(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】エピタキシャル側方過成長を用いて滑らかな表面を取得する方法
(51)【国際特許分類】
H01S 5/343 20060101AFI20231106BHJP
H01L 33/32 20100101ALI20231106BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20231106BHJP
【FI】
H01S5/343 610
H01L33/32
H01L21/205
(21)【出願番号】P 2021548562
(86)(22)【出願日】2019-10-31
(86)【国際出願番号】 US2019059086
(87)【国際公開番号】W WO2020092722
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-06-10
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】神川 剛
(72)【発明者】
【氏名】ガンドロトゥーラ, スリニヴァス
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-261392(JP,A)
【文献】国際公開第2017/168012(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0315222(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0187985(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00- 5/50
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、前記方法は、複数のIII族窒化物半導体層から成る素子を製作することを含み、
前記複数のIII族窒化物半導体層のうちの少なくとも1つは、初めに、基板の上または上方に成長制限マスク内の縞状開放エリアから成長させられ、次いで、前記成長制限マスクの上に側方に成長させられ、
前記成長制限マスク内の前記縞状開放エリアの長さは、前記成長制限マスク内の前記縞状開放エリアの幅よりも大きく、
前記複数のIII族窒化物半導体層は、その中に埋め込まれた少なくとも1つの錐体ヒロックを含み、
前記少なくとも1つの錐体ヒロックは、前記基板の上または上方に前記複数のIII族窒化物半導体層のうちの前記少なくとも1つを成長させるとき、前記成長制限マスクの前記縞状開放エリア内に形成され
、
前記複数のIII族窒化物半導体層のうちの少なくとも一部は、前記成長制限マスクおよびエピタキシャル側方過成長を使用して、前記基板の上または上方に形成され、前記エピタキシャル側方過成長は、前記複数のIII族窒化物半導体層のうちの前記少なくとも一部が合体する前に停止させられる、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの錐体ヒロックは、前記エピタキシャル側方過成長中に形成され、前記少なくとも1つの錐体ヒロックは、前記エピタキシャル側方過成長に埋め込まれる、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記成長制限マスクは、横方向への前記少なくとも1つの錐体ヒロックの拡張を限定する、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
方法であって、前記方法は、複数のIII族窒化物半導体層から成る素子を製作することを含み、
前記複数のIII族窒化物半導体層のうちの少なくとも1つは、初めに、基板の上または上方に成長制限マスク内の縞状開放エリアから成長させられ、次いで、前記成長制限マスクの上に側方に成長させられ、
前記成長制限マスク内の前記縞状開放エリアの長さは、前記成長制限マスク内の前記縞状開放エリアの幅よりも大きく、
前記複数のIII族窒化物半導体層は、その中に埋め込まれた少なくとも1つの錐体ヒロックを含み、
前記少なくとも1つの錐体ヒロックは、前記基板の上または上方に前記複数のIII族窒化物半導体層のうちの前記少なくとも1つを成長させるとき、前記成長制限マスクの前記縞状開放エリア内に形成され、前記基板は、III族窒化物基板である
、方法。
【請求項5】
前記基板は、ヘテロ基板であり、III族窒化物テンプレートが、前記複数のIII族窒化物半導体層が成長させられる前に前記ヘテロ基板の上または上方に堆積させられる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
方法であって、前記方法は、複数のIII族窒化物半導体層から成る素子を製作することを含み、
前記複数のIII族窒化物半導体層のうちの少なくとも1つは、初めに、基板の上または上方に成長制限マスク内の縞状開放エリアから成長させられ、次いで、前記成長制限マスクの上に側方に成長させられ、
前記成長制限マスク内の前記縞状開放エリアの長さは、前記成長制限マスク内の前記縞状開放エリアの幅よりも大きく、
前記複数のIII族窒化物半導体層は、その中に埋め込まれた少なくとも1つの錐体ヒロックを含み、
前記少なくとも1つの錐体ヒロックは、前記基板の上または上方に前記複数のIII族窒化物半導体層のうちの前記少なくとも1つを成長させるとき、前記成長制限マスクの前記縞状開放エリア内に形成され、前記複数のIII族窒化物半導体層は、島状III族窒化物半導体層を含み、前記島状III族窒化物半導体層は、隣接する島状III族窒化物半導体層と合体しない
、方法。
【請求項7】
方法であって、前記方法は、複数のIII族窒化物半導体層から成る素子を製作することを含み、
前記複数のIII族窒化物半導体層のうちの少なくとも1つは、初めに、基板の上または上方に成長制限マスク内の縞状開放エリアから成長させられ、次いで、前記成長制限マスクの上に側方に成長させられ、
前記成長制限マスク内の前記縞状開放エリアの長さは、前記成長制限マスク内の前記縞状開放エリアの幅よりも大きく、
前記複数のIII族窒化物半導体層は、その中に埋め込まれた少なくとも1つの錐体ヒロックを含み、
前記少なくとも1つの錐体ヒロックは、前記基板の上または上方に前記複数のIII族窒化物半導体層のうちの前記少なくとも1つを成長させるとき、前記成長制限マスクの前記縞状開放エリア内に形成され、前記複数のIII族窒化物半導体層は、前記基板から剥離される
、方法。
【請求項8】
前記複数のIII族窒化物半導体層は、
膜を前記III族窒化物半導体層に適用することと、
前記膜に圧力を加えることと、
前記膜および前記基板の温度を変化させることと、
前記圧力が加えられ、前記温度が変化させられた後、前記基板から前記III族窒化物半導体層を伴う前記膜を剥離することと
によって、前記基板から剥離される、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
素子であって、前記素子は、複数のIII族窒化物半導体層から成る光電子素子を備え、
前記複数のIII族窒化物半導体層のうちの少なくとも1つは、初めに、基板の上または上方に成長制限マスク内の縞状開放エリアから成長させられ、次いで、前記成長制限マスクの上に側方に成長させられ、
前記成長制限マスク内の前記縞状開放エリアの長さは、前記成長制限マスク内の前記縞状開放エリアの幅よりも大きく、
前記複数のIII族窒化物半導体層は、その中に埋め込まれた少なくとも1つの錐体ヒロックを含み、
前記少なくとも1つの錐体ヒロックは、前記基板の上または上方に前記複数のIII族窒化物半導体層のうちの前記少なくとも1つを成長させるとき、前記成長制限マスクの前記開放エリア内に形成され
、
前記III族窒化物半導体層のうちの少なくとも一部は、前記成長制限マスクおよびエピタキシャル側方過成長を使用して、前記基板の上または上方に形成され、前記エピタキシャル側方過成長は、前記III族窒化物半導体層が合体する前に停止させられる、素子。
【請求項10】
前記少なくとも1つの錐体ヒロックは、前記エピタキシャル側方過成長中に形成され、前記少なくとも1つの錐体ヒロックは、前記エピタキシャル側方過成長に埋め込まれる、請求項
9に記載の素子。
【請求項11】
前記成長制限マスクは、横方向への前記少なくとも1つの錐体ヒロックの拡張を限定する、請求項
9に記載の素子。
【請求項12】
素子であって、前記素子は、複数のIII族窒化物半導体層から成る光電子素子を備え、
前記複数のIII族窒化物半導体層のうちの少なくとも1つは、初めに、基板の上または上方に成長制限マスク内の縞状開放エリアから成長させられ、次いで、前記成長制限マスクの上に側方に成長させられ、
前記成長制限マスク内の前記縞状開放エリアの長さは、前記成長制限マスク内の前記縞状開放エリアの幅よりも大きく、
前記複数のIII族窒化物半導体層は、その中に埋め込まれた少なくとも1つの錐体ヒロックを含み、
前記少なくとも1つの錐体ヒロックは、前記基板の上または上方に前記複数のIII族窒化物半導体層のうちの前記少なくとも1つを成長させるとき、前記成長制限マスクの前記開放エリア内に形成され、前記基板は、III族窒化物基板である
、素子。
【請求項13】
前記基板は、ヘテロ基板であり、III族窒化物テンプレートが、前記複数のIII族窒化物半導体層が成長させられる前に前記ヘテロ基板の上または上方に堆積させられる、請求項
9に記載の素子。
【請求項14】
素子であって、前記素子は、複数のIII族窒化物半導体層から成る光電子素子を備え、
前記複数のIII族窒化物半導体層のうちの少なくとも1つは、初めに、基板の上または上方に成長制限マスク内の縞状開放エリアから成長させられ、次いで、前記成長制限マスクの上に側方に成長させられ、
前記成長制限マスク内の前記縞状開放エリアの長さは、前記成長制限マスク内の前記縞状開放エリアの幅よりも大きく、
前記複数のIII族窒化物半導体層は、その中に埋め込まれた少なくとも1つの錐体ヒロックを含み、
前記少なくとも1つの錐体ヒロックは、前記基板の上または上方に前記複数のIII族窒化物半導体層のうちの前記少なくとも1つを成長させるとき、前記成長制限マスクの前記開放エリア内に形成され、前記複数のIII族窒化物半導体層は、前記島状III族窒化物半導体層を含み、前記島状III族窒化物半導体層は、隣接する島状III族窒化物半導体層と合体しない
、素子。
【請求項15】
素子であって、前記素子は、複数のIII族窒化物半導体層から成る光電子素子を備え、
前記複数のIII族窒化物半導体層のうちの少なくとも1つは、初めに、基板の上または上方に成長制限マスク内の縞状開放エリアから成長させられ、次いで、前記成長制限マスクの上に側方に成長させられ、
前記成長制限マスク内の前記縞状開放エリアの長さは、前記成長制限マスク内の前記縞状開放エリアの幅よりも大きく、
前記複数のIII族窒化物半導体層は、その中に埋め込まれた少なくとも1つの錐体ヒロックを含み、
前記少なくとも1つの錐体ヒロックは、前記基板の上または上方に前記複数のIII族窒化物半導体層のうちの前記少なくとも1つを成長させるとき、前記成長制限マスクの前記開放エリア内に形成され、前記複数のIII族窒化物半導体層は、前記基板から剥離される
、素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、以下の同時係属中、かつ本発明の譲受人に譲渡された出願の35 U.S.C.Section 119(e)(米国特許法第119条(e))下の利益を主張する:
Takeshi KamikawaおよびSrinivas Gandrothulaによる、「METHOD OF OBTAINING A SMOOTH SURFACE WITH EPITAXIAL LATERAL OVERGROWTH」と題され、2018年10月31日に出願された米国仮出願第62/753,225号(弁理士整理番号第G&C 30794.0693USP1(UC 2019-166-1)号)。
【0002】
その出願は、参照することによって本明細書に組み込まれる。本願は、以下の同時係属中かつ本発明の譲受人に譲渡された出願に関する。
【0003】
その出願がTakeshi Kamikawa、Srinivas Gandrothula、Hongjian Li、およびDaniel A.Cohenによる「METHOD OF REMOVING A SUBSTRATE」と題され、2017年5月5日に出願された同時係属中、かつ本発明の譲受人に譲渡された米国仮特許出願第62/502,205号(弁理士整理番号第30794.0653USP1(UC 2017-621-1))の35 U.S.C.Section 119(e)(米国特許法第119条(e))下の利益を主張するTakeshi Kamikawa、Srinivas Gandrothula、 Hongjian Li、およびDaniel A.Cohenによる「METHOD OF REMOVING A SUBSTRATE」と題され、2018年5月7日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US18/31393号(弁理士整理番号第30794.0653WOU1(UC 2017-621-2)号)。
