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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】蒸気供給システム用の構成要素
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/42 20200101AFI20230920BHJP
   A24F 40/44 20200101ALI20230920BHJP
   A24F 40/10 20200101ALI20230920BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/44
A24F40/10
【請求項の数】 36
(21)【出願番号】P 2021524062
(86)(22)【出願日】2019-10-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 GB2019053091
(87)【国際公開番号】W WO2020095027
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2021-06-22
(31)【優先権主張番号】1818270.9
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ポッター, マーク
(72)【発明者】
【氏名】ヘインズ, リチャード
【審査官】宮部 菜苗
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/050030(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108244710(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104605482(CN,A)
【文献】国際公開第2018/198093(WO,A2)
【文献】国際公開第2016/190222(WO,A1)
【文献】特開2018-038399(JP,A)
【文献】国際公開第2018/130023(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0192710(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104839893(CN,A)
【文献】中国実用新案第206620836(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0310616(US,A1)
【文献】中国実用新案第207855035(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0084836(US,A1)
【文献】特表2015-519903(JP,A)
【文献】中国実用新案第204670384(CN,U)
【文献】国際公開第2017/093535(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気発生器を収容するためのチャンバから、流体を保持するためのリザーバを隔てる境界壁であって、互いに当接すると共にシールされる2つ以上の隣り合う剛体を備える境界壁と、
幅よりも長い長手を有し、前記リザーバから前記蒸気発生器への流体移送通路を提供する前記境界壁の管状の細長い穴とを具備し、
前記細長い穴が当接すると共に隣り合う前記剛体間に画定され、前記剛体が穴の長手の少なくとも一部分に沿って前記穴の周囲を囲む、蒸気供給システム用の構成要素。
【請求項2】
前記剛体が、超音波溶接又はレーザ溶接によって互いにシールされている、請求項1に記載の構成要素。
【請求項3】
前記剛体が、接着によって互いにシールされている、請求項1に記載の構成要素。
【請求項4】
前記剛体が、前記剛体間に弾力性のある要素を挟むことによって互いにシールされている、請求項1に記載の構成要素。
【請求項5】
前記2つ以上の隣り合う剛体が2つの隣り合う剛体を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項6】
前記境界壁が前記チャンバを取り囲み、
前記管状の細長い穴に対して前記チャンバの反対側に、前記リザーバから前記チャンバへの第2の管状の穴を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項7】
前記管状の1つ又は複数の細長い穴が、毛細管作用によって流体を前記リザーバから前記蒸気発生器に移送するように構成された多孔質部材を収容するような形状及び寸法である、請求項1~6のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項8】
毛細管作用によって流体を前記リザーバから前記蒸気発生器に移送するために、前記1つ又は複数の穴に配置された多孔質部材をさらに備える、請求項7に記載の構成要素。
【請求項9】
前記管状の1つ又は複数の細長い穴が、毛細管作用によって流体を前記リザーバから前記蒸気発生器に移送するような形状及び寸法である、請求項1~6のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項10】
前記管状の1つ又は複数の細長い穴に沿って前記リザーバから移送される流体を受け取るために、前記チャンバに収容された蒸気発生器をさらに備える、請求項7~9のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項11】
前記蒸気発生器が電気加熱要素を備える、請求項10に記載の構成要素。
【請求項12】
前記剛体が、ポリブチレンテレフタレート、ガラス繊維強化熱可塑性物質、ポリエーテルエーテルケトン、ポリプロピレン、コポリエステル、金属、及びガラスのうちの1つ又は複数から形成されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項13】
それぞれの剛体が同じ材料から形成されている、請求項12に記載の構成要素。
【請求項14】
前記1つ又はそれぞれの細長い穴がその長手に曲がり部を有し、前記長手の第1の部分の長手方向軸線と、前記長手の第2の部分の長手方向軸線との間の角度が180°より小さい、請求項1~13のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項15】
前記角度が80°~100°の範囲である、請求項14に記載の構成要素。
【請求項16】
前記剛体が、前記穴の長手全体に沿って前記1つ又は複数の穴の周囲を囲む、請求項1~15のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項17】
弾力性のある材料から形成されたガスケットをさらに備え、前記ガスケットが前記穴の長手の一部分に沿って前記1つ又は複数の穴の周囲の一部分を形成するように前記剛体の2つの間に挟まれている、請求項1~15のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項18】
前記ガスケットが、シリコーン、熱可塑性エラストマー、又は熱可塑性ポリウレタンから形成された、請求項17に記載の構成要素。
【請求項19】
前記ガスケットが、前記チャンバに通じる前記穴の周囲の一部分を形成する、請求項17又は18に記載の構成要素。
【請求項20】
前記ガスケットがリング形状を有し、2つの剛体間で前記チャンバを一周する、請求項19に記載の構成要素。
【請求項21】
前記ガスケットが、前記剛体の1つと接合されている、請求項17~20のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項22】
前記リザーバをさらに備える、請求項1~21のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項23】
