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特許7351767情報処理方法、情報処理装置、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0201 20230101AFI20230920BHJP
【FI】
G06Q30/0201
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020028252
(22)【出願日】2020-02-21
(65)【公開番号】P2021131817
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】514277905
【氏名又は名称】株式会社マクアケ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】木内 文昭
【審査官】石田 紀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-125046(JP,A)
【文献】特開2019-191623(JP,A)
【文献】特許第5733869(JP,B1)
【文献】特開2020-013471(JP,A)
【文献】特開2013-092832(JP,A)
【文献】特開2010-108078(JP,A)
【文献】村山 誠哉 ほか,”イノベーションの壁”,第1版,株式会社クロスメディア・パブリッシング,2018年07月01日,第199-200ページ,ISBN978-4-295-40195-7
【文献】富永 朋信 ほか,”デジタル時代の基礎知識『商品企画』”,第1版,株式会社翔泳社,2018年08月29日,第60-77ページ,ISBN978-4-7981-5686-6
【文献】ferret,”資金調達だけじゃない!「クラウドファンディング」の使い道と主要サービスまとめ”,[online],2017年06月16日,[検索日:令和5年8月10日],インターネット<URL:https://ferret-plus.com/7457>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置が、
所定の商品又はサービスを先行予約販売するプロジェクトに対する予約販売を受け付け、前記予約販売の受付状況を公開するプラットフォームを提供すること、
前記プロジェクトが公開される前に設定された、前記所定の商品又はサービスを購入するユーザ像に関する1又は複数の情報を含むターゲット情報を取得すること、
前記プラットフォーム上で前記プロジェクトが予約販売を開始した後で、前記所定の商品又はサービスを購入したユーザに関する1又は複数の情報を含む実績情報を取得すること、
前記ターゲット情報に含まれる少なくとも1つの情報と、当該少なくとも1つの情報に対応する前記実績情報に含まれる情報とを比較すること、
比較結果を含むマーケティングデータを出力すること、
を含む、情報処理方法
【請求項2】
前記実績情報は、前記プロジェクトに設定された所定期間の間又は経過後に、当該プロジェクトに所定の金額を支援したユーザに関する情報を含む、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記実績情報は、実店舗又は電子商取引で前記所定の商品又はサービスを購入したユーザに関する情報を含む、請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記比較することは、
前記プロジェクトに所定の金額を支援したユーザに関する情報が取得されている場合、当該所定の金額を支援したユーザに関する情報に基づいて修正された前記ターゲット情報に含まれる情報と、前記実店舗又は電子商取引で前記所定の商品又はサービスを購入したユーザに関する情報とを比較することを含む、請求項3に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記情報処理装置が、
前記比較結果を、前記ターゲット情報にフィードバックすることをさらに含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項6】
情報処理装置が、
所定の商品又はサービスを先行予約販売するプロジェクトに対する予約販売を受け付け、前記予約販売の受付状況を公開するプラットフォームを提供すること、
前記所定の商品又はサービスを購入するユーザ像に関する1又は複数の情報を含むターゲット情報を取得すること、
前記プラットフォーム上で前記プロジェクトが予約販売を開始した後で、前記所定の商品又はサービスを購入したユーザに関する1又は複数の情報を含む実績情報を取得すること、
