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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】ワーク搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/08 20060101AFI20230920BHJP
   B65G 47/90 20060101ALI20230920BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
B25J13/08 A
B65G47/90 B
B25J13/00 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019183878
(22)【出願日】2019-10-04
(65)【公開番号】P2021058956
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】大渡 寛
【審査官】樋口 幸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-094438(JP,A)
【文献】特開2019-048365(JP,A)
【文献】特開2007-030087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 13/08
B65G 47/90
B25J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを供給するワーク供給装置と、
供給される前記ワークを搬送するロボットと、
前記ワーク供給装置から、前記ロボットが搬送したワークを置くワーク搬出装置と、
前記ロボットの動作条件を指示する学習モデルを構築する機械学習装置と、
前記ワークに係る条件、及び/又は前記ロボットに係る条件を、前記学習モデルに適用することによって前記ロボットの動作条件を選択し、前記動作条件に基づいて前記ロボットを制御する制御装置とを備え、
前記機械学習装置は、
前記ワークに係る条件、及び/又は前記ロボットに係る条件と、前記動作条件との対応関係を、入力データとして取得する入力データ取得部と、
前記ロボットの処理能力の過不足が発生したか否かをラベルとして取得するラベル取得部と、
前記入力データと前記ラベルとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、前記ロボットの動作条件を指示する学習モデルを構築する学習部とを備え、
前記制御装置は、
前記機械学習装置から取得した前記学習モデルを記憶する記憶部と、
前記学習モデルに基づいて、前記ロボットの動作条件として最適な動作条件を選択する選択部と、
前記選択部によって選択された動作条件で、前記ロボットの動作を制御する動作制御部と、
を備え
前記ワーク供給装置に設定されたワーク取出可能領域内において、
前記ロボットが前記ワーク取出可能領域内の上流領域から前記ワークを取り出し続ける場合に、前記ラベル取得部は、前記処理能力が過剰であるとし、
前記ロボットが前記ワーク取出可能領域内の中流領域から前記ワークを取り出し続ける場合に、前記ラベル取得部は、前記処理能力が適正であるとし、
前記ロボットが前記ワーク取出可能領域内の下流領域から前記ワークを取り出し続ける場合に、前記ラベル取得部は、前記処理能力が不足しているとする、ワーク搬送システム。
【請求項2】
ワークを供給するワーク供給装置と、
供給される前記ワークを搬送するロボットと、
前記ワーク供給装置から、前記ロボットが搬送したワークを置くワーク搬出装置と、
前記ロボットの動作条件を指示する学習モデルを構築する機械学習装置と、
前記ワークに係る条件、及び/又は前記ロボットに係る条件を、前記学習モデルに適用することによって前記ロボットの動作条件を選択し、前記動作条件に基づいて前記ロボットを制御する制御装置とを備え、
前記機械学習装置は、
前記ワークに係る条件、及び/又は前記ロボットに係る条件と、前記動作条件との対応関係を、入力データとして取得する入力データ取得部と、
前記ロボットの処理能力の過不足が発生したか否かをラベルとして取得するラベル取得部と、
前記入力データと前記ラベルとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、前記ロボットの動作条件を指示する学習モデルを構築する学習部とを備え、
前記制御装置は、
前記機械学習装置から取得した前記学習モデルを記憶する記憶部と、
前記学習モデルに基づいて、前記ロボットの動作条件として最適な動作条件を選択する選択部と、
前記選択部によって選択された動作条件で、前記ロボットの動作を制御する動作制御部と、
を備え、
前記ロボットにおいて、前記ワークが、前記ワーク供給装置に設定されたワーク取出可能領域に供給されるまでの待機時間が発生する場合に、前記ラベル取得部は、前記処理能力が過剰であるとする、ワーク搬送システム。
【請求項3】
ワークを供給するワーク供給装置と、
