(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】情報提供システム、情報提供装置及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/9035 20190101AFI20230920BHJP
G06F 16/909 20190101ALI20230920BHJP
G06F 16/29 20190101ALI20230920BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20230920BHJP
G01C 21/36 20060101ALI20230920BHJP
G10L 15/00 20130101ALI20230920BHJP
G06F 3/16 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
G06F16/9035
G06F16/909
G06F16/29
G01C21/26 P
G01C21/36
G10L15/00 200Q
G06F3/16 650
(21)【出願番号】P 2019183747
(22)【出願日】2019-10-04
【審査請求日】2022-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2018188822
(32)【優先日】2018-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】三浦 直人
(72)【発明者】
【氏名】森川 元
(72)【発明者】
【氏名】加瀬澤 英紀
(72)【発明者】
【氏名】岩月 晃一
(72)【発明者】
【氏名】中村 元裕
【審査官】早川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-087345(JP,A)
【文献】特開2005-283410(JP,A)
【文献】特開2008-047101(JP,A)
【文献】特開2002-024212(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0032443(US,A1)
【文献】特表2018-503191(JP,A)
【文献】特開2004-226633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
G01C 21/26
G01C 21/36
G10L 15/00
G06F 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに関するユーザ情報を取得するユーザ情報取得手段と、
ユーザが入力した文章を解析することによって、ユーザの要求する情報を特定する為に必要な事項である要求事項がユーザの入力した文章から特定できるか否か判定する要求判定手段と、
前記要求事項がユーザの入力した文章から特定できない場合に、前記ユーザ情報を用いて前記要求事項を補完する補完手段と、
補完された前記要求事項に基づいて、ユーザの要求に応じた情報の提供を行う情報提供手段と、を有
し、
前記ユーザ情報は、過去のユーザの行動履歴についてユーザの行動が行われた際の状況を紐付けた情報を含み、
前記補完手段は、前記要求事項がユーザの入力した文章から特定できない場合に、現在の状況に対応する状況で行われたユーザの行動履歴を用いて前記要求事項を補完する情報提供システム。
【請求項2】
前記要求事項は、提供を行う情報の種類によって選択される複数の要素を含む請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項3】
前記要求判定手段は、提供を行う情報の種類によって選択される複数の要素毎に、該要素がユーザの入力した文章から特定できるか否か判定し、
前記補完手段は、ユーザの入力した文章から特定できない要素について前記ユーザ情報を用いて補完する請求項2に記載の情報提供システム。
【請求項4】
ユーザの移動履歴、ユーザの目的地の設定履歴、ユーザが移動に用いた移動手段、ユーザが移動した際の状況、登録されたユーザのスケジュールの内容の少なくとも一以上を収集し、
収集した情報に基づいて前記ユーザ情報を生成
して取得する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の情報提供システム。
【請求項5】
前記ユーザが入力した文章は、ユーザが発話した音声を認識することによって入力されたユーザの発話した内容を示す文章である請求項1乃至請求項
4のいずれかに記載の情報提供システム。
【請求項6】
ユーザに関するユーザ情報を取得するユーザ情報取得手段と、
ユーザが入力した文章を解析することによって、ユーザの要求する情報を特定する為に必要な事項である要求事項がユーザの入力した文章から特定できるか否か判定する要求判定手段と、
前記要求事項がユーザの入力した文章から特定できない場合に、前記ユーザ情報を用いて前記要求事項を補完する補完手段と、
補完された前記要求事項に基づいて、ユーザの要求に応じた情報の提供を行う情報提供手段と、を有
し、
前記ユーザ情報は、過去のユーザの行動履歴についてユーザの行動が行われた際の状況を紐付けた情報を含み、
前記補完手段は、前記要求事項がユーザの入力した文章から特定できない場合に、現在の状況に対応する状況で行われたユーザの行動履歴を用いて前記要求事項を補完する情報提供装置。
【請求項7】
コンピュータを、
ユーザに関するユーザ情報を取得するユーザ情報取得手段と、
ユーザが入力した文章を解析することによって、ユーザの要求する情報を特定する為に必要な事項である要求事項がユーザの入力した文章から特定できるか否か判定する要求判定手段と、
前記要求事項がユーザの入力した文章から特定できない場合に、前記ユーザ情報を用いて前記要求事項を補完する補完手段と、
補完された前記要求事項に基づいて、ユーザの要求に応じた情報の提供を行う情報提供手段と、して機能させる為のコンピュータプログラム
であって、
前記ユーザ情報は、過去のユーザの行動履歴についてユーザの行動が行われた際の状況を紐付けた情報を含み、
前記補完手段は、前記要求事項がユーザの入力した文章から特定できない場合に、現在の状況に対応する状況で行われたユーザの行動履歴を用いて前記要求事項を補完するコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの入力に応じた情報の提供を行う情報提供システム、情報提供装置及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車載用のナビゲーション装置、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ等の各種情報端末(以下、ナビゲーション装置等という)では、地図画像や地点に関する情報を各種記憶デバイスに記憶するか、又はサーバ等からダウンロードすることにより取得し、利用者に対して提供することが可能である。また、地点に関する情報としては、例えば店舗や公共施設等に関する名称、位置、営業時間、利用料金等に関する情報を提供することが可能である。更に、地図画像や地点に関する情報以外にも様々な情報の提供が可能である。
