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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】アームの連動による足踏みポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04B 9/14 20060101AFI20230920BHJP
【FI】
F04B9/14 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019087136
(22)【出願日】2019-04-30
(65)【公開番号】P2020183704
(43)【公開日】2020-11-12
【審査請求日】2022-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】515007202
【氏名又は名称】井上 鉄也
(72)【発明者】
【氏名】井上 鉄也
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0032232(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108338724(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108343575(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108354491(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0006884(KR,A)
【文献】特開2016-114048(JP,A)
【文献】特開2008-180106(JP,A)
【文献】実開昭53-161303(JP,U)
【文献】実開平07-008575(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0093268(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 9/14
F04B 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定台の上に足踏み板部とピストン部により構成される足踏み板兼ピストンとシリンダー部より構成されるピストンポンプを2つ並列させ、前記足踏み板部は人の足で踏みやすい大きさの長方形であり、使用者が足を乗せた時、長方形の短手方向の爪先方向を前部、踵 方向を後部とし、さらには、前記左右2つのピストンポンプの前記シリンダー部における 前記踏み板兼ピストンのストロークの下死点より下部にポンプ吸入口とポンプ排出口を設け、前記左右2つのピストンポンプの前記ポンプ吸入口同士を総吸入口に合流させ吸入用操作ホースに接続し、前記左右2つのピストンポンプの前記ポンプ排出口同士を1つの総排出口に合流させ排出用操作ホースに接続し、また、前記左右2つのピストンポンプの前記ポンプ吸入口と前記ポンプ排出口に逆止弁を設け、前記足踏み板兼ピストンの上下動に合わせて前記足踏み板兼ピストンの上昇時は、前記ポンプ吸入口は前記逆止弁が開き、前記ポンプ排出口は前記逆止弁が閉じ、前記足踏み板兼ピストンの下降時には、前記ポンプ排出口は前記逆止弁が開き、前記ポンプ吸入口は前記逆止弁が閉じる機能をもつ前記ピストンポンプの前後に、脚部兼支柱、上部アーム、下部アーム、左右2つのT型アームにより構成され、前記脚部兼支柱の上部に上部軸を設け、その中心部を前記上部軸に軸着され枢動する時前記踏み板兼ピストンの上下動に干渉しない位置にある前記上部アームおよび 、前記脚部兼支柱の中央部に中央部軸を設け、その中心部を前記中央部軸に軸着され枢動 する時前記踏み板兼ピストンの上下動に干渉しない位置にある前記下部アームが水平になる位置において、前記上部アーム、前記下部アームの前記上部軸、前記中央部軸より均等の長さの左右両端部に上部アーム軸、下部アーム軸を設け、前記左右両端部の前記上部アーム軸、前記下部アーム軸に前記左右2つのT型アームの垂直部の2点を軸着させることにより、前記上部アーム、前記下部アームが前記脚部兼支柱の前記上部軸および前記中央 