(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】作業支援システム、携帯端末、作業支援方法及び作業支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20230920BHJP
H04M 1/72 20210101ALI20230920BHJP
【FI】
G06Q50/04
H04M1/72
(21)【出願番号】P 2022061127
(22)【出願日】2022-03-31
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】513190830
【氏名又は名称】Fairy Devices株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 芳尚
(72)【発明者】
【氏名】藤野 真人
【審査官】▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-056922(JP,A)
【文献】特開2008-084068(JP,A)
【文献】特開2003-058684(JP,A)
【文献】特開2006-277654(JP,A)
【文献】特開2022-146779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 -99/00
G16H 10/00 -80/00
H04M 1/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末と、
前記携帯端末と通信し、前記携帯端末を携帯する作業者の作業を支援する支援サーバと、を有する作業支援システムであって、
前記携帯端末が有する制御部は、
前記作業者の作業内容ごとに規定された条件情報に基づいて、前記作業者の作業行動を判定し、
前記作業者の作業行動が、前記条件情報に基づいて規定される範囲から逸脱していると判定した場合、前記携帯端末から前記支援サーバに送信するデータの種別を
、単位時間あたりの通信量が低いデータから、高いデータに変更する、
作業支援システム。
【請求項2】
前記制御部は、作業内容ごとに規定された、作業時間、作業の開始時刻のいずれかを含む条件情報に基づいて、前記作業者の作業行動を判定する、請求項
1に記載の作業支援システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記作業者の作業時の環境情報を取得し、
作業内容ごとに規定された前記環境情報に対する前記条件情報に基づいて、前記作業者の作業行動を判定する、請求項
2に記載の作業支援システム。
【請求項4】
前記環境情報は、前記作業者の作業時に前記制御部が取得する情報であり、前記制御部が取得する情報には、位置情報、画像情報、音声情報、加速度情報のいずれかが含まれる、請求項
3に記載の作業支援システム。
【請求項5】
前記条件情報は、前記作業内容ごとの作業実績情報、作業時に取得した、前記作業内容ごとの前記環境情報のいずれか1つ以上に基づいて生成される、請求項
3に記載の作業支援システム。
【請求項6】
前記条件情報は、前記作業内容ごとに規定した作業実績情報の指標値、または、前記作業内容ごとに規定した環境情報の指標値に基づいて、作業内容ごとに生成される、請求項
5に記載の作業支援システム。
【請求項7】
前記条件情報は、学習モデルを学習することにより生成される、請求項1に記載の作業支援システム。
【請求項8】
前記制御部は、作業者の作業時の環境情報を取得し、
前記条件情報は、作業者の作業時の環境情報を入力データとし、作業者の作業時に作業行動が正常であったか否かを示す情報を正解データとする学習用データセットを用いて、前記学習モデルを学習することにより生成される、請求項
7に記載の作業支援システム。
【請求項9】
前記条件情報は、作業内容ごとの前記学習用データセットを用いて、前記学習モデルを学習することにより、作業内容ごとに生成される、請求項
8に記載の作業支援システム。
【請求項10】
前記制御部により判定された判定結果が誤っていた場合の、前記作業者の作業時の環境情報を収集し、収集した前記作業者の作業時の環境情報を用いて、対応する作業内容の学習モデルを再学習する、請求項
9に記載の作業支援システム。
【請求項11】
前記制御部は、作業者の作業時の環境情報を取得し、
前記条件情報は、作業者の作業時の環境情報を入力データとして、作業者の作業時に作業行動が正常であったか否かを示す情報を出力するルールベースのモデルである、請求項
7に記載の作業支援システム。
【請求項12】
作業者の作業を支援する支援サーバと通信する携帯端末であって、
前記携帯端末が有する制御部は、
前記作業者の作業内容ごとに規定された条件情報に基づいて、前記作業者の作業行動を判定し、
前記作業者の作業行動が、前記条件情報に基づいて規定される範囲から逸脱していると判定した場合、前記携帯端末から前記支援サーバに送信するデータの種別を
、単位時間あたりの通信量が低いデータから、高いデータに変更する、
携帯端末。
【請求項13】
携帯端末と、
前記携帯端末と通信し、前記携帯端末を携帯する作業者の作業を支援する支援サーバと、を有する作業支援システムにおける作業支援方法であって、
前記作業者の作業内容ごとに規定された条件情報に基づいて、前記作業者の作業行動を判定する判定工程と、
前記作業者の作業行動が、前記条件情報に基づいて規定される範囲から逸脱していると判定された場合、前記携帯端末から前記支援サーバに送信するデータの種別を
、単位時間あたりの通信量が低いデータから、高いデータに変更する変更工程と
を有する作業支援方法。
【請求項14】
作業者によって携帯される携帯端末であって、前記作業者の作業を支援する支援サーバと通信する前記携帯端末が有する制御部に、
前記作業者の作業内容ごとに規定された条件情報に基づいて、作業者の作業行動を判定する判定工程と、
前記作業者の作業行動が、前記条件情報に基づいて規定される範囲から逸脱していると判定された場合、前記携帯端末から支援サーバに送信するデータの種別を
、単位時間あたりの通信量が低いデータから、高いデータに変更する変更工程と
を実行させるための作業支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業支援システム、携帯端末、作業支援方法及び作業支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
化学プラント等の各種製造現場では、現場作業者がウェアラブル端末等の携帯端末を携帯し、製造現場にて取得した音声データや動画像データを遠隔にいる支援者にリアルタイムに送信する。これにより、遠隔にいる支援者は、現場作業者が各種作業を行う際、遠隔から音声による指示を送信することが可能となり、現場作業者は、各種作業を円滑に進めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、現場作業者と遠隔にいる支援者との間で動画像データや音声データを常時送受信する構成とすると、通信量が増大し、通信コストがかかるうえ、携帯端末のバッテリ容量が不足するといった事態も生じ得る。一方で、支援者は、現場作業者の携帯端末より送信される音声データや動画像データを常時監視している必要はなく、例えば、現場作業者の移動中は監視が不要である。また、現場作業者も、作業中に支援者から常時音声指示を受けている必要はなく、支援者による音声指示を必要としない作業内容もある。
【0005】
本開示は、携帯端末を携帯する作業者の作業を支援する作業支援システムにおいて、携帯端末の通信量を削減する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、
携帯端末と、
前記携帯端末と通信し、前記携帯端末を携帯する作業者の作業を支援する支援サーバと、を有する作業支援システムであって、
前記携帯端末が有する制御部は、
前記作業者の作業内容ごとに規定された条件情報に基づいて、前記作業者の作業行動を判定し、
前記作業者の作業行動が、前記条件情報に基づいて規定される範囲から逸脱していると判定した場合、前記携帯端末から前記支援サーバに送信するデータの種別を変更する。
【0007】
本開示の第1の態様によれば、携帯端末を携帯する作業者の作業を支援する作業支援システムにおいて、携帯端末の通信量を削減することができる。
【0008】
また、本開示の第2の態様は、第1の態様に記載の作業支援システムであって、
