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  • 特許-収音装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】収音装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 17/02 20060101AFI20230920BHJP
   H04R 1/00 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
H04R17/02
H04R1/00 320Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020080040
(22)【出願日】2020-04-30
(65)【公開番号】P2021175143
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】松下 勉
(72)【発明者】
【氏名】原野 博之
(72)【発明者】
【氏名】粟村 竜二
(72)【発明者】
【氏名】中西 賢介
【審査官】渡邊 正宏
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3073664(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00- 1/08
H04R 1/12- 1/14
H04R 1/20- 1/40
H04R 1/42- 1/46
H04R 17/00-17/02
H04R 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の空間に位置し、所定の板で第1の空間と隔てられた第2の空間に発生した音を収音する収音装置であって、
金属板と、
前記金属板の上面に固定された圧電素子と、
その上面および下面が開口した筒形状であって、その上端面が前記金属板の下面に接着され、その下端面が前記板に接着されるハウジングと、
前記ハウジングに収容される振動ピックアップ用端子であって、
前記金属板の下面に接着される脚部と、
脚部から下方向に延伸する軸部と、
前記軸部の下方向の先端に形成され前記ハウジングを前記板に接着した際に前記板に接触する先端部と、
を含む前記振動ピックアップ用端子を含む
収音装置。
【請求項2】
請求項1に記載の収音装置であって、
前記軸部が中空である
収音装置。
【請求項3】
請求項2に記載の収音装置であって、
前記振動ピックアップ用端子は、
前記軸部の中空にスプリングが収容され、前記スプリングの上端は前記脚部に接続され、前記スプリングの下端は前記先端部に接続されるポゴピン構造である
収音装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載の収音装置であって、
前記振動ピックアップ用端子の上下方向の全長は、前記ハウジングの上下方向の全長よりも所定の長さ長く形成されている
収音装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の空間に位置し、所定の板で第1の空間と隔てられた第2の空間に発生した音を収音する収音装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ピックアップマイクの従来技術として、例えば特許文献1などがある。特許文献1のコンタクトマイクロホンエレメントは、圧電素子を振動素子により押圧し、機械的振動を電気信号に変換するコンタクトマイクロホンエレメントであって、エレメントケース内に振動可能に支持された圧電振動板と、エレメントケースに収容され、圧電振動板の上方に配置される振動子と、を備え、振動子は、圧電振動板の中心部に当接する球面部を有し、エレメントケース内において、少なくとも圧電振動板と振動子の球面部との間には弾性部材が介在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6622638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば車外で発生した音を車内で聴取するには、音孔が必要となるが、諸事情により自動車に音孔を設けられないケースも多い。また病院などの受付室と待合室がガラスなどで区切られている場合に、待合室で発生した音を受付室で聴取する場合にも同様に、音孔が必要となるが、衛生上の観点から音孔を設けることが出来ない場合がある。
【0005】
そこで本発明では、第1の空間に位置し、所定の板で第1の空間と隔てられた第2の空間に発生した音を収音することができる収音装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の収音装置は、第1の空間に位置し、所定の板で第1の空間と隔てられた第2の空間に発生した音を収音する収音装置であって、金属板と、金属板の上面に固定された圧電素子と、その上面および下面が開口した筒形状であって、その上端面が金属板の下面に接着され、その下端面が板に接着されるハウジングと、ハウジングに収容される振動ピックアップ用端子であって、金属板の下面に接着される脚部と、脚部から下方向に延伸する軸部と、軸部の下方向の先端に形成されハウジングを板に接着した際に板に接触する先端部と、を含む振動ピックアップ用端子を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明の収音装置は第1の空間に位置し、所定の板で第1の空間と隔てられた第2の空間に発生した音を収音することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1の収音装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例1】
【0010】
以下、図1を参照して実施例1の収音装置1の構造を説明する。同図に示すように、本実施例の収音装置1は、第1の空間(例えば車内、室内)に位置し、所定の板9(例えば自動車の窓ガラス、部屋の窓ガラス、受付室と待合室を隔てるガラス板、アクリル板など)で第1の空間と隔てられた第2の空間(例えば車外、室外)に発生した音を収音する収音装置であって、金属板11(-側電極として機能する)と、金属板11の上面に接着層17を介して固定された圧電素子12と、その上面および下面が開口した筒形状(例えば円筒形状、四角筒形状、任意の断面多角形の筒形状とすることができる)であって、その上端面が接着層14を介して金属板11の下面に接着され、その下端面が接着層15を介して板9に接着されるハウジング13と、ハウジング13に収容される振動ピックアップ用端子16であって、接着層18を介して金属板11の下面に接着される脚部161(例えば平たい円盤形状とすることが出来る)と、脚部161から下方向に延伸する軸部162と、軸部162の下方向の先端に形成されハウジング13を板9に接着した際に板9に接触する先端部164(例えば球体形状、上下方向につぶれた楕円体形状とすることが出来る)と、を含む振動ピックアップ用端子16を含む。
【0011】
接着層14、17、18は振動のロスを生じにくくするために、硬質な接着剤で実現することが望ましい。なお、接着層15は振動の伝達を目的としていないため、硬質な接着剤を用いる必要はないが、接着力が高い接着剤とすれば好適である。
【0012】
同図に示すように、振動ピックアップ素子16の中心(同図の点A)から長軸方向に延伸した直線(同図の一点鎖線)が、圧電素子12の中心(同図の点B)付近を通るように配置することにより、振動ピックアップ素子16を伝搬する振動を効率よく圧電素子12に伝達することができる。
【0013】
同図に示すように、軸部162の長軸方向に延伸する穴163を設けて軸部162を中空とすれば、板9を伝搬する音波を効率よく圧電素子12に伝えることが出来るため、好適である。
【0014】
また振動ピックアップ用端子16は、軸部162の中空にスプリング(図示略)が収容され、スプリングの上端は脚部161に接続され、スプリングの下端は先端部164に接続されるポゴピン構造、スプリング端子構造とすれば、振動ピックアップ用端子16の長さを自動調整できるため、好適である。
【0015】
振動ピックアップ用端子16の上下方向の全長は、ハウジング13の上下方向の全長よりも所定の長さ(例えば数mm程度)長く形成されていれば、金属板11と振動ピックアップ用端子16と板9の間に常に圧力がかかった状態で保持されるため、板9を伝搬する音波に対する感度を高くすることが出来るため、好適である。
【0016】
例えば病院の受付室と待合室がアクリル板などで隔てられている場合に、本実施例の収音装置1を受付室側(第1の空間)のアクリル板に貼付することにより、待合室(第2の空間)で発生した音を精度よく収音して、受付室側に設置されたスピーカーで再生することができるため、受付室にいる人と待合室にいる人の間で会話、コミュニケーションが可能となる。例えばタクシーの前部座席と後部座席(あるいは運転席と客席)がアクリル板などで隔てられている場合にも同様の効果を奏する。
【0017】
また、例えば、本実施例の収音装置1を車内(第1の空間)の窓ガラスなどに貼付することにより、車外(第2の空間)で発生した音を精度よく収音して、車内に設置されたスピーカーで再生することができるため、車内にいる人と車外にいる人の間で会話、コミュニケーションが可能となる。
図1