(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】TLR7の調節に関係する疾患を処置するのに有用な酸性基を含むピリミジン化合物
(51)【国際特許分類】
C07D 239/49 20060101AFI20230920BHJP
C07D 403/10 20060101ALI20230920BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20230920BHJP
A61K 31/505 20060101ALI20230920BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20230920BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20230920BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230920BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230920BHJP
A61K 38/22 20060101ALI20230920BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230920BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230920BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230920BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20230920BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20230920BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
C07D239/49 CSP
C07D403/10
A61K31/506
A61K31/505
A61K47/38
A61K47/02
A61K9/08
A61K45/00
A61K38/22
A61K39/395 N
A61P11/00
A61P35/00
A61P37/08
A61P11/06
A61P43/00 111
A61P43/00 121
(21)【出願番号】P 2020567199
(86)(22)【出願日】2019-06-03
(86)【国際出願番号】 US2019035247
(87)【国際公開番号】W WO2019236496
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-05-27
(32)【優先日】2018-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519201950
【氏名又は名称】アプロス セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ウー, トム ヤオ-シャン
(72)【発明者】
【氏名】ミラー, アンドリュー ティー.
【審査官】高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】特許第7071392(JP,B2)
【文献】特表2011-504497(JP,A)
【文献】特表2015-520729(JP,A)
【文献】特表2013-538217(JP,A)
【文献】特表2013-503884(JP,A)
【文献】特表2009-542645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 403/10
C07D 239/49
A61K 31/506
A61K 31/505
A61K 47/38
A61K 47/02
A61K 9/08
A61K 45/00
A61K 38/22
A61K 39/395
A61P 11/00
A61P 35/00
A61P 37/08
A61P 11/06
A61P 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化91】
(式中、
Rは-OH、-SO
2CH
3、-NH
2、-NHAcおよび
【化92】
からなる群から選択され、
A
1は
【化93】
からなる群から選択され、
A
2は
【化94】
からなる群から選択され、
L
1は結合または-(CH
2)
m-であり、
L
2は結合または-(CH
2)
n-であり、
m、n、p、q、r、s、tおよびuは0~4から独立に選択され、
A
1(CH
2)
pが-CH
2CH
2C(=O)OHであり、A
2(CH
2)
qが-CH
2C(=O)OHであり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、Rは-OH、-NH
2、-NHAcまたは
【化95】
である)
の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
前記式(I)の化合物が式(Ia)または式(Ib)の化合物
【化96】
(式中、Rは-OH、-SO
2CH
3、-NH
2、-NHAcおよび
【化97】
からなる群から選択され、
p、q、r、s、tおよびuは0~4から独立に選択され、
前記化合物が式(Ia)の化合物であり、pが2であり、qが1であり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、Rは-OH、-NH
2、-NHAcまたは
【化98】
である)、
である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
pが2であり、qが1である、請求項1または2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
Rが-OHである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
Rが-SO
2CH
3であり、
前記化合物が式(Ia)の化合物であり、pが2であり、qが1であり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、Rは-OH、-NH
2、-NHAcまたは
【化99】
である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
前記化合物が単一エナンチオマーである、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
【化100】
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項9】
前記薬学的に許容される担体が、カルボキシメチルセルロース、生理食塩水、水または別の水溶液である、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
水中0.1%~5%のカルボキシメチルセルロースを含む、請求項8または9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
少なくとも1つまたは複数の追加の治療剤をさらに含む、請求項8から10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1つまたは複数の追加の治療剤が、グルココルチコイド、ベータ-アドレナリン受容体アゴニスト、抗PD-1、抗PD-L1および抗CTLA-4からなる群から選択される、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
吸入用に製剤化されている、請求項8から12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
呼吸器状態の処置をそれを必要とする対象において行うための組成物であって、前記組成物は、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩:
【化101】
(式中、
Rは-OH、-SO
2CH
3、-NH
2、-NHAcおよび
【化102】
からなる群から選択され、
A
1は
【化103】
からなる群から選択され、
A
2は
【化104-1】
【化104-2】
からなる群から選択され、
L
1は結合または-(CH
2)
m-であり、
L
2は結合または-(CH
2)
n-であり、
m、n、p、q、r、s、tおよびuは0~4から独立に選択され、
A
1(CH
2)
pが-CH
2CH
2C(=O)OHであり、A
2(CH
2)
qが-CH
2C(=O)OHであり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、Rは-OH、-NH
2、-NHAcまたは
【化105】
である)
を含む、組成物。
【請求項15】
前記式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩が、
【化106-1】
【化106-2】
またはその薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩が、
【化107】
またはその薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項14または15に記載の組成物。
【請求項17】
対象において呼吸器状態を処置するための、請求項8から13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記呼吸器状態が、がんである、請求項14から17のいずれか一項に記載の組成物または医薬組成物。
【請求項19】
前記がんが、肺がん;頭頸部がん;耳、鼻または咽喉がん;および上気道または下気道のがんからなる群から選択される、請求項18に記載の組成物または医薬組成物。
【請求項20】
前記がんが肺がんである、請求項18または19に記載の組成物または医薬組成物。
【請求項21】
前記呼吸器状態が非がん性疾患である、請求項14から17のいずれか一項に記載の組成物または医薬組成物。
【請求項22】
前記呼吸器状態が、喘息、アレルギーおよびCOPDからなる群から選択される、請求項14から17または21のいずれか一項に記載の組成物または医薬組成物。
【請求項23】
前記呼吸器状態が気道消化器状態である、請求項14から17または21のいずれか一項に記載の組成物または医薬組成物。
【請求項24】
鼻腔内または気管内投与されることを特徴とする、請求項14から23のいずれか一項に記載の組成物または医薬組成物。
【請求項25】
前記対象が前記化合物を吸入する、請求項14から24のいずれか一項に記載の組成物または医薬組成物。
【請求項26】
1つまたは複数の追加の治療剤と組み合わせて投与されることを特徴とする、請求項14から25のいずれか一項に記載の組成物または医薬組成物。
【請求項27】
前記1つまたは複数の追加の治療剤が、グルココルチコイド、ベータ-アドレナリン受容体アゴニスト、抗PD-1、抗PD-L1および抗CTLA-4からなる群から選択される、請求項26に記載の組成物または医薬組成物。
【請求項28】
治療における使用のための、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む組成物。
【請求項29】
呼吸器状態の処置における使用のための、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む組成物。
【請求項30】
医薬の製造における、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項31】
前記医薬が呼吸器状態を処置するために使用される、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
治療における使用のための、請求項8から13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項33】
呼吸器状態の処置における使用のための、請求項8から13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年6月4日に出願された米国仮特許出願第62/680,324号に対する利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、肺がんおよび他の呼吸器状態の処置に有用な、TLR7を介して作用する免疫調節特性を有するピリミジン誘導体のクラスに関する。
【背景技術】
【0003】
本開示は、ピリミジン誘導体、その調製方法、これらを含む医薬組成物および治療におけるその使用に関する。
【0004】
免疫系は、自然免疫および獲得免疫で構成され、これらは共に協同的に作用して宿主を微生物感染症から保護する。自然免疫は、免疫細胞の細胞表面上で発現されるToll様受容体(TLR)を通して保存された病原体関連分子パターンを認識することができることが示されている。その後、侵入病原体の認識によって、サイトカイン産生(インターフェロンアルファ(IFNα)を含む)および食細胞上の共刺激分子の上方制御が誘引され、T細胞機能の調節がもたらされる。よって、自然免疫は、獲得免疫と密接に関連しており、獲得応答の発達および制御に影響を及ぼすことができる。
【0005】
TLRは、NH2末端細胞外ロイシンリッチリピートドメイン(LRR)と、Toll/IL-1受容体(TIR)相同性ドメインと呼ばれる保存された領域を含むCOOH末端細胞内尾部とによって特徴付けられるI型膜貫通受容体のファミリーである。細胞外ドメインはさまざまな数のLRRを含み、リガンド結合に関与していると考えられる。現在までに11種のTLRがヒトおよびマウスで記載されている。これらは、リガンド特異性、発現パターン、および誘導できる標的遺伝子が互いに異なる。
【0006】
TLRを介して作用するリガンド(免疫応答修飾因子(immune response modifier)(IRMS)としても公知である)、例えば、性器疣贅を処置するための製品イミキモドを含む、米国特許第4689338号に記載されるイミダゾキノリン誘導体、ならびに国際公開第98/01448号および国際公開第99/28321号に記載されるアデニン誘導体が開発されている。
肺への不溶性微粒子沈着を最小化するために、高い水溶性を有する化合物が吸入のために望ましい。複数のイオン化可能部分の導入は、イオン化の画分を増加させることによって、低分子量分子の水溶性を増強させる1つの方法である。しかしながら、荷電官能基(例えば、カルボン酸およびその代替物)の取り付けは、ファーマコフォアの活性に影響を及ぼさないように慎重に配置しなければならない。吸入を通して投与することができるように十分に水溶性である活性TLR7アゴニストが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第4689338号明細書
【文献】国際公開第98/01448号
