(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】食品を製造するための機械および方法
(51)【国際特許分類】
A23G 9/22 20060101AFI20230920BHJP
A23G 9/20 20060101ALI20230920BHJP
A23G 9/12 20060101ALI20230920BHJP
B01F 23/2326 20220101ALI20230920BHJP
B01F 25/30 20220101ALI20230920BHJP
B01F 25/40 20220101ALI20230920BHJP
B01F 35/90 20220101ALI20230920BHJP
B01F 35/71 20220101ALI20230920BHJP
【FI】
A23G9/22
A23G9/20
A23G9/12
B01F23/2326
B01F25/30
B01F25/40
B01F35/90
B01F35/71
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019109973
(22)【出願日】2019-06-13
【審査請求日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】102018000006332
(32)【優先日】2018-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】518089540
【氏名又は名称】エイエルアイ グループ ソチエタ ア レスポンサビリタ リミタータ カルピジャーニ
【氏名又は名称原語表記】ALI GROUP S.r.l.CARPIGIANI
【住所又は居所原語表記】Via Gobetti 2/A,20063 CERNUSCO SUL NAVIGLIO (MILANO),Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【氏名又は名称】吉田 新吾
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア コッキ
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト ラッザリーニ
【審査官】手島 理
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-174059(JP,A)
【文献】米国特許第05410888(US,A)
【文献】特開2009-165459(JP,A)
【文献】特開2007-135595(JP,A)
【文献】特開2016-174598(JP,A)
【文献】佐合 徹、山崎 栄次,アイスクリーム製造におけるファインバブル技術の利用,三重県工業研究所 研究報告,三重県工業研究所,2016年,No. 40,p.27-31
【文献】久木崎 雅人、鳥越 清,ナノバブルの生成に及ぼすガスの透過圧力および水相の流速の影響,宮崎県工業技術センター・宮崎県食品開発センター研究報告,2005年,No. 50,p.9-11
【文献】柘植 秀樹,マイクロバブル・ナノバブルの基礎,日本海水学会誌,2010年,第64巻、第1号,p.4-10
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G
B01F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を製造するための機械(1)であって、
フレーム(2)と、
処理される液状または半液状の
基本混合物を収容する少なくとも1つの第1の容器(3)と、
前記第1の容器(3)の内側に取り付けられた撹拌機(6)と、
前記第1の容器(3)と動作可能に関連する熱処理手段(7)と、
前記第1の容器(3)から製品を取り出すことができるように前記第1の容器(3)に接続されたディスペンサ(33)と、を備え、
前記機械(1)は、さらに、
ガスマイクロバブルまたはナノバブルを生成するための少なくとも1つの装置(11)であって、前記機械(1)で処理中の混合物にガスマイクロバブルまたはナノバブルを放出するように動作可能に構成される装置(11)と、