部軸を軸着点として枢動する際、前記上部アーム、前記下部アームが平行に枢動するため、前記左右2つのT型アームの水平部が常時水平を保持し、さらには、前記左右2つのT型アームが、連動する前記上部アーム、前記下部アームが水平である中立点の位置にあり、 前記左右2つのピストンポンプの前記足踏み板兼ピストンが前記シリンダー部のストロークの中心部にある時、前記T型アームの水平部上面が前記左右2つの前記足踏み板兼ピス トンの足踏み板部の前後両端下面に接する位置に設けたアームユニットの作用により、片方の前記足踏み板兼ピストンが体重によって下降すると、前記足踏み板兼ピストンの前記 足踏み板部の前後両端部が前記アームユニットの前記T型アームを摺動させながら押し下げ、前記T型アームと連動した前記上部アーム、前記下部アームを枢動させ、前記上部アーム、前記下部アームとの連動により体重により下降した反対側の前記T型アームがもう一方の前記足踏み板兼ピストンの前記足踏み板部を摺動させながら持ち上げ、前記足踏み 板兼ピストンを上昇させ、上昇した前記足踏み板兼ピストンがストロークの上死点にあるとき、初めに体重により下降した前記足踏み板兼ピストンはストロークの下死点にあり、 左右の前記足踏み板兼ピストンを交互に踏むことにより、左右の前記ピストンポンプが交互に作動する機能と、前記各ポンプ吸入口および前記各ポンプ排出口に設けられた前記逆 止弁の機能をもって、液体や気体が常に前記吸入用操作ホースから吸入され、前記排出用操作ホースから排出されることを特徴とする足踏み式ポンプ。
【請求項2】
固定台の上に足踏み板部とジャバラ部により構成される足踏み板兼ジャバラ部より構成されるジャバラ式ポンプを2つ並列させ、前記足踏み板部は人の足で踏みやすい大きさの長方形であり、使用者が足を乗せた時、長方形の短手方向の爪先方向を前部、踵方向を後部とし、さらには、前記左右2つのジャバラ式ポンプの前記ジャバラ部における 前記踏み板兼ジャバラのストロークの下死点より下部にポンプ吸入口とポンプ排出口を設け、前記左右2つのジャバラ式ポンプの前記ポンプ吸入口同士を総吸入口に合流させ吸入用操作ホースに接続し、前記左右2つのジャバラ式ポンプの前記ポンプ排出口同士を1つの総排出口に合流させ排出用操作ホースに接続し、また、前記左右2つのジャバラ式ポンプの前記ポンプ吸入口と前記ポンプ排出口に逆止弁を設け、前記足踏み板兼ジャバラの上下動に合わせて前記足踏み板兼ジャバラの上昇時は、前記ポンプ吸入口は前記逆止弁が開き、前記ポンプ排出口は前記逆止弁が閉じ、前記足踏み板兼ジャバラの下降時には、前記ポンプ排出口は前記逆止弁が開き、前記ポンプ吸入口は前記逆止弁が閉じる機能をもつ前記ジャバラ式ポンプの前後に、脚部兼支柱、上部アーム、下部アーム、左右2つのT型アームにより構成され、前記脚部兼支柱の上部に上部軸を設け、その中心部を前記上部軸に軸着され枢動する時前記踏み板兼ジャバラの上下動に干渉しない位置にある前記上部アームおよび、前記脚部兼支柱の中央部に中央部軸を設け、その中心部を前記中央部軸に軸着され枢動する時前記踏み板兼ジャバラの上下動に干渉しない位置にある前記下部アームが水平になる位置において、前記上部アーム、前記下部アームの前記上部軸、前記中央部軸より均等の長さの左右両端部に上部アーム軸、下部アーム軸を設け、前記左右両端部の前記上部アーム軸、前記下部アーム軸に前記左右2つのT型アームの垂直部の2点を軸着させることにより、前記上部アーム、前記下部アームが前記脚部兼支柱の前記上部軸および前記中央部軸を軸着点として枢動する際、前記上部アーム、前記下部アームが平行に枢動するため、前記左右2つのT型アームの水平部が常時水平を保持し、さらには、前記左右2つのT型アームが、連動する前記上部アーム、前記下部アームが水平である中立点の位置にあり、 前記左右2つのジャバラ式ポンプの前記足踏み板兼ジャバラが前記ジャバラ部のストロークの中心部にある時、前記T型アームの水平部上面が前記左右2つの前記足踏み板兼ジャバラの足踏み板部の前後両端下面に接する位置に設けたアームユニットの作用により、片方の前記足踏み板兼ジャバラが体重によって下降すると、前記足踏み板兼ジャバラの前記 