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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】防汚塗料組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 171/00 20060101AFI20230920BHJP
   C09D 5/16 20060101ALI20230920BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20230920BHJP
   C09D 7/65 20180101ALI20230920BHJP
   C09D 183/12 20060101ALN20230920BHJP
【FI】
C09D171/00
C09D5/16
C09D7/63
C09D7/65
C09D183/12
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019181707
(22)【出願日】2019-10-01
(65)【公開番号】P2021055024
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000227342
【氏名又は名称】日東化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】和久 英典
【審査官】澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-524949(JP,A)
【文献】特開昭63-254129(JP,A)
【文献】特開2000-144097(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0004035(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00-10/00,101/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコキシシリルアルキル基がポリエーテル鎖の末端の酸素原子に結合して構成されるアルコキシシリルアルキル末端変性ポリエーテル(A)と、ブリードオイル(B)を含有し、
前記ブリードオイル(B)の含有量は、前記ポリエーテル(A)100重量部に対して10~200重量部である、防汚塗料組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の防汚塗料組成物であって、
前記アルコキシシリルアルキル基は、ジアルコキシシリルアルキル基又はトリアルコキシシリルアルキル基であって、前記アルキル基は、炭素数が1~6の直鎖アルキル基である、防汚塗料組成物。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の防汚塗料組成物であって、
さらに、防汚薬剤を含有する、防汚塗料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中で使用または存在する物に水棲汚損生物が付着し育成するのを長期にわたって防止するための防汚塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
海、河川、湖沼等の水中には、フジツボ、ホヤ、セルプラ、ムラサキイガイ、カラスガイ、フサコケムシ、アオノリ、アオサ等の水棲汚損生物が多数生息している。
従来から、船舶;漁網類(養殖網、定置網等)、漁網付属具等の漁業具;突堤、テトラポット、港湾施設、ブイ、パイプライン、橋梁、発電所の導水管、海底基地、海底油田掘削設備等の水中構造物等の水中で使用または存在する物に上記水棲汚損生物が付着するという問題がある。具体的に、船舶等が長期間にわたって水中に浸っていると、水との接触部分に上記水棲汚損生物が付着し生育して、船速の低下、水流量の低下等を引き起こし、経済的および資源的に大きな損失をもたらすことが知られている。そこで、従来から水棲汚損生物の付着を防止するため、防汚塗料を塗布することにより上記問題の解消を図る検討がされてきた。
【0003】
特許文献1には、アルコキシシリルアルキルカルバメートが末端に結合したポリエーテルを含む防汚塗料組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】WO2019/115020
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、本発明者の検討によれば、特許文献1の防汚塗料組成物を用いて形成した防汚塗膜は、耐水性が良好でないことが分かった。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、耐水性に優れた防汚塗膜を形成可能な防汚塗料組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、アルコキシシリルアルキル基がポリエーテル鎖の末端の酸素原子に結合して構成されるアルコキシシリルアルキル末端変性ポリエーテル(A)を含有する防汚塗料組成物が提供される。
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、アルコキシシリルアルキル末端変性ポリエーテルを含む防汚塗料組成物が上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について詳細を説明する。
【0010】
1.防汚塗料組成物
本発明の防汚塗料組成物は、アルコキシシリルアルキル基がポリエーテル鎖の末端の酸素原子に結合して構成されるアルコキシシリルアルキル末端変性ポリエーテル(A)を含有する。
【0011】
1-1.アルコキシシリルアルキル末端変性ポリエーテル(A)
ポリエーテル(A)は、酸素原子とアルキレンを交互に繰り返して結合させることによって構成されるポリエーテル鎖の末端の酸素原子にアルコキシシリルアルキル基が結合することによって構成される。