供給される前記ワークを搬送するロボットと、
前記ワーク供給装置から、前記ロボットが搬送したワークを置くワーク搬出装置と、
前記ロボットの動作条件を指示する学習モデルを構築する機械学習装置と、
前記ワークに係る条件、及び/又は前記ロボットに係る条件を、前記学習モデルに適用することによって前記ロボットの動作条件を選択し、前記動作条件に基づいて前記ロボットを制御する制御装置とを備え、
前記機械学習装置は、
前記ワークに係る条件、及び/又は前記ロボットに係る条件と、前記動作条件との対応関係を、入力データとして取得する入力データ取得部と、
前記ロボットの処理能力の過不足が発生したか否かをラベルとして取得するラベル取得部と、
前記入力データと前記ラベルとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、前記ロボットの動作条件を指示する学習モデルを構築する学習部とを備え、
前記制御装置は、
前記機械学習装置から取得した前記学習モデルを記憶する記憶部と、
前記学習モデルに基づいて、前記ロボットの動作条件として最適な動作条件を選択する選択部と、
前記選択部によって選択された動作条件で、前記ロボットの動作を制御する動作制御部と、
を備え、
前記ロボットが前記ワークを取り逃がす場合に、前記ラベル取得部は、前記処理能力が不足しているとする、ワーク搬送システム。
【請求項4】
前記ワークに係る条件は、前記ワークの供給密度、前記ワークが供給される際の前記ワークの姿勢、前記ワーク搬出装置への前記ワークの搬出位置、前記ワークが搬出される際の前記ワークの姿勢のうち、少なくとも1に係る条件である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のワーク搬送システム。
【請求項5】
前記ロボットに係る条件は、前記ロボットの現在位置、及び前記ロボットの姿勢のうち、少なくとも1に係る条件である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のワーク搬送システム。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記ワーク供給装置に供給される複数のワークの中で最初に取り出す予定の第1ワークの位置及び姿勢と、2番目に取り出す予定の第2ワークの位置及び姿勢を常時監視する監視部を更に備え、
前記選択部は、前記ワーク供給装置に設定されるワーク取出可能領域において、前記第1ワークが、前記ロボットによって前記第1ワークを見逃されることのない下限ラインに到達するまでの第1時間、及び/又は、前記第2ワークが、前記ロボットによって前記第2ワークを見逃されることのない下限ラインに到達するまでの第2時間を前記学習モデルに適用することにより、前記動作条件を選択する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のワーク搬送システム。
【請求項7】
前記選択部は、前記第1時間が短いほど、前記第1ワークを取り出すための速い前記動作条件を選択し、前記第2時間が短いほど、前記第1ワークを置くための速い前記動作条件を選択し、前記第1時間と前記第2時間との差分が小さいほど、前記第1ワークの取出動作又は置き動作をするための速い前記動作条件を選択する、請求項に記載のワーク搬送システム。
【請求項8】
前記制御装置は、
前記ワークの位置及び姿勢を常時監視する監視部と、
前記監視部によって監視される前記ワークの位置及び姿勢を用いて、前記ロボットの各軸の変化量を計算する変化量計算部とを更に備え、
前記選択部は、前記変化量を前記学習モデルに適用することにより、前記動作条件を選択する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のワーク搬送システム。
【請求項9】
前記監視部は、前記ワーク供給装置で供給される複数のワークの中で最初に取り出す予定の第1ワークの位置及び姿勢を常時監視し、
前記変化量計算部は、前記第1ワークの位置及び姿勢と、前記ロボットの現在位置及び姿勢とから、前記第1ワークの取り出し動作における前記ロボットの各軸の変化量を計算し、
前記選択部は、前記変化量を前記学習モデルに適用することにより、前記動作条件を選択する、請求項に記載のワーク搬送システム。
【請求項10】
前記選択部は、前記変化量が大きいほど、前記第1ワークの取り出し動作において、動作速度の速い前記動作条件を選択する、請求項に記載のワーク搬送システム。
【請求項11】
前記監視部は、前記ワーク供給装置に供給される複数のワークの中で最初に取り出す予定の第1ワークの位置及び姿勢を常時監視し、
前記変化量計算部は、前記第1ワークの位置及び姿勢と、前記ロボットが前記第1ワークを前記ワーク搬出装置へ置く位置及び姿勢とから、前記第1ワークの置き動作における前記ロボットの各軸の変化量を計算し、
前記選択部は、前記変化量を前記学習モデルに適用することにより、前記動作条件を選択する、請求項から請求項10のいずれか1項に記載のワーク搬送システム。
【請求項12】