前記制御部は、前記携帯端末から前記支援サーバに送信するデータの種別を、単位時間あたりの通信量が低いデータから、高いデータに変更する。
【0009】
また、本開示の第3の態様は、第1または第2の態様に記載の作業支援システムであって、
前記制御部は、作業内容ごとに規定された、作業時間、作業の開始時刻のいずれかを含む条件情報に基づいて、前記作業者の作業行動を判定する。
【0010】
また、本開示の第4の態様は、第3の態様に記載の作業支援システムであって、
前記制御部は、
前記作業者の作業時の環境情報を取得し、
作業内容ごとに規定された前記環境情報に対する前記条件情報に基づいて、前記作業者の作業行動を判定する。
【0011】
また、本開示の第5の態様は、第4の態様に記載の作業支援システムであって、
前記環境情報は、前記作業者の作業時に前記制御部が取得する情報であり、前記制御部が取得する情報には、位置情報、画像情報、音声情報、加速度情報のいずれかが含まれる。
【0012】
また、本開示の第6の態様は、第4の態様に記載の作業支援システムであって、
前記条件情報は、前記作業内容ごとの作業実績情報、作業時に取得した、前記作業内容ごとの前記環境情報のいずれか1つ以上に基づいて生成される。
【0013】
また、本開示の第7の態様は、第6の態様に記載の作業支援システムであって、
前記条件情報は、前記作業内容ごとに規定した作業実績情報の指標値、または、前記作業内容ごとに規定した環境情報の指標値に基づいて、作業内容ごとに生成される。
【0014】
また、本開示の第8の態様は、第1の態様に記載の作業支援システムであって、
前記条件情報は、学習モデルを学習することにより生成される。
【0015】
また、本開示の第9の態様は、第8の態様に記載の作業支援システムであって、
前記制御部は、作業者の作業時の環境情報を取得し、
前記条件情報は、作業者の作業時の環境情報を入力データとし、作業者の作業時の作業行動が正常であったか否かを示す情報を正解データとする学習用データセットを用いて、前記学習モデルを学習することにより生成される。
【0016】
また、本開示の第10の態様は、第9の態様に記載の作業支援システムであって、
前記条件情報は、作業内容ごとの前記学習用データセットを用いて、前記学習モデルを学習することにより、作業内容ごとに生成される。
【0017】
また、本開示の第11の態様は、第10の態様に記載の作業支援システムであって、
前記制御部により判定された判定結果が誤っていた場合の、前記作業者の作業時の環境情報を収集し、収集した前記作業者の作業時の環境情報を用いて、対応する作業内容の学習モデルを再学習する。
【0018】
また、本開示の第12の態様は、第8の態様に記載の作業支援システムであって、
前記制御部は、作業者の作業時の環境情報を取得し、
前記条件情報は、作業者の作業時の環境情報を入力データとして、作業者の作業時に作業行動が正常であったか否かを示す情報を出力するルールベースのモデルである。
【0019】
また、本開示の第13の態様は、
作業者の作業を支援する支援サーバと通信する携帯端末であって、
前記携帯端末が有する制御部は、
前記作業者の作業内容ごとに規定された条件情報に基づいて、前記作業者の作業行動を判定し、
前記作業者の作業行動が、前記条件情報に基づいて規定される範囲から逸脱していると判定した場合、前記携帯端末から前記支援サーバに送信するデータの種別を変更する。
【0020】
また、本開示の第14の態様は、
携帯端末と、
前記携帯端末と通信し、前記携帯端末を携帯する作業者の作業を支援する支援サーバと、を有する作業支援システムにおける作業支援方法であって、
前記作業者の作業内容ごとに規定された条件情報に基づいて、前記作業者の作業行動を判定する判定工程と、
前記作業者の作業行動が、前記条件情報に基づいて規定される範囲から逸脱していると判定された場合、前記携帯端末から前記支援サーバに送信するデータの種別を変更する変更工程とを有する。
【0021】
また、本開示の第15の態様は、
作業者によって携帯される携帯端末であって、前記作業者の作業を支援する支援サーバと通信する前記携帯端末が有する制御部に、
前記作業者の作業内容ごとに規定された条件情報に基づいて、作業者の作業行動を判定する判定工程と、
前記作業者の作業行動が、前記条件情報に基づいて規定される範囲から逸脱していると判定された場合、前記携帯端末から支援サーバに送信するデータの種別を変更する変更工程とを実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】作業支援システムのシステム構成の一例を示す図である。
【
図2】ウェアラブル端末のハードウェア構成及び管理サーバ装置または支援サーバ装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】ウェアラブル端末の機能構成の一例を示す図である。
【
図5】行動判定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】作業実績判定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】環境情報判定処理の流れを示す第1のフローチャートである。
【
図8】環境情報判定処理の流れを示す第2のフローチャートである。
【
図9】学習フェーズにおけるウェアラブル端末及び管理サーバ装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図11】判定フェーズにおけるウェアラブル端末の機能構成の一例を示す図である。
【
図12】環境情報判定処理の流れを示す第3のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、各実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
【0024】
[第1の実施形態]
<作業支援システムのシステム構成>
はじめに、第1の実施形態に係る作業支援システムのシステム構成について説明する。
図1は、作業支援システムのシステム構成の一例を示す図である。
図1に示すように、作業支援システム100は、管理サーバ装置110と、ウェアラブル端末120と、支援サーバ装置130と、支援者端末140とを有する。
【0025】
作業支援システム100において、ウェアラブル端末120及び支援者端末140は、それぞれ、ネットワーク150を介して支援サーバ装置130と通信可能に接続される。これにより、ウェアラブル端末120と支援者端末140とは、支援サーバ装置130による管理のもとで双方向通信を行うことができる。
【0026】
また、作業支援システム100において、ウェアラブル端末120は、ネットワーク150を介して管理サーバ装置110と通信可能に接続される。これにより、ウェアラブル端末120は、管理サーバ装置110が管理する各種情報(例えば、条件情報)を、管理サーバ装置110から取得することができる。
【0027】
管理サーバ装置110は、製造現場での現場作業者160による作業行動が正常であるのか正常でないのかを判定するための条件情報を有しており、ウェアラブル端末120に提供する。
【0028】
なお、化学プラント等の各種製造現場(以下、単に製造現場と称す)での現場作業者160による作業行動が正常であるとは、例えば、
・作業スケジュールに規定された作業が、作業スケジュールに規定された時刻に開始され、作業スケジュールに規定された時刻までに終了している、
・作業スケジュールに規定された作業が、所定の時間内に完了している、
・作業スケジュールに規定された現場作業者によって作業が行われている、
といった状態を指す。
【0029】
反対に、製造現場での現場作業者160による作業行動が正常でないとは、例えば、
・作業スケジュールに規定された作業が、作業スケジュールに規定された時刻に開始されていない、
・作業スケジュールに規定された作業が、作業スケジュールに規定された時刻までに終了していない、
・作業スケジュールに規定された作業が、所定の時間内に完了していない、
・作業スケジュールに規定された現場作業者以外の現場作業者によって作業が行われている、
といった状態や、
・作業中にウェアラブル端末によって取得された情報(例えば、音声データに基づく音声情報、動画像データに基づく画像情報等)に、正常時には見られない情報が含まれる、
といった状態等のように、条件情報に基づいて規定される範囲から逸脱している状態を指す。
【0030】
