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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】組立パネル
(51)【国際特許分類】
   F16S 1/02 20060101AFI20230920BHJP
   E04C 2/30 20060101ALI20230920BHJP
   A63F 9/08 20060101ALI20230920BHJP
   A63H 33/10 20060101ALI20230920BHJP
   E04C 2/20 20060101ALI20230920BHJP
   E04H 15/54 20060101ALN20230920BHJP
   E04H 15/58 20060101ALN20230920BHJP
   A47C 7/00 20060101ALN20230920BHJP
【FI】
F16S1/02
E04C2/30 Y
A63F9/08 502Z
A63H33/10 Z
E04C2/20 L
E04C2/30 A
E04C2/30 P
E04H15/54
E04H15/58 Z
A47C7/00 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019110018
(22)【出願日】2019-06-13
(65)【公開番号】P2020200925
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-05-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 公開者 株式会社日建設計 川上産業株式会社 展示日 平成30年10月19日から平成30年11月4日 展示名、開催場所 PARK PACK @ Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2018 東京都港区赤坂九丁目7番1号 東京ミッドタウン 芝生広場及びミッドタウン・ガーデン
(73)【特許権者】
【識別番号】000152424
【氏名又は名称】株式会社日建設計
(73)【特許権者】
【識別番号】000199979
【氏名又は名称】川上産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雅人
(72)【発明者】
【氏名】西 勇
(72)【発明者】
【氏名】祖父江 一宏
(72)【発明者】
【氏名】上田 孝明
(72)【発明者】
【氏名】森島 敏之
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】実開昭49-035806(JP,U)
【文献】登録実用新案第3182562(JP,U)
【文献】特開2017-110439(JP,A)
【文献】特開2014-031860(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16S 1/00-5/00
E04C 2/00-2/54
A63F 9/08
A63H 33/10
E04H 15/54
E04H 15/58
A47C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接合して組み立て可能な複数のパネルからなる組立パネルであって、
前記複数の各パネルが、
中空状に膨出する多数の気泡を備えた積層気泡シートにより形成され、
同形かつ同大の、三角形状、ひし形形状、平行四辺形状のいずれかの多角形状の、折り曲げ可能かつ湾曲変形可能な板状体からなり、
前記多角形状の各頂点の外縁がR加工され、
前記多角形状の各頂点の近傍内部に、締結具を挿通可能な貫通孔を備え、
前記貫通孔が、
前記多角形状の各頂点の近傍の、当該多角形状の各辺の直線部分と各頂点のR加工部分とが連続する位置から、R加工の中心に向かって所定寸法内側の2箇所の対称位置に穿設される、線状、丸形状、三角形状、四角形状の少なくともいずれかの形状からなるとともに、当該多角形状のいずれかの辺に開口するスリットを備え、
前記貫通孔に挿通された締結具によって接合された前記複数の各パネルは、
互いに前記多角形状の辺が対向した状態で、二次元状又は三次元状に組み立てられる
ことを特徴とする組立パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同形・同大の複数のパネルを任意に連結・接合して組み立てることにより、例えば敷物や椅子,日除け,置物,パズル,玩具などとして使用することができる組立パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複数の板片やピース,パーツなどを組み合わせることで、所定の平面形状や立体形状を完成させる物品・玩具として、パズル(メカニカルパズル)がある。
