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特許7351676シリコーン系樹脂発泡体と、シリコーン系樹脂発泡体の製造方法シリコーン系樹脂。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】シリコーン系樹脂発泡体と、シリコーン系樹脂発泡体の製造方法シリコーン系樹脂。
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/04 20060101AFI20230920BHJP
   C08G 77/458 20060101ALI20230920BHJP
   C08K 3/26 20060101ALI20230920BHJP
   C08L 101/10 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
C08J9/04 101
C08J9/04 CFH
C08G77/458
C08K3/26
C08L101/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019156031
(22)【出願日】2019-08-28
(65)【公開番号】P2021031640
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 淳
(72)【発明者】
【氏名】矢野 忠史
【審査官】芦原 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-042788(JP,A)
【文献】特表2010-539299(JP,A)
【文献】特開2018-162368(JP,A)
【文献】特許第4781498(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00-9/42
C08L
C08K
C08G 77/00-77/62
B29C 44/00-44/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーン系樹脂組成物を発泡してなる、シロキサン結合及びシラザン結合以外の骨格を含むシリコーン系樹脂発泡体であって、
前記シリコーン系樹脂組成物は、
シロキサン結合及びシラザン結合以外の骨格を含み、末端に複数のアルコキシシラン基を有する化合物(A)と、
シロキサン結合及びシラザン結合以外の骨格を含み、末端に複数のシラノール基を有する化合物(B)と、
末端に、活性水素を含む官能基を複数有する化合物(C)と、を含むことを特徴とする、シリコーン系樹脂発泡体。
【請求項2】
前記活性水素を含む官能基は、水酸基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基のいずれかを含むことを特徴とする、請求項1に記載のシリコーン系樹脂発泡体。
【請求項3】
前記活性水素を含む官能基を複数有する化合物は、ポリオールを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のシリコーン系樹脂発泡体。
【請求項4】
前記化合物(A)及び前記化合物(B)は、炭化水素骨格、エーテル骨格、アクリル骨格、又は、ウレタン骨格を含むことを特徴とする、請求項1に記載のシリコーン系樹脂発泡体。
【請求項5】
シロキサン結合及びシラザン結合以外の骨格を含むシリコーン系樹脂発泡体の製造方法であって、シロキサン結合及びシラザン結合以外の骨格を含み、末端に複数のアルコキシシラン基を有する化合物(A)と、シロキサン結合及びシラザン結合以外の骨格を含み、末端に複数のシラノール基を有する化合物(B)と、活性水素を含む官能基を複数有する化合物(C)と、を配合してシリコーン系樹脂組成物を形成する配合工程と、
前記シリコーン系樹脂組成物を発泡させ、シリコーン系樹脂発泡体を形成する発泡工程を含むことを特徴とする、シリコーン系樹脂発泡体の製造方法。
【請求項6】
前記シリコーン系樹脂発泡体の製造方法は、前記末端に複数のアルコキシシラン基を有する化合物を加水分解して、前記末端に複数のシラノール基を含む化合物を生成する加水分解工程をさらに含むことを特徴とする、請求項5に記載のシリコーン系樹脂発泡体の製造方法。
【請求項7】
前記シリコーン系樹脂組成物は、重炭酸塩と、酸と、をさらに含むことを特徴とする、請求項5又は6に記載のシリコーン系樹脂発泡体の製造方法。
【請求項8】
前記酸が、カルボン酸を含むことを特徴とする、請求項7に記載のシリコーン系樹脂発泡体の製造方法。
【請求項9】
