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特許7351749無線タグ読取装置、販売データ処理装置、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】無線タグ読取装置、販売データ処理装置、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20230920BHJP
   G07G 1/00 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
G06K7/10 240
G06K7/10 276
G06K7/10 128
G07G1/00 311Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020000540
(22)【出願日】2020-01-06
(65)【公開番号】P2021110985
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 真樹
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-219848(JP,A)
【文献】特開2019-164529(JP,A)
【文献】特開2008-176697(JP,A)
【文献】特開平05-158957(JP,A)
【文献】特開2008-092262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
G07G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送するコンベアと、
物品に付された無線タグと情報を送受信するものであって、前記コンベアの搬送域を搬送方向に沿って複数に分けた分割域の各々に設けられ、各分割域において前記コンベアの搬送方向に沿って往復移動するアンテナと、
前記アンテナが受信した情報を読み取って出力するリーダと、
前記コンベアの搬送方向に沿って並ぶ複数の前記アンテナのうち、無線タグから情報を受信する状態にある前記アンテナの上流側に隣接する前記アンテナを、非稼働にするオンオフ制御部と、
を備える無線タグ読取装置。
【請求項2】
前記アンテナは、無線タグとの交信領域の高さが、物品が納められて前記コンベアに載せられる容器の高さ以上となる程度の電波を出力する
請求項1に記載の無線タグ読取装置。
【請求項3】
前記アンテナの無線タグとの交信領域の幅は、隣接する前記アンテナを挟んで対向する前記アンテナの交信領域との間に、物品が納められて前記コンベアに載せられる容器の幅よりも大きい所定寸法の隙間が空く程度である
請求項1または2に記載の無線タグ読取装置。
【請求項4】
前記オンオフ制御部は、非稼働にした前記アンテナの下流側に隣接する前記アンテナが無線タグから情報を受信する状態でなくなると、非稼働にした前記アンテナを再稼働させる
請求項1~3のいずれか1つに記載の無線タグ読取装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の無線タグ読取装置が読み取った情報に基づいて商品情報の登録を行う登録部と、
前記登録部が登録した商品情報に基づいて決済を行う決済部と、
を備える販売データ処理装置。
【請求項6】
物品を搬送するコンベアと、物品に付された無線タグと情報を送受信するものであって、前記コンベアの搬送域を搬送方向に沿って複数に分けた分割域の各々に設けられ、各分割域において前記コンベアの搬送方向に沿って往復移動するアンテナと、前記アンテナが受信した情報を読み取って出力するリーダと、を備える無線タグ読取装置のコンピュータを、
前記コンベアの搬送方向に沿って並ぶ複数の前記アンテナのうち、無線タグから情報を受信する状態にある前記アンテナの上流側に隣接する前記アンテナを、非稼働にするオンオフ制御手段
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、無線タグ読取装置、販売データ処理装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品をベルトコンベアなどで搬送しながら、物品に付された無線タグ(RFID(Radio Frequency IDentification)タグ)から情報を読み取る装置(無線タグ読取装置)がある(例えば特許文献1,2)。そのような装置は、例えば、検品(棚卸、入出荷)や、販売データ処理における商品登録などに用いられている。