このような玩具として用いられるパズルは、例えば、硬質の合成樹脂製や紙製,木製等のパズルピースを複数組み合わせることで、予め設定された所定の平面形状や立体形状にて配置したり組み立てたりすることができ、完成した形状のパズルピースをバラバラにすることで、繰り返して所定形状の配置・組立が行えるようになっている。
【0003】
この種のパズルに関するものとしては、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されているものがある。
特許文献1には、5種類(六面体,正方形斜角柱,右手系斜角柱,左手系斜角柱,立方体)の多面体を立方体容器に充填することで完成するパズルが提案されている。
特許文献2には、正三角形状を基本フレームとして、それぞれ対称となるように構成された複数種類のピース図形からなるパズルセットが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-016271号公報
【文献】特開2016-179175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上述した特許文献1,2に開示されているものを含めて、従来のパズルは、玩具(パズル)としてのみ用いられるものであり、それ以外の目的や用途に使用されることは想定されていなかった。
すなわち、これまで玩具として提供されているパズルでは、パズルを構成している複数のパーツを並び替えて、パズル以外の用途に用いるようなことはできなかったし、そもそも、そのようなことは予定されていなかった。
【0006】
また、従来のパズル玩具では、パズルを構成する複数のパーツは、耐久性や保形性などを考慮して硬質の合成樹脂や木材などで構成されており、各パーツを折り曲げたり湾曲変形させることはできず、むしろ、無理に折り曲げたり湾曲させようとすればパーツが破損してしまうおそれがあった。
したがって、例えば、各パーツを湾曲変形させて組み立てることによって、完成状態のパズルとは異なる形状・構造のものを構成するようなことは不可能であった。すなわち、従来のパズル玩具では、完成状態のパズルの形状以外の形状や構造に各パーツを配置・組立するようなことは想定されていなかった。
【0007】
このように、複数のパーツを組み合わせて構成されるパズルは、玩具であるパズルとしてのみ用いられるものであって、それ以外の用途や機能を果たすように、パズルを構成する複数のパーツを組み立てたり配置したりすることはできず、そのようなこと自体が想定されていないものであった。
本願の出願人及び発明者は、鋭意研究の結果、複数のパーツを用いることで、パズルとして使用できるとともに、さらに、それ以外の目的・用途に使用可能な組立パネルの発明に想到したものである。
【0008】
すなわち、本発明は、上述した従来の課題を解決するために提案されたものであり、同形・同大の複数のパネルを任意に接合して配置したり組み立てることを可能とし、かつ、各パネルを折り曲げ及び湾曲変形可能に構成することで、パズルなどの玩具として用いることができるとともに、それ以外の用途・目的にも使用可能な組立パネルの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本発明の組立パネルは、互いに接合して組み立て可能な複数のパネルからなる組立パネルであって、前記複数の各パネルが、中空状に膨出する多数の気泡を備えた積層気泡シートにより形成され、同形かつ同大の三角形状、ひし形形状、平行四辺形状のいずれかの多角形状の、折り曲げ可能かつ湾曲変形可能な板状体からなり、前記多角形状の各頂点の外縁がR加工され、前記多角形状の各頂点の近傍内部に、締結具を挿通可能な貫通孔を備え、前記貫通孔が、前記多角形状の各頂点の近傍の、当該多角形状の各辺の直線部分と各頂点のR加工部分とが連続する位置から、R加工の中心に向かって所定寸法内側の2箇所の対称位置に穿設される、線状、丸形状、三角形状、四角形状の少なくともいずれかの形状からなるとともに、当該多角形状のいずれかの辺に開口するスリットを備え、前記貫通孔に挿通された締結具によって接合された前記複数の各パネルは、互いに前記多角形状の辺が対向した状態で、二次元状又は三次元状に組み立てられる構成としてある。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、同形・同大の複数のパネルを任意に配置したり接合・連結して組み立てることを可能とし、かつ、各パネルを折り曲げ及び湾曲変形可能に構成することにより、複数のパネルを用いて、例えば、敷物や椅子,日除け,置物,パズル,玩具など、様々な用途・目的に適用可能な物品として構成・使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る組立パネルの平面形状を示す外観平面図であり、それぞれ(a)は三角形状、(b)は四角(ひし形)形状、(c)は四角(平行四辺形)形状の組立パネルを示している。