【0003】
また近年では、ユーザが希望する情報の条件等を音声で発話し、システム側で音声を認識して、条件に該当する情報を抽出して提供することも行われている。しかしながら、音声を用いた情報検索では、ユーザの発話内容の不足や不明確さ等の要因によって、ユーザが希望する情報の条件をシステム側で正確に把握することが難しい問題がある。また、ユーザがキーボードやタッチパネル等を使って文字の入力操作を行い、ユーザが希望する情報の条件等を文章で入力した場合についても同様であり、ユーザの入力内容の不足や不明確さ等の要因によって、ユーザが希望する情報の条件をシステム側で正確に把握することが難しい問題がある。そこで、例えば特開2001-296888号公報では、ユーザの発話内容に応じて地点情報の提供を行うシステムにおいて、ユーザの発話内容に該当する地点が複数あって、いずれの地点に関する情報をユーザが要求しているか特定できない場合に、該当する全ての地点をリスト状にして提供する技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-296888号公報(第4-5頁、
図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術では、実際にユーザが希望する情報以外の多数の情報についても提供されることとなるので、ユーザは提供された多数の情報の内から希望する情報を探さなければならない問題があった。
【0006】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、ユーザ情報に基づいてユーザの入力内容を補完することによって、ユーザの入力内容が不足していたり不明確であってもユーザが希望する情報を提供することを可能にした情報提供システム、情報提供装置及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本発明に係る情報提供システムは、ユーザに関するユーザ情報を取得するユーザ情報取得手段と、ユーザが入力した文章を解析することによって、ユーザの要求する情報を特定する為に必要な事項である要求事項がユーザの入力した文章から特定できるか否か判定する要求判定手段と、前記要求事項がユーザの入力した文章から特定できない場合に、前記ユーザ情報を用いて前記要求事項を補完する補完手段と、補完された前記要求事項に基づいて、ユーザの要求に応じた情報の提供を行う情報提供手段と、を有し、前記ユーザ情報は、過去のユーザの行動履歴についてユーザの行動が行われた際の状況を紐付けた情報を含み、前記補完手段は、前記要求事項がユーザの入力した文章から特定できない場合に、現在の状況に対応する状況で行われたユーザの行動履歴を用いて前記要求事項を補完する。
尚、「ユーザが入力した文章」には、ユーザが発話した音声を認識することによって入力された文章、ユーザがキーボードやタッチパネル等を使って入力対象とする文字を選択或いは手書きすることによって入力された文章等が該当する。
また、「文章」とは、ユーザの思考や感情が表現されている言語表現が該当し、1文のみから構成されていても複数の文から構成されていても良い。更に、文は基本的には複数の文節を含むが、1の文節のみであっても良い。
【0008】
また、本発明に係る情報提供装置は、ユーザに関するユーザ情報を取得するユーザ情報取得手段と、ユーザが入力した文章を解析することによって、ユーザの要求する情報を特定する為に必要な事項である要求事項がユーザの入力した文章から特定できるか否か判定する要求判定手段と、前記要求事項がユーザの入力した文章から特定できない場合に、前記ユーザ情報を用いて前記要求事項を補完する補完手段と、補完された前記要求事項に基づいて、ユーザの要求に応じた情報の提供を行う情報提供手段と、を有し、前記ユーザ情報は、過去のユーザの行動履歴についてユーザの行動が行われた際の状況を紐付けた情報を含み、前記補完手段は、前記要求事項がユーザの入力した文章から特定できない場合に、現在の状況に対応する状況で行われたユーザの行動履歴を用いて前記要求事項を補完する。
【0009】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、ユーザに要求に応じた情報の提供を行うコンピュータプログラムである。具体的には、コンピュータを、ユーザに関するユーザ情報を取得するユーザ情報取得手段と、ユーザが入力した文章を解析することによって、ユーザの要求する情報を特定する為に必要な事項である要求事項がユーザの入力した文章から特定できるか否か判定する要求判定手段と、前記要求事項がユーザの入力した文章から特定できない場合に、前記ユーザ情報を用いて前記要求事項を補完する補完手段と、補完された前記要求事項に基づいて、ユーザの要求に応じた情報の提供を行う情報提供手段と、して機能させる為のコンピュータプログラムであって、前記ユーザ情報は、過去のユーザの行動履歴についてユーザの行動が行われた際の状況を紐付けた情報を含み、前記補完手段は、前記要求事項がユーザの入力した文章から特定できない場合に、現在の状況に対応する状況で行われたユーザの行動履歴を用いて前記要求事項を補完する。
【発明の効果】
【0010】
前記構成を有する本発明に係る情報提供システム、情報提供装置及びコンピュータプログラムによれば、ユーザの要求する情報を特定する為に必要な事項である要求事項がユーザの入力した文章から特定できない場合に、ユーザ情報に基づいて要求事項を補完することによって、ユーザの入力内容が不足していたり不明確であってもユーザが希望する情報を提供することが可能となる。また、過去のユーザの行動履歴に基づいてユーザが希望する情報を予測することによって、ユーザの入力内容が不足していたり不明確であってもユーザが希望する情報を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る情報提供システムを示した概略構成図である。
【
図2】本実施形態に係る情報提供システムの構成を示したブロック図である。
【
図3】ユーザ情報DBに記憶される情報の一例を示した図である。
【
図4】本実施形態に係る情報端末の制御系を模式的に示すブロック図である。
【
図5】本実施形態に係るDB作成処理プログラムのフローチャートである。
【
図6】ユーザの行動履歴の統計結果の一例を示す図である。
【
図7】本実施形態に係る情報提供処理プログラムのフローチャートである。
【
図9】ユーザの発話内容の解析例を説明した図である。
【
図10】目的地までの推奨経路に関する情報を提供する場合において設定される要求事項を示した図である。
【
図11】ユーザの発話内容の解析例を説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る情報提供システムについて具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係る情報提供システム1の概略構成について
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は本実施形態に係る情報提供システム1を示した概略構成図である。