前記構成要素がカートリッジである、又はカートリッジ内に構成されており、前記カートリッジが、蒸気供給システムを形成するように結合されているときに前記カートリッジに電力を供給するための電源を備えるデバイスに結合されるように構成された、請求項1~22のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか一項に記載の構成要素を備える蒸気供給システム。
【請求項25】
蒸気発生器を収容するためのチャンバから、流体を保持するためのリザーバを隔てる境界壁と、
前記リザーバから前記蒸気発生器への流体移送通路を提供する前記境界壁の湾曲した管状の穴と
を備え、
前記湾曲した管状の穴が、前記チャンバを通る想定される空気流に実質的に垂直な方向から、前記想定される空気流に実質的に平行な方向に向かって、上流の空気流の方向に曲がる、蒸気供給システム用の構成要素。
【請求項26】
前記湾曲した管状の穴が、長手と、その長手に沿う長手方向軸線と、前記長手の第1の部分の長手方向軸線と、前記長手の第2の部分の長手方向軸線との間の角度が180°より小さいような、前記穴の長手にある曲がり部とを有する、請求項25に記載の構成要素。
【請求項27】
前記角度が80°~100°の範囲である、請求項26に記載の構成要素。
【請求項28】
前記境界壁が剛体材料から形成されている、請求項25~27のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項29】
前記境界壁が前記チャンバを取り囲み、前記湾曲した管状の穴に対して前記チャンバの反対側に、前記リザーバから前記チャンバへの第2の湾曲した管状の穴を備える、請求項25~27のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項30】
前記湾曲した管状の1つ又は複数の穴が、毛細管作用によって流体を前記リザーバから前記蒸気発生器に移送するように構成された多孔質部材を収容するような形状及び寸法である、請求項25~29のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項31】
毛細管作用によって流体を前記リザーバから前記蒸気発生器に移送するために、前記1つ又は複数の穴に配置された多孔質部材をさらに備え、前記多孔質部材が前記1つ又は複数の穴の曲げを固める湾曲した形状を有する、請求項30に記載の構成要素。
【請求項32】
前記湾曲した管状の1つ又は複数の穴に沿って前記リザーバから移送される流体を受け取るために、前記チャンバに収容された蒸気発生器をさらに備える、請求項25~31のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項33】
前記蒸気発生器が電気加熱要素を備える、請求項32に記載の構成要素。
【請求項34】
前記リザーバをさらに備える、請求項25~33のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項35】
前記構成要素がカートリッジである、又はカートリッジ内に構成されており、前記カートリッジが、蒸気供給システムを形成するように結合されているときに前記カートリッジに電力を供給するための電源を備えるデバイスに結合されるように構成された、請求項25~34のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項36】
請求項25~35のいずれか一項に記載の構成要素を備える蒸気供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蒸気供給システム用の構成要素に関する。
【背景技術】
【0002】
電子タバコなどの蒸気供給システムは、液体又はゲルの形態の場合がある1つ又は複数の基体材料から吸引可能な蒸気又はエアロゾルを生成する。このような材料は典型的には、リザーバ又はタンクに貯蔵され、蒸気チャンバに収容された電気加熱要素などの蒸気発生器に送出される。壁又は仕切りが、リザーバの内部を蒸気チャンバから隔て、1つ又は複数の開口又は穴が壁に設けられ、1つ又は複数の開口又は穴によって、流体は、多くの場合、穴を通って延在する多孔質ウィッキング要素の毛細管作用によってリザーバから蒸気発生器に移動することができる。
【0003】
これらの穴を通る流体流は、適切な速度で流体を送出するように管理されるべきである。過剰な流れが穴を通ると、蒸気チャンバに自由な液体の存在を生じさせることがあり、自由な液体は、ここからシステムの他の部分に動くことができ、漏れ、損傷、及び悪い質のエアロゾルを生じさせる。
【0004】
したがって、リザーバの穴における流体の漏れを妨げるための手法は着目される。
【発明の概要】
【0005】
本明細書で説明するいくつかの実施形態の第1の態様によれば、蒸気発生器を収容するためのチャンバから、流体を保持するためのリザーバを隔てる境界壁であって、互いにシールされる2つ以上の隣り合う剛体を備える境界壁と、リザーバから蒸気発生器への流体移送通路を提供する境界壁の管状の穴とを具備し、穴が隣り合う剛体間に画定され、剛体が穴の長手の少なくとも一部分に沿って穴の周囲を囲む、蒸気供給システム用の構成要素が提供される。
【0006】
本明細書で説明するいくつかの実施形態の第2の態様によれば、第1の態様による構成要素を備える蒸気供給システムが提供される。
【0007】
本明細書で説明するいくつかの実施形態の第3の態様によれば、蒸気発生器を収容するためのチャンバから、流体を保持するためのリザーバを隔てる境界壁と、リザーバから蒸気発生器への流体移送通路を提供する境界壁の湾曲した管状の穴とを備える蒸気供給システム用の構成要素が提供される。
【0008】
本明細書で説明するいくつかの実施形態の第4の態様によれば、第3の態様による構成要素を備える蒸気供給システムが提供される。
【0009】
特定の実施形態のこれらの及びさらなる態様は添付の独立請求項及び従属請求項に記載される。従属請求項の特徴は、特許請求の範囲に明示的に記載された以外の組合せで、互いに、及び、独立請求項の特徴と組み合わせることができることは認識されよう。さらに、本明細書で説明する手法は、下で述べるような特定の実施形態に限定されず、本明細書で提示する特徴の任意の適切な組合せを含み、そのようなものが考えられる。例えば、適宜、下で説明する様々な特徴のうちの任意の1つ又は複数を含む構成要素は、本明細書で説明する手法に従って提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
次に、以下の図面を参照して単なる例として本発明の様々な実施形態を詳細に説明する。
図1】本開示の態様を具現化することができる例示的な蒸気供給システムの簡略化した長手方向の断面図である。
図2】蒸気供給システムの例示的な蒸気チャンバの簡略断面図である。
図3】直線状の穴及びウィックを備える、本開示による例示的な蒸気チャンバの簡略断面図である。
図4A図3の蒸気チャンバに含まれる境界壁の例示的な形態の図である。
図4B図3の蒸気チャンバに含まれる境界壁の例示的な形態の図である。
図4C図3の蒸気チャンバに含まれる境界壁の例示的な形態の図である。
図5】湾曲した穴及びウィックを備える、本開示によるさらなる例示的な蒸気チャンバの簡略断面図である。
図5A図5の蒸気チャンバに含まれる穴の断面図である。
図6】ガスケットを備える、本開示による別の例示的な蒸気チャンバの簡略断面図である。
図7図6の蒸気チャンバに含まれる境界壁の例示的な形態の図である。
図8図6の例のように構成することができる例示的な蒸気チャンバの直交断面図である。
図9】蒸気チャンバ用の境界壁上部剛体及びガスケットの例の斜視図である。
図10】蒸気チャンバ用の境界壁上部剛体及びガスケットのさらなる例の斜視図である。
図10A図10の例の一部分の簡略断面図である。