【0004】
その出願がTakeshi Kamikawa、Srinivas Gandrothula、およびHongjian Liによる「METHOD OF REMOVING A SUBSTRATE WITH A CLEAVING TECHNIQUE」と題され、2017年9月15日に出願された同時係属中かつ本発明の譲受人に譲渡された米国仮特許出願第62/559,378号(弁理士整理番号第30794.0659USP1(UC 2018-086-1))の35 U.S.C.Section 119(e)(米国特許法第119条(e))下の利益を主張するTakeshi Kamikawa、Srinivas Gandrothula、およびHongjian Liによる、「METHOD OF REMOVING A SUBSTRATE WITH A CLEAVING TECHNIQUE」と題され、2018年9月17日に出願された、PCT国際特許出願第PCT/US18/51375号(弁理士整理番号第30794.0659WOU1(UC 2018-086-2)号)。
【0005】
その出願がTakeshi Kamikawa、Srinivas Gandrothula、およびHongjian Liによる「METHOD OF FABRICATING NONPOLAR AND SEMIPOLAR DEVICES BY USING LATERAL OVERGROWTH」と題され、2018年3月30日に出願された同時係属中かつ本発明の譲受人に譲渡された米国仮特許出願第62/650,487号(弁理士整理番号第G&C 30794.0680USP1(UC 2018-427-1))の35 U.S.C.Section 119(e)(米国特許法第119条(e))下の利益を主張するTakeshi Kamikawa、Srinivas Gandrothula、およびHongjian Liによる「METHOD OF FABRICATING NONPOLAR AND SEMIPOLAR DEVICES USING EPITAXIAL LATERAL OVERGROWTH」と題され、2019年4月1日に出願された、PCT国際特許出願第PCT/US19/25187号(弁理士整理番号第30794.0680WOU1(UC 2018-427-2)号)。
【0006】
その出願が、Takeshi KamikawaおよびSrinivas Gandrothulaによる、「METHOD FOR DIVIDING A BAR OF ONE OR MORE DEVICES」と題され、2018年5月17日に出願された同時係属中、かつ本発明の譲受人に譲渡された米国仮出願第62/672,913号(弁理士整理番号第G&C 30794.0682USP1(UC 2018-605-1))の35 U.S.C.Section 119(e)(米国特許法第119条(e))下の利益を主張する、Takeshi KamikawaおよびSrinivas Gandrothulaによる、「METHOD FOR DIVIDING A BAR OF ONE OR MORE DEVICES」と題され、2019年5月17日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US19/32936号(弁理士整理番号第30794.0681WOU1(UC 2018-605-2)号)。
【0007】
その出願が、Srinivas GandrothulaおよびTakeshi Kamikawaによる「METHOD OF REMOVING SEMICONDUCTING LAYERS FROM A SEMICONDUCTING SUBSTRATE」と題され、2018年5月30日に出願された同時係属中かつ本発明の譲受人に譲渡された、米国仮出願第62/677,833号(弁理士整理番号第G&C 30794.0682USP1(UC 2018-614-1))の35 U.S.C.Section 119(e)(米国特許法第119条(e))下の利益を主張するSrinivas GandrothulaおよびTakeshi Kamikawaによる、「METHOD OF REMOVING SEMICONDUCTING LAYERS FROM A SEMICONDUCTING SUBSTRATE」と題され、2019年5月30日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US19/34686号(弁理士整理番号第30794.0682WOU1(UC 2018-614-2)号)。
【0008】
それらの出願の全ては、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0009】
(技術分野)
【0010】
本発明は、エピタキシャル側方過成長(ELO)を用いてエピ層の滑らかな表面を取得する方法に関する。
【背景技術】
【0011】
(関連技術の説明)
【0012】
一部の素子製造業者が、照明、光学記憶等のためのレーザダイオード(LD)および発光ダイオード(LED)を生産するために、無極性および半極性窒化ガリウム(GaN)基板を使用している。無極性および半極性GaN基板は、大規模な焦電および圧電場を回避するために使用され、それは、発光効率のかなりの改良をもたらし得る。しかしながら、無極性および半極性方向に沿ったIII族窒化物のエピタキシャル成長は、極性c面方向に沿った成長より困難である。
【0013】
米国特許出願公開第2017/0092810A1号(特許文献1)によると、いくつかの錐体ヒロックが、エピタキシャル成長後、無極性m面III族窒化物膜の表面上に観察された。これは、LDまたはLED構造が表面上に製作されるとき、問題である。何故なら、この表面の粗さは、光学利得の非一様性、および素子プロセスにおける変動を引き起こし得るからである。それは、素子プロセスの収率も減少させ得る。さらに、LDの信頼性は、ヒロックおよび大きい表面の粗さによって影響を受ける。例えば、Applied Physics Letters 91,191906 (2007)を参照されたい。
【0014】
錐体ヒロックは、GaN基板の表面の粗度が悪化することを引き起こすことが知られている。錐体ヒロックがエピ層表面上に出現することを防止するために、1度より大きくGaN基板のミスカット配向を制御し、窒素キャリアガスを使用してエピ層を成長させる方法が、使用されてきた。
【0015】
しかしながら、滑らかな表面を取得するための成長条件は、非常に限られ、厳密な限界を伴う。1つの問題は、表面形態がオフ角配向による影響を受けることであり、GaNウエハがミスカット配向の広い面内分布を有することが周知である。これは、エピ層の表面形態に基板の異なる部分において変化させ、それは、大量生産の間に収率を低減させる。例えば、Physica Status Solidi (a),Volume 214,Issue 8,1600829 (2017)を参照されたい。
【0016】
さらに、逆バイアス条件下での漏出電流へのヒロックのファセット依存が、観察され、漏出電流分布は、キャリアおよび酸素濃度によって引き起こされた。漏出電流分布は、LD、LED等の素子、およびショットキー障壁ダイオード(SBD)または金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)等の電力素子を作製するとき、問題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】米国特許出願公開第2017/0092810号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
上で説明される従来技術における限界を克服し、本明細書の熟読および理解に応じて明白となるであろう他の限界を克服するために、本発明は、エピタキシャル側方過成長を用いてエピ層の滑らかな表面を取得する方法を開示し、方法は、ミスカット配向を使用せず、錐体ヒロックの発生を抑制しないが、代わりに、エピ層に錐体ヒロックを埋め込む。成長制限マスクが、横方向への錐体ヒロックの拡張を限定するために使用される。結果として生じるエピ層の表面は、錐体ヒロックの消滅に起因して、極めて滑らかである。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
方法であって、前記方法は、複数のIII族窒化物半導体層から成る素子を製作することを含み、前記複数のIII族窒化物半導体層は、その中に埋め込まれた少なくとも1つの錐体ヒロックを含み、前記錐体ヒロックは、基板の上または上方に前記複数のIII族窒化物系半導体層のうちの少なくとも1つを堆積させるとき、成長制限マスクの開放エリア内に形成される、方法。
(項目2)
前記III族窒化物半導体層のうちの一部は、前記成長制限マスクおよびエピタキシャル側方過成長を使用して、前記基板の上または上方に形成され、前記エピタキシャル側方過成長は、前記III族窒化物半導体層が合体する前に停止させられる、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記錐体ヒロックは、前記エピタキシャル側方過成長中に形成され、前記錐体ヒロックは、前記エピタキシャル側方過成長に埋め込まれる、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記成長制限マスクは、横方向への前記錐体ヒロックの拡張を限定する、項目2に記載の方法。
(項目5)
前記複数のIII族窒化物半導体層は、III族窒化物基板の上または上方に成長させられる、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記複数のIII族窒化物半導体層は、ヘテロ基板の上または上方に成長させられ、III族窒化物テンプレートが、前記複数のIII族窒化物半導体層の前に前記ヘテロ基板の上または上方に堆積させられる、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記島状III族窒化物半導体層は、隣接する島状III族窒化物半導体層と合体しない、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記複数のIII族窒化物半導体層は、前記III族窒化物基板から除去される、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記複数のIII族窒化物半導体層は、
膜を前記III族窒化物半導体層に適用することと、
前記膜に圧力を加えることと、
前記膜および前記基板の温度を変化させることと、
前記圧力が加えられ、前記温度が変化させられた後、前記基板から前記III族窒化物半導体層を伴う前記膜を剥離することと
によって、前記III族窒化物基板から除去される、項目1に記載の方法。
(項目10)
項目1に記載の方法によって製作された素子。
(項目11)
素子であって、前記素子は、複数のIII族窒化物半導体層から成る素子を備え、前記複数のIII族窒化物半導体層は、その中に埋め込まれた少なくとも1つの錐体ヒロックを含み、前記錐体ヒロックは、基板の上または上方に前記複数のIII族窒化物系半導体層のうちの少なくとも1つを堆積させるとき、成長制限マスクの開放エリア内に形成される、素子。
(項目12)
前記III族窒化物半導体層のうちの一部は、前記成長制限マスクおよびエピタキシャル側方過成長を使用して、前記基板の上または上方に形成され、前記エピタキシャル側方過成長は、前記III族窒化物半導体層が合体する前に停止させられる、項目11に記載の素子。
(項目13)
前記錐体ヒロックは、前記エピタキシャル側方過成長中に形成され、前記錐体ヒロックは、前記エピタキシャル側方過成長に埋め込まれる、項目12に記載の素子。
(項目14)
前記成長制限マスクは、横方向への前記錐体ヒロックの拡張を限定する、項目12に記載の素子。
(項目15)
前記複数のIII族窒化物半導体層は、III族窒化物基板の上または上方に成長させられる、項目11に記載の素子。
(項目16)
前記複数のIII族窒化物半導体層は、ヘテロ基板の上または上方に成長させられ、III族窒化物テンプレートが、前記複数のIII族窒化物半導体層の前に前記ヘテロ基板の上または上方に堆積させられる、項目11に記載の素子。
(項目17)
前記島状III族窒化物半導体層は、隣接する島状III族窒化物半導体層と合体しない、項目11に記載の素子。
(項目18)
前記複数のIII族窒化物半導体層は、前記III族窒化物基板から除去される、項目11に記載の素子。
(項目19)
項目11に記載の素子を製作する方法。
【図面の簡単な説明】
【0019】
ここで、同様の参照番号が、全体を通して対応する部分を表す図面を参照する。
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に従って製作される素子構造を図示する断面概略図である。
【0021】
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態による、パターン化および非パターン化サンプルのフォトルミネセンス(PL)画像および微分干渉コントラスト(DIC)顕微鏡法測定画像の両方を含む。