足踏み板部の前後両端部が前記アームユニットの前記T型アームを摺動させながら押し下げ、前記T型アームと連動した前記上部アーム、前記下部アームを枢動させ、前記上部アーム、前記下部アームとの連動により体重により下降した反対側の前記T型アームがもう一方の前記足踏み板兼ジャバラの前記足踏み板部を摺動させながら持ち上げ、前記足踏み板兼ジャバラを上昇させ、上昇した前記足踏み板兼ジャバラがストロークの上死点にあるとき、初めに体重により下降した前記足踏み板兼ジャバラはストロークの下死点にあり、 左右の前記足踏み板兼ジャバラを交互に踏むことにより、左右の前記ジャバラ式ポンプが交互に作動する機能と、前記各ポンプ吸入口および前記各ポンプ排出口に設けられた前記逆止弁の機能をもって、液体や気体が常に前記吸入用操作ホースから吸入され、前記排出用操作ホースから排出されることを特徴とする足踏み式ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足踏みポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、滞留している水等の液体、空気等の気体は、電気や燃料等のエネルギーを用いたポンプ装置等で加圧し、ホース等で移動させていた。また、人力を利用したポンプ装置は、 吸入か排出どちらか一方に限ってのものが主であった。人力を利用したポンプ装置は、一般には手押し式井戸ポンプ、手押し式の自転車の空気入れ等が知られている。また、足踏み式に関しては、バネの反発力を利用した自転車用空気入れや、樹脂の復元力を利用した ジャバラ式の空気入れ等も一般に普及している。また、主に海外に於いて、2つのピストンポンプの外部に設けた踏み板同士をワイヤで連動させる灌漑用ポンプが知られている。 なお、先願発明には、並列させた2つのピストンポンプの上に両足で交互に踏むに踏み板を設け、ひも状部材で連動させる水用ポンプや、並列させた2つのピストンポンプの上に 両足で交互に踏む踏み板を設け、踏み板同士を中心部に枢動点を設けた1本のアームで軸着させ、アームの枢動により連動する水用ポンプ、また、片足で1枚の板を、板の中心下部に設けた軸を枢動点としてシーソーのように動かし、板の下部にある2つのピストンポンプを交互に連動させる空気ポンプなどがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-287535号公報
【文献】特願2014―267152号公報
【文献】登録実用新案36810号明細書
【文献】実願昭52-067987(実開昭53-161303号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのため、次のような問題点があった。 (イ) 電気式やエンジン式のポンプ装置では、電気や燃料等のエネルギーが不可欠であるため、電気の届かない屋外、燃料等の供給が困難な地域、特に、緊急時や災害時の停電 や燃料切れに於いては使用できなかった。 (ロ) 動力式ポンプ装置は、比較的高価であるため一般家庭等では購入が困難であった 。(ハ) 動力式ポンプ装置は、電気代や燃料代が発生するため経済的負担が不可欠であった。 (ニ) 動力式ポンプ装置は、自然や環境への負荷発生が不可避であった。 (ホ) 一般に普及している手押し式や足踏み式のポンプでは1つのポンプを吸入、排出させるため、作業効率が悪かった。(へ) 手押し式ポンプでは、使用時に多くの体力を消費するので、使用者が疲れやすかった。 (ト) 手押し式ポンプでは、足踏み式ポンプに比べて力が入れづらく、より高い圧力を発生させにくかった。 (チ) 手押し式ポンプは、ポンプを足で固定し、両手で押すので、使用者はポンプを 操作する以外の作業は出来ず、ホース等の操作を他者に依存するしかなかった。 (リ) 特開2009-287535公報及び実願昭52-067987(実開昭53- 161303号)のマイクロフィルムの足踏みポンプは枢動する足踏み板部の回転運動が足踏み板部に軸着されたピストン部の垂直運動を阻害するためポンプとしての機能に難がある。 (ヌ) 登録実用新案36810号明細書の足踏みポンプは連動のためのひも状部材とピストンの接合位置およびひも状部材の滑車に対する通過位置がピストンの垂直運動を阻害する負荷を与えるためポンプとしての機能に難がある。 (ル) 特2014-267152号公報の足踏みポンプは足踏み板の支持部がピストンの1点のみなので前後にブレを生じさせやすいのでポンプとしての機能に難がある。 (ヲ) 主に海外で普及している灌漑用足踏みポンプは、シリンダーポンプの外部に傾斜した足踏み板が付いているので、体勢を保持するために装着されたハンドルにつかまる必要があり、ホースの操作ができず、また、ポンプ装置が大型化するため、重量も増すので持ち運びが困難である。 本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の主な特徴は、固定台の上に足踏み板部とピストン部により構成される足踏み板兼 ピストンとシリンダー部より構成されるピストンポンプを2つ並列させ、前記足踏み板部 は人の足で踏みやすい大きさの長方形であり、使用者が足を乗せた時、長方形の短手方向の爪先方向を前部、踵方向を後部とし、さらには、前記左右2つのピストンポンプの前記シリンダー部における前記踏み板兼ピストンのストロークの下死点より下部にポンプ吸入口とポンプ排出口を設け、前記左右2つのピストンポンプの前記ポンプ吸入口同士を総吸入口に合流させ吸入用操作ホースに接続し、前記左右2つのピストンポンプの前記ポンプ排出口同士を1つの総排出口に合流させ排出用操作ホースに接続し、また、前記左右2つのピストンポンプの前記ポンプ吸入口と前記ポンプ排出口に逆止弁を設け、前記足踏み板兼ピストンの上下動に合わせて前記足踏み板兼ピストンの上昇時は、前記ポンプ吸入口は 前記逆止弁が開き、前記ポンプ排出口は前記逆止弁が閉じ、前記足踏み板兼ピストンの下降時には、前記ポンプ排出口は前記逆止弁が開き、前記ポンプ吸入口は前記逆止弁が閉じる機能をもつ前記左右2つのピストンポンプの前後に、脚部兼支柱、上部アーム、下部アーム、左右2つのT型アームにより構成され、前記脚部兼支柱の上部に上部軸を設け、その中心部を前記上部軸に軸着され枢動する時前記踏み板兼ピストンの上下動に干渉しない位置にある前記上部アームおよび、前記脚部兼支柱の中央部に中央部軸を設け、その中心部を前記中央部軸に軸着され枢動する時前記踏み板兼ピストンの上下動に干渉しない位置にある前記下部アームが水平になる位置において、前記上部アーム、前記下部アームの前記上部軸、前記中央部軸より均等の長さの左右両端部に上部アーム軸、下部アーム軸を設け、前記左右両端部の前記上部アーム軸、前記下部アーム軸に前記左右2つのT型アーム の垂直部の2点を軸着させることにより、前記上部アーム、前記下部アームが前記脚部兼 支柱の前記上部軸および前記中央部軸を軸着点として枢動する際、前記上部アーム、前記下部アームが平行に枢動するため、前記左右2つのT型アームの水平部が常時水平を保持し、さらには、前記左右2つのT型アームが、連動する前記上部アーム、前記下部アームが水平である中立点の位置にあり、前記左右2つのピストンポンプの前記足踏み板兼ピストンが前記シリンダー部のストロークの中心部にある時、前記T型アームの水平部上面が 前記左右2つの前記足踏み板兼ピストンの足踏み板部の前後両端下面に接する位置に設けたアームユニットの作用により、片方の前記足踏み板兼ピストンが体重によって下降する と、前記足踏み板兼ピストンの前記足踏み板部の前後両端部が前記アームユニットの前記 T型アームを摺動させながら押し下げ、前記T型アームと連動した前記上部アーム、前記下部アームを枢動させ、前記上部アーム、前記下部アームとの連動により体重により下降した反対側の前記T型アームがもう一方の前記足踏み板兼ピストンの前記足踏み板部を摺動 させながら持ち上げ、前記足踏み板兼ピストンを上昇させ、上昇した前記足踏み板兼ピストンがストロークの上死点にあるとき、初めに体重により下降した前記足踏み板兼ピストンはストロークの下死点にあり、左右の前記足踏み板兼ピストンを交互に踏むことにより、左右の前記ピストンポンプが交互に作動する機能と、前記各ポンプ吸入口および前記各ポンプ排出口に設けられた前記逆止弁の機能をもって、液体や気体が常に前記吸入用操作ホースから吸入され、前記排出用操作ホースから排出されることを特徴とする足踏み式ポンプ。 さらには、前記ピストンポンプにおける前記踏み板兼ピストンの前記ピストン部および前 記シリンダー部のストローク部を前記踏み板部が付加されたジャバラ式ポンプとしても同様の機能、効果が得られることを特徴とする足踏み式ポンプ。