前記ターゲット情報に含まれる少なくとも1つの情報と、当該少なくとも1つの情報に対応する前記実績情報に含まれる情報とを比較すること、
比較結果を出力すること、
前記所定の商品又はサービスに関する情報と、前記比較結果を反映したターゲット情報とを含む教師データを学習したモデル、及び新規の商品又はサービスに関する情報を用いて新規のターゲット情報を取得すること、
を含む、情報処理方法。
【請求項7】
所定の商品又はサービスを先行予約販売するプロジェクトに対する予約販売を受け付け、前記予約販売の受付状況を公開するプラットフォームを提供する提供部と、
前記プロジェクトが公開される前に設定された、前記所定の商品又はサービスを購入するユーザ像に関する1又は複数の情報を含むターゲット情報を取得する第1取得部と、
前記プロットフォーム上で前記プロジェクトが予約販売を開始した後で、前記所定の商品又はサービスを購入したユーザに関する1又は複数の情報を含む実績情報を取得する第2取得部と、
前記ターゲット情報に含まれる少なくとも1つの情報と、当該少なくとも1つの情報に対応する前記実績情報に含まれる情報とを比較する比較部と、
比較結果を含むマーケティングデータを出力する出力部と、
を備える情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置に、
所定の商品又はサービスを先行予約販売するプロジェクトに対する予約販売を受け付け、前記予約販売の受付状況を公開するプラットフォームを提供すること、
前記プロジェクトが公開される前に設定された、前記所定の商品又はサービスを購入するユーザ像に関する1又は複数の情報を含むターゲット情報を取得すること、
前記プロットフォーム上で前記プロジェクトが予約販売を開始した後で、前記所定の商品又はサービスを購入したユーザに関する1又は複数の情報を含む実績情報を取得すること、
前記ターゲット情報に含まれる少なくとも1つの情報と、当該少なくとも1つの情報に対応する前記実績情報に含まれる情報とを比較すること、
比較結果を含むマーケティングデータを出力すること、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の技術は、情報処理方法、情報処理装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、企業は、新製品や新サービスのマーケティングツールの一つとして、クラウドファンディングのような先行予約販売システムを利用する機会が増えている。先行予約販売システムでは、商品やサービスの予約販売を受け付け、この予約状況を公開する(例えば特許文献1参照)。なお、予約販売されている商品やサービスを購入することを例えば「支援する」又は「応援購入する」とも称し、購入者を例えば「支援者」又は「サポーター」とも称する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5733869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の予約販売システムでは、受け付けた予約販売に関する情報(以下、「予約販売情報」)を用いて融資等のための指標を生成することは可能であるが、マーケティングの観点等で予約販売情報を分析したり、将来の新商品等のマーケティングに活用したりすることはできなかった。
【0005】
そこで、開示技術は、予約販売システムに対して、予約販売情報をマーケティングに用いる新たな仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の一態様における情報処理方法は、情報処理装置が、所定の商品又はサービスを先行予約販売するプロジェクトに対する予約販売を受け付け、前記予約販売の受付状況を公開するプラットフォームを提供すること、前記所定の商品又はサービスを購入するユーザ像に関する1又は複数の情報を含むターゲット情報を取得すること、前記プラットフォーム上で前記プロジェクトが予約販売を開始した後で、前記所定の商品又はサービスを購入したユーザに関する1又は複数の情報を含む実績情報を取得すること、前記ターゲット情報に含まれる少なくとも1つの情報と、当該一つの情報に対応する前記実績情報に含まれる情報とを比較すること、比較結果を出力すること、を含む。
【発明の効果】
【0007】
開示技術によれば、予約販売システムに対して、予約販売情報をマーケティングに用いる新たな仕組みを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る予約販売システムの構成の一例を示す図である。
図2】一実施形態に係る予約販売システムの概要を説明するための図である。
