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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】ごみ収集システム
(51)【国際特許分類】
   B65F 7/00 20060101AFI20230920BHJP
   G06Q 50/26 20120101ALI20230920BHJP
【FI】
B65F7/00 Z
G06Q50/26
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020209667
(22)【出願日】2020-12-17
(65)【公開番号】P2022096521
(43)【公開日】2022-06-29
【審査請求日】2022-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉川 勝久
(72)【発明者】
【氏名】稲森 茂
(72)【発明者】
【氏名】大野 光由
(72)【発明者】
【氏名】榊原 孝典
(72)【発明者】
【氏名】山本 奈緒
(72)【発明者】
【氏名】安川 真平
(72)【発明者】
【氏名】山内 克仁
(72)【発明者】
【氏名】難波 祐成
(72)【発明者】
【氏名】小野 達矢
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-102861(JP,A)
【文献】特開2017-030920(JP,A)
【文献】特開2019-167210(JP,A)
【文献】特開2015-205167(JP,A)
【文献】特開2013-169224(JP,A)
【文献】特開2013-242738(JP,A)
【文献】特開2020-009338(JP,A)
【文献】特開2020-168040(JP,A)
【文献】特開2017-206333(JP,A)
【文献】特開2002-046806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65F 7/00
G06Q 50/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定領域の地形情報を格納した地形データベースを備えるサーバと、
ごみを収容するごみ箱と、前記ごみ箱のごみの蓄積量を検出するセンサと、を備え、前記サーバと通信して前記所定領域の中を走行する移動体と、を含むごみ収集システムであって、
前記移動体は、前記センサで検出したごみ蓄積量情報を前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記移動体から受信した前記ごみ蓄積量情報に基づいて、前記移動体に走行指令を出力し
前記所定領域の中に配置され、前記サーバと通信してごみ排出情報を前記サーバに出力する施設を含み、
前記サーバは、前記施設から受信した前記ごみ排出情報に基づいて、前記移動体に走行指令を出力すること、
を特徴とするごみ収集システム。
【請求項2】
請求項に記載のごみ収集システムであって、
前記サーバは、時間帯、季節又は天候と前記所定領域の過去のごみ排出量とを関連付けて格納したごみ排出量データベースを備え、
前記ごみ排出量データベースに基づいて、前記移動体に走行指令を出力すること、
を特徴とするごみ収集システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のごみ収集システムであって、
前記走行指令は所定位置への移動指令であり、
前記移動体は、前記サーバから受信した前記所定領域の地形データと、前記所定位置の位置情報とに基づいて、前記所定位置まで自律走行すること、
を特徴とするごみ収集システム。
【請求項4】
請求項1又は2のいずれか1項に記載のごみ収集システムであって、
前記走行指令は所定位置への移動経路であり、
前記移動体は、前記サーバから受信した前記移動経路に従って前記所定位置まで自律走行すること、
を特徴とするごみ収集システム。
【請求項5】
請求項からのいずれか1項に記載のごみ収集システムであって、
前記移動体は、前記センサで検出したごみ蓄積量を表示する表示装置を備え、
前記表示装置は、前記センサで検出したごみの蓄積量に応じて表示状態が変化すること、