【0012】
ポリエーテル鎖は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。ポリエーテル鎖は、好ましくは、化学式(2)で表される繰り返し構造を備える。
【化2】
【0013】
アルコキシシリルアルキル基は、ポリエーテル鎖が直鎖の場合には両末端に結合していることが好ましく、ポリエーテル鎖が分岐鎖の場合には全ての末端に結合していることが好ましい。アルコキシシリルアルキル基は、ジアルコキシシリルアルキル基又はトリアルコキシシリルアルキル基であることが好ましく、アルキル基は、直鎖アルキルであることが好ましく、炭素数1~6(好ましくは2~4)であることが好ましく、プロピルであることがさらに好ましい。アルコキシシリルアルキル基は、化学式(1)で表されることが好ましい。
【化1】
[一般式(1)中、*は結合部であり、Xは、炭素数1~6の直鎖又は分岐アルキレンであり、mは0又は1であり、nは1又は2であり、aは2又は3である。]
【0014】
アルコキシシリルアルキル基は、*の部位において、ポリエーテル鎖の末端の酸素原子に結合する。Xの炭素数は、具体的には例えば、1、2、3、4、5、6であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0015】
ポリエーテル(A)の市販品としては、例えば、MSポリマーS203H、MSポリマーS303H、MSポリマーS810、MSポリマーS202、MSポリマーSAX220、MSポリマーSAX400、MSポリマーSAX510、MSポリマーSAX530、MSポリマーSAX580、MSポリマーSAX590(以上、カネカ社製)、GENIOSIL STD-E15、GENIOSIL STD-E35、GENIOSIL STD-E10、GENIOSIL STD-E30、GENIOSIL XB 502、GENIOSIL XM20(以上、Wacker社製)、SPUR+1015LM、SPUR+1050MM、SPUR+3100HM、SPUR+3200HM(以上、MOMENTIVE社製)、エクセスターES-S2410、エクセスターES-S2420、エクセスターES-S3430、エクセスターES-S3630、(以上、AGC社製)等が挙げられる。
【0016】
ポリエーテル(A)は、水分(空気中の水分であってもよい)の存在下、加水分解及び縮合反応してゴムを形成する。具体的に、上記ポリエーテル(A)中のアルコキシシリル基が加水分解したものが縮合反応することによりポリエーテルゴムを形成し、被膜となる。
かかる縮合反応における反応温度は、通常80℃以下、好ましくは50℃以下である。
【0017】
ポリエーテル(A)の重量平均分子量は、400~1,000,000が好ましく、2,000~150,000がより好ましく、4,000~80,000がさらに好ましい。異なる重量平均分子量のものを二種以上で併用して用いることもできる。
【0018】
1-2.ブリードオイル(B)
ブリードオイル(B)は、本発明の組成物により形成した塗膜表面に浮き出して防汚性能を付与するための成分である。
ブリードオイル(B)としては、具体的には、シリコーンオイル、アクリルポリマーとジメチルポリシロキサンからなるグラフト共重合体、パーフルオロポリエーテルオイル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油などが挙げられる。これら化合物は一種単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。
【0019】
上記シリコーンオイルとしては、シリコーンゴム系防汚塗料において従来から使用されているシリコーンオイルを使用できる。
上記シリコーンオイルの粘度が20~100,000mm・sが好ましく、50~10,000mm・sがより好ましい。
【0020】
また、シリコーンオイルはストレートシリコーンオイルと変性シリコーンオイルに区別されるが、本発明の組成物では、どちらも使用可能である。
ストレートシリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル等が挙げられる。これらのストレートシリコーンオイルのいずれも使用可能であるが、特に、メチルフェニルシリコーンオイル等が好ましい。
ストレートシリコーンオイルの市販品としては、KF-99、KF-9901、KF-50、KF-53、KF-54、KF-56、HIVAC-F-5、X-21-3265、KF-96、(以上、信越化学工業社製品)、DOWSIL 200Fluid、DOWSIL 510Fluid、DOWSIL SH510Fluid、DOWSIL SH550Fluid、DOWSIL 550Fluid、DOWSIL SH710 Fluid(以上、ダウ・コーニングシリコーン社製品)、Bluesil FLD47V100、Bluesil FLD47V500、Bluesil FLD47V1000、Bluesil FLD550(以上、ブルースター・シリコーンズ社製品)、TSF451、TSF4300、TSF437、TSF400、TSF401、TSF484、TSF433、TSF431(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製品)等が挙げられる。
【0021】
変性シリコーンオイルは、変性の種類により、アルキル・アラルキル変性、アミノ変性、カルボキシル変性、エポキシ変性、ポリエーテル変性、アルキル・アラルキル・ポリエーテル変性、ポリグリコシド変性、ポリグリセリン変性、ポリグリセリン・アルキル変性、カルビノール変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、高級脂肪酸アミド変性、親水性特殊変性、高級アルコキシ変性、高級脂肪酸含有変性、フッ素変性等に分類されることがある。これらの変性シリコーンオイルのいずれも使用可能であるが、特に、アミノ変性、アルキル・アラルキル変性、エポキシ変性、ポリエーテル変性またはアルキル・アラルキル・ポリエーテル変性のシリコーンオイル等が好ましい。