図11】蒸気チャンバ用の境界壁上部剛体及びガスケットのさらなる例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書では、特定の例及び実施形態の態様及び特徴が論じられ、説明される。特定の例及び実施形態のいくつかの態様及び特徴は、従来、具現化されている場合もあり、それらについては、簡略化のために、詳細に論じたり、説明することはしない。したがって、詳細には説明されない、本明細書で論じられる装置及び方法の態様及び特徴は、そのような態様及び特徴を具現化するための任意の従来技術に従って具現化することができることは認識されよう。
【0012】
本明細書では、用語「蒸気供給デバイス/システム」、「電子蒸気供給デバイス/システム」、「エアロゾル供給デバイス/システム」、「電子エアロゾル供給デバイス/システム」、及び類似の用語は、加熱、又は振動などの他の技法によってエアロゾル化可能な基体材料から蒸気又はエアロゾルを生成する電子タバコ又はeシガレット、タバコ加熱製品などの燃焼させずに基体材料から化合物を放出させる加熱デバイス、並びに基体材料の組合せからエアロゾルを生成するハイブリッドシステム、例えば、液体又はゲル又は固体基体を含むハイブリッドシステムを含む電子喫煙品などの非燃焼性エアロゾル及び蒸気供給システム(非燃焼性喫煙品)を含むように意図される。用語「エアロゾル」は、「蒸気」と互換的に使用されることがある。
【0013】
いくつかの実施形態では、非燃焼性エアロゾル又は蒸気供給システムは、ベイピング(vaping)デバイスとしても知られている、電子タバコなどの非燃焼性喫煙品である。非燃焼性エアロゾル供給システムは、ヒーター及びエアロゾル化可能な基体など、1つ又は複数の構成要素を備えてもよい。いくつかの実施形態では、システムは、ヒーター、ヒーターに電力を供給することができる電源、液体又はゲルなどのエアロゾル化可能な基体、ハウジング、及び、任意選択で、吸い口を備える。エアロゾル化可能な基体は基体容器に入れられてもよい。基体容器は、ヒーターと組み合わされてもよいし、ヒーターを備えてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、非燃焼性エアロゾル又は蒸気供給システムは、基体材料を燃焼するのではなく加熱することで1つ又は複数の化合物を放出する加熱製品である。基体材料は、例えば、タバコでもよいし、他の非タバコ製品でもよいエアロゾル化可能な基体材料であり、非タバコ製品は、ニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。いくつかの実施形態では、この製品はタバコ加熱製品である。タバコ加熱製品は、ヒーター、ヒーターに電力を供給することができる電源、及び固体又はゲル材料などのエアロゾル化可能な基体を備えてもよい。加熱製品は、固体又はゲル材料などのエアロゾル化可能な基体、及び、例えば、チャコールなどの燃焼材料を燃やすことによって、いかなる電子的な手段なしにエアロゾル化可能な基体に熱エネルギーを供給することができる熱源を備えてもよい。加熱製品はまた、エアロゾル化可能な基体を加熱することによって生成されるエアロゾルを濾過することができるフィルターを備えてもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、非燃焼性エアロゾル又は蒸気供給システムは、基体材料の組合せを燃焼するのではなく加熱することでエアロゾルを生成するためのハイブリッドシステムである。基体材料は、例えば、固体、液体、又はゲルを含んでもよく、それらは、ニコチンを含んでもよいし、含まなくてもよい。いくつかの実施形態では、ハイブリッドシステムは液体又はゲル基体、及び固体基体を備える。固体基体は、例えば、タバコでもよいし、非タバコ製品でもよく、非タバコ製品は、ニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。いくつかの実施形態では、ハイブリッドシステムは、液体又はゲル基体、及びタバコを備える。
【0016】
エアロゾル又は蒸気は、デバイス、システム、又は製品の性質に応じて、様々な方法で様々な基体から生成又は放出されてもよい。これらは、加熱して蒸発させること、加熱して化合物を放出すること、及び液体又はゲルの振動で液滴を生成することを含む。1つのシステム内に1つ又は複数の異なる材料の場合がある基体材料は、一般に、エアロゾル形成基体、エアロゾル形成基体材料、エアロゾル化可能な基体、エアロゾル化可能な基体材料などと呼ばれることがある。基体材料は、固体、液体、又はゲルであってもよく、タバコを備えなくてもよいし、タバコを含まなくてもよく、ニコチンを含むエアロゾル又は蒸気を生成しても、しなくてもよい。例えば、エアロゾル化可能な基体材料は、グリセロール、プロピレングリコール、トリアセチン、又はジエチレングリコールなどの蒸気又はエアロゾル生成剤又は保湿剤を含んでもよい。
【0017】
本開示のいくつかの実施形態は、使用時に互いに接続される2つの分離可能な構成要素、すなわち、再使用可能であってもよいデバイス構成要素、及びエアロゾル化可能な基体材料を含む、使い捨て又は1回使用であってもよい(カートリッジなどの)消耗可能な構成要素、を備えるシステムに関する。
【0018】
図1は、eシガレット10などの例示的なエアロゾル/蒸気供給又は生成システムの非常に概略的で簡略化した図(正確な縮尺ではない)である。eシガレット10は、2つの主要な構成要素、すなわち、制御又は電力構成要素、セクション、又はユニット12、及びエアロゾル生成構成要素として動作するカートリッジアセンブリ又はセクション14を備える概ね細長い形状である。この例では、これらの構成要素は端部と端部をつなげて配置されているが、並列配置など他の配置も可能である。また、システムの全体形状は細長い必要はない。
【0019】
制御又は電力構成要素12は、「デバイス」と称せられることがあり、典型的には、再使用可能(これは必須ではないが)であるように構成されて、数日、数週間、数か月、又は数年の期間にわたって使用者に複数のエアロゾル供給経験を提供する。システムのいくつかの設計では、「カトマイザー」と呼ばれることもあるカートリッジアセンブリ14は、液体又はゲルの形態のエアロゾル化可能な基体材料を含み、典型的には、基体材料を使い切った又は消耗したとき交換されるように意図される。したがって、この構成要素14は「消耗可能な構成要素」と称せられることもある。しかしながら、いくつかの例では、消耗可能な構成要素は、基体材料の第1の量が消費されたときに基体材料で再充填されるように構成されてもよい。消耗可能な構成要素14は、その中に含まれることがある他の部品(例えば、加熱要素又はウィッキング構成要素)が動作寿命の終わりに達したときに交換されるように意図されることがある。多くの例では、単一のデバイスは、順次交換される複数の消耗可能な構成要素とともに使用することができる。このような場合、デバイスの動作寿命は、消耗可能な構成要素の動作寿命よりも長くなるように意図されている。しかしながら、これは必須ではなく、デバイスも、比較的短い動作寿命を有する交換可能な部品として設計されてもよい。
【0020】
消耗可能な構成要素14は、リザーバ又は他の貯蔵容積部に貯蔵された液体又はゲルの形態のエアロゾル化可能な基体材料3の供給部を含む。基体材料は、生成されるエアロゾルの元になる材料であり、エアロゾルはニコチンを含んでもよいし、含まなくてもよい。1つ又は複数の香味料が基体に含まれてもよい。消耗可能な構成要素14はまた、基体材料3からエアロゾルを生成するように動作可能なアトマイザ(気化器)4を備える。アトマイザ4の性質は基体材料3の形式に適するものである。例としては、ウィッキング、毛細管、又は液体又はゲルを気化させるための他の液体移送構成体によって基体材料が送達される(抵抗加熱又は誘導加熱によって動作可能な)電気加熱要素、及び液体又はゲルが液滴生成のために送達される振動細孔シートが含まれる。アトマイザに送達されるエアロゾル化可能な基体材料から蒸気を生成することができる広範な気化器又はアトマイザ形態又はアセンブリが知られているし、当業者には容易に明らかとなろう。しかしながら、一般に、本開示の文脈では、アトマイザ4はチャンバ(蒸気チャンバ)の形態を有し、このチャンバは、蒸気発生器又は蒸気生成要素(上記の電気加熱要素又は振動細孔シートなど)を収容し、エアロゾル化可能な基体材料を保持するリザーバからチャンバを隔てる周囲の壁によって画定される。