ガスマイクロバブルまたはナノバブルを生成するための前記装置(11)に接続され、前記装置(11)を制御および駆動するための制御および駆動ユニット(10)と、を備え、
ガスマイクロバブルまたはナノバブルを生成するための前記装置(11)が、前記第1の容器(3)と動作可能に関連付けられて、ガスマイクロバブルまたはナノバブルを前記第1の容器(3)内の前記混合物に直接放出する、機械(1)。
【請求項2】
前記第1の容器(3)が槽である、請求項
1に記載の機械。
【請求項3】
前記第1の容器(3)の出口(U1)および入口(U2)と、前記出口(U1)に接続されて製品を前記第1の容器(3)から取り出すと共に、前記入口(U2)に接続されて前記製品を前記第1の容器(3)に送り込む循環ポンプ(200)とをさらに備える、請求項1
または2に記載の機械。
【請求項4】
前記循環ポンプ(200)に関連付けられた熱処理手段(206)を備える、請求項
3に記載の機械。
【請求項5】
前記第1の容器(3)の底部に形成されたハウジング(202)と、前記ハウジング(202)の内側に回転可能に取り付けられた第2の撹拌機(201)とを備え、前記循環ポンプ(200)は、前記第2の撹拌機(201)によって規定される、請求項
3または
4に記載の機械。
【請求項6】
前記機械が低温殺菌装置である、請求項
2から
5のいずれか1項に記載の機械。
【請求項7】
前記機械はアイスクリーム機械であり、前記第1の容器(3)は円筒形の容器であり、前記撹拌機(6)は前記第1の容器(3)の内壁を擦るように構成される、請求項1に記載の機械。
【請求項8】
前記基本混合物を熱処理するための撹拌機(35)および熱処理手段(36)を備えた第2の容器(30)と、
前記第2の容器(30)を前記第1の容器(3)に接続するダクト(8)であって、前記基本混合物を前記第2の容器(30)から前記第1の容器(3)に移送することができるように、前記第2の容器(30)を前記第1の容器(3)に動作可能に接続するように構成されるダクトと、をさらに備える請求項1に記載の機械。
【請求項9】
ガスマイクロバブルまたはナノバブルを生成するための前記少なくとも1つの装置(11)が、前記ダクト(8)と動作可能に関連付けられて、ガスマイクロバブルまたはナノバブルを前記ダクト(8)自体に沿って移動中の前記混合物に放出する、請求項
8に記載の機械。
【請求項10】
ガスマイクロバブルまたはナノバブルを生成するための前記装置(11)が、酸素と窒素を含む気体混合物、空気、酸素、窒素、二酸化炭素のうちの1つのバブルを生成するように構成される、請求項1から
9のいずれか1項に記載の機械。
【請求項11】
ガスマイクロバブルまたはナノバブルを生成するための前記装置(11)が、加圧ガスの供給源および前記加圧ガスを移送するためのダクトを備える、請求項1から
10のいずれか1項に記載の機械。
【請求項12】
前記機械(1)の動作パラメータを捕捉するように構成されたセンサ(37)を備え、前記制御および駆動ユニット(10)は前記センサ(37)に接続されて、前記センサ(37)によって捕捉された信号に応じて、ガスマイクロバブルまたはナノバブルを生成するための前記装置(11)を作動させるように構成される、請求項1から
11のいずれか1項に記載の機械。
【請求項13】
マイクロバブルを生成するための前記装置(11)が、前記ダクト(8)の一部を画定するガス透過性膜(30M)を備える、請求項
8または9に記載の機械。
【請求項14】
マイクロバブルを生成するための前記装置(11)がチャンバ(24)を含み、前記ガス透過性膜(30M)が前記チャンバ(24)の内側に配置され、前記チャンバ(24)がガス入口(23)を備える、請求項
13に記載の機械。
【請求項15】
マイクロバブルまたはナノバブルを生成するための前記装置(11)がベンチュリ装置(11A)であり、マイクロバブルまたはナノバブルを前記基本混合物中に形成させることができるように、ガス入口(IN1)が接続された、前記ダクト(8)内を循環する前記基本混合物が横断する狭窄区域(105)を備える、請求項
8、9、13および14のいずれか1項に記載の機械。
【請求項16】
マイクロバブルを生成するための前記装置(11)が流体力学的キャビテーションを生成するように構成される、請求項1から
15のいずれか1項に記載の機械。
【請求項17】
