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特許7351583高損失ループバック(HLLB)データを用いた光伝送システムにおける要素のパラメータ報告のための技術及びそれを実施するラインモニタリングシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】高損失ループバック(HLLB)データを用いた光伝送システムにおける要素のパラメータ報告のための技術及びそれを実施するラインモニタリングシステム
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/073 20130101AFI20230920BHJP
【FI】
H04B10/073
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019003083
(22)【出願日】2019-01-11
(65)【公開番号】P2019126031
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2021-12-20
(31)【優先権主張番号】15/870,311
(32)【優先日】2018-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502101180
【氏名又は名称】サブコム,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(72)【発明者】
【氏名】リー リチャードソン
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク ハインリッヒ モース
(72)【発明者】
【氏名】ユンル シェイ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード クラム
(72)【発明者】
【氏名】ララ デニス ガレット
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン エム.リス
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-500579(JP,A)
【文献】特表2011-526138(JP,A)
【文献】特開2003-264512(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0202237(US,A1)
【文献】特開2016-012826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/073
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光伝送経路と、
前記光伝送経路に結合された複数のリピータであって、前記複数のリピータの各々が高損失ループバック(HLLB)経路を備える、複数のリピータと、
前記光伝送経路の第1の端部に結合された第1のラインモニタリング機器(LME)であって、第1のLMEテスト信号を前記光伝送経路上で送信し、前記第1のLMEテスト信号に応じて前記光伝送経路から第1のLMEループバックデータを受信するように構成され、前記第1のLMEループバックデータが前記光伝送経路上で前記HLLB経路の各々の位置に関連するピークを備える、第1のLMEと、
前記第1のLMEに結合されたコントローラであって、
前記第1のLMEループバックデータに基づいて、各々の動作パラメータが前記複数のリピータのうちの1つのリピータに対応する複数の動作パラメータを生成し、
前記複数のリピータのうちの1以上のリピータを選択し、
前記選択されたリピータの各々に関連する前記複数の動作パラメータのうちの1以上の動作パラメータの表示を含む報告メッセージを遠隔のコンピュータに送信する
コントローラと
を備え、
前記コントローラがさらに、
前記第1のLMEループバックデータを現在のベースラインループバックデータとしてメモリに記憶し、
第2のLMEテスト信号が前記第1のLMEによって前記光伝送経路上で送信されたことに応じて第2のLMEループバックデータを受信し、
前記受信した第2のLMEループバックデータを前記現在のベースラインループバックデータと比較して、第1の動作パラメータの変化及び前記複数のリピータのうちの関連するリピータを識別し、
前記識別された変化に基づいて、前記複数の動作パラメータのうちの、前記関連するリピータに対応する動作パラメータを更新する、光通信システム。
【請求項2】
前記複数の動作パラメータの各々は、出力パワー値、ゲイン値及び/又は増幅器累積ゲインチルト値の少なくとも1つを備える、請求項1に記載の光通信システム。
【請求項3】
前記複数の動作パラメータの各々はメモリにおけるルックアップテーブルに記憶され、前記ルックアップテーブルは前記複数のリピータの各々を対応する動作パラメータに関連付ける、請求項1または2に記載の光通信システム。
【請求項4】
前記報告メッセージは、前記コントローラがユーザからコマンドレスポンス(CR)メッセージを受信したことに応じて送信される、請求項1から3のいずれか一項に記載の光通信システム。
【請求項5】
前記CRメッセージが少なくとも1つのリピータ識別子を含み、前記複数のリピータのうちの前記選択された1以上のリピータの各々は前記少なくとも1つのリピータ識別子に対応する、請求項4に記載の光通信システム。
【請求項6】
前記更新された動作パラメータが、増幅器モデルの出力に基づいて更新される、請求項1から5のいずれか一項に記載の光通信システム。
【請求項7】
前記コントローラがさらに、前記更新された動作パラメータが所定の閾値を超えることに基づいて警告メッセージをユーザに送信する、請求項1から6のいずれか一項に記載の光通信システム。
【請求項8】
自動シグネチャ解析(ASA)プロセッサをさらに備え、前記第1の動作パラメータの前記識別された変化が、前記ASAプロセッサによって前記第1のLMEループバックデータの解析に基づいて識別される、請求項1から7のいずれか一項に記載の光通信システム。
【請求項9】
前記第1のLMEテスト信号が複数のチャネル波長を備え、該複数のチャネル波長が、前記光伝送経路に関連する帯域幅の最小チャネル波長に対応する低い値及び前記光伝送経路に関連する前記帯域幅の最大チャネル波長に対応する高い値を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の光通信システム。
【請求項10】
前記複数のリピータの各々が、第1及び第2の方向に光信号を伝搬させる第1及び第2の増幅器を含み、前記第1及び第2の増幅器が、前記第1の方向の出力パワーが前記第2の方向の出力パワーとは異なるような非対称励起構成を実現し、前記第1の方向は、前記光伝送経路の前記第1の端部から他方の端部に向かう方向であり、前記第2の方向は、前記光伝送経路の前記他方の端部から前記第1の端部に向かう方向である、請求項1から9までのいずれか一項に記載の光通信システム。
【請求項11】
前記光伝送経路の第2の端部に結合された第2のLMEであって、第2のLMEテスト信号を前記光伝送経路上で伝送し、前記第2のLMEテスト信号に応じて前記光伝送経路から第2のLMEループバックデータを受信するように構成され、前記第2のLMEループバックデータが前記光伝送経路上で前記HLLB経路の各々の位置に関連するピークを備える、第2のLMEをさらに備え、
前記複数の動作パラメータが、前記第1のLMEループバックデータ及び前記第2のLMEループバックデータに基づいて生成される、請求項1から10のいずれか一項に記載の光通信システム。
【請求項12】
光通信システムにおける光伝送経路を第1のラインモニタリング機器(LME)に結合されたコントローラにおいてモニタリングする方法であって、前記光伝送経路は前記光伝送経路に結合された複数のリピータを含み、前記リピータの各々が高損失ループバック(HLLB)経路を備え、前記方法が、
第1のラインモニタリング機器(LME)テスト信号を前記光伝送経路上に送信するステップと、
前記第1のLMEテスト信号に応じて前記光伝送経路から第1のLMEループバックデータを受信するステップであって、前記第1のLMEループバックデータが前記光伝送経路上で前記HLLB経路の各々の位置に関連するピークを備える、ステップと、