を特徴とするごみ収集システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定領域の中でごみの収集を行うごみ収集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ごみ箱へのごみの投入量の増時間毎の推移データからごみ箱のごみ蓄積量が所定量に達する到達時間を予測し、効率的にごみを収集するごみ収集システムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-30920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のシステムでは、ごみ収集車がごみ箱の置いてある場所に出向いてごみの収集作業を行うため、ごみ収集作業スペースが必要であり、ごみの収集作業中に周辺の景観を損なう可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、景観を損なわずにごみの収集が可能なごみ収集システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のごみ収集システムは、所定領域の地形情報を格納した地形データベースを備えるサーバと、ごみを収容するごみ箱と、前記ごみ箱のごみの蓄積量を検出するセンサと、を備え、前記サーバと通信して前記所定領域の中を走行する移動体と、を含むごみ収集システムであって、前記移動体は、前記センサで検出したごみ蓄積量情報を前記サーバに送信し、前記サーバは、前記移動体から受信した前記ごみ蓄積量情報に基づいて、前記移動体に走行指令を出力し、前記所定領域の中に配置され、前記サーバと通信してごみ排出情報を前記サーバに出力する施設を含み、前記サーバは、前記施設から受信した前記ごみ排出情報に基づいて、前記移動体に走行指令を出力すること、を特徴とする。
【0013】
このように、ごみ蓄積量情報に基づいて、ごみを収容するごみ箱を備える移動体を走行させるので、ごみ箱があふれる前に移動体を、例えば、ごみ収集ステーション等に向けて走行させることができ、所定領域の景観を損なうことを抑制できる。また、ごみを収容するごみ箱を備える移動体が自走してゴミの搬送を行うので、所定領域の中でごみ箱からごみの取り出しを行う必要がなくなり、景観を損なうことを抑制できる。更に、所定領域の中にフードコート等の施設からのごみ排出情報に基づいて、移動体を走行させるので、施設のごみ排出量が多くなった場合に、ごみ箱が空の移動体を施設に移動させて、ごみの収集能力を増強することができる。これにより、ごみを効果的に収集して景観を損なうことを抑制できる。
【0016】
本発明のごみ収集システムにおいて、前記サーバは、時間帯、季節又は天候と前記所定領域の過去のごみ排出量とを関連付けて格納したごみ排出量データベースを備え、前記ごみ排出量データベースに基づいて、前記移動体に走行指令を出力してもよい。
【0017】
これにより、時間帯、季節又は天候に応じて、所定領域の中の移動体の配置、運行を調整でき、効率的にごみの収集を行うことができる。
【0018】
本発明のごみ収集システムにおいて、前記走行指令は所定位置への移動指令であり、前記移動体は、前記サーバから受信した前記所定領域の地形データと、前記所定位置の位置情報とに基づいて、前記所定位置まで自律走行してもよい。
【0019】
移動体が現在位置から所定位置までの移動経路を算出して自律走行するので、サーバの負荷を小さくすることができる。
【0020】
本発明のごみ収集システムにおいて、前記走行指令は所定位置への移動経路であり、前記移動体は、前記サーバから受信した前記移動経路に従って前記所定位置まで自律走行してもよい。
【0021】
サーバが移動経路を計算して移動体に送信し、移動体では移動経路の算出を行わないので、移動体を簡便な構成とすることができる。
【0022】
本発明のごみ収集システムにおいて、前記移動体は、前記センサで検出したごみ蓄積量を表示する表示装置を備え、前記表示装置は、前記センサで検出したごみの蓄積量に応じて表示状態が変化してもよい。
【0023】
これにより、移動体の周囲の人が移動体のごみ蓄積量を容易に把握することができ、ごみ箱へのごみの過剰投入を抑制できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、景観を損なわずにごみの収集が可能なごみ収集システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1参考例のごみ搬送用の移動体の構成を示す斜視図である。
図2】実施形態のごみ収集システムの構成を示す系統図である。
図3】実施形態のごみ収集システムの構成を示す機能ブロック図である。