マイクロバブルまたはナノバブルを生成するための前記装置(11)が散布システムを備える、請求項1から
12のいずれか1項に記載の機械。
【請求項18】
請求項1から
17のいずれか1項に記載の液状または半液状食品を製造するための機械(1)で液状または半液状食品を製造する方法であって、
ガスマイクロバブルまたはナノバブルを生成するための前記装置(11)によって、基本混合物中にマイクロバブルまたはナノバブルを生成するステップと、
前記基本混合物を前記第1の容器(3)の内側に配置するステップと、
前記第1の容器(3)の内側に取り付けられた前記撹拌機(6)を回転させ、前記第1の容器(3)の内側に液状または半液状食品を製造するためにマイクロバブルまたはナノバブルを含む
前記基本混合物を冷却するステップと、を含む方法。
【請求項19】
ガスマイクロバブルまたはナノバブルを生成するための前記装置(11)を用いて前記混合物にマイクロバブルまたはナノバブルを生成する前記ステップが、流体力学的キャビテーションによってバブルを生成するステップを含む、請求項
18に記載の方法。
【請求項20】
基本粉末製品の一部に基本液体を加えるステップを含む、基本混合物を調製するステップと、前記基本液体を前記基本粉末製品の一部に加える前に前記基本液体中にマイクロバブルまたはナノバブルを生成するステップを含む、前記基本混合物にマイクロバブルまたはナノバブルを生成する前記ステップとを含む、請求項
18または
19に記載の方法。
【請求項21】
前記基本液体は水を含む、請求項
20に記載の方法。
【請求項22】
前記基本液体はミルクを含む、請求項
20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品(具体的には液状または半液状食品)を加工または熱処理するための機械(および方法)に関し、具体的には、必ずしもそうとは限らないが、アイスクリームまたはチルドパティスリー製品(ジェラート、ソフトクリーム、スラッシュドリンク、シャーベット、ミルクセーキ、ヨーグルト、フローズンデザート、デザートクリーム、ホイップクリームなど)を製造するための機械に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、問題となっているアイスクリーム業界では、冷凍システムに関連し、撹拌機を備えたバッチ式冷凍シリンダを含むアイスクリーム機械が知られている。
【0003】
バッチ式冷凍シリンダは、他の容器によって供給される基本混合物から完成品(例えばアイスクリーム)を製造することを可能にする。
【0004】
当該業界ではまた、食品および混合物を熱処理するために使用される、例えば低温殺菌装置などの機械も知られている。
【0005】
これらの低温殺菌装置は、撹拌機を備えた容器を備えており、その中で、その後処理されることになる基本製品が、一般的に言えば、熱処理される。
【0006】
当該業界において特に強く感じられている必要性は、既存のタイプの機械に対する有効な代替物を構成することができ、特に、製造される最終製品が高品質であることを保証することができる解決策に対する必要性である。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明の目的は、上述の必要性を満たすこと、すなわち食品、特にアイスクリームタイプの製品を熱処理するための(特に製造、バッチ式冷凍および分配するための)機械および方法であって、現在までに存在している技術的解決策に対する代替物を構成できる機械および方法を提供できることである。
【0008】
したがって、本発明の目的は、食品、特にアイスクリームタイプの製品を熱処理するための(特に製造、バッチ式冷凍および分配するための)機械および方法であって、特に高品質で良好な官能特性を有する製品を製造することができる機械および方法を提供することである。本発明によれば、この目的は、本発明の対象を形成し、添付の特許請求の範囲の請求項の1つまたは複数に記載されている技術的特徴を含む機械および方法によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
上記目的を参照した本開示の技術的特徴は、特許請求の範囲に明確に記載されており、その利点は、好ましい非限定的な例示的実施形態を示す添付の図面を参照した以下の詳細な説明から明らかである。