前記第1のLMEループバックデータに基づいてメモリにLMEベースラインデータを記憶するステップと、
前記記憶されたLMEベースラインデータに基づいて前記複数のリピータのうちの1つのリピータに関連する少なくとも1つの動作パラメータを含む報告メッセージをユーザに送信するステップと
を備え、
複数の動作パラメータをメモリに記憶するステップであって、前記複数の動作パラメータが前記受信された第1のLMEループバックデータに基づく、ステップと、
第2のLMEテスト信号が前記第1のLMEによって光伝送経路上で送信されたことに応じて第2のLMEループバックデータを受信するステップと、
前記受信された第2のLMEループバックデータを前記記憶されたループバックデータと比較して、少なくとも第1の動作パラメータの変化及び前記複数のリピータのうちの関連するリピータを識別するステップと、
前記識別された変化に基づいて、前記複数の動作パラメータのうちの前記関連するリピータに対応する動作パラメータを更新するステップと
をさらに備える方法。
【請求項13】
前記第2のLMEテスト信号を前記光伝送経路上に送信するステップと、
前記第2のLMEテスト信号に応じて前記光伝送経路から前記第2のLMEループバックデータを受信するステップであって、前記第2のLMEループバックデータが前記光伝送経路上で前記HLLB経路の各々の位置に関連するピークを備える、ステップと
をさらに備え、
前記メモリに記憶された前記LMEベースラインデータが、前記受信された第1及び第2のLMEループバックデータに基づく、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記動作パラメータは、出力パワー値、ゲイン値及び/又は増幅器累積ゲインチルト値の少なくとも1つを備える、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記報告メッセージが、リクエストメッセージを前記ユーザから受信したことに応じて
送信され、前記リクエストメッセージが前記複数のリピータのうちの少なくとも1つのリピータの識別子を含む、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記動作パラメータを更新するステップは、前記識別された変化が第1の所定の閾値を超えたことに応じて、前記識別された変化に基づいて、前記複数の動作パラメータのうちの前記関連するリピータに対応する動作パラメータを更新するステップを含む、請求項12から15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は通信システムに関し、より詳細には、海底ファイバ光ネットワーク中のリピータ及び他の要素の動作パラメータを測定し、報告する高損失ループバック(HLLB)データを利用するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
海中の光ファイバ通信システムは、湿潤状態のプラントの障害及びおそらくは侵略的な脅威を早期に検出及び解決することにより、それらの性能を保証してサービスの潜在的な損失を最小限に抑えるように日常的なモニタリングを必要とする。現在、確立されているモニタリング技術は、高損失ループバック(HLLB)技術によって各海底リピータ及び終端からループバックされた信号ピークを検出するラインモニタリングシステム(LMS)の使用を含む。
【0003】
光経路に沿って性能に変化があった場合、これらのループバック信号の振幅は、障害位置の周囲のリピータにおいて変化する。その変化は障害の状態を識別するのに利用され得る明確なパターンを示す。このような障害の状態は、例えば、ファイバスパン損失の変化、光増幅器励起レーザ出力パワーの変化及びファイバの破損を含む。対応する障害シグネチャに基づいて障害の状態を認識するいくつかのアプローチは、自動シグネチャ解析(ASA)の使用を含む。既存のASAに基づく障害解析は、伝送システムの比較的大きな変化を検出することはできるが、特定の要素の経時的に低下した性能を示し得る小さな変化を報告する正確さに欠けることがしばしばある。
【0004】
いくつかの海底伝送システムは、出力パワー及び入力パワーのような動作パラメータが各リピータから直接問い合わせられることを可能とするコマンドレスポンス(CR)構成を有するリピータを利用する。しかしながら、コマンドレスポンスは各リピータの中に、大幅にユニットコストを増加させ、運用寿命を短縮し得る特殊なハードウェアを必要とし、これは修理を実行不可能とする海底環境において特に問題がある。
【0005】
以下の図面との関連で読まれるべき以下の詳細な説明が参照されるべきであり、ここで、同一の数字は同じ部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本開示によるシステムの例示の一実施形態の簡略化したブロック図である。
図2図2は、本開示によるシステムの例示の他の実施形態の簡略化したブロック図である。
図3A図3Aは、本開示によるラインモニタリング機器(LME)システムの簡略化したブロック図である。
図3B図3Bは、本開示の実施形態による、周期的なラインモニタリングを実行する図3AのLMEについての一例のワークフローを示す。
図4A図4Aは、本開示の実施形態による検出された障害状態がない光伝送システムの複数のリピータについての差分ゲインデータ値を示すグラフである。
図4B図4Bは、本開示の実施形態による光伝送システムのリピータ間の障害に対応する差分ゲインデータ値を示す他のグラフである。
図5図5は、本開示の実施形態による-1から1までの位置係数にマッピングされた測定された差分ループゲインの微分(dDLG)及び終端T1に対する関連する重みづけ係数を示すグラフである。
図6A図6Aは、本開示によるLMEによって検出され得る障害状態についての障害シグネチャの例を示す。
図6B図6Bは、本開示によるLMEによって検出され得る障害状態についての障害シグネチャの例を示す。
図6C図6Cは、本開示によるLMEによって検出され得る障害状態についての障害シグネチャの例を示す。
図6D図6Dは、本開示によるLMEによって検出され得る障害状態についての障害シグネチャの例を示す。
図6E図6Eは、本開示によるLMEによって検出され得る障害状態についての障害シグネチャの例を示す。
図7図7は、本開示の実施形態による一例の自動シグネチャ解析処理のブロック図である。
図8図8は、本開示の実施形態による伝送システムに沿って検出された複数の障害シグネチャを示す。
図9A図9Aは、本開示の実施形態による独立した障害シグネチャに分解された図8の複数の障害シグネチャを示す。
図9B図9Bは、本開示の実施形態による独立した障害シグネチャに分解された図8の複数の障害シグネチャを示す。
図10図10は、本開示の実施形態による光伝送システムの全長が増加した後のループゲインシフトを示すグラフである。
図11図11は、本開示の実施形態による図1の光伝送システムで使用するのに適したリピータの増幅器対の例を示す。
図12図12は、本開示の実施形態による報告できるパラメータテーブル(RPT)の一例を示す。
図13図13は、本開示による方法による動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
概略として、本開示によるシステム及び方法は、高損失ループバック(HLLB)データに基づく各リピータ及び関連する海底の要素に特有な動作パラメータの捕捉及び更新を可能とする自動化されたラインモニタリングシステム(LMS)ベースライン化を提供する。そして、捕捉された動作パラメータは、コマンドレスポンス(CR)態様における特有の海底の要素を対象とする問合せを充足するのに使用され得る。したがって、コマンドレスポンス機能は、基板に搭載されたCR回路を有する海底の要素を配備することに関する追加コスト、複雑さ及び寿命の問題なしに達成され得る。概略として、ここで示すように、動作パラメータは、HLLBデータから直接的又は間接的に導出され得る任意のパラメータを含む。ある例では、動作パラメータの非限定的な例には、スパンゲイン損失、入力パワー、出力パワー、ゲイン及びゲインチルトが含まれる。
【0008】