前記選択部は、前記変化量が大きいほど、前記第1ワークの置き動作において、動作速度の速い前記動作条件を選択する、請求項10に記載のワーク搬送システム。
【請求項13】
前記監視部は、前記ワーク供給装置で供給される複数のワークの中で2番目に取り出す予定の第2ワークの位置及び姿勢を常時監視し、
前記変化量計算部は、前記ロボットが前記第1ワークを前記ワーク搬出装置へ置く位置及び姿勢と、前記第2ワークの位置及び姿勢とから、前記第2ワークの取り出し動作における前記ロボットの各軸の変化量を計算し、
前記選択部は、前記変化量を前記学習モデルに適用することにより、前記動作条件を選択する、請求項から請求項11のいずれか1項に記載のワーク搬送システム。
【請求項14】
前記選択部は、前記変化量が大きいほど、前記第1ワークの取出動作又は置き動作において、動作速度の速い前記動作条件を選択する、請求項13に記載のワーク搬送システム。
【請求項15】
前記制御装置は、
ワーク搬送作業を繰り返す際の単位時間当たりの消費電力量を計算する電力量計算部を更に備え、
前記選択部は、前記選択の過程で、最適な動作条件として複数の動作条件が得られる場合、前記消費電力量がより小さくなる動作条件を選択する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のワーク搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ワークを取り出すロボットを含むワーク搬送システムにおいて、ワークの供給量に疎密がある場合、ロボットの動作条件は、最もワークの供給量が密な場合に合わせて調整されている。
【0003】
しかし、ワークの供給量が疎であった場合、ロボットの処理能力の方が、ワークの供給量に勝るので、ロボットは早く仕事を終えてしまい、次のワークが供給されるまで待機状態になってしまう。待機状態に入る際には、ロボットは減速する必要があり、待機状態を解除する際には、ロボットには加速が発生する。余計な加減速の発生は無駄に電力を消費すると共に、減速機も損耗する。またロボットの動作速度を必要以上に速くすることにも由来して、無駄な電力消費と減速機の損耗が発生する。
【0004】
この点、ワーク一つ当たりの処理時間を演算し、当該処理時間に対応する運転パターンに従って、加速、定速、減速等の各速度を計算し、ロボットを動作するロボットパレタイザが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平06-126668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示される技術においては、ワーク一つ当たりの処理時間に対応する各運転パターンが固定化されており、ワークの供給状況に応じて、各運転パターンや動作条件を変化したり、更新したりすることは想定されていなかった。
【0007】
ワークの供給状況やロボットの動作状況に応じて、各運転パターンや動作条件を柔軟に変化したり更新したりすることが可能なワーク搬送システムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、ワークを供給するワーク供給装置と、供給される前記ワークを搬送するロボットと、前記ワーク供給装置から、前記ロボットが搬送したワークを置くワーク搬出装置と、前記ロボットの動作条件を指示する学習モデルを構築する機械学習装置と、前記ワークに係る条件、及び/又は前記ロボットに係る条件を、前記学習モデルに適用することによって前記ロボットの動作条件を選択し、前記動作条件に基づいて前記ロボットを制御する制御装置とを備え、前記機械学習装置は、前記ワークに係る条件、及び/又は前記ロボットに係る条件と、前記動作条件との対応関係を、入力データとして取得する入力データ取得部と、前記ロボットの処理能力の過不足が発生したか否かをラベルとして取得するラベル取得部と、前記入力データと前記ラベルとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、前記ロボットの動作条件を指示する学習モデルを構築する学習部とを備え、前記制御装置は、前記機械学習装置から取得した前記学習モデルを記憶する記憶部と、前記学習モデルに基づいて、前記ロボットの動作条件として最適な動作条件を選択する選択部と、前記選択部によって選択された動作条件で、前記ロボットの動作を制御する動作制御部と、を備えるワーク搬送システムである。
【発明の効果】
【0009】
一態様によれば、ワークの供給状況やロボットの動作状況に応じて、各運転パターンや動作条件を変化したり更新したりすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態のワーク搬送システムの全体構成図である。
図2】一実施形態のワーク搬送システムに含まれる制御装置の機能ブロック図である。
図3】一実施形態のワーク搬送システムに含まれる制御装置及び機械学習装置の詳細を示すブロック図である。
図4】一実施形態のワーク搬送システムにおいて、学習モデルとしての動作条件テーブルを更新する際に用いる各座標位置を示す図である。
