IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大成建設株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-針貫入試験装置および針貫入試験方法 図1
  • 特許-針貫入試験装置および針貫入試験方法 図2
  • 特許-針貫入試験装置および針貫入試験方法 図3
  • 特許-針貫入試験装置および針貫入試験方法 図4
  • 特許-針貫入試験装置および針貫入試験方法 図5
  • 特許-針貫入試験装置および針貫入試験方法 図6
  • 特許-針貫入試験装置および針貫入試験方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】針貫入試験装置および針貫入試験方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/40 20060101AFI20230920BHJP
   E02D 1/08 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
G01N3/40 B
E02D1/08
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020101568
(22)【出願日】2020-06-11
(65)【公開番号】P2021196216
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2022-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 裕泰
(72)【発明者】
【氏名】小林 真貴子
【審査官】北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-003335(JP,A)
【文献】特開平10-090150(JP,A)
【文献】特開昭63-300964(JP,A)
【文献】特開2013-088277(JP,A)
【文献】特開平08-094612(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0010987(US,A1)
【文献】特開2020-020181(JP,A)
【文献】藤本哲生,上載圧下で養生したセメント安定処理土の強度発現に及ぼす排水距離の影響,公益社団法人地盤工学会中国支部論文報告集, 地盤と建設,2020年,Vol. 38, No. 1,pp.99-104
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/00~ 3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状の供試体の側面に装着される装着機構と、
前記装着機構に設けられた貫入機構と、を備える針貫入試験装置であって、
前記貫入機構は、進退可能な貫入針と、前記貫入針を前記供試体に貫入させたときの貫入深さおよび貫入抵抗荷重を測定する測定手段とを備え
前記装着機構に複数の前記貫入機構が設けられていることを特徴とする、針貫入試験装置。
【請求項2】
柱状の供試体の側面に装着される装着機構と、
前記装着機構に設けられた貫入機構と、を備える針貫入試験装置であって、
前記貫入機構は、進退可能な貫入針と、前記貫入針を前記供試体に貫入させたときの貫入深さおよび貫入抵抗荷重を測定する測定手段とを備え
上下方向に複数段の前記装着機構が設けられていることを特徴とする、針貫入試験装置。
【請求項3】
前記測定手段の測定結果を記録するデータ記録手段を備えていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の針貫入試験装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の針貫入試験装置を利用した針貫入試験方法であって、
柱状の供試体を作成する作成工程と、
前記供試体に前記装着機構を固定する装着工程と、
前記貫入機構により前記貫入針を前記供試体に貫入し、前記貫入針の貫入深さおよび貫入抵抗荷重を測定する測定工程と、を備えていることを特徴とする、針貫入試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、針貫入試験装置および針貫入試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤等(例えば、岩盤や地盤改良体等)の強度などを確認する場合には、地盤等から採取したボーリングコアに対して、一軸圧縮試験を行うのが一般的である。しかしながら、ボーリングコアを不攪乱の状態で採取するためには熟練した技術を要する。また、採取したボーリングコアに対して一軸圧縮試験を行うには時間と手間がかかる。