図1は、本開示によるWDM伝送システム100の例示の一実施形態の簡略化したブロック図である。概略として、システム100は、双方向伝送経路102の両端から送信されるLMS信号を使用する各リピータ/増幅器に関連するループゲイン値を計算するように構成され得る。当業者は、説明の便宜上、非常に単純化されたポイント・ツー・ポイントシステム方式としてシステム100が図示されていることを認識するはずである。本開示によるシステム及び方法は広範なネットワーク構成要素及び構成に組みこまれ得るということが理解されるはずである。ここに示す例示の実施形態は限定としてではなく説明としてのみ提供される。
【0009】
図示するように、システム100は2本の一方向の光経路110、120によって結合された第1の終端T1及び第2の終端T2を含み、これはともに双方向光伝送経路102を形成する。第1の終端T1は伝送経路102の第1の終端と結合され、第2の終端T2は伝送経路102の第2の終端と結合される。ここで使用される用語「結合される」は、それによって1つのシステム要素によって搬送される信号が「結合される」要素に与えられる任意の接続、結合、リンク等のことをいう。これらの「結合される」デバイスは必ずしも相互に直接接続されていなくてもよく、このような信号を操作又は修正し得る中間構成要素又はデバイスによって分離され得る。
【0010】
光経路110は、終端T1における送信器112から終端T2における受信器114への一方向の複数のチャネル(又は波長)で光データを搬送することができる。光経路120は、終端T2における送信器124から終端T1における受信器122への経路110に関連する方向と逆方向に複数のチャネル(又は波長)で光データを搬送することができる。終端T1については、光経路110は外向きの経路であり、光経路120は内向きの経路である。終端T2については、光経路120は外向きの経路であり、光経路110は内向きの経路である。光経路110は光ファイバ116-1~116-n及び光増幅器118-1~118-nの交互の連結を含んでいてもよく、光経路120は光ファイバ126-1~126-n及び光増幅器128-1~128-nの交互の連結を含んでいてもよい。
【0011】
光経路対(例えば、光経路110、120)は、関連するリピータR1・・・Rnのハウジング131-1~131-nの中に配置され光ファイバ116-1~116-n及び126-1~126-nの対によって接続される増幅器対118-1~118n及び128-1~128-nのセットを含み得る。光ファイバ116-1~116-n及び126-1~126-nの対は、追加の経路対を支持するファイバとともに光ファイバケーブルに含まれ得る。各リピータR1・・・Rnは、各支持された経路対について増幅器118-1・・・118-n及び128-1・・・128-nの対を含み得る。光増幅器118-1・・・118-n及び128-1・・・128-nは簡略化した形式で示され、1以上のエビウムドープファイバ増幅器(EDFA)若しくは他のレアアースドープファイバ増幅器、ラマン増幅器又は半導体光増幅器を含み得る。HLLB経路132-1~132-nは、さらに詳細を後述するように、例えば、光経路110、120の間、リピータR1・・・Rnのハウジング131-1~131-nの1以上に結合されてもよく、例えば、1以上の受動的な光結合コンポーネントを含んでいてもよい。
【0012】
ラインモニタリング機器(LME)140、142は、経路対110、120のHLLBモニタリングを提供するように終端T1、T2の両方に配置され得る。LME140は、1以上のLMEテスト信号を、例えば、異なる波長及び/又は異なる周波数において、1つの光経路110(例えば外向きの光経路)へ出射することができる。HLLB経路132-1~132-nの各々は、光経路110において伝搬するLMEテスト信号のサンプルを前方伝搬方向の他の光経路120の(例えば内向きの光経路)に結合し得る。そして、LME140は、サンプルを受信及び測定してシステムにおける障害の表示としてのループゲインの変化を検出することができる。LMEテスト信号に応じてHLLB経路132-1~132-nを介して受信されたLMEテスト信号の受信サンプルをここではHLLBループバックデータ又は単にループバックデータという。
【0013】
LME142は、1以上のLMEテスト信号を、例えば、異なる波長及び/又は異なる周波数において、1つの光経路120(例えば外向きの光経路)へ出射することができる。HLLB経路132-1~132-nは、光経路120において伝搬するLMEテスト信号のサンプルを前方伝搬方向の他の光経路光経路110(例えば内向きの光経路)に結合し得る。そして、LME142は、サンプル(ループバックデータ)を受信及び測定してシステムにおける障害の表示としてのループゲインの変化を検出することができる。LMEテスト信号を送信し、ループバックデータを受信及び測定するためのLME140、142について種々の送信器及び受信器の構成が知られている。
【0014】
本開示によるシステムに有用な種々のHLLB経路構成が知られている。また、リピータR1・・・Rnの各々は関連するHLLB経路132-1~132-nを有するものとして示されているが、HLLB経路は他の場所に配置されてもよく、及び/又は全てのリピータR1・・・Rnに配置されなくてよい。いくつかの実施形態において、HLLB経路132-1~132-nは動作において対称であってもよく、すなわち、HLLB経路132-1による経路110から経路120に伝達される各波長の光パワーの割合を表示する関数は、HLLB経路132-1によって経路120から経路110に伝達される各波長の光パワーの割合を表示する関数と同じである。代替的に、1以上のHLLB経路は対称でなくてもよく、異なるHLLB経路が異なる伝達関数を有していてもよい。
【0015】
例えば、増幅器118-1~118-n及び128-1~128-nの対の各々は、モニタリングされる経路における光学性能の変化を検出する処理を促進する励起方式を含む。この例では、各増幅器対は非対称の励起構成で構成され得るものであり、それによって所与の増幅器対における増幅器の各々は他方と異なる出力パワーを有する。したがって、非対称励起方式は、特定の測定された変化に方向を割り当て、変化に関連し得る特定の要素を識別するのに利用され得る。例えば、単一のリピータが各方向に信号を増幅するように2つの増幅器、例えばA1及びA2を有していてもよい。2つの増幅器A1及びA2は、2つの同様の構成のレーザ、例えばL1及びL2によって励起されてもよい。この例では、A1は50%のL1及び50%のL2によって励起されてもよい。A2はまた、そのそれぞれのレーザによって同様の態様で励起されてもよい。反対に、他の割合はこの開示の範囲内ではあるが、非対称励起は例えば40%のL1及び60%のL2によって励起されるA1を含み得る。同様に、A2は60%のL1及び40%のL2によって励起されてもよい。
【0016】
図3Aは、本開示の例示の実施形態によるラインモニタリングシステム(LMS)300を示す。LMS300は、図1及び図2のLME140及び/又はLME142における使用に適し得る。LME300は、明確さを目的として非常に簡略化した方法で示され、限定的ではない。LMS300は、ハードウェア(例えば、回路)、ソフトウェア又はそれらの組合せにおいて実施され得る。実施形態において、LMS300は、少なくともある程度、LMS処理、例えば図13の処理1300を実行するコントローラ(不図示)によって実行され得る複数の命令として実施され得る。ここで一般にいうコントローラは、プロセッサ(例えば、x86処理)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、又は他の任意の適切な処理デバイス/回路として実装され得る。
【0017】
図示するように、LMS300は、高性能化自動シグネチャ解析(eASA)プロセッサ301、報告可能パラメータテーブル(RPT)更新器302、RPTストレージ303、ベースラインマネージャコンポーネント304、及び高損失ループバック(HLLB)ストレージ305を含む。RPTストレージ303及びHLLBストレージ305は、揮発性又は不揮発性メモリ領域に実装され得る。なお、LMS300の構成要素は同一のシステムに物理的に配置されなくてもよく、WDM伝送システム100の全体に分散されてもよい。例えば、RPTストレージ303及びHLLBストレージ305は、それぞれ終端局T1及びT2に配置されてもよい。したがって、本開示によるLMSは、所望の構成に応じたデータ及び/又は処理構成要素を共有するように相互に通信することができる。