図3】一実施形態に係るサーバの一例を示すブロック図である。
図4】一実施形態に係るユーザ端末の一例を示す図である。
図5】一実施形態に係る会員情報の一例を示す図である。
図6】一実施形態に係る商品情報の一例を示す図である。
図7】一実施形態に係るターゲット情報の一例を示す図である。
図8】一実施形態に係る第1実績情報の一例を示す図である。
図9】一実施形態に係る第2実績情報の一例を示す図である。
図10】一実施形態に係る予約販売システムのサーバによる処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0010】
[実施形態]
<システム構成>
図1は、開示の一実施形態に係る予約販売システム1の構成の一例を示す図である。図1に示すとおり、予約販売システム1は、サーバ10と、複数のユーザ端末20と、複数のユーザ端末30と、ショップ端末40とを含む。サーバ10と、1又は複数のユーザ端末20と、1又は複数のユーザ端末30と、ショップ端末40とは、ネットワークNを介して通信プロトコルにTCP/IP等を用いて相互にデータの送受信が可能になっている。
【0011】
ネットワークNは、例えば、インターネット、専用通信回線(例えば、CATV(Community Antenna Television)回線)、移動体通信網(基地局等を含む)、及びゲートウェイ等により構築されている。
【0012】
開示の予約販売システム1は、例えば、所定の商品やサービス(以下、「商品等」ともいう。)に対して、当該商品等の販売や製造等に先行して予約販売を受け付けるシステムをいう。所定の商品等は、予約販売システム1の運営側により承認された商品等を含み、例えば、実際に販売されていない未販売の商品等以外にも、海外では販売されているが、その国では販売されていない商品等、また、BtoBで販売済みではあるが、一般ユーザに認知又は販売されていない商品等、現状の商品等の改良版(機能、色、形状等)、及び地方(限定されたエリア)のみで販売していた商品等の少なくとも1つを含んでもよい。また、商品等には、先行して予約販売されるチケットであり、商品、サービス、イベントなどの引換チケットなどを含んでもよい。
【0013】
サーバ10は、予約販売システム1を実行するプラットフォームを提供するサーバである。予約販売システム1は、所定の商品等を提供するプロジェクトを実現するために、インターネットを通じて多数の支援者から資金を集め、このプロジェクトを実現するための仕組みである。この予約販売システム1を実現するための例として、クラウドファンディング(Crowd Funding)がある。クラウドファンディングには、購入型や投資型など様々なタイプがある。
【0014】
ユーザ端末20は、サーバ10が提供するプラットフォームにより実現される予約販売システム1において公開されたプロジェクトを支援するユーザ(支援者又は購入者)が利用する端末装置である。ユーザ端末20として、例えばパーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、スマートフォン等の携帯情報端末、携帯電話機等が用いられる。
【0015】
ユーザ端末30は、サーバ10が提供する予約販売システム1に実現されるプラットフォームにおいて公開されたプロジェクトを実行するユーザ(プロジェクト実行者)が利用する端末装置である。また、ユーザ端末30は、プラットフォームを運営する側が利用する端末装置でもよい。ユーザ端末30として、例えばパーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、スマートフォン等の携帯情報端末、携帯電話機等が用いられる。以下、ユーザ端末20又はユーザ端末30を区別しない場合、ユーザ端末20(30)とも表記する。
【0016】
ユーザ端末20(30)には、サーバ10が提供する予約販売システム1のプラットフォームを利用するためのアプリケーションプログラム(アプリ)が記憶されてもよい。当該アプリは、サーバ10が提供する予約販売サービスにおいて、プロジェクトの企画、支援などのサービスをユーザ端末20(30)に実行させる。当該アプリを実行することにより、ユーザ端末20(30)はサーバ10にアクセスして、アプリの実行に用いる情報を送受信する。
【0017】
また、ユーザ端末20(30)は、ウェブブラウザを用いて、サーバ10が提供するウェブサイトにアクセスし、このウェブサイトにおいて公開されるプロジェクトを支援したり、プロジェクトを起案したりしてもよい。
【0018】