【0022】
【
図3A】
図3(a)および3(b)は、本発明の一実施形態による、錐体ヒロックが開放エリア内で制限されることを示す画像である。
【
図3B】
図3(a)および3(b)は、本発明の一実施形態による、錐体ヒロックが開放エリア内で制限されることを示す画像である。
【0023】
【
図4A】
図4(a)は、本発明の一実施形態による、エピ層表面の行1および行3における走査型電子顕微鏡(SEM)画像、および行2および行4におけるPL画像を示し、各列は、基板の異なるミスカット配向角、すなわち、無極性(10-10)基板に関する0°、-0.45°、-0.61°、および-1、0°ミスカットと、半極性(20-2-1)基板に関する-15°ミスカットとを表す。
【0024】
【
図4B】
図4(b)は、本発明の一実施形態による、1°ミスカット配向角の画像である。
【0025】
【
図5A】
図5(a)、5(b)、5(c)、5(d)、および5(e)は、本発明の一実施形態による、初期成長中の埋められた錐体ヒロックを図示する概略図である。
【
図5B】
図5(a)、5(b)、5(c)、5(d)、および5(e)は、本発明の一実施形態による、初期成長中の埋められた錐体ヒロックを図示する概略図である。
【
図5C】
図5(a)、5(b)、5(c)、5(d)、および5(e)は、本発明の一実施形態による、初期成長中の埋められた錐体ヒロックを図示する概略図である。
【
図5D】
図5(a)、5(b)、5(c)、5(d)、および5(e)は、本発明の一実施形態による、初期成長中の埋められた錐体ヒロックを図示する概略図である。
【
図5E】
図5(a)、5(b)、5(c)、5(d)、および5(e)は、本発明の一実施形態による、初期成長中の埋められた錐体ヒロックを図示する概略図である。
【0026】
【
図6A】
図6(a)および6(b)は、本発明の一実施形態による、それぞれ、(10-10)基板からの除去後のエピ層の裏側のPLおよびDIC画像である。
【
図6B】
図6(a)および6(b)は、本発明の一実施形態による、それぞれ、(10-10)基板からの除去後のエピ層の裏側のPLおよびDIC画像である。
【0027】
【
図7A】
図7(a)は、本発明の一実施形態による、m面に沿って配向される島状III族窒化物半導体層のSEM画像である。
【0028】
【
図7B】
図7(b)は、本発明の一実施形態による、(1-100)m面に沿って、異なるミスカット配向0°、-0.45°、-0.6°、-1.0°で標識された島状III族窒化物半導体層の4つの画像を示す。
【0029】
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態による、光学共振器と垂直な方向に沿ったIII族窒化物半導体レーザダイオード素子の断面側面図である。
【0030】
【
図9A】
図9(a)および9(b)は、本発明の一実施形態による、素子のバーの概略図である。
【
図9B】
図9(a)および9(b)は、本発明の一実施形態による、素子のバーの概略図である。
【0031】
【
図10A】
図10(a)および10(b)は、本発明の一実施形態による、分割支持領域が素子のバーに沿って周期的な長さにおいて形成される様子を図示する概略図である。
【
図10B】
図10(a)および10(b)は、本発明の一実施形態による、分割支持領域が素子のバーに沿って周期的な長さにおいて形成される様子を図示する概略図である。
【0032】
【
図11A】
図11(a)、11(b)、11(c)、11(d)、および11(e)は、本発明の一実施形態による、ポリマー膜が基板から素子のバーを除去するために使用される方法を図示する概略図である。
【
図11B】
図11(a)、11(b)、11(c)、11(d)、および11(e)は、本発明の一実施形態による、ポリマー膜が基板から素子のバーを除去するために使用される方法を図示する概略図である。
【
図11C】
図11(a)、11(b)、11(c)、11(d)、および11(e)は、本発明の一実施形態による、ポリマー膜が基板から素子のバーを除去するために使用される方法を図示する概略図である。
【
図11D】
図11(a)、11(b)、11(c)、11(d)、および11(e)は、本発明の一実施形態による、ポリマー膜が基板から素子のバーを除去するために使用される方法を図示する概略図である。
【
図11E】
図11(a)、11(b)、11(c)、11(d)、および11(e)は、本発明の一実施形態による、ポリマー膜が基板から素子のバーを除去するために使用される方法を図示する概略図である。
【0033】
【
図12】
図12(a)および12(b)は、本発明の一実施形態による、基板の表面および素子のバーの表面を示すSEM画像である。
【0034】
【
図13】
図13(a)および13(b)は、本発明の一実施形態による、成長制限マスクが基板上に素子のバーを製作するために使用される方法を図示する概略図である。
【0035】
【
図14】
図14(a)および14(b)は、本発明の一実施形態による、基板の表面の異なる倍率におけるSEM画像である。
【0036】
【
図15A】
図15(a)、15(b)、15(c)、15(d)、15(e)、および15(f)は、本発明の一実施形態による、素子のバーが分割される方法を図示する概略図である。
【
図15B】
図15(a)、15(b)、15(c)、15(d)、15(e)、および15(f)は、本発明の一実施形態による、素子のバーが分割される方法を図示する概略図である。
【
図15C】
図15(a)、15(b)、15(c)、15(d)、15(e)、および15(f)は、本発明の一実施形態による、素子のバーが分割される方法を図示する概略図である。
【
図15D】
図15(a)、15(b)、15(c)、15(d)、15(e)、および15(f)は、本発明の一実施形態による、素子のバーが分割される方法を図示する概略図である。
【
図15E】
図15(a)、15(b)、15(c)、15(d)、15(e)、および15(f)は、本発明の一実施形態による、素子のバーが分割される方法を図示する概略図である。
【
図15F】
図15(a)、15(b)、15(c)、15(d)、15(e)、および15(f)は、本発明の一実施形態による、素子のバーが分割される方法を図示する概略図である。
【0037】
【
図16】
図16(a)および16(b)は、本発明の一実施形態による、成長制限マスクが基板上に素子のバーを製作するために使用される方法を図示する概略図である。
【0038】
【
図17】
図17は、本発明の一実施形態による、ファセットが素子上にコーティングされる様子を図示する概略図である。
【0039】
【
図18A】
図18(a)、18(b)、および18(c)は、本発明の一実施形態による、ワイヤボンドおよびプローブが素子に取り付けられる方法を図示する概略図である。
【
図18B】
図18(a)、18(b)、および18(c)は、本発明の一実施形態による、ワイヤボンドおよびプローブが素子に取り付けられる方法を図示する概略図である。
【
図18C】
図18(a)、18(b)、および18(c)は、本発明の一実施形態による、ワイヤボンドおよびプローブが素子に取り付けられる方法を図示する概略図である。
【0040】
【
図19】
図19(a)および19(b)は、本発明の一実施形態による、ヒートシンクプレートが別個の素子に分割される方法を図示する概略図である。
【0041】
【
図20】
図20(a)および20(b)は、本発明の一実施形態による、素子のための試験装置を図示する概略図である。
【0042】
【
図21】
図21は、本発明の一実施形態による、素子が包装される方法を図示する概略図である。
【0043】
【
図22】
図22は、本発明の一実施形態による、素子が包装される方法を図示する概略図である。
【0044】
【
図23】
図23(a)および23(b)は、本発明の一実施形態による、成長制限マスクが基板上に素子のバーを製作するために使用される方法を図示する概略図である。
【0045】
【
図24A】
図24(a)および24(b)は、本発明の一実施形態による、素子の層屈曲領域を図示する概略図である。
【
図24B】
図24(a)および24(b)は、本発明の一実施形態による、素子の層屈曲領域を図示する概略図である。
【0046】
【
図25】
図25(a)および25(b)は、本発明の一実施形態による、基板から素子のバーを除去するために使用されるポリマー膜を図示する概略図である。
【0047】
【
図26A】
図26(a)および26(b)は、本発明の一実施形態による、劈開後の島状III族窒化物半導体層のファセットを示す画像である。
【
図26B】
図26(a)および26(b)は、本発明の一実施形態による、劈開後の島状III族窒化物半導体層のファセットを示す画像である。
【0048】
【
図27A】
図27(a)、27(b)、27(c)、27(d)、27(e)
、27(
f)、および27(g)は、本発明の一実施形態による、ELO構造が取得される方法を図示する概略図である。
【
図27B】
図27(a)、27(b)、27(c)、27(d)、27(e)
、27(
f)、および27(g)は、本発明の一実施形態による、ELO構造が取得される方法を図示する概略図である。
【
図27C】
図27(a)、27(b)、27(c)、27(d)、27(e)
、27(
f)、および27(g)は、本発明の一実施形態による、ELO構造が取得される方法を図示する概略図である。
【
図27D】
図27(a)、27(b)、27(c)、27(d)、27(e)
、27(
f)、および27(g)は、本発明の一実施形態による、ELO構造が取得される方法を図示する概略図である。
【
図27E】
図27(a)、27(b)、27(c)、27(d)、27(e)
、27(
f)、および27(g)は、本発明の一実施形態による、ELO構造が取得される方法を図示する概略図である。
【
図27F】
図27(a)、27(b)、27(c)、27(d)、27(e)、27(
f)、および27(g)は、本発明の一実施形態による、ELO構造が取得される方法を図示する概略図である。
【
図27G】
図27(a)、27(b)、27(c)、27(d)、27(e)、27(
f)、および27(g)は、本発明の一実施形態による、ELO構造が取得される方法を図示する概略図である。
【0049】
【
図28】
図28は、本発明の一実施形態による、錐体ヒロックを埋め込むELO構造の滑らかな表面を示す画像である。
【0050】
【
図29】
図29は、本発明の一実施形態による、III族窒化物半導体素子を製作する方法を図示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下の好ましい実施形態の説明において、本発明が実践され得る具体的実施形態が、参照される。他の実施形態も、利用され得、構造的変更が本発明の範囲から逸脱することなく成され得ることを理解されたい。
(概要)
【0052】
本発明は、エピタキシャル側方過成長を使用して、GaN層等の1つ以上のIII族窒化物層の滑らかな表面を取得する方法を説明する。一例において、方法は、発光ダイオード、レーザダイオード、ショットキー障壁ダイオード、または金属酸化膜半導体電界効果トランジスタを製作するために使用される。
【0053】
この方法は、表面形態におけるミスカット配向による影響を受けない。さらに、この方法は、錐体ヒロックの発生を抑制しないが、代わりに、錐体ヒロックの拡張を防止することによって、錐体ヒロックをエピ層に埋め込み、成長制限マスクが、横方向への錐体ヒロックの拡張を防止するために使用される。錐体ヒロックは、徐々にエピ層に埋め込まれると考えられる。結果として、エピ層の表面は、錐体ヒロックの消滅に起因して、非常に滑らかである。
【0054】
図1は、本発明の一実施形態に従って製作される素子構造を図示する断面図である。
【0055】
この例において、バルクGaN基板101等のIII族窒化物系基板101が、提供され、成長制限マスク102が、基板101の上またはその上方に形成される。縞状開放エリア103が、成長制限マスク102において画定される。
【0056】
非成長領域104は、成長制限マスク102における隣接する開放エリア103から成長させられたELO III族窒化物層105が成長制限マスク102の上で合体しないように作製されるとき、生じる。好ましくは、成長条件は、ELO III族窒化物層105がそれらのウィング領域上に20μmの横幅を有するように、最適化される。
【0057】
追加のIII族窒化物半導体素子層106が、ELO III族窒化物層105の上または上方に堆積させられ、それらは、活性領域106a、電子遮断層(EBL)106b、およびクラッディング層106c、および、他の層を含み得る。
【0058】
ELO III族窒化物層105の厚さは、それが、1つ以上の平坦な表面領域107の幅と、非成長領域104に隣接するそれらの縁における層屈曲領域108とを決定するので、重要である。平坦な表面領域107の幅は、好ましくは、少なくとも5μmであり、より好ましくは、10μm以上、最も好ましくは、20μm以上である。