図2は本実施形態に係る情報提供システム1の構成を示したブロック図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る情報提供システム1は、情報提供センタ2が備えるサーバ装置(情報提供装置)3と、ユーザ4が所持する情報端末5と、を基本的に有する。また、サーバ装置3と情報端末5は通信ネットワーク網6を介して互いに電子データを送受信可能に構成されている。尚、情報端末5としては例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ、ナビゲーション装置等がある。また、ユーザ4は車両に乗車している状態であっても良いし、車両に乗車していない状態であっても良い。
【0014】
ここで、情報提供センタ2が備えるサーバ装置3は、ユーザ4に対して提供可能な各種情報が記憶されたDBを有し、ユーザ4からの要求に応じて該当する情報を抽出し、配信(提供)する情報配信サーバである。本実施形態では例えば、ユーザ4が指定した目的地までの推奨経路に関する情報、全国にある地点(施設)に関する地点情報、全国の各道路の交通情報(渋滞、事故、工事の有無等)等を配信対象とする。尚、本実施形態に係るサーバ装置3では、上記情報の配信を行うに際して、音声認識装置を用い、ユーザ4の発話音声に基づいてユーザ4が要求する情報を特定する。
【0015】
また、サーバ装置3は、推奨経路に関する情報を提供する際には、情報端末5の要求に応じて推奨経路を探索する処理についても行う。具体的には、ユーザ4が入力した文章に基づいて目的地や移動手段等の経路探索に必要な情報を取得する。その後、サーバ装置3はサーバ装置3の有する地図情報を用いて経路探索を行い、出発地から目的地までの推奨経路を特定する。そして、特定された推奨経路に関する情報を要求元の情報端末5へと送信することによりユーザに提供する。尚、文章の入力については、例えば音声認識、タッチパネルの操作、キーボードの操作などにより行うことが可能であるが、以下の説明では特に音声認識によりユーザの発話した音声を認識することにより行う場合を例に挙げて説明する。即ち、ユーザの発話した内容が入力される文章となる。また、以下の説明において「文章」とは、ユーザの思考や感情が表現されている言語表現が該当し、1文のみから構成されていても複数の文から構成されていても良い。更に、文は基本的には複数の文節を含むが、1の文節のみであっても良い。
【0016】
一方でサーバ装置3は、情報を要求するユーザの発話内容が不足していたり不明確であって、ユーザの要求する情報を特定する為に必要な事項である要求事項がユーザの発話した文章から特定できない場合には、後述のようにユーザ情報に基づいて要求事項を補完することについても行う。ユーザ情報としては、例えば状況毎のユーザ行動傾向を特定する情報が該当する。
【0017】
一方、情報端末5は、ユーザ4が所持し、ナビ機能を備えた情報端末が用いられ、例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ、ナビゲーション装置等が該当する。
【0018】
ここで、ナビ機能は、上記サーバ装置3によって探索された経路を特定する経路情報を表示したり、サーバから取得したりメモリに格納された地図データに基づいてユーザ4の現在位置周辺の地図画像を表示したり、表示された地図画像中においてユーザ4の現在位置を表示したり、設定された案内経路に沿った移動案内を行う機能が該当する。尚、上記ナビ機能の全てを情報端末5が備えている必要はなく、少なくとも経路情報を表示する機能を有していれば本願発明を構成することが可能である。
【0019】
また、通信ネットワーク網6は全国各地に配置された多数の基地局と、各基地局を管理及び制御する通信会社とを含み、基地局及び通信会社を有線(光ファイバー、ISDN等)又は無線で互いに接続することにより構成されている。ここで、基地局は情報端末5との通信をするトランシーバー(送受信機)とアンテナを有する。そして、基地局は通信会社の間で無線通信を行う一方、通信ネットワーク網6の末端となり、基地局の電波が届く範囲(セル)にある情報端末5の通信をサーバ装置3との間で中継する役割を持つ。
【0020】
続いて、情報提供システム1におけるサーバ装置3の構成について
図2を用いてより詳細に説明する。サーバ装置3は、
図2に示すようにサーバ制御ECU11と、サーバ制御ECU11に接続された情報記録手段としてのユーザ履歴DB12と、ユーザ情報DB13と、サーバ側地
図DB14と、サーバ側通信装置15とを備える。
【0021】
サーバ制御ECU11(エレクトロニック・コントロール・ユニット)は、サーバ装置3の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU21、並びにCPU21が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるRAM22、制御用のプログラムのほか、後述のDB作成処理プログラム(
図5)、情報提供処理プログラム(
図7参照)等が記録されたROM23、ROM23から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ24等の内部記憶装置を備えている。尚、サーバ制御ECU11は、後述の情報端末5のECUとともに処理アルゴリズムとしての各種手段を有する。例えば、ユーザ情報取得手段は、ユーザに関するユーザ情報を取得する。要求判定手段は、ユーザが入力した文章を解析することによって、ユーザの要求する情報を特定する為に必要な事項である要求事項がユーザの入力した文章から特定できるか否か判定する。補完手段は、要求事項がユーザの入力した文章から特定できない場合に、ユーザ情報を用いて要求事項を補完する。情報提供手段は、補完された要求事項に基づいて、ユーザの要求に応じた情報の提供を行う。
【0022】
また、ユーザ履歴DB12は、ユーザ4の過去の行動履歴を収集して格納した記憶手段である。具体的には、ユーザの移動履歴、ユーザの目的地の設定履歴、ユーザが移動に用いた移動手段、ユーザが移動した際の状況(移動開始地点、時間帯等)、過去或いは現時点で登録されたユーザのスケジュールの内容を情報端末5から収集してユーザ毎に区分して記憶する。尚、ユーザ履歴DB12は定期的に情報端末5から送信された情報に基づいて適宜更新される。
【0023】
一方、ユーザ情報DB13は、ユーザ履歴DB12に格納された各情報を統計することによって生成され、過去のユーザの行動履歴と行動履歴中の行動が行われた際の状況(例えばユーザの位置、時間帯等)を紐付けたデータベースである。特に、同じ状況で複数回のユーザの行動が行われていた場合には、複数回のユーザの行動履歴をそれぞれ紐付ける。その結果、ユーザ情報DB13は状況毎にユーザが行う傾向のある行動、即ちユーザの行動特性を示すデータベースとなる。また、ユーザ情報DB13には、ユーザの行動履歴として、“ユーザが移動した移動先”と“どのような移動手段で移動先に移動したか”について格納される。例えば
図3はユーザ情報DB13に記憶されるデータの一例を示した図である。