図4】ごみ排出量データベースに格納された時間帯に対するフードコートのごみ排出量の変化を示すグラフである。
図5】ごみ排出量データベースに格納された時間帯に対するアトラクション設備からのごみ排出量の変化を示すグラフである。
図6】実施形態のごみ収集システムの動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら参考例のごみ搬送用の移動体10につい説明する。図1に示す様に、ごみ搬送用の移動体10は、ごみを収容するごみ箱11と、ごみ箱11のごみの蓄積量を検出するセンサ14と、表示装置15と、走行装置20とを備えている。
【0027】
ごみ箱11は、ごみを収容する本体12とごみを投入する投入口13とが設けられている。ごみ箱11は走行装置20の上に取付けられて、走行装置20と共に移動する。また、ごみ箱11の本体12には、内部のごみの蓄積量を検出するセンサ14が取付けらてれている。センサ14は、ごみの容量或いは重量を検出できる検出装置であればよい。ゴミの容量を検出する場合、例えば、赤外線を内部に向かって照射し、その反射光の有無によってセンサ14を設けた高さまでごみが蓄積されていることを検出する装置としてもよい。センサ14は、高さ方向に複数並べて配置されている。これにより、ごみの収容高さからごみ蓄積量を検出できるように構成されている。図1の例では、一番上のセンサ14はごみの蓄積量がごみ箱11の収容可能容量の100%となる高さに取付けられており、上から二番目~四番目の各センサ14はそれぞれごみの蓄積量がごみ箱11の収容可能容量の75%,50%,25%となる高さに取付けられている。
【0028】
また、本体12の正面には、ごみ箱11のごみの蓄積量に応じて表示状態が変化する表示装置15が取付けられている。
【0029】
走行装置20は、駆動用モータ22により駆動輪23を駆動して自律走行する電動走行装置である。走行装置20は、ケーシング21と、駆動用モータ22と、駆動輪23と、バッテリ24と、走行制御装置25と、位置検出装置26と、通信装置27とを含んでいる。バッテリ24と、走行制御装置25と、位置検出装置26と、通信装置27とはケーシング21の中に格納されている。
【0030】
駆動用モータ22は駆動輪23の中に組み込まれたインホイールモータである。バッテリ24は駆動用モータ22に駆動用電力を供給する。位置検出装置26は、GPSユニットに基づいて位置の検出を行うと共に、地形データに基づいて、現在位置から目的地までの移動経路を算出して走行制御装置25に出力する。走行制御装置25は、位置検出装置26から入力された位置情報と経路情報に基づいて駆動用モータ22の回転数、トルクと駆動輪23の方向を調整して走行装置20を自律走行させる。走行制御装置25は、内部に情報処理を行うCPU等のプロセッサとメモリとを含むコンピュータで構成されている。通信装置27は、走行制御装置25に接続されて、外部との間で情報の授受を行う。なお、通信装置27は、走行装置20の中に組み込まれてもよいし、走行装置20とは別に配置されていてもよい。
【0031】
ごみ箱11に取付けられた各センサ14は、走行装置20の走行制御装置25に接続されており、センサ14が検出したごみ箱11のごみ蓄積量情報は走行制御装置25に入力される。また、ごみ箱11に取付けられた表示装置15は走行制御装置25に接続され、走行制御装置25の指令によって表示状態が変化する。
【0032】
以上のように構成された移動体10の動作について説明する。移動体10はごみが排出される食事提供施設の近く等に停止している。停止中、食事提供施設の利用者がごみをごみ箱11の投入口13から本体12の内部に投入する。センサ14は、本体12の内部のごみの蓄積量の検出を継続している。
【0033】
センサ14がごみ箱11の本体12に取付けられているセンサ14の高さまでごみが蓄積されたら、センサ14はごみ検出信号を走行制御装置25に出力する。図1に示す様に複数のセンサ14が設けられている場合には、ごみが各センサ14の高さまで蓄積されると各センサ14から走行制御装置25にごみ検出信号が出力される。走行制御装置25は、ごみ箱11の一番上に取付けられているセンサ14からごみ検出信号が入力されたら、ごみ箱11のごみの蓄積量が所定量に達したと判断して走行を開始する。この際、所定量は、適宜設定してもよく、例えば、100%に設定した場合には、図1に示す一番上のセンサ14からごみ検出信号が入力された際に走行を開始する。また、75%に設定した場合には、図1に示す上から二番目のセンサ14からごみ検出信号が入力された際に走行を開始する。
