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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】曲線踏板
(51)【国際特許分類】
   E04G 1/36 20060101AFI20230920BHJP
   E04G 5/00 20060101ALI20230920BHJP
   E04G 5/08 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
E04G1/36 302Z
E04G5/00 301G
E04G5/08 D
E04G5/08 S
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019119592
(22)【出願日】2019-06-27
(65)【公開番号】P2021004518
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】390019688
【氏名又は名称】株式会社シンニッタン
(74)【代理人】
【識別番号】100102761
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 元也
(72)【発明者】
【氏名】橋本 諭
(72)【発明者】
【氏名】江原 収
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-083187(JP,U)
【文献】登録実用新案第3111393(JP,U)
【文献】登録実用新案第3027688(JP,U)
【文献】特開平09-004217(JP,A)
【文献】特開2012-149393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 1/36
E04G 5/00
E04G 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形状に離間配置される建枠の水平杆に足場踏板を水平状態で架設する円形躯体用足場踏板装置において用いられる曲線踏板において、
平面視長方形状に形成される踏板本体と、当該踏板本体の左右両側部に連設する平面視長方形状に形成される2枚の補助踏板とからなり、当該踏板本体の短辺両端部には中空管材が設けられ、当該補助踏板の短辺両端部の一方隅部には当該中空管材に挿通されるスライド軸部材が当該踏板本体に対して内側方向に突設されると共に他方隅部には断面形状C字状の架設用つかみ金具が当該踏板本体に対して外側方向に突設されており、当該スライド軸部材が当該中空管材内を摺動自在となり、当該スライド軸部材と当該中空管材が、挿通状態において、摺動方向および摺動方向に直行する方向において一定の隙間を有することにより、当該補助踏板が当該踏板本体に対して外側に伸長自在となることを特徴とする曲線踏板。
【請求項2】
前記スライド軸部材には、摺動方向に延設された穴部が設けられたことを特徴とする請求項1に記載した曲線踏板。
【請求項3】
前記踏板本体と前記補助踏板を固着するための結合具用貫通孔が当該踏板本体に複数設けられたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の何れかの請求項に記載した曲線踏板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円形躯体に対応するために円形状に離間配置される建枠の水平杆に架設される円形躯体用足場踏板装置に用いられる曲線踏板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建造物の建築のために足場を形成するに際しては、所用数所要間隔を保って対向させた建枠のそれぞれの間に、足場用踏板を水平状態に架設することが知られているが、円筒状建築物のような平面視円形の躯体に対しては、建枠水平杆に載置された標準枠組における長方形状足場踏板間に概ね扇形状の隙間が生ずるなどの不都合が生ずる。
【0003】
かかる問題点を解決するべく、下記先行技術において図示されるように、躯体に対して内側を短辺とする台形状を呈するなどの形態の踏板を連結させる踏板が想定される(従来技術を示した図7および図8参照)。
【0004】
しかしながら、特定形状に同一規格化された曲線踏板は、現場によって必要とされる長さに過不足が生ずることもあり、また、足場の組上げ作業を実施するにつれ隙間にわずかなずれが生じていき、同一規格の曲線踏板が長方形状足場踏板間の隙間に対応しない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-185377
