(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】容器内容液を滴下吐出する包装材
(51)【国際特許分類】
B65D 47/18 20060101AFI20230920BHJP
B65D 25/40 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
B65D47/18
B65D25/40
(21)【出願番号】P 2019141416
(22)【出願日】2019-07-31
【審査請求日】2022-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003768
【氏名又は名称】東洋製罐グループホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】小林 龍太
(72)【発明者】
【氏名】大貫 隆司
(72)【発明者】
【氏名】青谷 正毅
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特許第5969924(JP,B2)
【文献】特開2018-070228(JP,A)
【文献】特表2007-522047(JP,A)
【文献】特開2016-175700(JP,A)
【文献】特開2008-308215(JP,A)
【文献】国際公開第2006/125442(WO,A1)
【文献】特開2018-076091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/100-55/16
B65D 25/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器口部に備えたノズル部と、該ノズル部を覆うように容器口部に装着されるキャップとから構成される容器内容液を滴下排出する包装材において、
前記ノズル部は、前記容器口部の上端面に下面が密着する基板と、該基板の内面から降下したシール用のインナーリングと、前記基板の中央部分上面に立設されている液案内筒とを有しており、
前記キャップは、頂板部と、該頂板部から降下しているスカート壁とからなり、該頂板部の下面中心部には、前記液案内筒に嵌合するシール用柱状突起が設けられており、
前記キャップのスカート壁内面及び容器口部には互いに螺合する螺条が形成されており、
前記キャップのスカート壁内面には、
センタリング用リブと、位置決め用リブとが形成されており、
前記センタリング用リブ及び前記位置決め用リブは共に前記キャップの螺条よりも上方に位置し、
前記キャップが容器口部に装着されるときに、前記センタリング用リブは前記基板に沿って前記シール用柱状突起をセンタリングし、
前記キャップが容器口部に装着され、前記位置決め用リブの下端が前記滴下ノズルの基板の上面に当接したとき、該キャップのシール用柱状突起は前記液案内筒に嵌合固定されてシールされるが、該キャップの頂板部の下面は、前記案内筒の上端面とは非接触の状態に保持されることを特徴とする包装材。
【請求項2】
前記センタリング用リブ及び位置決め用リブは、何れも周方向に間隔をおいて軸方向に複数延びており、該位置決め用リブの下端が該センタリング用リブに連なっている請求項
1に記載の包装材。
【請求項3】
前記位置決め用リブの下端に相当する部分には段差が形成されており、前記段差は水平かつ平坦である請求項1
または2に記載の包装材。
【請求項4】
前記センタリング用リブの内側面は円弧形状である、請求項1~
3の何れかに記載の包装材。
【請求項5】
前記案内筒の上端
面は、上方に向かって拡径して延びている傾斜面と、該傾斜面から水平方向外方に延びている水平面とを有している請求項1~
4の何れかに記載の包装材。
【請求項6】
前記案内筒の上端面は、撥液部を有している請求項1~
5の何れかに記載の包装材。
【請求項7】
前記撥液部は、粗面である請求項
6に記載の包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目薬などの滴下排出される液体が収容される容器(例えば、点眼容器)の口部に使用される包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
点眼容器のように、内容液が滴下排出される容器では、一般に、容器の口部に、小径の滴下口を有するノズル部材が嵌合固定されている(例えば特許文献1参照)。即ち、このような容器では、内容液が滴下されるように、著しく小径の滴下口が必要となるため、滴下口を備えた専用のノズル部材が使用されることとなる。
【0003】
上記のような容器内容液を滴下吐出する包装材では、滴下された液体が滴下口の周囲に流れ落ちないように撥液性を持たせ、液垂れが生じないようにすることが求められている。
【0004】