【0021】
消耗可能な構成要素14はまた開口又は空気出口を有する吸い口9を含み、使用者はこれを通じてアトマイザ4によって生成されたエアロゾルを吸引する。
【0022】
デバイス12は、電力を供給し、エアロゾル化可能な基体材料3からのアトマイザ4によるエアロゾルの生成を制御する。したがって、デバイス12は、電池又はバッテリー5(以降、バッテリーと称し、これは再充電可能であってもよい)を含んで、アトマイザ4などのeシガレット10の電気構成要素に電力を供給する。さらに、eシガレットを全体的に制御するために、プリント回路基板及び/又は他の電子機器若しくは回路などのコントローラ6がある。コントローラ6は、プロセッサ7(ソフトウェアを実行するマイクロプロセッサ、又はプロセッサの機能を行うように構成された電子機器)を含む(又は、であってもよい)。蒸気を必要とするとき、例えば、システム10での吸引(このとき、空気はデバイス20のハウジングの壁(又は、他の例では、消耗可能な構成要素14の壁)の1つ又は複数の空気入口8を通って入る)を検出する空気圧センサ又は空気流センサ(図示せず)からの信号に応答して、コントローラ6は、アトマイザ4をバッテリー5に接続する。アトマイザ4がバッテリー5から電力を受け取ると、アトマイザ4は、エアロゾル化可能な基体材料3から蒸気を生成するように動作し、これがエアロゾルを形成して吸い口9の開口を通って使用者に吸引される。使用者が吸い口9で吸引すると、エアロゾルは、空気入口8をアトマイザ4に、そして空気出口に接続する空気チャネル(図示せず)に沿ってアトマイザ4から吸い口9に運ばれる。
【0023】
図1の例では、デバイス12と消耗可能な構成要素14は、(この例では)図1の実線の矢印によって示されるように、長手方向軸線に平行な方向に離すことによって互いから取り外すことができる別々の接続可能なセクションである。構成要素12、14は、システム10の使用時、デバイス12と消耗可能な構成要素14との間を機械的及び電気的に接続する協働係合要素16、18(例えば、ねじ又はバヨネット式接続具)によって互いに接合又は結合される。しかしながら、これは単なる例示的な構成であり、様々な要素がデバイス12と消耗可能な構成要素14との間で様々に配置されてもよく、他の部品及び要素が含まれてもよい。2つのセクションは、図1のような長手方向の形態で端部と端部を互いに接続して使用してもよく、又は、平行な並列配置などの異なる形態で接続されてもよい。システムは、概ね円筒形、及び/又は概ね長尺な形状であってもよいし、そうでなくてもよい。一方又は両方のセクション又は構成要素12、14は、使い尽くされたとき(例えば、リザーバが空になったり、バッテリーがあがったりしたとき)に処分され交換されるように意図される場合がある、又は、リザーバの再充填及びバッテリーの再充電などの行為によって可能となる複数回の使用が意図される場合がある。他の例では、システム10は、単一の一体システムにデバイスの機能と消耗可能な構成要素の機能とを提供する、単一のハウジング内にその構成要素を備えてもよい。一体システムは、使い捨てで1回使用のシステムであってもよく、又はバッテリーの再充電若しくは交換、及びリザーバの再充填により複数回使用するように構成されてもよい。本開示の実施形態及び例は、当業者にとって公知のこれらの形態及び他の形態のいずれにも適用可能である。
【0024】
図2は、蒸気チャンバの形態の概略断面図である。アトマイザ4は、ジュール効果によって熱を生成するために、電力供給用の電源(図示せず)に接続可能である加熱コイルの形態の加熱要素24、及びコイルが巻かれたウィック要素26を備える。ウィック26は、液体を吸収して毛細管効果によって液体を伝えることができる多孔質要素である。アトマイザ4は蒸気チャンバ22に収容され、蒸気チャンバ22は、チャンバ22の側面を画定する境界壁28を有する。リザーバ3はチャンバ22を取り囲み、原料液体又はゲル20(エアロゾル化可能な基体材料)を保持するための、境界壁28と外壁32との間に画定された環状の貯蔵容積部を提供する。境界壁は、チャンバ22の両側に形成された2つの対向する穴30を有し、ウィック26の2つの端部が穴30を通ってリザーバ3の貯蔵容積部に到達するように延びる。このように、ウィック26は液体20と接触する。
【0025】
チャンバ22は、(描かれた向きでは)その上端及び下端が開いており、蒸気供給システムを通る空気流路内に含まれている。空気流路は、システムのハウジングの(図1の入口8などの)1つ又は複数の入口からチャンバ22を通って(図1の吸い口9などの)吸い口の出口まで延在する。使用時、ウィックはリザーバから液体20を吸収し、加熱要素24の近くまで運ぶ。加熱要素に電力が供給されると、加熱要素は、ウィック24に保持された揮発性液体を気化する熱を発生して蒸気チャンバ内に蒸気を生成する。空気流路に沿う空気の流れAは、ヒーター24及びウィック26を越えてチャンバ22を通過して蒸気を集め、そのうちのいくらかは典型的には、凝縮してエアロゾルを形成する。蒸気及び/又はエアロゾルは、空気流によって吸い口まで運ばれて使用者に吸引される。
【0026】
図2の構成は単なる例であり、様々な構成要素が様々な形状、形態、及び相対的な物理的位置を有してもよい。
【0027】
ウィック26は境界壁28の穴30によってリザーバ内に延在しており、この穴30の形態が関心事である。穴30は、境界壁28にドリル加工された、打ち抜かれた、又はその他の方法で作られた単純な穴として形成されてもよい。他の構成では、境界壁28は、部品間に空間を有して互いに当接する2つ以上の成形された部品又は構成要素から形成されて穴を提供する。穴を通るリザーバからの液体の漏れを最小限にして、蒸気チャンバ内に、したがってまた、空気流チャネル内に自由な液体がないようにすることが望ましい。このような自由な液体は、吸い口を通ってシステムを出ることがあり、又は空気流とは反対方向に移動してシステムから漏れることがある、又は電気構成要素と接触して損傷を与えることがある。したがって、穴とウィックとの境界である程度シールすることが望ましい。しかしながら、リザーバの内外の圧力を釣り合わせて液体がアトマイザに流れ続けるためには、空気がリザーバに入ることができなければならないので、シールはきつくしすぎるべきでなく、又は完全にするべきではない。また、非常にきついシールは、ウィックを過度に圧縮し、ウィックに沿う液体の動きを制限することがある。ゆるすぎるシールは、自由な液体の漏れを可能にする。したがって、穴を通過するウィックに対する穴の大きさ及び形状は重要であり、過剰な液体がチャンバ内に漏れ出ずに、所望の液体流路に沿って液体をリザーバから加熱要素に効率よく移送することができるように注意して選択すべきである。
【0028】
境界壁が当接する隣り合う部品から形成される設計では、部品のうちの1つ又は複数に対して、ゴム及びシリコンなどの追従性のある、又は弾力性のある材料が一般的である。これらの材料の圧縮可能な性質によって、リザーバからの過剰な流体が漏れとしてウィックの周りに漏れ出ることを妨げるようなシール度合いで部品が組み立てられて一緒になるとき、必要な穴を形成することができる。しかしながら、圧縮可能な性質はまた、穴の形成、したがってウィック周りの穴の合い具合は、意図される設計からのずれ、及びデバイス間の違いの両方の点から、一貫性がない可能性があることを意味しがちである。組み立てられるシステムでは、穴は、意図された大きさに対して大きすぎる、又は小さすぎる可能性があり得る。大きな穴では、自由な液体がチャンバ内に漏れ出ることがあり、小さな穴では、リザーバから出る液体の流れが制限され、消費された液体を置き換えてさらなる外向きの液体の流れを可能にするために必要なリザーバへの空気の流れが制限されることがある。これらの状態はどちらも、蒸気を生成するための、加熱要素の近くのウィックに利用可能な液体の量を減少させ得る。より乾燥したウィックは、加熱要素によって生成された熱にさらされると燃えやすく、それは危険であり、生成された蒸気を汚染し得る。