【0022】
アルキル・アラルキル変性シリコーンオイルの市販品としてKF-410、KF-412、KF-414、KF-7235B、X-22-7322、X-22-1877(信越化学工業社製)、TSF4421、XF42-334、XF42-B3629(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製品)等が挙げられ、
【0023】
アミノ変性シリコーンオイルの市販品としてDOWSIL BY 16-849Fluid、DOWSIL 16-853 U Fluid(ダウ・ケミカル社製品)、FZ3712、AFL-40(日本ユニカー社製品)、KF-859、KF-861、KF-865、X-22-161、KF-8008、X-22-9409、KF-8001(以上、信越化学工業社製)、TSF4700、TSF4701(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製品)等が挙げられ、
【0024】
カルボキシル変性シリコーンオイルの市販品としてDOWSIL BY 16-750Fluid(ダウ・ケミカル社製品)、FXZ3707(日本ユニカー(社)製品)、X-22-3701E、X-22-3710、X-22-162C、(信越化学工業社製)等が挙げられ、
【0025】
エポキシ変性シリコーンオイルの市販品としてDOWSIL BY 16-870Fluid、DOWSIL BY 16-839Fluid(ダウ・ケミカル社製品)、L-9300、T-29(日本ユニカー社製品)、KF-101、KF-102、KF-105(信越化学工業社製品)、TSF4730、YF3965(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製品)等が挙げられ、
【0026】
ポリエーテル変性シリコーンオイルの市販品としてDOWSIL SH28 Paint Additive、DOWSIL SF8428Fluid、DOWSIL SF8427Fluid、DOWSIL FZ-2104、DOWSIL FZ-2164、DOWSIL FZ-2191、DOWSIL FZ-2101、DOWSIL BY 16-036(ダウ・ケミカル社製品)、KF-945、KF-6015、KF―6017、KF-6020、KF-6123、X-22-4515、X-22-4272(信越シリコーン社製品)、TSF4440、TSF4441、TSF4445、TSF4446、TSF4452、TSF4460(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製品)、BELSIL OW 1500、BELSIL DMC 6038、BELSIL DMC 6031(以上、ワッカー・ケミー社製)等が挙げられ、
【0027】
アルキル・アラルキル・ポリエーテル変性シリコーンオイルの市販品としてDOWSIL SF8416Fluid(ダウ・ケミカル社製品)、X-22-2516、X-22-6548(信越シリコーン社製品)、TSF4450(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製品)等が挙げられ、
【0028】
ポリグリコシド変性シリコーンオイルの市販品としてBELSIL SPG 128 VP(ワッカー・ケミー社製)等が挙げられ、
【0029】
ポリグリコシド・アルキル変性シリコーンオイルの市販品としてBELSIL WO 5000(ワッカー・ケミー社製)
【0030】
ポリグリセリン変性シリコーンオイルの市販品としてKF-6100、KF-6104、KF-6106(以上、信越シリコーン社製品)等が挙げられ、
【0031】
ポリグリセリン・アルキル変性シリコーンオイルの市販品としてKF-6105(信越シリコーン社製品)等が挙げられ、
【0032】
カルビノール変性シリコーンオイルの市販品としてX-22-4015、X-22-160AS、KF-6001、KF-6002、KF-6003、X-22-170DX、X-22-176(以上、信越化学工業社製品)、等が挙げられ、
【0033】
高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイルの市販品としてX-22-715(信越シリコーン社製品)、TSF410、TSF411(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製品)、
高級脂肪酸アミド変性シリコーンオイルの市販品としてKF-3935(信越シリコーン社製品)、等が挙げられる。
【0034】
アクリルポリマーとジメチルポリシロキサンからなるグラフト共重合体の市販品としてKP-578、KP-541、KP-543、KP-545、KP-550、KP-545L(以上、信越シリコーン社製品)等が挙げられる。
【0035】
フッ素変性シリコーンオイルの市販品としてFL-5、X-22-821、FL-100(信越シリコーン社製品)等が挙げられる。
【0036】
上記パーフルオロポリエーテルオイルの市販品としては、FLUOROLINK E10-H、FLUOROLINK 5147X、FLUOROLINK S10、FLUOROLINK MD700、FLUOROLINK AD1700、FLUOROLINK P54、FLUOROLINK TLS 5018、FLUOROLINK F10、FLUOROLINK P56、FLUOROLINK A10P、FLUOROLINK PA100E、FOMBLIN HC/04、FOMBLIN HC/25、FOMBLIN HC/R、FOMBLIN HC/OH-1000、FOMBLIN HC/SA-18(以上、ソルベイ社製品)等が挙げられる。
【0037】