【発明の効果】
【0006】
主に水の移動を例に挙げれば、従来は、インフラとしての水道やエンジン、モーター等 の原動機付きポンプ等、電気や石油等のエネルギーを使用することによって得られた圧力を利用し、水を移動させる方法が主であった。 また、体重等の人力を利用する場合は、吸水か出水どちらかの作業のみにかぎられていた。本発明により、水道が無い場所や電源等の確保が困難な場合でも、バケツや浴槽、川や池などの滞留した水を、体重というだれでも最大の力を出せるエネルギーにより「水道の蛇口から出る水」のように利用できる。 また、本発明により、水に限らず石油等の液体、空気等の気体に於いても同様の効果が期待できる。 また、従来の手押し式ポンプや体勢を保持するハンドルが付いた足踏み式ポンプに比べてポンプを安定して踏めるため、両手が自由になり、踏みながら吸入、あるいは排出用の ホースを操作できる。また、家庭用に於いては、浴槽の残り湯を洗濯機に入れたり、屋外に溜めた雨水等を、 掃除、洗車、ガーデニング、打ち水等に有効利用できるため、節水の効果も期待できる。 また、従来のように水を使用したい場所までホースを引く必要がなく、作業場の安全確 保や作業効率の向上等の効果も期待できる。また、体重をエネルギーとして利用しているのでより体重の重い人が使用すればより水圧が上がるので、体重を気にしている人にはダイエット効果も期待できる。 また、電気や燃料等のエネルギーを必要としないので、緊急時や災害時においては、排水作業や毒ガス、電気による引火性のある気体等の排出作業、さらには、要救助者に対する空気の供給にも有効である。 また、手動式ポンプに比べても長時間の作業に於いては、もっとも疲労の少ない動作で 効率よく作業ができるため、要救助者の生命の危険を軽減でき、災害復旧まで被災者の疲労も軽減できる。また、効率よく水を利用できるので、災害用仮設トイレ等の洗浄や清掃に於いても、限られた水の節約と衛生管理にも効果が期待できる。 また、水道のように勢いよく水を放出できるため、屋外でのバーベキューやたき火等の消火や、それらを原因とする火災の消火活動も、バケツ等の水を近づけて火にかけるよりも、安全かつ効果的に消火活動ができる。また、屋外に於いて危険な場所、例えば、谷底や崖下、橋の上や防波堤、磯等からの水汲み作業も、水源にホースを下ろすだけで、安全かつ、効果的に水汲み作業ができ、簡易的な井戸としても効果を期待できる。 また、電気や燃料等のエネルギーを使用しないため、電気代や燃料代がかからず経済的である。 また、電気や燃料等のエネルギーを使用しないため、自然環境への負荷がなくなる。 また、モーターやエンジン等の原動機を必要としないため、構造を簡素化でき、軽量化されるため、持ち運びも容易になり、さらには原動機式ポンプに比べ低コストで製造、販売ができる。また、低コストで製造、販売ができ、構造も単純で簡単に理解、応用ができるので、開発途上の国や地域に於いて大きな需要が期待でき、水の確保のための重労働や紛争、不衛生な環境に於ける伝染病の解決にも効果が期待できる。また、構造が単純なため、故障のリスクが低く、メンテナンスも容易なので、交通のアクセスが困難な地域でも長期的な使用ができるため、その地域住民による自発的な活動に貢献するため、外部からの援助の軽減も期待できる。また、農業、林業、水産業、製造業、建築土木業等の諸産業に於いても、製造コストの低さと、体重のみのエネルギー使用という経済性、さらには、自然環境への負荷の軽減性から、多種多様な状況に関しての応用性と発展性が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】正面図(中立状態)である。