【0059】
ELO III族窒化物層105および追加のIII族窒化物半導体素子層106は、島状III族窒化物半導体層109と称され、隣接する島状III族窒化物半導体層109は、非成長領域104によって分離されている。互いに隣接する島状III族窒化物半導体層109間の距離は、非成長領域104の幅であり、それは、概して、20μm以下であり、好ましくは、5μm以下であるが、これらの値に限定されない。
【0060】
島状III族窒化物半導体層109の各々は、別個の素子110に処理され得る。発光ダイオード、レーザダイオード、ショットキー障壁ダイオード、または金属酸化膜半導体電界効果トランジスタであり得る素子110は、平坦な表面領域107および/または開放エリア103上で処理される。さらに、素子110の形状は、概して、バーを備えている。
【0061】
本実施形態において、錐体ヒロック111の発生は、抑制されないが、代わりに、錐体ヒロック111は、徐々にELO III族窒化物層105に埋め込まれ、それは、錐体ヒロック111が拡張することを防止する。成長制限マスク102も、横方向への錐体ヒロック111の拡張を限定する。結果として、ELO III族窒化物層105の表面は、錐体ヒロックの消滅に起因して、極めて滑らかである。
(錐体ヒロック)
【0062】
図2-4は、錐体ヒロック111がエピ層105、106、または109の表面上に発生しない理由を図示する。
【0063】
図2は、GaN層のパターン化および非パターン化サンプルのフォトルミネセンス(PL)画像および微分干渉コントラスト(DIC)顕微鏡法測定画像の両方を含み、サンプルは、金属有機化学蒸着(MOCVD)チャンバの中に同時装填され、同時に成長させられた。PLおよびDIC画像は、サンプル上の同一の場所を示す。
【0064】
PL画像は、GaN層の黄色発光の強度の差異を示す。GaN層は、その中のSi、O等のn型ドーパントの濃度に起因して、広い発光スペクトルを伴って放出する。高濃度のn型ドーパントのエリアは、低濃度のn型ドーパントのエリアより明るい黄色発光を放出する。
【0065】
上記のように、GaN層は、多くの場合、錐体ヒロックを含み、錐体ヒロックは、典型的に、4つのファセットを備え、4つのファセットは、それぞれ、[0001]、[1-210]、[000-1]、および[-12-10]方向へ傾斜している。各ファセットは、n型ドーパントの組み込みのその容易性において異なる。したがって、n型ドーパント濃度は、各ファセットに関して異なり、それは、黄色発光強度における差異を引き起こす。結果として、錐体ヒロックの存在は、PL測定値によって識別されることができる。
【0066】
DIC画像は、他方で、GaN層の表面の粗さを測定する。特に、DIC画像は、GaN層の表面上の情報のみを検出することができる。
【0067】
図2の非パターン化サンプルが、処理を伴わないエピレディウエハとともに使用される従来の方法の結果である一方、
図2のパターン化サンプルは、本発明の方法の結果である。
【0068】
図2の白色矢印でマークされる多数の錐体ヒロックが非パターン化サンプルに存在する。この場合、錐体ヒロックは、同一の位置で、PL画像およびDIC画像の両方において識別され、それは、錐体ヒロックがエピ層表面上に出現していることを示す。
【0069】
他方において、パターン化サンプルにおいて、錐体ヒロックは、PL画像のみを使用して識別されることができ、DIC画像に示されるエピ層の表面に出現しない。これに関する理由は、錐体ヒロックがエピ層に埋め込まれていることである。
【0070】
図3(a)-3(b)に示されるように、錐体ヒロックは、概して、エピ層105全体にわたって広がっているのではなく、SiO
2成長制限マスク102によって開放エリア103内のELO III族窒化物層105の面積に制限される。これらの例において、各サンプルに関する開放エリア103の幅およびミスカット配向は、
図3(a)において、16.2μmおよび-0.45度、
図3(b)において、11μmおよび0度であるように画定される。錐体ヒロックの位置は、常に開放エリア103において中心に置かれているわけではなく、錐体ヒロックの形状が非対称であることに留意されたい。
【0071】
これから、錐体ヒロックが成長の開始時に開放エリア103内に発生することが考慮され得る。さらに、錐体ヒロックが開放エリア103を越えて拡張しない理由は、錐体ヒロックのサイズが成長制限マスク102によって限定されることであると考えられる。
【0072】
図4(a)は、エピ層表面の行1および行3における走査型電子顕微鏡(SEM)画像、および行2および行4におけるPL画像を示し、各列は、基板の異なるミスカット配向角、すなわち、無極性(10-10)基板に関する0°、-0.45°、-0.61°、および-1、0°ミスカットと、半極性(20-2-1)基板に関する-15°ミスカットとを表す。SEM画像は、各ミスカット配向を伴うエピ層表面上に錐体ヒロックが存在しないことを示す。他方において、PL画像は、開放エリア内の多数の錐体ヒロックを示す。これらの錐体ヒロックは、以前に述べられたようにエピ層に埋め込まれていた。ミスカット配向角が小さくなるほど、錐体ヒロックの数が多くなる。表面形態は、錐体ヒロックの数にかかわらず、各ミスカット配向に関して極めて滑らかである。
【0073】
1°ミスカット配向角である
図4(b)に示されるように、錐体ヒロックは、時として、成長条件、または基板の結晶品質、または表面の状況に応じて、発生する。方法の効果は、ミスカット配向角に依存しない。
【0074】
図5(a)-5(e)は、本発明による、成長制限マスク102における開放エリア103を通した基板101上のELO III族窒化物層105の成長中に錐体ヒロック111が埋められる様子を図示する概略図である。
【0075】
図5(a)および5(b)において、錐体ヒロック111が、開放エリア103内に発生し、幅wpが、
図5(b)に示される。
【0076】
図5(c)において、錐体ヒロック111の幅wpは、開放エリア103の幅に等しい。この場合、錐体ヒロック111の幅wpは、開放エリア103を越えて広がることができない。
【0077】
図5(d)において、錐体ヒロック111の高さhpは、成長制限マスク102における開放エリア103の幅wpによって限定されると考えられ、エピ層105のさらなる成長にかかわらず、
図5(c)と比較して同じ高さに留まる。しかしながら、錐体ヒロック111の周囲の領域は、エピ層105の成長を進め、したがって、錐体ヒロック111は、徐々にエピ層105に埋め込まれる。
【0078】
最後に、
図5(e)に示されるように、錐体ヒロック111は、エピ層105に完全に埋め込まれる。さらに、エピ層105の表面形態は、非常に滑らかであり、錐体ヒロック111の存在による影響を受けない。
【0079】
図6(a)および6(b)は、それぞれ、(10-10)基板101から除去された後のELO III族窒化物層105の裏側のPLおよびDIC画像であり、基板101は、ミスカット配向を有していなかった。DIC測定画像は、錐体ヒロック111を示さないが、PL画像は、錐体ヒロック111を示し、錐体ヒロック111がELO III族窒化物層105内に埋め込まれていることを示す。
【0080】
ELO III族窒化物層105は、ELO III族窒化物層105がホモエピタキシャル層であったとしても基板101から容易に除去され、ELO III族窒化物層105と基板101の表面との間にヘテロ界面が存在しない。しかしながら、成長制限マスク102を使用することによって、ELO III族窒化物層105は、高速かつ容易な様式でIII族窒化物基板101から除去されることができる。
【0081】
例えば、成長制限マスク102は、誘電体膜またはSiO2、SiN、HfO2、Al2O3、MgF、W、Mo、Pt、Ir、Os等の金属であり得る。成長制限マスク102とマスク102上に成長させられる任意の後続のELO III族窒化物層105との間の界面は、弱い接合強度を有する。開放エリア103の幅である接合エリアは、素子110のサイズを上回るように、または下回るように制御される。
【0082】
加えて、この方法は、基板101のm面に沿った劈開を使用し得、m面は、GaN面の中でも劈開することが最も容易な面である。さらに、成長制限マスク102の縁は、ELO III族窒化物層105から基板101を除去するための劈開点および劈開界面を提供する。成長制限マスク102は、ELO III族窒化物層105から基板101を除去する前、フッ化水素酸(HF)、緩衝HF(BHF)、または別のエッチング液を使用して、少なくとも部分的に溶解させられることもできる。最後に、基板101は、ポリマーおよび/または接着テープを使用して、ELO III族窒化物層105から除去されることができる。
(製作方法)
【0083】
以下は、本発明の一実施形態による、素子110を製作するために使用されるステップを説明する。
【0084】
ステップ1.複数の開放エリア103を伴う成長制限マスク102を基板101上に直接または間接的に形成し、基板101は、III族窒化物基板またはヘテロ基板である。
【0085】
ステップ2.成長制限マスク102を使用して、基板101上に複数の島状III族窒化物半導体層109を成長させ、それによって、成長は、成長制限マスク102の縞状開放エリア103と平行な方向に延びている。
【0086】
ステップ3.従来の方法によって、平坦な表面領域107上に素子110を製作する。例えば、隆起構造、p電極、pパッド等が、所定の位置において島状III族窒化物半導体層109上に配置される。
【0087】
ステップ4.側面ファセットにおける劈開のために、素子110上に支持構造を形成する。
【0088】
ステップ5.ウェットエッチングによって成長制限マスク102を少なくとも部分的に溶解させる。
【0089】
ステップ6.基板101から素子110のバーを除去する。
【0090】
6.1.ポリマー膜を素子110のバーに取り付ける。
【0091】
6.2.圧力をポリマー膜および基板101に加える。
【0092】
6.3.圧力を加えながら、膜および基板101の温度を修正する(例えば、低減させる)。
【0093】
6.4.素子110のバーを除去するために、ポリマー膜と基板101の材料との間の熱係数の差異を利用する。
【0094】
ステップ7.素子110の別個のエリアにおいてn電極を配置する。
【0095】
ステップ8.素子110のバーを1つ以上の素子110またはチップに切断する。
【0096】
ステップ9.ヒートシンク上に素子110を搭載する。
【0097】
ステップ10.コーティングバーを使用し、素子110のファセットをコーティングする。
【0098】
ステップ11.コーティングバーを分割する。
【0099】
ステップ12.素子110をスクリーニングする。
【0100】
ステップ13.素子110をパッケージの上/中に搭載する。
【0101】
これらのステップは、下記により詳細に解説される。
(ステップ1.成長制限マスクを形成する)
【0102】
図1に示されるように、エピタキシャルGaN層105が、SiO
2でパターン化されたm面GaN基板101上にELOによって成長させられる。他の面も、基板101のために採用されることができ、ヘテロ基板101も、使用され得、GaNテンプレートが、ヘテロ基板101上に成長させられる。成長制限マスク102であるパターン化SiO
2は、2~180μmの幅および150μmの間隔を伴う縞状開放エリア103を備え、SiO
2縞は、<0001>軸に沿って配向される。ELO GaN層105は、成長制限マスク102の上で合体しない。
(ステップ2.III族窒化物半導体層を成長させる)
【0103】
MOCVDが、III族窒化物半導体層105、106、109のエピタキシャル成長のために使用され得る。トリメチルガリウム(TMGa)、トリメチルインジウム(TMIn)、およびトリエチルアルミニウム(TMAl)が、III族元素源として使用される。アンモニア(NH3)が、窒素を供給するために生ガスとして使用される。水素(H2)および窒素(N2)が、III族元素源のキャリアガスとして使用される(滑らかな表面エピ層を取得するためにキャリアガスに水素を含むことが重要である)。生理食塩水およびビス(シクロペンタジエニル)マグネシウム(Cp2Mg)が、n型およびp型ドーパントとして使用される。
以下の成長条件が、使用された。
【0104】
・成長圧力は、60~760トルである。島状III族窒化物系半導体層109の広い幅を取得するために、圧力は、好ましくは、100~300トルである。
【0105】
・成長温度は、概して、900~1,200℃に及ぶ。
【0106】
・V/III比は、1,000~30,000に及び、好ましくは、3,000~10,000に及ぶ。TMGは、2~20sccmに及び、NH3は、3~10slmに及ぶ。
【0107】
・キャリアガスは、水素ガスのみを備え得るか、または水素および窒素ガスの混合を備え得る。
【0108】
・滑らかな表面を取得するために、各面の成長条件は、従来の方法によって最適化される必要がある。