液垂れ防止技術としては、液が排出される口部の周縁を粗面とすることが知られている(例えば特許文献2,3)。かかる技術は、空気が示す超撥液性を利用するものであり、液体が粗面上を流れるとき、液体と面との間に空気層が形成されるため、この超撥液性により、液体が容器の外面に沿って流れ落ちることなく、容器内に回収されるという原理である。
【0005】
しかしながら、上記のような粗面加工により撥液性を発現させて液垂れ防止を行った場合、ノズル部材にキャップを装着したとき、装着されたキャップにより粗面が破壊されてしまい、目的とする液垂れ防止が実現できなくなってしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-166045号公報
【文献】実開平4-68826号公報
【文献】特許第5807692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、容器口部に嵌合固定されたノズル部材と、該ノズル部材を覆うように容器口部に装着されるキャップとから構成される容器内容液を滴下排出する包装材において、キャップが装着された状態において、ノズル部材の上端とキャップの頂板部下面とが非接触に保持される構造となっている包装材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
容器口部に備えたノズル部と、該ノズル部を覆うように容器口部に装着されるキャップとから構成される容器内容液を滴下排出する包装材において、
前記ノズル部は、前記容器口部の上端面に下面が密着する基板と、該基板の内面から降下したシール用のインナーリングと、前記基板の中央部分上面に立設されている液案内筒とを有しており、
前記キャップは、頂板部と、該頂板部から降下しているスカート壁とからなり、該頂板部の下面中心部には、前記液案内筒に嵌合するシール用柱状突起が設けられており、
前記キャップのスカート壁内面及び容器口部には互いに螺合する螺条が形成されており、
前記キャップのスカート壁内面には、センタリング用リブと、位置決め用リブとが形成されており、前記センタリング用リブ及び前記位置決め用リブは共に前記キャップの螺条よりも上方に位置し、
前記キャップが容器口部に装着されるときに、前記センタリング用リブは前記基板に沿って前記シール用柱状突起をセンタリングし、
前記キャップが容器口部に装着され、前記位置決め用リブの下端が前記滴下ノズルの基板の上面に当接したとき、該キャップのシール用柱状突起は前記液案内筒に嵌合固定されてシールされるが、該キャップの頂板部の下面は、前記案内筒の上端面とは非接触の状態に保持されることを特徴とする包装材が提供される。
【0009】
本発明の包装材においては、次の態様が好適に採用される。
(1)センタリング用リブ及び位置決め用リブは、何れも周方向に間隔をおいて軸方向に複数延びており、位置決め用リブの下端がセンタリング用リブに連なっていること。
(2)位置決め用リブの下端に相当する部分には段差が形成されており、段差は水平かつ
平坦であること。
(3)センタリング用リブの内側面は円弧形状であること。
(4)案内筒の上端面は、上方に向かって拡径して延びている傾斜面と、傾斜面から水平方向外方に延びている水平面とを有していること。
(5)案内筒の上端面は、撥液部を有していること。
(6)撥液部は、粗面であること。
【発明の効果】
【0010】
本発明の包装材は、容器内に収容されている液体(容器内容液)を滴下排出するというものであり、容器口部に嵌合固定されたノズル部材と、該ノズル部材を覆うように容器口部に装着されるキャップとを構成部材として有しており、キャップが装着されたとき、該キャップに設けられているシール用柱状突起が、ノズル部材の液案内筒の上端部中心に位置している滴下口内に嵌合固定されることにより、滴下口からの内容液の漏洩が防止されるという基本構造を有する。
【0011】
このような基本構造を有する本発明において、重要な特徴は、キャップのスカート壁内面に、センタリング用リブと位置決め用リブとが設けられている点にある。
【0012】
即ち、センタリング用リブは、ノズル部材の円板形状の水平基板の外径に相当する内径を有している。このキャップを容器口部に嵌合固定されているノズル部に被せ、閉栓方向に旋回させることにより、容器口部との螺子係合により、該キャップがノズル部材を覆った状態で容器口部にしっかりと固定されるのであるが、本発明では、キャップに上記のセンタリング用リブが設けられているため、該キャップが斜めに傾斜したような状態で降下せず、センタリング用リブがノズル部材の水平基板の外側側面に沿って降下する。換言すると、キャップは直立した状態を維持しながら直線状に降下することとなる。従って、該キャップの頂板部下面中心部に設けられているシール用柱状突起は、位置ずれすることなく、ノズル部材に形成されている液案内筒の上端部の中心に位置する滴下口に嵌め込まれ、確実に滴下口をシールすることができるわけである。
【0013】