【0029】
したがって、本開示は、リザーバから液体を蒸気発生器に移送することを可能にする1つ又は複数の穴を提供するための特定の特徴を提案する。リザーバと蒸気チャンバとの間の境界壁は、互いに対して当接され、又は隣り合い、当接されると、当接された物体間に1つ又は複数の穴が画定されるような形状である、剛体材料から作られた物体(「剛体」)から形成されることが提案される。
【0030】
図3は、例示的な蒸気チャンバ及びリザーバ構成体の簡略断面図である。多くの部品は、図2に関して前に説明したものと同様であり、類似の参照符号は類似の部品に対して用いられ、これらの部品の説明は詳細には繰り返さない。前と同じように、境界壁28は、蒸気チャンバ22をリザーバ3から隔てるように設けられる。ここで、蒸気チャンバ22は、環状のリザーバ3内の中央に配置される。2つの穴30は、チャンバ22の両側のそれぞれの側面に1つ配置されて、境界壁28を貫通して延在する。それぞれの穴30は、リザーバ3の内部から加熱要素24(この例では、蒸気発生器は、加熱コイルとして具現化されている)までの液体の流体流又は流体移送のための通路を提供する。この例では、流体流は、穴30に収容されたウィック又はウィッキング要素26によって制御され、管理される。ウィック26の中央部はチャンバ内にあり、加熱要素24のコイルに囲まれ、ウィックの2つの両側の端部は穴30に入って、それを通り抜け、リザーバ3内に延びている。ウィック26は多孔質要素又は部材であり、それは、リザーバ3から液体を吸収し、ウィッキング又は毛細管作用によってその液体をウィック26の細孔を通して加熱要素24の近くに移送するように構成されている。加熱要素24にある液体、又は近くにある液体は蒸気として追い出されるので、ウィッキング効果によって、新しい液体がウィック材料の多孔質網目を通って中央部の方へ引かれ、その結果、蒸気製造のために液体の一定した供給が得られる。ウィックは、例えば、リザーバ内のエアロゾル化可能な基体材料(液体又はゲル)の特定の品質、例えば粘性に関するウィッキング能力を参考にして選択された任意の適切な多孔質材料を含むことができる。例えば、ウィックは、単一の糸(single strand)、合撚糸(piled yarn)、又は束(bundle)、糸又は撚糸をより合わせた又は他の方法で一群にしたものとして綿を含んでもよい。ガラス繊維、若しくは他の天然繊維又は人口繊維などの他の繊維も綿とともに、又は綿の代わりに用いられてもよい。スポンジ材料及び多孔質セラミックなどの他の多孔質材料も用いられてもよい。
【0031】
境界壁28は、当接形態で互いに隣り合って配置された2つの剛体から形成される。第1の剛体28aは、穴30の上方の境界壁28を画定し、第2の剛体28bは穴30の下方の境界壁28を画定する。したがって、剛体28a、28bはそれぞれ、各端部で開いた中央の空所又は空洞の周りに壁、仕切り、又はハウジングを備える概ね管状又は環状の形状を有し、その結果、剛体28a、28bは、対向する端面を接触させることによって端部と端部とが当接されると、中央の空所が組み合わさって、蒸気供給システム用の蒸気チャンバ22であり、蒸気チャンバ22の上流及び下流の空気流チャネルの一部分にもなり得る、連続した中央の空所又は空間を形成する。当接された剛体28a、28bの縁は、縁が組み立てられて一緒になって境界壁28、したがってチャンバ22を築くと、縁と縁との間に穴30を提供する開いた空間が残るような形状である。この例では、剛体28a、28bは、長手(流体の流れ方向に沿う寸法)が幅(流体の流れ方向に直交する寸法)よりも長い細長い穴30を形成するのに十分な厚さ(境界壁38の平面に概ね直交し、穴30によって提供される流体移送通路の方向に沿う寸法)を有する。例えば、その長手は幅の2倍であってもよいし、幅の2倍より長くてもよい。これらの穴は、管状として、又は中空の閉じたチャネルの形態を有するものとして考えることができる。この細長いという性質は、ウィック26が長い距離にわたって穴30によって囲まれているので、穴30を通る液体の漏れを減じる助けになり得る。
【0032】
図4Aは、境界壁28の例の、図3の線IV-IVに沿う平面図である。第1の又は上部剛体28a及び第2の又は下部剛体28bは両方とも、当接する縁において、ウィック24が収容される穴30のための開口を画定するような形状である。それぞれの剛体28a、28bは、当接している縁の面において、半円状の開いたチャネル又は凹所を有し、一緒になったとき、円形の閉じたチャネル又は管を形成して穴30を提供する。したがって、2つの剛体28a、28bは、穴30の周囲を完全に囲み、この例では、図3から認識することができるように、この囲いは、穴の全長にわたって、又は穴の延在する範囲にわたって存在する。
【0033】
剛体28a、28bは、単に隣り合って接触させて配置されているのではなく、それらの当接する縁において互いにシールされ、又は固定されている。このように、当接する縁の面が一緒になる継ぎ目又は接合部34に沿って固定することは、穴の形状及び大きさを保ち、以て、穴の寸法の一貫性を高める働きをし、剛体を互いにシールして、穴30を通る以外に液体が通ることを妨げる。この固定は、いくつかの方法のうちのいずれかで達成することができ、この場合、選択される技法は、剛体のために用いられる1つ又は複数の材料の性質に関して選ぶことができる。例えば、超音波溶接は、組み立てられて互いに当接する物体の材料を融合するために用いられてもよい。剛体が組み立てられて一緒になる前に、一方又は両方の当接する面に接着剤が塗布されてもよく、その結果、この固定は接着によって達成される。この固定は、2つの隣り合う剛体間の液密なシールが可能になるように、当接される面の全範囲に沿って適用され、その結果、液体がリザーバから出ることができるのはこの穴を通ってだけである。
【0034】
穴は、任意の断面形状を有してもよく、図4Aの例に示された円形に限定されない。剛体の剛体材料は、剛体のしっかりとした漏れのない結合と組み合わさって、一貫性があり安定した穴の大きさ及び穴の位置を提供し、その結果、リザーバからの液体の流出を正確に調整することができる。蒸気供給用のシステムの使用中、加熱要素への液体の流れは調整され、システムが使われていないときには、この穴の特性により漏れが防がれる。穴の大きさ、形状、及び位置は、この場合も、境界壁を形成するために用いられる材料の剛体の性質のため、組立プロセスによって影響されず、その結果、製品ごとの一貫性が高められる。
【0035】
図4Bは、さらなる例の、図3の線IV-IVに沿った平面図である。この例では、第1の剛体28aは、接合部34で当接する縁において成形されていないが、一方、第2の剛体28bは、図4Aの例のような半円状の開いたチャネルを有する。したがって、剛体28a及び28bが組み立てられて一緒になると、第1の剛体の平坦な面は、第2の剛体の開いたチャネルに被さり、それを閉じて、半円状の断面の閉じたチャネル又は管を形成し、これが穴30になる。ウィック24は、穴30の中に収容するために、同様の断面形状のものであってもよいし、円形など、なんらかの他の形状から圧縮されてもよい。
【0036】
図4Cは、さらなる例の、図3の線IV-IVに沿った平面図である。この例では、3つの剛体28a、28b、及び28cが、境界壁28を形成するために一緒にされる。穴30は、3つの剛体28a、28b、及び28c間の接合部に形成され、これらの物体が組み立てられて一緒になって接合部34に沿って固定されると、円形断面の穴30を画定するような形状を、それぞれ、当接する縁の面に有する。境界壁の両側に対して、別個の剛体など、複数の剛体の他の形態もまた用いることができ、この場合、剛体間のいくつかの接合部は穴の位置から離され、その結果、関係する縁の面は穴を画定するような形状を含まない。