【文献】国際公開第99/28321号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、ピリミジンファーマコフォア上に戦略的に配置された2つの酸性基を含む新規なTLR7アゴニストを記載する。これらの化合物は、ただ1つの酸性基を含むピリミジンTLR7アゴニストと比較して増強された溶解度を有する。1つの酸性基を含むピリミジンTLR7アゴニストの例は、米国特許出願公開第2018/0155298号に見出され得る。
【0009】
本明細書に記載される化合物は、吸入投与を介して肺がんおよび他の呼吸器状態を処置するために使用され得るTLR7アゴニストである。
【0010】
本開示は、式(I)
【化1】
(式中、
Rは-OH、-SO
2CH
3、-NH
2、-NHAcおよび
【化2】
からなる群から選択され、
A
1は
【化3-1】
【化3-2】
からなる群から選択され、
A
2は
【化4】
からなる群から選択され、
L
1は結合または-(CH
2)
m-であり、
L
2は結合または-(CH
2)
n-であり、
m、n、p、q、r、s、tおよびuは0~4から独立に選択され、
A
1(CH
2)
pが-CH
2CH
2C(=O)OHであり、A
2(CH
2)
qが-CH
2C(=O)OHであり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、RはSO
2CH
3であることができない)
の構造を有する化合物、およびその薬学的に許容される塩を提供する。
【0011】
本開示は、式(I)の構造を有する化合物、およびその薬学的に許容される塩
【化5】
(式中、
Rは-OH、-SO
2CH
3、-NH
2、-NHAcおよび
【化6】
からなる群から選択され;
A
1は
【化7】
からなる群から選択され;
A
2は
【化8】
からなる群から選択され;
L
1は結合または-(CH
2)
m-であり;
L
2は結合または-(CH
2)
n-であり;
m、n、p、q、r、s、tおよびuは0~4から独立に選択される)
を提供する。
【0012】
式(I)の一部の実施形態では、A
1(CH
2)
pが-CH
2CH
2C(=O)OHであり、A
2(CH
2)
qが-CH
2C(=O)OHであり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、Rは-OH、-NH
2、-NHAcまたは
【化9】
である。式(I)の一部の実施形態では、A
1(CH
2)
pが-CH
2CH
2C(=O)OHであり、A
2(CH
2)
qが-CH
2C(=O)OHであり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、RはSO
2CH
3であることができない。
【0013】
本開示は、本開示の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0014】
本開示は、呼吸器状態を処置する方法であって、有効量の本開示の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法を提供する。特定の実施形態では、呼吸器状態が肺がんである。
【0015】
本開示は、呼吸器状態を処置する方法であって、有効量の本開示の医薬組成物、またはその薬学的に許容される塩を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法を提供する。特定の実施形態では、呼吸器状態が肺がんである。
【0016】
本開示は、医薬の製造における、本開示の化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0017】
本開示は、治療における使用のための、本開示の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0018】
本開示は、呼吸器疾患の処置における使用のための、本開示の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。特定の実施形態では、呼吸器状態が肺がんである。
【0019】
本開示は、治療における使用のための医薬組成物を提供する。
【0020】
本開示は、呼吸器疾患の処置における使用のための医薬組成物を提供する。特定の実施形態では、呼吸器状態が肺がんである。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
式(I)
【化91】
(式中、
Rは-OH、-SO
2
CH
3
、-NH
2
、-NHAcおよび
【化92】
からなる群から選択され、
A
1
は
【化93】
からなる群から選択され、
A
2
は
【化94】
からなる群から選択され、
L
1
は結合または-(CH
2
)
m
-であり、
L
2
は結合または-(CH
2
)
n
-であり、
m、n、p、q、r、s、tおよびuは0~4から独立に選択され、
A
1
(CH
2
)
p
が-CH
2
CH
2
C(=O)OHであり、A
2
(CH
2
)
q
が-CH
2
C(=O)OHであり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、Rは-OH、-NH
2
、-NHAcまたは
【化95】
である)
の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(項目2)
前記式(I)の化合物が式(Ia)または式(Ib)の化合物
【化96】
(式中、Rは-OH、-SO
2
CH
3
、-NH
2
、-NHAcおよび
【化97】
からなる群から選択され、
p、q、r、s、tおよびuは0~4から独立に選択され、
前記化合物が式(Ia)の化合物であり、pが2であり、qが1であり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、Rは-OH、-NH
2
、-NHAcまたは
【化98】
である)、
である、項目1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(項目3)
pが2であり、qが1である、項目1または2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(項目4)
Rが-OHである、項目1から3のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(項目5)
Rが-SO
2
CH
3
であり、
前記化合物が式(Ia)の化合物であり、pが2であり、qが1であり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、Rは-OH、-NH
2
、-NHAcまたは
【化99】
である、
項目1から3のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(項目6)
前記化合物が単一エナンチオマーである、項目1から5のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(項目7)
【化100】
からなる群から選択される、項目1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(項目8)
項目1から7のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
(項目9)
前記薬学的に許容される担体が、カルボキシメチルセルロース、生理食塩水、水または別の水溶液である、項目8に記載の医薬組成物。
(項目10)
水中0.1%~5%のカルボキシメチルセルロースを含む、項目8または9に記載の医薬組成物。
(項目11)
少なくとも1つまたは複数の追加の治療剤をさらに含む、項目8から10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目12)
前記少なくとも1つまたは複数の追加の治療剤が、グルココルチコイド、ベータ-アドレナリン受容体アゴニスト、抗PD-1、抗PD-L1および抗CTLA-4からなる群から選択される、項目11に記載の医薬組成物。
(項目13)
吸入用に製剤化されている、項目8から12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目14)
呼吸器状態を処置する方法であって、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩:
【化101】
(式中、
Rは-OH、-SO
2
CH
3
、-NH
2
、-NHAcおよび
【化102】
からなる群から選択され、
A
1
は
【化103】
からなる群から選択され、
A
2
は
【化104-1】
【化104-2】
からなる群から選択され、
L
1
は結合または-(CH
2
)
m
-であり、
L
2
は結合または-(CH
2
)
n
-であり、
m、n、p、q、r、s、tおよびuは0~4から独立に選択され、
A
1
(CH
2
)
p
が-CH
2
CH
2
C(=O)OHであり、A
2
(CH
2
)
q
が-CH
2
C(=O)OHであり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、Rは-OH、-NH
2
、-NHAcまたは
【化105】
である)
を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法。
(項目15)
前記式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩が、
【化106-1】
【化106-2】
またはその薬学的に許容される塩からなる群から選択される、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩が、
【化107】
またはその薬学的に許容される塩からなる群から選択される、項目14または15に記載の方法。
(項目17)
呼吸器状態を処置する方法であって、有効量の項目8から13のいずれか一項に記載の医薬組成物を、対象に投与するステップを含む方法。
(項目18)
前記呼吸器状態が、がんである、項目14から17のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
前記がんが、肺がん;頭頸部がん;耳、鼻または咽喉がん;および上気道または下気道のがんからなる群から選択される、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記がんが肺がんである、項目18または19に記載の方法。
(項目21)
前記呼吸器状態が非がん性疾患である、項目14から17のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
前記呼吸器状態が、喘息、アレルギーおよびCOPDからなる群から選択される、項目14から17または21のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記呼吸器状態が気道消化器状態である、項目14から17または21のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記投与が鼻腔内または気管内である、項目14から23のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記対象が前記化合物を吸入する、項目14から24のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
前記化合物が1つまたは複数の追加の治療剤と組み合わせて投与される、項目14から25のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
前記1つまたは複数の追加の治療剤が、グルココルチコイド、ベータ-アドレナリン受容体アゴニスト、抗PD-1、抗PD-L1および抗CTLA-4からなる群から選択される、項目26に記載の方法。
(項目28)
治療における使用のための、項目1から7のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(項目29)
呼吸器状態の処置における使用のための、項目1から7のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(項目30)
医薬の製造における、項目1から7のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用。
(項目31)
前記医薬が呼吸器状態を処置するために使用される、項目30に記載の使用。
(項目32)
治療における使用のための、項目8から13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目33)
呼吸器状態の処置における使用のための、項目8から13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目34)
前記呼吸器状態が、がんである、項目29に記載の使用のための化合物、項目31に記載の使用、または項目33に記載の医薬組成物。
(項目35)
前記がんが、肺がん;頭頸部がん;耳、鼻または咽喉がん;および上気道または下気道のがんからなる群から選択される、項目34に記載の使用のための化合物、使用、または医薬組成物。
(項目36)
前記がんが肺がんである、項目34または35に記載の使用のための化合物、使用、または医薬組成物。
(項目37)
前記呼吸器状態が非がん性疾患である、項目29に記載の使用のための化合物、項目31に記載の使用、または項目33に記載の医薬組成物。
(項目38)
前記呼吸器状態が、喘息、アレルギーおよびCOPDからなる群から選択される、項目29に記載の使用のための化合物、項目31に記載の使用、または項目33に記載の医薬組成物。
(項目39)
前記呼吸器状態が気道消化器状態である、項目29に記載の使用のための化合物、項目31に記載の使用、または項目33に記載の医薬組成物。
(項目40)
化合物または医薬組成物が鼻腔内または気管内投与用に製剤化される、項目28から39のいずれか一項に記載の使用のための化合物、使用、または医薬組成物。
(項目41)
化合物または医薬組成物が吸入用に製剤化される、項目28から40のいずれか一項に記載の使用のための化合物、使用、または医薬組成物。
(項目42)
化合物または医薬組成物が、1つまたは複数の追加の治療剤とともに投与するために製剤化される、項目28から41のいずれか一項に記載の使用のための化合物、使用、または医薬組成物。
(項目43)
前記1つまたは複数の追加の治療剤が、グルココルチコイド、ベータ-アドレナリン受容体アゴニスト、抗PD-1、抗PD-L1および抗CTLA-4からなる群から選択される、項目42に記載の使用のための化合物、使用、または医薬組成物。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、ビヒクル、化合物50、AZD8848、化合物1A、化合物2Bまたは化合物3Bの鼻腔内投与から5時間後のBALB/CマウスにおけるIP-10マーカーの平均濃度の棒グラフを示す。