【0024】
図3に示すようにユーザ情報DB13には、ユーザ毎に過去のユーザの行動履歴と行動履歴中の行動が行われた際の状況とが紐付けられて格納される。例えばユーザAは、過去に休日夕方に自宅にいる状況において『○○ショッピングモール』、『××ショッピングモール』へ自家用車により移動しており、『○×スーパー』へ徒歩により移動していることを示す。特に、『○○ショッピングモール』へは複数回移動していることを示している。尚、
図3に示す例では状況をユーザの位置(移動開始位置)、平日又は休日、時間帯(例えば朝、昼、夜)で特定しているが、他の要素で状況を特定しても良い。例えば曜日、季節等でも良い。
【0025】
作成されたユーザ情報DB13は、状況とユーザの行動との関連性(状況毎にユーザが行う傾向のある行動)を示すものとなる。従って、サーバ装置3は情報を要求するユーザの発話内容が不足していたり不明確であって、ユーザの要求する情報を特定する為に必要な事項である要求事項がユーザの発話した文章から特定できない場合には、ユーザ情報DB13に基づいて現在の状況においてユーザが希望する情報を予測し、予測結果に基づいて要求事項を補完することが可能となる。そして、補完した要求事項に基づいて情報の提供を行う。詳細については後述する。
【0026】
一方、サーバ側地
図DB14は、外部からの入力データや入力操作に基づいて登録された最新のバージョンの地図情報であるサーバ側地図情報が記憶される記憶手段である。ここで、サーバ側地図情報は、道路網を始めとして経路探索、経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されている。例えば、道路網を示すノード及びリンクを含むネットワークデータ、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、各交差点に関する交差点データ、施設等の地点に関する地点データ、地図を表示するための地図表示データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等からなる。更に、鉄道、バス、船舶、飛行機等の移動手段を用いた経路を探索する為の各種情報(鉄道の線路、鉄道の時刻表、バス停、バス路線、バスの時刻表、船舶の航路、船舶の時刻表、飛行機の航路、飛行機の時刻表等)についても格納されている。但し、これらの情報は外部のサーバから取得するようにしても良い。
【0027】
一方、サーバ側通信装置15は情報端末5と通信ネットワーク網6を介して通信を行う為の通信装置である。また、情報端末5以外にインターネット網や、交通情報センタ、例えば、VICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報の受信についても可能である。
【0028】
次に、情報端末5の概略構成について
図4を用いて説明する。
図4は本実施形態に係る情報端末5の制御系を模式的に示すブロック図である。尚、以下では特に情報端末5がスマートフォンである場合を例に挙げて説明する。
【0029】
図4に示すように情報端末5はデータバスBUSに、CPU31と、情報端末5を所持するユーザ4に関するユーザ情報(ユーザID、氏名等)等が記憶されたメモリ32と、通信ネットワーク網6の基地局との間で信号の送受信を行う送受信回路部(RF)33と、送受信回路部33において受信したRF(Radio Frequency)信号をベースバンド信号に変換するとともにベースバンド信号をRF信号に変換するベースバンド処理部34と、マイクロホン35及びスピーカ36等とのインターフェイスである入出力部37と、液晶表示パネル等で構成されたディスプレイ38と、タッチパネルやハードボタン等から構成される入力操作部39と、GPS40と、カメラ41とが接続されることにより構成されている。
【0030】
ここで、情報端末5に内蔵されるCPU31は、メモリ32に格納されている動作プログラムに従って種々の動作を実行する情報端末5の制御手段であり、メモリ32とともに情報端末ECU42を構成する。また、情報端末ECU42の各種処理内容は必要に応じてディスプレイ38に表示される。
【0031】
また、メモリ32は情報端末5を所持するユーザ4に関するユーザ情報(ユーザID、氏名等)等が記憶された記憶媒体である。また、後述の情報提供処理プログラム(
図7)に加えて、スケジュール管理アプリ、ナビゲーションアプリを含む各種アプリケーションプログラムについても記憶される。更に、本実施形態ではメモリ32において情報端末5を所有するユーザの過去の行動履歴についても格納される。例えば、ユーザの移動履歴(GPSの検出履歴)、ナビ機能でのユーザの目的地の設定履歴、ユーザが移動に用いた移動手段、ユーザが移動した際の状況(移動開始地点、時間帯等)、登録されたユーザのスケジュールの内容等が該当する。また、メモリ32には地図情報を記憶しても良い。メモリ32に地図情報が記憶されていれば経路探索に係る処理をサーバ装置3ではなく情報端末5で行うことも可能である。また、メモリ32は、ハードディスク、メモリーカード等により構成しても良い。
【0032】
また、情報端末5は音声認識を行う為のアプリケーションについてもインストールされており、マイクロホン35によって録取された音声の内容を解析可能となっている。そして、本実施形態に係る情報端末5では、ユーザの発声した音声が認識され、認識された音声内容がサーバ装置3へと送信される。但し、音声の認識はサーバ装置3側で行っても良い。その場合には、録取された音声データを、サーバ装置3へと送信する。
【0033】
また、ディスプレイ38は、筐体の一面に配設されており、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等が用いられる。そして、情報端末5にインストールされている各種アプリケーションを実行する為のトップ画面や、実行されたアプリケーションに係る画面(インターネット画面、メール画面等)や、画像、動画等の各種情報が表示される。また、経路探索を行った場合に、探索された経路を特定する経路情報についても表示される。
【0034】
また、入力操作部39は、ディスプレイ38の前面に設けられたタッチパネルや筐体に配置されたハードボタン等によって構成されている。そして、情報端末ECU42は、タッチパネルやハードボタンの押下等により出力される電気信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、入力操作部39は、番号/文字入力キー、表示された内容を選択するためのカーソルを動かすカーソルキー、選択を確定する決定キー等の各種キー等により構成することもできる。
【0035】
また、GPS40は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、情報端末5(即ちユーザ4)の現在位置及び現在日時を検出可能とする。また、GPS40以外にも情報端末5の現在位置や方位を検出する為の他の装置(例えばジャイロセンサ等)を備える構成としても良い。
【0036】