ショップ端末40は、例えばPOS(Point of Sales)端末や、商品等の決済が可能な情報処理端末である。ショップ端末40は、実店舗に設けられた端末であり、ショップの店員が、商品等のバーコードなどを読み取る操作をすることにより、商品情報を取得し、商品情報を管理したり決済をしたりする管理サーバ(不図示)に決済情報を送信する。サーバ10は、実店舗で販売された商品の販売実績情報を管理サーバから取得することが可能である。なお、百貨店などが運営する電子商取引、例えばオンラインショッピングを用いて商品等が販売された場合にも、後述の実績情報Bがサーバ10に送信されうる。
【0019】
<システム概要>
図2は、開示の一実施形態に係る予約販売システム1の概要を説明するための図である。図2の左側には、予約販売システムを運営する側の端末を示し、中央には、予約販売システム1を実現するプラットフォームAを示し、右側には、プロジェクトにより公開された商品を販売するショップに設けられるショップ端末40を示す。
【0020】
プラットフォームAにより公開されるプロジェクトは、ユーザの端末の表示画面に表示され、例えば、プロジェクトの詳細や、予約販売の状況を報告するレポートなどが表示画面に表示される。公開されるプロジェクトは、予約販売を受付中のプロジェクト、予約販売の受付が終了したプロジェクトなどが含まれうる。
【0021】
図2に示す例では、プラットフォームAの運営者又はプロジェクトを企画する側のユーザが、プロジェクトにより予約販売される商品等を利用するユーザ像を検討し、このユーザ像に関する1又は複数のターゲット情報を、端末30Aを用いて設定する。ターゲット情報は、例えば、年齢、性別、年収等を含む。設定されたターゲット情報は、プラットフォームAを管理するサーバ10に送信される。
【0022】
プラットフォームAは、プロジェクトを公開し、不特定多数のユーザに対して、このプロジェクトの支援を募る。このとき、サーバ10は、プロジェクトの支援を受け付ける期間中又は期間後に、このプロジェクトを支援した支援者に関する1又は複数の情報を含むユーザ情報を実績情報Aとして管理する。
【0023】
また、百貨店などに入った実店舗であるショップは、プロジェクトの商品等を販売し、ショップ端末40は、この商品等の購入者に関する1又は複数の情報を含む販売情報を当該店舗の管理サーバに送信する。管理サーバは、この販売情報を実績情報Bとしてサーバ10に送信する。なお、百貨店などが運営する電子商取引、例えばオンラインショッピングを用いて商品等が販売された場合にも、実績情報Bがサーバ10に送信されうる。
【0024】
プラットフォームAのサーバ10は、予約販売を受付中又は受付後の商品等を支援又は購入したユーザに関する実績情報を取得し、管理する。ここで、サーバ10は、商品等のユーザ像について推定されたターゲット情報と、商品等を実際に購入したユーザに関する実績情報とを比較し、比較結果を出力する。これにより、この比較結果は、マーケティングに利用され、例えば、当初推定したターゲット情報の妥当性の判断に用いたり、同様の商品等に対してターゲット情報を予測、推定する際などに利用されたりする。
【0025】
以上の予約販売システム1によれば、予約販売情報をマーケティングに用いる新たな仕組みを提供することができる。これにより、先行予約販売、例えば、量産前・本格製造前の販売において得られた情報を、先行予約販売やその後の販売によるマーケティングに活用することができるようになる。以下、上述した予約販売システム1の各構成等について詳細に説明する。
【0026】
<ハードウェア構成>
図3は、開示の一実施形態に係るサーバ10の一例を示すブロック図である。サーバ10は、1つ又は複数の処理装置(CPU)110、1つ又は複数のネットワーク又は他の通信インタフェース120、メモリ130、及びこれらの構成要素を相互接続するための1つ又は複数の通信バス170を含む。
【0027】
サーバ10は、場合によりユーザインタフェース150を含んでもよく、これとしては、ディスプレイ装置151、及び入力装置(キーボード及び/又はマウス、又は他の何らかのポインティングデバイス等)152を挙げることができる。
【0028】
メモリ130は、例えば、DRAM、SRAM、DDR RAM又は他のランダムアクセス固体記憶装置などの高速ランダムアクセスメモリであり、また、1つ又は複数の磁気ディスク記憶装置、光ディスク記憶装置、フラッシュメモリデバイス、又は他の不揮発性固体記憶装置などの不揮発性メモリでもよく、非一時的な記録媒体でもよい。
【0029】
メモリ130は、予約販売システム1により用いられるデータを記憶する。例えば、メモリ130は、会員情報、商品情報、ターゲット情報、プラットフォームAにおいての取引に関する第1実績情報、実店舗又はオンライン等による取引に関する第2実績情報などを記憶する。なお、各データの詳細は、図5~9を用いて後述される。