【
図1】食品を製造するための本発明の機械の第1の実施形態の概略側面図である。
【
図2】食品を製造するための本発明の機械の第2の実施形態の概略側面図である。
【
図3】食品を製造するための本発明の機械の第3の実施形態の概略側面図である。
【
図4】食品を製造するための本発明の機械の第4の実施形態の概略側面図である。
【
図5】食品を製造するための本発明の機械の第5の実施形態の概略側面図である。
【
図6】
図1から
図3の機械のいずれにおいても使用可能なマイクロバブルまたはナノバブルを生成するための装置の例示的実施形態を概略的に示す。
【
図7】
図4または
図5の機械のいずれかにおいて使用可能なマイクロバブルまたはナノバブルを生成するための装置の例示的実施形態を概略的に示す。
【
図8】
図1から
図3の機械のいずれにおいても使用可能なマイクロバブルまたはナノバブルを生成するための装置の実施形態を示す。
【
図9】
図4および
図5の機械に適用可能なマイクロバブルまたはナノバブルを生成するための散布装置の例示的実施形態を概略的に示す。
【
図10】
図4および5の機械に適用可能なマイクロバブルまたはナノバブルを生成するための装置の例示的実施形態を概略的に示す。
【
図11】
図4および5の機械に適用可能なマイクロバブルまたはナノバブルを生成するための装置の例示的実施形態を概略的に示す。
【
図12】
図4および5の機械に適用可能なマイクロバブルまたはナノバブルを生成するための装置の例示的実施形態を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面を参照すると、数字1は食品を製造するための装置または機械を示す。
【0011】
好ましくは、食品はアイスクリームおよびチルドパティスリー製品など(ジェラート、ソフトクリーム、スラッシュドリンク、シャーベット、ミルクセーキ、ヨーグルト、フローズンデザート、デザートクリームなど)である。
【0012】
好ましくは、食品は液状または半液状食品である。
【0013】
一般的に言って、その処理(すなわち、機械1における処理)においては、この種の製品に空気が取り込まれることになる点に留意されたい。これらの食品中の空気は、それらの物理的な品質および官能特性(例えば、味および/または食感および/または外観および/または粘稠度)を決定する。
【0014】
必須ではないが、好ましくは、(特に
図1、
図3、
図4に示す実施形態では)機械1はアイスクリーム機械である。
【0015】
さらにより好ましくは、機械1は、ソフトクリーム(またはシャーベットなどの類似の製品)を製造するための機械である。
【0016】
さらなる実施形態では、機械1は低温殺菌装置(特に
図2および
図5に示す機械)である。
【0017】
「製造するための機械1」という表現は、食品の(加熱)処理用に特に設計された機械にも適用されることに留意されたい。
【0018】
本発明によれば、食品を製造するための機械1はフレーム2を備える。
【0019】
別の態様によれば、機械1は、液状または半液状の基本混合物を処理することを可能にするように構成された少なくとも1つの(第1の)処理容器3を備える。
【0020】
以下は、
図1から5の機械1の実施形態の簡単な説明である。
【0021】
図1の実施形態では、第1の容器3は円筒形の容器である。
【0022】
好ましくは、(図示されていない実施形態において)第1の容器3は垂直軸対称を有する。
【0023】
あるいは、(
図1に示されるように)第1の容器3は水平軸対称を有する。
【0024】
好ましくは、
図1に示されるように、この実施形態の機械はさらなる供給容器30を備える。
【0025】
好ましくは、一実施形態では、さらなる供給容器30は可撓性容器(すなわちバッグ)である。
【0026】
この場合、機械は(
図1に概略的に示される)ポンプ21を備えることが好ましい。
【0027】
ポンプ21は、好ましくは蠕動ポンプである。
【0028】
ポンプ21は、供給容器30と第1の容器3との間に挿入されて、基本混合物が供給容器30から第1の容器3へ移送されることを可能にすることに留意されたい。
【0029】
