル踏込スイッチをON(導通)状態になれば、アクセル表示灯13bは点灯する。
【0024】
次に、本発明の第1の実施形態に係るペダル操作状態表示装置10の動作について説明する。
【0025】
本発明の第1の実施形態に係るペダル操作状態表示装置10が行う処理内容のフローチャートの一例を
図3に示す。
【0026】
イグニッションスイッチ(図示せず)がオンになった時から、ペダル操作状態表示装置10の動作が開始する(ステップS10)。
【0027】
次に、ブレーキ踏込センサ11a及びアクセル踏込センサ11bから車両情報を入力する(ステップS20)。
【0028】
次に、A/D変換部14cは、アクセル情報信号及びブレーキ情報信号を、車両情報に変換する(ステップS30)。
【0029】
次に、エンジンが停止しているか否かを判定する(ステップS40)。
【0030】
そして、ステップS40の判定結果がYesならば、A/D変換部14cは、エンジン停止時点の車両情報をメモリ部14dに書き込み、動作を終了する(ステップS50)。また、ステップS40の判定結果がNoならば、第1のカウンタ及び第2のカウンタをリセットしてスタートさせる(ステップS60)。
【0031】
次に、タイマー14aからの基本クロック信号に基づいて、書き込み制御部14bは、所定時間(T1)が経過したか否か判断する(ステップS70)。
【0032】
ステップS70の判定結果がNoならば、ステップS70に戻ることによって、所定時間(T1)の経過を待つ(ステップS70)。
【0033】
ステップS70の判定結果がYesならば、ステップS20と同様にアクセル情報信号及びブレーキ情報信号をA/D変換14cに入力(サンプリング)する(ステップS80)。そして、ステップS30と同様に、ブレーキ踏込センサ11a及びアクセル踏込センサ11bからの信号を、車両情報に変換する(ステップS90)。そして、第1のカウンタをリセットする(ステップS100)。
【0034】
次に、所定時間T2(>T1)が経過したか否か判断する(ステップS110)。
【0035】
ステップS110の判定結果がNoならば、ステップS40に戻る(ステップS110)。
【0036】
また、ステップS110の判定結果がYesならば、A/D変換部14cが変換した車両情報をメモリ部14dに書き込む(ステップS120)。そして、第2のカウンタをリセットし(ステップS130)、ステップS40に戻る。以上の処理を繰り返して、エンジン停止までの間、ペダル操作状態表示装置10は、アクセルペダルとブレーキペダルとの踏み間違いによる事故を防止するために、運転者に車両情報を表示しつつ、車両情報を記録する。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るペダル操作状態表示装置20について、図を用いて説明する。
【0037】
本発明の第2の実施形態に係るペダル操作状態表示装置20は、衝突センサ16を備え、衝突センサ16及び衝突時メモリ部14eを付加し、衝突センサ16の出力に基づいて衝突時の車両情報を衝突時メモリ部14eに記録する点で、本発明の第1の実施形態に係るペダル操作状態表示装置10と相違するが、その余の点で略同じである。
【0038】
なお、本発明の第2の実施形態に係るペダル操作状態表示装置20と、本発明の第1の実施形態に係るペダル操作状態表示装置10とで共通する構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0039】
本発明の第2実施形態に係るペダル操作状態表示装置20の構成を、
図4に示す。ペダル操作状態表示装置20は、ペダル操作状態表示装置10の構成に、衝突センサ16及び衝突時メモリ部14eを付加し、衝突センサ16の出力に基づいて衝突時の車両情報が衝突時メモリ部14eに記録されるように構成される。
【0040】
そして、本発明の第2実施形態に係るペダル操作状態表示装置20は、
図5に示すように車両100に設置されているものとして説明する。また、車両100が備えるフロントバンパー160に、
図5に示すように衝突センサ16が設けられている。衝突センサ16は、物体(他の車両、歩行者、自転車、建造物等)とフロントバンパーとの衝突により印加された衝撃に応じた出力を発生するように構成されている。
【0041】