図2図1(a)~(c)に示す組立パネルに備えられる貫通孔を示す要部拡大図である。
図3】本発明の一実施形態に係る組立パネルに備えられる貫通孔の孔形状を示す要部拡大図であり、(a)は円形状、(b)は三角形状、(c)は四角形状、(d)は線状、(e)はスリット付きの貫通孔を示している。
図4】本発明の一実施形態に係る組立パネルの接合に用いられる締結具の外観斜視図であり、それぞれ、(a)は樹脂被覆された針金(所謂ビニールタイ,ビニールバンド等)、(b)は結束バンド、(c)はカードリング、(d)はコブ付きの紐(化粧紐等)である。
図5】本発明の一実施形態に係る組立パネルの配置・接合例を示す説明図であり、(a)は図1(a)に示す三角形状の組立パネルを6枚用いて、全体として平面六角形状となるように配置・接合した場合であり、(b)は図1(b)及び(c)に示すひし形形状及び平行四辺形状の組立パネルをそれぞれ5枚ずつ用いて、全体として平面十角形状となるように配置・接合した場合である。
図6】本発明の一実施形態に係る組立パネルの配置・接合例を示す説明図であり、(a)は図1(a)に示す三角形状の組立パネルを3枚用いて、全体として一面が開放された三角錐形状(テント形状)となるように配置・接合した場合であり、(b)は図1(a)~(c)に示す3種類の組立パネルをそれぞれ複数枚用いて、全体として中空の立体形状(バルーン形状・提灯形状等)となるように配置・接合した場合である。
図7】本発明の一実施形態に係る組立パネルを屋外で使用した場合のイメージ図であり、組立パネルを敷物や日除けなどとして構成・使用している場合を示している。
図8】本発明の一実施形態に係る組立パネルを構成する積層気泡シートの例を模式的に示す説明図であり、(a)は二層気泡シートの、(b)は三層気泡シートの概略要部斜視図である。
図9】本発明の一実施形態に係る組立パネルを構成する積層気泡シートの製造装置(製造方法)の一例を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る組立パネルの実施形態について、図面を参照して説明する。
[組立パネル]
図1は、本発明の一実施形態に係る組立パネル1の平面形状を示す外観平面図であり、(a)は三角形状、(b)は四角(ひし形)形状、(c)は四角(平行四辺形)形状の組立パネル1を示している。
【0013】
本実施形態の組立パネル1は、互いに接合して組み立て可能な複数のパネルで構成される。
具体的には、複数の各組立パネル1は、中空状に膨出する多数の気泡を備えた積層気泡シート(図6,7に示す積層気泡シート10)により形成され、それぞれが、同形かつ同大の多角形状の、折り曲げ可能かつ湾曲変形可能な板状体からなる本体11と、本体11の多角形状の各頂点の近傍内部に穿設される、締結具100(図4参照)を挿通可能な貫通孔12を備えた構成となっている。
そして、貫通孔12に挿通された締結具100によって連結・接合された複数の各組立パネル1は、互いに多角形状の辺が対向した状態で、二次元状又は三次元状に組み立てることができるようになっている。
以下、組立パネル1の各部の具体的な構成を説明する。
【0014】
[本体]
各組立パネル1の本体11は、全体が積層気泡シートによって形成され、積層気泡シートが、所定の大きさ・形状に裁断加工されて、同形かつ同大の多角形状に形成されるようになっている。
図1に示すように、本実施形態に係る本体11は、例えば、三角形状(図1(a))、ひし形形状(図1(b))、平行四辺形状(図1(c))の少なくともいずれかの形状に形成されるようになっている。
また、本体11は、図1に示すように、多角形状(三角形状・四角形状)の各頂点の外縁が、R加工により湾曲形状となるように形成されている。
【0015】
そして、このような複数種類(3種類)の多角形状に形成される本体11は、それぞれの形状における辺の長さが、他の形状における辺の長さとほぼ同一となるように形成されている。
これによって、同一形状の本体11(組立パネル1)同士を、各辺を対向させた状態で配置・接合させることができるとともに、異なる形状の本体11(組立パネル1)同士も、各辺を対向させた状態で配置・接合させることができるようにある。
【0016】
具体的には、本実施形態では、組立パネル1を構成する本体11の形状・寸法を、例えば以下のように構成することができる。
[三角形状]