前記化合物(A)及び前記化合物(B)は、炭化水素骨格、エーテル骨格、アクリル骨格、又は、ウレタン骨格を含むことを特徴とする、請求項5に記載のシリコーン系樹脂発泡体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーン系樹脂発泡体と、シリコーン系樹脂系発泡体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂発泡体は、例えば、クッション材、断熱材、防音・吸音材又は衝撃吸収材の材質として、各種高分子発泡体が使用されている。前記高分子発泡体の基となる高分子としては、オレフィン系樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン系樹脂等が知られており、この中でも該ウレタン樹脂はその発泡時における取り扱い性並びに密度及び気泡径等の物性設定をなす発泡倍率の設定が容易である、といった長所を有するため、一般に多用されている。しかし、その一方で前記ウレタン樹脂は、熱に弱く、その使用限度が180℃であり、130~220℃前後から熱分解を始めてしまう。このため前述の断熱材や、高温下で使用される防音・吸音材又は衝撃吸収材としては、好適に使用し得ない。
【0003】
これに対して前記シリコーン系樹脂発泡体は、その主骨格がシロキサン結合(-Si-O-)やシラザン結合(-Si-N-)のみから形成されているため、この分子構造に起因して耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性及び耐老化性が高いことが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-162368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のシリコーン系樹脂を用いた発泡体は、ほとんどが主骨格として、シロキサン結合(特許文献1)やシラザン結合のみから形成されているため、発泡体要求される多様な物性を発現させることが難しく、限定的な用途にしか用いることができなかった。
【0006】
そこで、本発明は、前記シリコーン系樹脂の性質を有しつつ、外観に優れ、柔軟で、歪回復性が良好でシロキサン結合やシラザン結合以外の骨格を含む新規シリコーン系樹脂発泡体を提供すると同時に、要求される様々な物性を満たすシリコーン系樹脂発泡体を容易に設計、製作することができるシリコーン系樹脂発泡体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、多角的に検証した結果、末端に複数のアルコキシシラン基を有する化合物と、末端に複数のシラノール基を有する化合物と、末端に、活性水素を含む官能基を複数有する化合物と、を含むシリコーン系樹脂組成物を発泡してなるシリコーン系樹脂発泡体が、シリコーン系樹脂の性質を有しつつ、外観に優れ、柔軟で圧縮歪回復性が良好なシリコーン系樹脂発泡体を提供することが可能であることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
具体的には、
本発明(1)は、
シリコーン系樹脂組成物を発泡してなるシリコーン系樹脂発泡体であって、
前記シリコーン系樹脂組成物は、
末端に複数のアルコキシシラン基を有する化合物(A)と、
末端に複数のシラノール基を有する化合物(B)と、
末端に、活性水素を含む官能基を複数有する化合物(C)と、を含むことを特徴とする、シリコーン系樹脂発泡体である。
本発明(2)は、
前記活性水素を含む官能基は、水酸基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基のいずれかを含むことを特徴とする、前記発明(1)のシリコーン系樹脂発泡体である。
本発明(3)は、
前記活性水素を含む官能基を複数有する化合物は、ポリオールを含むことを特徴とする、前記発明(1)又は(2)のシリコーン系樹脂発泡体である。
本発明(4)は、
前記シリコーン系樹脂組成物は、架橋剤をさらに含むことを特徴とする、前記発明(1)~(3)のいずれかのシリコーン系樹脂発泡体である。
本発明(5)は、
シリコーン系樹脂発泡体の製造方法であって、末端に複数のアルコキシシラン基を有する化合物と、末端に複数のシラノール基を有する化合物と、活性水素気を含む官能基を複数有する化合物と、を配合してシリコーン系樹脂組成物を形成する配合工程と、
前記シリコーン系樹脂組成物を発泡させ、シリコーン系樹脂発泡体を形成する発泡工程を含むことを特徴とする、シリコーン系樹脂発泡体の製造方法である。
本発明(6)は、
前記シリコーン系樹脂発泡体の製造方法は、前記末端に複数のアルコキシシラン基を有する化合物を加水分解して、前記末端に複数のシラノール基を含む化合物を生成する加水分解工程をさらに含むことを特徴とする、前記発明(5)のシリコーン系樹脂発泡体の製造方法である。
本発明(7)は、
前記シリコーン系樹脂組成物は、重炭酸塩と、酸と、をさらに含むことを特徴とする、前記発明(5)又は(6)のシリコーン系樹脂発泡体の製造方法である。
本発明(8)は、
前記酸が、カルボン酸を含むことを特徴とする、前記発明(7)のシリコーン系樹脂発泡体の製造方法である。
本発明(9)は、
前記シリコーン系樹脂組成物は、pHが5~7であることを特徴とする、前記発明(5)~(7)のいずれかのシリコーン系樹脂発泡体の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
シリコーン系樹脂の性質を有しつつ、外観に優れ、柔軟で圧縮歪回復性が良好なシリコーン系樹脂発泡体を提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