ペダル操作状態表示装置20に採用されている衝突センサ16としては、車幅方向に沿った長手方向を有する長尺状に形成された圧力チューブ式センサが挙げられる。また、衝突センサ16は、車両100の前面のフロントバンパー160内に収容されている。具体的には、
図5が示すように、衝突センサ16は、チューブ部材16aと、右側圧力センサ16bと、左側圧力センサ16cとを有している。
【0042】
ここで、衝突センサ16の詳細に関して一例を挙げて説明する。チューブ部材16aは、車幅方向に沿って延設された管状部材であって、合成ゴム等の合成樹脂によって形成されている。チューブ部材16aの一端部は、右側圧力センサ16bに接続されている。チューブ部材16aの他端部は、左側圧力センサ16cに接続されている。そして、衝突センサ16が衝突を検知した場合、右側圧力センサ16b及び左側圧力センサ16cは、チューブ部材16a内の圧力に対応する電気信号(例えば、電圧又は電流)を発生するように構成されている。
【0043】
そして、本発明の第2実施形態に係るペダル操作状態表示装置20の衝突センサ16の動作に関して、簡単に説明する。衝突センサ16が衝突を検知した後、すなわち衝突センサ16から自車両の衝突検知信号が入力されると、記録部14は、A/D変換部14cが変換した車両情報を、衝突後車両情報として衝突時メモリ部14eに所定時間書き込む。また、メモリ部14dから読み出した、衝突直前から数十秒前までの車両情報を衝突前車両情報として、衝突時メモリ部14eに書き込む。すなわち、衝突時から所定時間前後(例えば、衝突の数十秒前後)までの衝突前後車両情報が、エンジン停止までの所定時間前後までの車両情報とは別に、衝突時メモリ部14eに記録できる。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係るペダル操作状態表示装置30について、図を用いて説明する。
【0044】
第3の実施形態に係るペダル操作状態表示装置30は、運転者の足元にあるアクセルペダル及びブレーキペダルの様子を撮影する足元カメラ17(例えば、撮像素子)が車両運転席内に設置され、衝突時又はエンジン停止時におけるアクセル踏込み状態及びブレーキ踏込み状態を示す画像を(車両情報と対応させて)記録する点で、第2の実施形態に係るペダル操作状態表示装置20と相違するが、その余の点で略同じである。
【0045】
なお、第3の実施形態に係るペダル操作状態表示装置30と、第2の実施形態に係るペダル操作状態表示装置20とで共通する構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0046】
そして、第3の実施形態に係るペダル操作状態表示装置30について、第2の実施形態に係るペダル操作状態表示装置20と異なる点を中心に説明する。
【0047】
第3の実施形態に係るペダル操作状態表示装置30の構成図を
図6に示す。
図6が示すように、第3の実施形態に係るペダル操作状態表示装置30には、運転者の足元を撮影エリア(撮影領域)とする足元カメラ17が搭載されている。そして、足元カメラ17から入力される画像情報は、例えば、書き込み制御部14bを介して、画像メモリ部14fに記録されるようにしても良い。このため、ペダル操作状態表示装置30は、足元カメラ17による画像情報を利用して事故が起こった際の運転者の足とアクセルペダル及びブレーキペダルとの位置関係を記録することができる。すなわち、エンジン停止時及び衝突を検知した場合、該画像情報に基づいて、運転者の足が、アクセルペダルを踏込んでいたか、或いはブレーキペダルを踏込んでいたかを画像データとして正確に記録できる。なお、書き込み制御部14bによって、最新の画像情報が常に最も古い画像情報の記憶された画像メモリ部14f上の領域に上書きされるように制御されることによって、画像メモリの規模を小さくできる。
【0048】
ここで、運転席側フロアのアクセルペダル及びブレーキペダル近傍の一例を示す外観図を
図7に示す。運転席側フロアの邪魔にならない位置に、足元カメラ17が取り付けられる。なお、足元カメラ17は、例えばインストルメントパネルに設けることができるが、場所は限定されず、運転者にとって確認が容易であり、運転の邪魔にならない場所であればよい。例えば、
図7に示すように、アクセルペダル及びブレーキペダルの上方から運転者の足を撮影できる位置に設置することが好適である。