【0022】
【
図2】
図2は、処置開始から約50日の期間にわたる、抗PD-L1、または化合物50、AZD8848、化合物1A、化合物2Bもしくは化合物3Bと組み合わせた抗PD-L1で処置された肺腫瘍を有するBALB/Cマウスの群の%生存を比較する線グラフを示す。
【0023】
【
図3】
図3は、腫瘍細胞の注射から30日超の期間にわたる、抗PD-L1、または化合物50、AZD8848、化合物1A、化合物2Bもしくは化合物3Bと組み合わせた抗PD-L1で処置された肺腫瘍を有するBALB/Cマウスで検出された平均生物発光の線グラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示の具体的な実施形態を本明細書で例示し、詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。詳細な説明は、本発明の例示として提供され、本発明のいずれの限定を構成するとも解釈されるべきではない。改変は当業者に自明であり、本発明の精神を逸脱しない全ての改変が、添付の特許請求の範囲の範囲に含まれることを意図している。
用語
【0025】
以下の定義は、定義される用語を明白にするものであり、限定するものではない。本明細書で使用される特定の用語が具体的に定義されていない場合、このような用語は不明確と解釈されるべきではない。むしろ、用語はその許容される意味の範囲内で使用される。
【0026】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、製剤の他の成分と適合性であり、医薬組成物のレシピエントにとって有害でない担体(複数可)、希釈剤(複数可)、賦形剤(複数可)または塩形態を指す。
【0027】
本明細書で使用される場合、「医薬組成物」という用語は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤またはアジュバントと必要に応じて混和された本開示の化合物を指す。医薬組成物は、好ましくは製造および商業化目的に適したものとなるよう環境条件に対する安定性の程度を呈する。
【0028】
本明細書で使用される場合、「有効量」、「治療量」または「有効用量」という用語は、所望の薬理学的効果または治療効果を惹起し、よって障害の有効な予防または処置をもたらすのに十分な有効成分の量を指す。障害の予防は、障害の進行を遅延させるまたは予防する、ならびに障害に関連する症状の開始を遅延させるまたは予防することによって現れ得る。障害の処置は、症状の減少または排除、障害の進行の抑制または逆転、ならびに患者の健康への任意の他の寄与によって現れ得る。
【0029】
有効用量は、患者の状態、障害の症状の重症度、および医薬組成物が投与される方法などの要因に応じて、変化し得る。典型的には、有効用量で投与されるためには、化合物は30mg未満の量で投与される必要がある。通常、化合物は、約1mg重量未満~約100μg未満、時折約10μg~100μg未満の量で投与され得る。一部の実施形態では、用量範囲は、10~10000マイクログラム/用量である。特定の実施形態では、用量範囲は、30~100マイクログラム/用量、30~80マイクログラム/用量または40~75マイクログラム/用量である。一部の実施形態では、用量は60マイクログラム/用量である。前記有効用量は、典型的には、24時間の期間にわたって投与される一もしくは複数用量としてまたは単一用量として投与される量を表す。ヒト患者については、化合物の有効用量が、少なくとも約1マイクログラム/24時間/患者であるが、約2400マイクログラム/24時間/患者以下、通常約500マイクログラム/24時間/患者以下の量で化合物を投与することを必要とし得る。
化合物
【0030】
本開示は、式(I)
【化10】
(式中、
Rは-OH、-SO
2CH
3、-NH
2、-NHAcおよび
【化11】
からなる群から選択され、
A
1は
【化12】
からなる群から選択され、
A
2は
【化13-1】
【化13-2】
からなる群から選択され、
L
1は結合または-(CH
2)
m-であり、
L
2は結合または-(CH
2)
n-であり、
m、n、p、q、r、s、tおよびuは0~4から独立に選択され、
A
1(CH
2)
pが-CH
2CH
2C(=O)OHであり、A
2(CH
2)
qが-CH
2C(=O)OHであり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、RはSO
2CH
3であることができない)
の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0031】
本開示は、式(I)の構造を有する化合物、およびその薬学的に許容される塩
【化14】
(式中、
Rは-OH、-SO
2CH
3、-NH
2、-NHAcおよび
【化15】
からなる群から選択され;
A
1は
【化16】
からなる群から選択され;
A
2は
【化17】
からなる群から選択され;
L
1は結合または-(CH
2)
m-であり;
L
2は結合または-(CH
2)
n-であり;
m、n、p、q、r、s、tおよびuは0~4から独立に選択される)
を提供する。
【0032】
式(I)の一部の実施形態では、A
1(CH
2)
pが-CH
2CH
2C(=O)OHであり、A
2(CH
2)
qが-CH
2C(=O)OHであり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、Rは-OH、-NH
2、-NHAcまたは
【化18】
である。式(I)の一部の実施形態では、A
1(CH
2)
pが-CH
2CH
2C(=O)OHであり、A
2(CH
2)
qが-CH
2C(=O)OHであり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、RはSO
2CH
3であることができない。
【0033】
一部の実施形態では、本開示は、Rが-OHおよび-SO2CH3からなる群から選択される、式(I)の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。ある特定の実施形態では、Rは-OHである。ある特定の実施形態では、Rは-SO2CH3である。
【0034】
一部の実施形態では、本開示は、A
1が
【化19】
からなる群から選択される、式(I)の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。ある特定の実施形態では、A
1は
【化20】
である。ある特定の実施形態では、A
1は
【化21】
である。
【0035】
一部の実施形態では、本開示は、A
2が
【化22】
からなる群から選択される、式(I)の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。ある特定の実施形態では、A
2は
【化23】
である。ある特定の実施形態では、A
2は
【化24】
である。
【0036】
一部の実施形態では、本開示は、L1が結合または-(CH2)m-である、式(I)の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。ある特定の実施形態では、L1は結合である。ある特定の実施形態では、L1は-(CH2)m-である。
【0037】
一部の実施形態では、本開示は、L2が結合または-(CH2)n-である、式(I)の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。ある特定の実施形態では、L2は結合である。ある特定の実施形態では、L2は-(CH2)n-である。
【0038】
一部の実施形態では、本開示は、m、n、p、q、r、s、tおよびuが0~3から独立に選択される、式(I)の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。ある特定の実施形態では、m、n、p、q、r、s、tおよびuは、0~2から独立に選択される。ある特定の実施形態では、m、n、p、q、r、s、tおよびuは、1~4から独立に選択される。ある特定の実施形態では、m、n、p、q、r、s、tおよびuは、1~3から独立に選択される。ある特定の実施形態では、、m、n、p、q、r、s、tおよびuは独立に0である。ある特定の実施形態では、m、n、p、q、r、s、tおよびuは独立に1である。ある特定の実施形態では、m、n、p、q、r、s、tおよびuは独立に2である。ある特定の実施形態では、m、n、p、q、r、s、tおよびuは独立に3である。ある特定の実施形態では、m、n、p、q、r、s、tおよびuは独立に4である。
【0039】
一部の実施形態では、本開示は、mが0である、式(I)の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。ある特定の実施形態では、mは1である。ある特定の実施形態では、nは0である。ある特定の実施形態では、nは1である。ある特定の実施形態では、mおよびnは0である。ある特定の実施形態では、mおよびnは1である。
【0040】
一部の実施形態では、本開示は、pが0である、式(I)の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。ある特定の実施形態では、pは1である。ある特定の実施形態では、pは2である。ある特定の実施形態では、pは3である。
【0041】
一部の実施形態では、本開示は、qが0である、式(I)の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。ある特定の実施形態では、qは1である。ある特定の実施形態では、qは2である。ある特定の実施形態では、qは3である。
【0042】
一部の実施形態では、本開示は、rが0である、式(I)の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。ある特定の実施形態では、rは1である。ある特定の実施形態では、rは2である。ある特定の実施形態では、rは3である。
【0043】
一部の実施形態では、本開示は、sが0である、式(I)の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。ある特定の実施形態では、sは1である。ある特定の実施形態では、sは2である。ある特定の実施形態では、sは3である。
【0044】
一部の実施形態では、本開示は、tが0である、式(I)の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。ある特定の実施形態では、tは1である。ある特定の実施形態では、tは2である。ある特定の実施形態では、tは3である。
【0045】
一部の実施形態では、本開示は、uが0である、式(I)の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。ある特定の実施形態では、uは1である。ある特定の実施形態では、uは2である。ある特定の実施形態では、uは3である。
【0046】
ある特定の実施形態では、本開示は、pが2であり、qが1である、式(I)の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0047】
ある特定の実施形態では、本開示は、Rが-OHまたは-SO2CH3である、式(I)の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0048】
本開示は、以下の特徴:
a)Rが-SO
2CH
3または-OHである;
b)A
1が-CO
2Hである;および
c)A
2が
【化25】
または-CO
2Hである、
のうちの1つ、2つまたは3つを有する、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供し、ここで、A
1(CH
2)
pが-CH
2CH
2C(=O)OHであり、A
2(CH
2)
qが-CH
2C(=O)OHであり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、RはSO
2CH
3であることができない。一部の実施形態では、A
1(CH
2)
pが-CH
2CH
2C(=O)OHであり、A
2(CH
2)
qが-CH
2C(=O)OHであり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、Rは-OH、-NH
2、-NHAcまたは
【化26】
である。
【0049】
本開示は、以下の特徴:
a)Rが-SO
2CH
3または-OHである;
b)A
1が-CO
2Hである;
c)A
2が
【化27】
または-CO
2Hである;
d)pが2である;
e)qが1である;
f)rが2である;
g)sが3である;
h)tが1である;および
i)uが0である、
のうちの1つ、2つもしくは3つまたはそれよりも多くを有する、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供し、ここでA
1(CH
2)
pが-CH
2CH
2C(=O)OHであり、A
2(CH
2)
qが-CH
2C(=O)OHであり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、RはSO
2CH
3であることができない。一部の実施形態では、A
1(CH
2)
pが-CH
2CH
2C(=O)OHであり、A
2(CH
2)
qが-CH
2C(=O)OHであり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、Rは-OH、-NH
2、-NHAcまたは
【化28】
である。
【0050】
本開示は、以下の特徴:
a)Rが-SO
2CH
3である;
b)A
1が-CO
2Hである;および
c)A
2が
【化29】
である、
のうちの1つ、2つまたは3つを有する、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供し、ここでA
1(CH
2)
pが-CH
2CH
2C(=O)OHであり、A
2(CH
2)
qが-CH
2C(=O)OHであり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、RはSO
2CH
3であることができない。一部の実施形態では、A
1(CH
2)
pが-CH
2CH
2C(=O)OHであり、A
2(CH
2)
qが-CH
2C(=O)OHであり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、Rは-OH、-NH
2、-NHAcまたは
【化30】
である。
【0051】
本開示は、以下の特徴:
a)Rが-SO
2CH
3である;
b)A
1が-CO
2Hである;
c)A
2が
【化31】
である;
d)pが2である;
e)qが1である;
f)rが2である;
g)sが3である;
h)tが1である;および
i)uが0である、
のうちの1つ、2つもしくは3つまたはそれよりも多くを有する、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供し、ここでA