そのため、非特許文献1には、地盤等の強度などを簡易に確認できる針貫入試験が開示されている。針貫入試験は、地盤等に貫入針を貫入し、貫入針の貫入長さLと針貫入時の荷重Pを測定し、針貫入長さに対する荷重Pの比率である針貫入勾配Np(=P/L)を求め、この針貫入勾配から一軸圧縮強さを推定するものである。このような針貫入試験を実施するための装置として、非特許文献1には、携行型形式の試験機と机上型形式の試験機が開示されている。このうち、携行型試験機では、貫入針を保持する針チャック部が持ち手部分の内部に設けられたコイルばねと接続されており、貫入針を供試体に貫入する際の荷重に比例してコイルばねが圧縮される。持ち手部分を保持した状態で貫入針を供試体に押し当て、貫入針が供試体に貫入した際のコイルバネの縮みから貫入時の最大荷重を検出する。机上型試験機は、架台に載置された供試体に対して、機械的に制御された貫入針を貫入するものである。
携行型試験機を利用した針貫入試験は、手作業による測定であるため、貫入針の貫入速度や貫入角度にばらつきが生じるおそれがある。また、貫入課程での荷重変化を把握することが難しいことから、異物接触の影響や強度の変化を適切に把握できないおそれがある。
机上型試験機を利用した針貫入試験は、架台への供試体の設置に手間がかかる。また、測定対象物が改良土の場合、養生期間を経て強度が発現されるため、所定の養生期間(例えば、材齢7日、材齢28日等)が経過した供試体ごとに測定を行う場合がある。その際には、供試体を多数準備する必要があり、供試体の作成に手間がかかる。また、複数の供試体に対して測定を行う場合、供試体ごとにばらつきが生じるおそれがある。
非特許文献2や特許文献1には、針貫入抵抗から一軸圧縮強さを換算する際の精度の向上策として、1つの供試体に対して25箇所において針貫入抵抗を測定する手法の有効性が示されているが、このような手法を普及させるためにも、複数点における測定を簡易かつ迅速に行うことが可能な針貫入試験装置および針貫入試験方法を開発する必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】地盤工学会基準、基準番号:JGS3431-2012、規格・基準名:針貫入試験方法
【文献】小林真貴子 他2名、「針貫入試験を活用したセメント改良土の品質評価に関する基礎検討」、第13回地盤改良シンポジウム論文集、169-172頁
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-020181号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、針貫入時の速度や角度にばらつきが生じることなく定量的な測定を可能とし、かつ、1つの供試体に対して複数点における測定を可能とする針貫入試験装置および針貫入試験方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決する本発明の針貫入試験装置は、柱状の供試体の側面に装着される装着機構と、前記装着機構に設けられた貫入機構とを備える針貫入試験装置であって、前記貫入機構は、進退可能な貫入針と、前記貫入針を前記供試体に貫入させたときの貫入深さおよび貫入抵抗荷重を測定する測定手段とを備えている。
また、本発明の針貫入試験方法は、前記針貫入試験装置を利用するものであって、柱状の供試体を作成する作成工程と、前記供試体に前記装着機構を固定する装着工程と、前記貫入機構により前記貫入針を前記供試体に貫入し前記貫入針の貫入深さおよび貫入抵抗荷重を測定する測定工程とを備えている。
かかる針貫入試験装置および針貫入試験方法によれば、装着機構を供試体の側面に装着した状態で貫入針を貫入させるため、貫入針の貫入角度や貫入速度にばらつきが生じ難い。その結果、貫入針の貫入深さや貫入抵抗荷重を精度良く測定することが可能となる。また、供試体に対する装着機構の取付個所を変更すれば、貫入針の貫入箇所を変更できるため、一つの供試体に対して針貫入試験を複数回実施することができる。そのため、材齢日数に応じて供試体を複数作成する必要がなく、また、異なる供試体に対して測定を行うことにより生じるばらつきを排除できる。
【0007】
前記針貫入試験装置は、前記測定手段の測定結果を記録するデータ記録手段を備えているのが望ましい。かかる針貫入試験装置によれば、針貫入試験の測定結果を自動的に記録することが可能となり、また、リアルタイムで測定結果を確認できる。
また、前記装着機構に複数の前記貫入機構が設けられている、もしくは、上下方向に複数段の前記装着機構が設けられているため、多測点での針貫入試験を同時に実施することができ、その結果、測定時間および手間を低減することができるとともに、時間差により生じる測定結果のばらつきを抑制できる。多測点(例えば25箇所)の針貫入試験を実施できれば、一軸圧縮強さの換算を高い精度で行うことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の針貫入試験装置および針貫入試験方法によれば、針貫入時の速度や角度にばらつきが生じることなく定量的な測定が可能となり、かつ、1つの供試体に対して複数点での測定を可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第一実施形態の針貫入試験装置を示す斜視図である。