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係るペダル操作状態表示装置40について、
図8を用いて説明する。
【0049】
本発明の第4の実施形態に係るペダル操作状態表示装置40は、車両情報と関連付けるように日付及び時刻を生成する日時生成部14iを備える点で、第1の実施形態に係るペダル操作状態表示装置10とは相違するが、その余の点で略同じである。
【0050】
なお、第4の実施形態に係るペダル操作状態表示装置40と、第1の実施形態に係るペダル操作状態表示装置10とで共通する構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0051】
第1の実施形態に係るペダル操作状態表示装置10では、車両情報のみを時系列でそのままメモリ部14dに記憶するが、第4の実施形態に係るペダル操作状態表示装置40では、メモリ部14dに日付及び時刻情報と対応させた車両情報(以下、「日時付き車両情報」と称する。)を記録させるための日時生成部14iを備えている。
【0052】
次に、第4の実施形態に係るペダル操作状態表示装置40の構成を
図8に示す。ペダル操作状態表示装置40は、ペダル操作状態表示装置10に、現在の日付及び時刻情報を生成し、書き込み制御部14bに供給する日時生成部14iを追加した構成である。
【0053】
以下、
図8に示すペダル操作状態表示装置40における、車両情報の記憶処理について簡単に説明する。
【0054】
記録部14では、A/D変換部14cを介して変換された車両情報と、日時生成部14iから生成された現在の日付及び時刻情報とを対応させて、日時付き車両情報を生成する。そして、センサ15からエンジン停止等の信号を受信するまで、書き込み制御部14bは、第2のタイミング信号に基づいて、日時付き車両情報をメモリ部14dに順次記録させる。
[第5の実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係るペダル操作状態表示装置50について、
図9を用いて説明する。
【0055】
本発明の第5の実施形態に係るペダル操作状態表示装置50は、急加速を抑制するため、障害物を検知する超音波センサ18を備える点で、第1の実施形態に係るペダル操作状態表示装置10とは相違するが、その余の点で略同じである。なお、第5の実施形態に係るペダル操作状態表示装置40と、第1の実施形態に係るペダル操作状態表示装置10とで共通する構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0056】
次に、第5の実施形態に係るペダル操作状態表示装置50の構成を
図9に示す。ペダル操作状態表示装置50は、ペダル操作状態表示装置10車両事故記録システムに、障害物を検知する超音波センサ18を追加した構成である。そして、超音波センサ18は、障害物を検知したことを示す信号又は情報を生成し、書き込み制御部14bに供給する。超音波センサ18によって障害物を検知し、且つアクセル踏込み信号が入力された場合には、アクセル表示灯13bを点灯する、警報音を発生する、又は音声を発生することによって、急加速の抑制を運転者(ドライバ)に対して促す。
【0057】
以上、実施例を用いて本発明の実施形態について説明したが、各実施例は、好ましい一例を示したものであり、同様な効果と特徴を有する他の構造又は構成は、本発明の範疇である。そして、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、様々な変更をなし得ることはいうまでもない。
【0058】
例えば、第2の実施形態に係るペダル操作状態表示装置20は、第1の実施形態に係るペダル操作状態表示装置10に、衝突センサ16を付加するように構成することを示し、第3の実施形態に係るペダル操作状態表示装置30は、第2の実施形態に係るペダル操作状態表示装置20に、足元カメラ17を付加するように構成することを示したが、機能又は配置等が干渉しない限り、自由に衝突センサ16又は足元カメラ17を構成に付加して良い。さらに、第4の実施形態に係るペダル操作状態表示装置40に付加された、日時生成部14iに関しても同様である。
【0059】