また、製造現場での現場作業者160による作業とは、例えば、化学プラント等においては、製品の分析作業、点検作業、材料投入作業等が含まれる。
【0031】
ウェアラブル端末120は携帯端末の一例であり、製造現場において現場作業者160によって装着される端末である。
【0032】
図1に示すように、ウェアラブル端末120は、例えば、眼鏡型の形状を有しており、動画像を撮影する機能、音声(例えば、現場作業者160の発話)や周囲の音を検出する機能等を有する。
【0033】
また、
図1に示すように、ウェアラブル端末120は、製造現場の様子を撮影した動画像データや、現場作業者160の発話等を検出した音声データを、ネットワーク150を介して支援者170に送信する機能を有する。これにより、支援者170は、現場作業者160に音声指示をするのに必要な情報を取得することができる。
【0034】
更に、
図1に示すように、ウェアラブル端末120は、支援者170による音声指示を、ネットワーク150を介して音声データとして受信し、現場作業者160に出力する機能を有する。これにより、現場作業者160は、支援者170から適切な音声指示を受けながら、各種作業を円滑に進めることができる。
【0035】
なお、本実施形態において、ウェアラブル端末120と、支援者端末140との間の双方向通信は、例えば、製造現場での現場作業者160による作業行動が正常でないと判定された場合に実行されるものとする。このような構成にすることで、本実施形態に係る作業支援システムによれば、正常であるか否かに関わらず双方向通信を行うよう構成した場合と比較して、現場作業者160と支援者170との間の通信量を削減することができる。
【0036】
支援サーバ装置130は、ウェアラブル端末120と支援者端末140との間の双方向通信を管理する。具体的には、支援サーバ装置130は、ウェアラブル端末120から受信した動画像データ、音声データを、支援者端末140に送信する。また、支援サーバ装置130では、支援者端末140から受信した音声データを、ウェアラブル端末120に送信する。
【0037】
支援者端末140は、例えば、サービスステーションに設置され、ウェアラブル端末120により撮影された動画像データや、ウェアラブル端末120により検出された音声データを、ネットワーク150を介して取得し、支援者170に出力する。また、支援者端末140は、支援者170からの音声指示を受け付け、ネットワーク150を介して現場作業者160に送信する。これにより、支援者170は、現場作業者160の作業を遠隔から支援することできる。
【0038】
<ウェアラブル端末、管理サーバ装置、支援サーバ装置及び支援者端末のハードウェア構成>
次に、ウェアラブル端末120、管理サーバ装置110、支援サーバ装置130及び支援者端末140のハードウェア構成について説明する。
図2は、ウェアラブル端末、管理サーバ装置及び支援サーバ装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0039】
(1)ウェアラブル端末120のハードウェア構成
はじめに、ウェアラブル端末120のハードウェア構成について説明する。
図2(a)は、ウェアラブル端末120のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0040】
図2(a)に示すように、ウェアラブル端末120は、プロセッサ201、メモリ202、補助記憶装置203、通信装置204、GPS(Global Positioning System)装置205、加速度測定装置206を有する。また、ウェアラブル端末120は、音声入力装置207、音声出力装置208、撮像装置209、接続装置210、操作装置211、表示装置212を有する。なお、ウェアラブル端末120を構成する各ハードウェアは、バス220を介して相互に接続される。
【0041】
プロセッサ201は、CPU(Central Processing Unit)等の各種演算デバイスを有する。プロセッサ201は、各種プログラム(例えば、後述する作業支援プログラム等)をメモリ202上に読み出して実行する。
【0042】
メモリ202は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の主記憶デバイスを有する。プロセッサ201とメモリ202とは、いわゆるコンピュータ(「制御部」ともいう)を形成し、プロセッサ201が、メモリ202上に読み出した各種プログラムを実行することで、当該コンピュータは各種機能を実現する。
【0043】
補助記憶装置203は、各種プログラムや、各種プログラムがプロセッサ201によって実行される際に用いられる各種情報を格納する。
【0044】
通信装置204は、管理サーバ装置110から各種情報(例えば、条件情報)を受信したり、支援サーバ装置130を介して支援者端末140との間で双方向通信を行い、各種データ(例えば、動画像データ、音声データ)を送受信するための通信デバイスである。
【0045】
GPS装置205は、ウェアラブル端末120の位置情報を検出する。加速度測定装置206は、ウェアラブル端末120の3軸方向の加速度情報を測定する。
【0046】
音声入力装置207は、ウェアラブル端末120を装着した現場作業者160の音声や、現場における周囲の音等の音声データを検出する。
【0047】
音声出力装置208は、例えば、支援サーバ装置130から受信した音声データを、ウェアラブル端末120を装着した現場作業者160に音声出力する。
【0048】
撮像装置209は、ウェアラブル端末120を装着した現場作業者160の周囲を撮影し、動画像データを生成する。
【0049】
接続装置210は、ウェアラブル端末120に、付属の各種センサを接続するための接続デバイスである。
【0050】
操作装置211は、ウェアラブル端末120の電源ON/OFFスイッチ等、現場作業者160がウェアラブル端末120に対して行う簡易操作を受け付ける。
【0051】
表示装置212は、例えば、管理サーバ装置110から受信した各種情報を、ウェアラブル端末120を装着した現場作業者160に画像表示する。
【0052】
(2)管理サーバ装置110、支援サーバ装置130のハードウェア構成
次に、管理サーバ装置110、支援サーバ装置130のハードウェア構成について説明する。なお、管理サーバ装置110と支援サーバ装置130とは、同様のハードウェア構成を有することから、ここではまとめて説明する。
図2(b)は、管理サーバ装置110及び支援サーバ装置130のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0053】
図2(b)に示すように、管理サーバ装置110及び支援サーバ装置130は、プロセッサ231、メモリ232、補助記憶装置233、操作装置234、表示装置235、通信装置236、ドライブ装置237を有する。なお、管理サーバ装置110及び支援サーバ装置130を構成する各ハードウェアは、バス238を介して相互に接続される。
【0054】
プロセッサ231は、CPU、GPU(Graphic Processing Unit)等の各種演算デバイスを有する。プロセッサ231は、各種プログラム(例えば、後述する管理プログラム、支援プログラム等)をメモリ232上に読み出して実行する。
【0055】
メモリ232は、ROM、RAM等の主記憶デバイスを有する。プロセッサ231とメモリ232とは、いわゆるコンピュータを形成し、プロセッサ231が、メモリ232上に読み出した各種プログラムを実行することで、当該コンピュータは各種機能を実現する。
【0056】
補助記憶装置233は、各種プログラムや、各種プログラムがプロセッサ231によって実行される際に用いられる各種データ(管理サーバ装置110の場合にあっては、ウェアラブル端末120にて用いられる条件情報)を格納する。
【0057】
操作装置234は、管理サーバ装置110、支援サーバ装置130の管理者が各種操作を行うための操作デバイスである。表示装置235は、管理サーバ装置110、支援サーバ装置130により実行される各種処理の処理結果を表示する表示デバイスである。
【0058】
通信装置236は、ネットワーク150を介して外部装置(例えば、ウェアラブル端末120、支援者端末140)と通信を行うための通信デバイスである。
【0059】
