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▶ 川原 良介の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】背景布
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/56 20210101AFI20230920BHJP
   G03B 15/06 20210101ALI20230920BHJP
【FI】
G03B17/56 Z
G03B15/06
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022090752
(22)【出願日】2022-06-03
【審査請求日】2023-04-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522222629
【氏名又は名称】川原 良介
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川原 良介
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106285066(CN,A)
【文献】登録実用新案第3229739(JP,U)
【文献】特開2008-065241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/56
G03B 15/06
G03B 21/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、該基材の一方の面に形成された粘着面と、を有する帯状の取付部材と、
前記取付部材の一部に接続される帯状のシートと、を備え、
前記粘着面は、帯の巻き出し方向に沿った縁部にシート接続領域を有し、
前記シートの帯の巻き出し方向に沿った端部は、前記シート接続領域に接続され、前記取付部材と一体に形成されており、
前記粘着面が内側に来るようにロール状に巻装した場合、前記シート接続領域を除く前記粘着面が、前記基材の他方の面に粘着し、
使用時は、前記取付部材と前記シートが一体的にロールから所望の長さを巻き出して切り離され、使い捨て可能である
背景布。
【請求項2】
基材と、該基材の両面に形成された粘着面と、を有する帯状の取付部材と、
前記取付部材の一方の前記粘着面に接続される帯状のシートと、を備え、
前記シートの帯の巻き出し方向に沿った端部は、前記取付部材の前記一方の粘着面全体を覆うように接続され、前記取付部材と一体に形成されており、
他方の前記粘着面が内側に来るようにロール状に巻装した場合、前記他方の粘着面が、前記一方の粘着面に接続された前記シートの端部の反対側面に粘着し、
使用時は、前記取付部材と前記シートが一体的にロールから所望の長さを巻き出して切り離され、使い捨て可能である
背景布。
【請求項3】
請求項1または2に記載の背景布であって、
前記シートは、予め折り畳まれており、前記取付部材に接続される側と反対方向に展開可能である
背景布。
【請求項4】
請求項1または2に記載の背景布であって、
前記取付部材は、前記シートより硬直性のある素材で形成されている
背景布。
【請求項5】
請求項1または2に記載の背景布であって、
前記取付部材の厚さは、前記シートより厚く形成されている
背景布。
【請求項6】
請求項1または2に記載の背景布であって、
前記シートは、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、紙、布の何れかである
背景布。
【請求項7】
請求項1または2に記載の背景布であって、
前記取付部材と前記シートは、一体的に巻き出して使用可能に、ロール状に巻装されている
背景布。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背景布に関する。
【背景技術】
【0002】
SNS(Social Network Service)、WEB会議ツール等を使ったオンライン上での動画配信やコミュニケーションが日常的に行われている。動画を撮影する際や、オンライン上でコミュニケーションをとる際には、被写体の後ろに部屋の内装が映り込まないよう背景布を設置することがある。背景布は、背景布スタンドに掛けて固定したり、棚などにフックで掛けて吊るしたりするのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3232875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、コンパクトに折り畳んで持ち運びすることが可能な可搬式撮影スタジオキットが記載されている。しかし、背景布スタンドを設置したり、片づけたりするのには手間がかかる。また、背景布スタンドを設置するための場所を確保する必要がある。そこで、SNS等での配信動画の作成時の背景や、オンラインミーティング時の背景を簡易に作成したいというニーズに応える背景布の出現が求められている。
【0005】
本発明は、上記課題を解決し簡易に背景を作ることができる背景布を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題の少なくとも1つを解決するものであるが、その例を挙げるならば、次の通りである。すなわち、本発明の一態様に係る背景布は、基材と、該基材の一方に形成された取付面と、を有する取付部材と、前記取付部材の少なくとも一部に接続されるシートと、を備え、前記取付面は、一端に沿う縁部にシート接続領域を有し、前記シートの端部は、前記シート接続領域に取り付けられている。