【0037】
剛体は任意の適切な剛体材料から作ることができる。「剛体」とは、使用時に認識可能な範囲で、材料が柔軟性、伸縮性、又は変形可能性を欠くことを意味し、剛体が組み立てられて一緒になると、その体積及び形状を保つ頑丈な構造体を形成し、蒸気供給システムの使用の普通の状態では、変形可能又は圧縮可能ではない。このように、穴の形状、大きさ、及び位置が維持される。適切な材料としては、ポリブチレンテレフタレート(PBT:polybutylene terephthalate)、熱可塑性物質、並びに、例えば、ガラス繊維によって強化された強化プラスチック及び熱可塑性物質などのプラスチックが含まれる。一例として、半結晶の部分的芳香族コポリアミドに基づく40%ガラス繊維強化熱可塑性物質のグリボリー(Grivory)(登録商標)HT1V-4 FWAがあり、これは、EMS-Grivoryによって製造され、剛性、強度、変形安定性、及び耐化学性に関して高温で良好な性能を有する(これらはすべて、蒸気チャンバの環境では価値のある特性である)。プラスチックの例としては、化学暴露下でさえ維持される良好な強度及び機械的性質を有するPEEK(ポリエーテルエーテルケトン:polyether ether ketone)、ポリプロピレン、コポリエステルが含まれ、一例としては、Eastman Chemical Company製造のトライタン(Tritan)(登録商標)がある。他の材料としては、金属及びガラス材料が含まれる。金属及びガラスの場合には、剛体を固定するためにレーザ溶接を用いることができる。適切な剛体材料のさらなる例としては非多孔質セラミックがある。境界壁を形成するすべての剛体は、同じ剛体材料から形成されてもよい。それに代えて、異なる剛体が異なる材料から形成されてもよい。これは、例えば、剛体と蒸気供給システムの他の構成要素との間の異なる関係を考慮すると、有用になり得る。
【0038】
境界壁を形成するために任意の数の剛体を使用することができるが、一方が穴の周囲の一方の側を画定し、他方が穴の周囲の他方の側を画定する2つの物体が最小量の組立作業で済む。穴は任意の断面形状を有することができ、実際、穴の長手に沿って変化する断面形状及び/又は断面積を有してもよい。
【0039】
組立を容易にするため、ウィックの関係する部分は、剛体が固定のために一緒にされる前に、穴を画定する剛体の一方に配置して成形することができる。したがって、剛体が組み立てられて一緒になるときには、ウィックはすでに穴に取り付けられている。これは、ウィックが穴と同じ若しくは類似の断面の大きさを有する場合、又は、ウィックが穴の中に収められるときに圧縮されるようにより大きな断面を有する場合、便利である。これに代えて、境界壁が、剛体を互いに固定することによって形成された後、ウィックの端部を穴の中に挿入する、又は穴の中を通すことができる。
【0040】
ここまで論じた例では、穴は、蒸気チャンバを横切って反対側に配置された対として配置され、真っ直ぐな形態を有しており、それぞれの管状の穴の長手方向軸線は直線状であり、境界壁の平面に実質的に垂直でもある。したがって、ウィックは、その長手方向軸線が実質的に直線に沿って配置された状態で、直線形態に保持される。この線は、気化チャンバを通る空気流の方向に直交している。ウィックは、それ自体がこの直線形状を有するのに十分剛性が高い材料から作られてもよいし、又は、ウィック材料があまり硬くなければ、ウィックは、真っ直ぐな形式の穴の対に挿入することによって直線を保持することができる。
【0041】
しかしながら、本開示は、この点について限定しているわけではない。穴は、これに代えて、非直線の形状であってもよい。言い換えれば、穴の長手方向軸線は、直線に沿っていなくてもよく、穴は、1つ又は複数の曲がり部を含んで湾曲していてもよい。
【0042】
図5は、蒸気チャンバのさらなる例の簡略断面図であり、この場合も、類似の部品には同じ参照符号が付けられている。この例では、リザーバ3と蒸気チャンバ22との間の境界壁28は、上部剛体28aと下部剛体28bとから形成される。剛体28a、28bは、それらが当接している面では、組み立てられて一緒になると、湾曲した、又は曲がった形状を有する穴30が形成されるように形作られる。単一のウィック26を、チャンバ22を横切って収容することができるように、類似の穴30が、チャンバ22のそれぞれの側に設けられており、ウィックのそれぞれの端部はリザーバ内にあり、中央部は、前述のように、空気流方向に垂直にチャンバ内に配置された加熱要素24を有する。図示の向きでは、それぞれの穴30は、境界壁28の平面にある穴の端部の開口(断面)がチャンバ22につながり、垂直平面にある反対側の穴の端部の開口(断面)がリザーバ3につながる、湾曲した管状の形状を有する。穴30は、その中央部に実質的に直角の曲がり部を有し、その結果、2つの端部は垂直であることが分かる。この例では、下部剛体28bは、ウィックの水平面より下方外向きに延在してリザーバ3の基部壁3aを画定してから、鉛直方向上向きに転向して環状のリザーバ3のための外壁を画定する。これは単純な構造を提供するが、これらの様々な部品は、これに代えて、様々な別々の構成要素から形成されてもよい。
【0043】
図5Aは、図5の湾曲した穴30の長手方向断面図である。上述のように、穴30は、上部又は第1の剛体28aと下部又は第2の剛体28bの当接された対向する縁の面との間に画定される。穴30は細長く、長手方向軸線Lを有する管状の形態を有する。穴30の長手又は長手方向の範囲の第1の部分はチャンバ22と接続し、穴30の長手又は長手方向の範囲の第2の部分はリザーバ3と接続する。第1の部分は長手方向軸線L1を有し、第2の部分は長手方向軸線L2を有し、この例では、穴30が内部に直角の曲がり部又は転向部を有しているので、2つの長手方向軸線は、互いに対して実質的に90度の角度θになっている。しかしながら、特徴は直角に限定しているわけではない。曲がり部を有する穴は、第1の部分の軸線と第2の部分の軸線との間に、180度より小さい角度θを有してもよい。直角の配置が概ね好ましい場合、その角度は、例えば、80~100度の範囲、又は85~95度の範囲であってもよい。図5の例では、2つの反対側に配置された穴は、同じ形状と曲率を有するが、これは任意選択であり、同じウィックの2つの端部を収容するための2つの穴は、異なる曲がり角(湾曲角)及び/又は異なる曲がり方向を有してもよいし、一方の穴が湾曲し、他方の穴が、図3の例のように、真っ直ぐであってもよい。また、穴は、その長手方向の範囲に沿って2つ以上の湾曲又は曲がり部を備えてもよい。
【0044】
湾曲した又は曲がった穴の形状は、ウィックを、同様に湾曲した又は曲がった向きに収容する。ウィックは、比較的硬い材料から作られている場合、前もってそのような形状に形作られてもよいし、湾曲した穴に嵌めて湾曲した形状を与えられてもよい。
【0045】
湾曲した又は曲がった穴は、液体の流路がより曲がりくねってあまり真っ直ぐでないように作られるので、穴を通ってリザーバから漏れるのを防ぐのを助けることができる。また、システムのより狭い幅方向の範囲に、同じ長さのウィックを収容することができ、したがって、望むならば、システムの外側寸法をより小さくすることができる。また、曲がりが、図5のように、リザーバの基部に向いている場合、ウィック端部は、リザーバ3の基部壁3aのより近くに到達して、リザーバからすべての液体をよりよく吸収することができるが、それでも、加熱要素24を蒸気チャンバ22の中央に配置することができる。したがって、アーチ状のウィックの形状によって提示され、アーチ状又は湾曲した穴の配置によって可能になるいくつかの特徴があり、それらは様々な環境で魅力的になり得る。
【0046】