図2】第一実施形態の針貫入試験装置の分解斜視図である。
図3】針貫入試験装置による試験状況を示す断面図である。
図4】針貫入試験の位置変更方法の例を示す斜視図である。
図5】第二実施形態の針貫入試験装置を示す斜視図である。
図6】第三実施形態の針貫入試験装置を示す斜視図である。
図7】第四実施形態の針貫入試験装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第一実施形態>
第一実施形態では、自然に存在する軟岩やセメントや石灰等を添加して人工的に固化させた改良地盤等に対して、針貫入試験を実施して、強度を把握する場合について説明する。図1に、針貫入試験に使用する針貫入試験装置1を示す。本実施形態では、針貫入試験装置1を利用して、地盤等から採取した供試体2に対して針貫入試験を行う。本実施形態の供試体2は、図1に示すように、直径50~100mm程度の円柱状を呈しているが、供試体2の大きさや断面形状は限定されるものではなく、例えば角柱状であってもよい。
本実施形態の針貫入試験装置1は、装着機構3と貫入機構4とデータ記録手段5とを備えている。
【0011】
装着機構3は、図1に示すように、柱状の供試体2の側面に装着される。本実勢形態の装着機構3は、台座31と、受部材32と、支持部材33とを備えている。
台座31は、平面視矩形状の板状部材からなる。図2に装着機構3の分解斜視図を示す。図2に示すように、台座31の供試体2側の端部には、供試体2の断面形状に応じた形状の凹部37が形成されている。本実施形態の凹部37は、円柱状の供試体2を半割した際の平断面形状と同形状の半円状を呈している。
【0012】
受部材32は、図1に示すように、供試体2を挟んで台座31と対向するように設けられている。受部材32は、台座31よりも大きな厚さを有していて、台座31に設けられた貫入駆動部41と供試体2を挟んで対向する形状を有している。すなわち、受部材32は、貫入駆動部41に設けられた貫入針43の延長線と交差する面を有していて、貫入針43を供試体2に貫入した際に、貫入針43の反対側から供試体2の側面を支持する。台座31と受部材32は、互いの端面同士を突き合せた状態で、供試体2の側面に装着される。受部材32の供試体2側の面には、図2に示すように、供試体2の断面形状に応じた形状の凹部37が形成されている。本実施形態の凹部37は、円柱状の供試体2を半割した際の平断面形状と同形状の半円状を呈している。すなわち、台座31の凹部37と受部材32の凹部37は、台座31と受部材32の断面同士を突き合せた状態で、供試体2の平断面形状と同等の円形孔(開口)を形成する。本実施形態の受部材32には、ボルト35を挿通するための挿通孔34が形成されている。受部材32は、挿通孔34に挿通したボルト35を台座31に形成されたボルト孔36の螺着することで、台座31に固定される。
【0013】
支持部材33は、いわゆる支柱であって、矩形状の台座31の四隅に配設されている。本実施形態では、台座31の角部に形成された貫通孔に支持部材33が挿通されている。台座31は、支持部材33の所定の高さ位置に固定されている。なお、台座31は、支持部材33に対して、上下に移動可能であるのが望ましい。支持部材33の配置は限定されるものではない。
【0014】
図1に示すように、貫入機構4は、装着機構3に支持されている。本実施形態の貫入機構4は、供試体2に対して進退可能な貫入駆動部41と、貫入駆動部41を進退させるための動力源42とを備えている。
貫入駆動部41には、貫入針43が設けられている。貫入駆動部41の内部には、貫入針43を供試体2に貫入させたときの貫入深さおよび貫入抵抗荷重を測定する測定手段(図示せず)が設けられている。貫入駆動部41は、動力源42の動力より、台座31の上面に設けられたレール44に沿って前後に移動する。レール44は、供試体2の側面(凹部37)に直交する方向に延設されている。すなわち、貫入駆動部41および貫入針43は、供試体2の側面に対して、直交する方向に移動する。本実施形態の動力源42は、台座31の上面に固定されたモーターである。レール44には動力源42の出力軸に連結されたギア機構が設けられており、動力源42を駆動させると、ギア機構を介して貫入駆動部41に動力が伝達し、貫入駆動部41がレール44に沿って移動する。貫入針43は、貫入駆動部41の供試体2側の面に突設されたチャックに保持されている。貫入針43は、貫入駆動部41の進行方向に沿って延設されている。貫入針43には、例えばもめん針2号(φ0.84mmまたは0.89mm、長さ54.5±1.4mm)を使用することができる。