【0003】
上述のような無線タグ読取装置においては、読み取るべき無線タグを読み取り損なうこと(読みこぼし)の防止が共通した課題となっている。また、物品がベルトコンベアに整然と並んでいる場合に比べ、物品がコンテナや籠などの容器に雑多に収納された状態で載せられている場合には、読み取りの難易度が高くなるため、読みこぼしが起こりやすくなる。
【0004】
読みこぼしを減らすために効果的な手法として、ベルトコンベアの搬送方向に沿って複数のアンテナを設けることが考えられる。しかしながら、その場合には、ベルトコンベアの複数箇所に同時に物品を収めた容器が存在する場合に、どちらの容器に入っている物品に付された無線タグであるのかを判別可能にする手段が必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、物品を搬送しながら無線タグを読み取る装置において、読みこぼしを防ぐとともに物品のまとまりを判別可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の無線タグ読取装置は、物品を搬送するコンベアと、物品に付された無線タグと情報を送受信するものであって、前記コンベアの搬送域を搬送方向に沿って複数に分けた分割域の各々に設けられ、各分割域において前記コンベアの搬送方向に沿って往復移動するアンテナと、前記アンテナが受信した情報を読み取って出力するリーダと、前記コンベアの搬送方向に沿って並ぶ複数の前記アンテナのうち、無線タグから情報を受信する状態にある前記アンテナの上流側に隣接する前記アンテナを、非稼働にするオンオフ制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態の無線タグ読取装置の構造を概略的に一部断面で示した側面図である。
図2図2は、無線タグ読取装置の概略的な平面図である。
図3図3は、アンテナおよびレールの位置関係を示す概略的な平面図である。
図4図4は、無線タグが付された物品が収納される容器とアンテナの交信領域との寸法関係の一例を示す図である。
図5図5は、無線タグ読取装置の電気的な構成および電気的な接続を示すブロック図である。
図6図6は、無線タグ読取装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図7図7は、制御部が行う制御の流れを概略的に示すフローチャートである。
図8図8は、稼働開始時の、あるいは物品が載置されていない状態の、無線タグ読取装置を示す図である。
図9図9は、ベルトコンベアに第1の容器が載置された状態の無線タグ読取装置を示す図である。
図10図10は、第1の容器が第2アンテナの交信領域に差しかかったときの無線タグ読取装置を示す図である。
図11図11は、第1の容器が第3アンテナの交信領域に差しかかったときの無線タグ読取装置を示す図である。
図12図12は、第1の容器が第4アンテナの交信領域に差しかかり、第2の容器がベルトコンベアに載置されたときの無線タグ読取装置を示す図である。
図13図13は、第1の容器がベルトコンベアの搬送方向下流側の端に至り、第2の容器が第2アンテナの交信領域に差しかかったときの無線タグ読取装置を示す図である。
図14図14は、第1の容器がベルトコンベア上から除かれ、第2の容器が残った状態の無線タグ読取装置を示す図である。
図15図15は、変形例における容器と各アンテナの交信領域との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本実施形態の無線タグ読取装置100の構造を概略的に一部断面で示した側面図である。無線タグ読取装置100は、ベルトコンベア101、アンテナ102(102a,102b,102c,102d)、レール103(103a,103b,103c,103d)、リーダライタ104などを備えている。
【0009】
無線タグ読取装置100は、POS端末装置200(図8参照、後述)の前段に設けられ、POS端末装置200に向けて物品を搬送しながら、物品に付された無線タグ(RFIDタグ)が保持するタグ情報を読み取り、読み取ったタグ情報をPOS端末装置200に出力する。
【0010】
POS端末装置200は、販売データ処理装置の一例であって、登録部と決済部とを備えている。登録部は、無線タグ読取装置100から入力されるタグ情報に基づいて、無線タグが付された物品(商品)を特定し、特定した商品の情報を登録する。決済部は、登録部が登録した商品情報に基づいて、当該商品の決済を行う。