次に、本発明の第2実施形態に係るペダル操作状態表示装置20において、チューブ部材を用いた衝突センサ16を採用する例を示したが、その他の衝突センサ16を採用しても良い。例えば、車両速度情報から車両の減速度を検出して、車両の衝突が発生したことを検知するようにしても良く、他にシリコンカンチレバー式等の機械式のセンサを採用しても良い。また、本発明の第2実施形態に係るペダル操作状態表示装置20において、衝突センサ16は、車両100の前面のフロントバンパー160内に収容される例を示したが、その他の位置に衝突センサ16を配置しても良い。例えば、後方のバンパーにも配置して良い。
【0060】
さらに、第3の実施形態に係るペダル操作状態表示装置30において、足元カメラ17は、アクセルペダル、ブレーキペダル及び運転者の足を含むフロア部分を撮影し、得られた映像データを解析するようにしても良い。また、その解析結果に基づいて、アクセルペダル又はブレーキペダルへの足載せ及び踏み込み状態を反映するように、記録部14を介して、表示灯13を駆動しても良い。
【0061】
さらに、第5の実施形態に係るペダル操作状態表示装置50において、超音波センサ18によって障害物が検知され、且つアクセルペダル踏込み信号が入力された場合、急加速を抑制するため、アクセル表示灯13bを点灯する他に、警報音を発生する、又は音声を発生するように、警報装置又は音声発生装置(例えば、スピーカ)を設置しても良い。また、アクセル表示灯13bに関して、点滅や輝度の上昇等を行なって、警報の効果を増大するようにしても良い。また、ブレーキ表示灯13a及びアクセル表示灯13bに代えて、スピーカ又はブザーを制御して音声又は警告音により、運転者(ドライバ)に報知しても良く、また、ハンドル等を振動させて報知しても良い。そのような場合、ブレーキ踏込センサ11a及びアクセル踏込センサ11bの感知結果に応じて音声やブザー音の大きさ(ボリューム)を変更したり、ハンドルを振動させる振幅や振動数を変更させるようにしても良い。
【0062】
また、本発明の実施形態に係るペダル操作状態表示装置では、ブレーキ踏込センサ11a及びアクセル踏込センサ11bの感知結果(踏込み量)に基づいて、ブレーキ表示灯13a及びアクセル表示灯13bに対して、異なる色に対応させて、点灯制御を実施しても良く、例えば、ブレーキ表示灯13aを赤色で点灯させ、アクセル表示灯13bを青色で点灯させるようにしても良い。
【0063】
また、ブレーキ表示灯13a及びアクセル表示灯13bを点灯させる色や点灯時間等を変更しても良い。
【0064】
また、本発明のペダル操作状態表示装置の記憶部14には、バッテリ等(図示せず)の主電源から電力が供給されるようにしても良い。なお、車両の衝突等によって、主電源からの電力供給が停止されたような場合には、バックアップ電源からの電力の供給を受けることができるものとする。車両の衝突等によってエンジン停止した場合でも、バックアップ電源によって、所定時間は、本発明の第1の実施形態に係るペダル操作状態表示装置10の動作を保障することができる。なお、バックアップ電源の例としては、アルミ電解コンデンサのような簡単なものでも良い。
【0065】
また、本発明のペダル操作状態表示装置のメモリ部14dの一例として、不揮発性バッファメモリを挙げたが、それ以外にも、車両情報を先入れ先出し方式で記憶するFIFO(First In, First Out)メモリを採用しても良い。つまり、FIFOメモリをメモリ部14dに使うことによって、所定時間の車両情報が常時上書き記憶され続けるようにしても良い。
【0066】
また、本発明の実施形態に係るペダル操作状態表示装置では、車両情報をそのままメモリ部14dに記憶するが、A/D変換後さらに、車両情報又は日時付き車両情報を予め定められた方式にて暗号化してメモリ部14dに記憶し、改竄等を防ぐような処理を追加しても良い。
【符号の説明】
【0067】
10、20、30、40、50 ペダル操作状態表示装置
11a ブレーキ踏込センサ
11b アクセル踏込センサ
12a ブレーキ踏込スイッチ
12b アクセル踏込スイッチ
13a ブレーキ表示灯
13b アクセル表示灯
14a タイマー
14b 書き込み制御部
14c A/D変換部
14d メモリ部
14e 衝突時メモリ部
14f 画像メモリ部
14i 日時生成部
15 エンジン回転センサ
16 衝突センサ
17 足元カメラ
18 超音波センサ