【0109】
・約2~8時間を成長させた後、ELO III族窒化物層105は、約8~50μmの厚さと、約20~150μmのバー901幅とを有し、バー901幅は、島状III族窒化物半導体層109の幅である。
【0110】
図7(a)-7(b)に示されるように、方法は、種々のミスカット配向を伴って、錐体ヒロック111またはくぼんだ部分を伴わない平滑上面を伴う島状III族窒化物半導体層109を取得した。具体的に、
図7(a)が、m面に沿って配向される島状III族窒化物半導体層109のSEM画像を示す一方、
図7(b)は、(1-100)m面に沿って、異なるミスカット配向0°、-0.45°、-0.6°、-1.0°で標識された島状III族窒化物半導体層109の4つの画像を示す。
(ステップ3.素子プロセス)
【0111】
ステップ2に記載されるように、III族窒化物半導体素子層106が、ELO III族窒化物層105上に成長させられた後、平坦な領域107が、各素子110のために形成される。これらの平坦な領域107は、それらが合体する前にMOCVD成長が停止させられるように、互いに分離されている。
(III族窒化物半導体素子)
図8は、光学共振器と垂直な方向に沿って製作されたIII族窒化物半導体レーザダイオード素子110の断面側面図である。
【0112】
素子110は、従来の方法によって平坦な表面領域107上に製作され、隆起構造、p電極、pパッド等が、所定の位置において島状III族窒化物半導体層109上に配置される。(図は、屈曲領域108を説明しない。)
【0113】
レーザダイオード素子110は、成長制限マスク102の上に堆積させられたELO GaN系層105の上に成長させられた述べられる順で互いの上に置かれた以下のIII族窒化物半導体素子層106から成る:n-Al0.06GaNクラッディング層801、n-GaN導波管層802、InGaN/GaN多重量子井戸(MQW)活性層803、AlGaN EBL層804、p-GaN導波管層805、ITOクラッディング層806、SiO2電流制限層807、およびp電極808。
【0114】
光学共振器は、隆起縞構造から成り、隆起縞構造は、ITOクラッディング層806、SiO2電流制限層807、およびp電極808から成る。光学共振器は、水平方向における光閉じ込めを提供する。隆起縞構造の幅は、約1.0~30μmであり、典型的に、10μmである。
【0115】
フォトリソグラフィおよびドライエッチング等の従来の方法が、隆起縞構造を製作するために使用されることができる。(表面から隆起底部までの)隆起深度は、p-GaN導波管層805内にある。隆起深度は、シミュレーションまたは前の実験データに基づいて、ドライエッチングが実施される前に事前決定される。
【0116】
一実施形態において、p電極808は、以下の材料のうちの1つ以上から成り得る:Pd、Ni、Ti、Pt、Mo、W、Ag、Au等。例えば、p電極808は、Pd-Ni-Au(3-30-300nmの厚さを伴う)を備え得る。これらの材料は、電子ビーム蒸着、スパッタ、熱蒸着等によって堆積させられ得る。加えて、p電極808は、典型的に、ITOクラッディング層806上に堆積させられる。
【0117】
(ステップ4.側面ファセットおよび平坦な表面領域における劈開のための支持構造を形成する)
【0118】
図9(a)および9(b)に示されるように、このステップの目標は、バー901が基板101から除去される前、素子110のバー901を劈開するための支持構造を形成することである。分割支持領域902が、周期的な長さにおいて形成され、各周期は、素子110の長さによって決定される。例えば、レーザダイオード素子110の場合、1つの周期は、300~1,200μmであるように設定される。
【0119】
各分割支持領域902は、
図9(a)に示されるように、ダイヤモンド先端付きスクライバまたはレーザスクライバによって彫られる線であるか、または、
図9(b)に示されるように、RIE(反応性イオンエッチング)またはICP(誘導結合プラズマ)等のドライエッチングによって形成される溝であるが、それらの方法に限定されない。分割支持領域902は、バー901の両側に、またはバー901の片側に形成され得る。分割支持領域902の深度は、好ましくは、1μm以上である。
【0120】
分割支持領域902が任意の他の部分より弱いので、両方の場合が、バー901を分割支持領域902において別個の素子110に分割することができる。分割支持領域902は、意図的しない位置でバー901を破損することを回避し、それによって、分割支持領域902は、素子110の長さを精密に決定し得る。
【0121】
分割支持領域902は、隆起構造内にある電流注入領域903、およびp電極808、および層屈曲領域108を回避する様式で、平坦な表面領域107に生成されるが、それは、SiO2電流制限層807の少なくとも一部を包含し得る。
【0122】
図9(a)および9(b)に示されるように、分割支持領域902は、第1のファセット904において、随意に、第2のファセット905において形成され、第1のファセット904および第2のファセット905は、平坦化されたエリアであるので、処理することが容易である。第3のファセット906は、回避され得る。
【0123】
図10(a)および10(b)は、本発明の一実施形態による、分割支持領域902が素子110のバー901に沿って周期的な長さにおいて形成される様子を図示する。
【0124】
(ステップ5.ウェットエッチングによって成長制限マスクを溶解させる)
【0125】
方法は、ウェットエッチング液によって、成長制限マスク102の少なくとも一部、好ましくはほぼ全て、または、最も好ましくは全てを除去するステップをさらに含み得る。
【0126】
成長制限マスク102は、HFまたはBHF等の化学溶液を使用することによって除去される。このプロセスは、素子110がGaN基板101から容易に除去されることを可能にする。さらに、このプロセスは、基板101からエピ層105、106、109を除去する前、より良好に行われるであろう。このプロセスは、素子110を処理する(ステップ3)前にも、より良好に行われるであろう。
(ステップ6.基板から素子のバーを除去する)
【0127】
ここから、基板101から素子110のバー901を除去するための手順が、
図11(a)-11(e)を使用して解説される。
【0128】
ステップ6.1は、
図11(a)に示されるように、ポリマー膜1101を素子110のバー901に取り付けることを含む。本実施形態において、ポリマー膜1101は、基膜1102と、接着剤1103と、バッキング膜1104とから成る。
【0129】
ステップ6.2は、
図11(b)に示されるように、プレート1106を使用して、圧力1105をポリマー膜1101および基板101に加えることを含む。圧力1105を加えることの目標は、素子110のバー901間にポリマー膜1101を置くことである。ポリマー膜1101は、素子110のバー901より軟質であるので、ポリマー層1101は、素子110のバー901を容易に包囲することができる。好ましくは、ポリマー膜1101は、それを軟化するために加熱され、それは、ポリマー膜1101が素子110のバー901を被覆することを容易にする。
【0130】
ステップ6.3は、加えられた圧力1105を維持しながら、ポリマー膜1101および基板101の温度を低下させることを含む。しかしながら、温度の変化中、圧力1105を加えることは必要ではない。
【0131】
ステップ6.4は、素子110のバー901を除去するために、ポリマー膜1101と基板101との間の熱係数の差異を利用することを含む。
【0132】
図11(c)に示されるように、ポリマー膜1101は、温度が低下するにつれて収縮する。結果として、ポリマー膜1101の底部は、
図11(d)に示されるように、素子110のバー901の上部より低い。
【0133】
図11(c)に示されるように、ポリマー膜1101は、素子110のバー901の側面ファセットにおいて水平方向に圧力1105を加え、劈開点1107を露出させ、素子110のバー901を下向きに斜めに1108傾けることができる。側面ファセットから加えられるこの圧力1105は、素子110のバー901が基板101から効果的に除去されることを可能にする。低温中、ポリマー膜1101は、ポリマー膜1101の上部から素子110のバー901への加えられる圧力1105を維持する。
【0134】
種々の方法が、温度を低下させるために使用され得る。例えば、基板101およびポリマー膜1101は、圧力1105を加えながら、同時に(例えば、77°Kにおける)液体N2の中に入れられることができる。基板101およびポリマー膜1101の温度も、圧電トランスデューサを用いて制御されることができる。さらに、圧力1105をポリマー膜1101に加えるプレート1106は、ポリマー膜1101との接触の前および/またはその間に低温に冷やされることができる。これを行うことによって、ポリマー膜1101は、冷やされ、大きい熱膨張係数に起因して圧力1105を素子110のバー901に加えることができる。
【0135】
温度を低下させるとき、基板101およびポリマー膜1101は、大気中水分によって湿潤され得る。この場合、温度低下は、乾燥空気雰囲気または乾燥N2雰囲気内で行われることができ、それは、基板101およびポリマー膜1101が湿潤することを回避する。
【0136】
その後、温度は、例えば、室温まで上昇し、圧力1105は、
図11(d)に示されるように、もはやポリマー膜1101に加えられなくなる。その時点で、素子110のバー901は、基板101から除去されることができ、ポリマー膜1101は、次いで、
図11(e)に示されるように、基板101から分離される。ポリマー膜1101、特に、接着剤1103を有するポリマー膜1101を使用するとき、素子110のバー901は、容易かつ迅速な様式でポリマー膜1101を使用して除去されることができる。
(バーを除去する)
【0137】
ポリマー膜1101と素子110の半導体材料との間の異なる熱膨張係数を利用して、バー901を除去することは、水平方向圧力を基板101全体に一様に加えることができる。したがって、素子110のバー901は、バー901を破損することなく、基板101から除去されることができる。これは、結果として生じる高い収率によって証明されている。
【0138】
図12(a)および12(b)は、バー901のSEM画像であり、SEM画像は、
図12(a)において、基板101の表面、
図12(b)において、バーの表面を示す。
【0139】
素子110のバー901は、
図13(a)および13(b)に示されるように、長い辺および短い辺を伴う長方形である。圧力が、
図11(c)に示されるように、垂直方向からバー901の長い辺に対して水平方向に、そのような形状を有する素子110のバー901に加えられる。これによって、効果的な衝撃が、劈開点に与えられることができ、それは、基板101から素子110のバー901を除去する。成長制限マスク102は、好ましくは、ポリマー膜を素子110のバー901に取り付ける前、ウェットエッチング等によって基板101から排除される。成長制限マスク102を排除することは、素子110のバー901の下の劈開点において圧力を加えるための空間を作製し、それは、
図11(c)に示されるように、素子110のバー901を斜めに下向きに傾けることができる。
(m面の表面の別個のエリアにおいて劈開する)
【0140】
図14(a)および14(b)は、ミスカット配向を伴わない無極性(1-100)III族窒化物基板101である基板101の表面の異なる倍率におけるSEM画像である。
図14(a)および14(b)に示されるように、劈開のためにm面ファセットを利用することは、バー901が除去された後、基板101のための非常に滑らかな表面をもたらす。この場合、バー901の結果として生じる表面が、レーザ発振のためのVCSELのファセットとして採用され得る。
(ステップ7:素子の別個のエリアにおいてn電極を製作する)
【0141】
基板101からバー901を除去した後、バー901は、ポリマー膜1101に取り付けられたままであり、それは、
図15(a)に示されるように、膜1101上に上下逆の様式で位置付けられたバー901とともに示される。
【0142】
図15(b)は、概略図およびSEM画像の両方としてバー901の裏側を示し、それは、分割支持領域902間に別個のエリア1501を有する。別個のエリア1501は、基板101または下層に直接接触するが、成長制限マスク102の上にない。劈開ブレード1502が、分割支持領域902において使用される。
【0143】
次いで、
図15(c)に示されるように、金属マスク1503が、素子110の裏側にn電極1504を配置するために使用されることができる。
【0144】
基板101からバー901を除去した後、バー901の裏側のn電極1504を形成する場合、n電極1504は、好ましくは、別個のエリア1501上に形成される。この別個のエリア1501は、n電極1504が低い接触抵抗率を取得するための良好な表面条件で保たれる。本発明は、島状III族窒化物半導体層109を除去するまで、このエリア1501を清浄に保つ。