なお、説明した化合物に異性体が存在する場合、特に断らない限り、存在し得る全ての異性体が本発明において使用可能である。
【0011】
本願における組成物の固形分とは、溶媒(特に有機溶媒)以外の組成物を構成する成分、又はその質量や体積を意味する。
【0012】
本願における化合物の末端とは、化合物の主骨格の末端に限られず、側鎖も含むものとする。
【0013】
1.シリコーン系樹脂発泡体
本発明のシリコーン系樹脂発泡体は、末端に複数のアルコキシシラン基を有する化合物(A)と、末端に複数のシラノール基を有する化合物(B)と、末端に、活性水素を含む官能基を複数有する化合物(C)と、を含むシリコーン系樹脂組成物を発泡してなる、シリコーン系樹脂発泡体である。
【0014】
1-1.シリコーン系樹脂組成物
以下に本発明のシリコーン系樹脂組成物について詳述する。
本発明にかかるシリコーン系樹脂組成物は、末端に複数のアルコキシシラン基を有する化合物(A)と、末端に複数のシラノール基を有する化合物(B)と、末端に、活性水素を含む官能基を複数有する化合物(C)と、を含む。
【0015】
1-1-1.末端に複数のアルコキシシラン基を有する化合物(A)
本発明にかかるシリコーン系樹脂組成物は、末端に複数のアルコキシシラン基を有する化合物(A)を含む。
なお、本願において、『末端に複数のアルコキシシラン基を有する化合物(A)』を『化合物(A)』と略す場合がある。
【0016】
アルコキシシラン基は、アルキル基が酸素を介してケイ素と結合した官能基である。本発明にかかるアルコキシシラン基は、1つのケイ素原子に少なくとも1つのアルコキシ基が結合していればよく、最大3つのアルコキシ基が結合したものとすることができる。
【0017】
アルコキシ基の炭素数は、特に限定されないが、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソプロポキシ基、ペントキシ基、イソブトキシ基、ヘキソキシ基、ヘプトキシ基、オクトキシ基、2-エチルヘキソキシ基、ノノキシ基、デコキシ基、ウンデコキシ基、ドデコキシ基、トリデコキシ基、テトラデコキシ基、ペンタデコキシ基、ヘキサデコキシ基等を挙げることができる。これらは、アルコキシシラン基に含まれるケイ素に、単独で、又は、複数を組み合せて結合させてもよい。本発明のシリコーン系樹脂組成物を原料とする樹脂や樹脂発泡体の用途や特性により、選択することが可能である。
【0018】
本発明にかかるアルコキシシラン基に含まれるケイ素は、少なくとも1つのアルコキシ基と結合していればよく、その他の官能基を含んでいてもよい。その他の官能基は、特に限定されず、例えば、水素、ハロゲン、直鎖状、分鎖状、環状の炭化水素基等と結合することができる。
【0019】
本発明にかかる化合物(A)は、特に限定されず、公知のものを使用することができる。化合物(A)の末端に含まれるアルコキシシランの官能基数は、2個以上であれば特に限定されないが、一般には、2~20個とすることができ、2~15個が好ましく、2~10個がより好ましい。アルコキシシラン基の官能基数が多くなると、重合、架橋、硬化等させた場合に、硬い材質となるため、発泡体として用いる場合には、可塑剤等を添加する必要があり、コストと手間がかかる場合がある。
【0020】
化合物(A)としては、例えば、直鎖状、分鎖状、環状の、飽和又は不飽和の炭化水素、エーテル等;及びそれらの誘導体;アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等のオリゴマーやポリマー等の多量体又は高分子体;等の末端に複数のアルコキシシラン基が含まれる化合物を挙げることができる。これらは単独で、又は、複数を組み合せて用いることができる。化合物(A)の構造例として化1~3を下記に示した。
化式1は、直鎖状のエーテル又はその誘導体の末端にアルコキシシラン基を有する場合の例であり、アルコキシシラン基のケイ素がエーテル化している例である。
化式2は、直鎖状の炭化水素又はその誘導体の末端にアルコキシシラン基を有する場合の例である。
化式3は、アクリル樹脂の高分子体の末端にアルコキシシラン基を有する場合の例である。
【0021】
【化1】
~Rの少なくとも1つが、アルコキシ基であればよく、特に限定されないが、例えば、水素;直鎖状、分鎖状、環状の、飽和又は不飽和の炭化水素;とすることができる。
~Rは、特に限定されないが、例えば、水素;直鎖状、分鎖状、環状の、飽和又は不飽和の炭化水素;とすることができる。
~R10の少なくとも1つが、アルコキシ基であればよく、例えば、水素;直鎖状、分鎖状、環状の、飽和又は不飽和の炭化水素;とすることができる。
lは、1以上の整数である。
【0022】
【化2】
11~R13の少なくとも1つが、アルコキシ基であればよく、特に限定されないが、例えば、水素;直鎖状、分鎖状、環状の、飽和又は不飽和の炭化水素;とすることができる。
14~R17は、特に限定されないが、例えば、水素;直鎖状、分鎖状、環状の、飽和又は不飽和の炭化水素;とすることができる。
18~R20の少なくとも1つが、アルコキシ基であればよく、特に限定されないが、例えば、水素;直鎖状、分鎖状、環状の、飽和又は不飽和の炭化水素;とすることができる。