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであって、曲線踏板の形状を現場の状況に対応して適宜変更可能とする曲線踏板を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、請求項1に記載のように、円形状に離間配置される建枠の水平杆に足場踏板を水平状態で架設する円形躯体用足場踏板装置において用いられる曲線踏板において、平面視長方形状に形成される踏板本体と、当該踏板本体の左右両側部に連設する平面視長方形状に形成される2枚の補助踏板とからなり、当該踏板本体の短辺両端部には中空管材が設けられ、当該補助踏板の短辺両端部の一方隅部には当該中空管材に挿通されるスライド軸部材が当該踏板本体に対して内側方向に突設されると共に他方隅部には断面形状C字状の架設用つかみ金具が当該踏板本体に対して外側方向に突設されており、当該スライド軸部材が当該中空管材内を摺動自在となり、当該スライド軸部材と当該中空管材が、挿通状態において、摺動方向および摺動方向に直行する方向において一定の隙間を有することにより、当該補助踏板が当該踏板本体に対して外側に伸長自在となることを特徴とするものである。
【0008】
本発明は、請求項2に記載のように、請求項1に記載した曲線踏板において、前記スライド軸部材には、摺動方向に延設された穴部が設けられたことを特徴とするものである。
【0009】
本発明は、請求項3に記載のように、請求項1又は請求項2に記載の何れかの請求項に記載した曲線踏板において、前記踏板本体と前記補助踏板を固着するための結合具用貫通孔が当該踏板本体に複数設けられたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は請求項1~請求項3に記載のような構成を採用したことから、曲線踏板の形状を現場の状況に対応して適宜変更可能とする曲線踏板を提供することが可能となるものである。
【0011】
また、吹上による脱落防止のための固定作業を要することがなく、かつ、踏板間の段差も生じさせない安全性に富む曲線踏板を提供することが可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の曲線踏板の一実施例を示す平面図である。
図2】本発明の曲線踏板の一実施例を示す平面図である。
図3】本発明の曲線踏板の一実施例を示す斜視図である。
図4】本発明の曲線踏板の一実施例を示す斜視図である。
図5】本発明の曲線踏板の一実施例の構成部材を分解した状態を示す斜視図である。
図6】本発明の曲線踏板の一実施例を円形躯体用足場踏板装置に用いた状態を示す平面図である。
図7】従来技術を示す平面図である。
図8】従来技術を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る曲線踏板に関して詳細に説明する。
【0014】
本願における「曲線踏板」の語は、円筒状建築物のような平面視円形の躯体に対して建枠水平杆に載置された長方形状足場踏板間に生ずる略扇形状の隙間に配置される踏板を意味するものである。
【0015】
本発明の基本的構成は、矩形状踏板本体1と、踏板本体の左右両側部に連設される2枚の矩形状補助踏板2、3とからなり、下記に詳述のとおり、補助踏板2、3を踏板本体1に対し摺動自在とすることにより補助踏板2、3が踏板本体1に対し伸縮自在となり、曲線踏板Xの全体形状を適宜変更可能とするものである。
【0016】
図1および図3は、左右の補助踏板2、3を踏板本体1に対し外側方向(すなわち、曲線踏板の両側に配置される横架長方形状足場踏板F2F3方向)へ伸張させ(図3の矢印参照)、扇形隙間に対応するように曲線踏板として機能させた状態を示すものである。
【0017】
図2および図4は、補助踏板2、3が踏板本体1に対し伸張していない状態、すなわち、スライド軸部材S2S3が中空管材Pに収まり補助踏板2、3と踏板本体1が並列している状態を示すものである。
【0018】
実施例においては、例えば、図1などは、幅500mm、長さ1110mmの踏板本体に対し、幅345mmの各補助踏板が連設される態様を示しているが、かかる寸法に限定されるものではない。
【0019】
なお、実施例において図3に示している補助踏板2、3が伸張した曲線踏板Xは、約15℃の横架踏板間の隙間に対応させた曲線踏板の実施例であり、上記寸法の踏板においては、曲線踏板外縁Oの幅は約1000mmとなる。
【0020】
図5は、本発明に係る曲線踏板の構成部材を分解した状態を示す説明用斜視図である。