【0015】
測定手段は、いわゆるロードセルであって、貫入針43を供試体へ貫入する際の貫入抵抗荷重を測定する。測定手段は貫入駆動部41の内部に設けられている。測定手段には、データ記録手段5に至るケーブル51が接続されている。データ記録手段5は、測定手段からケーブル51を介して電気信号として送信された測定結果(貫入針43の貫入深さや貫入抵抗荷重等)を記録する。データ記録手段5は、貫入機構4から離れた位置に配設されているが、データ記録手段5の配置は限定されるものではなく、例えば、台座31上に配設してもよい。また、データ記録手段5はいわゆるパーソナルコンピュータであってもよい。
【0016】
次に、針貫入試験装置1を利用した、針貫入試験方法について説明する。図3は、針貫入試験装置1により試験状況を示す断面図である。
針貫入試験では、まず、供試体2を作成する(作成工程)。供試体2は、地盤等から採取した試料を、所定の形状(所定の高さおよび所定の内径(幅))の柱状に加工(カットまたは整形)することにより形成する。試料には、例えば、ボーリングやブロックサンプリングした試料塊を使用すればよい。また、供試体2は、試料を型枠に詰めることにより所定の形状に形成することもできる。本実施形態では、供試体2の直径100mm、高さ120mmとする。
【0017】
次に、供試体2に装着機構3を固定する(装着工程)。装着機構3は、図2に示すように、供試体2を挟むように台座31と受部材32とを配設するとともに、ボルト35を利用して台座31と受部材32とを固定することで、供試体2の側面に固定する。このとき、台座31の凹部37と受部材32の凹部37は、供試体2の側面に密着する。
【0018】
そして、図3に示すように、貫入駆動部41を供試体2に向けて水平移動させることにより貫入針43を供試体2に貫入し、貫入針43の貫入深さおよび貫入抵抗荷重を測定する(測定工程)。このとき、貫入針43と供試体2を挟んで対向する位置に受部材32が配設されているため、貫入針43を貫入する際に供試体2に作用する力は、受部材32により支持される。貫入針43は、例えば20mm/minの貫入速度により供試体2に貫入させる。そして、貫入針43の貫入深さが10mmに達した際の貫入抵抗荷重、あるいは、貫入抵抗荷重が最大に達した時点の貫入深さを測定する。貫入深さおよび貫入抵抗荷重の測定値は、データ記録手段5に記録される。データ記録手段5を電子計算機等の表示手段に接続しておき、データ記録手段5に記録されたデータを表示手段(図示せず)にリアルタイムで表示してもよい。供試体2に対する貫入針43の貫入長さLと針貫入時の貫入抵抗荷重Pを測定したら、針貫入長さLに対する荷重Pの比率である針貫入勾配Np(=P/L)を求め、この針貫入勾配から供試体2の一軸圧縮強さを推定する。
【0019】
図4は、針貫入試験の位置変更方法の例を示す斜視図である。同一の供試体2に対して、針貫入試験を複数回(例えば、一つの供試体2に対して、25箇所)実施する場合には、図4に示すように、ボルト35を一旦緩めて、供試体2に対する貫入駆動部41の位置を変更させる。そして、ボルト35を再度締め直した後、貫入駆動部41を前進させて貫入針43を供試体2に貫入する。供試体2に対する貫入駆動部41の位置変更は、例えば、供試体2を回転させてもよいし、供試体2を中心に装着機構3を回転させてもよい。また、支持部材33に対して台座31の高さを変更させることで、貫入駆動部41の位置を変更させてもよい。なお、測定箇所を変更する際には、測定箇所同士の間に20mm程度の間隔を確保するのが望ましい。
【0020】
本実施形態の針貫入試験装置1およびこれを利用した針貫入試験方法によれば、装着機構3を供試体2の側面に装着した状態で貫入針43を貫入させるため、貫入針43の貫入角度や貫入速度にばらつきが生じ難い。その結果、貫入針43の貫入深さや貫入抵抗荷重を精度良く測定することが可能となる。貫入針43を供試体2に貫入する際の貫入速度および貫入深さは、機械的に制御されているため、ばらつきが生じ難い。
貫入針43は、台座31上を水平移動する貫入駆動部41によって保持されているため、貫入角度にばらつきが生じ難い。その結果、定量的な測定が可能である。
また、供試体2に対する装着機構3の取付個所を変更することで、貫入針43の貫入箇所を変更できるため、一つの供試体2に対して針貫入試験を複数回実施することができる。そのため、材齢に応じて供試体2を複数作成する必要がなく、また、異なる供試体2に対して測定を行うことにより生じるばらつきを排除できるとともに、一つの供試体2から異なる材齢(例えば、7日材齢や28日材齢)での一軸圧縮強さを測定することが可能となり、供試体を採取する手間を削減できる。
また、針貫入試験装置1は、測定手段の測定結果を記録するデータ記録手段5を備えているため、針貫入試験の測定結果を自動的に記録することが可能となり、また、リアルタイムで測定結果を確認できる。