【0007】
あるいは、背景布は、基材と、該基材の両面に形成された取付面と、を有する取付部材と、前記取付部材の少なくとも一部に接続されるシートと、を備え、前記シートの端部は、前記取付部材の一方の前記取付面に取り付けられているものであってもよい。
【0008】
前記シートは、予め折り畳まれており、前記取付部材に接続される側と反対方向に展開可能であってもよい。
【0009】
前記取付部材は、前記シートより硬直性のある素材で形成されていてもよい。
【0010】
前記取付部材の厚さは、前記シートより厚く形成されていてもよい。
【0011】
前記シートは、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、紙、布の何れかであってもよい。
【0012】
前記取付部材と、前記シートは、一体的に巻き出して使用可能に、ロール状に巻装されていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡易に背景を作ることができる背景布を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る背景布の概略構成例を示す図である。
図2】本実施形態に係る背景布の使用方法の一例を示す図である。
図3】本実施形態に係る背景布のシートの展開例を示す図である。
図4】本実施形態の変形例に係る背景布の概略構成例を示す図である。
図5】本実施形態の他の変形例に係る背景布の概略構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態の例について、図面を参照して説明する。なお、下記実施形態および変形例において共通する構成要素については、前出の符号と同様な符号を付し説明を省略することがある。また、本願において、構成要素等の形状、位置関係等に言及する場合は、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。
【0016】
図1は、本実施形態に係る背景布1の概略構成例を示している。図1(a)は、背景布の斜視図、図1(b)は、図1(a)におけるA-A断面の模式図、図1(c)は、シート20が折り畳まれた構造を説明するための斜視図を示している。本実施形態では、図1において巻き出された背景布1の紙面上側がロール状に巻かれた状態では内側に位置するものとする。本実施形態に係る背景布1は、取付部材10を壁などに貼付し、取付部材10に接続され折り畳まれたシート20を開くと、被写体の背景として使えるものである。
【0017】
背景布1は、取付部材10と、シート20と、を備えている。背景布1は、帯状であり使用前(保管時など)においては、ロール状に巻かれている。使用時には、取付部材10とシート20とを一体的に巻き出すことが可能である。
【0018】
取付部材10は、シート20の一端に接続した帯状の部分である。本実施形態では、取付部材10として粘着テープを用いる。取付部材10は、基材11と、取付面12と、を備える。取付面12は、基材11の一方の面(ロールの内側)に形成される。取付面12は、貼付領域121と、シート接続領域122と、を有する。貼付領域121は、壁等に貼り付けられる領域であり、シート接続領域122は、シート20と接続する領域である。本実施形態では、貼付領域121およびシート接続領域122は、粘着剤を用いる。貼付領域121およびシート接続領域122は、取付面12を巻き出し方向(長さ方向)に平行に2分割して設けられている。
【0019】
貼付領域121およびシート接続領域122は、取付部材10の幅に対し、例えば、8対2の割合になるように設けられる。ただし、シート20が取付部材10から外れない程度の強度を有していれば、シート接続領域122の幅は限定されない。取付面12は、本実施形態では、粘着力を有する粘着剤であり、粘着剤は、一般的に用いられている粘着剤を適宜使用することができる。例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤等を用いることができる。なお、粘着剤による取付面12には、使用時に剥離するための剥離シートが貼付されていてもよい。
【0020】
シート20は、折り畳むことができる柔軟性を有する軽量の素材から形成される。シート20は、背景として使用するため、シート20の後方が透けて見えない不透明または半透明の素材であることが望ましい。例えば、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、紙などである。シート20は、取付部材10により壁などから吊るした状態で取付部材10が簡単に剥がれなければ、ある程度の重さを有していてもよく、例えば、布などの素材であってもよい。また、シート20は、色付きであってもよい。
【0021】
シート20は、取付部材10の少なくとも一部に接続される。具体的には、シート20は、端部が取付面12の巻き出し方向に平行な一端側に有しているシート接続領域122に取付けられ、取付部材10と一体に形成されている。シート20は、縁部に平行に折り目21に沿って予め折り畳まれており、取付部材10に接続される側と反対方向に展開可能に形成されている。
【0022】