また、カメラ41は、例えばCCD等の固体撮像素子を用いたカメラにより構成される小型の撮像装置であり、情報端末5の背面側に内蔵される。そして、専用のアプリケーションプログラムが起動された状態で、ユーザが入力操作部39を操作することによって周辺を撮像することが可能となる。尚、カメラ41で撮像された撮像画像は、メモリ32に格納される。
【0037】
続いて、前記構成を有する本実施形態に係る情報提供システム1を構成するサーバ装置3においてCPU21が実行するDB作成処理プログラムについて
図5に基づき説明する。
図5は本実施形態に係るDB作成処理プログラムのフローチャートである。ここで、DB作成処理プログラムは所定時間間隔(例えば24時間間隔)で実行され、過去のユーザの行動履歴を統計することによって、ユーザ毎に過去のユーザの行動履歴と行動履歴中の行動が行われた際の状況とを紐付けたDBを作成するプログラムである。尚、以下の
図5及び
図7にフローチャートで示されるプログラムは、情報端末5が備えているメモリ32又はサーバ装置3が備えているRAM22やROM23等に記憶されており、CPU31又はCPU21により実行される。
【0038】
先ず、DB作成処理プログラムではステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU21は、情報端末5から収集した情報に基づいてユーザ履歴DB12を更新する。ユーザ履歴DB12は、前述したようにユーザの過去の行動履歴を記憶したデータベースであり、具体的にはユーザの移動履歴(例えばGPSの検出履歴)、ユーザの目的地の設定履歴、ユーザが移動に用いた移動手段、ユーザが移動した際の状況(移動開始地点、時間帯等)、過去或いは現時点で登録されたユーザのスケジュールの内容を情報端末5から収集してユーザ毎に区分して記憶する。尚、ユーザのスケジュールの内容については、スケジュールを管理している外部のサーバから取得しても良い。
【0039】
尚、ユーザ履歴DB12には、ユーザの移動履歴、ユーザの目的地の設定履歴、ユーザが移動に用いた移動手段、ユーザのスケジュールの内容の全てを格納する必要は無く、例えばユーザの移動履歴とユーザが移動に用いた移動手段のみを格納しても良い。或いはユーザのスケジュールの内容のみを格納しても良い。少なくとも過去におけるユーザが移動した際の移動先と、どのような移動手段で移動先に移動したかについて特定可能な情報であれば良い。
【0040】
次に、S2においてCPU21は、前記S1で更新されたユーザ履歴DB12に格納された情報を統計し、ユーザ毎且つ状況毎に区分してユーザの行動履歴を統計する。尚、状況は例えばユーザの位置(移動開始地点)、平日又は休日、時間帯(例えば朝、昼、夜)で区分する。また、ユーザの行動は“ユーザが移動した移動先”と“どのような移動手段で移動先に移動したか”について特定する。
【0041】
例えば
図6に示す例は、ユーザ履歴DB12に格納されている所定のユーザAの行動履歴の内、休日の夕方(午後3時~午後7時)の自宅における行動の統計結果を示した図である。
図6に示す例ではユーザAは、過去に休日夕方に自宅にいる状況において『○○ショッピングモール』や『××ショッピングモール』へ高い頻度で自家用車により移動していることが分かる。即ち、ユーザAは、休日夕方に自宅にいる状況では『○○ショッピングモール』や『××ショッピングモール』へ自家用車で移動する傾向があることを示している。
【0042】
その後、S3においてCPU21は、前記S2の統計結果を用いてユーザ情報DB13を更新する。具体的には、
図3に示すようにユーザ毎且つ状況毎に区分して、該当するユーザが該当する状況で行った全ての行動履歴を紐付けて格納する。複数回同一の行動をしていた場合には同一内容の行動履歴が複数個紐付けられることとなる。但し、行動回数を特定する情報を付加しても良い。
【0043】
その結果生成されたユーザ情報DB13は、
図3に示すように状況とユーザの行動との関連性(状況毎にユーザが行う傾向のある行動)を示すものとなる。従って、後述のようにサーバ装置3は情報を要求するユーザの発話内容が不足していたり不明確であって、ユーザの要求する情報を特定する為に必要な事項である要求事項がユーザの発話した文章から特定できない場合には、ユーザ情報DB13に基づいて現在の状況においてユーザが希望する情報を予測し、予測結果に基づいて要求事項を補完することが可能となる。
【0044】
尚、本実施形態ではユーザ情報DB13は、ユーザ毎且つ状況毎に区分して、該当するユーザが該当する状況で行った全ての行動履歴を紐付けて格納しているが、所定回数(例えば3回)以上繰り返し行われた行動履歴のみを紐付けて格納しても良い。
【0045】
次に、本実施形態に係る情報提供システム1を構成するサーバ装置3及び情報端末5において実行する情報提供処理プログラムについて
図7に基づき説明する。
図7は本実施形態に係る情報提供処理プログラムのフローチャートである。ここで、情報提供処理プログラムは情報端末5においてナビゲーションアプリが起動された後に実行され、ユーザの要求に応じて各種情報を提供するプログラムである。尚、以下では特に目的地までの推奨経路に関する情報を提供する例について説明するが、それ以外の情報を提供の対象とすることも当然に可能である。
【0046】
先ず、情報端末5において実行される情報提供処理プログラムについて説明する。
S11においてCPU31は、マイクロホン35で集音した音声データを音声認識アプリを用いて解析することによって、情報の提供を希望するユーザの発話があったか否かを判定する。尚、本実施形態で提供対象となる情報は、目的地までの推奨経路に関する情報であるので、情報の提供を希望するユーザの発話は「~へ行きたい」、「~までの道が知りたい」等の内容となる。また、ユーザの発話には、出発地、目的地、移動手段、出発時刻、希望到着時刻、立ち寄り地点、立ち寄り時刻、立ち寄り時間等の探索条件を指定する単語についても含む。但し、上記全ての項目が含まれている必要は無い。
【0047】
そして、情報の提供を希望するユーザの発話があったと判定された場合(S11:YES)には、S12へと移行する。それに対して、情報の提供を希望するユーザの発話がないと判定された場合(S11:NO)には、情報の提供を行うことなく当該情報提供処理プログラムを終了する。
【0048】
S12においてCPU31は、サーバ装置3に対して情報の要求を指示する情報要求指示を送信する。情報要求指示には、ユーザを識別するユーザIDと、前記S11で受け付けたユーザの発話の内容(例えば文章データ)を含む。その後、後述のように情報端末5から情報要求指示を受信したサーバ装置3においてユーザの希望する情報の抽出及び配信が行われる(S22~S34)。
【0049】
尚、音声の認識はサーバ装置3側で行っても良い。その場合には、前記S12において発話内容ではなく集音した音声データをサーバ装置3に対して送信することも可能である。
【0050】
続いて、S13においてCPU31は、情報要求指示信号の送信に応じてサーバ装置3から配信された情報を受信する。前記S13で受信する情報は、前記S11で受け付けたユーザの発話の内容に対応した情報であり、ユーザが希望した情報となる。後述のS22~S34の処理で特定される。