【0030】
また、メモリ130の他の例として、CPU110から遠隔に設置される1つ又は複数の記憶装置でもよい。ある実施形態において、メモリ130はCPU110により実行されるプログラム、モジュール及びデータ構造、又はそれらのサブセットを格納する。
【0031】
CPU110は、メモリ130に記憶されるプログラムを実行することで、提供部112、第1取得部113、第2取得部114、比較部115、出力部116、フィードバック部117、及び学習部118等を構成する。
【0032】
提供部112は、所定の商品等に対する予約販売を受け付け、この予約販売の受付状況を公開するプラットフォームAを提供する。プラットフォームAが提供されることで、予約販売システム1が実現される。
【0033】
例えば、提供部112は、会員登録(ユーザ登録)を行ったり、プロジェクトを公開したり、プロジェクト(例えば受付可能な所定の商品等を含む)に対する予約販売を受け付けたり、予約販売の受付状況を報告したりする。一例として、提供部112は、購入型のクラウドファンディングのプラットフォームAを提供する。
【0034】
第1取得部113は、所定の商品等を購入するユーザ像に関する1又は複数の情報を含むターゲット情報を取得する。ターゲット情報について、プラットフォームAを運営する側のユーザ(運営者)が設定したり、プロジェクト実行者が設定したりする。例えば、ターゲット情報は、性別、年齢(年齢層)、住所、年収、可処分所得などを含む。また、第1取得部113は、メモリ130からターゲット情報を取得したり、ユーザ端末20から送信されたターゲット情報を取得したりする。
【0035】
第2取得部114は、プラットフォームA上でプロジェクトが予約販売を開始した後で、所定の商品等を購入したユーザに関する1又は複数の情報を含む実績情報を取得する。例えば、第2取得部114は、例えば、メモリ130から実績情報を取得したり、実店舗等に管理されるサーバから送信された実績情報を取得したりする。
【0036】
また、実績情報は、プロジェクトに設定された所定期間の間又は経過後に、このプロジェクトに所定の金額を支援したユーザに関する情報(第1実績情報)を含んでもよい。例えば、第1実績情報は、商品等が製造、販売される前のクラウドファンディングの予約販売受付期間中に、このプロジェクトを支援したユーザや、予約販売受付期間後に、このプロジェクトを支援したユーザに関する情報を含んでもよい。これにより、プラットフォームAを利用して商品等を購入したユーザに関する情報を後述のとおりマーケティングに活用することができる。
【0037】
また、実績情報は、実店舗又は電子商取引で所定の商品等を購入したユーザに関する情報(第2実績情報)を含んでもよい。例えば、第2実績情報は、百貨店などの実店舗やオンラインショッピングのサイトから所定の商品等を購入したユーザに関する情報を含んでもよい。この場合、POSデータなどからユーザに関する情報は取得可能である。これにより、実際に製造や販売が決まった後に実店舗やオンラインショッピングのウェブサイト等を利用して商品等を購入したユーザに関する情報を後述のとおりマーケティングに活用することができる。
【0038】
比較部115は、第1取得部113により取得されたターゲット情報に含まれる少なくとも1つの情報と、第2取得部114により取得され、この一つの情報に対応する実績情報に含まれる情報とを比較する。例えば、比較部115は、ターゲット情報に含まれる年齢層と、実績情報に含まれるユーザの年齢の平均とを比較したり、ターゲット情報に含まれる性別と、実績情報に含まれる性別の割合とを比較したりする。
【0039】
すわなち、比較部115は、マーケティングデータとしてのターゲット情報の属性と、実績情報のうち、対応する属性との一致度合を含む整合性を分析する。また、比較部115は、実績情報に基づいて、その商品等を買ったユーザがライフサイクル(アーリーアダプターやマジョリティなど)のステージのどのステータスのユーザかを予測してもよい。また、比較部115は、その商品等に対し、どのステージのユーザが、どれくらいの割合いるかなどを予測してもよい。また、比較部115は、比較結果に基づいて、1又は複数のユーザ像のうち、各属性の類似度などを用いて、どのユーザ像(ペルソナ設定)との適合性が高いかなどを抽出してもよい。また、比較部115は、商品等が購入された地域、手段などに基づいて、どのような市場や、チャネルで販売することが適合するか、また、そのような市場やチャネルでの販売予測等を分析してもよい。上述したとおり、比較部115は、分析部として機能してもよい。
【0040】