図5A】一実施形態のワーク搬送システムにおいて、学習モデルとしての動作条件テーブルを更新するフローを示す図である。
図5B】一実施形態のワーク搬送システムにおいて、学習モデルとしての動作条件テーブルを更新するフローを示す図である。
図5C】一実施形態のワーク搬送システムにおいて、学習モデルとしての動作条件テーブルを更新するフローを示す図である。
図6A】一実施形態のワーク搬送システムにおける学習モデルとしての動作条件テーブルの例である。
図6B】一実施形態のワーク搬送システムにおける学習モデルとしての動作条件テーブルの例である。
図7】一実施形態のワーク搬送システムの全体構成図である。
図8】一実施形態のワーク搬送システムにおける取出可能領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔1 第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について、図1図6Bを参照することにより説明する。
【0012】
〔1.1 実施形態の構成〕
図1は、本発明の第1実施形態に係るワーク搬送システム1の全体構成を示す図である。
【0013】
図1に示すように、一実施形態によるワーク搬送システム1は、ロボット2と、検出装置3と、ワーク供給装置4と、ワーク搬出装置5と、制御装置10と、機械学習装置15とを備える。
【0014】
ロボット2は、ワーク供給装置4によって供給されるワーク71を取り出し、ワーク搬出装置5に置く。
【0015】
なお、ワーク71の「取出動作」の具体例として、後述のハンド23の先端に吸着パッドが配置され、吸着パッドが樹脂チューブで真空発生装置に接続され、「取り位置」にて、ワーク71と吸着パッドとの間に真空状態を作り出すことで、吸着パッドがワーク71を吸着し、ワーク71を取り出す動作が挙げられる。
【0016】
また、ワーク71の「置き動作」の具体例として、「置き位置」において、上記の真空発生装置をOFFすることで、吸着パッドとワーク71との間の真空状態を解除し、ワーク71を置く動作が挙げられる。
【0017】
ロボット2は、ロボット本体21と、アーム22と、ハンド23とを備える。ロボット2は、ロボット本体21からの指令によりアーム22を駆動し、アーム22の先端に備わるハンド23によって、ワーク71の取り出しや置き等の動作を実行する。
【0018】
検出装置3は、ワーク供給装置4によって供給されるワーク71を検出する。より詳細には、検出装置3は、ワーク71の個数、ワーク71の各々の位置や姿勢等を検出し、制御装置10に出力する。
【0019】
ワーク供給装置4は、ワーク搬出装置5に対してワーク71を供給する装置であり、例えばベルトコンベヤによって実現される。なお、以下では、ロボット2によって最初に取り出す予定のワークを第1ワーク71a、ロボット2によって2番目に取り出す予定のワークを第2ワーク71bとする。また、本実施形態において、ワーク供給装置4で供給される複数のワーク71は、コンベヤ上で概ね一列に並ぶこと、及び後述の第2実施形態に比較して、コンベヤの速度が速いことを想定している。
【0020】
また、ワーク供給装置4には、ワーク取出可能領域60が設定される。ワーク取出可能領域60は、ワーク搬出装置5の、ワーク供給装置4に直交する中心軸を中心とし、上限ライン61と下限ライン62に挟まれた領域である。また、ワーク取出可能領域60には、ロボット2がワーク71を見逃す下限である見逃しライン63が含まれる。
【0021】
なお、本実施形態においては、後述の第2実施形態に比較して、ワーク取出可能領域60をワーク71が通過する時間が短いことを想定している。
【0022】
ワーク搬出装置5は、ワーク供給装置4からロボット2によって取り出され、置かれたワーク71を系外に搬出する装置である、例えばベルトコンベヤによって実現される。一例として、ワーク搬出装置5にはパレット51が載置され、ロボット2は、ワーク71をワーク供給装置4から取り出し、パレット51上に置く。
【0023】
制御装置10は、ワーク搬送システム1全体を制御する装置である。図2は制御装置10の機能を示すブロック図である。
【0024】
制御装置10は、制御部11と記憶部12とを備える。
【0025】
制御部11は、制御装置10の全体を制御する部分であり、各種プログラムを、ROM、RAM、フラッシュメモリ又はハードディスク(HDD)等の記憶領域から適宜読み出して実行することにより、本実施形態における各種機能を実現している。制御部は、CPUであってよい。制御部11は、選択部111、動作制御部112、監視部113、変化量計算部114、電力量計算部115、特徴量出力部116を備える。
【0026】
選択部111は、ワーク71に係る条件、及び/又はロボット2に係る条件を、機械学習装置15から取得し記憶部12に格納された学習モデルに適用することで、ロボット2の動作条件として最適な動作条件を選択する。
【0027】