【0145】
n電極1504は、p電極808のために作製される同一の同じ表面であるバー901の上面上に配置されることもできる。
【0146】
典型的に、n電極1504は、以下の材料から成る:Ti、Hf、Cr、Al、Mo、W、Au。例えば、n電極1504は、Ti-Al-Pt-Au(30-100-30-500nmの厚さを伴う)から成り得るが、それらの材料に限定されない。これらの材料の堆積は、電子ビーム蒸着、スパッタ、熱蒸着等によって実施され得る。
(ステップ8.素子のバーをチップに切断する)
【0147】
n電極1504を配置した後、側方に配置される複数のバー901が、
図15(d)に示されるように、複数の素子110に分割される。分割支持領域902は、
図15(b)に示されるように、バー901を素子110に分割することに役立つ。劈開が使用されるが、切断方法または他の方法も、使用されることができる。
【0148】
図16(a)に示されるように、側方に配置される複数のバー901が、分割支持領域902において劈開されるとともに、別個の素子110に切断されることが、可能である。さらに、
図16(b)に示されるように、側方および縦方向の両方に配置される複数のバー901が、分割支持領域902において劈開されることも、可能である。さらに、分割支持領域902は、バー901の両側1601または片側1602に配置され得る。
(ステップ9.ヒートシンクプレート上に素子を搭載する)
【0149】
ステップ8の後、分割されたバー901は、依然として、ポリマー膜1101の上にある。一実施形態において、ポリマー膜1101は、
図15(e)に示されるように、膜1101の接着強度を低減させ得る紫外線光にさらされる紫外線(UV)光感受性ダイシングテープである。これは、膜1101から素子110を除去することを容易にする。
【0150】
このステップにおいて、AlNから成るヒートシンクプレート1505が、調製される。Au-Snはんだ1506が、ヒートシンクプレート1505上に配置され、ヒートシンクプレート1505は、はんだ1506の融解温度を超えて加熱され、ポリマー膜1101上の素子110は、Au-Snはんだ1506を使用してヒートシンクプレート1505に接合される。素子110は、2つの方法で、すなわち、(1)n電極1504側を下にして、または(2)p電極808側を下にして、ヒートシンクプレート1505上に搭載されることができる。
図15(e)は、n電極1504側を下にしたはんだ1506を使用して、ヒートシンクプレート1505に搭載された素子110を示す。ヒートシンクプレート1505内の溝1507が、素子110を分離し、溝1507は、下記により詳細に説明されるように、ヒートシンクプレート1505を分割するために使用される。
(ステップ10.レーザのファセットをコーティングする)
【0151】
素子処理の次のステップは、素子110のファセット904をコーティングすることを含む。レーザダイオード素子110が、レーザ発振している間、素子110の外側まで素子110のファセット904を貫通する素子110における光は、ファセット904における非放射性再結合中心によって吸収され、それによって、ファセット904温度は、連続的に上昇する。その結果として、温度上昇は、ファセット904の壊滅的な光学損傷(COD)につながり得る。
【0152】
ファセット904コーティングは、非放射性再結合中心を低減させ得る。CODを防止するために、AlN、AlON、Al2O3、SiN、SiON、SiO2、ZrO2、TiO2、Ta2O5等の誘電体層を使用して、ファセット904をコーティングすることが必要である。概して、コーティング膜は、上記の材料から成る多層構造である。層の構造および厚さは、所定の反射率によって決定される。
【0153】
本発明において、素子110のバー901は、複数の素子110のための劈開されたファセット904を取得するために、ステップ8で分割されていることもある。結果として、ファセット904をコーティングする方法は、容易な様式で、同時に複数の素子110上で実施される必要がある。一実施形態において、素子110は、
図15(f)に示されるように、例えば、ヒートシンクプレート1505の片側に向かって、ヒートシンクプレート1505上に水平にオフセットされた様式で搭載される。次いで、
図17に示されるように、素子110およびヒートシンクプレート1505は、スペーサプレート1701上に設置され、複数のスペーサプレート1701が、コーティングホルダ1702内に格納される。
【0154】
常にスペーサプレート1701を使用することが必要であるわけではなく、ヒートシンクプレート1505が単独で使用され得ることに留意されたい。代替として、ヒートシンクプレート1505は、別のバーまたはプレート上に搭載され得、それは、次いで、スペーサプレート1701上に設置される。
【0155】
こうすることによって、いくつかの素子110のファセット904が、同時にコーティングされることができる。一実施形態において、ファセット904コーティングは、少なくとも2回、すなわち、素子110の前ファセット904に1回、素子110の後ファセット904に1回、行われる。ヒートシンクプレート1505の長さは、ほぼレーザダイオード素子110の空洞の長さであるように寸法を決定され得、それは、ファセット904コーティングを2回実施することを迅速かつ容易にする。
【0156】
スペーサプレート1701が、コーティングホルダ1702内に設定されると、素子110の両方のファセット904が、コーティングホルダ1702内にスペーサプレート1701を再び設定することなく、コーティングされることができる。一実施形態において、第1のコーティングが、レーザ光を放出する前ファセット904上に実施され、第2のコーティングが、レーザ光を反射する後ファセット904上に実施される。コーティングホルダ1702は、コーティング膜を堆積させる設備内の第2のコーティングの前に逆転される。これは、プロセスのリードタイムを実質的に短縮する。
(ステップ11.コーティングバーを分割する)
【0157】
図18(a)に示されるように、ワイヤボンド1801および1802が、素子110に取り付けられ、次いで、ヒートシンクプレート1505が、例えば、素子110のうちの1つ以上のものの間の溝1507において分割される。
図18(b)は、素子110、溝1507、およびボンド1801、1802の相対設置および位置を示す
図18(a)の上面図である。
図18(c)は、素子110との別個のプローブ1803およびワイヤボンド1804の使用を示す。
【0158】
図19(a)および19(b)は、ヒートシンクプレート1505が別個の素子110に分割される方法をさらに示し、それは、ワイヤボンド1801、1802の取り付けの前または後に生じ得る。こうすることによって、コーティングプロセスが完了した後、素子110を分離することが容易である。
(ステップ12.素子をスクリーニングする)
【0159】
このステップは、欠陥のある素子と欠陥のない素子110とを区別する。最初に、出力電力、電圧、電流、抵抗率、FFP(遠距離場パターン)、傾斜効率等の素子110の種々の特性が、所与の条件下でチェックされる。この時点で、素子110は、すでにヒートシンクプレート1505上に搭載されているので、これらの特性をチェックすることは容易である。
【0160】
試験装置2001が、
図20(a)および20(b)に示され、n電極1504への電気的導通を有するp電極808およびはんだ1506は、プローブ2002、2003によって接触される。次いで、欠陥のない素子110が、老化試験(寿命試験)によって選択され、スクリーニングされることができる。
【0161】
一実施形態において、老化試験が、乾燥空気または窒素大気内にシールされる素子110を用いて行われ得るように、試験装置2001が、ボックスまたは他のコンテナを備えていることが好ましい。さらに、熱ステージ2004が、スクリーニング試験中の素子110の温度(例えば、60度、80度等)を維持するために使用され得る。光検出器2005が、光出力電力2006を測定するために使用され得、それは、一定の出力電力を有する欠陥のない素子110を識別し、または、欠陥のある素子110を識別する。
【0162】
特に、III族窒化物レーザダイオード素子110の場合、レーザダイオード110が湿気を含む雰囲気内で発振されると劣化することが公知である。この劣化が、空気中の湿気およびシロキサンによって引き起こされるので、III族窒化物レーザダイオード素子110は、老化試験中に乾燥空気内でシールされる必要がある。
【0163】
その結果として、
図21に示されるように、III族窒化物レーザダイオード素子2100が、製造業者から発送されるとき、チップ2101自体(すなわち、素子110)は、ステム2102上に搭載され、TO-canパッケージ2103を使用して、乾燥空気雰囲気内にシールされ、パッケージ2103は、発光のための窓2104を含む。
【0164】
一般的に言えば、スクリーニングまたは老化試験は、欠陥のある素子110を排除するために出荷前に行われる。例えば、スクリーニング条件は、高温および高電力等のレーザダイオード素子110の仕様に従って行われる。
【0165】
さらに、老化試験は、素子110がパッケージ2100の上/中に搭載され、パッケージ2100がスクリーニングの前に乾燥空気および/または乾燥窒素内にシールされた状態で、行われ得る。この事実は、レーザ素子の包装および搭載の柔軟性を制限的にする。
【0166】
従来技術において、欠陥のある生産が起きた場合、欠陥のある製品は、TO-CANパッケージ2100全体で廃棄され、それは、生産のために大きな損失である。これは、レーザダイオード素子110の生産コストを削減することを困難にする。初期のステップにおいて欠陥のある素子110を検出する必要性が存在する。
【0167】
本発明において、低い水平位置で複数の素子110が搭載され得るヒートシンクプレート1505を使用して、素子110のファセット904をコーティングし、次いで、コーティングプロセスの後、溝1507を使用して、ヒートシンクプレート1505と素子110とを分割することは、素子110が、ヒートシンクプレート1505のサブマウントを伴って、乾燥空気または窒素雰囲気内のスクリーニング試験においてチェックされることを可能にする。
【0168】
スクリーニング試験を行うとき、素子110は、すでに2つの接点、すなわち、p電極808およびヒートシンクプレート1505上のはんだ1506、または、フリップチップ接合の場合、n電極1504およびヒートシンクプレート1505上のはんだ1506を有している。さらに、本発明は、素子110が素子110とヒートシンクプレート1505とのみから成るとき、スクリーニング試験を使用して、欠陥のある製品を選択することができる。したがって、欠陥のある製品を破棄する場合、本発明は、従来技術よりさらに損失を低減させることができ、それは、大きな価値がある。
【0169】
高電力レーザダイオード素子110のスクリーニングの場合、ヒートシンクプレート1505が、電気的導通を伴わずに配置されるはんだ1506の2つの部分を有することが、好ましくあり得る。はんだ1506の1つの部分は、ワイヤ(図示せず)を用いてp電極808に接続され、はんだ1506の別の部分は、ワイヤ(図示せず)を用いてn電極1504に接続される。さらに、p電極808およびn電極1504は、例えば、2つ以上のワイヤ1804によってはんだ1506に接続されるp電極808を示す
図18(c)に示されるように、2つ以上のワイヤによってはんだ部分1506に接続されることが、好ましくあり得る。このように、電流を素子110に加えるためのプローブ1803は、p電極808(またはn電極1504)に直接接触することを回避することができ、それは、高電力レーザダイオード素子110のスクリーニングの場合、重要である。具体的に、プローブ1803は、特に、高電流密度を加える場合、接触された部分を破損し得る。
(ステップ13.素子をパッケージの上/中に搭載する)
【0170】
図22に示されるように、素子110(ヒートシンクプレート1505を含む)は、パッケージ2201の底部において素子110を接合するためのはんだまたは別の金属を使用して、パッケージ2201内に搭載され得る。パッケージ2201のピン2202が、ワイヤ2203によって素子110に接続される。こうすることによって、外部電力供給源からの電流が、素子110に加えられることができる。
【0171】
これは、Au-Au、Au-In等の金属を使用するパッケージ2201とヒートシンクプレート1505との間の接合より好ましい。方法は、パッケージ2201の表面およびヒートシンクプレート1505の裏側において平坦性を要求する。しかしながら、はんだなしに、この構成は、高い熱伝導率および低温接合を達成し、それは、素子プロセスのための大きな利点である。
【0172】
その後、蓋2204が、パッケージ2201を封入し得る。さらに、蛍光体2205が、パッケージ2201の外側および/または内側に設定されることができ、窓2206が、発光がパッケージ2201から出射することを可能にする。こうすることによって、パッケージ2201は、電球または自動車のヘッドライトとして使用されることができる。