【0011】
図2は、無線タグ読取装置100の概略的な平面図である。ベルトコンベア101は、物品を載置する平面を環状にした無終端ベルトをモータの駆動力で回転させることで、物品を搬送する。
【0012】
図1に戻り、アンテナ102(102a,102b,102c,102d)は、ベルトコンベア101の物品が載置される面(載置面)の下側の位置から、載置面上の物品に付された無線タグと、電波を介した情報の送受信を行う。アンテナ102は、例えば平面状のアンテナであり、屈曲自在な同軸ケーブル等を介してリーダライタ104に接続される。アンテナ102は、リーダライタ104の制御の下、無線タグと交信可能な電波(電磁波)を放射する。アンテナ102(102a,102b,102c,102d)は、ベルトコンベア101の物品が載置される面に向けて電波を放射することで、無線タグと交信可能な交信領域A(A1,A2,A3,A4)(図8参照、後述)を形成する。
【0013】
本実施形態の各アンテナ102は、ベルトコンベア101の搬送方向に沿って移動するように設けられている。図3は、アンテナ102a,102b,102c,102dおよびレール103a,103b,103c,103dの位置関係を示す概略的な平面図である。レール103a,103b,103c,103dは、ベルトコンベア101の搬送方向に沿って設置され、アンテナ102a,102b,102c,102dを導く。各アンテナ102は、モータの駆動力で、対応する各レール103に沿って往復移動する。
【0014】
アンテナ102(102a,102b,102c,102d)は、ベルトコンベア101の搬送方向に沿って並んでいる。ここで、本実施形態では略一直線に並んでいるが、実施にあたって、各アンテナ102がベルトコンベア101の幅方向の寸法よりも小さいのであれば、各アンテナ102のベルトコンベア101の幅方向の位置を分散させてもよい。
【0015】
アンテナ102a,102b,102c,102dは、ベルトコンベア101の搬送域を搬送方向に沿って複数(本実施形態の例では4つ)に分けた分割域の各々に設けられている。このようなアンテナ102a,102b,102c,102dは、各分割域においてベルトコンベア101の搬送方向に沿って往復移動する。これにより、各アンテナ102と無線タグとを相対的に移動する状態にし、これにより、無線タグの読み取り率を向上させる。
【0016】
リーダライタ104は、リーダの一例であって、各アンテナ102(102a,102b,102c,102d)が受信した電波から、無線タグが記憶するタグ情報を読み取って出力する。リーダライタ104は、例えば、DA変換器、AD変換器、変調/復調器、位相同期回路、増幅回路等の電子回路(何れも図示せず)を有する。リーダライタ104は、制御部120(図4のブロック図を参照)の制御の下、アンテナ102を介して無線タグと交信することで、無線タグが保持するタグ情報の読み取りや、無線タグに対するデータの書き込みを行う。より具体的には、リーダライタ104は、所定のデータ(コマンド)を変調し重畳した電波(以下、質問波)を、アンテナ102を介して送信する。リーダライタ104は、質問波に応答した無線タグから送信される電波(以下、応答波)を、アンテナ102を介して受信し、その応答波に重畳されたデータ(タグ情報)を復調して取得する。
【0017】
図4は、無線タグが付された物品Bが収納される容器Cとアンテナの交信領域Aとの寸法関係の一例を示す図である。アンテナ102(102a~102d)から放射する電波強度は特に問わないが、形成される交信領域A(A1~A4)は、ベルトコンベア101に載置される容器C(物品Bを収納した買物籠やコンテナ等)と同程度以上の高さを有することが望ましい。また、各アンテナ102の交信領域Aの幅は、隣接するアンテナ102を挟んで対向する他のアンテナ102の交信領域A´との間に、物品が納められてベルトコンベア101に載せられる容器Cの幅よりも大きい所定寸法の隙間が空く程度である。当該隙間は、容器Cの幅の約1.5倍程度であるとさらに望ましい。
【0018】