mは、1以上の整数である。
【0023】
【化3】
21~R23の少なくとも1つが、アルコキシ基であればよく、特に限定されないが、例えば、水素;直鎖状、分鎖状、環状の、飽和又は不飽和の炭化水素;とすることができる。
24~R27は、特に限定されないが、例えば、水素;直鎖状、分鎖状、環状の、飽和又は不飽和の炭化水素;とすることができる。
28~R30の少なくとも1つが、アルコキシ基であればよく、特に限定されないが、例えば、水素;直鎖状、分鎖状、環状の、飽和又は不飽和の炭化水素;とすることができる。
nは、1以上の整数である。
【0024】
1-1-2.末端に複数のシラノール基を有する化合物(B)
本発明のシリコーン系樹脂組成物は、末端に複数のシラノール基を有する化合物(B)を含む。
なお、本願において、『末端に複数のシラノール基を有する化合物(B)』を『化合物(B)』と略す場合がある。
【0025】
シラノール基は、水酸基がケイ素と結合した官能基である。本発明にかかるシラノール基は、1つのケイ素原子に少なくとも1つの水酸基が結合していればよく、最大3つの水酸基が結合したものとすることができる。
【0026】
本発明にかかるシラノール基に含まれるケイ素は、少なくとも1つの水酸基と結合していればよく、その他の官能基を含んでいてもよい。その他の官能基は、特に限定されず、水素、ハロゲン、直鎖状、分鎖状、環状の炭化水素基等とすることができる。
【0027】
本発明にかかる化合物(B)は、特に限定されず、公知のものを使用することができる。化合物(B)の末端に含まれる水酸基の官能基数は、2個以上であれば特に限定されないが、一般には、2~20個とすることができ、2~15個が好ましく、2~10個がより好ましい。アルコキシシラン基の官能基数が多くなると、重合、架橋、硬化等させた場合に、硬い材質となるため、特に発泡体として用いる場合には、可塑剤等を添加する必要があり、コストと手間がかかる場合がある。
【0028】
化合物(B)としては、例えば、直鎖状、分鎖状、環状の、飽和又は不飽和の炭化水素、エーテル等;及びそれらの誘導体;アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン系樹脂等のオリゴマーやポリマー等の多量体又は高分子体;等の末端に複数のアルコキシシラン基が含まれる化合物を挙げることができる。これらは単独で、又は、複数を組み合せて用いることができる。化合物(B)の構造例として化式4~6を下記に示した。
化式4は、直鎖状のエーテル又はその誘導体の末端にシラノール基を有する場合の例であり、シラノール基のケイ素がエーテル化している例である。
化式5は、直鎖状の炭化水素又はその誘導体の末端にシラノール基を有する場合の例である。
化式6は、アクリル樹脂の高分子体の末端にシラノール基を有する場合の例である。
【0029】
【化4】
31~R33の少なくとも1つが、水酸基であればよく、特に限定されないが、例えば、水素;直鎖状、分鎖状、環状の、飽和又は不飽和の炭化水素;とすることができる。
34~R37は、特に限定されないが、例えば、水素;直鎖状、分鎖状、環状の、飽和又は不飽和の炭化水素;とすることができる。
38~R40の少なくとも1つが、水酸基であればよく、特に限定されないが、例えば、水素;直鎖状、分鎖状、環状の、飽和又は不飽和の炭化水素;とすることができる。
xは、1以上の整数である。
【0030】
【化5】
41~R43の少なくとも1つが、水酸基であればよく、特に限定されないが、例えば、水素;直鎖状、分鎖状、環状の、飽和又は不飽和の炭化水素;とすることができる。
44~R47は、特に限定されないが、例えば、水素;直鎖状、分鎖状、環状の、飽和又は不飽和の炭化水素;とすることができる。
48~R50の少なくとも1つが、水酸基であればよく、特に限定されないが、例えば、水素;直鎖状、分鎖状、環状の、飽和又は不飽和の炭化水素;とすることができる。
yは、1以上の整数である。
【0031】
【化6】
51~R53の少なくとも1つが、水酸基であればよく、特に限定されないが、例えば、水素;直鎖状、分鎖状、環状の、飽和又は不飽和の炭化水素;とすることができる。
54~R57は、特に限定されないが、例えば、水素;直鎖状、分鎖状、環状の、飽和又は不飽和の炭化水素;とすることができる。
58~R60の少なくとも1つが、水酸基であればよく、特に限定されないが、例えば、水素;直鎖状、分鎖状、環状の、飽和又は不飽和の炭化水素;とすることができる。
zは、1以上の整数である。
【0032】
また、アルコキシシラン基は、加水分解することで、シラノール基を形成する。従って、化合物(A)を加水分解することで、化合物(B)を形成することができる。
【0033】
化合物(A)を加水分解して、化合物(B)とする方法としては、公知の方法及び条件で行うことができるが、例えば、化合物(A)を水により加水分解する方法により、化合物(B)を得ることができる。このような方法を採用すると、あらかじめ化合物Aのアルコキシ基をシラノール化させることで、活性水素を有する官能基をもつ種々のポリマー及び化合物を高分子鎖中に導入することができ、その結果、ブロック共重合体のような構造の多様な生成物を得ることができるという点で効果が高くすることができる。