1(CH
2)
pが-CH
2CH
2C(=O)OHであり、A
2(CH
2)
qが-CH
2C(=O)OHであり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、RはSO
2CH
3であることができない。一部の実施形態では、A
1(CH
2)
pが-CH
2CH
2C(=O)OHであり、A
2(CH
2)
qが-CH
2C(=O)OHであり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、Rは-OH、-NH
2、-NHAcまたは
【化32】
である。
【0052】
本開示は、以下の特徴:
a)Rが-OHである;
b)A1が-CO2Hである;および
c)A2が-CO2Hである
のうちの1つ、2つまたは3つを有する、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0053】
本開示は、以下の特徴:
a)Rが-OHである;
b)A1が-CO2Hである;
c)A2が-CO2Hである;
d)pが2である;
e)qが1である;
f)rが2である;
g)sが3である;
h)tが1である;および
i)uが0である
のうちの1つ、2つもしくは3つまたはそれよりも多くを有する、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0054】
本開示は、以下の特徴:
a)Rが-OHである;
b)A
1が-CO
2Hである;および
c)A
2が
【化33】
である、
のうちの1つ、2つまたは3つを有する、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供し、ここでA
1(CH
2)
pが-CH
2CH
2C(=O)OHであり、A
2(CH
2)
qが-CH
2C(=O)OHであり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、RはSO
2CH
3であることができない。一部の実施形態では、A
1(CH
2)
pが-CH
2CH
2C(=O)OHであり、A
2(CH
2)
qが-CH
2C(=O)OHであり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、Rは-OH、-NH
2、-NHAcまたは
【化34】
である。
【0055】
本開示は、以下の特徴:
a)Rが-OHである;
b)A
1が-CO
2Hである;
c)A
2が
【化35】
である;
d)pが2である;
e)qが1である;
f)rが2である;
g)sが3である;
h)tが1である;および
i)uが0である、
のうちの1つ、2つもしくは3つまたはそれよりも多くを有する、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供し、ここでA
1(CH
2)
pが-CH
2CH
2C(=O)OHであり、A
2(CH
2)
qが-CH
2C(=O)OHであり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、RはSO
2CH
3であることができない。一部の実施形態では、A
1(CH
2)
pが-CH
2CH
2C(=O)OHであり、A
2(CH
2)
qが-CH
2C(=O)OHであり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、Rは-OH、-NH
2、-NHAcまたは
【化36】
である。
【0056】
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物が、式(Ia)または式(Ib)の化合物
【化37】
(式中、Rは-OH、-SO
2CH
3、-NH
2、-NHAcおよび
【化38】
からなる群から選択され;
p、q、r、s、tおよびuは0~4から独立に選択される)
である。
【0057】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は式(Ia)の化合物であり、ここで、pが2であり、qが1であり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、RはSO
2CH
3であることができない。一部の実施形態では、式(I)の化合物は式(Ia)の化合物であり、ここで、pが2であり、qが1であり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、Rは-OH、-NH
2、-NHAcまたは
【化39】
である。
【0058】
ある特定の実施形態では、本開示は、以下の特徴:
a)Rが-SO2CH3または-OHである;
b)pが2である;
c)qが1である;
d)rが2である;
e)sが3である;
f)tが1である;および
g)uが0である、
のうちの1つ、2つもしくは3つまたはそれよりも多くを有する、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供し、ここでA1(CH2)pが-CH2CH2C(=O)OHであり、A2(CH2)qが-CH2C(=O)OHであり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、RがSO2CH3であることができない。
【0059】
本開示は、A1(CH2)pが-CH2CH2C(=O)OHであり、A2(CH2)qが-CH2C(=O)OHであり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、RはSO2CH3であることができない、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0060】
ある特定の実施形態では、本開示は、以下の特徴:
a)Rが-SO2CH3または-OHである;
b)pが2である;
c)qが1である;
d)rが2である;
e)sが3である;
f)tが1である;および
g)uが0である
のうちの1つ、2つもしくは3つまたはそれよりも多くを有する、式(Ia)、式(Ib)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0061】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は式(Ia)の化合物であり、pが2であり、qが1であり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、RはSO
2CH
3であることができない。一部の実施形態では、式(I)の化合物は式(Ia)の化合物であり、pが2であり、qが1であり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、Rは-OH、-NH
2、-NHAcまたは
【化40】
である。
【0062】
本開示は、以下の特徴:
a)Rが-SO2CH3である;
b)pが2である;
c)qが1である;
d)rが2である;
e)sが3である;
f)tが1である;および
g)uが0である
のうちの1つ、2つもしくは3つまたはそれよりも多くを有する、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供し、ここでA1(CH2)pが-CH2CH2C(=O)OHであり、A2(CH2)qが-CH2C(=O)OHであり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、RはSO2CH3であることができない。
【0063】
本開示は、以下の特徴:
a)Rが-SO2CH3である;
b)pが2である;
c)qが1である;
d)rが2である;
e)sが3である;
f)tが1である;および
g)uが0である
のうちの1つ、2つもしくは3つまたはそれよりも多くを有する、式(Ia)、式(Ib)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0064】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は式(Ia)の化合物であり、pが2であり、qが1であり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、RはSO
2CH
3であることができない。一部の実施形態では、式(I)の化合物は式(Ia)の化合物であり、pが2であり、qが1であり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、Rは、-OH、-NH
2、-NHAcまたは
【化41】
である。
【0065】
本開示は、Rが-OHである、式(Ia)、式(Ib)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0066】
本開示は、以下の特徴:
a)Rが-OHである;
b)pが2である;
c)qが1である;
d)rが2である;
e)sが3である;
f)tが1である;および
g)uが0である
のうちの1つ、2つもしくは3つまたはそれよりも多くを有する、式(Ia)、式(Ib)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0067】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は式(Ia)の化合物であり、pが2であり、qが1であり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、RはSO
2CH
3であることができない。一部の実施形態では、式(I)の化合物は式(Ia)の化合物であり、pが2であり、qが1であり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、Rは、-OH、-NH
2、-NHAcまたは
【化42】
である。
【0068】
ある特定の実施形態では、本開示は、
【化43】
からなる群から選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0069】
ある特定の実施形態では、本開示は、
【化44】
からなる群から選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0070】
一部の実施形態では、化合物が化合物1Aまたはその薬学的に許容される塩である。一部の実施形態では、化合物が化合物2Aまたはその薬学的に許容される塩である。一部の実施形態では、化合物が化合物3Aまたはその薬学的に許容される塩である。一部の実施形態では、化合物が化合物1Bまたはその薬学的に許容される塩である。一部の実施形態では、化合物が化合物2Bまたはその薬学的に許容される塩である。一部の実施形態では、化合物が化合物3Bまたはその薬学的に許容される塩である。
【0071】
ある特定の実施形態では、本開示は、単一エナンチオマーである、式(I)の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。ある特定の実施形態では、(CH2)r-R、(CH2)sCH3および-NHを有する炭素の立体中心が(S)-エナンチオマーである。ある特定の実施形態では、(CH2)r-R、(CH2)sCH3および-NHを有する炭素の立体中心が(R)-エナンチオマーである。
【0072】
別段の指示がない限り、本明細書に示される構造は、1つまたは複数の同位体富化原子の存在においてのみ異なる化合物も含むものも意味する。例えば、水素原子の重水素もしくはトリチウムによる置き換え、または炭素原子の13Cもしくは14Cによる置き換え、または窒素原子の15Nによる置き換え、または酸素原子の17Oもしくは18Oによる置き換えを除いて本構造を有する化合物は、本開示の範囲内にある。このような同位体標識化合物は、研究または診断ツールとして有用である。
一般的合成方法
【0073】
本明細書で述べられるように、本開示は、詳細に本明細書で特定される具体的な代表的な化合物を含む。本開示の化合物は、周知の標準的な合成方法を含む、さまざまな方法によって作製され得る。例示的な一般的合成方法を以下に示し、次いで、本開示の具体的な化合物を実施例で調製する。
【0074】
以下に記載される例の全てで、感受性または反応性基のための保護基が、合成化学の一般原則に従って必要な場合に使用される。保護基は、有機合成の標準的な方法に従って操作される(T. W. Greene and P. G. M. Wuts, Protecting Groups in Organic Synthesis, 3rd Edition, John Wiley & Sons, New York (1999))。これらの基は、当業者に容易に明らかな方法を使用して、化合物合成の好都合な段階で除去される。方法ならびに反応条件およびその実行順序の選択は、本開示の化合物の調製と一致するものとする。
【0075】
化合物中間体および本化合物のための代表的な合成を以下のスキームに示す。
スキーム1:一般的化合物中間体の合成
【化45】
【0076】
スキーム1では、式(A)の化合物を、適切な試薬を使用してホルミル化して、式(B)を得ることができる。次いで、式(B)が、酢酸およびピペリジンの存在下で、式(C)との縮合反応を受けて、式(D)を得ることができる。式(D)を標準的な水素化条件下で還元して、式(E)を得ることができる。式(E)が炭酸グアニジンと反応して、式(F)のようにピリミジン環を形成することができる。式(F)をPOCl
3で処理して、対応する式(G)を得ることができ、これをその後の変換に使用して、本明細書に例示される化合物を得る。
スキーム2:一般的化合物(K)および(L)の合成
【化46】
【0077】
スキーム2では、式(G)の化合物を式(H)のアミンによって置換して、式(I)の一置換化合物と式(J)の二置換化合物の混合物を得ることができる。式(I)の化合物をカルボン酸にさらに加水分解して、式(K)の化合物を得ることができる。式(J)の化合物をテトラゾールにさらに変換して式(L)の化合物を得ることができる。
【0078】
本化合物のための代表的な合成をスキーム3に示す。
スキーム3
【化47】
【0079】
スキーム3では、LGが脱離基であり;R’がHまたはアルキルである。式(A’)の化合物および式(B’)の化合物は商業的に入手可能な出発材料である。あるいは、式(A’)の化合物および式(B’)の化合物は、商業的に入手可能な出発材料および/または従来の合成方法によって調製される出発材料を使用してさまざまな異なる合成経路を介して合成することができる。
【0080】
スキーム3を続けて参照すると、例えば、0℃~室温(20℃)の温度で、テトラヒドロフランまたはN,N-ジメチルホルムアミドなどの適切な溶媒中、式(A’)の化合物を水素化ナトリウムなどの塩基と反応させ、引き続いて式(B’)の化合物を添加することによって、式(C’)の化合物を調製することができる。次いで、反応物を好ましくは、必要に応じてヨウ化カリウムなどの添加剤の存在下で、例えば、50℃~100℃の温度で加熱する。