別の態様によれば、第1の容器3は基本混合物用の処理チャンバを画定し、機械1は基本混合物を液状または半液状製品に変換するために互いに連携して動作する、基本混合物用の撹拌機6および熱処理手段7を備える。
【0030】
好ましくは、熱処理手段7は、熱力学的サイクルを実行するように構成された熱力学的システムを備える。
【0031】
熱力学的システムは、(回路の内側を循環する)熱交換流体を含む閉回路を備えることが好ましい。
【0032】
熱力学的システムは、回路に沿って配置された圧縮機を備えることが好ましい。
【0033】
熱力学的システムは、回路に沿って配置された第1の交換器を備えることが好ましい。
【0034】
熱力学的システムは、回路に沿って配置された第2の交換器40を備えることが好ましい。好ましくは、第2の交換器40は第1の容器3と関連している。
【0035】
熱力学的システムは、好ましくは減圧要素(例えばスロットルバルブ)を備える。
【0036】
圧縮機は、第1の交換器の入口と第2の交換器40の出口との間に挟まれて回路の一方の脚に配置され、一方、減圧要素は第1の交換器の出口と第2の交換器40の入口との間で回路の別の脚に配置されることに留意されたい。
【0037】
熱力学的サイクルは、好ましくは蒸気圧縮サイクルである。
【0038】
以下に説明するのは、
図3および
図4の機械1である。
【0039】
図3および
図4の実施形態では、さらなる供給容器30はタンクである。
【0040】
均質化および/または低温殺菌を目的とした熱処理サイクルが供給容器30の内部で行われる。
【0041】
この場合、さらなる供給容器30から第1の容器3への基本混合物の移送は重力によって行われる。
【0042】
好ましくは、タンクはその内部に取り付けられた撹拌機35を有する。
【0043】
図3に示されるように、機械1は、熱力学的システムの一部を形成するさらなる熱交換器36を備える。
【0044】
さらなる熱交換器36は、第2の容器30と関連付けられている。
【0045】
別の態様によれば、機械1は、第1の容器3を第2の容器30に接続し、基本混合物が第1の容器30から第2の容器3へ移送されることを可能にするように第1の容器3を第2の容器30に動作可能に接続するように構成される接続ダクト8を備える。
【0046】
別の態様によれば、機械1は、製品を取り出すことを可能にするために第1の容器3に接続されたディスペンサ33を備える。
【0047】
ディスペンサ33をオンまたはオフにして、それぞれ、第1の容器3からの製品の分配を許可または禁止することができる。
【0048】
図2および
図5の機械について以下に簡単に説明する(これらの機械1は特に低温殺菌装置である)。
【0049】
一態様によれば、
図2および
図5の機械1はまた、第1の容器3の出口U1および入口U2と、出口U1に接続されて(液状または半液状)製品を第1の容器3から抽出すると共に、入口U2に接続されて製品を第1の容器3に送り込むための循環ポンプ200とを備える。
【0050】
別の態様によれば、機械1は循環ポンプ200と関連する熱処理手段206を備える。
【0051】
好ましくは、熱処理手段206は(熱タイプの)熱交換器を備える。
【0052】
好ましくは、機械1は、第1の容器3の底部に形成されたハウジング202(またはトラップ)と、ハウジング202の内側に回転可能に取り付けられた第2の撹拌機201とを備える。循環ポンプ200は第2の撹拌機201とハウジング202によって規定される。
【0053】
ハウジング202はダクト207によって容器3の入口U2に接続される。
【0054】
本発明によれば、機械1は、実施形態とは無関係に、機械1で処理中の混合物にガスマイクロバブルまたはナノバブルを放出するように動作可能に構成される、ガスマイクロバブルまたはナノバブルを生成するための少なくとも1つの装置11を備える。
【0055】
機械1は、ガスマイクロバブルまたはナノバブルを発生させるための装置11を制御および駆動するために当該装置11に接続された制御および駆動ユニット10をさらに備える。
【0056】
「マイクロバブル」という用語は、(等価または平均)直径が100ミクロン未満の気泡を意味するために使用されることに留意されたい。
【0057】
「ナノバブル」という用語は、(等価または平均)直径が1ミクロン未満である気泡を意味するために使用されることに留意されたい。