【0034】
1-1-3.末端に、活性水素を含む官能基を複数有する化合物(C)
本発明のシリコーン系樹脂組成物は、末端に、活性水素を含む官能基を複数有する化合物(C)を含む。但し、化合物(C)に含まれる官能基としては、シラノール基は除く。
なお、本願において、『末端に、活性水素を含む官能基を複数有する化合物(C)』を『化合物(C)』と略す場合がある。
【0035】
本発明にかかる活性水素を含む官能基とは、水酸基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基を含むことができる。化合物(C)に含まれる活性水素を含む官能基は、同一のものであってもよいし、複数種を組み合わせてもよい。
【0036】
複数の水酸基を含む化合物としては、ポリオールを挙げることができる。ポリオールとしては、特に限定されず、低分子量ポリオール及び高分子量ポリオールを用いることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合せて用いることができる。なお、本願において、低分子量ポリオールとは、ゲルパーエミッションクロマトグラフィー法による重量平均分子量が、1000未満のものをいい、高分子量ポリオールは、重量平均分子量が、1000以上のものをいう。
【0037】
低分子量ポリオールとしては、例えば、
エチレングリコール、プロパンジオール、1,4-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、アルカンジオール(炭素数:7~22)、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、アルカン-1,2-ジオール(炭素数:17~20)、水素化ビスフェノールA、1,4-ジヒドロキシ-2-ブテン、2,6-ジメチル-1-オクテン-3,8-ジオール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、キシレングリコール、ビスヒドロキシエチレンテレフタレート、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどの低分子量ジオール;
グリセリン、2-メチル-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジヒドロキシ-3-ヒドロキシメチルペンタン、1,2,6-ヘキサントリオール、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-3-ブタノール、及び炭素数8~24の脂肪族トリオールなどの低分子量トリオール;
ペンタエリスリトールなどの、1分子中に4つ以上の水酸基を有する低分子量ポリオール;
ジエチレングリコール、ジペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、エチレンジアミン-N,N,N’,N’-テトラ-2-プロパノールなど、上記低分子量ジオール、上記低分子量トリオール、及び上記1分子中に4つ以上の水酸基を有する低分子量ポリオールをそれぞれ分子間で脱水縮合して得られる対応多価アルコールエーテル;
テトラヒドロフランの開環重合によって得られるポリテトラメチレングリコール;
ひまし油などの天然油脂ポリオール;
などを挙げることができる。
これらは、単独で、又は、複数を組み合せて用いることができる。
【0038】
高分子量ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリブタジエン系等のポリオレフィンポリオール等の高分子量ポリオールを挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合せて用いることができる。
【0039】
複数のアミノ基を有する化合物としては、ポリアミンを用いることができる。
【0040】
ポリアミンとしては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。
ポリアミンとしては、例えば、
エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン、ポリオキシアルキレンポリアミンなどの脂肪族ポリアミン;
イソホロンジアミン、ノルボルネンジアミン、水添キシリレンジアミンなどの脂環式ポリアミン;
キシリレンジアミンなどの芳香環含有脂肪族ポリアミン;
3,5-ジエチル-2,4-ジアミノトルエン、3,5-ジエチル-2,6-ジアミノトルエン、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、2,4-トリレンジアミン、2,6-トリレンジアミン、1,1'-ジクロロ-4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,3'-ジクロロ-4.4'-ジアミノジフェニルメタン、1,1',2,2'-テトラクロロ-4,4'-ジアミノジフェニルメタン、1,3,5-トリエチル-2,6-ジアミノベンゼン、3,3',5,5'-テトラエチル-4,4'-ジアミノジフェニル-メタン、N,N'-ビス(t-ブチル)-4,4'-ジアミノジフェニル-メタン、ジ(メチルチオ)トルエンジアミンなどの芳香族ポリアミン;