【0081】
例えば、50℃~150℃の範囲の温度で、メタノールまたはエタノールなどの適切な溶媒中、式(C’)の化合物をグアニジンまたは炭酸グアニジンと反応させることによって、式(D’)の化合物を調製することができる。
【0082】
例えば、50℃~110℃の温度で、式(D’)の化合物をオキシ塩化リンと反応させることによって、式(E’)の化合物を調製することができる。
【0083】
例えば、50℃~150℃の温度で、NMP、ブタノールまたは1,2-ジオキサンなどの適切な溶媒中、式(E)の化合物を過剰な式-NH2CH(CH2)rR(CH2)sCH3のアミンと反応させることによって、式(F’)の化合物を調製することができる。あるいは、例えば、50℃~200℃の温度で、マイクロ波中で反応を実施することができる。
【0084】
例えば、0℃~60℃の温度で、テトラヒドロフランなどの適切な溶媒中、式(F’)の化合物を水素化アルミニウムリチウムなどの還元剤と反応させることによって、式(G’)の化合物を調製することができる。
【0085】
本化合物のための代表的な合成をスキーム4に示す。
スキーム4
【化48】
【0086】
スキーム4に例示されるように、例えば、40℃~100℃の温度で、テトラヒドロフランまたはN,N-ジメチルホルムアミドなどの適切な溶媒中、式(G’)の化合物を酸化マンガンなどの酸化剤と反応させることによって、式(H’)の化合物を調製することができる。
【0087】
式(H’)の化合物を、ウィティッヒ反応を介してR’O-C(O)-CH=PPh3と反応させることによって、式(I’)の化合物を調製することができる。例えば、50℃~150℃の温度で、テトラヒドロフランなどの適切な溶媒中で反応を行うことができる。R’はHまたはアルキルである。
【0088】
水素化条件下、式(I’)の化合物の還元によって、式(J’)の化合物を調製することができる。例えば、20℃~100℃の温度で、酢酸エチルなどの適切な溶媒中、水素雰囲気下、パラジウム炭素などの触媒を用いて反応を行うことができる。
【0089】
本化合物のための代表的な合成をスキーム5に示す。
スキーム5
【化49】
【0090】
スキーム5に例示されるように、例えば、室温~50℃の温度で、塩化メチレンなどの適切な溶媒中、式(G’)の化合物を塩化チオニルなどの塩素化試薬と反応させることによって、式(K’)の化合物を調製することができる。
【0091】
例えば、室温~50℃の温度で、ジメチルスルホキシドまたはN,N-ジメチルホルムアミド(または両溶媒の混合物)などの適切な溶媒中、式(K’)の化合物をシアン化カリウムなどのシアン化物塩と反応させることによって、式(L’)の化合物を調製することができる。
【0092】
アジド-ニトリル環化付加で、式(L’)の化合物をトリメチルシリルアジドなどのアジド試薬と反応させることによって、式(M’)の化合物を調製することができる。例えば、50℃~150℃の温度で、NMPまたはジオキサンなどの適切な溶媒中で反応を実行することができる。ジブチルスズオキシドなどの触媒の存在下で反応を行ってもよい。
【0093】
例えば、0℃~60℃の温度で、アセトンなどの適切な溶媒中、式(M’)の化合物を2-ブロモアセテートなどのアルキル化剤と反応させることによって、式(N’)の化合物を調製することができる。
【0094】
本化合物のための代表的な合成をスキーム6に示す。
スキーム6
【化50】
【0095】
式(K’)の化合物および式(L’)の化合物の調製は、スキーム5で上に記載される。スキーム6に例示されるように、例えば、50℃~200℃の温度で、エタン-1,2-ジオールおよび水(またはこれらの混合物)などの適切な溶媒中、水酸化カリウムなどの塩基を使用するなどして、式(L’)の化合物を加水分解することによって、式(O’)の化合物を調製することができる。
【0096】
本化合物のための代表的な合成をスキーム7に示す。
スキーム7
【化51】
【0097】
式(K’)の化合物の調製は、スキーム5で上に記載される。スキーム7に例示されるように、例えば、50℃~150℃の温度で、適切な溶媒中またはニートで、式(K’)の化合物を亜リン酸トリエチルと反応させることによって、式(P’)の化合物を調製することができる。
【0098】
例えば、室温~60℃の温度で、塩化メチレンなどの適切な溶媒中、式(P’)の化合物をブロモトリメチルシランなどのエチル基を除去する試薬と反応させることによって、式(Q’)の化合物を調製することができる。
【0099】
本化合物のための代表的な合成をスキーム8に示す。
スキーム8
【化52】
【0100】
スキーム8では、LG1およびLG2が脱離基である。式(A’)の化合物および式(B’’)の化合物は商業的に入手可能な出発材料である。あるいは、式(A’)の化合物および式(B’’)の化合物は、商業的に入手可能な出発材料および/または従来の合成方法によって調製される出発材料を使用してさまざまな異なる合成経路を介して合成することができる。
【0101】
スキーム8に例示されるように、例えば、0℃~室温(20℃)の温度で、テトラヒドロフランまたはN,N-ジメチルホルムアミドなどの適切な溶媒中、式(A’)の化合物を水素化ナトリウムなどの塩基と反応させ、引き続いて式(B’’)の化合物を添加することによって、式(C’’)の化合物を調製することができる。次いで、反応物を好ましくは、必要に応じてヨウ化カリウムなどの添加剤の存在下で、例えば、50℃~100℃の温度で加熱する。
【0102】
例えば、50℃~150℃の範囲の温度で、メタノールまたはエタノールなどの適切な溶媒中、式(C’’)の化合物をグアニジンまたは炭酸グアニジンと反応させることによって、式(D’’)の化合物を調製することができる。
【0103】
例えば、50℃~110℃の温度で、式(D’’)の化合物をオキシ塩化リンと反応させることによって、式(E’’)の化合物を調製することができる。
【0104】
例えば、50℃~150℃の温度で、NMP、ブタノールまたは1,2-ジオキサンなどの適切な溶媒中、式(E’’)の化合物を過剰な式NH2CH(CH2)rR(CH2)sCH3のアミンと反応させることによって、式(F’’)の化合物を調製することができる。あるいは、例えば、50℃~200℃の温度で、マイクロ波中で反応を実施することができる。
【0105】
本化合物のための代表的な合成をスキーム9に示す。
スキーム9
【化53】
【0106】
スキーム9に例示されるように、アジド-ニトリル環化付加で、式(F’’)の化合物をトリメチルシリルアジドなどのアジド試薬と反応させることによって、式(G’’)の化合物を調製することができる。LG2は脱離基である。例えば、50℃~150℃の温度で、NMPまたはジオキサンなどの適切な溶媒中で反応を実行することができる。ジブチルスズオキシドなどの触媒の存在下で反応を行ってもよい。
【0107】
本化合物のための代表的な合成をスキーム10に示す。
スキーム10
【化54】
【0108】
スキーム10に例示されるように、例えば、50℃~150℃の温度で、適切な溶媒中またはニートで、式(F’’)の化合物を亜リン酸トリエチルと反応させることによって、式(I’’)の化合物を調製することができる。LG2は脱離基である。
【0109】
例えば、室温~60℃の温度で、塩化メチレンなどの適切な溶媒中、式(I’’)の化合物をブロモトリメチルシランなどのエチル基を除去する試薬と反応させることによって、式(J’’)の化合物を調製することができる。
処置方法
【0110】
式I、Ia、Ib、1A~3Aおよび1B~3Bの化合物、ならびにその薬学的に許容される塩は、医薬品として、特にToll様受容体(特にTLR7)活性のモジュレーターとしての活性を有する。
【0111】
本開示は、呼吸器状態を処置する方法であって、有効量の本開示の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法を提供する。一実施形態では、呼吸器状態が肺がんである。
【0112】
本開示は、呼吸器状態を処置する方法であって、有効量の本開示の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法を提供する。一実施形態では、呼吸器状態が肺がんである。
【0113】
式I、Ia、Ib、1A~3Aおよび1B~3Bの化合物、ならびにその薬学的に許容される塩は、呼吸器管に関連する状態を含む、呼吸器状態の処置に使用され得る。本明細書で使用される場合の呼吸器状態は、がんも含む。以下が本開示によって企図される呼吸器状態の非限定的な例である:
1.呼吸器管:気道の閉塞疾患、例えば、喘息、例えば、気管支喘息、アレルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息、運動誘発喘息、薬物誘発喘息(アスピリンおよびNSAID誘発喘息を含む)および粉塵誘発喘息、間欠的と持続的の両方、および全ての重症度のもの、および気道応答性亢進の他の原因のもの;慢性閉塞性肺疾患(COPD);感染性気管支炎および好酸球性気管支炎を含む気管支炎;気腫;気管支拡張症;嚢胞性線維症;サルコイドーシス;農夫肺および関連疾患;過敏性肺炎;原因不明の線維性肺胞炎、特発性間質性肺炎、抗新生物治療および慢性感染症(結核およびアスペルギルス症および他の真菌感染症を含む)を合併する線維症を含む肺線維症;肺移植の合併症;肺血管系の血管炎性および血栓性障害、および肺高血圧;気道の炎症および分泌状態に関連する慢性咳嗽ならびに医原性咳嗽の処置を含む鎮咳活動;薬物性鼻炎および血管運動性鼻炎を含む急性および慢性鼻炎;神経性鼻炎(花粉症)を含む通年性および季節性アレルギー性鼻炎;鼻ポリープ症;感冒、ならびに呼吸器合抱体ウイルス、インフルエンザ、コロナウイルス(SARSを含む)およびアデノウイルスによる感染症を含む急性ウイルス感染症;および
2.腫瘍学:転移性疾患および腫瘍再発の予防および処置を含む、上気道および下気道、肺、胃腸管(食道を含む)、頭頸部、ならびに耳/鼻/咽喉のがんを含む一般的ながんの処置。
【0114】
特に、式I、Ia、Ib、1A~3Aおよび1B~3Bの化合物、ならびにその薬学的に許容される塩は、呼吸器疾患の処置に使用され得る。一部の実施形態では、呼吸器状態が、がんである。特定の実施形態では、がんが、肺がん、上気道および下気道のがん、頭頸部がん、ならびに耳/鼻/咽喉がんから選択される。一実施形態では、呼吸器状態が肺がんである。代替実施形態では、呼吸器状態が非がん性である。特定の実施形態では、非がん性呼吸器状態が、喘息、アレルギーおよび慢性閉塞性肺疾患(COPD)からなる群から選択される。
【0115】
一部の実施形態では、式I、Ia、Ib、1A~3Aおよび1B~3Bの化合物、ならびにその薬学的に許容される塩が、気道消化器状態に関連する呼吸器状態を処置するために使用され得る。気道消化器状態は、唇、口、舌、鼻、咽喉、声帯、ならびに食道および気管の一部を含む、呼吸器管および消化管の上部分の臓器および組織に関連する状態であり得る。ある特定の実施形態では、気道消化器状態が耳、鼻または咽喉のがんである。
【0116】
一態様では、本開示は、アジュバントとしての、式I、Ia、Ib、1A~3Aもしくは1B~3Bの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。別の態様では、本開示は、がんを処置するための、式I、Ia、Ib、1A~3Aもしくは1B~3Bの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。さらに別の態様では、本開示は、がんを処置するための、およびアジュバントとしての、式I、Ia、Ib、1A~3Aもしくは1B~3Bの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。さらに別の態様では、本開示は、がんを処置するための、および/またはアジュバントとしての、式I、Ia、Ib、1A~3Aもしくは1B~3Bの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0117】
別の態様では、本開示は、呼吸器疾患を処置するための、式I、Ia、Ib、1A~3Aもしくは1B~3Bの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。さらに別の態様では、本開示は、呼吸器状態を処置するための、およびアジュバントとしての、式I、Ia、Ib、1A~3Aもしくは1B~3Bの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。さらに別の態様では、本開示は、呼吸器状態を処置するための、および/またはアジュバントとしての、式I、Ia、Ib、1A~3Aもしくは1B~3Bの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。一部の実施形態では、呼吸器状態が、がんである。より具体的な実施形態では、呼吸器状態が肺がんである。
【0118】
よって、本開示は、治療における使用のための上に定義される式I、Ia、Ib、1A~3Aもしくは1B~3Bの化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0119】
さらなる態様では、本開示は、治療における使用のための医薬の製造における上に定義される式I、Ia、Ib、1A~3Aもしくは1B~3Bの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。特定の実施形態では、医薬は呼吸器疾患を処置するために使用される。
【0120】
本開示は、それを必要とする対象のTLR7調節に関連する呼吸器状態を処置する方法であって、有効量の本開示の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、対象に投与するステップを含む方法を提供する。本開示はまた、TLR7調節に関連する状態の処置における使用のための、本開示の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。本開示は、TLR7調節に関連する状態を処置するための医薬の製造における、本開示の化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。ある特定の実施形態では、呼吸器状態が、がんである。特定の実施形態では、がんが、肺がん、上気道および下気道のがん、頭頸部がん、ならびに耳/鼻/咽喉がんから選択される。他の実施形態では、呼吸器状態が非がん性である。特定の実施形態では、非がん性呼吸器状態が、喘息、アレルギーおよび慢性閉塞性肺疾患(COPD)からなる群から選択される。
【0121】
本明細書に記載される方法の一部の実施形態では、化合物、またはその薬学的に許容される塩が、吸入を介してそれを必要とする対象に投与される。
【0122】
本明細書の文脈において、「治療」という用語は、反対のことを具体的に示さない限り、「予防」も含む。「治療的」および「治療的に」という用語はそれに応じて解釈されるべきである。
【0123】