【0018】
LMS300は、ネットワーク上で伝搬されたLMEテスト信号に応じて、伝送経路からの1以上のLMS高損失ループバック(HLLB)データセットの形式でのループバックデータ308(すなわちLMEループバックデータ308)を受信し得る。ループバックデータ308をHLLBデータセット又は単にHLLBデータともいう。そして、ループバックデータ308は、HLLBストレージ305を提供するメモリに記憶され得る。より詳細を後述するように、eASA301は、複数の測定時間からの差分HLLBデータセット上で動作して、複数のシステム終端点(終端局又は単に局ともいう)及び単一のループバックデータセットにおいて動作するASAアプローチに対して向上した正確さで結果を提供することができる。eASA301はまた、そのシグネチャが不完全である場合であっても、終端局/ランディング付近の変化を検出することができる。
【0019】
RPT更新器302(又はRPT更新モデル)は、eASA301からの出力を受信してもよく、光伝送システム、例えば、図1のWDM伝送システム100の1以上の関連するリピータ/要素に対応する動作パラメータにeASA301の出力をマッピングすることができる。さらに後述するように、RPT更新器302は、ベースラインRPT値とeASA301によって出力された値とを比較して差分(デルタ)を決定することができ、それは同様に動作パラメータへの変化を計算するのに用いられ得る。したがって、RPT更新器302は、RPTストレージ303にアクセスして、動作パラメータ及びeASA301の出力に基づく更新された任意のRPTベースライン値を記憶することができる。RPTストレージ303において更新及び記憶され得る1つの例のRPTテーブル(すなわちRPTルックアップテーブル)を図12に示す。RPTストレージのRPTデータを現在のベースラインRPTともいう。
【0020】
ベースラインマネージャ304は、eASA301へHLLBベースラインデータ(LMEベースラインデータともいう)を供給するように構成されてもよい。HLLBベースラインデータは、HLLBストレージ305に記憶される現在のHLLBベースラインを含み得る。動作中に、ベースラインマネージャ304は修正なしに現在のHLLBベースラインデータを維持することができ、第1の所定の閾値を超える検出された障害/状態に基づいてベースラインデータを局所的に修正することができ、又はHLLBベースラインデータセット全体を置き換えることができる。
【0021】
ベースラインマネージャ304はまた、RPTストレージ303に記録されたベースラインデータを供給/更新するように構成されてもよい。動作中に、ベースラインマネージャ304は、修正なしに現在のRPTベースラインデータを維持することができ、第1の所定の閾値を超える検出された障害/状態に基づいてベースラインデータを局所的に修正することができ、又はRPTベースラインデータセット全体を置き換えることができる。
【0022】
実施形態において、LMS300は、モニタリング及びデータ報告処理の周期的な実行を可能とする。各モニタリングサイクルの間、LMS300は、(例えば、図2に関して上述したようなWDM伝送システム100に沿って伝搬するLME試験信号に基づいて)新たなHLLBループバックデータセット308を局から受信することができ、そして、eASA301を使用して受信したデータセットの自動シグネチャ解析を実行し得る。そして、RPT更新器302は、ベースラインマネージャ304からのeASA301の出力及び現在のHLLBベースラインを利用してRPTストレージ303に記憶されたRPTテーブル値を更新し得る。ユーザはまた、入力パワー、出力パワー、ゲイン、スパン損失及びチルトのような結果をモニタリングするために、コマンドレスポンス的な態様でLMS300に問い合わせることができる。同様に、LMS300は、RPTストレージ303に記憶されたRPTデータを利用して問合せを充足することができる。
【0023】
LMS300のための一例のワークフロー350を図3Bに示す。図示するように、時間(T)0において、eASA301は、HLLBストレージ305から1以上のHLLBデータセット及び現在のHLLBベースラインデータを入力として受信する。また、T=0において、RPT更新器302は、RPTストレージからRPTテーブルに対応するRPTベースラインデータを受信する。HLLBデータセットをループバックデータセットともいい、HLLBベースラインデータをLMSベースラインデータともいう。続いて、eASA301は受信したHLLBデータセットを解析し、例えば、第1の所定の閾値(例えば、1%、5%、10%、又は他の適切な閾値)に基づいて、それを現在のHLLBベースラインデータ(HLLBcurrent)と比較して1以上の変化を検出する。第1の所定の閾値を超えるいずれの変化も、メモリにおける現在のHLLBベースラインデータ(HLLBcurrent)に記憶/更新され、新たなHLLBベースラインデータ(HLLBnew)を生成し得る。古いHLLBベースラインデータ(HLLBcurrent)と受信したHLLBデータセットとの間の変化も、RPTテーブルの動作パラメータを変化させるために第1のRPTデルタ値(RPTΔ)を生成するのに使用され得る。新たなHLLBベースラインデータ(HLLBnew)と古いHLLBベースラインデータ(HLLBcurrent)との間の変化は、RPTベースラインデータの変化(RPTBaselineΔ)を生成するのに使用され得る。変化が適用される前に、以前のRPTベースラインデータの複製がメモリに記憶されてもよい(RPTBaselineold)。そして、新たなRPTベースラインデータは、先のRPTベースラインデータ(RPTBaselineold)の値を変化したRPTベースラインデータ(RPTBaselineΔ)からの対応の値と合計することによって生成され得る。そして、更新されたRPTパラメータは、第1のRPTデルタ値(RPTΔ)からの対応する値と、以前のRPTベースラインデータRPTBaselineoldの値とを合計することによって計算されてもよい。
【0024】
そして、eASA301は、RPTベースラインデータを更新してからRPTストレージ303にそれを記憶し戻して、1以上の動作パラメータを置き換え、あるいは調整する。いくつかのそのような一例の動作パラメータは、入力パワー、出力パワー、ゲイン、スパン損失、スペクトルチルト並びに/又は各増幅器及び1以上の受信したHLLBデータセット内に表される隣接するスパンのスパン長を含む。
【0025】
図3Bに続き、所定の期間(例えば、10分、1時間、1日、1週間)の後、LMS300は、その後のLMSサイクル中の1以上の追加のHLLBデータセットを受信することができる。eASA301は、HLLBデータセットの解析を実行することができ、所定の閾値を超える1以上の測定された動作パラメータに基づいて障害状態が検出され得る。検出された障害のイベントにおいて、ベースラインマネージャ304は、RPTストレージ303における1以上の動作パラメータ及びHLLBストレージ305おけるHLLBベースラインデータセットを更新し得る。例えば、低下した出力パワーの増幅器はeASAによって検出されてもよいし、増幅器に対応するRPTテーブルの動作パラメータ値は更新されてもよい(図12参照)。同様に、HLLBベースラインデータは、増幅器の現在の動作状態を反映するように更新され得る。したがって、これらの再ベースライン化もループバックデータについて発生したものでも、RPTストレージ303は障害又は潜在的な障害の表示となり得る動作パラメータを含み得る。
【0026】
図1及び2に関して上述したように、WDM伝送システム100は、海底リピータ本体における双方向増幅器対及び終端増幅器において高損失ループバック光経路を含む。以下の記載及び式について、iを終端、jをループバック経路として、図1のHLLB経路132-1~132-nの各々は、HLLBi,jという表記を用いて参照され得る。これらの光経路は、指定されたテストチャネル波長の少量の光を伝送の一方向の光ファイバから伝送の逆方向の光ファイバにルーティングする。これらの反射往復信号は、終端局においてLMS300によって検出され、ループバックデータ308としてLMS300に変換あるいは供給される。