などを挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合せて用いることができる。
【0041】
複数のチオール基を有する化合物としては、ポリチオールを用いることができる。
【0042】
ポリチオールとしては、特に限定されず、メルカプトカルボン酸と多価アルコールとのエステル、脂肪族ポリチオール、芳香族ポリチオール等が挙げられる。脂肪族ポリチオール、芳香族ポリチオールとしては、エタンジチオール、プロパンジチオール、ヘキサメチレンジチオール、デカメチレンジチオール、トリレン-2,4-ジチオール、キシレンジチオール等が挙げられる。
【0043】
また、メルカプトカルボン酸と多価アルコールとのエステルでは、メルカプトカルボン酸として、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸等が挙げられ、多価アルコールとして、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びソルビトール等が挙げられる。ポリチオールの中では、臭気が少ない点で、メルカプトカルボン酸と多価アルコールとのエステル類が好ましく、具体的には、例えば、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(3-メルカプトプロピオネート)が挙げられる。
【0044】
複数のカルボキシル基を含む化合物としては、ポリカルボン酸を用いることができる。
【0045】
ポリカルボン酸は、特に限定されず、公知のものを用いることができる。ポリカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、アコニット酸、1,2,3-プロパントリカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジエン-1,2-ジカルボン酸等の脂肪族ポリカルボン酸;を挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合せて用いることができる。
【0046】
1-1-4.その他成分
本発明のシリコーン系樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、その他の成分を含むことができる。その他の成分としては、溶媒、分散媒、触媒、整泡剤、発泡剤、気泡剤、架橋剤、界面活性剤、増粘剤、気泡核剤、可塑剤、滑剤、着色剤、酸化防止剤、充填剤、補強剤、難燃剤、帯電防止剤、表面処理剤、酸、塩基、防カビ剤、抗菌剤等の公知の添加成分を使用してもよい。
【0047】
1-2.シリコーン系樹脂組成物の製造方法
本発明のシリコーン系樹脂組成物の製造方法は、末端に複数のアルコキシシラン基を有する化合物(A)と、末端に複数のシラノール基を有する化合物(B)と、末端に、活性水素を含む官能基を複数有する化合物(C)と、を配合してシリコーン系樹脂組成物を形成する配合工程を含む。
【0048】
1-2-1.配合工程
配合工程における配合方法は、特に限定されず、公知の方法で行うことができる。配合方法としては、原料である化合物(A)、化合物(B)及び化合物(C)とを、容器に秤取り、さらに必要に応じてその他の成分を添加し、撹拌することを挙げることができる。各原料の配合は、他の工程とは別に行ってもよいし、同時に行ってもよい。また、各原料は、同時に配合してもよいし、段階を経て、別々に配合しても良い。
【0049】
各原料の配合量としては、特に限定されないが、例えば、化合物(A)に含まれるアルコキシシラン基のアルコキシ基当量(a)と、化合物(B)に含まれる水酸基当量(b)と、の比(t)が、0.7~1.4となるように配合することができ、0.8~1.2とするのが好ましく、0.9~1.1とするのがより好ましい。tが、かかる範囲にある場合には、配合された化合物の反応性に優れるため、容易に所望するシリコーン系樹脂組成物を得ることが可能となる。なお、tは、下記式1により算出される。
(式1)
t=a/b
【0050】
また、化合物(C)の配合量は、特に限定されないが、例えば、配合される化合物(A)の固形分質量部と、配合される化合物(B)の固形分質量部と、の合計を100質量部とした場合に、化合物(C)の固形分質量部を0.1~30質量部とすることができ、0.5~20質量部とすることが好ましく、1~10質量部とすることがより好ましい。
【0051】
本発明のシリコーン系樹脂組成物の製造方法は、化合物(A)を加水分解し、化合物(B)を得る加水分解工程を、さらに含むことができる。
【0052】
本発明にかかる加水分解の方法としては、公知の方法を用いることができ、特に限定されない。加水分解の方法としては、例えば、化合物(A)を水により加水分解し、化合物(B)を得る方法を用いることができる。
【0053】
2.シリコーン系樹脂発泡体の製造方法