貫入針43は、貫入駆動部41に設けられたチャックにより保持されているため、貫入針43に破損(折れ等)が生じた場合には、簡易に交換することができる。
【0021】
<第二実施形態>
第二実施形態では、自然に存在する軟岩や改良地盤等から採取した供試体2に対して針貫入試験を実施して、強度を把握する場合について説明する。図5に、第二実施形態の針貫入試験装置1を示す。なお、供試体2の詳細は、第一実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
本実施形態の針貫入試験装置1は、図5に示すように、装着機構3と貫入機構4とを備えている。なお、装着機構3の詳細は、第一実施形態の装着機構3と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0022】
図5に示すように、貫入機構4は、装着機構3の台座31に設けられている。本実施形態の貫入機構4は、進退可能な貫入駆動部41と、動力源42とを備えている。台座31には、複数(本実施形態では二つ)の貫入機構4が設けられている。
貫入駆動部41には、貫入針43が設けられている。貫入駆動部41の内部には、貫入針43を供試体2に貫入させたときの貫入深さおよび貫入抵抗荷重を測定する測定手段(図示せず)が設けられている。貫入針43は、貫入駆動部41から供試体2の中心に向かって伸びるように、貫入駆動部41の供試体2側の面に突設されたチャックにより保持されている。貫入駆動部41同士は、貫入針43による測定箇所の間隔が20mm以上確保できるように、間隔をあけて配置されている。
この他の貫入機構4の詳細は、第一実施形態の貫入機構4と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0023】
本実施形態の針貫入試験装置1によれば、多点での同時測定を実施することが可能である。そのため、供試体2に対する貫入機構4の位置をずらす手間(装着機構3を着脱する手間)を半減できる。
この他の第二実施形態の針貫入試験装置1の作用効果は、第一実施形態と同様なため詳細な説明は省略する。
なお、台座31に設けられる貫入機構4の数は限定されるものではなく、例えば三つ以上であってもよい。また、複数の貫入駆動部41に対して一つの動力源42が配設されていてもよい。その場合、貫入機構4の数に応じて位置をずらす手間を低減できる。
【0024】
<第三実施形態>
第三実施形態では、自然に存在する軟岩や、改良地盤等から採取した供試体2に対して針貫入試験を実施して、強度を把握する場合について説明する。図6に、第三実施形態の針貫入試験装置1を示す。なお、供試体2の詳細は、第一実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
本実施形態の針貫入試験装置1は、図6に示すように、装着機構3と貫入機構4とを備えている。なお、貫入機構4の詳細は、第一実施形態の貫入機構4と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0025】
図6に示すように、装着機構3は、柱状の供試体2の側面に装着される。本実施形態の装着機構3は、台座31と、受部材32とを備えている。
台座31は、平面視矩形状の板状部材からなり、上下方向に複数段(本実施形態では3段)設けられている。なお、この他の台座31の詳細は、第一実施形態で示した台座31と同様なため詳細な説明は省略する。
【0026】
受部材32は、図6に示すように、供試体2を挟んで台座31と対向するように設けられている。本実施形態の受部材32は、直方体状を呈していて、供試体2と同等の高さを有している。そのため、受部材32は、貫入駆動部41に設けられた貫入針43の延長線と交差する面を有していて、貫入針43を供試体2に貫入した際に、貫入針43の反対側から供試体2の側面を支持する。台座31と受部材32は、互いの端面同士を突き合せた状態で、供試体2の側面に装着される。受部材32の供試体2側の面には、供試体2の断面形状に応じた形状の凹部37が形成されている。本実施形態の凹部37は、円柱状の供試体2を半割した際の平断面形状と同形状の半円状を呈している。すなわち、台座31の凹部37と受部材32の凹部37は、台座31と受部材32の断面同士を突き合せた状態で、供試体2の平断面形状と同等の円形孔(開口)を形成する。本実施形態の受部材32には、ボルト35を挿通するための挿通孔34が形成されている。台座31は、挿通孔34に挿通したボルト35を台座31に螺着することで、受部材32に固定される。すなわち、台座31は、受部材32によって支持されている。
【0027】
本実施形態の針貫入試験装置1によれば、上下方向に複数の台座31(貫入機構4)が配置されているので、多点での同時測定を実施することが可能である。そのため、供試体2に対する貫入機構4の位置(装着機構3の取付個所)を高さ方向で変更する手間(装着機構3を着脱する手間)を要することなく、一つの供試体から複数点における針貫入試験を実施することができる。