ドライブ装置237は、記録媒体240をセットするためのデバイスである。ここでいう記録媒体240には、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する媒体が含まれる。また、記録媒体240には、ROM、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等が含まれていてもよい。
【0060】
なお、補助記憶装置233にインストールされる各種プログラムは、例えば、配布された記録媒体240がドライブ装置237にセットされ、該記録媒体240に記録された各種プログラムがドライブ装置237により読み出されることでインストールされる。あるいは、補助記憶装置233にインストールされる各種プログラムは、通信装置236を介してネットワーク150からダウンロードされることで、インストールされてもよい。
【0061】
(3)支援者端末140のハードウェア構成
支援者端末140のハードウェア構成は、管理サーバ装置110または支援サーバ装置130と概ね同じハードウェア構成であるため、ここでは説明を省略する。なお、支援者端末140には、管理サーバ装置110または支援サーバ装置130のハードウェア構成に加えて、更に、音声入力装置及び音声出力装置が備えられているものとする。また、支援者端末140の補助記憶装置には、支援サーバ装置130を介してウェアラブル端末120と双方向通信を行うための双方向通信プログラムがインストールされているものとする。
【0062】
<条件情報の具体例>
次に、管理サーバ装置110が有する条件情報について説明する。
図3は、条件情報の一例を示す図である。条件情報300は、製造現場での現場作業者160による作業行動が正常であるのか正常でないのかを、ウェアラブル端末120が判定する際に用いられる。
図3に示すように、条件情報300は、スケジュール情報310と正常範囲情報320とを有する。
【0063】
スケジュール情報310は、ウェアラブル端末120が、
・作業スケジュールに規定された作業が、作業スケジュールに規定された時刻に開始され、作業スケジュールに規定された時刻までに終了しているか否か、
・作業スケジュールに規定された作業が、所定の時間内に完了しているか否か、
・作業スケジュールに規定された現場作業者によって作業が行われているか否か、
等を判定する際に用いられる。
【0064】
図3に示すように、スケジュール情報310は、現場作業者160(現場作業者名="α")が作業を行う日の1日分のスケジュールを規定する。具体的には、スケジュール情報310は、作業内容(例えば、"作業A"、"作業B"、"作業C")と、各作業内容の作業開始時刻、作業終了時刻、作業時間と、許容範囲(指標値)とを規定する。なお、スケジュール情報310は、作業以外の行動(例えば、"移動")についても規定する。
【0065】
また、スケジュール情報310が規定する許容範囲は、予め複数の現場作業者がウェアラブル端末を装着して各作業を行い、作業行動が正常であると判定された際の作業開始時刻、作業終了時刻、作業時間のばらつきに基づいて規定したものである。
【0066】
一方、正常範囲情報320は、ウェアラブル端末120が、
・作業中にウェアラブル端末によって取得された情報(例えば、音声データに基づく音声情報、動画像データに基づく画像情報等)において、正常時には見られない情報が含まれるか否か、
を判定する際に用いられる。
【0067】
図3において、正常範囲情報320が規定する各正常範囲は、予め複数の現場作業者がウェアラブル端末を装着して各作業を行い、作業中にウェアラブル端末にて取得された情報のうち、作業行動が正常であると判定された際に取得された情報に基づいて規定される。
【0068】
例えば、"正常範囲A1"は、作業内容="作業A"について、複数の現場作業者がウェアラブル端末を装着して作業を行い、作業行動が正常であると判定された場合において、作業中にGPS装置205が検出した位置情報のばらつきにより規定される。
【0069】
なお、位置情報のばらつきとは、例えば、絶対座標系におけるx軸の最大値及び最小値、y軸の最大値及び最小値、z軸の最大値及び最小値を指す。ただし、位置情報のばらつきはこれに限定されるものではなく、検出した位置情報を統計処理して得られた値であってもよい。
【0070】
また、"正常範囲A2"は、作業内容="作業A"について、複数の現場作業者がウェアラブル端末を装着して作業を行い、作業行動が正常であると判定された場合において、撮像装置209が撮影した動画像データに基づく画像情報のばらつきにより規定される。
【0071】
なお、動画像データに基づく画像情報のばらつきとは、例えば、動画像データに写る、製造現場に設置された計測器が指し示す計測値のばらつきや、製造現場に設置された操作端が指し示す操作位置のばらつき等を指す。
【0072】
また、"正常範囲A3"は、作業内容="作業A"について、複数の現場作業者がウェアラブル端末を装着して作業を行い、作業行動が正常であると判定された場合において、音声入力装置207が取得した音声データに基づく音声情報のばらつきにより規定される。
【0073】
なお、音声データに基づく音声情報のばらつきとは、例えば、音声データをスペクトル解析することで算出される周波数ごとの強度のばらつきであり、"正常範囲A3"は当該ばらつきに基づいて算出される、異常音を検出するための強度の閾値を指す。
【0074】
また、"正常範囲A4"は、作業内容="作業A"について、複数の現場作業者がウェアラブル端末を装着して作業を行い、作業行動が正常であると判定された場合において、加速度測定装置206が測定した加速度情報のばらつきにより規定される。
【0075】
なお、加速度情報のばらつきとは、例えば、x軸方向の加速度データの最大値及び最小値、y軸方向の加速度データの最大値及び最小値、z軸方向の加速度データの最大値及び最小値を指す。ただし、加速度情報のばらつきはこれに限定されるものではなく、測定した加速度情報を統計処理して得られた値であってもよい。
【0076】
また、"正常範囲A5"とは、作業内容="作業A"について、複数の現場作業者がウェアラブル端末を装着して作業を行い、作業行動が正常であると判定された場合において、付属センサが検出した付属センサ情報のばらつきにより規定される。
【0077】
なお、付属センサ情報のばらつきとは、例えば、付属センサが特定のガスを検出するセンサにあっては、当該ガスの濃度のばらつきであり、"正常範囲A5"は、当該ばらつきに基づいて算出される、特定のガスが発生したことを検出するための濃度の閾値を指す。
【0078】
<ウェアラブル端末の機能構成>
次に、ウェアラブル端末120の機能構成について説明する。
図4は、ウェアラブル端末の機能構成の一例を示す図である。上述したように、ウェアラブル端末120には作業支援プログラムがインストールされており、当該プログラムが実行されることで、ウェアラブル端末120は、
・条件情報取得部410、
・位置情報取得部421、
・加速度情報取得部422、
・付属センサ情報取得部423、
・音声データ取得部424、
・動画像データ取得部425、
・音声データ出力部426、
・音声認識部431、
・音声解析部432、
・画像認識部433、
・判定部430、
・双方向通信部440、
として機能する。
【0079】
このうち、条件情報取得部410は、管理サーバ装置110より条件情報を取得し、判定部430に通知する。
【0080】
位置情報取得部421は、現場作業者160の作業時にGPS装置205により検出された位置情報を取得し、判定部430に通知する。
【0081】
加速度情報取得部422は、現場作業者160の作業時に加速度測定装置206により測定された加速度情報を取得し、判定部430に通知する。
【0082】
付属センサ情報取得部423は、現場作業者160の作業時に付属センサにより検出された付属センサ情報を取得し、判定部430に通知する。
【0083】
音声データ取得部424は、現場作業者160の作業時に音声入力装置207により検出された音声データを取得し、音声認識部431を介して、あるいは、音声解析部432を介して、判定部430に通知する。また、音声データ取得部424は、判定部430により双方向通信を行うと判定された場合にあっては、取得した音声データを、双方向通信部440に通知する。
【0084】
動画像データ取得部425は、現場作業者160の作業時に撮像装置209により撮影された動画像データを取得し、画像認識部433を介して判定部430に通知する。また、動画像データ取得部425は、判定部430により双方向通信を行うと判定された場合にあっては、取得した動画像データを、双方向通信部440に通知する。