本発明のシリコーン系樹脂組成物は、発泡・硬化させることで、シリコーン系樹脂発泡体を形成することができる。
【0054】
2-1.発泡工程
本発明にかかるシリコーン系樹脂組成物を発泡させる方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。シリコーン系樹脂組成物を発泡させる方法としては、例えば、化学発泡剤を用いる化学発泡によるもの、気体を混入する機械発泡(メカニカルフロス)によるもの等が挙げられる。化学発泡剤や気体は、特に限定されず、公知のものを用いることができる。化学発泡剤を用いる場合には、発泡体の密度を制御することが可能であるため、好ましく用いられる。
【0055】
本発明にかかる化学発泡剤は、加熱により分解して炭酸ガス、窒素ガス等の無機ガスを発生する化学発泡剤が好ましく、化学発泡剤としては、有機系熱分解型発泡剤、無機系熱分解型発泡剤、無機系反応型発泡剤等が挙げられる。
【0056】
有機系熱分解型発泡剤としてはアゾ化合物、ニトロソ化合物、ヒドラジン誘導体、セミカルバジド化合物、テトラゾール化合物、有機酸が挙げられる。無機系熱分解型発泡剤としては、重炭酸塩、炭酸塩、有機酸塩、亜硝酸塩が挙げられる。無機系反応型発泡剤としては、重炭酸塩と有機酸または有機酸塩の組み合わせ等が挙げられる。
【0057】
アゾ化合物としては、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、バリウムアゾジカルボキシレート、ジアゾアミノベンゼン等が挙げられる。ニトロソ化合物としては、例えば、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)が挙げられる。
【0058】
ヒドラジン誘導体としては、例えば、p,p’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)、パラトルエンスルホニルヒドラジド(TSH)、ヒドラゾジカルボンアミド(HDCA)等が挙げられる。
【0059】
セミカルバジド化合物としては、例えば、p-トルエンスルホニルセミカルバジドが挙げられる。テトラゾール化合物としては、例えば、5-フェニルテトラゾール、1-Hテトラゾール塩、1,4-ビステトラゾール等が挙げられる。
【0060】
有機酸としては、例えば、アクリル酸、酢酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸、フタル酸、シュウ酸、塩酸、リン酸等が挙げられる。これらのうち、酸による影響が少ないという観点で、カルボン酸が好ましい。
【0061】
有機系熱分解型発泡剤としては、さらに、トリヒドラジノトリアジン等も挙げられる。重炭酸塩としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等が挙げられる。
【0062】
有機酸塩としては、前記有機酸のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、アルミニウム、亜鉛等の金属塩等が挙げられる。亜硝酸塩としては、例えば亜硝酸アンモニウムが挙げられる。
【0063】
これらのうち本発明の発泡剤は、重炭酸塩単独、又は、重炭酸塩と有機酸の混合物が好ましい。重炭酸塩としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウムが挙げられる。有機酸としては、クエン酸、シュウ酸、フマル酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸が挙げられる。また、重炭酸塩と有機酸の金属塩の混合物も同様に好ましく用いることが出来る。
【0064】
発泡剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、重炭酸塩と有機酸または有機酸塩からなる化学発泡剤の場合、化合物(A)と化合物(B)の合計100質量部に対して重炭酸塩の含有量は、1~60質量部とすることができ、5~55質量部以下がより好ましい。重炭酸塩と有機酸または有機酸塩の比率は、重炭酸塩/有機酸または有機酸塩(重量比)が1/4~4とすることができ、1/2~4以下であることが好ましい。
【0065】
重炭酸塩の含有量が少ない、または重炭酸塩と有機酸の比率が低いと、熱分解する炭酸ガスの量が少なく、発泡倍率が低下する場合がある。また、重炭酸塩の含有量が多い、または重炭酸塩と有機酸の比率が高いと、熱分解する炭酸ガス量が多く、発泡と硬化のバランスが崩れ、発泡セルが大きくなる等不良な発泡体となる場合がある。
【0066】
また、シリコーン系樹脂組成物を発泡させる方法としては、超臨界流体を用いた超臨界発泡等も適用可能である。
【0067】
2-2.硬化工程
シリコーン系樹脂組成物の硬化方法としては、公知の方法を用いることができる。本形態にかかる発泡体は自己架橋をさせることもできるが、エネルギーを印加してエマルジョンを構成する樹脂を、架橋剤を介して架橋させることにより、発泡体を硬化させてもよい。エネルギーを印加する工程としては特に限定されないが、例えば、加熱工程(熱架橋)が挙げられる。
【0068】