図2】正面図(排出口側、前部に向かって右ポンプを踏んだ状態)である。
図3】背面図(吸入口側、前部に向かって右ポンプを踏んだ状態)である。
図4】側面図(中立状態)である。
図5】側面図(前部に向かって左側ポンプを踏んだ状態)である。
図6】上面図(踏み板兼ピストン(斜線部)付き) 中立状態)である。
図7】上面図(踏み板兼ピストンを外した状態)である。
図8】上面図および吸入、排出方向の指示、逆止弁の作動状態図(前部に向かって右ポンプを踏んだ状態)である。
図9】上面図および吸入、排出方向の指示、逆止弁の作動状態図(前部に向かって左ポンプを踏んだ状態)である。
図10】請求項2のジャバラ式ポンプの正面図(中立状態)である。
図11】請求項2のジャバラ式ポンプの正面図(排出口側、前部に向かって右ポンプを踏んだ状態)である。
図12】請求項2のジャバラ式ポンプの背面図(吸入口側、前部に向かって右ポンプを踏んだ状態)である。
図13】アームユニットの詳細(A外側 B内側 C上面 D側面 E脚部正面 F脚部上面)図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照にしつつ、本発明の実施形態について説明を加える。 (イ) ポンプ固定台(1)の上面にシリンダー部(2)と踏み板兼ピストン(3)より構成されるピストンポンプを左右2つ並列させ、固定する。(ロ)左右各ピストンポンプの踏み板兼ピストン(3)の踏み板部(3-1)は人の足で踏みやすい大きさの長方形とし、使用者が足を乗せた時、長方形の短手方向の爪先側を前部、踵側を後部とする。よって、右足で踏むピストンポンプを右ポンプ、左足で踏むピストンポンプを左ポンプとする。(ハ )左右各ピストンポンプのストロークの下死点より下部の前部にポンプ排出口(4)、後部にポンプ吸入口(5)を設ける。(ニ)左右各ピストンポンプの前部排出口には踏み板兼ピストン(3)が下降するときには開放され、踏み板兼ピストン(3)が上昇するときには閉鎖される排出用逆止弁(6)を設ける。(ホ)左右各ピストンポンプの後部吸入口には踏み板兼ピストン(3)が下降するときには閉鎖され、踏み板兼ピストン(3)が上昇するときには解放される吸入用逆止弁(7)を設ける。(へ)左右各ピストンポンプの 前部ポンプ排出口(4)同士を合流させ、総排出口(8)を設け、操作用排出ホース(9)を接続する。(ト)左右各ピストンポンプの後部ポンプ吸入口(5)同士を合流させ、 総吸入口(10)を設け、操作用吸入ホース(11)を接続する。(チ)左右各ピストンポンプの踏み板兼ピストンの踏み板部の前後両端部に踏み板兼ピストンを交互に上昇、下 降させるアームユニットを設ける。(リ)踏み板兼ピストン(3)の前後両端部に設けられたアームユニットは、脚部兼支柱(12)、上部アーム(13)、下部アーム(14) 、左右2つのT型アーム(15)より構成される。(ヌ)アームユニットを構成する脚部兼支柱(12)は、ポンプ固定台(1)の上面に脚部(12)-1が総排出口(8)および排出用操作ホース(9)、総吸入口(10)および吸入用操作ホース(11)に干渉しない位置に固定する。(ル)脚部兼支柱(12)は、左右各踏み板兼ピストンの踏み板部 (3-1)の中間点に直立し、支柱部(12-2)が踏み板部(3-1)の上下動に干渉 しない位置に設ける。(ヲ)アームユニットを構成する上部アーム(13)はその中心部 が脚部兼支柱(12)の支柱部(12-2)の上部軸(16)に軸着され、軸着点を中心として枢動するとき、踏み板兼ピストンの踏み板部(3-1)の上下動に干渉しない位置に設ける。(ワ)アームユニットを構成する下部アーム(14)はその中心部が脚部兼支柱(12)の支柱部(12-2)の中央部軸(17)に軸着され、軸着点を中心として枢動するとき、踏み板兼ピストンの踏み板部(3)-1の上下動に干渉しない位置に設ける 。(カ)アームユニットを構成する左右2つのT型アーム(15)は、その垂直部の中央部と上部アーム(13)の脚部兼支柱(12)の支柱部(12)-2における上部軸(16)より左右均等の両端部を軸着点として上部アーム軸(18)を設ける。