【0085】
音声データ出力部426は、判定部430により双方向通信を行うと判定された場合に、支援サーバ装置130を介して支援者端末140より送信された音声データを出力する。
【0086】
音声認識部431は、音声データ取得部424より音声データが通知されると、音声認識処理を行い、現場作業者160の発話から、作業が開始されたことを示す情報及び作業が終了されたことを示す情報を抽出し、判定部430に通知する。
【0087】
音声解析部432は、音声データ取得部424より音声データが通知されると、スペクトル解析を行うことで算出される周波数ごとの強度を、音声情報として、判定部430に通知する。
【0088】
画像認識部433は、動画像データ取得部425より動画像データが通知されると、画像認識処理を行い、動画像データの各フレームに写る計測器の計測値や、操作端の操作位置を認識し、認識した結果を、画像情報として、判定部430に通知する。
【0089】
判定部430は、条件情報取得部410から通知された条件情報300に含まれるスケジュール情報310と、音声認識部431より通知された、作業が開始されたことを示す情報及び作業が終了されたことを示す情報とに基づいて、
・作業スケジュールに規定された作業が、作業スケジュールに規定された時刻に開始され、作業スケジュールに規定された時刻までに終了しているか否か(許容範囲内か否か)、
・作業スケジュールに規定された作業が、所定の時間内に完了しているか否か(許容範囲内か否か)、
・作業スケジュールに規定された現場作業者によって作業が行われているか否か、
といった観点で作業行動を判定する。なお、スケジュール情報310との比較に用いられる、作業が開始されたことを示す情報及び作業が終了されたことを示す情報を総称して、以下では、「作業実績情報」と称す。
【0090】
また、判定部430は、条件情報取得部410から通知された条件情報に含まれる正常範囲情報320と、
・位置情報取得部421から通知された位置情報、
・加速度情報取得部422から通知された加速度情報、
・付属センサ情報取得部423から通知された付属センサ情報、
・音声解析部432から通知された音声情報、
・画像認識部433から通知された画像情報、
とをそれぞれ比較し、作業中にウェアラブル端末によって取得された情報に、正常時には見られない情報が含まれるかといった観点で作業行動を判定する。なお、現場作業者160の作業時に取得され、正常範囲情報320との比較に用いられる位置情報、加速度情報、付属センサ情報、音声情報、画像情報を総称して、以下では、「環境情報」と称す。
【0091】
また、判定部430は、判定の結果(現場作業者160による作業行動が正常である/正常でない)を双方向通信部440に通知する。
【0092】
双方向通信部440は、判定部430より判定結果が通知された場合であって、現場作業者160による作業行動が正常でないと判定された場合、双方向通信を開始する。具体的には、双方向通信部440は、音声データ取得部424より通知された音声データと、動画像データ取得部425より通知された動画像データとを、支援サーバ装置130を介して、支援者端末140に送信する。また、双方向通信部440は、支援サーバ装置130を介して支援者端末140より受信した音声データを、音声データ出力部426に通知する。
【0093】
<ウェアラブル端末による行動判定処理>
次に、ウェアラブル端末120による行動判定処理について説明する。
図5は、行動判定処理の流れを示すフローチャートである。
【0094】
ステップS501において、条件情報取得部410は、管理サーバ装置110より条件情報を取得する。
【0095】
ステップS502において、判定部430は、作業実績情報及び環境情報の取得を開始する。
【0096】
ステップS503において、判定部430は、条件情報300に含まれるスケジュール情報310と、作業実績情報とを比較し、現場作業者160による作業行動が正常であるか否かを判定する「作業実績判定処理」を行う。なお、作業実績判定処理の詳細は後述する。
【0097】
ステップS504において、判定部430は、条件情報300に含まれる正常範囲情報320と、環境情報とを比較し、現場作業者160による作業行動が正常であるか否かを判定する「環境情報判定処理」を行う。なお、環境情報判定処理の詳細は後述する。
【0098】
ステップS505において、判定部430は、現場作業者160による作業行動が正常である状態から、正常でない状態に遷移したか否かを判定する。
【0099】
ステップS506において、正常である状態から正常でない状態に遷移していないと判定した場合には(ステップS505においてNOの場合には)、ステップS507に進む。正常である状態から正常でない状態に遷移していないとは、
・正常である状態のままである、
・正常でない状態のままである、
・正常でない状態から正常である状態に遷移した、
のいずれかのケースに該当する場合である。
【0100】
ステップS507において、判定部430は、現場作業者160による作業行動が正常でない状態から正常である状態に遷移したか否かを判定する。
【0101】
ステップS507において、正常でない状態から正常である状態に遷移していないと判定した場合には(ステップS507においてNOの場合には)、ステップS509に進む。正常でない状態から正常である状態に遷移していないとは、
・正常である状態のままである、
・正常でない状態のままである、
のいずれかのケースに該当する場合である。
【0102】
一方、ステップS507において、正常でない状態から正常である状態に遷移したと判定した場合には(ステップS507においてYESの場合には)、ステップS508に進む。
【0103】
ステップS508において、判定部430は、双方向通信を終了すると判定し、双方向通信部440に通知する。これにより、双方向通信部440は、双方向通信を終了する。
【0104】
また、ステップS505において、正常である状態から正常でない状態に遷移したと判定した場合には(ステップS505においてYESの場合には)、ステップS506に進む。
【0105】
ステップS506において、判定部430は、双方向通信を開始すると判定し、双方向通信部440に通知する。これにより、双方向通信部440は、双方向通信を開始する。
【0106】
ステップS509において、判定部430は、行動判定処理を終了するか否かを判定する。ステップS509において、行動判定処理を終了しないと判定した場合には(ステップS509においてNOの場合には)、ステップS503に戻る。
【0107】
一方、ステップS509において、行動判定処理を終了すると判定した場合には、ステップS509においてYESの場合には)、ステップS510に進む。
【0108】
ステップS510において、判定部430は、作業実績情報及び環境情報の取得を終了し、行動判定処理を終了する。
【0109】
<作業実績判定処理の流れ>
次に、作業実績判定処理(ステップS503)の詳細について説明する。
図6は、作業実績判定処理の流れを示すフローチャートである。
【0110】
ステップS601において、判定部430は、音声認識部431が作業の開始を示す情報について音声認識したか否かを判定する。ステップS601において、作業の開始を示す音声について音声認識していないと判定した場合には(ステップS601においてNOの場合には)、ステップS602に進む。
【0111】
ステップS602において、判定部430は、スケジュール情報310に基づいて、現在時刻における作業予定を認識する。
【0112】
一方、ステップS601において、作業の開始を示す音声について音声認識したと判定した場合には(ステップS601においてYESの場合には)、ステップS603に進む。
【0113】
ステップS603において、判定部430は、音声認識部431が音声認識した作業内容を認識する。
【0114】
ステップS604において、判定部430は、スケジュール情報310に規定された作業の開始時刻に対して、遅延したか否かを判定する。ステップS604において、作業の開始時刻に対して遅延したと判定した場合には(ステップS604においてYESの場合には)、ステップS610に進む。
【0115】
なお、作業の開始時刻に対して遅延したと判定した場合とは、
・現在時刻が、スケジュール情報310に規定された作業の開始時刻の許容範囲を超えているが、当該作業の開始を示す音声について未だ音声認識していない場合、または、