なお、ここで、ワーク71に係る条件とは、例えば、ワーク供給装置4によるワーク71の供給密度、ワーク71がワーク供給装置4で供給される際のワーク71の姿勢、ワーク搬出装置5へのワーク71の搬出位置、ワーク71が搬出される際のワーク71の姿勢のうち、少なくとも一つを含む。
【0028】
選択部111は、ワーク取出可能領域60において、第1ワーク71aが、ロボット2によって第1ワーク71aが見逃されることのない下限である、見逃しライン63に到達するまでの第1時間、及び/又は、第2ワーク71bが、ロボット2によって第2ワーク71bが見逃されることのない下限である、見逃しライン63に到達するまでの第2時間を、機械学習装置15から取得した学習モデルに適用することで、動作条件を選択してもよい。
【0029】
その結果として、選択部111は、例えば、第1時間が短いほど、第1ワーク71aを取り出すための動作速度の速い動作条件を選択し、第2時間が短いほど、第1ワーク71aを置くための動作速度の速い動作条件を選択し、第1時間と第2時間との差分が小さいほど、第1ワーク71aに対して取出動作又は置き動作をするための動作速度の速い動作条件を選択してもよい。
【0030】
また、ロボット2に係る条件とは、例えば、ロボット2の現在位置、及びロボット2の姿勢のうち、少なくとも一つを含む。
【0031】
動作制御部112は、選択部111によって選択された動作条件でロボット2の動作を制御する。
【0032】
監視部113は、ロボット2の現在位置、及びロボット2の姿勢等、ロボット2に係る情報を監視する。更に、監視部113は、検出装置3を用いて、ワーク71の位置及び姿勢を常時監視する。とりわけ、監視部113は、検出装置3を用いて、ワーク供給装置4で供給される複数のワークの中で、1番目に取り出す予定の第1ワーク71aと、2番目に取り出す予定の第2ワーク71bの位置及び姿勢を常時監視することが可能である。
【0033】
変化量計算部114は、監視部113によって監視されるワーク71の位置及び姿勢を用いて、ロボット2の各軸の変化量を計算する。
【0034】
とりわけ、変化量計算部114は、第1ワーク71aの位置及び姿勢と、ロボット2の現在位置及び姿勢とから、第1ワーク71aの取り出し動作におけるロボット2の各軸の変化量を計算することが可能である。
この場合に、選択部111は、当該変化量を学習モデルに適用した結果として、当該変化量が大きいほど、第1ワーク71aの取り出し動作において、動作速度の速い動作条件を選択してもよい。
【0035】
あるいは、変化量計算部114は、第1ワーク71aの位置及び姿勢と、ロボット2が第1ワーク71aをワーク搬出装置5へ置く位置及び姿勢とから、第1ワーク71aの置き動作におけるロボット2の各軸の変化量を計算することが可能である。
この場合に、選択部111は、当該変化量を学習モデルに適用した結果として、当該変化量が大きいほど、第1ワーク71aの置き動作において、動作速度の速い動作条件を選択してもよい。
【0036】
あるいは、変化量計算部114は、ロボット2が第1ワーク71aをワーク搬出装置5へ置く位置及び姿勢と、第2ワーク71bの位置及び姿勢とから、第2ワーク71bの取り出し動作におけるロボット2の各軸の変化量を計算することが可能である。
この場合に、選択部111は、当該変化量を学習モデルに適用した結果として、当該変化量が大きいほど、第1ワーク71aの取出動作又は置き動作において、動作速度の速い動作条件を選択してもよい。
【0037】
電力量計算部115は、ワーク搬送システム1でワーク71の搬送作業を繰り返す際の単位時間当たりの消費電力量を計算する。
【0038】
特徴量出力部116は、ロボット2の現在位置、及びロボット2の姿勢等のロボットに係る情報、監視部113によって監視されたワーク71の位置及び姿勢、変化量計算部114によって計算されたロボット2の各軸の変化量等を、機械学習装置15に対して特徴量として出力する。
【0039】
記憶部12は、機械学習装置15から取得した学習モデルを記憶する。
【0040】
図3は、ワーク搬送システム1に含まれる制御装置10及び機械学習装置15の詳細を示すブロック図である。なお、説明の簡略化のため、制御装置10の構成要素としては、上記の特徴量出力部116のみを示す。
【0041】
機械学習装置15は、教師あり機械学習により、制御装置10でロボット2の動作条件を指示するための学習モデルを構築する。そのため、図3に示すように、機械学習装置15は、入力データ取得部16、ラベル取得部17、学習部18、及び学習モデル記憶部19を備えている。
【0042】
入力データ取得部16は、制御装置20の特徴量出力部116から、特徴量を取得する。
【0043】
ラベル取得部17は、ロボット2の処理能力の過不足が発生したか否かを示すラベルを取得する。
【0044】
ここで、「ロボット2の処理能力が不足している」とは、ロボット2の処理能力に比較して、ワーク71の供給量が勝ることであり、これにより、例えば、ロボット2がワーク71を取り逃がすケースが発生する。
【0045】
また、「ロボット2の処理能力が過剰である」とは、ワーク71の供給量に比較して、ロボット2の処理能力が勝ることであり、これにより、例えば、ワーク71がワーク取出可能領域60に供給されるまでに、ロボット2に待機時間が発生する。