上述の内容を満たす寸法の一例を記す。例えば容器Cの高さが約240mmの場合、アンテナ102の交信領域Aの高さがアンテナ102上面から約440mm以上であると、ベルトコンベア101上に載置された容器Cの上まで交信領域Aが届く。また、容器Cの幅が幅約460mmの場合、例えば、アンテナ102aの交信領域A1と、当該アンテナ102aに隣接するアンテナ102bを挟んで対向する他のアンテナ102cの交信領域A3との間の隙間が、約700mmであると、当該装置で行うオンオフ制御(後述)の実施に都合がよい。同様に、アンテナ102bの交信領域A2と、当該アンテナ102bに隣接するアンテナ102cを挟んで対向する他のアンテナ102dの交信領域A4との間の隙間が、約700mmであると、当該装置で行うオンオフ制御(後述)の実施に都合がよい。
【0019】
図5は、無線タグ読取装置100の電気的な構成および電気的な接続を示すブロック図である。無線タグ読取装置100は、アンテナ駆動モータ105およびそのモータドライバ106、コンベア駆動モータ107およびそのモータドライバ108、通信I/F109、制御部120、記憶部130などを、さらに備えている。
【0020】
アンテナ駆動モータ105およびコンベア駆動モータ107は、例えばステッピングモータである。
【0021】
モータドライバ106は、アンテナ駆動モータ105を動作させるドライバ回路であって、制御部120の制御の下、アンテナ駆動モータ105を回転させるためのパルス信号を出力する。アンテナ駆動モータ105が回転することによって、アンテナ102がレール103に沿って往復移動する。
【0022】
モータドライバ108は、コンベア駆動モータ107を動作させるドライバ回路であって、制御部120の制御の下、コンベア駆動モータ107を回転させるためのパルス信号を出力する。コンベア駆動モータ107が回転することによって、ベルトコンベア101が回転する。
【0023】
通信I/F109は、POS端末装置200との間で通信を行うための通信インタフェースである。
【0024】
制御部120は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)により構成されている。CPUはプロセッサであって、プログラムを実行する。ROMはプログラムメモリであって、各種プログラム及び制御データを記憶する。RAMはワーキングメモリであって、各種データの展開に用いられる。制御部120は、CPUがROMに記憶されたプログラムをRAMに読み出して実行することにより、各部を統括的に制御する。
【0025】
記憶部130は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Memory)、フラッシュメモリ等の書換え可能な不揮発性の記憶媒体を備えた記憶装置である。記憶部130は、無線タグ読取装置100の動作に係る各種プログラムや各種データを記憶する。
【0026】
図6は、無線タグ読取装置100の機能構成の一例を示すブロック図である。制御部120は、プログラムを実行することにより、オンオフ制御部121などの各種機能部として機能する。
【0027】
オンオフ制御部121は、ベルトコンベア101の搬送方向に沿って並ぶ複数のアンテナ102のうち、無線タグから情報を受信する状態にあるアンテナ102の上流側に隣接するアンテナ102を、非稼働にする。また、オンオフ制御部121は、非稼働にしたアンテナ102の下流側に隣接するアンテナ102が無線タグから情報を受信する状態でなくなると、非稼働にしたアンテナ102を再稼働させる。
【0028】
なお、本実施形態においては、上述のようなオンオフ制御部121の動作を踏まえ、無線タグ読取装置100の利用者に対し、ベルトコンベア101上に先行の容器Cが存在する場合、後続の容器Cをベルトコンベア101に載置するにあたっては、少なくとも容器Cの一つ分より大きく間隔を空けるように、案内しておく。当該案内は、文字や画像による表示でもよいし、音声案内であってもよい。
【0029】
図7は、制御部120が行う制御の流れを概略的に示すフローチャートである。制御部120はまず、第1,第2,第3,第4アンテナ102a,102b,102c,102dを稼働させる。つまり、アンテナ102の移動と、アンテナ102の電波の送受信を開始する(ステップS1)。続いて制御部120は、モータドライバ108およびコンベア駆動モータ107を介して、ベルトコンベア101を、稼働させる(ステップS2)。
【0030】
このときの無線タグ読取装置100の状態を、図8に示す。図8は、稼働開始時の、あるいは物品Bを収納した容器Cが載置されていない状態の、無線タグ読取装置100を示す図である。この状態では、全てのアンテナ102およびベルトコンベア101が稼働している。