・スケジュール情報310に規定された作業内容について作業の開始を示す音声を音声認識したが、音声認識した時刻が、スケジュール情報310に規定された開始時刻の許容範囲を超えていた場合、
が含まれる。
【0116】
一方、ステップS604において、作業の開始時刻に対して遅延していないと判定した場合には(ステップ604においてNOの場合には)、ステップS605に進む。
【0117】
ステップS605において、判定部430は、音声認識部431が作業の終了を示す音声について音声認識したか否かを判定する。ステップS605において、作業の終了を示す音声について音声認識していないと判定した場合には(ステップS605においてNOの場合には)、ステップS606に進む。
【0118】
ステップS606において、判定部430は、スケジュール情報310に基づいて、現在時刻における作業予定を認識する。
【0119】
一方、ステップS605において、作業の終了を示す音声について音声認識したと判定した場合には(ステップS605においてYESの場合には)、ステップS607に進む。
【0120】
ステップS607において、判定部430は、音声認識部431が音声認識した作業内容を認識する。
【0121】
ステップS608において、判定部430は、スケジュール情報310において規定された作業の終了時刻に対して、遅延したか否かを判定する。ステップS608において、作業の終了時刻に対して遅延したと判定した場合には(ステップS608においてYESの場合には)、ステップS610に進む。
【0122】
なお、作業の終了時刻に対して遅延したと判定した場合とは、
・現在時刻が、スケジュール情報310に規定された作業の終了時刻の許容範囲を超えているが、当該作業の終了を示す情報について未だ音声認識していない場合、または、
・スケジュール情報310に規定された作業内容について作業の終了を示す音声を音声認識したが、音声認識した時刻が、スケジュール情報310に規定された終了時刻の許容範囲を超えている場合、
が含まれる。
【0123】
ステップS609において、判定部430は、スケジュール情報310に規定された作業時間に対して、実際の作業時間がオーバしたか否かを判定する。ステップS609において、実際の作業時間がオーバしたと判定した場合には(ステップS609においてYESの場合には)、ステップS610に進む。
【0124】
ステップS610において、判定部430は、現場作業者160による作業行動が正常でないと判定し、
図5のステップS504に戻る。
【0125】
一方、ステップS609において、実際の作業時間がオーバしていないと判定した場合には(ステップS609においてNOの場合には)、直接、
図5のステップS504に戻る。
【0126】
<環境情報判定処理の流れ>
次に、環境情報判定処理(ステップS504)の詳細について説明する。
図7は、環境情報判定処理の流れを示す第1のフローチャートである。
【0127】
ステップS701において、判定部430は、スケジュール情報に基づいて、現在の作業内容を識別する。
【0128】
ステップS702において、判定部430は、作業内容が変更されたか否かを判定する。ステップS702において、作業内容が変更されていないと判定した場合には(ステップS702においてNOの場合には)、ステップS704に進む。
【0129】
一方、ステップS702において、作業内容が変更されたと判定した場合には(ステップS702においてYESの場合には)、ステップS703に進む。
【0130】
ステップS703において、判定部430は、ステップS701において識別した作業内容に応じた正常範囲情報を取得する。
【0131】
ステップS704において、判定部430は、環境情報を取得する。
【0132】
ステップS705において、判定部430は、ステップS704において取得した環境情報のいずれかが、ステップS703において取得した正常範囲情報320内の対応する正常範囲を超えたか否かを判定する。
【0133】
ステップS705において、超えていないと判定した場合には(ステップS705においてNOの場合には)、
図5のステップS505に戻る。
【0134】
一方、ステップS705において、正常範囲を超えたと判定した場合には(ステップS705においてYESの場合には)、ステップS706に進む。
【0135】
ステップS706において、判定部430は、現場作業者160による作業行動が正常でないと判定し、
図5のステップS505に戻る。
【0136】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第1の実施形態に係る作業支援システム100は、
・ウェアラブル端末と、該ウェアラブル端末と通信し、該ウェアラブル端末を装着する現場作業者の作業を支援する支援者端末とを有する。
・ウェアラブル端末が、現場作業者の作業内容ごとに規定された条件情報に基づいて、現場作業者の作業行動を判定する。
・現場作業者の作業行動が、条件情報において規定される範囲(許容範囲または正常範囲)から逸脱していると判定された場合、支援者端末との間で双方向通信を開始する。
【0137】
このように、第1の実施形態では、現場作業者の作業行動が、条件情報において規定される範囲から逸脱していると判定された場合に双方向通信を開始する構成とする。これにより、第1の実施形態によれば、逸脱しているか否かに関わらず、双方向通信を行うよう構成した場合と比較して、通信量を削減することができる。
【0138】
つまり、第1の実施形態によれば、ウェアラブル端末を装着する現場作業者の作業を支援する作業支援システムにおいて、ウェアラブル端末の通信量を削減することができる。
【0139】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、環境情報のいずれかが、正常範囲情報320内の対応する正常範囲を超えたと判定した場合に、現場作業者による作業行動が正常でないと判定するものとして説明した。しかしながら、現場作業者による作業行動が正常であるか正常でないかの判定方法はこれに限定されない。
【0140】
環境情報のいずれか複数の組み合わせが、正常範囲情報320内の対応する正常範囲の組み合わせをそれぞれ超えたと判定した場合に、現場作業者による作業行動が正常でないと判定するように構成してもよい。なお、このときの組み合わせパターンは、所定の判定ルール(ルールベースのモデル)として予め規定しておき、判定部430では、環境情報を取得するごとに、全ての組み合わせパターンについて、該当するか否かを判定するように構成してもよい。なお、当該判定ルールは、作業内容ごとに規定されてもよい。以下、第2の実施形態について、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0141】
<環境情報判定処理の流れ>
図8は、環境情報判定処理の流れを示す第2のフローチャートである。
図7に示した環境情報判定処理との相違点は、ステップS801及びS802である。
【0142】
ステップS801において、判定部430は、環境情報を取得し、判定ルールに含まれる組み合わせパターンと対比する。
【0143】
ステップS802において、判定部430は、取得した環境情報が、判定ルールに含まれる組み合わせパターンのうち、いずれかの組み合わせパターンに該当するか否かを判定する。
【0144】
ステップS802において、いずれかの組み合わせパターンに該当すると判定した場合には(ステップS802においてYESの場合には)、ステップS706に進む。一方、ステップS802において、いずれの組み合わせパターンにも該当しないと判定した場合には(ステップS802においてNOの場合には)、
図5のステップS505に戻る。
【0145】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第2の実施形態に係る作業支援システム100は、
・ウェアラブル端末が、現場作業者の作業時の環境情報を取得する。
・ウェアラブル端末が、現場作業者の作業時の環境情報を入力データとして、現場作業者による作業行動が正常であるか否かを判定するルールベースのモデルを用いて、現場作業者による作業行動が正常であるか否かを判定する。
【0146】
これにより、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を享受することができる。
【0147】
[第3の実施形態]