【0046】
学習部18は、特徴量とラベルとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、制御装置10でロボット2の動作条件を指示するための学習モデルを構築し、構築した学習モデルを、制御装置10に送信する。学習モデル記憶部19は、学習部18が構築した学習モデルを記憶する。
【0047】
なお、学習部18は、例として、サポート・ベクター・マシン(Support Vector Machine、以下SVMともいう)を用いて実現することが可能である。SVMは公知技術であるのでその詳細な説明は省略するが、教師あり学習(正解データと非正解データが教師データとして与えられる学習)を用いる識別手法の一つであり、識別が優れた学習モデルとして知られており、例えば、未学習データに対して高い識別性能(高い汎化性能)を得られることが知られている。
【0048】
学習部18は、上記のラベルとして、ロボット2の処理能力の過不足が発生したか否かに係る二値化されたラベルを用いると共に、上記の特徴量を含む空間を、ロボット2の処理能力の過不足が発生したか否かに関して、マージンが最大となるように分離する超平面を算出する。更に、学習部18は、この超平面の係数を、制御装置10でロボット2の動作条件を指示するために用いる学習モデルのパラメータとすることが可能である。
また、学習部18は、構築した学習モデルを制御装置10に出力する。
【0049】
学習モデル記憶部19は、上記のように、学習部18が構築した学習モデルを記憶する。
【0050】
以下、図4図6Bを参照することにより、学習部18による学習モデルの構築方法の一例について説明する。
【0051】
図4は、学習部18によって学習モデルを構築する際に用いる各座標を示す図である。第1ワーク71aの取出目標位置を(X,Y,R)とする。また、第1ワーク71aを取り出すためのハンド23の移動距離である「ワーク取出動作移動距離」をDとする。また、ハンド23で第1ワーク71aを取り出してから、第1ワーク71aをパレット51に置くまでの移動距離である「ワーク置動作移動距離」をDとする。また、ロボット2がハンド23で第1ワーク71aを置いた位置である「置位置」を(X,Y,R)とする。また、ロボット2が第1ワーク71aを置いた瞬間の最下流ワーク(すなわち新たな第1ワーク)71bの現在位置を(X,Y,R)とする。また、ロボット2が第1ワーク71aを置いた瞬間の下流から2番目のワーク(すなわち新たな第2ワーク)71cの現在位置を(X,Y,R)とする。また、ロボット2がハンド23で第1ワーク71aを置いた瞬間のロボット2の現在位置を(X,Y,R)とする。また、ワーク71の取出可能領域の上限の位置をL、下限の位置をLとする。また、ワーク71の取出目標ラインの位置をLとする。また、ワーク供給装置4によるワーク71の供給速度、具体的にはワーク供給装置4がベルトコンベヤであった場合、コンベヤの移動速度をVとする。
【0052】
図5A図5Cは、ワーク搬送システム1による学習モデルの構築方法の一例を示すフローチャートである。
【0053】
ステップS1において、制御部11は、ワーク71をワーク搬出装置5に置いた瞬間のロボット2の現在位置(X,Y,R)を記録する。
【0054】
ステップS2において、制御部11は、ワーク71をワーク搬出装置5に置いた瞬間の新たな第1ワーク71bの現在位置(X,Y,R)を記録する。
【0055】
ステップS3において、制御部11は、ワーク71をワーク搬出装置5に置いた瞬間の新たな第2ワーク71cの現在位置(X,Y,R)を記録する。
【0056】
ステップS4において、制御部11は、ワーク供給装置4の速度(V)と、第1ワーク71bの現在位置とから、第1ワーク71bがワーク取出目標ライン(L)に到達するまでの時間(T)を、以下の数式(1)を用いて計算する。
=(X-L)÷V (1)
【0057】
ステップS5において、制御部11は、ワーク供給装置4の速度(V)と、第2ワーク71cの現在位置とから、第2ワーク71cがワーク取出可能領域60の上限(L)に到達するまでの時間(T)を、以下の数式(2)を用いて計算する。
=(X-L)÷V (2)
【0058】
ステップS6において、制御部11は、第1ワーク71bの取り出し目標位置を、以下の数式(3)により設定する。
=L=Y=R (3)
【0059】
ステップS7において、制御部11は、ロボット2の現在位置(X,Y,R)、第1ワーク71bの取出目標位置(X,Y,R)から、第1ワーク71bの取出動作時のロボット2の移動距離(D)を、以下の数式(4)により設定する。
=√((X-X+(Y-Y) (4)
【0060】
ステップS8において、制御部11は、取り出し動作所要時間(T)で、移動距離(D)を移動する条件を、学習モデルとしての動作条件テーブルから選択し、ロボット2は、実際に取動作を行う。
【0061】
ここで、「動作条件テーブル」とは、ロボット2の動作条件が記載された表であり、記憶部12に記憶される。図5Aは、動作条件テーブルの一例を示す。