この他の第三実施形態の針貫入試験装置1の作用効果は、第一実施形態と同様なため詳細な説明は省略する。
なお、本実施形態では、複数の台座31に対して一つの受部材32が配設されているものとしたが、台座31と同数の受部材32が配設されていてもよい。
また、台座31の段数は限定されるものではなく、二段であってもよいし、四段以上であってもよい。
【0028】
<第四実施形態>
第四実施形態では、自然に存在する軟岩や改良地盤等から採取した供試体2に対して針貫入試験を実施して、強度を把握する場合について説明する。図7に、第四実施形態の針貫入試験装置1を示す。なお、供試体2の詳細は、第一実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
本実施形態の針貫入試験装置1は、図7に示すように、装着機構3と貫入機構4とを備えている。なお、貫入機構4の詳細は、第一実施形態の貫入機構4と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0029】
図7に示すように、装着機構3は、柱状の供試体2の側面に装着される。本実施形態の装着機構3は、台座31と、受部材32とを備えている。台座31は、平面視矩形状の板状部材からなり、上下方向に複数段(本実施形態では3段)設けられていて、供試体2を挟んで対向する受部材32に固定されている。なお、この他の装着機構3の詳細は、第三実施形態の装着機構3と同様なため詳細な説明は省略する。
貫入機構4は、装着機構3の台座31に設けられている。本実施形態の貫入機構4は、進退可能な貫入駆動部41と、動力源42とを備えている。台座31には、複数(本実施形態では二つ)の貫入機構4が設けられている。なお、貫入機構4の詳細は、第二実施形態の貫入機構4と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0030】
本実施形態の針貫入試験装置1によれば、上下方向に複数配設された台座31(貫入機構4)と、各台座に設けられた複数の貫入機構4によって、多点での同時測定を実施することが可能である。そのため、供試体2に対する貫入機構4の位置を変更する手間(装着機構3を着脱する手間)を要することなく、一つの供試体から多点における針貫入試験を実施することができる。
この他の第四実施形態の針貫入試験装置1の作用効果は、第一実施形態と同様なため詳細な説明は省略する。
【0031】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、貫入駆動部41が供試体2に向けて前後に移動可能である場合について説明したが、貫入駆動部41は、供試体2に対して横方向(供試体2の周方向)にも移動可能であってもよい。すなわち、貫入駆動部41が台座31に横移動可能に設けられていることで、供試体2に対して装着機構3を着脱することなく、針貫入試験の測定位置を変更させるものとしてもよい。
貫入駆動部41の前後移動や台座31の上下移動を制御する制御手段を設けてもよい。こうすることで、供試体2に対する複数個所での針貫入試験を自動的に実施することが可能となる。
また、一つの貫入駆動部41に複数の貫入針が間隔をあけて設けられていてもよい。
【0032】
前記実施形態では、支柱状の支持部材33により台座31を支持するものとしたが、支持部材33の構成は、台座31を支持することが可能であれば、限定されるものではない。例えば、台座31を収納可能な箱型の支持部材であってもよい。なお、箱型の支持部材33を採用する場合においては、支持部材33に受部材32を収納してもよいし台座31と受部材32の両方を収納してもよい。
また、前記実施形態では、支持部材33により台座31を支持するとともに受部材32を台座31に固定する場合について説明したが、台座31と受部材32とをそれぞれ支持部材33により支持してもよいし、受部材32を支持部材33により支持するとともに台座31を受部材32に固定するものとしてもよい。
【0033】
台座31と受部材32との固定方法はボルト35による螺着に限定されるものではなく、例えば、台座31と受部材32とを把持する治具により固定してもよいし、台座31と受部材32との間に横架された治具により固定するものとしてもよい。
前記実施形態では、台座31にレール44が設けられていて、貫入駆動部41がレール44に沿って進退するものとしたが、貫入駆動部41の移動方法は限定されるものではなく、例えば、溝や棒状部材等からなるガイドに沿って移動するように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 針貫入試験装置
2 供試体
3 装着機構
31 台座
32 受部材
4 貫入機構
41 貫入駆動部
42 動力源
43 貫入針
5 データ記録手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7