図1(a)に示す三角形状の組立パネル1aは、本体11の各頂点の内角が60度となる正三角形状に形成されるとともに(図2(a)参照)、三辺の各辺の長さが、各頂点がR加工される前の状態で440mmに形成される。そして、この三角形状の本体11の各頂点に、それぞれ20RのR加工が施されることで(図2(a)参照)、各辺の直線部分の長さが400mmとなるように形成される。
【0017】
[ひし形形状]
図1(b)に示す四角形状の組立パネル1bは、本体11の各頂点の内角が36度及び144度となるひし形形状に形成されるとともに(図2(b)参照)、四辺の各辺の長さが、各頂点がR加工される前の状態で400mmに形成される。そして、この三角形状の本体11の各頂点に、それぞれ20RのR加工が施されることで(図2(b)参照)、各辺の直線部分の長さが300mmとなるように形成される。
【0018】
[平行四辺形状]
図1(c)に示す四角形状の組立パネル1cは、本体11の各頂点の内角が72度及び108度となる平行四辺形状に形成されるとともに(図2(c)参照)、四辺の各辺の長さが、各頂点がR加工される前の状態で400mmに形成される。そして、この三角形状の本体11の各頂点に、それぞれ20RのR加工が施されることで(図2(c)参照)、各辺の直線部分の長さが300mmとなるように形成される。
【0019】
上記のような形状・寸法に本体11を形成することにより、まず、同一形状の本体11(組立パネル1)同士は、各辺を対向させた状態で配置・接合させることができ、所望の二次元状又は三次元状に組み立てることができる。
また、異なる形状の本体11(組立パネル1)同士も、各辺を対向させた状態で配置・接合させて、所望の二次元状又は三次元状に組み立てることが可能となる。
なお、上記のような複数種類の組立パネル1a~1cの本体11の形状・寸法は、あくまでも一例であり、特に上記の例に限定されるものではないことは勿論である。
すなわち、組立パネル1を構成する本体11の形状・寸法は、少なくとも同一形状の本体11(組立パネル1)が、同形かつ同大の多角形状に形成されるものであれば良い。
【0020】
[積層気泡シート]
そして、以上のような各形状の組立パネル1を構成する本体11は、全体が積層気泡シート(後述する図6~8に示す積層気泡シート10参照)により形成されて組立パネル1の本体を構成している。
積層気泡シートは、シート全面に多数の気泡を備え、緩衝性や耐衝撃性,保温性,防水性,耐久性などに優れ、また、軽量かつ柔軟性に富み、裁断・加工等も容易に行える。
このため、本体11を所望の形状・寸法に形成することができるとともに、任意の箇所において任意の方向に折り曲げ可能であり、また、元の平面形状に復元も可能で、かつ、任意の箇所・方向において湾曲変形させることもできる。
これによって、組立パネル1は、同形状や異なる形状の本体11を複数枚組み合わせて、折り曲げたり湾曲変形もさせつつ、所望の二次元状又は三次元状に組み立てることが可能となり、また、積層気泡シートの防水性や耐久性により、繰り返しの使用や屋外の使用にも対応できるようになる。
【0021】
なお、本体11を構成する積層気泡シートは、組立パネル1としての強度や保形性と、折り曲げや湾曲変形が可能となる柔軟性の双方を考慮して、所定の厚みを有する積層気泡シートを使用することができ、例えば、厚み1mm~10mm程度の積層気泡シートを用いることが好ましい。
この種の積層気泡シートとしては、例えば、株式会社川上産業製の積層気泡シート:製品名「プチロイド」(登録商標)などを好適に用いることができる。
以上のような積層気泡シートの詳細、及び積層気泡シートからなる本体11(組立パネル1)の製造方法については、図8及び図9を参照しつつ後述する。
【0022】
[貫通孔]
上述した組立パネル1を構成する本体11には、図1に示すように、貫通孔12が備えられるようになっている。
貫通孔12は、本体11を構成する多角形状の各頂点の近傍内部に、後述する締結具100(図4参照)を挿通可能な孔として、本体11に穿設されるようになっている。
この貫通孔12に締結具100が挿通されることにより、複数の本体11を任意の組合せで接合することができ、接合された複数の各本体11(組立パネル1)は、互いに多角形状の辺が対向した状態で、二次元状又は三次元状に組み立てられるようになる。
【0023】
具体的には、本実施形態では、組立パネル1を構成する本体11に穿設される貫通孔12の位置及び形状・寸法を、図2に示すように、例えば以下のように構成することができる。
図2(a)~(c)に示すように、三角形状の組立パネル1a,ひし形形状の組立パネル1b,平行四辺形状の組立パネル1cとも、それぞれ、本体11の各辺の直線部分と各頂点のR加工部分とが連続・隣接する位置から、R加工の中心に向かって12mm内側の2箇所の対称位置に、φ2mmの丸孔が2つずつ、孔あけ加工等によって形成される。