【0027】
このループバックデータ308は、光経路の伝送帯域内の少なくとも1つの光周波数/波長について、場合によっては2以上の波長で、測定され得る。ある具体的な例示の実施形態では、所与の帯域幅に対する高いチャネル波長及び低いチャネル波長(例えば、それぞれ最小及び最大波長)がテスト信号チャネル波長として選択され得る。ループバックデータ308の生成は、各終端サイト、例えば、T1及びT2からの測定を含み得る。したがって、ループバックデータ308は、複数のHLLBデータセットを含み得る。ある場合では、ループバックデータ308は、分岐ファイバ対ごとに、単一のデータセット及び、例えば、伝搬の各方向を表すトランクファイバ対からの2つのデータセットの少なくとも1以上を含み得る。さらに、ループバックデータ308は、伝送システムの特定の部分がモニタリングされる場合にWDM伝送システムの対象部分からの1以上のデータセットを含み得る。なお、C+L個のファイバ対について、HLLBデータセットは、C-バンド及びL-バンドの双方において測定され得る。
【0028】
実施形態では、ループバックデータ308内で表される伝送ラインに沿う累積ノイズが、低減あるいは最小化され得る。この目的のため、差分ループゲインは、
DLG=HLLBT1,j-HLLBT1,j-1=HLLBT2,j-1-HLLBT2,j ・・・式(1)
によって与えられ得る。
【0029】
差分ループゲインは、図1及び2に関して上述したように、2つのリピータの間の増幅器の光ゲインを示す。そして、差分ループゲインデータは、図3A及び3Bに関して上述したように、障害を検出するように、HLLBストレージ305に記憶されたベースライン差分ループゲインデータと比較され得る。比較は、式(1)から得られる差分ループゲインデータからベースラインの差分ループゲインデータを減算して差分ループゲインの微分を求めることを単に含み得る。したがって、差分ループゲインの微分は、
dDLG=(DLGData-(DLGBaseline ・・・式(2)
によって与えられ得る。
【0030】
WDM伝送システム100に障害がないシナリオでは、差分ループゲイン値の微分は約ゼロで変動する。例えば、図4Aに示すように、差分ループゲインデータ値404は、実質的にゼロである。なお、図4Aのデータ点は、複数サイトの合成データセットを適応させるように重み付けを付加した後に示され、より詳細を以下に説明する。非限定的な例を提供する目的のため、他の閾値は所望レベルの感度に応じて利用され得るが、0.25以下の絶対振幅値を有する差分ループゲインデータ値は実質的にゼロとみなされ得る。
【0031】
一方、図4Bに示すように、障害状態によって、差分ループゲインデータは固有のシグネチャを有し得る。図4Bにおいて、R3とR5の間に配置された増幅器内の励起は、低減され得るものであり、ピーク405となる。LMS300は、eASA301が関連の誤差状態を検出及び分類することを可能とするように、複数の所定のシグネチャを含み得る。代替的に、又は所定のシグネチャに加えて、LMS300は、訓練された技術者/プラント管理者によって与えられるシグネチャによって時間にわたってトレーニングされ得る。
【0032】
帯域ゲインデルタ(BDG)は、高周波及び低周波のdDLGの差として定義され得る。
BGD=(dDLGLF-(dDLGHF ・・・式(3)
【0033】
差分ループゲインは長距離伝送におけるノイズの影響を最小化あるいは低減されるが、データのエラーレートは測定距離に対して増加する。数百、数千又は数万キロメートルの伝送経路長の伝送システムに対して、誤差累積が大きくなり得る。実施形態では、誤差の導入は、複数の終端からのHLLBデータを合成することによって打ち消され得る。例えば、T1のLME140からの測定値は、T2のLME142からの測定値と合成され得る。したがって、第1及び第2の終端局からのHLLBデータは、
dDLG=r(dDLGT1+(1-r)(dDLGT2 ・・・式(4)
によって与えられ得る。ここで、(dDLGT1はT1からの差分ループゲインの微分であり、(dDLGT2はT2からの差分ループゲインの微分であり、rはT1からのdDLGの重み付けファクタである。
【0034】
そして、各HLLBループバック位置は、以下の式を用いて-1と1の間を範囲とする位置係数(図5参照)にマッピングされ得る。
【数1】
・・・式(5)
【0035】
実施形態では、重み付けファクタは、システムの構成に応じてデータをスケーリングするように適用され得る。重み付けファクタは、
【数2】
・・・式(6)
によって計算され得る。ここで、aは伝送システムについてのスケーリングファクタであり、eは2.71828に等しい数学的定数である。なお、重み付けファクタは、システム構成に基づいて変わり得るものであり、与えられた式(6)は限定的なものではない。例えば、光伝送システムの特定の構成に基づいて数値の離散的配列が利用され得る。
【0036】
また、中間スパン定数sが定義されるので、rが[s、1-s]外となりかつ(dDLGT1と(dDLGT2の間の差が過大である場合には、
max{|(dDLGT1|,|(dDLGT2|}>>min{|(dDLGT1|,|(dDLGT2|} ・・・式(7)
となる。
【0037】
そして、図5に示すように、rは、1(r>1-sの場合)又は0(r<sの場合)のいずれかとなり得る。
【0038】
実施形態では、障害シグネチャ解析は、励起低下、スパン損失などのようなHLLBデータから1以上の障害タイプを識別及び位置特定するように、LMS、例えば、LMS300によって実行され得る。そのような障害シグネチャ解析は、特定の物理障害位置を囲む複数スパンの障害シグネチャに対して実行され得る。
【0039】
上述したように、所定の障害シグネチャは、例えば、eASA301によって実行される処理中に比較の目的でLMSのメモリに記憶され得る。障害シグネチャは、例えば、シミュレーションに基づいていてもよいし、動作中にWDM伝送システム100に発生する測定イベントに基づいて生成(トレーニング)されてもよい。各測定周波数についてベースラインHLLBデータセットに基づいて計算可能な差分ループゲインデータの微分は、例えば、ASA解析処理中の使用について各LMSのメモリ、例えば、HLLBストレージ305にも記憶され得る。
【0040】
eASA301が検出し得る一例の障害イベント/状態タイプは、光励起レーザの出力パワーの低下を含み、これは光増幅器の動作を可能とする。その低下は、出力パワーのわずかな減少から、1以上の励起レーザの全体的な障害までを範囲とし得る。他の例の障害イベントタイプは、ファイバスパン減衰の低下を含む。ファイバスパン減衰は、減衰のわずかな増加から、問題となるスパン/セグメントを介した光学性能に悪影響を与えうる大幅な減衰の増大までを範囲とし得る。
【0041】
eASA301によって実行され得る一例のASA処理フロー700を図7に示す。処理フロー700中に、例えば、励起低下、スパン損失などに対する既知の障害形状に基づくそれぞれの形状で、同じ長さの複数の次元デジタルフィルタは、予備的結果を与えるように式(4)及びBGDデータから得られるdDLGデータに適用されてもよい。
y1=filter(F1,dDLGHF) ・・・式(8)
y4=filter(F4,dDLGHF) ・・・式(9)
y5=filter(F5,dDLGHF) ・・・式(10)
y3=filter(F3,dDLGHF) ・・・式(11)
y2=filter(F2,BGD) ・・・式(12)
ここで、yはフィルタF(Fx、Dy)によって処理される信号であり、Fxは曲線の形状であり、Dyは入力データである。上記のように、形状x=3、4及び5は、レーザL1の励起低下、レーザL2の励起低下及びスパン損失に対応し得る。一方、例えば、dDLGはフィルタF3及びF4と同じインスタンスで適時に相互作用し得るので、追加のフィルタが必要となり得る。この場合、その低下がレーザL1のものであるのか又はレーザL2のものであるのかについて結論付けることができないことがある。したがって、F2及びF3がともにレーザL1の励起低下を予測し、F2及びF4がともにレーザL2の励起低下を予測し、F2及びF5がともにスパン損失を予測することができるようにフィルタF2が導入される。