出力部116は、比較部115により比較された比較結果や分析結果を所定の方法により出力する。例えば、出力部126は、所定の方法として、予め設定された連絡先又はリクエストを受けた先に比較結果及び/又は分析結果(以下、「比較結果等」)を送信したり、ユーザ側の端末に比較結果等を表示制御したり、音声等で出力したり、プリントアウトして出力したりする。
【0041】
これにより、ターゲット情報を設定したユーザは、比較結果等を参照することで、ターゲット情報と実績情報との適合性を把握することができる。また、開示のシステムによれば、ターゲット情報により設定されたユーザ像と、実際に商品等を購入したユーザとの比較をシステム上で自動的に行うことが可能になり、従前のようにアンケートを取ったり、集計したりする手間を省くことができる。
【0042】
また、比較部115は、プロジェクトに所定の金額を支援したユーザに関する情報(第1実績情報)が取得されている場合、この所定の金額を支援したユーザに関する情報に基づいて修正されたターゲット情報(修正ターゲット情報)に含まれる情報と、実店舗又は電子商取引で所定の商品等を購入したユーザに関する情報(第2実績情報)とを比較等することを含んでもよい。
【0043】
これにより、予約販売システム1を利用してテストマーケティングを行った結果(第1実績情報)をターゲット情報に反映させた情報(修正ターゲット情報)と、例えば実店舗やオンラインショッピングから取得された第2実績情報とを比較等することが可能になる。
【0044】
なお、サーバ10は、比較部115による比較結果等を、ターゲット情報にフィードバックするフィードバック部117をさらに含んでもよい。例えば、フィードバック部117は、予め設定されたユーザに対して所定の通知方法を用いて比較結果等をフィードバックする。
【0045】
これにより、ターゲット情報をフィードバックし、次の商品等のターゲット情報は、同様の商品等に対するターゲット情報の予測等に活用することができる。
【0046】
また、フィードバック部117は、所定の商品等に関する情報と、比較結果等を反映したターゲット情報とを含む教師データを学習したモデル、及び新規の商品等に関する情報を用いて、新規のターゲット情報を取得してもよい。例えば、フィードバック部117は、上述の教師データを用いて生成された学習済みモデルを使用して、新たなデータセット(商品等に関する情報、「商品情報」とも称す。)に対して機械学習により取得されたターゲット情報を出力する。
【0047】
これにより、フィードバックされた情報を用いて、新たなターゲット情報を自動で生成することができるようになる。すなわち、機械学習により学習されたモデルを使用することで、新商品等の商品情報を入力し、適切なターゲット情報を取得することが可能になる。
【0048】
図4は、開示の一実施形態に係るユーザ端末20(30)の一例を示す図である。ユーザ端末20(30)は、1つ又は複数の処理装置(CPU)210、1つ又は複数のネットワーク又は他の通信インタフェース220、メモリ230、ユーザインタフェース250、及びこれらの構成要素を相互接続するための1つ又は複数の通信バス270を含む。
【0049】
ユーザインタフェース250は、ディスプレイ装置251、及び入力装置(キーボード及び/又はマウス、又は他の何らかのポインティングデバイス等)252を含む。
【0050】
メモリ230は、例えば、DRAM、SRAM、DDR RAM又は他のランダムアクセス固体記憶装置などの高速ランダムアクセスメモリであり、また、1つ又は複数の磁気ディスク記憶装置、光ディスク記憶装置、フラッシュメモリデバイス、又は他の不揮発性固体記憶装置などの不揮発性メモリでもよく、非一時的な記録媒体でもよい。
【0051】
メモリ230は、予約販売システム1により用いられるデータやプログラムを記憶する。例えば、メモリ230は、予約販売システム1における携帯端末用のアプリケーションプログラムなどを記憶する。
【0052】
CPU210は、メモリ230に記憶されるプログラムを実行することで、クライアントアプリケーション211を構成する。クライアントアプリケーション211は、例えば、ウェブブラウザやメールアプリケーションなどを含む。ウェブブラウザは、プラットフォームAのウェブページの閲覧を可能にする。また、インストールされた予約販売システム1における携帯端末用のアプリケーションの実行により、プラットフォームAのウェブページの閲覧が可能になる。
【0053】
支援対象者側のユーザ端末20のCPU210は、プラットフォームAにログインし、商品等を予約販売するプロジェクトの閲覧などを可能にする。また、プロジェクト実行者側のユーザ端末30のCPU210は、プラットフォームAにログインし、予約販売状況などの確認や支援対象者からの質問等への回答が可能にもなる場合がある。