このような貫通孔12の孔あけ加工は、上述した積層気泡シートからなる本体11の形成・裁断加工と同時に行うことができ、また、本体11が形成された後の工程で、貫通孔12の形成工程を設けて行うこともできる。
【0024】
また、貫通孔12の形状は、図2に示した丸孔形状だけでなく、他の形状とすることも勿論可能である。
図3に、貫通孔12の孔形状の一例を示す。
同図に示すように、本体11に穿設される貫通孔12の孔形状としては、(a)円形状(丸孔),(b)三角形状,(c)は四角形状,(d)線状、さらに(e)スリット付き孔、などに構成することができる。また、特に図示しないが、貫通孔12の孔形状を、五角形や六角形などの多角形状とすることも勿論可能である。
このような貫通孔12の孔形状は、挿通・使用される締結具100の断面形状や断面積,外径などに応じて、適宜選択・設定することができるものである。
【0025】
このように、本実施形態に係る貫通孔12は、組立パネル1を構成する多角形状の各頂点の近傍に複数穿設される、線状、丸形状、三角形状、四角形状の少なくともいずれかの形状からなる孔によって構成することができるものである。
また、貫通孔12は、多角形状のいずれかの辺に開口するスリットを備えることができる。このようなスリットを設けることにより、貫通孔12は、本体11の外縁と連通・開口することになり、このスリットを経由して、締結具100を貫通孔12に挿通・装着させることができるようになる。
これによって、このようなスリットを設けることで、締結具100の貫通孔12への挿通・着脱が容易となり、組立パネル1の接合・組立作業や分解作業を容易化・迅速化することができるようになる。
【0026】
なお、図3(e)に示す例では、円形状の貫通孔12にスリットを設けるようにしているが、スリットを設ける貫通孔12の形状は、特に円形状に限定されるものではなく、三角形状,四角形状,線状の貫通孔12にスリットを設けることも勿論可能である。
また、スリットは、複数(2つ)の貫通孔12の全てに設けることもできるが、一部の貫通孔12のみに設けるようにしても良い。
また、一つの貫通孔12に対して、複数のスリットを形成することも可能である。
【0027】
[締結具]
締結具100は、各組立パネル1の貫通孔12に挿通・装着されることによって、複数の組立パネル1を接合・連結させるための締結手段であり、上述した本体11の貫通孔12に挿通可能な、柔軟性を有する紐状部材や棒状部材によって構成される。
図4に、本実施形態の組立パネル1の締結手段として機能する締結具100の一例を示す。
図4(a)に示す締結具100aは、樹脂被覆された針金、所謂ビニールタイ,ビニールバンド等と呼ばれるワイヤ部材である。
このようなワイヤ部材は、組立パネル1の任意の貫通孔12に挿通させて、ワイヤの両端をねじり合わせることで、複数の組立パネル1を簡単に接合させることができ、また、ワイヤのねじり合わせを解くことで締結を解除することで、る。
【0028】
図4(b)に示す締結具100bは、電気ケーブル,ハーネスなどを束ねるための合成樹脂製等で構成された結束バンドである。
このような結束バンドは、組立パネル1の任意の貫通孔12に挿通させて、結束バンドを締め上げることで、複数の組立パネル1を堅固に接合・固定させることができ、ハサミやカッターなどで結束バンドを切断することで、簡単に締結を解除することができる。
【0029】
図4(c)に示す締結具100cは、例えば単語カードなどの複数枚の孔付きカードを束ねるためなに使用されるカードリングである。
このようなカードリングは、リングを開いた状態で組立パネル1の任意の貫通孔12に挿通させて、リングを結合させることで、複数の組立パネル1を簡単に接合・固定させることができ、リングを開くことで、容易に締結を解除することができる。
【0030】
図4(d)に示す締結具100dは、弾力性のある球体状のコブが所定間隔で複数備えられたコブ付きの紐(化粧紐等)である。
このようなコブ付き紐は、一又は二以上のコブを弾性変形させつつ組立パネル1の任意の貫通孔12に挿通させることで、複数の組立パネル1を簡単に接合・固定させることができ、紐を抜き取ることで、容易に締結を解除することができる。
【0031】
このように、本実施形態で使用する締結具100は、既存の紐状部材やワイヤ部材,リング部材などを利用することができ、安価かつ簡単に締結具100を用意することができる。
なお、本発明に適用可能な締結具は、図4に示した締結具100a~100dのみに限定されるものではなく、本体11の貫通孔12に挿通して複数の組立パネル1を接合・締結することができる限り、他の紐状部材・結合部材などを用いることも勿論可能である。
【0032】