(ヨ)アーム ユニットを構成する左右2つのT型アーム(15)は、その垂直部の下部と下部アーム( 14)の脚部兼支柱(12)の支柱部(12)-2における中央部軸(17)より左右均等の両端部を設軸着点として下部アーム軸(19)を設ける。(タ)左右T型アーム(1 5)と上下各アーム(13)(14)の軸着点は、脚部兼支柱(12)の支柱部(12)-2の軸着点よりすべて同じ長さに設ける。(レ)上記(リ)~(タ)の構成、構造をもつアームユニットの機能により、アームユニットのT型アーム(15)部は、上部アーム (13)、下部アーム(14)が支柱の軸着点(16)(17)を中心に平行に枢動する ので、T型アーム(15)の水平部は常にポンプ固定台(1)に対して水平を保持される 。(ソ)アームユニットの設置位置はその枢動における中間点、すなわち上下各アーム( 13)(14)が水平の位置にあるとき、T型アーム(15)の水平部の上面は、左右ピ ストンポンプのピストン部(3)-2が、そのストロークにおける中間点にあり、踏み板兼ピストン(3)の踏み板部(3)-1の前後両端部の下面に接するように設ける。本発は以上のような構造である。本発明の使用例をとくに水の移動方法をもって説明する。 本発明品(中立状態、図1 図4 図6 図10)を床や地面等の平坦な安定した場所に置き、吸入用操作ホース(11)先端部を吸入したい水源(バケツ、浴槽、川や池等)に 入れ、排出用操作ホース(9)を手で持ち、水を移動させたい方向に向け、使用者は前部(排出口側)を向いて左右各ピストンポンプの踏み板部(3-1)に片足ずつ乗り、右側のピストンポンプ(以下、右ポンプと表記する。)の踏み板部(3-1)に全体重をかける。その作用により、体重をかけた右ポンプの踏み板兼ピストンが下降し、踏み板部(3-1)の前後両端下面に接したアームユニットの右側のT型アーム(15)の水平部上面を摺動させながら押し下げ、右側のT型アーム(15)と軸着された、脚部兼支柱(12 )の支柱部(12-1)の上部アーム軸(16)および下部アーム軸(17)を軸着点とする上下各アーム(13)(14)の枢動により左側のT型アーム(15)が上昇し、その水平部上面に接した右ポンプに対する左側のピストンポンプ(以下、左ポンプと表記する。)の踏み板兼ピストンの踏み板部(3)-1前後両端部下面を押し上げ、左ポンプのシリンダー部(2)の気圧が下がり、逆止弁の作用により、ポンプ吸入口の逆止弁(7)のみが開き、ポンプ排出口の逆止弁(6)は閉じた状態で、吸入用操作ホース(11)から水が吸入され、左ポンプのシリンダー部(2)内に水が充満される。(図2 図3 図 8 図11 図12)次に上昇した左ポンプの踏み板部に全体重をかけることにより、各逆止弁の作用により排出用操作ホース(9)に水が圧送される。その際、最初に体重をけた右ポンプの踏み板兼ピストン(3)が上昇し、上記の作用により、右ポンプのシリンダー部(2)内に水が充満される。(図5 図9)以上の動作を繰り返すことにより、常に吸入用操作ホース(11)より水が吸入され、排出用操作ホース(9)から水が圧送される。また、体重をかけるバランスを調整することにより、吸入、排出させる水勢をコントロールすることができる。また、使用者は、乗る向きを前後逆にすることで、吸入用操作ホース(11)を持ちながら吸入したい水源(バケツやひしゃく等ですくいにくい箇所 )から効率よく自在に吸水作業ができる。上記は使用の一例として、水の移動を挙げた物であり、空気等の気体、水以外の石油、塗料、薬品等の液体に於いても同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0009】
1 ポンプ固定台2 シリンダー部3 踏み板兼ピストン3-1 踏み板部3-2 ピストン部4 ポンプ排出口5 ポンプ吸入口6 排出用逆止弁 7 吸入用逆止弁8 総排出口9 排 出用操作ホース10総吸入口11 操作用吸入ホース12 脚部兼支柱12-1 脚部12 -2支柱部13 上部アーム14 下部アーム15 T型アーム16 上部軸17 中央部軸18 上部アーム軸19 下部アーム軸20踏み板兼ジャバラポンプ20-1踏み板部20-2ジャバラポンプ
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