(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】プロテクタ
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20230920BHJP
【FI】
H02G3/04 037
H02G3/04 056
(21)【出願番号】P 2019182061
(22)【出願日】2019-10-02
【審査請求日】2022-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】藤井 功一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 亮
(72)【発明者】
【氏名】三田 恵一
【審査官】井上 弘亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-046943(JP,A)
【文献】国際公開第2013/125062(WO,A1)
【文献】特開2015-188294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面壁と、前記底面壁より互いに間隔を空けて立設された複数の立設壁と、隣り合う前記立設壁及び前記底面壁によって仕切られた複数の電線配策路とを有するプロテクタ本体と、
複数の前記電線配策路にそれぞれ配策された電線を前記プロテクタ本体に固定する結束バンドとを備え、
前記各立設壁に前記結束バンドを通すバンド挿通孔がそれぞれ設けられ
、
前記電線配策路は、3本以上の奇数本であり、
前記底面壁は、中央の前記電線配策路の区間が両側の前記電線配策路の区間より高く設けられている
、プロテクタ。
【請求項2】
底面壁と、前記底面壁より互いに間隔を空けて立設された複数の立設壁と、隣り合う前記立設壁及び前記底面壁によって仕切られた複数の電線配策路とを有するプロテクタ本体と、
複数の前記電線配策路にそれぞれ配策された電線を前記プロテクタ本体に固定する結束バンドとを備え、
前記各立設壁に前記結束バンドを通すバンド挿通孔がそれぞれ設けられ、
前記電線配策路は、3本であり、
前記底面壁は、中央の前記電線配策路の区間が両側の前記電線配策路の区間より高く設けられている
、プロテクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線を保護するプロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来例のプロテクタは、プロテクタ本体とバンドとを備えている。プロテクタ本体は、底面壁と底面壁の両側端より立設された一対の側面壁とを有し、底面壁と一対の側面壁に囲まれて電線配策路が設けられている。電線配策路に複数の電線が配策されている。
【0003】
バンドは、電線配策路に配策された複数の電線を一括してプロテクタ本体に固定する。
【0004】
この従来例では、単一の電線配策路に複数の電線を配策する。従って、各電線の配策位置が一定ではないため、各電線の配策経路長が一定しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
各電線の配策経路長をそれぞれの所定長さとするため、プロテクタ本体に複数の電線配策路を設け、各電線配策路ごとに電線を配策することが考えられる。そして、各電線配策路を形成する底面壁にバンド挿通孔をそれぞれ設け、各電線配策路に配策された電線毎にバンドで固定する。
【0007】
しかしながら、プロテクタへの電線組付け作業性が悪い。つまり、複数のバンド挿通孔にそれぞれバンドを通すが、通した複数のバンドの先端部が電線配策路の上方に突出する。そのため、上方に突出したバンドの先端部を回避しながら電線を電線配策路に挿入する必要があり、電線組付け作業性が悪い。
【0008】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、電線の組付け作業性が良いプロテクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様に係るプロテクタは、底面壁と、前記底面壁より互いに間隔を空けて立設された複数の立設壁と、隣り合う前記立設壁及び前記底面壁によって仕切られた複数の電線配策路とを有するプロテクタ本体と、複数の前記電線配策路にそれぞれ配策された電線を前記プロテクタ本体に固定する結束バンドとを備え、前記各立設壁に前記結束バンドを通すバンド挿通孔がそれぞれ設けられている。
【0010】
前記電線配策路は、3本であり、前記底面壁は、中央の前記電線配策路の区間が両側の前記電線配策路の区間より高く設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電線の組付け作業性が良いプロテクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】(a)は本実施形態に係るプロテクタの斜視図、(b)は本実施形態に係るプロテクタの断面図である。
【
図2】本実施形態を示し、プロテクタ本体の斜視図である。
【
図3】本実施形態を示し、プロテクタ本体の平面図である。
【