[組立パネルの接合・組立例]
次に、以上のような構成からなる本実施形態に係る組立パネル1の接合・組立例について、図5図7を参照しつつ説明する。
上述したように、組立パネル1は、同形かつ同大の多角形状に形成され、折り曲げ及び湾曲変形が可能であることから、本体11の貫通孔12に締結具100を用いて連結・接合することができ、複数の各組立パネル1を、互いに多角形状の辺を対向させた状態で組み立てることができる。これによって、同一形状の組立パネル1同士や、異なる形状の組立パネル1同士で、各辺を対向させた状態で配置・接合させて、所望の二次元状又は三次元状に組み立てることができる。
【0033】
[二次元配列]
図5は、本実施形態に係る組立パネル1を平面状(二次元状)に配置して接合させた場合の一例を示している。
図5(a)の例では、同一形状(三角形状)の組立パネル1a(図1(a)参照)を6枚用いて、全体として平面六角形状となるように配置・接合した場合である。
図5(b)の例では、異なる形状(ひし形形状及び平行四辺形状)の組立パネル1b,1c(図1(b)及び(c)参照)をそれぞれ5枚ずつ用いて、全体として平面十角形状となるように配置・接合した場合である。
【0034】
このように、所定の二次元形状に配置された組立パネル1は、各パネルの貫通孔12に締結具100を挿通・装着することで、互いにバラバラにならないように連結・接合することができる。これによって、複数の組立パネル1を用いて、所望の形状・面積の敷物や置物として使用な可能な物品を構成することができる。
また、複数の組立パネル1を締結具100によって連結しなければ、各パネルを自由に移動させ並び替えることができ、所望の完成形状に配置するパズル玩具として構成することができる。
【0035】
[三次元配列]
図6は、本実施形態に係る組立パネル1を立体状(三次元状)に配置して接合させた場合の一例を示している。
図6(a)は、三角形状の組立パネル1aを3枚用いて、全体として一面が開放された三角錐形状(テント形状)となるように配置・接合した場合である。
図6(b)は、3種類の組立パネル1a~1cをそれぞれ複数枚用いて、全体として中空の立体形状(バルーン形状・提灯形状等)となるように配置・接合した場合である。
【0036】
このように、所定の三次元形状に配置された組立パネル1は、各パネルの貫通孔12に締結具100を挿通・装着して連結・接合することで、任意の三次元形状に保持・構成することができる。これによって、複数の組立パネル1を用いて、所望の形状や大きさの置物やオブジェ,玩具等として使用な可能な物品を構成することができる。
また、二次元・三次元形状に配置・組立された組立パネル1は、例えば本体11の表面に色を塗ったり絵・イラスト等を描くことで、創作品や美術品として構成することもできる。
【0037】
[使用状態]
図7は、本実施形態に係る組立パネル1を屋外で使用した場合のイメージ図である。
同図に示すように、組立パネル1は、任意の二次元形状・三次元形状に連接・組立することによって、例えば公園や河原などの屋外で使用可能な敷物や日除け,テントなどとして構成・使用することができる。
積層気泡シートからなる組立パネル1は、軽量で薄く、複数枚を持ち運ぶことも保管することも容易であり、また、紐状部材等からなる締結具100も、保管・運搬には困らないため、屋外でのピクニックやキャンプ、運動会やスポーツ観戦など、様々な場面において、思い思いの使い方が可能となる。
勿論、屋内・室内においても、屋外と同様に構成・使用することができる。
【0038】
[積層気泡シート]
次に、以上のような本実施形態に係る組立パネル1を構成するシート材として好適な積層気泡シートの詳細について説明する。
本実施形態の組立パネル1は、本体11を構成する全ての部分が、ポリオレフィン樹脂、例えばポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂などの単一素材や合成素材からなる積層気泡シート10を用いて形成される。
例えば、上述した株式会社川上産業製の積層気泡シート:製品名「プチロイド」(登録商標)は、ポリエチレン(10~30重量%)とポリプロピレン(90~70重量%)とからなる合成樹脂によって形成されている。
【0039】
ここで、積層気泡シート10の材料としては、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)を含むポリオレフィンを用いることができる。
また、ポリエチレンフィルムを用いて積層気泡シート10を形成する場合、その積層気泡シート10を構成するポリエチレンフィルムの材料となるポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、直鎖状超低密度ポリエチレン(LVLDPE)、エチレン-酢酸ビニル重合体などが例示できる。また、これらの材料を任意に混合して用いてもよい。