加熱工程では、成形されたシリコーン系樹脂組成物中の分散媒を蒸発させる。この際の乾燥方法としては特に制限されるものではないが、例えば、熱風乾燥等を用いればよい。また、乾燥温度及び乾燥時間についても特に制限されるものではないが、例えば、80℃程度で1~3時間程度とすればよい。
【0069】
架橋剤を添加した場合には、加熱工程では、原料の架橋(硬化)反応を進行及び完了させる。具体的には、上述した架橋剤により原料同士が架橋され、硬化したシリコーン系樹脂発泡体が形成される。この際の加熱手段としては、原料に充分な加熱を施し、原料を架橋(硬化)させ得るものであれば特に制限はされないが、例えば、トンネル式加熱炉等を使用することができる。また、加熱温度及び加熱時間も、原料を架橋(硬化)させることができる温度及び時間であればよく、例えば、80~150℃(特に、120℃程度が好適)で1時間程度とすればよい。
【0070】
3.シリコーン系樹脂発泡体の用途
シリコーン系樹脂発泡体の用途は、特に限定されないが、高温環境下で用いられる防音・吸音材又は衝撃吸収材として、又は、耐薬品性、電気絶縁性及び耐老化性が高い発泡体を求められる用途に好適である。
【実施例
【0071】
<シリコーン発泡体の作製>
(原料)
・化合物(A)1:Desmoseal S XP2636(加水分解用と、発泡体配合用) (住化コベストロウレタン社製)
・化合物(C)1:1,4BD (組成物:1,4ブタンジオール、官能基数f=2、分子量Mw=90.1)
・化合物(C)2:PEG200 (組成物:ポリエチレングリコール、f=2、Mw=200)
・化合物(C)3:グリセリン (組成物:グリセリン、f=3、Mw=92.1)
・化合物(C)4:EDP300 (組成物:エチレンジアミン-N,N,N’,N’-テトラ-2-プロパノール、f=4、CAS NO.102-60-3)
・化合物(C)5:メラミン(アミノ基) (組成物:メラミンf=3、Mw=126.1)
・化合物(C)6:TMPP(チオール基) (組成物:トリメチロールプロパン トリス(3-メルカプトプロピオネート)CAS NO.33007-83-9)
・触媒1 :R-32(アミン触媒) (組成物:ジエタノールアミン)
・触媒2 :U-50(スズ触媒) (組成物:ネオデカン酸スズ)
・触媒3 :MRH-110(スズ触媒) (組成物:オクチル酸第一スズ)
・整泡剤1 :L-5639 (モメンティブ社製)
・整泡剤2 :SZ-1346E (東レダウコーニング社製)
・重曹
・酸1 :アクリル酸(pH2.1)
・酸2 :酢酸(pH2.88)
・酸3 :リンゴ酸(pH2.82)
・酸4 :クエン酸(pH2.26)
・酸5 :塩酸(pH1.0)
・酸6 :リン酸(pH6.8)
【0072】
(化合物(B)の調整)
表1及び表2に基づいて、各実施例及び比較例の配合量の化合物(A)(加水分解用)を容器に秤取り、その容器に、イオン交換水を化合物(A)と同量もしくは半分の量注ぎ入れ、10秒~120秒間撹拌し、化合物(A)を加水分解して、下澄み液を除去し、化合物(B)を得た。
【0073】
(発泡・硬化工程)
前記得られた化合物(B)が容器に、表1及び表2に従って残りの原料の全てを容器に秤取り、撹拌した後に、設定温度93℃の水蒸気存在下の恒温槽の中で10~30分間放置して、発泡硬化させ、各実施例と比較例の発泡体を得た。なお、重曹が配合されない配合の実施例及び比較例の発泡体は、乾燥空気を用いたメカニカルフロス法で発泡させた。メカニカルフロス法は、室温で撹拌後、設定温度93℃の水蒸気存在下の恒温槽の中で10~30分間放置の条件で行った。
【0074】
<評価>
(見かけの密度測定)
得られた各実施例と比較例の発泡体の見掛けの密度を、JIS K7222:2005「発泡プラスチック及びゴム―見掛け密度の求め方」に準じて測定した。測定結果を表1及び表2に示した。
【0075】
(圧縮永久歪の測定)
得られた各実施例と比較例の発泡体の圧縮永久歪を、JIS K6400-4:2004「軟質発泡材料-試験法」に準じて測定した。測定結果を表1及び表2に示した。
【0076】
(外観検査)
得られた各実施例と比較例の発泡体の外観を肉眼で観察し、下記の評価基準に従って、評価を行った。その結果を表1及び表2に示した。評価基準を下記に示した。
◎:全体がきれいに発泡したフォーム
○:部分的に密度の高いフォームが混在するフォーム
×:発泡していない固体
【0077】
(反応不具合評価)
前記発泡体の発泡硬化の際、セル構造が確認できない固体形状であるものを、反応不具合とした。その結果を表1及び表2に示した。
【0078】
(総合評価)
前記評価結果をまとめた総合評価を、下記の評価基準に従って、評価を行った。その結果を表1及び表2に示した。評価基準を下記に示した。
◎:密度200kg/m^3以下、圧縮永久歪20%以下、外観検査が「◎」のもの。
○:密度200kg/m^3以下、圧縮永久歪20%以下、外観検査が「〇」のもの。
×:上記を一つでも満たさないもの。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
(評価結果)
以上の結果から、本発明の効果が理解できる。