【0034】
この際、ごみ搬送用の移動体10は、例えば、ごみ収集ステーション50に向かって移動し、ごみ収集ステーション50でごみ箱11のごみを排出してもよい(図6参照)。ここで、ごみ収集ステーション50は、ごみ搬送用の移動体10のごみを一旦集積し、所定の日程でごみ収集車51に搭載する設備である。
【0035】
また、走行制御装置25は、一番下のセンサ14からごみ検出信号が入力されたら表示装置15を例えば、緑色に点灯させる。そして、上のセンサ14からごみ検出信号が入力される毎に表示装置15の点灯色を、例えば、黄色、橙色、赤色のように変化させていく。
【0036】
以上説明したように、移動体10は、ごみ箱11のごみ蓄積量が所定量に達したら移動体10が置かれている場所から移動するので、移動体10が置かれている場所でごみの取り出し作業を行う必要がなくなり、景観を損なうことを抑制できる。また、表示装置15の表示色がごみ蓄積量によって変化するので、移動体10の周囲の人が移動体10のごみ蓄積量を容易に把握することができ、ごみ箱11へのごみの過剰投入を抑制できる。
【0037】
次に、移動体10の他の動作について説明する。移動体10は、移動体10の外部、例えば、食事提供施設からごみの排出量が増大している等の情報が入力された場合、その食事提供施設に向かって走行を開始するようにしてもよい。これにより、ごみの排出量が増大している場所にごみ箱11が空の移動体10を送り、効果的にごみの収集を行うことができる。
【0038】
次に、図2から図6を参照してごみ搬送用の移動体110を用いたごみ収集システム100について説明する。図2に示すように、ごみ収集システム100は、サーバ30と、移動体110と、施設40とを含んでいる。移動体110は通信回線35を介してサーバ30と通信し、サーバ30からの走行指令により所定領域の中を走行する。
【0039】
図3は、移動体110の構成を機能ブロックとして表した図である。図3に示すように、移動体110は、走行制御装置125と、位置検出装置26と、通信装置127と、センサ14と、表示装置15と、バッテリ24と、駆動用モータ22と、駆動輪23と、を備えている。位置検出装置26と、複数のセンサ14と、表示装置15と、バッテリ24と、駆動用モータ22と、駆動輪23とは、先に図1を参照して説明した移動体10のものと同一なので、同一の符号を付して説明は省略する。
【0040】
通信装置127は、通信回線35を介してサーバ30とデータの授受を行う。
【0041】
走行制御装置125は、位置検出装置26から入力された位置情報と経路情報とに基づいて、駆動用モータ22の回転数、トルクと駆動輪23の方向を調整して移動体10を目的地に向かって自律走行させる。
【0042】
走行制御装置125は、図1を参照して説明した複数のセンサ14がごみ検出信号を出力する度に、ごみ検出信号を出力したセンサ14の位置に基づいてごみ箱11に蓄積されているごみの蓄積量を算出してごみ蓄積情報を生成する。例えば、図1に示す一番下のセンサ14からごみ検出信号が入力された場合には、走行制御装置25は、ごみの蓄積量がごみ箱11のごみの収容可能量の25%となったと判断して、25%のごみ蓄積情報を生成する。同様に、走行制御装置125は、下から二番目~一番上のセンサ14からごみ検出信号が入力された場合には、それぞれ50%,75%,100%のごみ蓄積情報を生成する。走行制御装置25は、生成したごみ蓄積情報を通信装置127に出力する。通信装置127は、通信回線35を介して走行制御装置125から入力されたごみ蓄積情報をサーバ30に送信する。
【0043】
施設40は、所定領域の中に設置されてごみを排出する設備、建物等であり、通信回線35を介してサーバ30とデータの授受を行う。ここで、所定領域は、特に限定しないが、例えば、町の一区画であってもよいし、公園等でもよいし、図6に示すテーマパーク80でもよい。テーマパーク80は、文化や国、物語、映画、時代などの特定のテーマをベースに全体が演出された観光施設である。テーマパーク80の中には、フードコート41,42やアトラクション設備43~46等の施設40が配置されている。
【0044】
図2に戻って、サーバ30は、内部に情報処理を行うCPU等のプロセッサとメモリとを含むコンピュータである。サーバ30には、地形データベース32、建物データベース33、ごみ排出量データベース34を含むデータベース部31が接続されている。