取付部材10は、シート20より硬直性のある素材で形成される。また、取付部材10の厚さは、シート20より厚く形成されている。保管や運搬の容易性のため、背景布1の使用前の全体的なサイズを小さくしつつ、軽量化することを考えると、全体的に薄く柔軟な素材で形成するのが好ましい。しかし、取付部材10の部分が薄く柔らかすぎると皺が生じやすく、貼り付け時の操作性が悪くなる。そこで、取付部材10は、シート20より硬直性のある素材(つまり、曲がりにくい素材)で形成されているのが好ましい。あるいは、取付部材10の厚さを、シート20より厚く形成して、曲がりにくくしてもよい。
【0023】
図2は、本実施形態に係る背景布1の使用例を示す。図3は、本実施形態に係る背景布1のシート20の展開例を示す。背景布1は、ロール状に巻装された取付部材10とシート20を所望の長さ巻き出してハサミ等により切り離して使用することができる。図2に示すように、取付部材10の取付面12の貼付領域121を天井に貼付して背景布1を取り付ける。背景布1を天井に取り付けた後、シート20を下方向に展開していく。本実施形態では、シート20は、3つに折り畳まれており、図3に示す矢印の方向に展開していく(図3(a)、(b)、(c))。シート20を展開すると、背景として使用することができる。使用後は取付部材10を天井から剥がせば片付けが終了する。なお、シート20は、天井に貼付前に展開してもよい。
【0024】
以上、本実施形態について説明した。本実施形態によれば、簡易に背景を作ることができる背景布を提供することができる。背景布1は、適当な個所で切断して使用することができる。また、取付部材10を壁や天井に貼付するだけで簡単に被写体の背景として使用することができる。背景布1は、簡単に背景を作成でき、使用後は廃棄可能な使い捨てとすることができる。背景布1は、使用したい箇所の大きさに合わせてカットして使用できるため、使用者の背景側を全部覆うこともでき、例えば、部屋をきれいに片づけて空間を準備しなくても使用することができる。
【0025】
背景布1は、本実施形態の変形例として示す図4のように、例えば、模様を有していてもよい。模様は、シート20のみならず、基材11の取付面12と反対側の面も有していてもよい。基材11にも模様を有することで、取付部材10とシート20が一体的に見えるようにできる。背景布1は、模様や色を有していることで、壁紙のように使用することができる。また、例えば、緑色を有していれば、動画作成においてグリーンバック合成に用いることができる。
【0026】
図5は、本実施形態の他の変形例を示している。取付部材10は、基材11の両面に取付面12有している。一方が貼付領域121、他方がシート接続領域122を構成している。シート20は、シート接続領域122である他方の取付面12全体を覆うようにシート接続領域122に貼付される。これにより、取付部材10が目立たないように背景布1を形成することができる。また、背景布1は、取付部材10が目立たず、背景の見た目をすっきりさせることができる。なお、一方の粘着剤による取付面12には、使用時に剥離するための剥離シートが貼付されていてもよい。
【0027】
取付面12のシート接続領域122は、粘着剤に限定されず、例えば、面ファスナー、線ファスナー等であってもよい。シート接続領域122は、シート20とシート接続領域122が簡単に外れないように接続されていれば、貼付領域121と同じ素材でなくてもよい。例えば、貼付領域121が粘着剤、シート接続領域122を面ファスナーとすれば、取付部材10は、壁等に取り付けたままでシート20のみ取り替えて背景とすることができる。シート20の端部に、面ファスナー、線ファスナー等を設けることも可能である。
【0028】
また、貼付領域121が面ファスナー、線ファスナー等であってもよい。この場合、壁等には、貼付領域121のファスナーを取付可能な対となるファスナーを設置すればよい。
【0029】
なお、取付部材10が粘着テープである場合、シート接続領域122へのシート20との接続方法は粘着に限らず、例えば、接着、逢着、溶着、ファスナーなど他の方法であってもよい。また、貼付領域121が面ファスナー、線ファスナー等である場合も、シート接続領域122へのシート20との接続方法は粘着に限らず、例えば、接着、逢着、溶着、ファスナーなど他の方法であってもよい。
【0030】
また、上述の実施形態では取付面12がロールの内側を向くように巻かれるが、取付面12がロールの外側を向くように巻かれてもよい。
【0031】
以上、本発明に係る背景布の実施形態について説明したが、これらは本発明の一例に過ぎず、本発明はこれらに限定されない。本発明には、上記した実施形態やその変形例を組み合わせた形態や、さらに様々な変形例が含まれる。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0032】
1:背景布、10:取付部材、11:基材、12:取付面、20:シート、21:折り目、121:貼付領域、122:シート接続領域
【要約】
【課題】簡易に背景を作ることができる背景布を提供する。
【解決手段】背景布は、
基材と、該基材の一方に形成された取付面と、を有する取付部材と、取付部材の少なくとも一部に接続されるシートと、を備え、取付面は、一端に沿う縁部にシート接続領域を有し、シートの端部は、シート接続領域に取り付けられている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5