【0051】
その後、S14においてCPU31は、前記S13で受信した情報をディスプレイ38やスピーカ36を用いて出力する。目的地までの推奨経路に関する情報を提供する場合においては、経路探索要求に応じてサーバ装置3において探索された出発地から目的地までの推奨経路に関する情報を出力する。ここで、
図8はディスプレイ38に表示される推奨経路に関する情報の一例を示した図である。
【0052】
図8に示すように経路案内画面51は、推奨経路を特定する経路情報として、出発地から順に目的地までの経路を移動手段と予想到達時間とともに時系列で表示する。ユーザは経路案内画面51を参照することによって、目的地までどのような移動手段でどのように移動するのが適当であるかを把握することが可能となる。また、推奨経路を地図上に示した画像についても表示するようにしても良い。尚、ユーザは表示された推奨経路の経路情報を視認した上で、探索条件を変更して再度経路探索を要求することも可能である。
【0053】
次に、サーバ装置3において実行される情報提供処理プログラムについて説明する。
先ず、S21においてCPU21は、情報端末5から情報の要求を指示する情報要求指示の送信があるか否か判定する。
【0054】
そして、情報要求指示の送信があると判定された場合(S21:YES)には、送信される情報要求指示を受信する(S22)。尚、情報要求指示信号には、情報を要求したユーザを識別するユーザIDと、ユーザの発話の内容(例えば文章データ)を含む。
【0055】
一方、情報要求指示の送信がないと判定された場合(S21:NO)には、当該情報提供処理プログラムを終了する。
【0056】
S23においてCPU21は、前記S22で受信した情報要求指示の内、特にユーザの発話内容の解析を行う。そしてS24においてCPU21は、前記S23の解析の結果、ユーザの要求する情報を特定する為に必要な事項(以下、要求事項という)がユーザの発話した文章から特定できるか否か判定する。
【0057】
以下に、前記S23の発話内容の解析処理についてより詳細に説明する。
先ずCPU21は、
図9に示すように発話内容を文節ごとに区切る。例えば、
図9に示す例ではユーザの発話内容は「今から○○ショッピングモールに行きたい」であり、「今から」、「○○ショッピングモールに」、「行きたい」に区分される。
【0058】
次に、区分された各文節の内、要求事項を特定する文節を抽出する。ここで、要求事項は提供を行う情報の種類によって選択される複数の要素を含む。例えば、推奨経路に関する情報を提供する場合には、
図10に示すように『出発地』、『目的地』、『移動手段』、『出発時刻』、『希望到着時刻』、『立ち寄り地点』、『立ち寄り時刻』、『立ち寄り時間』の8個の要素を含む。この内、『出発地』、『目的地』、『移動手段』の3つの要素については推奨経路に関する情報を提供する為に特定することが必須の要素であり、残りの『出発時刻』、『希望到着時刻』、『立ち寄り地点』、『立ち寄り時刻』、『立ち寄り時間』の5個の要素については特定が任意の要素となる。
【0059】
例えば、
図9に示す発話内容では、要求事項を特定する文節は『出発時刻』を特定する「今から」と、『目的地』を特定する「○○ショッピングモールに」の2つとなる。従って、「今から」と「○○ショッピングモールに」が抽出されることとなる。そして、S24では抽出された文節に基づいて要求事項に含まれる各要素が特定できるか否かを判定する。具体的には、特定することが必須の全ての要素について少なくとも特定できているかを判定する。推奨経路に関する情報を提供する場合には、『出発地』、『目的地』、『移動手段』の3つの要素が少なくとも特定できているか否か判定されこととなる。例えば
図9に示す発話内容では、『目的地』は「○○ショッピングモール」と特定できているが、『出発地』及び『移動手段』について特定できていない。従って、
図9に示す例では、ユーザの発話した文章から要求事項が特定できないと判定されることとなる。
【0060】
尚、前記S24では、要求事項を特定する文節があったとしても特定が不十分である場合には、要求事項が特定できていないと判定される。例えば
図11に示すようにユーザの発話内容が「ここからショッピングモールに車で行きたい」であった場合には、『出発地』、『目的地』、『移動手段』の3つの要素を特定する文節がそれぞれ存在するが、「ショッピングモールに」がどのショッピングモールを指定しているかを特定できない、即ち『目的地』について特定できないので要求事項が特定できていないと判定されることとなる。
【0061】
尚、要求事項に含まれる必須の要素の内『出発地』に関しては、仮に特定する文節が無かったとしても、ユーザの現在位置とみなすことも可能である。
【0062】
そして、前記S23の解析の結果、要求事項(少なくとも必須の要素)がユーザの発話した文章から特定できていないと判定された場合(S24:NO)には、S25へと移行する。それに対して、前記S23の解析の結果、要求事項(少なくとも必須の要素)がユーザの発話した文章から特定できると判定された場合(S24:YES)には、S33へと移行する。
【0063】
その後、S25でCPU21は、情報を要求したユーザが登録しているスケジュールについて取得し、ユーザの発話内容から特定できなかった必須の要素について、スケジュールから特定できるか否かを判定する。尚、ユーザが登録しているスケジュールについては、情報端末5から取得しても良いし、スケジュールを管理している外部のサーバから取得しても良い。例えばユーザが登録しているスケジュールの内、現在時刻或いは出発時刻が特定できている場合には出発時刻周辺のスケジュールでユーザの行き先が登録してあれば、『目的地』について特定することが可能である。
【0064】
そして、ユーザのスケジュールを参照することによって、要求事項(少なくとも必須の要素)が特定できたと判定された場合(S25:YES)には、S33へと移行する。それに対して、ユーザのスケジュールを参照しても要求事項(少なくとも必須の要素)が特定できなかったと判定された場合(S25:NO)には、S26へと移行する。
【0065】
S26でCPU21は、情報を要求したユーザの現在の状況を取得する。具体的には、ユーザの位置(移動開始位置)、本日が平日又は休日のどちらか、現在の時間帯(例えば朝、昼、夜)を取得する。尚、ユーザの現在の状況については前記S22において情報要求指示とともに情報端末5から取得しても良い。
【0066】
続いて、S27においてCPU21は、ユーザ情報DB13に記憶されている情報を読み出す。尚、ユーザ情報DB13は、前述のDB作成処理プログラム(
図5)で作成され、
図3に示すようにユーザ毎に過去のユーザの行動履歴と行動履歴中の行動が行われた際の状況とが紐付けられたデータベースである。
【0067】
次に、S28においてCPU21は、情報を要求した情報要求元のユーザ且つ前記S26で取得したユーザの現在の状況に紐付けられたユーザの行動履歴がユーザ情報DB13にあるか否か判定する。尚、情報要求元のユーザは、前記S22で受信した情報要求指示に含まれるユーザIDによって識別される。
【0068】