【0031】
図9は、ベルトコンベア101に第1の容器C1が載置された状態の無線タグ読取装置100を示す図である。この状態では、容器C1は第1アンテナ102aの交信領域A1内に位置する。
【0032】
次に制御部120は、第2アンテナ102bが無線タグを発見する(すなわち無線タグから情報を受信する状態になる)のを待機する(ステップS3のNo)。第2アンテナ102bが無線タグから情報を受信する状態になると、つまり無線タグをひとつも読み取りしていない状態で無線タグを読み取ると(ステップS3のYes)、制御部120は、第1アンテナ102aの読み取りを停止する、つまり、第1アンテナ102aによる電波の送受信を停止する(ステップS4)。
【0033】
このときの無線タグ読取装置100の状態の一例を、図10に示す。図10は、第1の容器C1が第2アンテナ102bの交信領域A2に差しかかったときの無線タグ読取装置100を示す図である。このとき、第1アンテナ102aの交信領域A1は存在しない。
【0034】
次に制御部120は、第3アンテナ102cが無線タグから情報を受信する状態になるのを待機する(ステップS5のNo)。第3アンテナ102cが無線タグから情報を受信する状態になると、つまり無線タグを発見すると(ステップS5のYes)、制御部120は、第2アンテナ102bの読み取りを停止する、つまり、第2アンテナ102bによる電波の送受信を停止する(ステップS6)。続いて制御部120は、第1アンテナ102aの読み取りを再開する、つまり、第1アンテナ102aによる電波の送受信を再開する(ステップS7)。
【0035】
このときの無線タグ読取装置100の状態の一例を、図11に示す。図11は、第1の容器C1が第3アンテナ102cの交信領域A3に差しかかったときの無線タグ読取装置100を示す図である。このとき、第2アンテナ102bの交信領域A2は存在せず、第1アンテナ102aの交信領域A1は存在する。
【0036】
次に制御部120は、第4アンテナ102dが無線タグから情報を受信する状態になるのを待機する(ステップS8のNo)。第4アンテナ102dが無線タグから情報を受信する状態になると、つまり無線タグを発見すると(ステップS8のYes)、制御部120は、第3アンテナ102cの読み取りを停止する、つまり、第3アンテナ102cによる電波の送受信を停止する(ステップS9)。続いて制御部120は、第2アンテナ102bの読み取りを再開する、つまり、第2アンテナ102bによる電波の送受信を再開する(ステップS10)。
【0037】
このときの無線タグ読取装置100の状態の一例を、図12に示す。図12は、第1の容器C1が第4アンテナ102dの交信領域A4に差しかかり、第2の容器C2がベルトコンベア101に載置されたときの無線タグ読取装置を示す図である。このとき、第3アンテナ102cの交信領域A3は存在せず、第2アンテナ102bの交信領域A2および第1アンテナ102aの交信領域A1は存在する。
【0038】
次に制御部120は、ベルトコンベア101が、設定距離分の稼働を終えるのを待機する(ステップS11のNo)。ここで、上述の設定距離は、容器C1をベルトコンベア101の搬送方向上流側の端から下流側の端まで移動させる程度の距離である。当該設定距離は、例えば記憶部130に記憶されていて、適切なタイミングで制御部120が取得する。
【0039】
図13は、第1の容器C1がベルトコンベア101の搬送方向下流側の端に至り、第2の容器C2が第2アンテナ102bの交信領域A2に差しかかったときの無線タグ読取装置100を示す図である。このとき、第1の容器C1の位置が第4アンテナ102dの交信領域A4に重なるので、引き続き第3アンテナ102cの交信領域A3は存在しない。また、第2の容器C2の位置が第2アンテナ102bの交信領域A2に重なるので、第1アンテナ102aは非稼働に制御され、交信領域A1は存在しない。
【0040】
ベルトコンベア101が、設定距離分の稼働を終えると(ステップS11のYes)、制御部120は、ベルトコンベア101を停止させる(ステップS12)。
【0041】
そして、制御部120は、第4アンテナ102dの交信領域A4から、無線タグが消失する(すなわち第4アンテナ102dで無線タグを読み取らなくなったことを検出する)のを待機する(ステップS13のNo)。無線タグ消失を確認すると(ステップS13のYes)、制御部120は、第3アンテナ102cの読み取りを再開して(ステップS14)、処理をステップS2に戻す。つまり、制御部120は、第4アンテナ102dで無線タグを読み取らなくなったことを受けて、第3アンテナ102cによる電波の送受信を再開して、ベルトコンベア101を再稼働させる。