上記ポリオキシエチレン脂肪酸エステルの市販品としては、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル(商品名:NIKKOL MYO-6V、日光ケミカルズ社製)、ポリオキシエチレンラウリン酸エステル(商品名:NIKKOL MYL-10、日光ケミカルズ社製)、ジオレイン酸PEG-2(商品名:EMALEX DEG-di-O、日本エマルション社製)、ジオレイン酸PEG-6(商品名:EMALEX 300di-O、日本エマルション社製)、ポリオキシエチレン(30)ラノリン(商品名:Aqualose L30、Croda社製)、ポリオキシエチレン(75)ラノリン(商品名:PEG-75Flake、NKケミカル社製)、ポリオキシエチレン(40)ヒマシ油(商品名:NIKKOL CO-40、日光ケミカルズ社製)、ポリオキシエチレン(50)水添ヒマシ油(商品名:NIKKOL CO-20、日光ケミカルズ社製)、等が挙げられる。
【0038】
本発明の組成物中における上記ブリードオイル(B)の含有量は限定的ではないが、上記ポリエーテル(A)100重量部に対して10~200重量部が好ましく、50~150重量部がより好ましい。該ブリードオイル(B)の含有量が10重量部未満の場合、長期間、防汚効果を発揮できないおそれがある。該ブリードオイル(B)の含有量が200重量部を越える場合、得られる塗膜の強度が低下し、防汚性を持続できないおそれがある。
【0039】
1-3.その他の添加剤等
本発明の防汚塗料組成物には、必要に応じて、硬化触媒、充填剤、防汚薬剤、溶剤、ポリエーテル(A)以外の塗膜形成成分、可塑剤、溶出調整剤、着色顔料、体質顔料、防錆顔料等の顔料類、脱水剤、タレ止め剤、シランカップリング剤等を含有させていてもよい。
【0040】
<硬化触媒>
前記硬化触媒としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズビス(アセチルアセトネート)等の有機スズ化合物、
テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等の有機チタン酸エステル;ジイソプロポキシキシビス(アセチルアセトナート)チタン、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン等の有機チタンキレート化合物
;アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等の有機アルミニウム化合物
ジルコニウムテトラ(アセチルアセトナート)、ジルコニウムテトラブチレート等の有機ジルコニウム化合物、等の金属硬化触媒、
1-アミノ-2-エチルヘキサン、3-(トリメトキシシリル)プロピルアミン、N-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N, N, N', N'-テトラメチル-N''-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]グアニジン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン等のアミン化合物
等が挙げられる。これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0041】
<充填剤>
本発明の組成物には、流動性、チクソトロピー性をコントロールする目的あるいは、塗膜の機械的強度を向上させる目的で、さらに無機質充填剤及び/又は有機質充填剤を含有させてもよい。
前記無機質充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、コロイド炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、バライト粉、酸化チタン、焼成カオリン、アミノシランで表面処理した焼成カオリン、けいそう土、水酸化アルミニウム、微粒状アルミナ、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、ベンガラ、酸化鉄、煙霧状金属酸化物、石英粉末、タルク、ゼオライト、ベントナイト、ガラス繊維、炭素繊維、微粉マイカ、溶融シリカ粉末、シリカ微粉末、煙霧状シリカ、沈降性シリカ、湿式シリカ、乾式シリカあるいはこれらをメチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクラメチルシクロテトラシロキサン等の有機ケイ素化合物で表面処理した疎水性フュームドシリカ、フタロシアニンブルー、カーボンブラック等が挙げられる。
前記有機質充填剤としては、例えば、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリルシリコーンなどの合成樹脂粉末等が挙げられる。
これらの無機質充填剤及び/又は有機質充填剤は一種単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。
【0042】
本発明の組成物中における無機質充填剤の含有量は、ポリエーテル(A)100重量部に対して通常1~100重量部、好ましくは2~60重量部である。この含有量は、具体的には例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0043】
<防汚薬剤>
本発明の組成物には、更に、防汚薬剤を含んでいてもよい。防汚薬剤としては、例えば無機薬剤及び有機薬剤が挙げられる。
【0044】
無機薬剤としては、例えば、亜酸化銅、チオシアン酸銅(一般名:ロダン銅)、銅粉、炭酸銅、塩化銅、銅ニッケル合金、黄銅、塩化銀、硝酸銀等が挙げられる。この中でも特に、亜酸化銅とロダン銅が好ましく、亜酸化銅はグリセリン、ショ糖、ステアリン酸、ラウリン酸、リシチン、鉱物油などで表面処理されているものが、貯蔵時の長期安定性の点でより好ましい。
【0045】