そして、情報を要求した情報要求元のユーザ且つユーザの現在の状況に紐付けられたユーザの行動履歴がユーザ情報DB13にあると判定された場合(S28:YES)には、S29へと移行する。それに対して、情報を要求した情報要求元のユーザ且つユーザの現在の状況に紐付けられたユーザの行動履歴がユーザ情報DB13にないと判定された場合(S28:NO)には、S30へと移行する。
【0069】
S29においてCPU21は、情報要求元のユーザ且つユーザの現在の状況に紐付けられたユーザの行動履歴を用いて、要求事項の補完を行う。補完の対象となるのは、要求事項に含まれる要素の内、現時点で特定できていない要素である。
【0070】
例えば、
図9に示す発話内容では、前述したように『目的地』は「○○ショッピングモール」と特定できているが、『出発地』及び『移動手段』について特定できていない。従って、先ずユーザ情報DB13の内、情報を要求した情報要求元のユーザ且つユーザの現在の状況に紐付けられたユーザの行動履歴を抽出する。その後、抽出されたユーザの行動履歴の内、更に「○○ショッピングモール」が移動先となるユーザの行動履歴を抽出する。そして、抽出されたユーザの行動履歴において最も頻度の高い『移動開始点』と『移動手段』の組み合わせを選択する。そして、選択された組み合わせにより『出発地』及び『移動手段』を補完する。例えば、「○○ショッピングモール」が移動先となるユーザの行動履歴として、自宅から自家用車で移動する行動履歴が最も高い頻度である場合には、『出発地』は自宅、『移動手段』は自家用車と特定される。
【0071】
一方、
図11に示す発話内容では、前述したように『出発地』及び『移動手段』については「ユーザの現在位置」と「自家用車」に特定できているが、『目的地』についてどのショッピングモールであるか特定できていない。従って、先ずユーザ情報DB13の内、情報を要求した情報要求元のユーザ且つユーザの現在の状況に紐付けられたユーザの行動履歴を抽出する。その後、抽出されたユーザの行動履歴の内、更にユーザの現在位置(例えば自宅)から自家用車でショッピングモール(どのショッピングモールであるかは問わない)へと移動するユーザの行動履歴を抽出する。そして、抽出されたユーザの行動履歴において最も移動先として頻度の高いショッピングモールを選択する。そして、選択されたショッピングモールにより『目的地』を補完する。例えば、自宅から自家用車でショッピングモールが移動先となるユーザの行動履歴として、「○○ショッピングモール」へと移動する行動履歴が最も高い頻度である場合には、『目的地』は「○○ショッピングモール」と特定される。その後、S31へと移行する。
【0072】
一方、S30においてCPU21は、前記S26で取得したユーザの現在の状況を用いて、要求事項の補完を行う。補完の対象となるのは、要求事項に含まれる要素の内、現時点で特定できていない要素である。
【0073】
例えば、ユーザの現在位置を『出発地』と特定する。また、ユーザの現在位置が自宅である場合には『移動手段』を自家用車に特定し、ユーザの現在位置が自宅以外である場合には『移動手段』を徒歩に特定する。また、
図11に示すように『目的地』についてどのショッピングモールであるか特定できない場合には、ユーザの現在位置から最も近い位置にあるショッピングモールを『目的地』に特定する。その後、S31へと移行する。
【0074】
尚、前記S29やS30ではユーザ情報DB13やユーザの現在の状況を用いて、要求事項に含まれる要素の内、特定されることが必須の要素について補完を行うこととしているが、必須以外の任意の要素(例えば『出発時刻』、『希望到着時刻』、『立ち寄り地点』、『立ち寄り時刻』、『立ち寄り時間』)についてもできる限り補完を行うことが望ましい。
【0075】
その後、S31においてCPU21は、前記S29及びS30で要求事項の補完を行った結果、要求事項が特定できたか否か判定する。具体的には、特定することが必須の全ての要素について少なくとも特定できているかを判定する。例えば推奨経路に関する情報を提供する場合には、『出発地』、『目的地』、『移動手段』の3つの要素が少なくとも特定できているか否か判定される。
【0076】
そして、前記S29及びS30で要求事項の補完を行った結果、要求事項(少なくとも必須の要素)が特定できたと判定された場合(S31:YES)には、S33へと移行する。それに対して、前記S29及びS30で要求事項の補完を行った後でも、要求事項(少なくとも必須の要素)が特定できていないと判定された場合(S31:NO)には、S32へと移行する。
【0077】
S32においてCPU21は、問い合わせ処理を行う。具体的には、要求事項の内、特定できていない要素を明確にするための質問を、情報端末5を介して出力する。例えば、『目的地』について複数の候補から一の候補に特定できない場合には、候補となる複数の目的地の一覧をディスプレイ38に表示し、ユーザに選択させる。また、『移動手段』について特定できない場合には、移動手段の一覧をディスプレイ38に表示し、ユーザに選択させる。問い合わせ処理は、要求事項に含まれる要素の内、特定されることが必須の要素が全て特定できるまで繰り返し行う。その後、S33へと移行する。
【0078】
S33においてCPU21は、最終的に特定された要求事項に基づいて推奨経路の探索を行う。また、推奨経路の探索には公知のダイクストラ法を用い、コスト値の合計が最小となる経路を推奨経路とする。推奨経路に関する情報を提供する場合には、要求事項として『出発地』、『目的地』、『移動手段』、『出発時刻』、『希望到着時刻』、『立ち寄り地点』、『立ち寄り時刻』、『立ち寄り時間』の8個の要素を含む。8個の要素の内、特定された要素を探索条件として推奨経路の探索を行う。尚、推奨経路の探索では移動手段に応じたコスト計算を行う。例えば移動手段が自家用車である場合には、国道や県道などの広い道路のコスト値を下げ、移動手段が徒歩である場合には、歩道のある道路のコスト値を下げる。
【0079】
その後、S34においてCPU21は、前記S33で探索された推奨経路に関する情報を、要求元の情報端末5へと配信する。その後、情報端末5において配信された情報の出力が行われる(S14)。
【0080】
尚、サーバ装置3ではなく情報端末5において、上記S22~S33の処理を実行させる構成としても良い。その場合には、ユーザ履歴DB12及びユーザ情報DB13を情報端末5が有するように構成する。また、DB作成処理プログラム(
図5)についても情報端末5で実行させる構成としても良い。
【0081】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る情報提供システム1及びサーバ装置3では、ユーザが発話した文章を解析することによって、ユーザの要求する情報を特定する為に必要な事項である要求事項がユーザの発話した文章から特定できるか否か判定し(S24)、要求事項がユーザの発話した文章から特定できない場合に、ユーザ情報DB13に格納されたユーザ情報を用いて要求事項を補完し(S29)、補完された要求事項に基づいて、ユーザの要求に応じた情報の提供を行う(S33、S34)ので、ユーザの発話内容が不足していたり不明確であってもユーザが希望する情報を提供することが可能となる。