【0042】
続いて、処理されたdDLGデータ(y3、y4、y5)及びBGDデータ(y2)の予備的結果の双方が実質的に同じ位置(N)における実質的に同じ障害を示す場合には、障害はjにおいて記録される。位置j付近のy2の大きさの合計は、
【数3】
・・・式(13)
であるものとする。
【0043】
この開示は、
δ=f(ξ) ・・・(14)
を用いて、この大きさξが障害(δ)の値にマッピングされ得ることを特定している。y=f(x)の関数は、障害の大きさを変化させることによって適応され得る。
【0044】
図6A~6Eを参照すると、例示の障害状態シグネチャが、本開示の実施形態に従って示される。スパン損失は、2方向のうちの一方に全体的に配置されることから2方向間に等分されることまでを範囲とする伝搬の2方向間の損失を分割することによって本開示よるLMSによって計算され得る。例えば、図6C及び6Dに、同じ位置における2つのスパン損失を示し、それぞれ、図6Cは内向き方向の損失を示し、図6Dは外向き方向である。
【0045】
図6C及び6Dにおいて、サブビーク601-1~601-4は、異なる傾向を示す。特に、図6Dの位置4及び5におけるdDLGは、スパンの後のリピータはゲインの損失を回復しようとするので上昇する。一方、位置3及び4におけるdDLGは、図6Cに示すように内向き方向に上昇する。スパン損失が内向きスパン及び外向きスパンの合成である場合には、位置3及び位置5におけるdDLGは双方とも上昇する。したがって、以下の式を用いて内向きスパン損失の比によって2方向に割り当てられ得る。
【数4】
・・・式(15)
ここで、=y1(j-1)-y1(j+1)であり、この場合、j=4であり、Pmはy1(N)に関する関数である。
【0046】
一方、図6Eに示すような沿岸のスパン損失については、初期dDLGデータが欠落していることもあるので、第1のリピータR1の前のdDLGを推定/予測するのに沿岸のスパン損失予測関数y=p(x)が使用され得る。
dDLG(0)=p(dDLG(1),dDLG(2)) ・・・式(16)
【0047】
したがって、式(16)は、沿岸のスパン損失を計算して方向を割り当てるのに使用され得る。
【0048】
場合によっては、WDM伝送システム100に沿う異なる物理位置に対応する複数の障害シグネチャが起こり得る。eASA301は、各個々の障害シグネチャを検出し、伝送経路に沿って存在する複数の関連の湿潤状態のプラントの変化イベントを定量化し得る。実施形態では、異なる障害イベントに対応する障害シグネチャは、数学的に分解され得る。例えば、図8に示すように、ピーク801及び802は、図9A及び9Bにそれぞれ示すような別個かつ独立のシグネチャに分離及び分解され得る。そして、分離/分解されたシグネチャは、上述したように、eASA301によって個別に解析され得る。
【0049】
あるシナリオでは、特定の障害が、必ずしも自動シグネチャ解析をHLLBデータに対して実行することなくLMSによって検出され得る。例えば、単一の増幅器対に対応するHLLBデータが、伝送経路に沿うファイバ破断を検出するのに利用され得る。リピータj-1とリピータjの間でファイバが破断した状況を検討する。結果として、リピータj(又はj-1)より後段の以降/ダウンストリームのリピータに対するHLLBデータは受信され得ない。例えば、図2において、ファイバ破断は、R3とR4の間で起こった可能性がある。したがって、T1におけるLMS140は、R4、R5、R6及びT2からの戻り信号を受信し得ない。
【0050】
同様に、T2は、R3、R2、R1及びT1からの戻り信号を検出し得ない。この場合、全ての欠落したピークの大きさは、データプロット上に表示されるために、所定値、例えば、-55dBとして示され得る。2つの終端を有するシステムについて、両端からのHLLBデータセットにおける欠落ピークの総数は、単一のファイバ破断があるのか又は異なる物理位置において複数の破断があるのかに応じて、ループバック経路の総数以上となるべきである。1つの終端(例えば、分岐)を有するシステムについて、欠落ピークの総数は、連続的に2より大きく見えることになる。したがって、ファイバ破断障害状態及び障害状態の位置は、その位置及び欠落HLLBデータ点の総数に基づいて検出され得る。
【0051】
単一の増幅器対に対応するHLLBデータはまた、HLLB経路内の光フィルタの故障を検出するのにも利用され得る。リピータjにおける増幅器対のループバック経路内でファイバ破断があった場合を検討する。この場合、その増幅器対のみからの全ての測定周波数でのHLLBループバック信号は、受信されずに-55dB(又は他の所定のdB値)としてマークされることになる。上述したように、伝送経路におけるファイバ破断とは異なり、光経路に沿う他の全てのダウンストリームの増幅器対からのループバック信号は、それでもLMSによって受信されることになる。例えば、図2において、リピータR3においてループバック経路の破断があると、HLLBは-55dBとしてマークされることになる。後続の処理中に、eASA301は、HLLBについてのデータ点を無視/破棄し得る。いずれの場合でも、光フィルタ障害状態及び障害状態の位置は、単一のリピータにおける欠落HLLBデータ点の位置に基づいて検出され得る。
【0052】
単一の増幅器対に対応するHLLBデータは、所与のHLLB経路内で光フィルタの障害を検出するのにも利用され得る(図6A及び6B参照)。WDM伝送システム100に沿う伝搬の各方向において、各HLLB経路は、伝搬の逆方向において反射される光周波数を選択する波長選択光フィルタを含み得る。一般に、光帯域毎に2つの測定周波数(例えば、C-帯域対C+L)があり、ただし、より多くが可能であり、具体的な数はアプリケーションに特有のものとなる。ある特定の例示の実施形態では、光帯域毎に少なくとも2つの光周波数が、測定周波数として選択される。選択される測定周波数は、スペクトル帯域、例えば、スペクトルの高い波長及び低い波長のそれぞれのエッジに対応していてもよく、ただし、他の実施形態も本開示の範囲内にある。より詳細を後述するように、2以上の光周波数を本態様で使用することによって、有利なことに、本開示によるLMSがスペクトルチルトを測定することができる。
【0053】
続いて、例えば、リピータR3からT1へのループバック経路において(図2)1本の光ファイバが破断した場合には、その測定周波数(HLLBT1,3)におけるT1への戻り信号はデータセットから欠落することになるので、R3及びR4にそれぞれ対応するDLG及びDLGが影響を受けることになる。したがって、HLLB経路内の光ファイバの障害は、欠落データ点を特定することによって検出/推定され得る。なお、R3とT2の間のループバック経路は動作可能なままであるので、DLGは未だにT2からの測定データを介して導出され得る。この場合、DLGは、
DLG=HLLBT1,3-HLLBT1,2=HLLBT2,2-HLLBT2,3 ・・・式(17)
によって与えられ得る。
【0054】
そして、したがって、欠落したHLLBT1,3データ点は、
HLLBT1,3=HLLBT1,2+HLLBT2,2-HLLBT2,3 ・・・式(18)
によって予測/推定可能である。
【0055】
したがって、所与のHLLB経路内の光フィルタの故障及び障害状態の位置は、1つのリピータのみにおける欠落HLLBデータ点(及びデータ点が所与のリピータにおける1つの測定周波数に対して存在すること)に基づいて検出され得る。
【0056】
各物理位置において最新の再ベースライン化からの伝送経路における変化イベントの各々の位置及び大きさをeASA301が識別した後に、識別された変化イベントはRPTストレージ303に記憶されたRPTデータにおける更新を計算するのに使用され得る。RPTデータは、各増幅器及びモニタリングされるファイバ対における隣接ファイバスパン/セグメント毎の動作パラメータ値を含み得る。そして、eASA301からの計算された変化は、各動作パラメータ毎の新たな絶対値を生成するRPTテーブル内のRPT基準データを調整するのに使用され得る(図12参照)。したがって、各モニタリングされる増幅器/スパンに関連する動作パラメータは、光伝送経路を介して要素と直接通信することなく個々に報告され得る。これは、有利なことに、比較的簡素な湿潤状態のプラントデバイスを可能とし、追加のトラフィックがそれに導入されることを回避し得る。