予防は、当の疾患もしくは状態の以前のエピソードを患った人、またはそれ以外のそのリスクが高いと考えられる人の処置に特に関連すると予想される。特定の疾患または状態を発症するリスクがある人には、一般的に、疾患もしくは状態の家族歴を有する人、または疾患もしくは状態を特に発症しやすいと遺伝子検査もしくはスクリーニングによって特定された人が含まれる。
【0124】
本開示はなおさらに、異常な細胞増殖(例えば、がん)を含むまたはそれから生じる疾患または状態を処置する、またはそのリスクを低下させる方法であって、治療有効量の上に定義される式I、Ia、Ib、1A~3Aもしくは1B~3Bの化合物、またはその薬学的に許容される塩を、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法を提供する。
【0125】
本開示はまた、閉塞性気道疾患または状態(例えば、喘息またはCOPD)を処置する、またはそのリスクを低下させる方法であって、治療有効量の上に定義される式I、Ia、Ib、1A~3Aもしくは1B~3Bの化合物、またはその薬学的に許容される塩を、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法を提供する。
【0126】
上記治療的使用について、投与される投与量は当然、使用される化合物、投与様式、所望の処置および示される障害で変化する。例えば、本開示の化合物の1日投与量は、吸入される場合、約0.05マイクログラム/キログラム体重(μg/kg)~約100マイクログラム/キログラム体重(μg/kg)の範囲内となり得る。あるいは、化合物が経口投与される場合、本開示の化合物の1日投与量は、約0.01マイクログラム/キログラム体重(μg/kg)~約100ミリグラム/キログラム体重(mg/kg)の範囲内となり得る。
医薬組成物
【0127】
式I、Ia、Ib、1A~3Aおよび1B~3Bの化合物、ならびにその薬学的に許容される塩は、単独で使用され得るが、一般的には式I、Ia、Ib、1A~3Aまたは1B~3Bの化合物/塩(有効成分)が薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と一緒に医薬組成物の形態で投与される。適切な医薬製剤の選択および調製のための従来の手順は、例えば、"Pharmaceuticals - The Science of Dosage Form Designs", M. E. Aulton, Churchill Livingstone, 1988に記載される。
【0128】
本開示は、本開示の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。一実施形態では、薬学的に許容される担体がカルボキシメチルセルロース、生理食塩水、水または別の水溶液である。別の実施形態では、薬学的に許容される担体が水中0.1%~5%カルボキシメチルセルロースである。
【0129】
ある特定の実施形態では、投与は、鼻腔内、吸入または気管内であり得る。
【0130】
投与様式に応じて、医薬組成物は、約0.05~約99%w(重量パーセント)、さらに詳細には約0.05~約80%w、なおさらに詳細には約0.10~約70%w、一層さらに詳細には約0.10~約50%wの有効成分を含み、全ての重量パーセンテージは全組成物に基づく。
【0131】
本開示はまた、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と一緒に上に定義される式I、Ia、Ib、1A~3Aもしくは1B~3Bの化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。
【0132】
本開示はさらに、本開示の医薬組成物を調製する方法であって、前に定義される式I、Ia、Ib、1A~3Aもしくは1B~3Bの化合物、またはその薬学的に許容される塩を、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と混合するステップを含む方法を提供する。
【0133】
医薬組成物は、例えば、クリーム、溶液、懸濁液、ヘプタフルオロアルカン(HFA)エアゾールおよび乾燥粉末製剤、例えば、Turbuhaler(登録商標)として公知の吸入器デバイス中の製剤の形態で局所的に(例えば、皮膚または肺および/または気道に);または例えば、錠剤、カプセル剤、シロップ、散剤もしくは顆粒剤の形態で経口投与によって、全身的に;または注射(静脈内、皮下、筋肉内、血管内もしくは注入を含む)用の無菌溶液、懸濁液もしくはエマルジョンの形態で、非経口投与によって;または坐剤の形態で、直腸内投与によって、投与され得る。
【0134】
本開示の化合物(薬学的に許容される塩を含む)の乾燥粉末製剤および加圧HFAエアゾールは、経口または鼻吸入によって投与され得る。吸入のために、化合物は望ましくは微細化される。微細化化合物は、好ましくは10マイクロメートル(μm)未満の質量中央径を有し、C8~C20脂肪酸もしくはその塩(例えば、オレイン酸)、胆汁酸塩、リン脂質、アルキル糖類、過フッ化もしくはポリエトキシ化界面活性剤、または他の薬学的に許容される分散剤などの分散剤の助けを借りて、噴霧剤混合物に懸濁され得る。
【0135】
本開示の化合物はまた、乾燥粉末吸入器によって投与され得る。吸入器は単回または複数回投与吸入器であることができ、呼吸作動式乾燥粉末吸入器であることができる。
【0136】
1つの可能性は、本開示の微細化化合物を担体物質、例えば、単糖、二糖もしくは多糖、糖アルコール、または別のポリオールと混合することである。適切な担体は、糖、例えば、ラクトース、グルコース、ラフィノース、メレチトース、ラクチトール、マルチトール、トレハロース、スクロース、マンニトール;およびデンプンである。あるいは、微細化化合物は別の物質によってコーティングされ得る。粉末混合物はまた、それぞれ所望の用量の活性化合物を含む硬質ゼラチンカプセルに分配され得る。
【0137】
別の可能性は、微細化粉末を、吸入手順中に崩壊する球に加工することである。この球形化粉末は、例えば、投与ユニットが所望の用量を計量し、次いで、これが患者によって吸入されるTurbuhaler(登録商標)として公知の、複数回投与吸入器の薬物リザーバーに充填され得る。このシステムでは、担体物質とともにまたはなしで有効成分が患者に送達される。
組合せ治療
【0138】
本開示の化合物(すなわち、式I、Ia、Ib、1A~3Aおよび1B~3Bの化合物、ならびにその薬学的に許容される塩)はまた、上記状態の処置に使用される他の化合物と合わせて投与され得る。
【0139】
そのため、本開示はさらに、列挙される状態のうちの1つまたは複数を処置するための、本開示の化合物または本開示の化合物を含む医薬組成物もしくは製剤が、別の治療剤と同時にもしくは順次に、または組合せ調製物として投与される、組合せ治療に関する。
【0140】
前に定義される抗がん処置は単独治療として施され得る、または本開示の化合物に加えて、従来の外科手術もしくは放射線治療もしくは化学治療を伴い得る。このような化学治療は、以下の抗腫瘍剤のカテゴリーのうちの1つまたは複数を含み得る:
(i)腫瘍内科学で使用されるような、他の抗増殖/抗新生物薬およびその組合せ、例えば、アルキル化剤(例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、テモゾロミド(temozolamide)およびニトロソウレア);代謝拮抗薬(例えば、ゲムシタビンおよび葉酸代謝拮抗薬、例えば5-フルオロウラシルおよびテガフールなどのフルオロピリミジン、ラルチトレキセド、メトトレキサート、シトシンアラビノシド、ならびにヒドロキシウレア);抗腫瘍抗生物質(例えば、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン-C、ダクチノマイシンおよびミトラマイシンなどのアントラサイクリン);有糸分裂阻害剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンおよびビノレルビンなどのビンカアルカロイド、ならびにタキソールおよびタキソテールなどのタキソイド、ならびにポロキナーゼ阻害剤);およびトポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシドおよびテニポシドなどのエピポドフィロトキシン、アムサクリン、トポテカンならびにカンプトテシン);
(ii)細胞増殖抑制剤、例えば、抗エストロゲン薬(例えば、タモキシフェン、フルベストラント、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェンおよびイドキシフェン(iodoxyfene))、抗アンドロゲン薬(例えば、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミドおよび酢酸シプロテロン)、LHRHアンタゴニストまたはLHRHアゴニスト(例えば、ゴセレリン、リュープロレリンおよびブセレリン)、プロゲストーゲン(例えば、酢酸メゲストロール)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール、レトロゾール、ボラゾールおよびエキセメスタン)および5α-レダクターゼの阻害剤、例えばフィナステリド;
(iii)抗浸潤剤(anti-invasion agent)(例えば、4-(6-クロロ-2,3-メチレンジオキシアニリノ)-7-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]-5-テトラヒドロピラン-4-イルオキシキナゾリン(AZD0530;国際特許出願公開第01/94341号)およびN-(2-クロロ-6-メチルフェニル)-2-{6-[4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル]-2-メチルピリミジン-4-イルアミノ}チアゾール-5-カルボキサミド(ダサチニブ、BMS-354825;J. Med. Chem.. 2004, 47, 6658-6661)などのc-Srcキナーゼファミリー阻害剤、ならびにマリマスタットなどのメタロプロテイナーゼ阻害剤、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子受容体機能の阻害剤またはヘパラナーゼに対する抗体);
(iv)増殖因子機能の阻害剤:例えば、このような阻害剤には、増殖因子抗体および増殖因子受容体抗体(例えば、抗erbB2抗体トラスツズマブ[Herceptin(商標)]、抗EGFR抗体パニツムマブ、抗erbB1抗体セツキシマブ[Erbitux、C225]およびStern et al. Critical reviews in oncology/haematology, 2005, Vol. 54, ppl 1-29によって開示される任意の増殖因子または増殖因子受容体抗体)が含まれ;このような阻害剤には、チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、上皮増殖因子ファミリーの阻害剤(例えば、N-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-7-メトキシ-6-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン-4-アミン(ゲフィチニブ、ZD1839)、N-(3-エチニルフェニル)-6,7-ビス(2-メトキシエトキシ)キナゾリン-4-アミン(エルロチニブ、OSI-774)および6-アクリルアミド-N-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-7-(3-モルホリノプロポキシ)-キナゾリン-4-アミン(CI1033)などのEGFRファミリーチロシンキナーゼ阻害剤、ラパチニブなどのerbB2チロシンキナーゼ阻害剤、肝細胞増殖因子ファミリーの阻害剤、イマチニブなどの血小板由来増殖因子ファミリーの阻害剤、セリン/トレオニンキナーゼの阻害剤(例えば、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えばソラフェニブ(BAY43-9006)などのRas/Rafシグナル伝達阻害剤)、MEKおよび/またはAKTキナーゼを通した細胞シグナル伝達の阻害剤、肝細胞増殖因子ファミリーの阻害剤、c-kit阻害剤、ablキナーゼ阻害剤、IGF受容体(インスリン様増殖因子)キナーゼ阻害剤;オーロラキナーゼ阻害剤(例えば、AZDl 152、PH739358、VX-680、MLN8054、R763、MP235、MP529、VX-528およびAX39459)ならびにCDK2および/またはCDK4阻害剤などのサイクリン依存性キナーゼ阻害剤も含まれる;
(v)抗血管新生剤、例えば、血管内皮増殖因子の効果を阻害するもの[例えば、抗血管内皮細胞増殖因子抗体ベバシズマブ(Avastin(商標))ならびに4-(4-ブロモ-2-フルオロアニリノ)-6-メトキシ-7-(1-メチルピペリジン-4-イルメトキシ)キナゾリン(ZD6474;国際公開第01/32651号内の実施例2)、4-(4-フルオロ-2-メチルインドール-5-イルオキシ)-6-メトキシ-7-(3-ピロリジン-1-イルプロポキシ)キナゾリン(AZD2171;国際公開第00/47212号内の実施例240)、バタラニブ(PTK787;国際公開第98/35985号)およびSUl 1248(スニチニブ;国際公開第01/60814号)などのVEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤、国際公開第97/22596号、国際公開第97/30035号、国際公開第97/32856号および国際公開第98/13354号に開示される化合物などの化合物、ならびに他の機構によって作用する化合物(例えば、リノミド、インテグリンαvβ3機能の阻害剤およびアンジオスタチン)];
(vi)血管損傷剤、例えば、コンブレタスタチンA4ならびに国際公開第99/02166号、国際公開第00/40529号、国際公開第00/41669号、国際公開第01/92224号、国際公開第02/04434号および国際公開第02/08213号に開示される化合物;
(vii)アンチセンス治療、例えば、ISIS 2503、抗rasアンチセンスなどの上に列挙される標的に向けられるもの;
(viii)例えば、異常p53または異常BRCA1もしくはBRCA2などの異常遺伝子を置き換えるアプローチ、シトシンデアミナーゼ、チミジンキナーゼまたは細菌ニトロレダクターゼ酵素を使用したアプローチなどのGDEPT(遺伝子指向性酵素プロドラッグ治療)アプローチ、および多剤耐性遺伝子治療などの化学治療または放射線治療に対する患者の忍容性を増加させるアプローチを含む遺伝子治療アプローチ;
(ix)例えば、インターロイキン2、インターロイキン4または顆粒球マクロファージコロニー刺激因子などのサイトカインのトランスフェクションなどの、患者腫瘍細胞の免疫原性を増加させるex vivoおよびin vivoアプローチ、T細胞アネルギーを減少させるアプローチ、サイトカイントランスフェクト樹状細胞などのトランスフェクト免疫細胞を使用したアプローチ、サイトカイントランスフェクト腫瘍細胞株を使用したアプローチ、ならびに抗イディオタイプ抗体を使用したアプローチを含む免疫治療アプローチ;