一方、位置決め用リブは、上記のセンタリング用リブよりも上方に位置しており、ノズル部の水平基板の外径よりも小さな内径を有している。即ち、この位置決め用リブのスカート壁内面からの突出高さは、センタリング用リブの突出高さよりも高い。従って、このキャップを旋回して降下させていくと、この位置決めリブの下端が、水平基板の上面に当接し、キャップは、それ以上降下せず、この時点で容器口部との螺子係合が完了する。本発明では、このように、位置決め用リブによってキャップの降下位置が画定するので、本発明は、これを利用して、キャップが容器口部との螺子係合により固定された状態において、該キャップの頂板部下面が、ノズル部材に形成されている液案内筒の上端面と非接触の状態に保持するものである。
しかるに、液垂れ防止のための撥液部(例えば粗面)は、液案内筒の上端面の中心に位置している滴下口の周縁部、即ち、液案内筒の上端面に形成されているため、この撥液部が、キャップとの接触により破壊されるという不都合を確実に回避することができる。これが、本発明の最大の利点である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の包装材において、容器口部に装着されているノズル部材にキャップが被せられている状態を示す側断面図。
【
図2】
図1のキャップにおける平面図(a)、側面図(b)及び底面図(c)。
【
図3】
図2(b)のキャップにおけるA-A断面図。
【
図4】本発明の包装材において、キャップをノズル部材に被せ、螺子固定する過程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照して、本発明の包装材は、容器口部1に嵌合固定されたノズル部材3と、ノズル部材3を覆うように容器口部1に螺子固定されるキャップ5とから構成される。
【0016】
本発明において、上記の各種部材は以下に述べる形態を有するものであるが、このような形態を有することを除けば、自体公知の方法により成形される。
例えば、容器口部1を有する容器は、これに限定されるものではないが、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルなどを用いてのブロー成形等により成形される。勿論、公知のガスバリア性樹脂や接着剤樹脂を用いての多層構造を有するものであってもよい。
また、ノズル部材3やキャップ5は、特に限定されるものではないが、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂を用いての圧縮成型、射出成形等に成形される。
【0017】
容器口部1の外面には、
図1に示されているように、キャップ5を螺子固定するための螺条1aが形成されており、螺条1aの下方には、この容器の保持、搬送等に利用されるサポートリング1bが形成されている。
【0018】
上記の容器口部1に嵌合固定されるノズル部材3は、円板形状の水平基板11と、水平基板11の下面から下方に延びているインナーリング13とを有しており、さらに、水平基板11の中央部分上面には、液案内筒15が立設されている。
【0019】
円板形状の水平基板11は、このノズル部材3を容器口部1に嵌め込むことにより、容器口部1の上端1cに密着するものであり、従って、インナーリング13は、この上端1cの幅程度の間隔で、水平基板11の外周側面11aよりも内方に位置する部分から下方に延びている。
また、インナーリング13の外面には、周状の小突起13a,13bが上下に分かれて設けられており、これらの小突起13aが容器口部1の内面に密着するようになっている。これにより、このノズル部材3は、容器口部1にがっちりと固定される。
【0020】
水平基板11の中央部分に立設して設けられている液案内筒15は、その内部空間15aが容器内に収容されている内容液を排出する際の液流路となっているものであり、
図1から理解されるように、この内部空間15a(液流路)は、容器口部1を介して容器内空間と連通している。また、内部空間15aの上方部分は、小径の滴下流路15bとなっており、この滴下流路15bの上端の開放端は、この液案内筒15の上端面17の中心部に位置する滴下口19となっている。即ち、容器を倒立して内容液を排出する際、内部空間15a(液流路)に導入された内容液が滴下流路15bで滴下に適した量に絞られ、滴下口19から滴下されることとなる。
また、上記の内部空間15a(液流路)に沿って、水平基板11の下面から下方に液導入用リング15cが下方に延びている。
【0021】
また、滴下流路15bの開放端である滴下口19が存在している液案内筒15の上端面17は、フラットな水平面17aと、中心に位置する滴下口19から上方に向かって拡径するように傾斜している傾斜面17bとから形成されている。この上端面17は、全体が水平面であってもよいが、液垂れ防止の観点からは、滴下口19から延びている傾斜面17bを形成し、滴下口19が凹んだ部分に位置する構造とすることが好適である。即ち、内容液の滴下終了後、容器を正立状態に戻したとき、上端面17に付着した内容液は、傾斜面11を通って落下し、滴下口19から容器内に回収され易くなるからである。