【0058】
好ましくは、ガスマイクロバブルまたはナノバブルを生成するための装置11は、100ミクロン未満(すなわち、マイクロバブル)の(等価または平均)直径を有する気泡を生成するように構成される。
【0059】
好ましくは、ガスマイクロバブルまたはナノバブルを生成するための装置11は、実質的に1に等しいレイノルズ数を有する気泡を生成するように構成される。
【0060】
知られているように、レイノルズ数(Re)は以下のように定義される。
【0061】
ここで、
ρは、密度(kg/m3)である。
【0062】
<v>は、平均速度(m/s)である。
【0063】
dは、ダクト内での運動の場合、水力直径(m)に対応する現象の代表長さである。
【0064】
μは、動粘性係数(Pa・s)である。
【0065】
別の態様によれば、ガスマイクロバブルまたはナノバブルを生成するための装置11は、球形の気泡を生成するように構成されることが好ましい。
【0066】
好ましくは、ガスマイクロバブルまたはナノバブルを生成するための装置11は、80ミクロン未満の(等価または平均)直径を有する気泡を生成するように構成される。
【0067】
好ましくは、ガスマイクロバブルまたはナノバブルを生成するための装置11は、50ミクロン未満の(等価または平均)直径を有する気泡を生成するように構成される。
【0068】
好ましくは、ガスマイクロバブルを生成するための装置11は、25ミクロン未満の(等価または平均)直径を有する気泡を生成するように構成される。
【0069】
好ましくは、ガスマイクロバブルを生成するための装置11は、10ミクロン未満の(等価または平均)直径を有する気泡を生成するように構成される。
【0070】
好ましくは、ガスマイクロバブルまたはナノバブルを生成するための装置11は、5ミクロン未満の(等価または平均)直径を有する気泡を生成するように構成される。
【0071】
好ましくは、ガスマイクロバブルまたはナノバブルを生成するための装置11は、1ミクロン未満(すなわち、ナノバブル)の(等価または平均)直径を有する気泡を生成するように構成される。
【0072】
別の態様によれば、機械1は、気泡を生成するための装置11を制御および駆動するために当該装置11に接続された制御および駆動ユニット10を備える。
【0073】
別の態様によれば、ガスマイクロバブルまたはナノバブルを生成するための装置11は、酸素と窒素を含む気体混合物、空気、酸素、窒素、二酸化炭素のうちの1つのバブルを生成するように構成される。
【0074】
別の態様によれば、ガスマイクロバブルまたはナノバブルを生成するための装置11は、加圧ガスの供給源および加圧ガスを移送するためのダクトを備える。
【0075】
さらに別の態様によれば、機械1は、機械1の動作パラメータを捕捉するように構成されたセンサを備え、制御および駆動ユニット10は当該センサに接続され、ガスマイクロバブルまたはナノバブルを生成するための装置11を当該センサによって捕捉された信号に応じて作動させるように構成される。
【0076】
さらに別の態様によれば、機械1は、混合物の流速を捕捉するように構成されたセンサを備え、制御および駆動ユニット10は当該センサに接続され、ガスマイクロバブルまたはナノバブルを発生させるための装置11を当該センサによって捕捉された信号に応じて作動させるように構成される。
【0077】
以下に説明するのは、上述の機械1のうちの1つまたは複数に適用可能な、マイクロバブルまたはナノバブルを生成するための装置11のいくつかの例である。
【0078】
図8は、後述する、マイクロバブルまたはナノバブルを生成するための装置11の実施形態を示す。
【0079】
装置11は、ガスに透過性(浸透性)であり、かつ基本液体に不透過性である膜30Mを備える。
【0080】
より正確には、ガス透過性膜30Mは、チャンバ24の内側にダクト8の区画を規定する。
【0081】
ガスは入口23を通ってチャンバ24に供給される。
【0082】
好ましくは、入口23はガス加圧装置、すなわち加圧ガスの供給源に接続される。
【0083】
したがって、チャンバ24内のガスは浸透性膜30Mを通過してダクト8内に直接浸透し、浸透性膜30Mによって規定される界面にガスのマイクロバブルまたはナノバブルを形成することに留意されたい。
【0084】