図4】本実施形態を示し、
図3のIV-IV線断面図である。
【
図5】本実施形態を示し、プロテクタの組付け作業過程の断面図である。
【
図6】本実施形態を示し、プロテクタの組付け作業過程の断面図である。
【
図7】本実施形態を示し、プロテクタの組付け完了状態の側面図である。
【
図8】他の本実施形態に係るプロテクタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて本実施形態に係るプロテクタAを詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0014】
本実施形態に係るプロテクタAは、
図1に示すように、プロテクタ本体1と1本の結束バンド10とを備えている。プロテクタ本体1は、底面壁2と、底面壁2より互いに間隔を空けて立設された複数の立設壁3とを有する。プロテクタ本体1には、隣り合う立設壁3と底面壁2によって仕切られた複数の電線配策路4が形成されている。各電線配策路4は、上方側が開口されている。本実施形態では、立設壁3は4枚であり、電線配策路4は、3本である。
【0015】
底面壁2は、中央の電線配策路4の区間が両側の電線配策路4の区間よりhだけ高く設けられている。
【0016】
各立設壁3には、結束バンド10を通すバンド挿通孔5がそれぞれ形成されている。各バンド挿通孔5は、電線配策方向dの同一位置で、且つ、同一高さに配置されている。各バンド挿通孔5は、底面壁2の一部にまで延設されている。各バンド挿通孔5の底面壁2に延設された領域は、樹脂成形時の金型抜き用である。
【0017】
結束バンド10は、ロック部11と、ロック部11より延設された長尺状のバンド部12とを有する。ロック部11は、バンド部12を通すロック孔(図示せず)を有する。ロック部11は、ロック孔(図示せず)に最も深く通したバンド部12の位置でロックする。
【0018】
次に、プロテクタAへの電線組付け作業を簡単に説明する。
図5に示すように、プロテクタ本体1の各電線配策路4に上方から電線Wをそれぞれ挿入する。次に、結束バンド10のバンド部12をプロテクタ本体1の各バンド挿通孔5に順に通し、
図6に示すように、バンド部12を4つのバンド挿通孔5に貫通させる。
【0019】
次に、バンド部12の先端をロック部11のロック孔(図示せず)に通し、3本の電線Wを強く結束した状態でバンド部12をロック部11にロックすれば完了する。これで、3本の電線Wが結束バンド10によってプロテクタ本体1に固定される。
【0020】
以上説明したように、本実施形態に係るプロテクタAは、プロテクタ本体1と結束バンド10とを備えている。そして、プロテクタ本体1は、底面壁2と、底面壁2より互いに間隔を空けて立設された複数の立設壁3と、隣り合う立設壁3及び底面壁2によって仕切られた複数の電線配策路4とを有する。結束バンド10は、複数の電線配策路4にそれぞれ配策された電線Wをプロテクタ本体1に固定する。その上、各立設壁3には、結束バンド10を通すバンド挿通孔5がそれぞれ設けられている。
【0021】
従って、プロテクタAは、各電線Wが個々の電線配策路4に配策されるため、各電線Wの配策経路長がそれぞれの所定長さになる。そして、各電線配策路4に電線Wをそれぞれ配策し、その後に、結束バンド10を各バンド挿通孔5に通せば良いため、従来例のように電線Wの配策作業を結束バンド10との干渉を回避しつつ行う必要がなく、電線Wの組付け作業性が良い。
【0022】
また、1本の結束バンド10で複数の電線Wを固定できるため、結束バンド10の使用本数を削減できる。
【0023】
電線配策路4は、3本であり、底面壁2は、中央の電線配策路4の区間が両側の電線配策路4の区間よりhだけ高く設けられている。従って、中央の電線W及び両側の電線Wのそれぞれに、バンド部12によって底面壁2側への押圧力が確実に作用するため、全ての電線Wが確実にプロテクタ本体1の固定される。
【0024】
図8は、他の本実施形態に係るプロテクタBを示す。
図8に示すように、プロテクタBは、前記本実施形態のものに比べて、3枚の立設壁3であり、2本の電線配策路4を有する。2本の電線配策路4の底面壁2は、同じ高さに設けられている。
【0025】
他の構成は、前記の本実施形態と同様にあるため、同一構成箇所には同一符号を付して説明を省略する。
【0026】
従って、この他の本実施形態に係るプロテクタBでも、前記本実施形態の場合と同様の理由によって、電線Wの組付け作業性が良い。又、結束バンド10の使用本数を削減できる。
【0027】
変形例としては、電線配策路4が4本以上であって良い。又、複数の電線Wは、太さ径が同じであっても、全て異なるものであっても、一部異なる径を含むものであっても良い。電線配策路4は、全ての幅が同じであっても、全て異なるものであっても、一部異なるものを含むものであっても良い。電線配策路4は、配策される電線Wの径に合わせることが好ましい。
【0028】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0029】
A、B プロテクタ
1 プロテクタ本体
2 底面壁
3 立設壁
4 電線配策路
5 バンド挿通孔
10 結束バンド
W 電線