【0045】
地形データベース32は、所定領域の中の道路37、施設40等の配置、歩道あるいは移動体10が走行可能な場所の地形情報のデータが格納されている。
【0046】
建物データベース33は、所定領域の建物のフロア配置、エレベーター、エスカレータ等の昇降設備の配置、各フロアの什器、仕切り等の配置等、その建物の内部データを格納している。建物データベース33は、例えば、その建物のBIM(Building Information Modeling(ビルディング インフォメーション モデリング))のデータとその建物内部の状態をスキャンしたスキャンデータとを組み合わせたものでもよい。
【0047】
ごみ排出量データベース34は、所定領域の各施設40における時間帯、季節又は天候と過去のごみ排出量とを関連付けて格納したデータベースである。図6に示すテーマパーク80にごみ収集システム100を適用した場合のごみ排出量データベース34に格納されているデータの例を図4図5に示す。
【0048】
図4は、時間帯に対するフードコート41,42からのごみ排出量の変化を示すグラフである。実線aは晴れの日の変化を示し、破線bは雨の日のごみ排出量の変化を示す。実線aに示すように、フードコート41,42からのごみの排出量は、昼前後のランチの時間と、夕方の夕食の時間に多くなり、午前中の早い時間帯、或いは、ランチと夕食との間の時間帯には少なくなっている。また、破線bで示すように、テーマパーク80への来場者が少ない雨の日は、全体的に実線aで示す晴れの日よりもごみの排出量が少なくなっている。
【0049】
図5は、時間帯に対するアトラクション設備43~46からのごみの排出量の変化を示すグラフである。図5の実線cは晴れの日を示し、一点鎖線dは雨の日を示す。図5の実線cに示すように、アトラクション設備43~46では、イベントが開催されている時間帯はごみの排出量が少なく、入場者がスナックを食べたり、飲み物を飲んだりするイベントとイベントとの間の時間帯は、ごみの排出量が多くなっている。また、フードコート41,42と同様、一点鎖線dに示すように雨の日は、ごみの排出量が少なくなっている。
【0050】
次に、以上のように構成されたごみ収集システム100の動作について図6を参照して説明する。以下の説明では、ごみ収集システム100をテーマパーク80に適用した場合について説明する。先に説明したように、テーマパーク80の中には、施設40であるフードコート41,42やアトラクション設備43~46が設けられている。また、複数の移動体110がテーマパーク80の中を走行する。複数の移動体110をそれぞれ区別する場合には、移動体m1~移動体m5として説明し、区別しない場合には移動体110として説明する。移動体m1~m5は、それぞれ通信回線35を介してサーバ30と通信してテーマパーク80の中に設けられた道路37を走行する。なお、移動体m1~m5は、走行可能であれば、広場38の中や芝生の中を走行してもよい。テーマパーク80の中には、ごみ箱11が空の移動体10が停車する配車ステーション49が設けられている。
【0051】
また、テーマパーク80の端には、ごみ収集ステーション50が設けられている。ごみ収集ステーション50は、移動体m1~m5が収集したごみを受け入れて、テーマパーク80の外部からごみ収集車51が来るまでごみを一時的に集積する設備である。
【0052】
朝、テーマパーク80が開場する前は、移動体m1は、フードコート41の横に配置されており、移動体m2は、別のフードコート42の横に配置されており、移動体m3はアトラクション設備46の横に配置されている。また、移動体m4,m5は配車ステーション49に配置されている。テーマパーク80の開場前、各移動体m1~m5のごみ箱11は全て空となっている。
【0053】
テーマパーク80が開場すると、来場者がテーマパーク80の中に入り、図4図5を参照して説明したように、フードコート41,42やアトラクション設備46の周辺に配置されている移動体m1~m3のごみ箱11にごみを投入する。そして、各移動体m1~m3は、ごみ箱11に高さ方向に並べて取付けられた複数のセンサ14がごみ検出信号を出力する度に、走行制御装置125がごみ蓄積情報を生成する。
【0054】
テーマパーク80の開場から時間がたつと、図4に示すようにフードコート41からのごみ排出量が多くなってくる。移動体m1の走行制御装置125は、最初に25%のごみ蓄積情報を出力し、次に、50%のごみ蓄積情報を出力し、次に75%のごみ蓄積情報を出力する。この際、走行制御装置125は、先に説明した移動体10と同様、表示装置15の点灯色を、例えば、緑色、黄色、橙色のように変化させていく。