有機薬剤としては、例えば、2-メルカプトピリジン-N-オキシド銅(一般名:銅ピリチオン)、2-メルカプトピリジン-N-オキシド亜鉛(一般名:亜鉛ピリチオン)、ジンクエチレンビスジチオカーバメート(一般名:ジネブ)、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(一般名:ジラム)、N,N'‐エチレンビス(ジチオカルバミン酸)マンガンとN,N'‐エチレンビス(ジチオカルバミン酸)亜鉛の錯化合物(一般名:マンコゼブ)、ピリジントリフェニルボラン、4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-3-イソチアゾロン(一般名:シーナイン211)、3,4-ジクロロフェニル-N-N-ジメチルウレア(一般名:ジウロン)、2-メチルチオ-4-t-ブチルアミノ-6-シクロプロピルアミノ-s-トリアジン(一般名:イルガロール1051)、2-(p-クロロフェニル)-3-シアノー4-ブロモ-5-トリフルオロメチルピロール(一般名:トラロピリル)、(±)4-[1-(2,3-ジメチルフェニル)エチル]-1H-イミダゾール(一般名:メデトミジン)、N-{[ジクロロ(フルオロ)メチル]スルファニル}-N',N'-ジメチル-N-p-トリルスルファミド(一般名:トリルフルアニド)、N-(ジクロロフルオロメチルチオ)-N-(ジメチルアミノスルホニル)アニリン(一般名:ジクロフルアニド)、N-[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]-8-メチル-6-ノネンアミド(一般名:カプサイシン)、5,10-ジヒドロ-5,10-ジオキソナフト[2,3-b]-1,4-ジチ-イン-2,3-ジカルボニトリル(一般名:ジチアノン)、アベルメクチンBla、アベルメクチン Blb等が挙げられる。
これらの防汚薬剤は1種又は2種以上併用して使用できる。
【0046】
<溶剤>
本発明の組成物は、通常、溶剤(好ましくは有機溶剤)に溶解及至分散させておく。これにより、塗料として好適に用いることができる。溶剤としては、例えば、キシレン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、酢酸ブチル、酢酸2-エトキシエチル、プロパノール、イソアミルアルコール、n-ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-3メチル-1-ブタノール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、芳香族炭化水素、脂肪族系炭化水素、ホワイトスピリット、脂環式炭化水素系溶剤、ナフテン系炭化水素、ミネラルスピリット、脂肪族ソルベントナフサ、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、グリコール系エステル等が挙げられる。
これら有機溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0047】
<ポリエーテル(A)以外の塗膜形成成分>
前記ポリエーテル(A)以外の塗膜形成成分としては、シリコーン変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、トリアルキルシリル(メタ)アクリレート共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、生分解性バイオポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、マレイン酸系共重合樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリブテン樹脂、ウレタン樹脂、ウレタンゴム、ポリエステル変性シリコーン、シリコーンゴム、ニトリルゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、ポリアミド樹脂、ポリブタジエン樹脂、両末端水酸基ポリブタジエン、スチレン・ブタジエン共重合樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、石油系樹脂、アルキッド樹脂、ビニルエーテル・塩化ビニル共重合樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ゴム、塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。これらは単独又は2種以上で使用できる。
【0048】
<可塑剤>
前記可塑剤としては、例えば、燐酸エステル類、フタル酸エステル類、アジピン酸エステル類、セバシン酸エステル類、エポキシ化大豆油、アルキルビニルエーテル重合体、ポリアルキレングリコール類、t-ノニルペンタスルフィド、ワセリン、ポリブテン、トリメリット酸トリス(2-エチルヘキシル)、シリコーンオイル、塩素化パラフィン、パラフィン等が挙げられる。これらは単独又は2種以上で使用できる。該可塑剤の含有量は、ポリエーテル(A)100重量部に対して、通常、約20重量部以下、好ましくは1~10重量部である。
【0049】
<溶出調整剤>
前記溶出調整剤としては、例えば、ロジン、ロジン誘導体、ナフテン酸、シクロアルケニルカルボン酸、ビシクロアルケニルカルボン酸、バーサチック酸、トリメチルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸、及びこれらの金属塩等の、モノカルボン酸及びその塩、又は前記脂環式炭化水素樹脂、クマロン樹脂が挙げられる。これらは単独又は2種以上で使用できる。
前記ロジン誘導体としては、水添ロジン、不均化ロジン、マレイン化ロジン、ホルミル化ロジン、重合ロジン、ロジンエステル、水添ロジンエステル等を例示できる。
この中でもロジン、ロジン誘導体、ナフテン酸、バーサチック酸、トリメチルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸、又はこれらの金属塩が好ましい
【0050】
<脱水剤>
前記脱水剤としては、ゼオライト、無水石膏、半水石膏(NP3D、ノリタケカンパニー社製)、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、エチルトリイソプロペノキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン等が挙げられる。これらは単独又は2種以上で使用できる。