【0062】
図6Aに例示される動作条件テーブルにおいて、各行は、取り出し動作所要時間毎の移動速度を示し、各列は、移動距離(D)毎の移動速度を示す。選択部111は、この動作条件テーブルから、取り出し動作所要時間(T)と移動距離(D)が合致する移動速度を選択する。
【0063】
ステップS9において、制御部11は、実際の取出動作時間(T)を計測し、置き動作目標時間(T)を、以下の数式(5)により計算する。
=(T-T) (5)
【0064】
ステップS10において、制御部11は、実際に第1ワーク71bを取り出した位置(X’,Y’,R’)を取得する。
【0065】
ステップS11において、制御部11は、第1ワーク71bの取出位置と取出目標位置との距離(D’)を求める。
’=X’-X (6)
【0066】
ステップS12において、D’が許容値下限(AMIN)から許容値上限(AMAX)の範囲内にある(AMIN≦D’≦AMAX)場合(S12:YES)には、処理はステップS13に移行する。D’が許容値下限(AMIN)未満であるか、許容値上限(AMAX)を超える場合には、処理はステップS14に移行する。
【0067】
ステップS13において、制御部11は、動作条件テーブルから選択した動作速度の値は適正だったと判断し、入力データ取得部16によって入力された特徴量と、ロボット2の処理能力が適正だったというラベルとの組に基づいて、学習モデルを更新する。
【0068】
ステップS14において、学習部18は、入力データ取得部16によって入力された特徴量と、ロボットの処理能力に過不足が発生したというラベルとの組に基づいて、学習モデルを更新する。学習部18は、学習モデルの更新の結果として、例えば動作条件テーブルを細分化してもよい。
【0069】
図6Bは、図5Aに示す動作条件テーブルを細分化したテーブルの例を示す。図6Bに例示するテーブルにおいては、図6Aに例示するテーブル中、“180<D≦220”の列を、“180<D≦200”の列と、“200<D≦220”の列に分割する。
【0070】
ステップS15において、制御部11は、第1ワーク71bの置き位置(X,Y,R)を取得する。
【0071】
ステップS16において、制御部11は、第1ワーク71bの取出位置、第1ワーク71bの置き位置から、第1ワーク71bの置き動作時の移動距離(D)を、以下の数式(7)により計算する。
=√((X-X’)+(Y-Y’)) (7)
【0072】
ステップS17において、制御部11は、置き動作所要時間(T)で、移動距離(DDP)を移動する条件を動作条件テーブルから選択し、ロボット2は実際に置き動作を行う。
【0073】
ステップS18において、第1ワーク71bの置き動作が完了すると、第2ワーク71cは第1ワークに繰り上がる。制御部11は、置き動作が完了したときの第1ワーク(旧第2ワーク)71cの現在位置(X,Y,R)を取得する。
【0074】
ステップS19において、第1ワーク71cとワーク取出可能領域60の上限(L)との距離(D)を、以下の数式(8)により計算する。
=X-L (8)
【0075】
ステップS20において、Dが許容値下限(AMIN)から許容値上限(AMAX)の範囲内にある(AMIN≦D≦AMAX)場合(S20:YES)には、処理はステップS21に移行する。Dが許容値下限(AMIN)未満であるか、許容値上限(AMAX)を超える場合には、処理はステップS22に移行する。
【0076】
ステップS21において、制御部11は、動作条件テーブルから選択した動作速度の値は適正だったと判断し、入力データ取得部16によって入力された特徴量と、ロボットの処理能力が適正だったというラベルとの組に基づいて、学習モデルを更新する。その後、処理はステップS1に戻る。
【0077】
ステップS22において、制御部11は、入力データ取得部16によって入力された特徴量と、ロボットの処理能力に過不足が発生したというラベルとの組に基づいて、学習モデルを更新する。学習部18は、学習モデルの更新の結果として、例えば動作条件テーブルを細分化してもよい。その後、処理はステップS1に戻る。
【0078】
上記のように、制御部11が、ワーク71に係る条件、及び/又はロボット2に係る条件に基づいて、学習モデルとしての動作条件テーブルから、ロボット2の最適な動作条件を選択する際、複数の動作条件が得られた場合には、単位時間当たりの消費電力量が、より小さな動作条件を選択してもよい。
【0079】
制御装置10が、上記の構成を備えることにより、本実施形態に係るワーク搬送システム1は、最適な動作条件に従ってロボット2を動作させることが可能となるのみならず、ロボット2の動作状況に応じて、記憶部12に記録された動作条件の構成を変更することが可能となる。
【0080】
〔1.2 実施形態が奏する効果〕