装置11は、好ましくは、入口を開閉するために入口23と関連するバルブ25も備える。
【0085】
バルブ25は、制御および駆動ユニット10によって駆動されることが好ましい。
【0086】
一態様によれば、制御および駆動ユニット10は、バルブ25を開き、同時にポンプ21を作動させることが好ましいことに留意されたい。
【0087】
このようにして、マイクロバブルがチャンバ24を介して移送中の混合物に加えられる。
【0088】
図6に示される装置11のさらなる実施形態では、マイクロバブルを生成するための装置11はベンチュリ装置11Aであり、マイクロバブルが基本混合物中に形成されることを可能にするように、ガス入口IN1が接続される、ダクト8内を循環する基礎混合物が横切る狭窄区域105を備える。
【0089】
負圧または減圧が狭窄区域105内に生成されることに留意されたい。
【0090】
図6の下のグラフは、
図6の装置11A内の混合物の静圧の傾向を表す。
【0091】
基本混合物の流れの方向に関して、装置11Aは、上流に第1の区域106、第2の狭窄区域105および第3の区域107を備える。
【0092】
好ましくは、装置11Aはガス入口IN1を備える。
【0093】
好ましくは、ガス入口IN1は狭窄区域105に配置される。
【0094】
さらにより好ましくは、ガス入口IN1は、第2の狭窄区域105と第3の区域107との間の通過区域に配置される。
【0095】
好ましくは、(装置11Aの延在方向に対して直角な平面内の)第3の区域107の断面は、第1の区域106の断面よりも小さい。
【0096】
明らかなように、狭窄区域105内の圧力は、第1の区域106内および第3の区域107内の圧力よりも低い。
【0097】
特に、ガスは、狭窄区域105内に発生した負圧の効果によって液体によって吸収される。
【0098】
次に、断面が狭窄区域105の断面よりも大きい第3の区域107において、ガスと基本混合物との混合物が加圧される。
【0099】
基本混合物の一部を形成する気体および液体の溶解度は区画106において減少するので、バブルが過飽和ガスの存在の影響により(すなわち、液体が吸収できる量よりも多い量で)形成される。
【0100】
したがって、装置11Aの出口109における基本混合物は、その中にマイクロバブルまたはナノバブルを有する。
【0101】
図7は、マイクロバブルを生成するための装置11のさらなる実施形態を示す。
【0102】
この実施形態では、装置11は、互いに対して移動可能な部分114Aおよび第2の部分114Bを備える。
【0103】
第2の部分114Bは、第1の部分114Aに対して回転可能であることが好ましい。
【0104】
第2の部分114Bが(第1の部分114Aに対して)回転すると、マイクロバブルまたはナノバブルが生成されることに留意されたい。
【0105】
したがって、マイクロバブルまたはナノバブルは、
図7の112とラベル付けされた区域内で生成され、次に
図7の113とラベル付けされた区域内の混合物に取り込まれる。
【0106】
本実施形態では、マイクロバブルまたはナノバブルは、第2の部分114Bの回転の効果によって発生する。
【0107】
あるいは、図示されていない実施形態では、装置11は、回転してマイクロバブルまたはナノバブルを生成するために基本混合物と接触して配置された少なくとも1つの回転要素(例えばファン)を備える。
【0108】
図9は、本発明に従って使用可能なマイクロまたはナノバブルを生成するための装置のさらなる実施形態を示す。
【0109】
より具体的には、
図9に示される装置は、
図4および
図5の機械に適用可能な散布装置11である。
【0110】
散布システムは、気体を液体に注入するためのシステムである。
【0111】
好ましくは、散布システムは、
図4および
図5の機械の容器3、30の内部で動作する。
【0112】
この実施形態では、散布システムは、
図4および
図5の機械の容器3、30内で気体が溶解された液体を過飽和させることができる気体(例えば空気または窒素)を放出する。
【0113】
散布装置11は、ガス移送ダクト501と、ダクト501の一端に取り付けられた注入器500とを備えることが好ましいことに留意されたい。
【0114】
注入器500は、
図4および
図5の機械の容器3、30の内側に配置される。