また、ポリエチレンフィルムの材料となる樹脂組成物には、組立パネル1の用途に応じて、非ハロゲン系の高級脂肪酸、高級脂肪族アミド、金属せっけん、グリセリンエステル等の滑剤、等のアンチブロッキング剤、フェノール系、りん系、BHT等の酸化防止剤、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、HALS等の紫外線吸収剤、タルク、珪藻土、マイカ等の無機・有機充填剤、帯電防止剤、界面活性剤などを添加することができる。
【0040】
組立パネル1の本体11の全体を、このようなポリエチレンフィルムからなる積層気泡シート10を用いて形成することで、組立パネル1を任意の箇所において任意の方向に折り曲げ、また、元の平面形状に復元させ、また、任意の箇所・方向において湾曲変形させることができ、同形状や異なる形状の組立パネル1を複数枚組み合わせて、折り曲げたり湾曲変形もさせつつ、所望の二次元状又は三次元状に組み立てることができるようになる。
また、ポリエチレンフィルムからなる積層気泡シート10は、一般に無色透明,有色透明,半透明のシートであり、積層気泡シート10からなる組立パネル1を介して、他の組立パネル1等が透視可能となるため、美観に優れ、また、組立パネル1の表面に任意の彩色や描画を施すことができ、意匠性やデザイン性に富んだ組立構造物を構成することができる。
また、組立パネル1の全体が積層気泡シート10で構成されることで、例えば、組立パネル1が屋外で使用される場合にも、水分や油、汚れ等に強いものとすることができ、また、組立パネル1の使用後においても、他の部材等の分離や除去等が必要なく、締結具100を取り外した除去した組立パネル1はそのまま洗浄して、繰り返し使用することができる。また、廃棄する際にも、そのままリサイクルすることができる。
【0041】
図8は、本実施形態に係る組立パネル1を構成するポリエチレンフィルムからなる積層気泡シート10の例を模式的に示す説明図であり、(a)は二層気泡シート10Aの、(b)は三層気泡シート10Bの概略要部斜視図である。
本実施形態に係る組立パネル1には、図8(a)に示す二層気泡シート10A、図8(b)に示す三層気泡シート10Bのいずれも用いることができる。
二層気泡シート10Aは、中空状に膨出する多数の気泡となるキャップ10-1が形成されたキャップフィルム10-2と、キャップフィルム10-2のキャップ開口側に積層されるバックフィルム10-3とを備える二層構造の積層気泡シート10である。
三層気泡シート10Bは、上述した二層構造の積層気泡シート10に対して、さらに三層目のライナーフィルム10-4を積層したもので、図8(b)に示すように、キャップ10-1が形成されたキャップフィルム10-2の、バックフィルム10-3が積層される面と反対側のキャップ膨出側に、ライナーフィルム10-4を積層した三層構造の積層気泡シート10である。
本実施形態の組立パネル1は、二層気泡シート10A、三層気泡シート10Bのいずれを用いても形成・構成することができる。
【0042】
[組立パネルの製造方法]
次に、本実施形態に係る組立パネル1の製造方法について、図9を参照して説明する。
図9は、積層気泡シートの製造装置の一例を示す説明図であり、本実施形態の組立パネル1に用いる積層気泡シート10は、この図に示すような製造装置5を用いて製造することができる。
【0043】
ここで、製造装置5で製造する積層気泡シート10の一例として、図8(b)に示した三層の積層構造のシートを例にとって説明する。
積層気泡シート10の各層の材料の一例を挙げると、例えば、下記のものを用いることができるが、これに限定されない。
ライナーフィルム10-4:LDPE及び/又はLLDPE
キャップフィルム10-2:約30%のHDPE、残りはLDPE及び/又はLLDPE
バックフィルム10-3:約30%のHDPE、残りはLDPE及び/又はLLDPE
【0044】
製造装置5は、三層の積層構造に対応する三つのフラットダイ51~53と、成形ロール55と、三つの押圧ロール56~58を備えている。
三つのフラットダイ51~53は、それぞれ前述した樹脂材料を所定の厚みで押し出すことによって、フラット状のキャップフィルム10-2,バックフィルム10-3、及びライナーフィルム10-4が連続的に供給される。
キャップフィルム用のフラットダイ51から供給されたフラット状のキャップフィルム10-2は、成形ロール55に供給される。
成形ロール55には、外周面に多数のキャビティ孔551が設けられている。
各キャビティ孔551は、図示しない真空ポンプにつながっており、キャビティ孔551を真空吸引することにより、キャップフィルム10-2に中空状に膨出する多数のキャップ10-1が形成される。