本実施形態に係るワーク搬送システム1は、ワーク71を供給するワーク供給装置4と、供給されるワーク71を搬送するロボット2と、ワーク供給装置4から、ロボット2が搬送したワーク71を置くワーク搬出装置5と、ロボット2の動作条件を指示する学習モデルを構築する機械学習装置15と、ワーク71に係る条件、及び/又はロボット2に係る条件を、学習モデルに適用することによってロボットの動作条件を選択し、選択した動作条件に基づいてロボット2を制御する制御装置10とを備え、機械学習装置15は、ワーク71に係る条件、及び/又はロボット2に係る条件と、動作条件との対応関係を、入力データとして取得する入力データ取得部16と、ロボット2の処理能力の過不足が発生したか否かをラベルとして取得するラベル取得部17と、入力データとラベルとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、ロボット2の動作条件を指示する学習モデルを構築する学習部18とを備え、制御装置10は、機械学習装置15から取得した学習モデルを記憶する記憶部12と、学習モデルに基づいて、ロボット2の動作条件として最適な動作条件を選択する選択部111と、選択部111によって選択された動作条件で、ロボット2の動作を制御する動作制御部112と、を備える。
【0081】
これにより、条件に応じてロボット動作条件を制御することで、無駄な待機状態によるロボット2の加減速を無くすと共に、ロボット2は必要十分な動作速度しか出さないため、省電力化、減速機の寿命を延伸する効果が得られる。
【0082】
更に、ワークの供給状況やロボットの動作状況に応じて、各運転パターンや動作条件を柔軟に変化したり更新したりすることが可能となる。
【0083】
〔2 第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態について、図7を参照することにより説明する。なお、以下では説明の簡略化のため、第1実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を用いて説明すると共に、その機能の説明も省略する。
【0084】
〔2.1 実施形態の構成〕
図7は、本発明の第2実施形態に係るワーク搬送システム1Aの全体構成を示す図である。
【0085】
ワーク搬送システム1Aにおいては、ワーク71が一列に並ぶワーク搬送システム1とは異なり、ワーク供給装置4上のワーク71が、ランダムに並ぶ。これに伴い、ワーク搬送システム1Aは、ワーク搬送システム1で動作するロボット2とは別のロボット2Aを備える。ロボット2Aは、ロボット2とは異なり、アーム22の代わりにアーム22Aを、ハンド23の代わりにハンド23Aを備える。
【0086】
また、第2実施形態においては第1実施形態に比較して、ワーク供給装置4に備わるコンベヤの速度が遅いと共に、ワーク取出可能領域60をワーク71が通過する時間が長いことを想定している。
【0087】
図8は、第2実施形態におけるワーク取出可能領域60の構成を示す図である。ワーク取出可能領域60は、当該ワーク取出可能領域60とワーク搬出装置5とが重なる領域を「中流領域」とし、それよりも上流の領域を「上流領域」、下流の領域を「下流領域」とする。
【0088】
第2実施形態に係る機械学習装置15Aは、第1実施形態に係る機械学習装置15とは異なり、ラベル取得部17の代わりにラベル取得部17Aを備える。ラベル取得部17Aは、ロボット2が「上流領域」からワーク71を取り出し続ける場合に、処理能力が過剰であるし、「中流領域」からワーク71を取り出し続ける場合に、処理能力が適正であるとし、「下流領域」からワーク71を取り出し続ける場合に、処理能力が不足しているとする。学習部18は、これらのラベルを用いて学習モデルを構築する。
【0089】
〔2.2 実施形態が奏する効果〕
本実施形態に係るワーク搬送システム1Aにおいて、ロボット2がワーク取出可能領域60内の上流領域からワーク71を取り出し続ける場合に、ラベル取得部17Aは、処理能力が過剰であるとし、ロボット2がワーク取出可能領域60内の中流領域からワーク71を取り出し続ける場合に、ラベル取得部17Aは、処理能力が適正であるとし、ロボット2がワーク取出可能領域60内の下流領域からワーク71を取り出し続ける場合に、ラベル取得部17Aは、処理能力が不足しているとする。
【0090】
これにより、とりわけ、ワーク供給装置4に備わるコンベヤの速度が遅いと共に、ワーク取出可能領域60をワーク71が通過する時間が長い場合に、ワーク71の供給状況やロボット2の動作状況に応じて、各運転パターンや動作条件を柔軟に変化したり更新したりすることが可能となる。
【0091】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0092】
1,1A ワーク搬送システム
2,2A ロボット
4 ワーク供給装置
5 ワーク搬出装置
10,10A 制御装置
11 制御部
12 記憶部
20 機械学習装置
21 入力データ取得部
22 ラベル取得部
23 学習部
24 学習モデル記憶部
60 ワーク取出可能領域
71 ワーク
111 選択部
112 動作制御部
113 監視部
114 変化量計算部
115 電力量計算部
116 特徴量出力部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7
図8