【0051】
<タレ止め剤>
前記タレ止め剤としては、脂肪酸アマイド、酸化ポリエチレン、シリカ、フュームドシリカ等が挙げられる。これらは単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0052】
2.防汚塗料組成物の製造方法
本発明の防汚塗料組成物は、ポリエーテル(A)、必要に応じてブリードオイル(B)、架橋剤、無機質充填剤、防汚薬剤、有機溶媒、可塑剤、脱水剤等をペイントシェイカー、ミキサー、ディゾルバーなどの高速分散機、超音波ホモジナイザ、ボールミル、遊星ボールミル、パールミル、湿式ジェットミル、グラインダーなどを用いて混合分散することにより調製できる。
【0053】
本発明の防汚塗料組成物は1液型の塗料あるいは2液型以上の多液型の塗料として提供されてもよい。2液型以上の多液型の場合、各混合物は1または複数の成分を含有しており、別個の缶などの容器に包装され、貯蔵保管される。例えば、1種類またはそれ以上のポリエーテル(A)を含む混合物をa液とし、1種類またはそれ以上の硬化触媒を含む混合物をb液とすると、本発明の防汚塗料組成物は、a液およびb液を混合することで調整される。
【0054】
3.防汚処理方法
本発明の防汚処理方法は、上記防汚塗料組成物を用いて被塗膜形成物の表面に防汚塗膜を形成することを特徴とする。 本発明の塗料組成物は空気中の水分を吸収して徐々に硬化が進行するので使用直前に調製し、調製後、なるべく早く塗装することが好ましい。
被塗膜形成物としては、船舶;漁網類(養殖網、定置網等)、漁網付属具等の漁業具;突堤、テトラポット、港湾施設、ブイ、パイプライン、橋梁、発電所の導水管、海底基地、海底油田掘削設備等の水中構造物等が挙げられる。
本発明の防汚塗膜は、上記防汚塗料組成物を被塗膜形成物の表面(全体または一部)に塗布することにより形成できる。
該防汚塗料組成物の塗装は、それ自体既知の手段により、1回の塗布によりまたは複数回塗り重ねて行うことができる。
塗布方法としては、例えば、ハケ塗り法、スプレー法、ディッピング法、フローコート法、スピンコート法等が挙げられる。これらは、1種または2種以上を併用して行ってもよい。
塗布後、水分(例えば空気中の水分)を吸収して硬化が進行し、本発明の防汚塗膜が形成される。硬化は、常温(25℃)でも進行するが、例えば約80℃程度までの温度に加熱することにより硬化を促進させることができる。
【0055】
4.防汚塗膜および塗装物
本発明の防汚塗膜は、上記本発明の組成物を用いて形成できる。
本発明の防汚塗膜の厚みは、被塗膜形成物の種類等に応じて適宜設定すればよい。通常1回の塗装当たり30~400μm、好ましくは30~200μmを複数回塗装した後、硬化後の膜厚が100~1000μmとなるのが適当である。
本発明の塗装物は、前記防汚塗膜を表面に有する。本発明の塗装物は、前記防汚塗膜を表面の全体に有していてもよく、一部に有していてもよい。
本発明の塗装物は、継続的に防汚効果を発揮できるため、上記船舶(特に船底)、漁業具、水中構造物等として好適に使用できる。
【実施例
【0056】
以下に実施例等を示し本発明の特徴とするところをより一層明確にする。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0057】
1.共重合体溶液の製造例
<製造例1(共重合体溶液P1の製造)>
温度計、冷却器、攪拌装置及び滴下ロートを備えた四ツ口フラスコに、キシレン(エチルベンゼン含有)210gおよびn-ブタノール50g(初期溶媒)を仕込み、窒素ガスを導入し、攪拌しながら100℃を保持した。そこへ、アクリル酸2-エチルヘキシル7g、アクリル酸イソノニル7g、アクリル酸イソデシル7g、アクリル酸2-プロピルヘプチル7g、アクリル酸イソステアリル7g、アクリル酸n-ブチル7g、アクリル酸ラウリル7g、メタクリル酸ラウリル7g、メタクリル酸ラウリルとメタクリル酸トリデシル混合物7g、メタクリル酸メチル63g、スチレン7g、酢酸ビニル7g、アクリル酸テトラヒドロフルフリル14g、アクリル酸2-メトキシエチル70g、メタクリル酸2-メトキシエチル35g、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート21g、アクリル酸2-(2-エトキシエトキシ)エチル21g、トリイソプロピルシリルメタクリレート350g、トリイソプロピルシリルアクリレート7g、シリコーン変性アクリレート(Mn=1000)35g、シリコーン変性アクリレート(Mn=10000)7g、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン21g、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート7.8g(初期添加)、キシレン(エチルベンゼン含有)30gの混合液を100℃で保持しながら3時間かけて滴下した。その後、100℃で1時間攪拌を行った後、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート0.3g(後添加)を1時間毎に3回添加し、さらに同温度で2時間攪拌を行った後、キシレン(エチルベンゼン含有)10g(希釈溶媒)を添加し室温に冷却し、共重合体溶液P1を得た。P1の加熱残分及びMwを表1に示す。
【0058】
<製造例2、3(共重合体溶液P2、P3の製造)>
表1に示す単量体、重合開始剤及び溶媒を用いて、各反応温度条件下、製造例1と同様の操作で重合反応を行うことにより共重合体溶液P2、P3を得た。P2、P3の加熱残分、Mwを表1に示す。表中の数値は質量%である。
【0059】
【表1】
【0060】
キシレン(エチルベンゼン含有):試薬、エチルベンゼン5~70重量%含有、東京化成工業社製
メタクリル酸ラウリルとメタクリル酸トリデシル混合物:(商品名「SLMA」、三菱ケミカル社製)