【0173】
本明細書に記載されるように、これらのプロセスは、レーザダイオード素子110を取得するための改良された方法を提供する。加えて、素子110が基板101から除去されると、基板101は、数回、再生利用されることができる。これは、環境に優しい生産および低コストのモジュールという目標を達成する。これらの素子110は、電球等の照明器具、データ記憶機器、Li-Fi等の光学通信機器等として利用され得る。
【0174】
1つのパッケージ2201内に複数の異なるタイプのレーザ素子110を伴って包装することは、困難である。しかしながら、方法は、包装することなく老化試験を実施することが可能であることに起因して、この問題を克服することができる。したがって、1つのパッケージ2201内に異なるタイプの素子110を搭載することは容易である。
(LED素子を製作する)
【0175】
上記説明は、レーザダイオード素子110を製作することを参照するが、LED素子110も、ステップ3まで同じ方法を使用して製作され得る。具体的に、方法は、2つのタイプのLEDを作製することができる:チップの片側に2つの電極、すなわち、p電極およびn電極の両方を有する1型LED、または、チップの両側に電極を有する2型LED。
【0176】
1型LEDの場合、ステップ3において、p電極およびn電極は、素子の上面上に形成される。次いで、ステップ4からステップ9まで、方法は、同じである。ステップ10-11は、省略されるが、ステップ12-13は、実施され得る。
【0177】
2型LEDの場合、ITO電極がp-GaN接触層上に形成されることを除き、1型LEDとほぼ同じ方法が、使用される。
(用語の定義)
(III族窒化物系基板)
【0178】
III族窒化物系基板101が、成長制限マスク102を通してIII族窒化物半導体層105、106、109の成長を可能にする限り、{1-100}面または他の面上で、バルクGaNおよびAlN結晶からスライスされる任意のGaN基板101が、使用されることができる。
(ヘテロ基板)
【0179】
さらに、本発明は、ヘテロ基板101を使用することができ、例えば、III族窒化物半導体テンプレートがその上に堆積させられ、ヘテロ基板101は、サファイア、Si、GaAs、SiC等の異種基板101であり、テンプレートは、GaNまたは別のIII族窒化物半導体である。テンプレートは、典型的に、約2~6μmの厚さまで成長させられ、次いで、成長制限マスク102が、テンプレート上に配置される。
(成長制限マスク)
【0180】
成長制限マスク102は、典型的に、SiO2、SiN、SiON、Al2O3、AlN、AlON、MgF、ZrO2等の誘電体層、またはW、Mo、Ta、Nb、Rh、Ir、Ru、Os、Pt等の耐熱金属または貴金属を備えている。成長制限マスク102は、上記材料から選択される積層構造であり得る。それは、上記の材料から選定される多重スタッキング層構造を使用することもできる。
【0181】
一実施形態において、成長制限マスク102の厚さは、約0.05~3μmである。マスクの幅は、好ましくは、20μmより大きく、より好ましくは、幅は、40μmより大きい。
【0182】
成長制限マスク102は、スパッタまたは電子ビーム蒸着またはPECVD(プラズマ強化化学蒸着)、イオンビーム蒸着(IBD)によって堆積させられ得るが、それらの方法に限定されない。
【0183】
図13(a)および13(b)に示されるような成長制限マスク102は、複数の縞状開放エリア103を備え、それらは、それぞれ、間隔p1およびp2において、周期的に、
(1-100)面に配向されたIII族窒化物系半導体基板101の11-20方向と平行な第1の方向、およびIII族窒化物系半導体基板101の0001方向と平行な第2の方向に配置され、第2の方向に延びている。開放エリア103の長さaは、例えば、200~35,000μmであり、幅bは、例えば、2~180μmであり、開放エリア102の間隔p1は、例えば、20~180μmであり、間隔p2は、例えば、200~35,000μmであり、マスク部分の幅は、60μmであり、1-100方向における開放エリア103と開放エリア103との間の距離は、100μmである。
【0184】
成長制限マスク102の別のバージョンが、
図23(a)および23(b)に示される。この成長制限マスク102も、それぞれ、素子110のバー901を形成するために使用される複数の縞状開放エリア103を備え、素子は、非成長領域によって側方に分離され、バー901は、分割支持領域902によって縦方向に分離される。
(III族窒化物系半導体層)
【0185】
ELO III族窒化物層105、III族窒化物半導体素子層106、および島状III族窒化物半導体層110は、典型的に、GaN層であるが、In、Al、および/またはB、およびMg、Si、Zn、O、C、H等の他の不純物を含むことができる。
【0186】
III族窒化物半導体素子層106は、概して、n型層、ドープされていない層、およびp型層の中からの少なくとも1つの層を含む3つ以上の層を備えている。III族窒化物半導体素子層106は、具体的に、GaN層、AlGaN層、AlGaInN層、InGaN層等を備えている。
【0187】
素子110が複数のIII族窒化物半導体層105、106、109を有する場合、互いに隣接する島状III族窒化物系半導体層109間の距離は、概して、30μm以下、好ましくは、10μm以下であるが、これらの数字に限定されない。
(エピタキシャル側方過成長)
【0188】
成長制限マスク102の縞状開放エリア103から成長制限マスク102上で側方に成長するELO III族窒化物層105の結晶化度は、非常に高く、高品質半導体結晶から作製されるIII族窒化物系半導体層105、106、109が、取得されることができる。
【0189】
さらに、2つの利点が、ELOをIII族窒化物基板101とともに使用して、取得され得る。1つの利点は、高品質III族窒化物半導体層105、106、109が、サファイア基板101を使用することと比較して、非常に低い欠陥密度等を伴って取得され得ることである。別の利点は、エピ層105、106、109、および基板101の両方に類似または同一の材料を使用することによって、エピタキシャル層105、106、109内の歪みが低減させられ得ることである。類似または同一の熱膨張により、方法は、エピタキシャル成長中の基板101の屈曲の量も低減させ得る。効果は、上記のように、生産収率が、温度の一様性を改良するために高くあり得ることである。
【0190】
他方において、サファイア(m、c面)LiAlO、SiC、Si等のヘテロ基板101が、III族窒化物テンプレート層とともに使用されることができる。ヘテロ基板101の利点は、サファイア、Si等を用いると、低コストであることであり、それは、大量生産のために重要である。ヘテロ基板101は、劈開点におけるより弱い接合強度に起因して、除去することも容易である。
【0191】
複数の島状III族窒化物半導体層109が、成長させられ、これらの層が、互いに分離されているとき、すなわち、孤立して形成されているとき、引っ張り応力または圧縮応力が、島状III族窒化物半導体層109に限定され、引っ張り応力または圧縮応力の効果は、他のIII族窒化物半導体層に影響を及ぼさない。
【0192】
成長制限マスク102とELO III族窒化物層105とが化学的に接合されないので、ELO III族窒化物層105内の応力は、成長制限マスク102とELO III族窒化物層105との間の界面において引き起こされるスライドによって緩和されることもできる。
【0193】
また、非成長領域104である島状III族窒化物半導体層109間の間隙の存在は、島状III族窒化物半導体層109の行を有する基板101をもたらし、基板101は、可撓であり、したがって、外部力が加えられると容易に変形させられ、屈曲させられ得る。したがって、基板101内にわずかな反り、湾曲、または変形が発生する場合でさえ、それは、小さい外部力によって容易に補正され、亀裂の発生を回避することができる。結果として、真空チャックによる基板101の取り扱いが、可能であり、それは、半導体素子110の製造プロセスをより容易に実行されるようにする。
【0194】
さらに、高品質半導体結晶から作製される島状III族窒化物半導体層109は、基板101の湾曲を抑制することによって成長させられることができ、さらに、III族窒化物半導体層105、106、109が、非常に厚いときでさえ、亀裂等の発生は、抑制されることができ、それによって、大きい面積の半導体素子110が、容易に実現されることができる。
(平坦な表面領域)
【0195】
平坦な表面領域107は、バンド屈曲領域108間にある。さらに、平坦な表面領域107は、成長制限マスク102の上にある。
【0196】
半導体素子110の製作は、平坦な表面領域107上で主に実施される。平坦な表面領域107の幅は、好ましくは、少なくとも5μmであり、より好ましくは、10μm以上である。平坦な表面領域107は、平坦な表面領域107内に各半導体層105、106、109の厚さの高い一様性を有する。
(非成長領域)
【0197】
非成長領域104は、互いに隣接する島状III族窒化物系半導体層109間の距離を画定し、概して、20μm以上、好ましくは、5μm以上であるが、これらの値に限定されない。
(層屈曲領域)
【0198】
図24(a)および24(b)は、層屈曲領域108を図示する。無極性または半極性基板101が、使用される場合、隆起構造を形成するための主要なエリアである平坦な表面領域107内の第1のファセット2401、および、層屈曲領域108において、第2のファセット2402と可能な第3のファセット2403とが存在し得る。
【0199】
活性層106bを含む層屈曲領域108が、LED素子110内に留まる場合、活性層106bからの放出された光の一部が、再吸収される。結果として、エッチングによって、層屈曲領域108内の活性層106bの少なくとも一部を除去することが好ましい。
【0200】
活性層106bを含む層屈曲領域108が、レーザダイオード素子110内に留まる場合、レーザモードが、低い屈折率に起因して、層屈曲領域108による影響を受け得る(例えば、InGaN層)。結果として、エッチングによって、層屈曲領域108内の活性層106bの少なくとも一部を除去することが好ましい。
【0201】
2つのエッチングが、活性層106bを除去するために実施され得、第1のエッチングが、基板101からエピ層105、106、109を除去する前、第2のファセット2402の領域内の活性層106bを除去するために実施され、第2のエッチングが、基板101からエピ層105、106、109を除去した後、第3のファセット2403の領域内の活性層106bを除去するために実施される。
【0202】
活性層106bによって形成される放出領域は、電流注入領域である。レーザダイオード素子110の場合、放出領域は、隆起構造である。LEDの場合、放出領域は、p接触電極を形成するための領域である。
【0203】
LDおよびLEDの両方に関して、放出領域の縁は、層屈曲領域108の縁から少なくとも1μm以上、より好ましくは、5μmであるべきである。
【0204】
別の視点から、開放エリア103を除く平坦な表面領域107のエピタキシャル層は、開放エリア103のエピタキシャル層より少ない欠陥密度を有する。したがって、隆起縞構造が、ウィング領域を含む平坦な表面領域107に形成されるべきであることが、より好ましい。
(素子)
【0205】
素子110は、例えば、ショットキーダイオード、発光ダイオード、半導体レーザ、フォトダイオード、トランジスタ等を備え得るが、これらの素子に限定されない。本発明は、縁発光レーザおよび垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)等のマイクロLEDおよびレーザダイオード、特に、劈開されたファセットを要求する半導体レーザのために特に有用である。
(ポリマー膜)
【0206】
ポリマー膜1101は、III族窒化物系基板101、またはヘテロ基板101とともに使用されるGaNテンプレートから島状III族窒化物半導体層109を除去するために使用される。本発明において、市販されているUV感受性ダイシングテープを含むダイシングテープが、ポリマー膜1101として使用されることができる。例えば、ポリマー膜1101の構造は、
図25(a)および25(b)に示されるように、それぞれ、三重層1102、1103、1104または二重層1103、1104を備え得るが、それらの例に限定されない。例えば、約80μmの厚さを有する基膜1102材料は、ポリ塩化ビニル(PVC)から作製され得る。例えば、約38μmの厚さを有するバッキング膜1103材料は、ポリエチレンテレフタレート(P.E.T.)から作製され得る。例えば、約15μmの厚さを有する接着剤層1104は、アクリルUV感受性接着剤から作製され得る。
【0207】
ポリマー膜1101が、UV感受性ダイシングテープであり、UV光にさらされると、膜1101の粘着性は、著しく低減させられる。基板101から島状III族窒化物半導体層109を除去した後、ポリマー膜1101は、UV光にさらされ、それは、それを除去しやすくする。