蒸気供給システムのアトマイザは、液体をリザーバから、前述の例の加熱コイルなどの蒸気発生器に移送するためのウィック又は類似の多孔質要素を備えることを必要としない。液体をリザーバから引き出して、気化のために蒸気チャンバに送出する毛細管作用は、毛細管効果が起きるのに十分小さな寸法の溝、チャネル、開口などである1つ又は複数の毛細管チャネルによって達成することができる。したがって、本明細書で説明される境界壁の穴は、ウィッキング要素を収容するように構成されなくてもよいが、その代わりに、毛細管作用を生じるように大きさのより小さな断面積を有してもよい。このような穴は、説明したように、湾曲していてもよいし、真っ直ぐであってもよい。このような毛細管の穴の動作は、前述の剛体の使用によって高めることができる。製造許容誤差は、より小さな特徴部に対してはより小さくなるので、小さなチャネルを形成するという文脈では、剛体材料によって可能になる穴の形状、大きさ、及び位置の一貫性の改善は価値がある。
【0047】
ここまで論じた例では、1つの又はそれぞれの穴の周囲は、穴の長手に沿うすべての箇所で、当接して固定された剛体の剛体材料によって全部が画定され、囲まれる。用語「周囲」は、穴を囲む側壁の閉じた経路又は通路を記述するように意図されており、この場合、穴は管状の形状であるので、側壁は、穴のボアを取り囲み、画定する。周囲は、長手方向軸線に垂直な平面にある、穴の横断面の境界である。他の例では、剛体材料は、穴の長手の一部分のみの周囲の全範囲を囲んでもよい。別の部分では、非剛体材料の追加の構成要素が、周囲の一部分を画定してもよい。この構成要素は、例えば、弾力性のある材料から形成され、穴の近くの剛体間に配置されたガスケットなどの要素であってもよい。
【0048】
図6は、ガスケットを含む例示的な蒸気チャンバの簡略断面図である。構成要素は、実質的に図5の例と同じように構成されているが、ガスケット36が追加されている。ガスケット36は、穴30を画定する領域を横切る上部剛体28aの当接している面に配置され、穴の幅を超えて延在する。図示のように、ガスケット36は、穴のために意図された容積部内に突出しないように、上部剛体28aの当接する面に形成された凹部29に置かれる。下部剛体28bは、前述のように、上部剛体28aに当接され、穴30の周りの境界領域でガスケット30、及び他のところで上部剛体自体と接触する。
【0049】
図7は、境界壁28の、図6の線VII-VIIに沿う平面図であり、この図からも、ガスケット30の配置を理解することができる。ガスケット30は、上部剛体28aの当接面の凹部を満たす。この場合、凹部は、穴30を画定する下部剛体28bの当接面のチャネルより広い。したがって、接合部34は、穴30から離れたすぐの位置の剛体28aと剛体28bとの間にあり、前述のように、超音波溶接又は接着によって固定されてもよいが、接合部は、下部剛体28bと、穴30にすぐ隣り合うガスケット36との間にある。ガスケット36は、穴30の幅を横切って延在する。したがって、穴30の周囲は、穴30がチャンバ22内に通じる場所において、また、図6に示されたガスケットの内向きの範囲に従って、穴の第1の長手方向部を覆って、ガスケットによって部分的に画定され、且つ剛体材料によって部分的に画定されている。これ以外では、図6で分かるように、穴30の周囲は、剛体の剛体材料によって完全に画定される。代替例では、ガスケット又は他の弾力性のある要素は、蒸気チャンバ内に通じる穴の端部から離れた、穴の長手に沿ったある長手方向位置において、穴の周囲の一部分を画定するように配置されてもよい。
【0050】
シールするために剛体を互いに固定することは、剛体の材料が、2つの剛体間の接合部で接触する領域にわたって実行することができる。ガスケットが、穴の周りの反対側の剛体と接触するところでは、ガスケット材料の弾力性によってシールが可能になる。ガスケットは、例えば、シリコーンから形成されてもよい。ガスケット用の他の適切な材料としては、熱可塑性エラストマー(TPE:thermoplastic elastomer)及び熱可塑性ポリウレタン(TPU:thermoplastic polyurethane)が含まれるが、他の弾力性のある材料を排除するものではない。シリコーン又は類似の弾力性のある圧縮可能な材料が穴の周囲の一部分の周りに存在することは、ウィック24が穴に置かれたときにウィック24の周りをシールする助けになり得る。
【0051】
代替例としては、ガスケットは、穴の幅を超えてさらに、又はずっと遠くまで延在してもよい。実際、ガスケットは、リング形状(円形又は非円形)で、蒸気チャンバを一周する、又はその周囲を囲むように、上部剛体と下部剛体との間に配置されるように延在してもよい。このような場合、上部剛体と下部剛体との間の接合部は、境界壁の内面の周り全部で完全にガスケット材料で満たされ得る。ガスケット材料は、剛体間の液密シールを提供するように働くことができ、その結果、超音波溶接又は接着などによる接合の必要がない。ガスケット材料は、剛体を互いに固定する効果を提供し、その場合、剛体を互いにシールして、溶接、接着などと同じ結果を達成する。ガスケットの外側の範囲を超えて(言い換えれば、リングの外側で)、剛体は、前述のように接触しており、これによって、一貫性のある穴の大きさ、形状、及び位置を安定して達成することができる。ガスケットのシール効果を高めるため、及びガスケットを正しい位置に配置して保持するために、ガスケットは、突出部及び/又は凹部を有して形成されて、剛体の対応する凹部及び/又は突出部と係合してもよい。
【0052】
図8は、図6の例と同様に構成された蒸気チャンバの断面図で、線VIII-VIIIから穴30の方を見た図である。ウィック及び加熱要素は、説明を明確にするために取り除かれている。ガスケット36はリングの形態であり、蒸気チャンバ22の全周囲の周りを延在し、また、内側を向くリング面が境界壁28の一部分を形成するように下部剛体28bの頂部と上部剛体28aの基部との間に挟まれ、2つの剛体28a、28bの間でシールを生成する。ガスケット36の上面及び下面は、上に形成された突出特徴部38を有し、これらの特徴部は、リング形状の周りを連続していてもよいし、不連続であってもよい。ガスケット36がなければ当接する上部及び下部剛体28a、28bの向かい合う面は、境界壁が組み立てられたときに、ガスケットの突出部38の形状と合って突出部を受け入れる凹部40を備え、その結果、3つの部品は互いに係合する。突出部38と凹部40とは反転形状であってもよい、及び/又は、異なる形状及び配置であってもよい。
【0053】
形状係合、ラッチング(latching)、又はクリッピング(clipping)で協働する面の特徴部もまた剛体間に設けられて、ガスケットの可能な圧縮を含めて、剛体をより確実に又はしっかりと定位置に保持することによって、剛体を互いに固定して、ガスケットのシール効果を強化することを助けることができる。このような構成は、溶接又は接着の代替策として用いることができる。次いで、剛体は、協働する特徴部間での「スナップ嵌め」又はクリッピング作用を達成するように、互いに押すだけで組み立てることができる。この手法によって非常にしっかりとした当接を達成することができる場合、溶接、接着、又はガスケットの必要なしに、このような協働する特徴部の係合のみに頼って剛体を互いにシールすることは可能である。
【0054】
ガスケットは、ガスケットを受け入れるような形状のどちらかの剛体の向かい合う面の凹部にガスケットを配置し、又は、向かい合う面にガスケットを単に置き、次いで、他方の剛体を当接位置に持ってくることによって剛体とともに組み立てることができる。
【0055】
図9は、組立前の、例示的な上部剛体及びガスケットの外観斜視図である。上部体28aは、蒸気供給システムの他の構成要素と協働するように意図された特徴部を有する、詳細に成形された外側形状を有する。全体的には、これは、蒸気チャンバ22の一部を画定するように、頂部及び底部で開いた中央貫通空洞を有する概ね環状の形状を有する。ガスケット36は、上部剛体28aによって画定される蒸気チャンバ22の境界壁に対応する中央開口を有するリング状の形状である。ガスケット36は上向きに突出した連続した縁38を有し、これは、図8に示されるように、ガスケットが上部剛体に押し込められたときに、上部剛体28aの対応する凹部内に係合するための表面特徴部である。