また、本実施形態では上端面17の外周面に環状の突部17cがあり、内容液滴下時に内容液がノズル部材3の外側面に垂れないようにしている。
【0022】
さらに、上記のような中心に滴下口19が形成されている液案内筒15の上端面17は、撥液部となる部分である。
即ち、このような撥液部は、上端面17を粗面としたり、撥液性のコーティングを上端面17に設けることにより形成することができ、撥液部の形成手段は、前述した特許文献3等に記載されているように公知である。
【0023】
例えば、粗面により撥液部を形成する場合には、この上端面17に対応する成形金型の表面をサンドブラスト等により粗面としておけばよい。粗面化の程度は、例えば面粗さ測定での算術平均粗さ(Ra)が0.4~200μm、特に0.4~150μm程度であり、より好ましくは、線粗さ測定での平均高さ(Rc)と要素平均長さ(Rsm)との比(Rc/Rsm)で定義される要素平均高さ(Rh)が0.04~10、特に0.04~8程度の範囲にあるのがよい。このような粗さ測定は、JIS-B-0601-1994に準拠して行われる。
また、撥液性のコーティングは、シリコーン樹脂や含フッ素ポリマーなどの撥液性を示すポリマー材料をエタノール等の有機溶剤に溶解させたコーティング液を上端面17に塗布し、乾燥することにより容易に形成することができる。この場合、粗面化されている部分に、この粗面が残る程度に薄い厚みの撥液性コーティングを形成することも可能である。
【0024】
本発明において、上記のような粗面及び/または撥液性コーティングによる撥液部は、液案内筒15の上端面17の全体、即ち、フラットな水平面17a及び傾斜面17bに形成されていることが好ましいが、水平面17aのみを撥液部とすることもできる。
【0025】
さらに、
図1から理解されるように、液案内筒15の上端部には、水平方向に突出している水平フランジ17cが形成されている。これは、内容液滴下時に内容液がノズル部材3の外側面に垂れないようにするためである。
【0026】
上述した
図1と共に、
図2及び
図3を参照して、容器口部1に嵌合固定されているノズル部材3を覆うように容器口部1に螺子装着されるキャップ5は、頂板部21と、頂板部21の周縁から形成されるスカート壁23とから構成されている。
【0027】
頂板部21の下面の中心からは、シール用柱状突起25が下方に延びている。即ち、この柱状突起25は、キャップ5が容器口部1に装着されたとき、ノズル部材3に形成されている滴下口19内に入り込んで滴下口19をシールするために設けられているものである。従って、滴下口19がシールされる限りにおいて、この柱状突起25の下方先端部分には、凹部が形成されていてもよい。また、シールポイントは、上端面17の外周縁部、或いは、上端面17から降下しているノズル部外壁であってもよい。
【0028】
一方、スカート壁23の外面には、滑り止めのローレット23aが一定間隔で軸方向に延びており(
図2(a),(b)及び
図3参照)、これにより、スカート壁23を握っての開栓或いは閉栓のための旋回作業を容易に行うことができるようになっている。
さらに、スカート壁23の内面には、下方部分に螺条27が形成されており、この螺条27が容器口部1の外面に形成されている螺条1aと螺子係合することにより、このキャップ5は、容器首部1に螺子固定されることとなる。
【0029】
本発明においては、上記のようなキャップ5のスカート壁23の内面に、センタリング用リブ31と位置決め用リブ33とが、周方向に一定間隔を置いて、複数形成されている(
図1、
図2(c)及び
図3参照)。
即ち、これらのリブ31,33は、何れもキャップ軸方向に延びており、螺条27の上方に位置するものであり、位置決め用リブ33は、センタリング用リブ31よりも上方に位置している。
【0030】
上記のセンタリング用リブ31は、キャップ5を螺子係合により容器口部1に装着する際、キャップ5を中心位置がずれないように垂直に降下せしめるために設けられるものであり、その内径D(
図3参照)がノズル部材3の水平基板11の外径に相当しており、これにより、キャップ5が容器口部1に螺子固定されたとき、キャップ5の頂板部21の下面に形成されているシール用柱状突起25が、確実にノズル部材3の上端面17の中心位置に形成されている滴下口19内に侵入して嵌合することとなる。
閉栓時は、キャップ5と容器1の螺子1aが係り始めた後にセンタリング用リブ31にてノズル部材3との中心位置合わせがなされていることが、キャップ5を閉栓する際に下方へ押圧する力を必要とせず、キャップ5の自重にて容器1の螺子1aへ係合させることができるため、好ましい。