【0021】
踏板本体1は、全体形状が平面視において長方形状に形成されており、短辺側の両端に角筒パイプなどの中空管材Pが設けられている。
【0022】
中空管材Pには、結合具が貫通する結合具用貫通孔H1が複数穿設されている。
【0023】
なお、結合具用貫通孔H1は、中空管材Pにおいて直線状に連続的に設けられることにより、後述する補助踏板2,3と踏板本体1に対して適宜位置において固定することが可能となる。
【0024】
補助踏板2,3は、平面視において長方形状に形成されており、短辺側の両端一方隅部(すなわち、踏板本体に連設された状態での四隅)には、短辺並行方向踏板本体に対し外側に突設する架設用つかみ金具K2K3が設けられている。
【0025】
つかみ金具K2K3は、建枠の水平杆に係合するために断面形状C状に形成されることにより、吹上になどによる踏板の脱落を防止することが可能となる。
【0026】
補助踏板2,3の短辺側の両端には、スライド軸部材S2S3が設けられており、つかみ金具K2K3に対向する方向(すなわち、連設される踏板本体に対して内側方向)に突設されている。
【0027】
踏板本体1と補助踏板2,3は、踏板本体1の中空管材Pに穿設される結合具用貫通孔H1を介して、例えば、ボルトB、ナットN、ワッシャーW等の結合具により簡易に相互に固定することが可能となる。
【0028】
図5に示すように、補助踏板2,3は、踏板本体1との段差を極力少なくなるように、例えば、補助踏板2,3の踏板部は厚み1mmの薄板に形成され、耐重強化などから一方の長辺側(踏板本体1に対し外側)縁に垂下片(3C参照)を具える断面視L字状に形成することが想定される。
【0029】
本発明における曲線踏板の踏板本体1と補助踏板2,3は、上記のように構成されるので、踏板本体1と補助踏板2,3を連設させることにより曲線踏板Xとする際は、補助踏板2,3のスライド軸部材S2S3が踏板本体1の中空管材Pに挿通され、補助踏板2,3が踏板本体1に対し摺動自在となり、補助踏板2,3は踏板本体1に対し伸縮自在となる。
【0030】
そして、踏板本体1と補助踏板2,3は補助踏板を適宜位置にスライドさせた状態において固定されることにより連設され、円形躯体用足場の踏板F2F3間に生ずる隙間に配置する単体の曲線踏板Xとして機能することになる。
【0031】
本発明の特徴的な作用は、矩形状の踏板本体1と矩形状の補助踏板2,3を連設させるという極めて簡易な構成をもって、曲線踏板外縁Oが略円弧状に伸長され扇形隙間に対応可能となる曲線踏板Xとして機能させることにある。
【0032】
図6は、本発明に係る曲線踏板が円形躯体用足場の踏板装置に用いられている状態を示すものであり、曲線踏板Xは、躯体Yに対し配置された横架足場踏板F2F3間に生じた隙間に対応するため、曲線踏板Xの外縁Oが曲線踏板Xの内縁Iに比し幅広となる形態を呈することになる。
【0033】
本発明は、上記作用を奏するため、中空部材Pとスライド軸部材S2S3は、挿通状態において一定の隙間を有するように構成される。
【0034】
図示した実施例においては、角筒部材の中空間に対し、平板状スライド軸部材に形成させることにより、摺動方向および摺動方向に直行する方向において一定の隙間を得ることが可能となる。
【0035】
すなわち、スライド軸部材S2S3を中空管材P内に角度をつけてスライドさせることが可能となり、補助部材を踏板本体と並行ではなく、斜め下方向(躯体に近づく方向)へスライドが可能となる。
【0036】
これにより、図示のように、略円弧状となるような外縁Oを呈する曲線踏板Xとすることが可能となる。
【0037】
また、曲線踏板Xの内縁Iのスライドの長さを調整することにより、全体視扇形状の踏板に構成することが可能となる。
【0038】
すなわち、本発明は、例えば、扇形状の踏板や円弧状のレールなどの特殊部材を用いることなく、複数の矩形状の踏板と当該踏板の両辺に並行した中空管材とスライド軸部材を設けるという極めて簡易な構成をもって、曲線踏板として機能することが可能となり、さらには現場に応じた幅に形状を変更可能とすることが可能となるものである。
【0039】
スライド軸部材S2S3には摺動方向に延びる長穴状の穴部H2H3が形成されている。これにより、適宜位置で補助踏板2,3と踏板本体1を結合部材を介して固定することができ、容易に現場に相応した曲線踏板を使用することが可能となる。
【符号の説明】
【0040】
X 曲線踏板
1 踏板本体
2 補助踏板
3 補助踏板
P 中空管材
S2 スライド軸部材
S3 スライド軸部材

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8