【0054】
なお、ショップ端末40のハードウェア構成は、基本的に図4に示すハードウェア構成と同様である。ショップ端末40において、バーコード読取端末等で読み取った情報や入力された商品情報、ユーザ情報等が、実店舗等の管理サーバに送信する点が主に異なる。
【0055】
<各データの例>
次に、サーバ10のメモリ130に格納される各データについて図5図9を用いて説明する。図5は、一実施形態に係る会員情報の一例を示す図である。図5に示す例の会員情報には、登録者IDに関連付けて、ユーザ名、メールアドレス、パスワードなどが含まれる。
【0056】
「登録者ID」は、例えば、ユーザを識別するための情報を示す。「ユーザ名」は、例えば、氏名、ニックネームなどのプラットフォームA上でユーザを表示する際に用いられるデータを示す。「メールアドレス」は、例えば、ユーザの連絡先である電子メールアドレスを示す。また、ユーザデータには、住所や、銀行口座番号やクレジットカード番号などの決済情報、プロジェクト実行者か否かを示す情報、流入経路(メディア、メルマガなど)などが含まれてもよい。
【0057】
図6は、一実施形態に係る商品情報の一例を示す図である。図6に示す例の商品情報には、商品IDに関連付けて、名称、登録者ID、プロジェクトID、カテゴリ、詳細情報などが含まれる。
【0058】
「商品ID」は、例えば、予約販売又は実店舗等で販売される商品を識別するための情報である。「名称」は、例えば、プロジェクトの名称を示す。「登録者ID」は、例えば、このプロジェクトを企画したプロジェクト実行者の登録者IDを示す。「プロジェクトID」は、例えば、プロジェクトを識別するためのIDを示す。「カテゴリ」は、例えば、商品等のカテゴリ、分類名(例えば、衣服、電化製品、家具等)を示す。「詳細情報」は、例えば、商品の詳細情報を示す。なお、カテゴリは、大分類、中分類などに分かれてもよい。
【0059】
図7は、一実施形態に係るターゲット情報の一例を示す図である。図7に示す例のターゲット情報には、商品IDに関連付けて、性別、年齢、年収、可処分所得などが含まれる。ターゲット情報は、例えば、この商品等を購入するユーザ像を示すペルソナ情報である。
【0060】
「商品ID」は、例えば、予約販売又は実店舗等で販売される商品を識別するための情報である。「性別」は、例えば、ユーザ像の男性、女性などの性別を示す。「年齢」は、例えば、ユーザ像の年齢又は年齢層を示す。「年収」は、例えば、ユーザ像の年収を示す。「可処分所得」は、例えば、ユーザ像の可処分所得を示す。
【0061】
図8は、一実施形態に係る第1実績情報の一例を示す図である。図8に示す例の第1実績情報には、商品IDに関連付けて、性別、年齢、年収などが含まれことがある。第1実績情報は、例えば、プラットフォームAを用いて商品等を購入したユーザであり、会員データから取得されうる。
【0062】
「商品ID」は、例えば、予約販売等で販売される商品を識別するための情報である。「性別」は、例えば、購入(又は支援)したユーザの男性、女性などの性別を示す。「年齢」は、例えば、購入者の年齢又は年齢層を示す。「年収」は、例えば、購入者の年収を示す。
【0063】
図9は、一実施形態に係る第2実績情報の一例を示す図である。図9に示す例の第2実績情報には、商品IDに関連付けて、性別、年齢などが含まれる。第2実績情報は、例えば、実店舗やオンラインショッピングのウェブサイト等を用いて商品等を購入したユーザであり、実店舗のサーバ等から取得されうる。
【0064】
「商品ID」は、例えば、実店舗又はオンラインショッピングのウェブサイト等で販売される商品を識別するための情報である。「性別」は、例えば、購入したユーザの男性、女性などの性別を示す。「年齢」は、例えば、購入者の年齢又は年齢層を示す。
【0065】
その他、メモリ130は、購入に至るまでのファネル情報や、会員の過去の購入情報などを記憶してもよい。ファネル情報は、例えば、PV(Page View)、UU(Unique User)、CVR(Conversion Ratio)、流入経路(メディア、各種広告、メルマガ、アプリかサイトか、ブックマーク別でのPV、UU、CVRなど粒度を細かく細分化してもよい)などを含む。
【0066】
会員の過去の購入情報は、例えば、予約販売システム1での購入履歴、どのような製品を、何回、いくらくらい、頻度、年間LTV(Life Time Value)、累計LTV等を含む。これにより、予約販売システム1でどのような製品を買っているユーザか、また、今後設定するターゲット情報との適合度合い(合致度合い)などを判定することが可能になる。
【0067】
<処理の一例>