【0057】
図12に示すように、さらに図11を参照して、本開示によるLMSによって報告可能な動作パラメータは、例えば、入力パワー、出力パワー及びゲイン並びに/又は累積ゲインチルトを含み得る。報告可能なパラメータを提供するために、LMSは、HLLBデータを用いて励起パワー及びスパン損失の変化、大きさ並びに方向を検出することができ、そして、それらの変化を用いて増幅器モデルに基づく動作パラメータ値の変化を計算することができる。増幅器モデルは、一般的な意味において、システムにおける報告可能な動作パラメータと障害との間の関係を定量化する値を導出するのに使用され得る。例えば、図11においてリピータNの外向き方向(例えば、上半分)を検討する。入力パワーの変化は、外向き方向においてリピータNとリピータN-1の間のスパン損失の変化をリピータN-1出力パワーの変化から減算したものに少なくともある程度に基づいて計算可能である。出力パワーの変化は、光ゲインの変化が加算された入力パワーの変化に少なくともある程度基づいて計算可能である。したがって、ゲインの変化は、励起レーザの特定された変化に基づく増幅器モデルを介して計算され得る。
【0058】
実施形態では、RPT更新器302は、eASA301によって出力された最新のASA結果及びループバックデータ308に基づいてRPT更新処理を実行する。この実施形態では、RPT更新処理は、増幅器対毎に提供された増幅器モデルを利用する。RPT更新処理はまた、例えば、配備中又は多段化中に実地技術者によって提供され得る全てのパラメータ及び全てのモニタリングされる増幅器対に対するRPT値の初期入力セットを利用する。
【0059】
実施形態では、増幅器モデルは、励起レーザパワーの検出された減少に応じて、増幅器出力パワーの変化を計算し、ファイバスパン挿入損失の検出された増加及び増幅器入力パワーの対応する減少に応じて、増幅器出力パワーの変化を計算するのに使用され得る。増幅器入力パワーと、出力パワー及びゲインと、隣接ファイバスパンのスパン損失との間の関係は、
out,i=Pin,i+G ・・・式(19)
in,i+1=Pout,i-Si,i+1 ・・・式(20)
によって与えられ得る。ここで、Pout,iはリピータRiの出力パワーであり、Pin,iはリピータRiの入力パワーであり、GはリピータRiのゲインであり、Si,i+1はリピータRiとリピータRi+1の間のスパン損失である。
【0060】
増幅器レーザ励起の減少は、影響を受ける増幅器に対する出力パワー及びゲインGの減少、以降の/後続のダウンストリーム増幅器に対する入力パワーの減少及びゲインの増加をもたらす。両増幅器の累積ゲインチルトは影響を受けるが、逆の大きさで影響を受けるので、ダウンストリームの増幅器のチルトに対する累積的な影響はほとんどない。
【0061】
ファイバスパン挿入損失(S)の増加は、隣接する増幅器及びおそらくは次に隣接する増幅器の入力パワーの減少並びに両増幅器におけるGの増加をもたらす。両増幅器及び全てのダウンストリームの増幅器の累積ゲインチルトが、影響を受ける。
【0062】
往復ゲイン形状の変化は、以下のように、ファイバ対スペクトル帯域のいずれかの末端におけるHLLBピークの相対ピーク高の変化から推定可能である。
ΔTilt=dDLGi,HF-dDLGi,LF ・・・(21)
ここで、dDLGi,HFはリピータRiにおける差分ループゲインの高周波微分であり、dDLGi,LFはリピータRiにおける差分ループゲインの低周波微分である。
【0063】
一方、伝搬の2方向間のゲイン形状のこの変化の分布を測定するのは、より難しいものとなり得る。往復チルトの検出された変化は、上記ASA処理700からの検出スパン損失及び励起パワーの変化イベントの方向性に基づく伝搬方向に割り当てられ得る。例えば、スパン損失の増加が伝搬の一方向のみで発生した場合には、検出ゲインチルトのいずれかの変化がその伝搬の方向に割り当てられる。複数の障害(N)が同時に出現した場合、dDLGはN個の部分に分解されることになり(例えば、図8、9A及び9B参照)、各々は1つの信号障害に対応する。そして、チルトは、個々に計算されて加算されて集合的なチルトを形成し得る。
【0064】
図3Aに戻り、例えば、図3Bにワークフローとして概略的に示すLMS処理全体は、新たなHLLBデータセットがASAによって解析されることを確実にするようにベースラインマネージャ処理を実行し得る。ベースラインマネージャ処理はまた、HLLBデータのASA解析及び以前に特定されたRPT値に基づく現在のRPT値のRPT更新の双方に対するベースラインデータセット間の同期を維持することもできる。
【0065】
ある場合では、構成可能な閾値は、処理全体をトリガしてRPT及びHLLBベースラインデータセットの位置特定された更新又はグローバルな更新のいずれかを実行することになるASA又はRPTの大きさの更新結果を特定するように提供され得る。一般に、LMS比較に対するベースラインデータセットの更新によって、重複する障害シグネチャの存在によってASA解析が損なわれることなく既存の障害付近に新たな障害が検出されることが可能となる。したがって、ベースラインデータセットは、障害/変化をもたらしたイベントに隣接する特定のリピータスパン上で更新されることができ、同様に、ネットワークの他の経路がそれらの以前の/より早期の値に対してモニタリングされることを可能とするためにシステム全体を再ベースライン化することを回避する。例えば、ある場合では、6個のデータ点が障害形状方向に対して使用可能であり、イベント付近のそれらの6個の点は各々、現在の障害の影響が最小化あるいは軽減されるように更新され得る。ただし、他の量のデータ点が利用されてもよく、与えられた例は限定的なものではない。
【0066】
ある場合では、RPT及びHLLBベースラインデータセットは、比較的重要でない/小さな変化イベントに基づいては更新されなくてもよい。より大きな障害に対して検出精度をより高くすることができるので、ベースラインを連続的に更新してから障害の大きさの小さな変化を連続的にモニタリングするのではなく、障害が成長し続けるにつれて合計の障害の大きさをモニタリングし続けることは有利である。例えば、障害が1dBだけ増加する場合に常に再ベースライン化するのではなく、1dBから3dBに徐々に成長するスパン損失の変化をモニタリングすることが有益である。また、各サイクルの結果が前のサイクルの結果に加えられる場合のサイクル毎の不正確さの累積があるのではなく、各LMSサイクルのRPT更新結果が基準RPT値及び現在のASAの結果に基づいている場合の検出の不正確さの蓄積はほとんどない。
【0067】
図2のシステムにおける第1の障害が局所化ベースライン更新に対する閾値を超えるものの第2の障害がそれを超えていないというシナリオを検討する。第1の障害は、図9に示すように、次の稼働が第2の障害しか示さなくなるように、障害によってもたらされるHLLBの変化(ΔHLLBi,j)をベースラインに注入することによってHLLBベースラインデータに組み込まれることになる。この例では、閾値を超えない障害に対応するDLGはゼロ/ヌルに設定され、閾値を超える障害を有するDLGが維持され得る。したがって、HLLBベースラインデータの変化は、
【数5】
・・・式(22)
で与えられ得る。
【0068】
新たに生成されたHLLBベースライン(HLLBi,jnewは、古いHLLBベースライン(HLLBi,joldから
(HLLBi,jnew=(HLLBi,jold+ΔHLLBi,j ・・・式(23)
によって計算され得る。
【0069】
修理後に、ファイバは、図10に示すように、元のシステムに挿入されてピークをシフトさせ得る。そして、本開示によるLMSは、受信ループバックデータ308を自動的に用いて距離変化を更新し得る。距離データが2つの端部とは異なる場合、平均値が使用され得る。
【0070】