(x)それだけに限らないが、PD-1/PD-L1、CTLA-4、TIM-3、LAG-3、OX-40、GITR、VISTA、4-1BB、CD40、TIGIT、BTLAに対する抗体を含むチェックポイント阻害剤;
(xi)それだけに限らないが、BRAF、EGFR、ALK、RAS、RAF、VEGF、HER、c-MET、MEK、FGFR、BCR-ABL、PI3Kの小分子またはモノクローナル抗体阻害剤を含むキナーゼ阻害剤;
(xii)それだけに限らないが、IDO、TDO、GLS、IDH、アルギナーゼ、アデノシン受容体、CD73、CD39の阻害剤を含むがん/免疫代謝の阻害剤;
(xiii)それだけに限らないが、HDAC、ブロモドメイン、メチルトランスフェラーゼの阻害剤を含むエピジェネティックモジュレーター;
(xiv)それだけに限らないが、Smo、Wnt、YAPを含む発生経路モジュレーター;
(xv)それだけに限らないが、腫瘍溶解性ウイルス、BCG、CART、サイトカインを含む他の抗がんまたは腫瘍免疫生物製剤;および
(xv)それだけに限らないが、PD-1抗体およびPD-L1抗体を含む抗体。
【0141】
さらに、炎症性疾患、COPD、喘息およびアレルギー性鼻炎を処置するために、本開示の化合物は、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)阻害剤、例えば抗TNFモノクローナル抗体(例えば、Remicade、CDP-870およびアダリムマブ)およびTNF受容体免疫グロブリン分子(Enbrelなど);局所的または全身的のいずれで施用されるにせよ、非選択的シクロオキシゲナーゼCOX-1/COX-2阻害剤(ピロキシカム、ジクロフェナク、プロピオン酸、例えば、ナプロキセン、フルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェンおよびイブプロフェン、メフェナム酸などのフェナメート、インドメタシン、スリンダク、アザプロパゾン、フェニルブタゾンなどのピラゾロン、アスピリンなどのサリチル酸エステル)、COX-2阻害剤(メロキシカム、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ(lumarocoxib)、パレコキシブおよびエトリコキシブなど);副腎皮質ステロイド;糖質コルチコステロイド(局所、経口、筋肉内、静脈内または関節内経路のいずれによって投与されるにせよ);ベータアゴニスト;抗ヒスタミン;メトトレキサート、レフルノミド(lefunomide);ヒドロキシクロロキン、d-ペニシラミン、オーラノフィンまたは他の非経口もしくは経口金調製物などの薬剤と組み合わせられ得る。
【0142】
本開示はなおさらに、それだけに限らないが、TLR(Toll様受容体);NLR(Nod様受容体);CLR(C型レクチン受容体);RLR(RIG-I様受容体);およびSTING(インターフェロン遺伝子の刺激因子)を含むクラスの受容体を標的化する他の自然免疫アゴニストに関する。
【0143】
本開示はなおさらに、本開示の化合物と、ロイコトリエン生合成阻害剤、5-リポキシゲナーゼ(5-LO)阻害剤または5-リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)アンタゴニスト、例えば;ジレウトン;ABT-761;フェンレウトン;テポキサリン;Abbott-79175;Abbott-85761;N-(5-置換)-チオフェン-2-アルキルスルホンアミド;2,6-ジ-tert-ブチルフェノールヒドラゾン;Zeneca ZD-2138などのメトキシテトラヒドロピラン;化合物SB-210661;L-739010などのピリジニル置換2-シアノナフタレン化合物;L-746530などの2-シアノキノリン化合物;またはMK-591、MK-886およびBAYx1005などのインドールもしくはキノリン化合物との組合せに関する。
【0144】
本開示はさらに、本開示の化合物と、L-651392などのフェノチアジン-3-オン;CGS-25019cなどのアミジノ化合物;オンタゾラストなどのベンゾキサラミン;BIIL284/260などのベンゼンカルボキシイミドアミド;ならびにザフィルルカスト、アブルカスト、モンテルカスト、プランルカスト、ベルルカスト(MK-679)、RG-12525、Ro-245913、イラルカスト(CGP45715A)およびBAYx7195などの化合物からなる群から選択されるロイコトリエン(LTB4、LTC4、LTD4およびLTE4)の受容体アンタゴニストとの組合せに関する。
【0145】
本開示はなおさらに、本開示の化合物と、テオフィリンおよびアミノフィリンを含むメチルキサンチン(methylxanthanine);PDE4阻害剤、アイソフォームPDE4Dの阻害剤、またはPDE5の阻害剤を含む選択的PDEアイソザイム阻害剤などのホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤との組合せに関する。
【0146】
本開示はさらに、経口的、局所的または非経口的に施用される、本開示の化合物と、セチリジン、ロラタジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、アクリバスチン、テルフェナジン、アステミゾール、アゼラスチン、レボカバスチン、クロルフェニラミン、プロメタジン、シクリジンまたはミゾラスチンなどのヒスタミン1型受容体アンタゴニストとの組合せに関する。
【0147】
本開示はなおさらに、本開示の化合物と胃保護ヒスタミン2型受容体アンタゴニストとの組合せに関する。
【0148】
本開示はさらに、本開示の化合物とヒスタミン4型受容体のアンタゴニストとの組合せに関する。
【0149】
本開示はなおさらに、本開示の化合物と、アルファ-1/アルファ-2アドレナリン受容体アゴニスト血管収縮交感神経刺激剤、例えば、プロピルヘキセドリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、エフェドリン、プソイドエフェドリン、塩酸ナファゾリン、塩酸オキシメタゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸キシロメタゾリン、塩酸トラマゾリンまたは塩酸エチルノルエピネフリンとの組合せに関する。
【0150】
本開示はさらに、本開示の化合物と、ムスカリン受容体(M1、M2およびM3)アンタゴニスト、例えば、アトロピン、ヒヨスチン、グリコピロレート(glycopyrrrolate)、イプラトロピウム臭化物、チオトロピウム臭化物、オキシトロピウム臭化物、ピレンゼピンまたはテレンゼピンを含む抗コリン剤との組合せに関する。
【0151】
本開示はなおさらに、本開示の化合物と、ベータ-アドレナリン受容体アゴニスト(ベータ受容体サブタイプ1~4を含む)、例えば、イソプレナリン、サルブタモール、ホルモテロール、サルメテロール、テルブタリン、オルシプレナリン、メシル酸ビトルテロールおよびピルブテロールとの組合せに関する。
【0152】
本開示はさらに、本開示の化合物と、クロモン、例えば、クロモグリク酸ナトリウムまたはネドクロミルナトリウムとの組合せに関する。
【0153】
本開示はなおさらに、本開示の化合物とインスリン様増殖因子I型(IGF-I)模倣物との組合せに関する。
【0154】
本開示はなおさらに、本開示の化合物と、グルココルチコイド、例えば、フルニソリド、トリアムシノロンアセトニド、ベクロメタゾンジプロピオン酸エステル、ブデソニド、フルチカゾンプロピオン酸エステル、シクレソニドまたはモメタゾンフランカルボン酸エステルとの組合せに関する。
【0155】
本開示はなおさらに、本開示の化合物と、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)、すなわち、ストロメライシン、コラゲナーゼおよびゼラチナーゼ、ならびにアグリカナーゼ;特にコラゲナーゼ-1(MMP-I)、コラゲナーゼ-2(MMP-8)、コラゲナーゼ-3(MMP-13)、ストロメライシン-1(MMP-3)、ストロメライシン-2(MMP-IO)、およびストロメライシン-3(MMP-11)およびMMP-9およびMMP-12の阻害剤との組合せに関する。
【0156】
本開示はなおさらに、本開示の化合物と、ケモカイン受容体機能のモジュレーター、例えば、CCR1、CCR2、CCR2A、CCR2B、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCRlOおよびCCRl 1(C-Cファミリーについて);CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4およびCXCR5(C-X-Cファミリーについて)ならびにC-X3-CファミリーについてCX3CR1のアンタゴニストとの組合せに関する。
【0157】
本開示はなおさらに、本開示の化合物と、アルファ-、ベータ-およびガンマ-インターフェロン;IL1~15を含むインターロイキン(IL)、ならびにサイトカインシグナル伝達経路に作用する薬剤を含むインターロイキンアンタゴニストまたは阻害剤を含むサイトカインまたはサイトカイン機能のモジュレーターとの組合せに関する。
【0158】
本開示はなおさらに、本開示の化合物と、免疫グロブリン(Ig)またはIg調製物またはアンタゴニストまたは抗IgE(オマリズマブ)などのIg機能を調節する抗体との組合せに関する。
【0159】
本開示はさらに、本開示の化合物と、別の全身または局所施用抗炎症剤、例えば、サリドマイドもしくはその誘導体、レチノイド、ジトラノールまたはカルシポトリオールとの組合せに関する。
【0160】
本開示はさらに、本開示の化合物と、ペニシリン誘導体、テトラサイクリン、マクロライド、ベータ-ラクタム、フルオロキノロン、メトロニダゾール、吸入アミノグリコシドなどの抗菌剤;アシクロビル、ファムシクロビル、バラシクロビル、ガンシクロビル、シドフォビル、アマンタジン、リマンタジン、リバビリン、ザナマビルおよびオセルタミビル(oseltamavir)を含む抗ウイルス剤;インジナビル、ネルフィナビル、リトナビルおよびサキナビルなどのプロテアーゼ阻害剤;ジダノシン、ラミブジン、スタブジン、ザルシタビンもしくはジドブジンなどのヌクレオシド逆転写酵素阻害剤;またはネビラピンもしくはエファビレンツなどの非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤との組合せに関する。
【0161】
さらなる態様では、本開示は、上に定義される式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩と
・非ステロイドグルココルチコイド受容体(GR-受容体)アゴニスト;
・選択的β2アドレナリン受容体アゴニスト(メタプロテレノール、イソプロテレノール、イソプレナリン、アルブテロール、サルブタモール、ホルモテロール、サルメテロール、テルブタリン、オルシプレナリン、メシル酸ビトルテロール、ピルブテロールまたはインダカテロールなど);
・ホスホジエステラーゼ阻害剤(PDE4阻害剤など);
・プロテアーゼ阻害剤(好中球エラスターゼまたはマトリックスメタロプロテアーゼMMP-12阻害剤など);
・グルココルチコイド;
・抗コリン剤;
・ケモカイン受容体機能のモジュレーター(CCR1受容体アンタゴニストなど);および
・キナーゼ機能(キナーゼp38またはIKKなど)の阻害剤
から独立に選択される1つまたは複数の薬剤との(例えば、COPD、喘息またはアレルギー性鼻炎を処置するための)組合せを提供する。
【0162】
本開示はまた、治療において同時、順次または別個に使用するための、上に定義される式I、Ia、Ib、1A~3Aもしくは1B~3Bの化合物、またはその薬学的に許容される塩である第1の有効成分の調製物と、
・非ステロイドグルココルチコイド受容体(GR-受容体)アゴニスト;
・選択的β2アドレナリン受容体アゴニスト;
・ホスホジエステラーゼ阻害剤;
・プロテアーゼ阻害剤;
・グルココルチコイド;
・抗コリン剤;
・ケモカイン受容体機能のモジュレーター;または
・キナーゼ機能の阻害剤
である第2の有効成分の調製物とを組み合わせて含む医薬製品を提供する。
【0163】
別の態様では、本開示は、上に定義される式I、Ia、Ib、1A~3Aもしくは1B~3Bの化合物、またはその薬学的に許容される塩である第1の有効成分の調製物と、
・非ステロイドグルココルチコイド受容体(GR-受容体)アゴニスト;
・選択的β2アドレナリン受容体アゴニスト;
・ホスホジエステラーゼ阻害剤;
・プロテアーゼ阻害剤;
・グルココルチコイド;
・抗コリン剤;
・ケモカイン受容体機能のモジュレーター;または
・キナーゼ機能の阻害剤
である第2の有効成分の調製物と、使用説明書とを含む、それを必要とする患者に同時、順次または別個に調製物を投与するためのキットを提供する。
【0164】
一実施形態では、本開示は、式I、Ia、Ib、1A~3Aもしくは1B~3Bの化合物、またはその薬学的に許容される塩と、少なくとも1つまたは複数の追加の治療剤とを含む医薬組成物を提供する。特定の実施形態では、少なくとも1つまたは複数の追加の治療剤が、グルココルチコイド、ベータ-アドレナリン受容体アゴニスト、抗PD-1、抗PD-L1および抗CTLA-4からなる群から選択される。
例示的実施形態
【0165】
実施形態I-1.式(I)
【化55】
(式中、
Rは-OH、-SO
2CH
3、-NH
2、-NHAcおよび
【化56】
からなる群から選択され、
A
1は
【化57】
からなる群から選択され、
A
2は
【化58】
からなる群から選択され、
L
1は結合または-(CH
2)
m-であり、
L
2は結合または-(CH
2)
n-であり、
m、n、p、q、r、s、tおよびuは0~4から独立に選択され、
A
1(CH
2)
pが-CH
2CH
2C(=O)OHであり、A
2(CH
2)
qが-CH
2C(=O)OHであり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、RはSO
2CH
3であることができない)
の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0166】
実施形態I-2.前記式(I)の化合物が式(Ia)または式(Ib)の化合物
【化59】
である、実施形態I-1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0167】
実施形態I-3.pが2であり、qが1である、実施形態I-1またはI-2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0168】
実施形態I-4.Rが-OHまたは-SO2CH3である、実施形態I-1からI-3のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0169】
実施形態I-5.前記化合物が単一エナンチオマーである、実施形態I-1からI-4のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0170】
実施形態I-6.