例えば、予約販売システム1においてプロジェクトを公開する前に、想定ユーザのターゲット情報を、プラットフォームA側のユーザがユーザ端末30等を用いて入力する。
A:男女年齢、エリアzipコード又は県、職業、決済手段等
B:プラットフォームAの購入回数、累計金額、購入時間帯、メディアの流入経路、興味のある属性情報、サイト訪問回数等
C:年収、家族構成等
D:企業が先行販売を予定している製品のカテゴリ、金額、買い切りか継続か等
【0068】
次に、サーバ10は、プラットフォームAを利用して先行予約販売されたデータを取得すると、ターゲット情報の各データとの合致率や、ユーザ像のターゲット情報(修正ターゲット情報)を修正したりする。
【0069】
例えば、サーバ10は、先行予約販売により取得されたデータに基づいて、一定の割合を超えた複数の代表的なユーザ像を用いて修正ターゲット情報を生成してもよい。サーバ10は、取得された修正ターゲット情報を活用したペルソナ情報を生成してもよい。また、サーバ10は、生成されたペルソナ情報を活用するため、このペルソナ情報をプロジェクト実行者の端末に送信してもよい。これにより、ターゲットを適宜修正しながら販売活動を実施することが可能になる。
【0070】
また、サーバ10は、その後の実店舗やオンラインショッピングでの販売情報を取得し、第2実績情報として管理してもよい。この場合、サーバ10は、ターゲット情報、又は修正ターゲット情報と、第2実績情報との各属性情報の突合を行うことで、想定したターゲットと、実際に購入したユーザとの間のズレを検知し、以降のマーケティングの注力範囲を特定する。
【0071】
また、サーバ10は、先行予約販売で得られた顧客に対するロイヤリティ度合いを測定してもよい。
【0072】
<動作説明>
次に、予約販売システム1の各動作について説明する。図10は、一実施形態に係る予約販売システム1のサーバ10による処理の一例を示すフローチャートである。図10に示す例では、
【0073】
ステップS102で、サーバ10の提供部112は、所定の商品又はサービスを先行予約販売するプロジェクトに対する予約販売を受け付け、予約販売の受付状況を公開するプラットフォームを提供する。
【0074】
ステップS104で、サーバ10の第1取得部113は、所定の商品等を購入するユーザ像に関する1又は複数の情報を含むターゲット情報を取得する。
【0075】
ステップS106で、サーバ10の第2取得部114は、プラットフォーム上でプロジェクトが予約販売を開始した後で、所定の商品等を購入したユーザに関する1又は複数の情報を含む実績情報(第1実績情報及び/又は第2実績情報)を取得する。
【0076】
ステップS108で、サーバ10の比較部115は、ターゲット情報に含まれる少なくとも1つの情報と、この一つの情報に対応する実績情報に含まれる情報とを比較する。
【0077】
ステップS110で、サーバ10の出力部116は、比較部115により比較された比較結果を所定の方法により出力する。
【0078】
ステップS112で必要に応じて、サーバ10のフィードバック部117は、比較結果を、ターゲット情報にフィードバックしてもよい。また、フィードバック部117は、第1実績情報及び/又は第2実績情報を、ターゲット情報を設定した端末やユーザにフィードバックするようにしてもよい。
【0079】
以上の処理によれば、予約販売システム1は、予約販売情報をマーケティングに用いる新たな仕組みを提供することができる。これにより、先行予約販売、例えば、量産前・本格製造前の販売において得られた情報を、先行予約販売によるマーケティングに活用することができるようになる。また、開示技術に適用可能なプラットフォームは、予約販売状況の公開を必ずしも必要とせず、少なくとも所定の商品等について先行予約販売を受け付け可能であればよい。
【0080】
以上、実施形態について詳述したが、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、上記実施形態以外にも種々の変形及び変更が可能である。例えば、比較部115により比較、分析された結果は、商品等を企画するユーザに対する融資や、与信にも用いることが可能である。この場合、比較部115による比較結果又は分析結果は、所定の金融機関のサーバに送信される。
【符号の説明】
【0081】
1…予約販売システム、10…サーバ、20、30…ユーザ端末、40…ショップ端末、110…CPU、130…メモリ、112…提供部、113…第1取得部、114…第2取得部、115…比較部、116…出力部、117…フィードバック部、210…CPU、211…クライアントアプリケーション、230…メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10