【0056】
図10は、組立前の、別の例示的な上部剛体及びガスケットの外観斜視図である。上部体28aは、図9の例と同じ外側形態を有する。ガスケット36もまた、プルタブの機能を提供する2つの脚部42が追加されていることを除けば、図9の例と同じ形態を有する。脚部42は、上部剛体28aの位置に向けて、ガスケット36の上面の両側に設けられ、それぞれ、同じ方向に沿って上部剛体28aの深さより長い長手を有する、長く細い、実質的に真っ直ぐな延在部の形態を有する。上部剛体は、脚部42の位置と合わせられた、この同じ方向に沿う2つの狭い貫通穴(見えていない)を有する。組立のために、脚部42は、貫通穴を通して押され又は引っ張られ、脚部42の端部をつかんで、上部剛体28aの向かい合う面の意図される位置にガスケット36を完全に引っ張るように用いることができる。次いで、脚部42は上部剛体の上方にかなり突出し、それらの上部は事実上無駄な材料であり、切り離す、又は引きちぎることができる。ガスケット36及び脚部42は、シリコーン又は他の弾力性のある材料から一体部品として成形することができる。代替策として、1つの脚部42又は3つ以上の脚部42が設けられてもよい。
【0057】
ガスケット36を上部剛体28aに対してしっかりと係合させるために、それぞれの脚部42は、ガスケット36が上部剛体28aに組み入れられたときに対応する貫通穴の遠い方の端部のすぐ上になる位置に拡幅部44を含んでもよい。拡幅部44は貫通穴より広い幅を有するが、ガスケット36を構成する弾性力のある材料の圧縮性によって、拡幅部は押しつぶされて体積が小さくなって、脚部42のより細い部分に続いて、貫通穴の中を引っ張られて通ることができる。拡幅部44が貫通穴の遠い方の端部を出ると、貫通穴より広い元の幅に拡がり、したがって、貫通穴を通って逆方向に戻ることを妨げることによって脚部を定位置に「係止する」。このようにして、ガスケットはまた、定位置に係止され、その意図される位置で上部剛体の向かい合う面に当たって保持される状態になる。次いで、余った脚部の材料は、拡幅部44の上方で除去される。
【0058】
図10Aは、上部剛体28aの定位置に取り付けられたガスケット36の簡略断面図であり、ここで、脚部42は、拡幅部44が貫通穴46の遠い方の端部から出て、貫通穴46の幅より広い本来の幅に戻るまで、上部剛体28aの貫通穴46を通って挿入される。ガスケット36は、必要に応じて上部剛体28aと接触している。拡幅部44の上方にある脚部42の上部42aは除去することができる。
【0059】
図11は、組立前の、別の例示的な上部剛体及びガスケットの外観斜視図である。上部体28aは、図9の例と同じ外側形態を有する。ガスケット36もまた、組み立てられたシステムにおいて、蒸気チャンバによって占められるように意図された中央空所を塞ぐ中央部36aを含んでいることを除いて、図9の例と同じ形態を有する。したがって、ガスケット36は、意図されたリング形状ではなくて平面形状を有し、最終的に意図されたリング形状のガスケットを提供するために用いられるガスケットの前駆体と考えることができる。中実の平面形状は、ガスケット36の表面積を増大させ、また、その剛性を増大させ、可撓性を減少させる。これらの特性によって、境界壁を組み立てるとき、ガスケット36をより容易に上部剛体28aに挿入することができる。ガスケットが定位置にあり、下部剛体も付け加えられ得るとき、ガスケット36の中央部36aは、切断、切り落とし、又はパンチによってガスケット材料の周囲のリングから除去される。
【0060】
さらなる代替例では、剛体のうちの少なくとも1つが成形に適切な材料から形成される場合、ガスケットは、2ショット(又は2ステップ又は2ステージ)射出成形プロセスで剛体に組み付けることができる。2ショット成形は、単一の複雑な形状の品を2つの異なる材料、典型的にはポリマーから成形することを可能にする。本件では、剛体は、プロセスの第1のショットで第1の材料から成形されて、ガスケットを収容するための任意の凹部を含む必要な形状を生成することができる。次いで、ガスケットのための第2の材料が、プロセスの第2のショットで付け加えられ、適切な位置で、すでに形成された剛体上に直接成形することによって形成される。適切な相性の良い材料では、これは、剛体とガスケット(ガスケット材料が固まると形成される)との間の強い接合を生むことができる。したがって、剛体とガスケットとの間の漏れの可能性はない。この手法の他の利点は、あらゆるガスケットと剛体との組合せが同じ型で形成され、本質的に同一であるので、構成要素間の品質の一貫性が高いこと、及び2ショット成形が迅速なプロセスであり得るので、製造時間が短くなり得ることを含む。したがって、ガスケットは、剛体に対して確実で正確に配置される。次いで、さらなる1つ又は複数の剛体がウィック(あれば)とともに、組み合わされた成形品に組み付けられて完全な境界壁構成要素になる。
【0061】
上で詳細に説明した例はすべて、ワイヤコイルの形態の電気加熱要素を利用した。しかしながら、本開示はこの点について限定しているわけではない。他のワイヤ形状、薄板金属から切断されたものなどの平面金属形状、基体(ウィッキング要素の場合がある)に印刷若しくは堆積された微量の金属若しくは他の導電材料、又はセラミックなどの他の導電材料から形成された要素を含む他の電気加熱要素が使用されてもよい。電気加熱要素は、誘導によって、又は抵抗電流によって加熱するように構成されてもよい。液滴を生成することができる振動する孔あき板など、加熱以外の手段によって動作可能な蒸気発生器が代わりに使用されてもよい。いずれの構成でも、蒸気発生器は、ウィック又は類似の多孔質要素を有する、又は有しない1つ又は複数の穴を経てリザーバからエアロゾル化可能な基体材料を受け取ることができる。
【0062】
図5は、アーチなど、曲がった形状又は湾曲した形状を有するウィックを収容することができる非線形の穴の概念を紹介した。論じたように、この構成に関係していくつかの魅力的な特徴がある。これらの特徴のうちの少なくともいくつかは、剛体から境界壁を形成する必要なしに達成することができる。したがって、本開示はまた、リザーバから蒸気チャンバまで境界壁を通る流体流れ穴の一般的な概念を対象とし、ここでは、この穴は、直線に沿っていない長手方向軸線を有する。図5に関して上で論じた湾曲した穴の様々な特徴は、穴を画定する境界壁に対してなんら特定の要件なしにこの概念に適用可能である。境界壁は、剛体材料から作る必要はない、又は、一部分のみ剛体材料から作られてもよい。境界壁は、互いに固定された又はシールされた剛体を備えてもよいし、備えなくてもよい。
【0063】
本明細書で説明した様々な実施形態は、特許請求される特徴の理解と教示を助けるためだけに提示されている。これらの実施形態は、実施形態の単なる代表的な例として提供され、すべての実施形態を網羅するものでもなければ、他の実施形態を排除するものでもない。本明細書で説明した利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって規定されるように本発明の範囲を限定するものと考えるべきではなく、又は特許請求の範囲に対する均等物を制限するものと考えるべきではなく、特許請求される本発明の範囲から逸脱することなく他の実施形態を利用し、変形を施すことができることを理解されたい。本発明の様々な実施形態は、本明細書で詳細に説明されたもの以外の、開示された要素、構成要素、特徴、部品、ステップ、手段などの適切な組合せを適切に含み、それらのみから構成され、又は実質的にそれらから構成されてもよい。さらに、本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性のある他の発明を含むことができる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図5A
図6
図7
図8
図9
図10
図10A
図11