【0115】
図10、11および12は、
図4および5の機械、特にこれらの機械の容器3、30に適用可能な、マイクロまたはナノバブルを注入するための装置11のさらなる実施形態を示す。
【0116】
図10、11および12の装置11は注入装置400を備える(
図9、10および11にはっきりと見える)。
【0117】
注入装置400は、マイクロまたはナノバブルの形態でガスを放出する。
【0118】
好ましくは、注入装置400はノズルを備える(
図9、10および11にはっきりと見える)。
【0119】
好ましくは、ノズルは加圧ガス源401に接続される。
【0120】
好ましくは、
図10、11および12に示される装置11は、ノズルと加圧ガス源401との間に配置されたバルブ(図示せず)を備える。
【0121】
本発明の1つの利点は高品質のアイスクリームを提供することであることに留意すべきである。実際、このようにして得られた、拡散ガス粒子(マイクロまたはナノバブル)を備えたアイスクリームは、滑らかでコンパクトな構造を有し、味覚に関して非常に柔らかい。
【0122】
有利なことに、別の態様によれば、装置11は流体力学的キャビテーション、すなわち気泡の内破を生じさせるように構成され、その結果局所エネルギーが発生する。
【0123】
より一般的に言えば、機械1は、マイクロバブルまたはナノバブルを生成するための静的タイプの装置11(
図7、9、10から12の実施形態)、すなわち、装置11がマイクロバブルまたはナノバブルを放出しなければならない液体の移動/流れがない状態で動作する装置11を取り付けられてもよいし、または装置11がマイクロバブルまたはナノバブルを放出しなければならない液体の移動/流れがある状態で動作する、マイクロバブルまたはナノバブルを生成するための動的タイプの装置11(
図6および
図8の実施形態)を取り付けられてもよいことに留意すべきである。
【0124】
また、より一般的に言えば、マイクロバブルまたはナノバブルを生成するための本明細書に記載の装置11の実施形態は網羅的なものではなく、単なる例示にすぎないことに留意されたい。実際には、当業者の知識に基づいて、機械1は、本開示に記載されたものとは異なる種類のマイクロバブルまたはナノバブル生成装置11を取り付けられてもよい。
【0125】
当業者は、種々のマイクロバブル生成装置11を本発明の機械1に使用できることを理解するであろう。
【0126】
液状または半液状食品を製造するための機械1において液状または半液状食品を製造する方法もまた本発明に従って定義される。
【0127】
当該方法は、
ガスマイクロバブルまたはナノバブルを生成するための装置11を用いて基本混合物中にマイクロバブルまたはナノバブルを生成するステップと、
基本混合物を第1の容器3の内側に配置するステップと、
第1の容器3の内側に取り付けられた撹拌機6を回転させ、第1の容器3の内側に液状または半液状食品を製造するために、マイクロバブルまたはナノバブルを含む基本製品の混合物を冷却するステップと、を含む。
【0128】
好ましくは、一態様によれば、基本混合物を第1の容器3の内側に配置するステップは、ガスマイクロバブルまたはナノバブルを生成するための装置11によって基本混合物中にマイクロバブルまたはナノバブルを生成するステップに時間的に先行する。
【0129】
別の態様によれば、ガスマイクロバブルまたはナノバブルを生成するための装置11によって混合物中にマイクロバブルまたはナノバブルを生成するステップは、流体力学的キャビテーションによってバブルを生成するステップを含む。
【0130】
別の態様によれば、方法は、基本粉末製品の一部に基本液体を加えるステップを含む、基本混合物を調製するステップと、基本液体を基本粉末製品の一部に加える前に基本液体中にマイクロバブルまたはナノバブルを生成するステップを含む、基本混合物中にマイクロバブルまたはナノバブルを生成するステップとを含む。
【0131】
さらに別の態様によれば、基本液体は水を含む。
【0132】
この態様によれば、マイクロバブルまたはナノバブルは水中で発生することが好ましい。
【0133】
さらに別の態様によれば、基本液体はミルクを含む。
【0134】
この態様によれば、マイクロバブルまたはナノバブルはミルク中に発生することが好ましい。