図13は、本開示によるLMSによって実行され得る障害検出処理の一例示実施形態1300を示すフローチャートである。図13に示す動作の例示的詳細は上述した。図示するように、方法1300は、1以上の終端局からの伝送経路上のラインモニタリング機器(LME)テスト信号を送信すること1302を含む。そして、方法1300は、LMEテスト信号に応じて、伝送経路からHLLBデータセット(HLLBi,j)の形式でループバックデータを受信し得る(1304)。
【0071】
そして、方法1300は、式(1)を用いて受信HLLBデータセットHLLBi,jに基づく差分ループゲインデータDLGj・・j-1を生成し得る(1305)。そして、方法1300は、例えば、式(2)を用いて対応のループゲイン値ベースラインデータセットにおける値を有する各DLGデータセットにおいてループゲイン値を減算することによって差分ループゲインデータセット(dDLG)の微分を生成し得る(1306)。動作1306における追加の事前処理は、式(4)を用いて各dDLGにエラー低減を適用すること、並びに式(5)~(7)に基づくループゲイン値の重み付け及びマッピングをさらに含み得る。
【0072】
そして、方法1300は、ASA解析に基づいて1以上の障害のタイプ及び障害の大きさを識別し得る(1308)。ASA解析についての1つの例示の処理700は図7に関して上述したので、簡略化のために繰り返さない。そして、方法1300は、dDLGデータ内で表されるリピータ及び関連の要素の各々について、識別された変化、例えば、入力パワーの変化、出力パワーの変化、ゲイン、チルトなどに基づいて報告可能パラメータテーブル(RPT)を更新し得る(1310)。そして、方法1300は、RPTテーブルにおける更新されたデータを現在のベースラインRPTと比較すること(1312)を含み得る。1以上の動作パラメータが所定の閾値を超えたことに応じて、報告メッセージをユーザ又は他のモニタリング処理に送信する。報告メッセージは、例えば、リピータの識別子、動作パラメータの識別子及び/又は動作パラメータ値の1以上を備え得る。
【0073】
本開示の態様によると、光通信システムが開示される。光通信システムは、光伝送経路と、光伝送経路に結合された複数のリピータであって、複数のリピータの各々が高損失ループバック(HLLB)経路を備える、複数のリピータと、伝送経路の第1の端部に結合された第1のラインモニタリング機器(LME)であって、第1のLMEテスト信号を光伝送経路上で送信し、LMEテスト信号に応じて光伝送経路から第1のLMEループバックデータを受信するように構成され、第1のLMEループバックデータが伝送経路上でHLLB経路の各々の位置に関連するピークを備える、第1のLMEと、第1のLMEに結合されたコントローラであって、第1のLMEループバックデータに基づいて、各々が複数のリピータの1つのリピータに対応する複数の動作パラメータを生成し、複数のリピータのうちの1以上のリピータを選択し、選択されたリピータの各々に関連する複数の動作パラメータのうちの1以上の動作パラメータの表示を含む報告メッセージを遠隔のコンピュータに送信するコントローラとを備える。
【0074】
本開示の他の態様によると、光通信システムにおける光伝送経路をモニタリングする方法が開示される。光伝送経路は伝送経路に結合された複数のリピータを含み、リピータの各々が高損失ループバック(HLLB)経路を備え、方法は、第1のラインモニタリング機器(LME)テスト信号を伝送経路上に送信するステップと、第1のLMEテスト信号に応じて光伝送経路から第1のLMEループバックデータを受信するステップであって、第1のLMEループバックデータが伝送経路上でHLLB経路の各々の位置に関連するピークを備える、ステップと、第1のLMEループバックデータに基づいてメモリにLMEベースラインデータを記憶するステップと、記憶されたLMEベースラインデータに基づいて複数のリピータのうちの1つのリピータに関連する少なくとも1つの動作パラメータを含む報告メッセージをユーザに送信するステップとを備える。
【0075】
例示の実施形態の上記説明は、例示及び説明の目的で提示されたものである。それは網羅的であること又は本開示を開示された厳密な形態に限定することは意図されていない。本開示に照らして多数の変形例及びバリエーションが可能である。本開示の範囲は、この詳細な説明によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されるものである。
【0076】
ここに記載する方法の実施形態は、コントローラ、プロセッサ及び/又は他のプログラム可能なデバイスを用いて実施され得る。その目的のため、ここに記載する方法は、1以上のプロセッサによって実行されるとその方法を実行する命令をそこに記憶させた有形の非一時的なコンピュータ可読媒体において実施され得る。したがって、例えば、LMS300は、ここに記載される動作を実行する命令を(例えば、ファームウェア又はソフトウェアにおいて)記憶する記憶媒体を含み得る。記憶媒体は、任意のタイプの有形媒体、例えば、フロッピーディスク、光ディスク、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、書き込み可能コンパクトディスク(CD-RW)及び磁気光ディスクを含む任意のタイプのディスク、読み出し専用メモリ(ROM)、ダイナミック及びスタティックRAMなどのランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリなどの半導体デバイス、磁気若しくは光学式カード、又は電子的命令を記憶するのに適した任意のタイプの媒体を含み得る。
【0077】
当業者であれば、ここでのいずれのブロック図も本開示の原理を具現化する例示的回路の概念図を表すことが分かるはずである。同様に、いずれのブロック図、フローチャート、フロー図、状態遷移図、疑似コードなども、そのようなコンピュータ又はプロセッサが明示されているか否かを問わず、コンピュータ可読媒体において実質的に表されてコンピュータ又はプロセッサによって実行され得る種々の処理を表すことが分かるはずである。ソフトウェアモジュール又は単にソフトウェアであることが示唆されるモジュールは、フローチャート要素又は処理ステップ及び/若しくはテキスト記述の実行を示す他の要素の任意の組合せとしてここに表され得る。そのようなモジュールは、明示又は暗示されるハードウェアによって実行され得る。
【0078】
「プロセッサ」と付されたいずれの機能ブロックを含む、図示する種々の要素の機能は、専用ハードウェア、その他適切なソフトウェアとの関連でソフトウェアを実行することができるハードウェアの使用を介して提供され得る。機能は、単一の専用プロセッサ、単一の共有プロセッサ、又はその一部が共有され得る複数の個々のプロセッサによって提供され得る。さらに、用語「プロセッサ」の明示的使用は、ソフトウェアを実行することができるハードウェアを排他的にいうものとして解釈されるべきではなく、限定することなく、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェアを記憶する読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び不揮発性ストレージを暗示的に含み得る。他のハードウェア、通常の及び/又はカスタムのものも含まれ得る。
【0079】
特に断りがない限り、文言「実質的に」の使用は、厳密な関係、状態、配置、向き及び/又は他の特性、並びにそのような派生語が開示の方法及びシステムに実質的な影響を与えない程度に当業者に理解されるような派生語を含むものと解釈され得る。本開示の全体を通じて、名詞を修飾する冠詞「a」及び/若しくは「an」並びに/又は「the」の使用は、便宜上使用されるものであり、特に断りがない限り、修飾される名詞の1つ又は2以上を含むものと理解され得る。用語「備える」、「含む」及び「有する」は包含的なものであり、列挙された要素以外の追加の要素があり得ることを意味する。
【0080】
方法及びシステムをその具体的な実施形態に対して説明したが、それらはそのように限定されない。明らかに、多数の変形例及びバリエーションが、上記の教示に照らして明らかとなる。ここに開示及び説明した部分の詳細、材料及び配置における多数の追加の変更が、当業者によってなされ得る。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13