【0045】
キャップ10-1が形成されたキャップフィルム10-2は、成形ロール55と押圧ロール56との間で、バックフィルム用のフラットダイ52から供給されるバックフィルム10-3と積層され、熱融着により一体化される。
その後、押圧ロール57と押圧ロール58との間で、ライナーフィルム用のフラットダイ53から供給されるライナーフィルム10-4が、キャップフィルム10-2のキャップ膨出側に積層され、熱融着により一体化される。
これにより、組立パネル1を構成する本体11を形成する素材となる原反状態の積層気泡シート10(10B)が得られる。
その後、積層気泡シート10が所定形状に切断されることにより本体11が出来上がる。
この本体11に対して、所定位置に所定形状・寸法の貫通孔12が孔あけ加工等によって形成されて、組立パネル1が完成する。
【0046】
以上説明したように、本実施形態の組立パネル1によれば、同形かつ同大の多角形状に形成され、折り曲げ及び湾曲変形が可能となり、また、本体11の貫通孔12に締結具100を用いて連結・接合することができることから、複数の各組立パネル1を、互いに多角形状の辺を対向させた状態で、所望の二次元状又は三次元状に組み立てることができる。
これによって、複数の組立パネル1を用いて、所望の形状・構造等の物品を構成することができ、例えば、平面状の敷物や置物,パズル玩具や、立体状の置物やオブジェ,玩具など、様々な用途・機能に使用な可能な物品を構成することができる。
また、二次元・三次元形状に配置・組立された組立パネル1は、本体11の表面に彩色や絵・イラスト等を描くこともでき、創作品や美術品として構成することもできる。
【0047】
また、全体が無色透明,有色透明,半透明のポリエチレンフィルムからなる積層気泡シート10で構成される組立パネル1は、組み立てられた状態で、一の組立パネル10の表面から他の組立パネル1等が透視可能であり、全体として美観やデザイン性に優れた組立構造物を構成することができるようになる。
さらに、組立パネル1を構成する積層気泡シートは、軽量かつ柔軟性に富み、裁断・加工等も容易に行え、また、緩衝性や耐衝撃性,保温性,防水性,耐久性などに優れる。
このため、組立パネル1を構成する本体11を所望の形状・寸法に形成でき、かつ、任意の箇所や方向において折り曲げ・復元ができ、湾曲変形させることもできる。
【0048】
これによって、組立パネル1を任意に形状に折り曲げたり湾曲変形させつつ、所望の形状・構造に組み立てることができ、積層気泡シートの防水性や耐久性により、繰り返しの使用や屋外の使用にも対応できるようになる。
このように、本発明によれば、パズルなどの玩具として用いることができるとともに、それ以外の用途・目的にも使用可能な拡張性・汎用性に優れた組立パネルを提供することができるようになる。
【0049】
以上、本発明の組立パネルについて、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係る組立パネルは、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、組立パネルの平面形状として、三角形状,ひし形形状,平面形状状の3種類を示して説明したが(図1参照)、本発明に係る組立パネルの平面形状は、この3種類に限定されるものではなく、同形かつ同大の組立パネルを構成できる限り、例えば、五角形状,六角形状など、任意の多角形状に形成することができる。
【0050】
また、上述した実施形態では、組立パネルを構成するパネル材として、積層気泡シートを示して説明したが(図8参照)、本発明に係る組立パネルを構成するパネル材・シート材は、積層気泡シートに限定されるものではなく、折り曲げ可能かつ湾曲変形可能な板状体を構成できる限り、例えば、低発泡樹脂シートや単層の合成樹脂製シートなど、任意のパネル材・シート材を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、積層気泡シートを用いて形成される組立パネルに適用され、特に、複数のパネルを任意に接合して組み立てることにより、例えば敷物や椅子,日除け,置物,パズル,玩具などとして使用することができるパネル材として好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1(1a,1b,1c) 組立パネル
10 積層気泡シート
10A 二層気泡シート
10B 三層気泡シート
11 本体
12 貫通孔
100(100a,100b,100c,100d) 締結具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9