【0055】
通信装置127は、通信回線35を介して走行制御装置125が生成したごみ蓄積情報をサーバ30に出力する。サーバ30は、フードコート41の横に配置されている移動体m1から最初に25%のごみ蓄積情報を受信し、次に、50%のごみ蓄積情報を受信し、次に75%のごみ蓄積情報を受信する
【0056】
サーバ30は、移動体m1から75%のごみ蓄積情報を受信すると、もうすぐ移動体m1のごみ箱11が収容可能量の100%に達すると判断して、配車ステーション49に配置している移動体m5にフードコート41の横に移動する移動指令を送信する。この際、移動体m5のごみ箱11は空である。移動指令には、所定位置である目的地の位置情報が含まれている。
【0057】
移動体m5の通信装置27は、サーバ30から受信したテーマパーク80の地形データと、目的地であるフードコート41の位置情報とを受信したら、位置検出装置26に出力する。位置検出装置26は、サーバ30から受信したテーマパーク80の地形データと、フードコート41の位置情報とに基づいて、現在地の配車ステーション49からフードコート41までの移動経路を算出して走行制御装置25に出力する。走行制御装置25は、位置検出装置26から入力された経路情報に基づいて駆動用モータ22を制御して移動体m5を図6に示す矢印91のようにフードコート41に向かって自律走行させる。この際、移動体m5は道路37を走行してもよいし、道路以外の芝生等の走行可能なエリアを走行してもよい。
【0058】
移動体m5は、フードコート41に到着したら、サーバ30に到着信号を出力する。サーバ30は、移動体m5から到着信号を受信したら、移動体m1にごみ収集ステーション50に向かって移動する移動指令を出力する。この移動指令には、目的地であるごみ収集ステーション50の位置情報が含まれている。移動体m1は、移動体m5と同様、サーバ30から受信した地形データとごみ収集ステーション50の位置情報に基づいてごみ収集ステーション50までの移動経路を算出し、図6中に示す矢印92のように、ごみ収集ステーション50に向かって自律走行する。
【0059】
移動体m1は、ごみ収集ステーション50でごみ箱11の中のごみを排出する。その後、移動体m1は、サーバ30からの移動指令に基づいて、例えば、配車ステーション49まで自律走行して、停止してもよいし、アトラクション設備44の近くに移動してもよい。なお、移動体m1がごみ収集ステーション50に排出したごみは、所定の時間にごみ収集車51で回収されてごみ処理施設(図示せず)に搬送される。
【0060】
以上、説明したように、ごみ収集システム100は、サーバ30が移動体110から受信したごみ蓄積量情報に基づいて、ごみを収容するごみ箱11を備える移動体110を走行させるので、ごみ箱11があふれる前に移動体110をごみ収集ステーション50に向けて走行させることができ、テーマパーク80の景観を損なうことを抑制できる。また、ごみを収容するごみ箱11を備える移動体110が自走してゴミの搬送を行うので、テーマパーク80の中でごみ箱11からごみの取り出しを行う必要がなくなり、景観を損なうことを抑制できる。
【0061】
次に、ごみ収集システム100の別の動作について説明する。図6に示すフードコート42は、販売した飲食物の量に基づいて、フードコート42からのごみの排出量をごみ排出情報としてサーバ30に出力している。また、アトラクション設備46は、アトラクション設備46の入場者数に基づいて、アトラクション設備46からのごみ排出量をごみ排出情報としてサーバ30に送信している。サーバ30は、フードコート42から入力されたごみ排出情報とごみ排出量データベース34に格納された時間帯に対するフードコート42からのごみ排出量のデータ(図4参照)とを比較し、フードコート42のごみ排出量が過去の実績データよりも多くなっている場合には、フードコート42の横に配置されている移動体m2から受信したごみ蓄積情報が先の例で説明した75%よりも少ない50%となったら、配車ステーション49に待機している移動体m4を図6に示す矢印93のように、フードコート42に移動させる。また、アトラクション設備46から入力されるごみ排出情報が図5に示す過去のアトラクション設備46からのごみ排出量よりも多くなっている場合には、移動体m4をアトラクション設備46の横まで移動させる。
【0062】