(ヒートシンクプレート)
【0208】
ヒートシンクプレート1505は、好ましくは、AlN、SiC、Si、Cu、CuW、および同等物から作製され、はんだは、好ましくは、Au-Sn、Su-Ag-Cu、Agペースト等である。
(異なる実施形態)
【0209】
以下は、III族窒化物素子110を製造するための異なる実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
【0210】
第1の実施形態において、使用される基板101は、ミスカット配向がないm面III族窒化物基板101である。
図7(a)および7(b)(0°)に示されるように、ELO III族窒化物層105は、非常に滑らかな表面を伴って一様である。
【0211】
ELO層が、PL測定によって測定された。
図3(b)に示されるように、錐体ヒロック111は、開放エリア103内にほぼ完全に含まれていることが分かり得る。
【0212】
その後、
図4(a)および12に示されるように、島状III族窒化物半導体層109は、
図11(a)-11(e)に示される方法を使用して除去される。
【0213】
除去後、
図12(a)および12(b)のPLおよびDIC画像が、ELO III族窒化物層105から作製された。
図12(a)および12(b)に示されるように、ELO III族窒化物層は、除去後、錐体ヒロック111を含み、その後面は、錐体ヒロック111による影響を受けなかった。こうすることによって、ELO III族窒化物層105および素子110は、錐体ヒロック111による影響を受けない。エピ層105に錐体ヒロック111を埋め込む能力は、エピ層105の滑らかな表面を取得するための重要な新しい方法を提供する。
【0214】
次いで、島状III族窒化物半導体層109は、素子110に分割される。
図26(a)および26(b)は、結果として生じるファセット904が原子的に滑らかである劈開後の島状III族窒化物半導体層109のファセット904を示す。
【0215】
島状半導体層109は、上で記載される方法、すなわち、ステップ1-13によって処理されることができる。こうすることによって、レーザダイオード素子110が、取得されることができる。
(第2の実施形態)
【0216】
第2の実施形態において、ELO構造が、
図27(a)-27(g)に図示されるように、取得される。これらの構造は、LED素子110のために好適である。
【0217】
図27(a)に示されるような2型設計において、成長制限マスク102は、いくつかのサブマスク2701を有する。各サブマスク2701は、長さを有し、幅寸法は、30μmから300μmまで変動する。各サブマスク2701において、成長制限マスク102は、3μm~7μmの幅を伴い、7μm~3μmの間隔において開放エリア103を有する。全てのサブマスク2701において成長させられるELO III族窒化物層105は、合体させられ、隣接するサブマスク2701間での合体を停止するように配慮される。
【0218】
図27(b)に示されるような3型設計において、成長制限マスク102は、7μm~3μmの間隔において、3μm~7μmの幅の開放エリア103を有し、それらは、成長制限マスク102全体の全体を通してパターン化され、成長制限マスク102の縞は、半極性および無極性III族窒化物系基板101に関して、<11-20>軸と垂直であり、C面III族窒化物系基板101に関して、無極性方向に沿っている。
【0219】
成長制限マスク102における開放エリア103から成長させられるELO III族窒化物層105は、
図27(b)に示されるように、表面全体を被覆する成長制限マスク102の上で合体させられる。ELO III族窒化物層105は、次いで、
図27(c)に示されるように、領域2703内のエッチングを介して、サブマスク2701パッチ2702に分割される。サブマスク2701パッチ2702は、
図27(d)において、拡大されている。
【0220】
基板101と、成長制限マスク102と、開放エリア103と、島状III族窒化物半導体層109とを含む結果として生じる構造の断面側面図が、
図27(e)に示される。
図27(f)に示されるように、隆起プロセスが、クラッディング層806と、電流制限層807と、p電極808とを含み得るLD素子110を形成するために実施され得る。別様に
図27(g)に示されるように、隆起プロセスは、LED素子110を形成するために必要ではなく、クラッディング層806およびp電極808が、堆積させられる。
【0221】
この場合、
図28に示されるように、滑らかな表面が、取得されることができる。本発明はまた、錐体ヒロック111も埋め込む。
(第3の実施形態)
【0222】
第3の実施形態は、ELO III族窒化物層105を除去しないことを除き、第1の実施形態とほぼ同一である。
【0223】
本実施形態プロセスは、上で説明されるようなステップ1からステップ5に関して同じである。ステップ5の後、ELO III族窒化物層105と反対側の基板101の裏側は、基板101厚さが120μm未満になるまで研磨される。次いで、n電極1504が、基板101の裏側に配置され、基板101の裏側は、それをバー901に分割するようにレーザによって彫られる。基板101は、従来の切断方法によってバー901に分割され、バー901は、ステップ10に示されるようにコーティングされ、次いで、バー901は、素子110に切断される。次に、素子110は、ヒートシンク1505上に搭載される。最後、素子110は、
図21に図示されるように、ステム2102上に搭載される。
【0224】
この場合、錐体ヒロック111も、ELO III族窒化物層105に埋め込まれることができる。
(プロセスステップ)
【0225】
図29は、III族窒化物半導体素子110を製作する方法を図示するフローチャートであり、島状III族窒化物半導体層109が、成長制限マスク102およびエピタキシャル側方過成長を使用して、基板101上に成長させられ、エピタキシャル側方過成長が、島状III族窒化物半導体層109が合体する前に停止させられる。
【0226】
ブロック2901は、ベース基板101を提供するステップを表す。一実施形態において、ベース基板101は、GaN系基板101等のIII族窒化物系基板101、または異種またはヘテロ基板201である。
【0227】
ブロック2902は、基板101上に中間またはテンプレート層を堆積させる随意のステップを表す。一実施形態において、テンプレート層は、GaN系層等のIII族窒化物系層である。
【0228】
ブロック2903は、基板101の上または上方に(すなわち、基板101自体の上またはテンプレート層の上に)成長制限マスク102を形成するステップを表す。成長制限マスク102は、複数の縞状開放エリア103を含むようにパターン化される。
【0229】
ブロック2904は、エピタキシャル側方過成長を使用して、成長制限マスク102の上または上方に1つ以上のIII族窒化物系層105を成長させるステップを表し、III族窒化物層105のエピタキシャル側方過成長は、成長制限マスク102の開放エリア103と平行な方向に延び、エピタキシャル側方過成長は、III族窒化物層105が成長制限マスク102上で合体する前に停止させられる。一実施形態において、ELO III族窒化物層105は、ELO GaN系層105である。
【0230】
ブロック2905は、ELO III族窒化物層105上で1つ以上の追加のIII族窒化物半導体素子層106を成長させるステップを表す。これらの追加のIII族窒化物半導体素子層106は、ELO III族窒化物層105とともに、バー901として成形され得る島状III族窒化物半導体層109のうちの1つ以上のものを形成する。
【0231】
ブロック2906は、従来の方法によって、平坦な表面領域107上で島状III族窒化物半導体層109から素子110を製作するステップを表し、隆起構造、p電極、pパッド等が、所定の位置において島状III族窒化物半導体層109上に配置され、素子110は、レーザダイオード素子110または発光ダイオード素子110を備え得る。このステップは、素子110の側面ファセットにおける劈開のために支持構造を形成することも含み得る。
【0232】
ブロック2907は、ポリマー/接着膜1101を素子110のバー901に適用し、1つ以上の側面から圧力を膜1101に加え、膜1101の温度を変化させ、および/または、圧力が加えられ、および/または、温度が変化させられた後、基板101から素子110とともに膜1101を剥離するステップを表し、島状III族窒化物半導体層109の少なくとも一部は、剥離後、基板101とともに留まり得る。このステップは、ウェットエッチングによって成長制限マスク102を溶解させることも含み得る。
【0233】
ブロック2908は、バー901を1つ以上の素子110またはチップに劈開するステップを表す。
【0234】
ブロック2909は、ヒートシンクプレート1505上に素子110を搭載し、スペーサプレート1701上にヒートシンクプレート1505を搭載し、コーティングホルダ1702の中にスペーサプレートを格納し、次いで、コーティングホルダ1702を使用し、レーザ素子110のファセット904をコーティングするステップを表す。このステップは、スペーサプレート1701を個々の素子110に分割することも含み得る。
【0235】
ブロック2910は、素子110をスクリーニングし、次いで、パッケージの上/中に素子110を搭載するステップを表す。
【0236】
方法の結果として生じる製品は、本明細書に説明および図示されるように、方法に従って製作される1つ以上のIII族窒化物系半導体素子110、および素子110から除去され、再生利用および再利用のために利用可能である基板101を備えている。
(専門用語)
【0237】
本明細書で使用されるような用語「III族窒化物」または「III族窒化物」または「窒化物」は、0≦w≦1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、かつ、w+x+y+z=1である式BwAlxGayInzNを有する(B,Al,Ga,In)N半導体に関連する任意の組成物または材料を指す。本明細書で使用されるようなこれらの用語は、単一種、すなわち、B、Al、Ga、およびInの個別の窒化物、およびそのようなIII族金属種の2元、3元、および4元組成物を含むと広義に解釈されることを意図している。故に、これらの用語は、限定ではないが、AlN、GaN、InN、AlGaN、AlInN、InGaN、およびAlGaInNの化合物を含む。(B,Al,Ga,In)N成分種のうちの2つ以上のものが存在するとき、(組成物に存在する(B,Al,Ga,In)N成分種の各々の存在する相対モル分率に対する)化学量論的割合および非化学量論的割合を含む全ての可能な組成物が、本発明の広い範囲内で採用されることができる。さらに、本発明の範囲内の組成物および材料は、ドーパントおよび/または他の不純物材料および/または他の包含材料の数量をさらに含み得る。
【0238】
本発明は、III族窒化物の特定の結晶配向、方向、終端、および極性の選択も対象とする。ミラー指数を使用して、結晶配向、方向、終端、および極性を識別するとき、中括弧{}の使用は、丸括弧()の使用によって表される対称同等面の組を表す。角括弧[]の使用が、方向を表す一方、角括弧<>の使用は、対称同等方向の組を表す。
【0239】
多くのIII族窒化物素子が、極性配向、すなわち、結晶のc面{0001}に沿って成長させられるが、それは、強い圧電および自発分極の存在に起因して、望ましくない量子閉じ込めシュタルク効果(QCSE)をもたらす。III族窒化物素子において分極効果を減少させることへの1つのアプローチは、結晶の無極性または半極性配向に沿って素子を成長させることである。
【0240】
用語「無極性」は、集合的にa面として公知である{11-20}面と、集合的にm面として公知である{10-10}面とを含む。そのような面は、面あたり等しい数のIII族および窒素原子を含み、電荷中性である。後続の無極性層が、互いに同等であるので、バルク結晶は、成長方向に沿って分極されないであろう。
【0241】
用語「半極性」は、c面、a面、またはm面として分類されることができない任意の面を指すために使用されることができる。結晶学的用語において、半極性面は、少なくとも2つのゼロではないh、i、またはkミラー指数と、ゼロではないlミラー指数とを有する任意の面を指すであろう。後続の半極性層が、互いに同等であるので、結晶は、成長方向に沿って低減した分極を有するであろう。
(結論)
【0242】
ここで、本発明の好ましい実施形態の説明を結論付ける。本発明の1つ以上の実施形態の前述の説明は、例証および説明の目的のために提示されている。包括的であること、または本発明を開示される精密な形態に限定することは、意図されていない。多くの修正および変形例が、上記の教示に照らして可能である。本発明の範囲は、本発明を実施するための形態によってではなく、むしろ、本明細書に添付される請求項によって限定されることが意図される。
【図 】