上記第2の実施形態では、ルールベースのモデルを用いて、環境情報から現場作業者による作業行動が正常であるか否かを判定する構成とした。これに対して、第3の実施形態では、環境情報と、現場作業者による作業行動が正常であるか否かとの関係を機械学習する学習モデルを用いて、環境情報から現場作業者による作業が正常であるか否かを判定する。以下、第3の実施形態について、上記第1及び第2の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0148】
<学習フェーズにおけるウェアラブル端末及び管理サーバの機能構成>
はじめに、学習フェーズにおけるウェアラブル端末及び管理サーバの機能構成について説明する。
図9は、学習フェーズにおけるウェアラブル端末及び管理サーバ装置の機能構成の一例を示す図である。
【0149】
図9に示すように、学習フェーズにおいては、複数のウェアラブル端末を用いて環境情報を収集する。
図9の例は、便宜上、3台のウェアラブル端末120_1~120_3を示しているが、環境情報の収集に用いるウェアラブル端末は、3台以上であってもよい。
【0150】
また、
図9に示すように、複数のウェアラブル端末120_1~120_3等は、それぞれ、
・位置情報取得部421、
・加速度情報取得部422、
・付属センサ情報取得部423、
・音声データ取得部424、
・音声解析部432、
・動画像データ取得部425、
・画像認識部433、
・環境情報収集部910、
・送信部911、
を有する。なお、位置情報取得部421~画像認識部433の機能は、
図4を用いて説明済みであるため、ここでは説明を省略する。
【0151】
環境情報収集部910は、位置情報取得部421~画像認識部433から、環境情報として、位置情報、加速度情報、付属センサ情報、音声情報、画像情報を取得する。また、環境情報収集部910は、環境情報を取得した際に、現場作業者が行っていた作業内容を判定し、環境情報を、作業内容ごとに分けて環境情報格納部912に格納する。
【0152】
送信部911は、環境情報格納部912に格納された、作業内容ごとの環境情報を、管理サーバ装置110に送信する。
【0153】
また、
図9に示すように、学習フェーズにおいて、管理サーバ装置110は、学習用データセット生成部920、学習部921として機能する。
【0154】
学習用データセット生成部920は、複数のウェアラブル端末120_1~120_3等より送信された、作業内容ごとの環境情報を、状態情報と対応付けて、学習用データセットとして学習用データセット格納部922に格納する。なお、状態情報とは、環境情報が取得された際に各現場作業者により行われた作業行動が正常であったか正常でなかったかを示す情報である。
【0155】
学習部921は、学習用データセット格納部922に格納された学習用データセットを読み出し、読み出した学習用データセットを用いて、作業内容ごとに学習処理を行う。なお、学習部921により作業内容ごとに学習処理が行われることで生成された学習済みのモデルは、ウェアラブル端末にて実行される。
【0156】
<学習部の機能構成>
次に、学習部921の機能構成について説明する。
図10は、学習部の機能構成の一例を示す図である。
図10に示すように、学習部921は、作業内容ごとにモデルと比較/変更部とを有する。なお、
図10の例は、説明の便宜上、作業内容として"作業A"、"作業B"、"作業C"が含まれ、3つの作業に対応するモデルについて学習処理を行う場合を示している。ただし、作業内容は、3種類に限定されず、例えば、3つ以上の作業に対応するモデルについて、それぞれ、学習処理を行ってもよい。
【0157】
作業A用モデル1001には、学習用データセット1010_1~1010_3等のうち、作業内容="作業A"に対応する環境情報が、入力データとして入力される。また、作業A用モデル1001は、入力データが入力されることで動作し、出力データを出力する。
【0158】
比較/変更部1002は、学習用データセット1010_1~1010_3等のうち、作業内容="作業A"に対応する正解データが入力され、作業A用モデル1001より出力された出力データとの比較を行う。また、比較/変更部1002は、比較の結果に基づいて作業A用モデル1001のモデルパラメータを更新することで、作業A用モデル1001に対して学習処理を行う。これにより、作業A用の学習済みモデルが生成される。作業A用の学習済みモデルは、第1の実施形態における条件情報300の正常範囲情報320において作業内容="作業A"に対応付けられた正常範囲(指標値)に相当する。
【0159】
同様に、作業B用モデル1011には、学習用データセット1010_1~1010_3等のうち、作業内容="作業B"に対応する環境情報が、入力データとして入力される。また、作業B用モデル1011は、入力データが入力されることで動作し、出力データを出力する。
【0160】
比較/変更部1012は、学習用データセット1010_1~1010_3等のうち、作業内容="作業B"に対応する正解データが入力され、作業B用モデル1011より出力された出力データとの比較を行う。また、比較/変更部1012は、比較の結果に基づいて作業B用モデル1011のモデルパラメータを更新することで、作業B用モデル1011に対して学習処理を行う。これにより、作業B用の学習済みモデルが生成される。作業B用の学習済みモデルは、第1の実施形態における条件情報300の正常範囲情報320において作業内容="作業B"に対応付けられた正常範囲(指標値)に相当する。
【0161】
同様に、作業C用モデル1021には、学習用データセット1010_1~1010_3等のうち、作業内容="作業C"に対応する環境情報が、入力データとして入力される。また、作業C用モデル1021は、入力データが入力されることで動作し、出力データを出力する。
【0162】
比較/変更部1022は、学習用データセット1010_1~1010_3等のうち、作業内容="作業C"に対応する正解データが入力され、作業C用モデル1021より出力された出力データとの比較を行う。また、比較/変更部1022は、比較の結果に基づいて作業C用モデル1021のモデルパラメータを更新することで、作業C用モデル1021に対して学習処理を行う。これにより、作業C用の学習済みモデルが生成される。作業C用の学習済みモデルは、第1の実施形態における条件情報300の正常範囲情報320において作業内容="作業C"に対応付けられた正常範囲(指標値)に相当する。
【0163】
<判定フェーズにおけるウェアラブル端末の機能構成>
次に、判定フェーズにおけるウェアラブル端末の機能構成について説明する。
図11は、判定フェーズにおけるウェアラブル端末の機能構成の一例を示す図である。
【0164】
図11に示すように、判定フェーズにおけるウェアラブル端末1100は、
・条件情報取得部410、
・位置情報取得部421、
・加速度情報取得部422、
・付属センサ情報取得部423、
・音声データ取得部424、
・動画像データ取得部425、
・音声データ出力部426、
・音声認識部431、
・音声解析部432、
・画像認識部433、
・作業実績判定部1110、
・環境情報判定部1120、
・双方向通信部1130、
を有する。
【0165】
なお、条件情報取得部410~画像認識部433の機能は、
図4を用いて説明済みであるため、ここでは説明を省略する。
【0166】
作業実績判定部1110は、条件情報取得部410から通知された条件情報300に含まれるスケジュール情報310と、音声認識部431より通知された作業実績情報とに基づいて、
・作業スケジュールに規定された作業が、作業スケジュールに規定された時刻に開始され、作業スケジュールに規定された時刻までに終了しているか否か、
・作業スケジュールに規定された作業が、所定の時間内に完了しているか否か、
・作業スケジュールに規定された現場作業者によって作業が行われているか否か、
等を判定する。また、作業実績判定部1110は、判定結果を双方向通信部1130に通知する。
【0167】
環境情報判定部1120は、作業A用学習済みモデル1121、作業B用学習済みモデル1122、作業C用学習済みモデル1123を有する。
【0168】
作業A用学習済みモデル1121は、条件情報取得部410より通知されたスケジュール情報310に基づいて、現在の作業内容が"作業A"であると判定した場合に動作する。環境情報が入力されると、作業A用学習済みモデル1121は、現場作業者160による作業行動が正常であるか正常でないかを推論し、推論結果を双方向通信部1130に通知する。