メトキシポリエチレングリコールメタクリレート:試薬、Sigma-Aldrich社製、Mn=約500
シリコーン変性アクリレート(Mn=1000):商品名「サイラプレーン FM-0711」、JNC社製
シリコーン変性アクリレート(Mn=10000):商品名「サイラプレーン FM-0725」、JNC社製
メタクリル酸ポリプロピレングリコール:商品名「ブレンマーPP-1000」、日油社製
【0061】
2.実施例・比較例
実施例・比較例の防汚塗料組成物を表2~表9に示す配合により調製した。
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】
【表4】
【0065】
【表5】
【0066】
【表6】
【0067】
【表7】
【0068】
【表8】
【0069】
【表9】
【0070】
上記表中の防汚薬剤、及びその他の添加剤の詳細は、以下の通りである。
【0071】
<アルコキシシリルアルキル末端変性ポリエーテル(A)>
ポリマー(A1):商品名「MSポリマー S203H」、ジメトキシシリルアルキル両末端変性ポリエーテル、粘度 約760Pa・s(カネカ社製)
ポリマー(A2):商品名「MSポリマー SAX220」、ジメトキシシリルアルキル両末端変性ポリエーテル(カネカ社製)
ポリマー(A3):商品名「MSポリマー S303H」、ジメトキシシリルアルキル末端変性分岐ポリエーテル(カネカ社製)
ポリマー(A4):商品名「MSポリマー SAX400」、ジメトキシシリルアルキル末端変性分岐ポリエーテル(カネカ社製)
ポリマー(A5): 商品名「MSポリマー SAX510」、トリメトキシシリルアルキル両末端変性ポリエーテル(カネカ社製)
ポリマー(A6):商品名「MSポリマー SAX530」、トリメトキシシリルアルキル両末端変性ポリエーテル(カネカ社製)
ポリマー(A7):商品名「MSポリマー SAX580」、トリメトキシシリルアルキル末端変性分岐ポリエーテル、粘度 約25Pa・s(カネカ社製)
ポリマー(A8):商品名「MSポリマー SAX590」、トリメトキシシリルアルキル末端変性分岐ポリエーテル(カネカ社製)
【0072】
<その他の塗膜形成成分>
ジオール型ポリプロピレングリコール:商品名「ポリプロピレングリコール、ジオール型、2000」 (富士フイルム和光純薬社製)
トリオール型ポリプロピレングリコール:商品名「ポリプロピレングリコール、トリオール型、3000」 (富士フイルム和光純薬社製)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂:商品名「エピコート828」(三菱ケミカル社製)
ポリオルガノシロキサン:商品名「DMS-S35」(Gelest社製)Mw 49000
ポリエステルポリオール:商品名「ニッポラン 141」(東ソー社製)
塩素化ポリオレフィン: 商品名「814HS」塩素含有率41%(60% トルエン溶液)(日本製紙社製)
塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体: 商品名「スーパークロンBX」、塩素含有率18%(20% トルエン溶液)(日本製紙社製)
γ-トリメトキシシリルウレタン両末端変性ポリエーテル1:商品名「GENIOSIL STD-E15」、粘度 約10Pa・s(ワッカー・ケミー社製)
γ-トリメトキシシリルウレタン両末端変性ポリエーテル2:商品名「GENIOSIL STD-E35」、粘度 約30Pa・s(ワッカー・ケミー社製)
α-ジメトキシシリルウレタン両末端変性ポリエーテル1:商品名「GENIOSIL STD-E10」、粘度 約10Pa・s(ワッカー・ケミー社製)
α-ジメトキシシリルウレタン両末端変性ポリエーテル2:商品名「GENIOSIL STD-E30」、粘度 約30Pa・s(ワッカー・ケミー社製)
【0073】
<タレ止め剤>
ポリアマイドワックス:アマイド系チクソトロピック剤、商品名「ディスパロンA603-20X」(楠本化成株式会社製)
酸化ポリエチレン:商品名「ディスパロン4200-20」(楠本化成株式会社製)
【0074】
<無機質充填剤>
赤色酸化鉄:ベンガラ:商品名「弁柄 錦玉A印」(森下弁柄工業株式会社製)
酸化チタン:商品名「FR-41」(古河機械金属株式会社製)
コロイド炭酸カルシウム:商品名「白艶華 CCR」(白石工業社製)
シリカ:商品名「HDK H18」燃焼法・フュームドシリカ(ワッカー・ケミー社製)
【0075】
<防汚薬剤>
銅ピリチオン:商品名「カッパーオマジン」(LONZA社製)
亜鉛ピリチオン:商品名「ジンクオマジン」(LONZA社製)
亜酸化銅:商品名「NC-301」(日進ケムコ株式会社製)
トラロピリル:商品名「エコニア」4-ブロモ-2-(4-クロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-1H-ピロール-3-カルボニトリル(ヤンセン社製)
DCOIT (30%溶液):商品名「SEA-NINE 211N 」4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-3-イソチアゾロン(ダウ・ケミカル社製)
メデトミジン:「selektope」「(+)-4-[1-(2,3-ジメチルフェニル)エチル]-1H-イミダゾール(I-tech社製)
チオシアン酸銅:商品名「チオシアン酸銅(I)」(富士フイルム和光純薬工業社製)
トリルフルアニド : 商品名「Preventol A 5-S」N-{[ジクロロ(フルオロ)メチル]スルファニル}-N',N'-ジメチル-N-p-トリルスルファミド(Lanxess社製)
ジネブ:商品名「ジネブ」(SIGMA-ALDRICH製)
ジウロン:商品名「ジウロン」(東京化成工業社製)
【0076】
<ブリードオイル>
ポリグリコシド・アルキル変性シリコーンオイル:商品名「BELSIL WO 5000」側鎖型アルキル基及びポリグルコシド基変性ポリシロキサンのポリジメチルシロキサン希釈品(ワッカー・ケミー社製)