このように、サーバ30が、フードコート42等の施設40から受信したごみ排出情報と、ごみ排出量データベース34とに基づいて、移動体110を走行させるので、通常よりもごみの排出量が多くなった場合でもごみ箱11にごみを収容しきれなくなることを抑制でき、テーマパーク80の景観を損なうことを抑制できる。
【0063】
また、サーバ30は、時間帯、季節又は天候に応じて、テーマパーク80の中の移動体110の配置、運行を調整できる。これにより、効率的にごみの収集を行うことができる。
【0064】
図6に示すフードコート42の近傍で大きなイベントが開催されており、通常の何倍もの飲食物の販売があった場合、フードコート42は、1~2時間以内に大量のごみが排出されるというごみ排出量情報をサーバ30に送信する。サーバ30は、フードコート42からこのようなごみ排出情報を受信した場合には、フードコート42の横に配置している移動体m2のみでは、ごみを収集しきれないと判断して、配車ステーション49に待機している移動体m4をフードコート42の横に移動させる移動指令を移動体m4に送信する。移動体m4は、この移動指令を受信したら、フードコート42に向かって自律走行を開始し、フードコート42の横に停車する。これにより、ごみ箱11の容量が不足してごみが収集できなくなることを抑制できる。
【0065】
このように、サーバ30が、フードコート42等の施設40から受信したごみ排出情報に基づいて、移動体110を走行させるので、急にごみの排出量が多くなった場合でも移動体110のごみ箱11にごみを収容しきれなくなることを抑制でき、テーマパーク80の景観を損なうことを抑制できる。また、ごみ箱11が空の移動体110をフードコート42等の施設40に移動させて、ごみの収集能力を増強することができる。これにより、ごみを効果的に収集して景観を損なうことを抑制できる。
【0066】
以上説明した、ごみ収集システム100では、サーバ30は、走行指令として目的地の位置情報を含む移動指令とテーマパーク80の地形データとを移動体110に送信し、移動体110が移動経路を算出して目的地まで自律走行することとして説明したが、これに限らない。例えば、サーバ30が移動体110の現在位置から目的地までの移動経路を算出し、算出した移動経路を移動体110に送信して移動体110を自律走行させてもよい。これにより、移動体110を簡便な構成とすることができる。
【0067】
以上の説明では、移動体m1~m5は建物の屋外を走行するとして説明したが、サーバ30と通信してサーバ30の建物データベース33に格納されている建物のデータを参照してフードコート41,42やアトラクション設備43~46の建物の内部を走行してもよい。
【0068】
また、以上の説明では、サーバ30のデータベース部31は、地形データベース32、建物データベース33、ごみ排出量データベース34を含むこととして説明したが、これに限らない。例えば、地形データベース32のみを備え、サーバ30が移動体110から受信したごみ蓄積量情報に基づいて移動体110を走行させるようにしてもよい。また、データベース部31が地形データベース32とごみ排出量データベース34の2つのデータベースのみを備え、サーバ30が、フードコート42等の施設40から受信したごみ排出情報と、ごみ排出量データベース34とに基づいて移動体110を走行させるようにしてもよい。
【0069】
又、実施形態のごみ収集システム100をテーマパーク80に適用する場合、移動体10,110の外形をテーマパーク80のアトラクションに登場するキャラクタの形状にしてもよいし、表示装置15をキャラクタの目の形等にしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
10,110 移動体、11 ごみ 箱、12 本体、13 投入口、14 センサ、15 表示装置、20 走行装置、21 ケーシング、22 駆動用モータ、23 駆動輪、24 バッテリ、25,125 走行制御装置、26 位置検出装置、27,127 通信装置、30 サーバ、31 データベース部、32 地形データベース、33 建物データベース、34 ごみ排出量データベース、35 通信回線、37 道路、38 広場、40 施設、41,42 フードコート、43~46 アトラクション設備、49 配車ステーション、50 ごみ収集ステーション、51 ごみ収集車、80 テーマパーク、100 ごみ収集システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6