【0169】
同様に、作業B用学習済みモデル1122は、条件情報取得部410より通知されたスケジュール情報310に基づいて、現在の作業内容が"作業B"であると判定した場合に動作する。環境情報が入力されると、作業B用学習済みモデル1122は、現場作業者160による作業行動が正常であるか正常でないかを推論し、推論結果を双方向通信部1130に通知する。
【0170】
同様に、作業C用学習済みモデル1123は、条件情報取得部410より通知されたスケジュール情報310に基づいて、現在の作業内容が"作業C"であると判定した場合に動作する。環境情報が入力されると、作業C用学習済みモデル1123は、現場作業者160による作業行動が正常であるか正常でないかを推論し、推論結果を双方向通信部1130に通知する。
【0171】
このように、本実施形態において、作業A用学習済みモデル1121~作業C用学習済みモデル1123は、上記第1及び第2の実施形態における条件情報300の正常範囲情報320に対応する。
【0172】
双方向通信部1130は、作業実績判定部1110より判定結果が通知された場合であって、現場作業者160による作業行動が正常でないと判定された場合、双方向通信を開始する。あるいは、双方向通信部1130は、環境情報判定部1120より推論結果が通知された場合であって、現場作業者160による作業行動が正常でないと推論された場合、双方向通信を開始する。
【0173】
具体的には、双方向通信部1130は、音声データ取得部424より通知された音声データと、動画像データ取得部425より通知された動画像データとを、支援サーバ装置130を介して、支援者端末140に送信する。また、双方向通信部440は、支援サーバ装置130を介して支援者端末140より受信した音声データを、音声データ出力部426に通知する。
【0174】
<環境情報判定処理の流れ>
次に、ウェアラブル端末1100による環境情報判定処理の詳細について説明する。
図12は、環境情報判定処理の流れを示す第3のフローチャートである。
図7に示した環境情報判定処理との相違点は、ステップS1201~S1203である。
【0175】
ステップS1201において、環境情報判定部1120は、作業内容に応じた学習済みモデルに切り替える。
【0176】
ステップS1202において、環境情報判定部1120は、環境情報を取得し、取得した環境情報を、切り替えた学習済みモデルに入力する。これにより、学習済みモデルは、推論結果を出力する。
【0177】
ステップS1203において、環境情報判定部1120は、現場作業者160による作業行動が正常であるとの推論結果であったか、正常でないとの推論結果であったかを判定する。ステップS1203において、正常であるとの推論結果であると判定した場合には(ステップS1203においてNOの場合には)、
図5のステップS505に戻る。
【0178】
一方、ステップS1203において、正常でないとの推論結果であると判定した場合には(ステップS1203においてYESの場合には)、ステップS706に進む。
【0179】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第3の実施形態に係る作業支援システム100において、
・環境情報判定部は、学習モデルに対して学習処理を行うことにより生成される。
・学習モデルに対する学習処理は、現場作業者の作業時の環境情報を入力データとし、現場作業者の作業が正常であるか否かを示す情報を正解データとする学習用データセットを用いて行われる。
【0180】
これにより、第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を享受することができる。
【0181】
[その他の実施形態]
上記各実施形態では、現場作業者160による作業行動が正常であると判定されている間は、支援者端末140と双方向通信を行わず、現場作業者160による作業行動が正常でないと判定された場合に、支援者端末140との双方向通信を開始する構成とした。しかしながら、通信量を削減するための方法はこれに限定されず、現場作業者160による作業行動が正常であると判定されている間の通信量と、現場作業者160による作業行動が正常でないと判定された後の通信量とが異なるように構成されてもよい。
【0182】
通信量が異なるように構成するための方法としては、例えば、支援者端末140と双方向通信するデータの種別を変更する方法が挙げられる。また、データの種別を変更する方法には、単位時間あたりの通信量が低いデータから高いデータに変更することが含まれ、例えば、
・正常であると判定されている間は、音声データを送信し、正常でないと判定された場合に、音声データと動画像データとを送信する方法、
・正常であると判定されている間に送信する音声データ及び動画像データと、正常でないと判定された場合に送信する音声データ及び動画像データとで、データの品質(圧縮率、送信間隔等)を変える方法、
等が含まれる。
【0183】
また、上記各実施形態では、環境情報として、位置情報、加速度情報、付属センサ情報、音声情報、画像情報を例示した。しかしながら、環境情報はこれらに限定されず、現場作業者160の作業時にウェアラブル端末120が取得可能な情報であれば、他の情報であってもよい。
【0184】
また、上記各実施形態では、GPS装置205により検出された位置情報を取得するものとして説明したが、位置情報の取得方法はこれに限定されず、他の取得方法を用いて位置情報を取得してもよい。他の取得方法としては、例えば、撮像装置により撮影された動画像データから、Visual SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術等を用いて位置情報を取得する方法が挙げられる。
【0185】
上記第1の実施形態では、正常範囲情報320を生成する際のウェアラブル端末の機能構成について言及しなかったが、正常範囲情報320を生成するにあたっては、例えば、上記第3の実施形態において、
図9を用いて説明した機能構成を用いることができる。
【0186】
上記第3の実施形態において学習部921は、学習用データセットを用いて学習処理を行うことで、学習済みモデルを生成する場合について説明した。しかしながら、生成した学習済みモデルによる推論結果が誤っていた場合には、対応する作業内容の学習済みモデルについて、再度、学習処理を行うように構成してもよい。再学習処理において、学習部921は、例えば、推論結果が誤っていた場合の、現場作業者の作業時の環境情報を用いる。
【0187】
また、上記各実施形態では、現場作業者に装着するウェアラブル端末を用いる場合について説明したが、ウェアラブル端末に代えて、現場作業者が携帯する携帯端末を用いてもよい。
【0188】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0189】
100 :作業支援システム
110 :管理サーバ装置
120 :ウェアラブル端末
130 :支援サーバ装置
140 :支援者端末
300 :条件情報
310 :スケジュール情報
320 :正常範囲情報
410 :条件情報取得部
421 :位置情報取得部
422 :加速度情報取得部
423 :付属センサ情報取得部
424 :音声データ取得部
425 :動画像データ取得部
426 :音声データ出力部
430 :判定部
431 :音声認識部
432 :音声解析部
433 :画像認識部
440 :双方向通信部
910 :環境情報収集部
911 :送信部
920 :学習用データセット生成部
921 :学習部
1110 :作業実績判定部
1120 :環境情報判定部
1121 :作業A用学習済みモデル
1122 :作業B用学習済みモデル
1123 :作業C用学習済みモデル
1130 :双方向通信部
【要約】
【課題】携帯端末を携帯する作業者の作業を支援する作業支援システムにおいて、携帯端末の通信量を削減する。
【解決手段】作業支援システムは、携帯端末と、前記携帯端末と通信し、前記携帯端末を携帯する作業者の作業を支援する支援サーバと、を有する作業支援システムであって、
前記携帯端末が有する制御部は、前記作業者の作業内容ごとに規定された条件情報に基づいて、前記作業者の作業行動を判定し、前記作業者の作業行動が、前記条件情報に基づいて規定される範囲から逸脱していると判定した場合、前記携帯端末から前記支援サーバに送信するデータの種別を変更する。
【選択図】
図1