ポリグリセリン・アルキル変性シリコーンオイル:商品名「KF-6106」側鎖型ポリグリセリン、アルキル及びシリコーン変性ポリシロキサン(信越化学社製)
両末端ポリグリセロール変性シリコーンオイル:商品名「ソフケアGS-G」(花王社製)
ポリエーテル変性ポリシロキサン1:商品名「KF-6020」側鎖型ポリエチレンオキサイド及びポリプロピレンオキサイド変性ポリシロキサン(信越化学社製)
ポリエーテル変性ポリシロキサン2:商品名「X-22-2516」側鎖型ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、長鎖アルキル、アラルキル変性ポリシロキサン(信越化学社製)
ポリエーテル変性ポリシロキサン3:商品名「TSF4460」ポリオキシプロピレン変性シリコーンオイル(モメンティブ社製)
両末端ポリエーテル変性ポリシロキサン:商品名「KF-6123」両末端型ポリエチレンオキサイド及びポリプロピレンオキサイド変性ポリシロキサン(信越化学社製)
アルキル変性シリコーンオイル:商品名「TSF4421」側鎖アルキル変性シリコーンオイル(モメンティブ社製)
ポリオキシエチレン(30)ラノリン :商品名「NIKKOL TW-30」(日光ケミカルズ社製)
ポリオキシエチレン(40)ヒマシ油 :商品名「NIKKOL CO-40」(日光ケミカルズ社製)
パーフルオロポリエーテルオイル:商品名「フルオロリンク E10-H」両末端ポリオキシエチレン変性パーフルオロポリエーテルオイル(ソルベイ社製)
【0077】
<溶剤>
キシレン(エチルベンゼン含有):(試薬、東京化成工業社製)
低沸点芳香族ナフサ:商品名「シェルゾールA100」(シェル・ケミカル社製)
ホワイトスピリッツ:商品名「ティーソル3040」(JXTGエネルギー社製)
ナフテン系炭化水素:エクソール DSP145/160(エクソンモービル社製)
パラフィン系炭化水素:シェルゾールS(シェル・ケミカル社製)
アセチルアセトン:(試薬、東京化成工業社製)
ジプロピレングリコール:(試薬、東京化成工業社製)
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(試薬、東京化成工業社製)
n-ブタノール(試薬、東京化成工業社製)
【0078】
<硬化触媒>
1-アミノ-2-エチルヘキサン:商品名「1-アミノ-2-エチルヘキサン」(ハイケム社)
3-(トリメトキシシリル)プロピルアミン:商品名「KBM-903」(信越化学社製)
N-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン:商品名「GENIOSIL GF9」(Wacker社製)
3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン:商品名「KBE-9103P」(信越化学社製)
ネオデカン酸:(丸紅ケミックス社製)
ジ-n-ブチルスズジラウレート:商品名「ネオスタン U-100」(日東化成製)
ジブチルビス(2,4-ペンタンジオナト)スズ(IV):商品名「ネオスタン U-220H」(日東化成製)
チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート):商品名「T-100」(松本ファインケミカル社製)
【0079】
<可塑剤>
パラフィン鉱油:商品名「ピュアセイフティー68」(コスモ石油ルブリカンツ社製)
ポリブテン:商品名「日石ポリブテンLV-50」(JXTGエネルギー社製)
フタル酸ジイソノニル:(富士フイルム和光純薬工業社製)
メチルフェニルポリシロキサン:商品名「KF-50」(信越化学社製)
【0080】
<脱水剤>
ビニルトリメトキシシラン(東京化成工業社製)
トリス(イソプロペニルオキシ)ビニルシラン:商品名「LS-3975」(信越化学社製)
ゼオライト:商品名「モレキュラーシーブ4A」(ユニオン昭和社製)
無水石膏:商品名「D-1N」(ノリタケカンパニーリミテド社製)
【0081】
3.評価
以下に示す方法に従って、実施例・比較例の防汚塗料組成物について、耐水性試験及び防汚試験を行った。2液型の防汚塗料組成物については、試験を行う直前に混合した。試験結果を表2~表9に示す。
【0082】
上記表に示すように、全ての実施例の防汚塗料組成物を用いて形成した塗膜は、耐水性及び防汚性に優れていた。一方、比較例の防汚塗料組成物を用いて形成した塗膜は、耐水性が良好ではなかった。
【0083】
<耐水性試験>
エポキシ系プライマーHEMPADUR QUATTRO XO 17870(HEMPEL社製)を乾燥膜厚約100μm塗布した硬質塩ビ板(110×60×2mm)に、実施例および比較例で得られた防汚塗料組成物を、乾燥塗膜としての厚みが約200μmとなるよう塗布し室温で48時間硬化させて試験板を作製した。カッターを用いて防食塗料まで達する切り込みをX状に入れた後、25℃の海水に浸漬して6ヶ月の耐水性を評価した。
○:塗膜に異常が認められない
△:塗膜にブリスターが認められた
×:塗膜に剥離が認められた
【0084】
<防汚試験>
エポキシ系プライマーHEMPADUR QUATTRO XO 17870(HEMPEL社製)を乾燥膜厚で約100μm塗布した(比較例については、さらにシリコーン系タイコートHEMPASIL NEXUS X-TEND 27500(HEMPEL社製)を乾燥膜厚で約100μmを重ねて塗布した)硬質塩ビ板(110×60×2mm)に、実施例および比較例で得られた防汚塗料組成物を、乾燥塗膜としての厚みが約200μmとなるよう塗布した。この試験板を室温で7日間かけて硬化させた後、尾鷲湾の海面下2.0mに12ヶ月間浸漬して、6ヶ月後および12ヶ月後に付着生物による試験板の汚損を観察した。
評価は、塗膜表面の状態を目視観察することにより、以下の基準で判断した。結果を表に示す。
◎:貝類、藻類などの汚損生物の付着がなく、スライムの付着もないレベル。
〇:貝類、藻類などの汚損生物の付着がなく、スライムが付着したレベル。
△:貝類、藻類などの汚損生物が部分的に付着したレベル
×:貝類、藻類などの汚損生物が全面に付着したレベル。