【0082】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では、一のサーバ装置3がユーザ履歴DB12及びユーザ情報DB13の各DBを作成する処理と情報提供を行う処理をそれぞれ行っているが、各DBを作成する処理と情報提供を行う処理は別々のサーバ装置が行うようにしても良い。例えば、サーバ装置3が他のサーバ装置で作成された各DBを受信して、情報提供を行うようにしても良い。
【0083】
また、本実施形態では、情報提供システム1は目的地までの推奨経路に関する情報を提供対象としているが、他の情報を提供の対象とすることも可能である。例えば、全国にある地点(施設)に関する地点情報、全国の各道路の交通情報(渋滞、事故、工事の有無等)等を提供対象としても良い。尚、提供対象とする情報が異なれば、要求事項に含まれる要素も異なる。例えば、地点に関する地点情報を提供する場合には、『地点名称』、『地点のジャンル』、『地点のあるエリア』、『要求する情報の種類』、『ルート要求の有無』等の要素を含む。この内、『地点名称』、『地点のジャンル』の少なくとも一方、及び『要求する情報の種類』の要素については地点に関する地点情報を提供する為に特定することが必須の要素であり、残りの要素については特定が任意の要素となる。
【0084】
また、本実施形態では、特にユーザの発話音声を音声認識によって解析することによって、ユーザの発話内容を情報の要求を指示する文章として入力を行っているが、情報の要求を指示する文章の入力については上記音声認識以外の方法であっても良い。例えば、ユーザがキーボードやタッチパネル等を使って文字の入力操作(文字を指定しても良いし、手書き入力でも良い)を行い、情報の要求を指示する文章の入力を行うようにしても良い。
【0085】
また、本実施形態では
図5に示すDB作成処理プログラムの実行主体は、サーバ装置3であったが、情報端末5が一部又は全部を実行する構成としても良い。また、情報端末5をスマートフォンに適用した例について説明したが、情報提供機能を有していれば他の種類の情報端末に対して適用することも可能である。例えば携帯電話機、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ、ナビゲーション装置等に適用することが可能である。
【0086】
また、本発明に係る情報提供システムを具体化した実施例について上記に説明したが、情報提供システムは以下の構成を有することも可能であり、その場合には以下の効果を奏する。
【0087】
例えば、第1の構成は以下のとおりである。
ユーザ(4)に関するユーザ情報を取得するユーザ情報取得手段(21)と、ユーザが入力した文章を解析することによって、ユーザの要求する情報を特定する為に必要な事項である要求事項がユーザの入力した文章から特定できるか否か判定する要求判定手段(21)と、前記要求事項がユーザの入力した文章から特定できない場合に、前記ユーザ情報を用いて前記要求事項を補完する補完手段(21)と、補完された前記要求事項に基づいて、ユーザの要求に応じた情報の提供を行う情報提供手段(21)と、を有する。
上記構成を有する情報提供システムによれば、ユーザの要求する情報を特定する為に必要な事項である要求事項がユーザの入力した文章から特定できない場合に、ユーザ情報に基づいて要求事項を補完することによって、ユーザの入力内容が不足していたり不明確であってもユーザが希望する情報を提供することが可能となる。
【0088】
また、第2の構成は以下のとおりである。
前記要求事項は、提供を行う情報の種類によって選択される複数の要素を含む。
上記構成を有する情報提供システムによれば、提供を行う情報の種類に応じた要素を含む要求事項を設定することによって、提供を行う情報の種類に応じた必要な要素を補完することが可能となる。その結果、複数種類の情報を提供する場合においても、ユーザが希望する情報を提供することが可能となる。
【0089】
また、第3の構成は以下のとおりである。
前記要求判定手段(21)は、提供を行う情報の種類によって選択される複数の要素毎に、該要素がユーザの入力した文章から特定できるか否か判定し、前記補完手段(21)は、ユーザの入力した文章から特定できない要素について前記ユーザ情報を用いて補完する。
上記構成を有する情報提供システムによれば、提供を行う情報の種類に応じて設定された要求事項に含まれる要素の内、特にユーザの入力した文章から特定できない要素を対象としてユーザ情報に基づいて補完する。その結果、複数種類の情報を提供する場合においても、ユーザが希望する情報を提供することが可能となる。
【0090】
また、第4の構成は以下のとおりである。
前記ユーザ情報は、過去のユーザの行動履歴についてユーザの行動が行われた際の状況を紐付けた情報を含み、前記補完手段(21)は、前記要求事項がユーザの入力した文章から特定できない場合に、現在の状況に対応する状況で行われたユーザの行動履歴を用いて前記要求事項を補完する。
上記構成を有する情報提供システムによれば、過去のユーザの行動履歴に基づいてユーザが希望する情報を予測することによって、ユーザの入力内容が不足していたり不明確であってもユーザが希望する情報を提供することが可能となる。
【0091】
また、第5の構成は以下のとおりである。
ユーザの移動履歴、ユーザの目的地の設定履歴、ユーザが移動に用いた移動手段、ユーザが移動した際の状況、登録されたユーザのスケジュールの内容の少なくとも一以上を収集し、収集した情報に基づいて前記ユーザ情報を生成する。
上記構成を有する情報提供システムによれば、過去のユーザの行動履歴を収集し、収集した行動履歴を統計することによって、ユーザが希望する情報を予測することが可能となる。
【0092】
また、第6の構成は以下のとおりである。
前記ユーザ情報は、ユーザによって登録されているスケジュールに関する情報を含み、前記補完手段(12)は、前記要求事項がユーザの入力した文章から特定できない場合に、前記スケジュールを用いて前記要求事項を補完する。
上記構成を有する情報提供システムによれば、ユーザによって登録されているスケジュールに基づいてユーザが希望する情報を予測することによって、ユーザの入力内容が不足していたり不明確であってもユーザが希望する情報を提供することが可能となる。
【0093】
また、第7の構成は以下のとおりである。
前記ユーザが入力した文章は、ユーザが発話した音声を認識することによって入力されたユーザの発話した内容を示す文章である。
上記構成を有する情報提供システムによれば、ユーザの要求する情報を特定する為に必要な事項である要求事項がユーザの発話した文章から特定できない場合に、ユーザ情報に基づいて要求事項を補完することによって、ユーザの発話内容が不足していたり不明確であってもユーザが希望する情報を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0094】
1 情報提供システム
2 プローブセンタ
3 サーバ装置
4 車両
5 ナビゲーション装置
11 サーバ制御ECU
12 ユーザ履歴DB
13 ユーザ情報DB
21 CPU
22 RAM
23 ROM