【0042】
図14は、第1の容器C1がベルトコンベア101上から除かれ、第2の容器C2が残った状態の無線タグ読取装置100を示す図である。この状態は、図10に示す状態と同様である。
【0043】
以上のように、本実施形態の無線タグ読取装置100によれば、物品Bが納められた容器C(買物籠やコンテナ)がベルトコンベア101で搬送されるとともに、容器C内の無線タグは、各アンテナ102で読み取られる。読み取られたタグ情報は、通信I/F109を介してPOS端末装置200に出力される。POS端末装置200は、タグ情報に基づいて商品登録および決済を行う。
【0044】
本実施形態のアンテナ102は、各々、ベルトコンベア101の搬送方向に沿うレール103で定められる所定の領域を往復移動するので、アンテナ102と容器C内の物品に付された無線タグとの位置関係は常に変わる状態になる。これにより、無線タグの読み取り率を向上させることができる。
【0045】
また、本実施形態においては、無線タグを読み取っている状態のアンテナ102の上流側に隣接するアンテナ102を非稼働にするので、先行の容器C1がベルトコンベア101上に存在するうちに後続の容器C2がベルトコンベア101に載置されたとしても、一つの交信領域Aに異なる容器C1,C2が同時に入る不都合を排除することができる。よって、本実施形態によれば、容器C1内の無線タグのタグ情報と容器C2内の無線タグのタグ情報とが各々どちらの容器に収納されているのか判別可能である。
【0046】
(変形例)
上記実施形態の変形例を、図15を参照して説明する。図15は、本変形例における容器C(C1~C4)と各アンテナ102(102a~102d)の交信領域A(A1~A4)との関係を示す図である。無線タグが読み取りやすいものであったり、また、無線タグを読み取りやすい環境であったりという好条件であるなら、本例に示すように、4組の容器Cを同時に読み取るように制御してもよい。具体的には、ベルトコンベア101を稼動させながら容器Cを所定間隔で載置してゆき、図15の状態に並んだところで、アンテナ102を稼働させる。
【0047】
以上の実施形態および変形例の無線タグ読取装置100で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。
【0048】
実施形態および変形例の無線タグ読取装置100で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0049】
さらに、実施形態および変形例の無線タグ読取装置100で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、実施形態および変形例の無線タグ読取装置100で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0050】
実施形態および変形例の無線タグ読取装置100で実行されるプログラムは、上述した各部(オンオフ制御部121などの機能部)を含むモジュール構成となっている。CPU(プロセッサ)は、上記記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、上記各部を主記憶装置上にロードする。これにより、オンオフ制御部121などの機能部が、主記憶装置上に生成される。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
100…無線タグ読取装置
101…ベルトコンベア
102(102a,102b,102c,102d)…アンテナ
103(103a,103b,103c,103d)…レール
104…リーダライタ
105…アンテナ駆動モータ
106…モータドライバ
107…コンベア駆動モータ
108…モータドライバ
109…通信I/F
120…制御部
121…オンオフ制御部
130…記憶部
200…POS端末装置
A(A1~A4)…交信領域
C(C1~C4)…容器
【先行技術文献】
【特許文献】
【0053】
【文献】特開2017-117219号公報
【文献】特開2002-216092号公報
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