また、本実施形態ではセンタリング用リブ31の下面は面取りがなされており、閉栓時に水平基板11に対する引っかかり感を抑制している。センタリングリブ31の内側面は円弧形状であり、水平基板11との接触面積を極力少なくし、開・閉栓時のトルクが過大となることや、摩擦によるセンタリングリブ31及び水平基板11が削れてしまうことを防止している。
【0031】
一方、位置決め用リブ33は、キャップ5が容器口部1に螺子固定されたとき、このキャップ5の頂板部21の下面とノズル部材3の液案内筒15の上端面17とを非接触に保持するために設けられているものであり、その内径dは、センタリング用リブ31の内径Dよりも小径である(
図3参照)。即ち、スカート壁23の内面からの突出高さは、位置決め用リブ33の方が、センタリング用リブ31よりも高くなっている。
【0032】
本発明において、上記のセンタリング用リブ31と位置決め用リブ33とは、原理的に別個独立の部材として設けることもできるが、成形時の型抜きのため、両者は軸方向に一体に連なっていることが好ましく、従って、
図1に示されているように、位置決めリブ33の下端に相当する部分でセンタリング用リブ31との間に段差35が形成されている。
段差35の下面は後述するが、閉栓時に水平基板11の上面に当接し、キャップ5の降下を制限し、頂板部21と液案内筒15の上端面17とは非接触とする役割を持つため、水平かつ平坦であることが水平基板11との接触面積を確保でき、よりキャップ5の降下の抑止力を得られるため好ましい。
【0033】
上述したセンタリング用リブ31と位置決め用リブ33との機能を説明するための
図4を参照して、先ず、容器口部1に嵌合固定されているノズル部材3にキャップ5を被せ、この状態で、キャップ5を閉栓方向に旋回するわけであるが、この段階では、
図4(a)に示されているように、センタリング用リブ31の下端は、ノズル部材3の水平基板11の上端縁近傍に位置しており、位置決めリブ33とセンタリング用リブ31との間に形成されている段差35は、水平基板11の上面とは離れている。
【0034】
上記の状態で、キャップ5を閉栓方向に旋回していくと、
図4(b)に示されているように、段差35と水平基板11の上面との間隔は次第に小さくなる。センタリング用リブ31の内面は、シール用筒状突起25が液案内筒15の上端面17の軸方向位置に達する前に円板形状の水平基板11の外側面11aに沿って降下していくこととなる。即ち、頂板部21の下面の中心に形成されているシール用柱状突起25は、その中心位置を維持した状態で垂直に降下していき、滴下口19に挿入する前に周方向に位置合わせがされる。
【0035】
そして、キャップ5の閉栓方向への旋回を続けていくと、
図4(c)に示されているように、キャップ5は、シール用柱状突起25の中心位置がぶれないように垂直に降下し、滴下口19内に確実に挿入し、滴下口19を閉じるように嵌合固定され滴下口19からの容器内容液の漏洩が防止される。位置決めリブ33とセンタリング用リブ31との間に形成されている段差35の下面は、水平基板11の上面に当接する。従って、キャップ5は、それ以上降下せず、キャップ5は、ノズル部材3を覆っている状態で容器口部1にしっかりと螺子固定されることとなる。また、頂板部21の下面が、ノズル部材3の液案内筒15の上端面17とは非接触の状態で、キャップ5の降下が制限されることとなるわけである。
すなわち、段差35の下面から頂板部21の下面までの軸方向高さをL1、水平基板11の上面から液案内筒15の上端面17までの軸方向高さをL2とした場合、L1>L2となっているため、
図4(c)の閉栓完了時に頂板部21の下面と液案内筒15の上端面17は当接することなく、上端面17の撥液機能を損なうことを回避できる。
【0036】
このように、本発明では、キャップ5を容器口部1に螺子固定するとき、シール用柱状突起25が確実に滴下口19内に侵入して嵌合固定されるため、滴下口19からの液の漏洩を確実に防止することができると同時に、キャップ5(頂板部21)がノズル部材3の液案内筒15の上端面17に接触することがない。即ち、この上端面17は撥液部となる部分であるため、本発明では、キャップ5の開け閉めにより、上端面17に形成されている撥液部の性能低下、例えば粗面の破壊或いは撥液性コーティングの剥がれなどが確実に防止され、このような撥液部による液だれ防止効果が常に安定に発揮されることとなる。
【0037】
このような本発明の包装材は、目薬が収容された点眼容器など、各種液体が滴下排出される容器に好適に適用される。
【符号の説明】
【0038】
1:容器口部
3:ノズル部材
5:キャップ
11:水平基板
13:インナーリング
15:液案内筒
15a:液案内筒の内部空間(液流路)
15b:滴下流路
17:液案内筒の上端面
19:滴下口
21:頂板部
23:スカート壁
25:シール用柱状突起
31:センタリング用リブ
33:位置決め用リブ
35:段差
D:センタリング用リブの内径
d:位置決め用リブの内径