【化60-1】
【化60-2】
からなる群から選択される、実施形態I-1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0171】
実施形態I-7.実施形態I-1からI-6のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【0172】
実施形態I-8.前記薬学的に許容される担体が、カルボキシメチルセルロース、生理食塩水、水または別の水溶液である、実施形態I-7に記載の医薬組成物。
【0173】
実施形態I-9.水中0.1%~5%のカルボキシメチルセルロースを含む、実施形態I-7に記載の医薬組成物。
【0174】
実施形態I-10.少なくとも1つまたは複数の追加の治療剤をさらに含む、実施形態I-7に記載の医薬組成物。
【0175】
実施形態I-11.前記少なくとも1つまたは複数の追加の治療剤が、グルココルチコイド、ベータ-アドレナリン受容体アゴニスト、抗PD-1、抗PD-L1および抗CTLA-4からなる群から選択される、実施形態I-10に記載の医薬組成物。
【0176】
実施形態I-12.呼吸器状態を処置する方法であって、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩:
【化61】
(式中、
Rは-OH、-SO
2CH
3、-NH
2、-NHAcおよび
【化62】
からなる群から選択され、
A
1は
【化63】
からなる群から選択され、
A
2は
【化64】
からなる群から選択され、
L
1は結合または-(CH
2)
m-であり、
L
2は結合または-(CH
2)
n-であり、
m、n、p、q、r、s、tおよびuは0~4から独立に選択され、
A
1(CH
2)
pが-CH
2CH
2C(=O)OHであり、A
2(CH
2)
qが-CH
2C(=O)OHであり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、RはSO
2CH
3であることができない)
を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法。
【0177】
実施形態I-13.前記化合物が、
【化65】
またはその薬学的に許容される塩からなる群から選択される、実施形態I-12に記載の方法。
【0178】
実施形態I-14.前記化合物が、
【化66】
またはその薬学的に許容される塩からなる群から選択される、実施形態I-13に記載の方法。
【0179】
実施形態I-15.呼吸器状態を処置する方法であって、有効量の実施形態I-7からI-11のいずれか一項に記載の医薬組成物を、対象に投与するステップを含む方法。
【0180】
実施形態I-16.前記呼吸器状態が、がんである、実施形態I-12からI-15のいずれか一項に記載の方法。
【0181】
実施形態I-17.前記がんが、肺がん;頭頸部がん;耳、鼻または咽喉がん;および上気道または下気道のがんからなる群から選択される、実施形態I-16に記載の方法。
【0182】
実施形態I-18.前記がんが肺がんである、実施形態I-16に記載の方法。
【0183】
実施形態I-19.前記呼吸器状態が非がん性疾患である、実施形態I-12からI-15のいずれか一項に記載の方法。
【0184】
実施形態I-20.前記呼吸器状態が、喘息、アレルギーおよびCOPDからなる群から選択される、実施形態I-18に記載の方法。
【0185】
実施形態I-21.前記呼吸器状態が気道消化器状態である、実施形態I-12からI-15のいずれか一項に記載の方法。
【0186】
実施形態I-22.前記投与が鼻腔内または気管内である、実施形態I-12からI-21のいずれか一項に記載の方法。
【0187】
実施形態I-23.前記対象が前記化合物を吸入する、実施形態I-12からI-21のいずれか一項に記載の方法。
【0188】
実施形態I-24.前記化合物が1つまたは複数の追加の治療剤と組み合わせて投与される、実施形態I-12からI-23のいずれか一項に記載の方法。
【0189】
実施形態I-25.前記1つまたは複数の追加の治療剤が、グルココルチコイド、ベータ-アドレナリン受容体アゴニスト、抗PD-1、抗PD-L1および抗CTLA-4からなる群から選択される、実施形態I-24に記載の方法。
【0190】
実施形態I-26.治療における使用のための、実施形態I-1からI-6のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0191】
実施形態I-27.呼吸器疾患の処置における使用のための、実施形態I-1からI-6のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0192】
実施形態I-28.肺がんの処置における使用のための、実施形態I-1からI-6のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0193】
実施形態I-29.医薬の製造における、実施形態I-1からI-6のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用。
【0194】
実施形態I-30.前記医薬が呼吸器疾患を処置するために使用される、実施形態I-29に記載の使用。
【0195】
実施形態I-31.前記医薬が肺がんを処置するために使用される、実施形態I-29に記載の使用。
【0196】
実施形態I-32.治療における使用のための実施形態I-7からI-11のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0197】
実施形態I-33.呼吸器疾患の処置における使用のための実施形態I-7からI-11のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0198】
実施形態I-34.肺がんの処置における使用のための実施形態I-7からI-11のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0199】
実施形態II-1.式(I)
【化67】
(式中、
Rは-OH、-SO
2CH
3、-NH
2、-NHAcおよび
【化68】
からなる群から選択され、
A
1は
【化69】
からなる群から選択され、
A
2は
【化70】
からなる群から選択され、
L
1は結合または-(CH
2)
m-であり、
L
2は結合または-(CH
2)
n-であり、
m、n、p、q、r、s、tおよびuは0~4から独立に選択され、
A
1(CH
2)
pが-CH
2CH
2C(=O)OHであり、A
2(CH
2)
qが-CH
2C(=O)OHであり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、Rは-OH、-NH
2、-NHAcまたは
【化71】
である)
の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0200】
実施形態II-2.前記式(I)の化合物が式(Ia)または式(Ib)の化合物
【化72】
(式中、Rは-OH、-SO
2CH
3、-NH
2、-NHAcおよび
【化73】
からなる群から選択され、
p、q、r、s、tおよびuは0~4から独立に選択され、
前記化合物が式(Ia)の化合物であり、pが2であり、qが1であり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、Rは-OH、-NH
2、-NHAcまたは
【化74】
である)、
である、実施形態II-1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0201】
実施形態II-3.pが2であり、qが1である、実施形態II-1またはII-2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0202】
実施形態II-4.Rが-OHである、実施形態II-1からII-3のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0203】
実施形態II-5.Rが-SO
2CH
3であり、
前記化合物が式(Ia)の化合物であり、pが2であり、qが1であり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、Rは-OH、-NH
2、-NHAcまたは
【化75】
である、
実施形態II-1からII-3のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0204】
実施形態II-6.前記化合物が単一エナンチオマーである、実施形態II-1からII-5のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0205】
実施形態II-7.
【化76】
からなる群から選択される、実施形態II-1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0206】
実施形態II-8.実施形態II-1からII-7のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【0207】
実施形態II-9.前記薬学的に許容される担体が、カルボキシメチルセルロース、生理食塩水、水または別の水溶液である、実施形態II-8に記載の医薬組成物。
【0208】
実施形態II-10.水中0.1%~5%のカルボキシメチルセルロースを含む、実施形態II-8またはII-9に記載の医薬組成物。
【0209】
実施形態II-11.少なくとも1つまたは複数の追加の治療剤をさらに含む、実施形態II-8からII-10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0210】
実施形態II-12.前記少なくとも1つまたは複数の追加の治療剤が、グルココルチコイド、ベータ-アドレナリン受容体アゴニスト、抗PD-1、抗PD-L1および抗CTLA-4からなる群から選択される、実施形態II-11に記載の医薬組成物。
【0211】
実施形態II-13.吸入用に製剤化されている、実施形態II-8からII-12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0212】
実施形態II-14.呼吸器状態を処置する方法であって、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩:
【化77】
(式中、
Rは-OH、-SO
2CH
3、-NH
2、-NHAcおよび
【化78】
からなる群から選択され、
A
1は
【化79】
からなる群から選択され、
A
2は
【化80-1】
【化80-2】
からなる群から選択され、
L
1は結合または-(CH
2)
m-であり、
L
2は結合または-(CH
2)
n-であり、
m、n、p、q、r、s、tおよびuは0~4から独立に選択され、
A
1(CH
2)
pが-CH
2CH
2C(=O)OHであり、A
2(CH
2)
qが-CH
2C(=O)OHであり、rが2であり、sが3であり、tが1であり、uが0である場合、Rは-OH、-NH
2、-NHAcまたは
【化81】
である)
を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法。
【0213】
実施形態II-15.前記式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩が、
【化82-1】
【化82-2】
またはその薬学的に許容される塩からなる群から選択される、実施形態II-14に記載の方法。
【0214】
実施形態II-16.前記式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩が、
【化83】
またはその薬学的に許容される塩からなる群から選択される、実施形態II-14またはII-15に記載の方法。
【0215】
実施形態II-17.呼吸器状態を処置する方法であって、有効量の実施形態II-8からII-13のいずれか一項に記載の医薬組成物を、対象に投与するステップを含む方法。
【0216】
実施形態II-18.前記呼吸器状態が、がんである、実施形態II-14からII-17のいずれか一項に記載の方法。
【0217】
実施形態II-19.前記がんが、肺がん;頭頸部がん;耳、鼻または咽喉がん;および上気道または下気道のがんからなる群から選択される、実施形態II-18に記載の方法。
【0218】
実施形態II-20.前記がんが肺がんである、実施形態II-18またはII-19に記載の方法。
【0219】
実施形態II-21.前記呼吸器状態が非がん性疾患である、実施形態II-14からII-17のいずれか一項に記載の方法。
【0220】
実施形態II-22.前記呼吸器状態が、喘息、アレルギーおよびCOPDからなる群から選択される、実施形態II-14からII-17またはII-21のいずれか一項に記載の方法。
【0221】
実施形態II-23.前記呼吸器状態が気道消化器状態である、実施形態II-14からII-17またはII-21のいずれか一項に記載の方法。
【0222】
実施形態II-24.前記投与が鼻腔内または気管内である、実施形態II-14からII-23のいずれか一項に記載の方法。
【0223】
実施形態II-25.前記対象が前記化合物を吸入する、実施形態II-14からII-24のいずれか一項に記載の方法。
【0224】
実施形態II-26.前記化合物が1つまたは複数の追加の治療剤と組み合わせて投与される、実施形態II-14からII-25のいずれか一項に記載の方法。
【0225】
実施形態II-27.前記1つまたは複数の追加の治療剤が、グルココルチコイド、ベータ-アドレナリン受容体アゴニスト、抗PD-1、抗PD-L1および抗CTLA-4からなる群から選択される、実施形態II-26に記載の方法。
【0226】
実施形態II-28.治療における使用のための、実施形態II-1からII-7のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0227】
実施形態II-29.呼吸器状態の処置における使用のための、実施形態II-1からII-7のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0228】
実施形態II-30.医薬の製造における、実施形態II-1からII-7のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用。
【0229】
実施形態II-31.前記医薬が呼吸器状態を処置するために使用される、実施形態II-30に記載の使用。
【0230】
実施形態II-32.治療における使用のための、実施形態II-8からII-13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0231】
実施形態II-33.呼吸器状態の処置における使用のための、実施形態II-8からII-12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0232】
実施形態II-34.前記呼吸器状態が、がんである、実施形態II-29に記載の使用のための化合物、実施形態II-31に記載の使用、または実施形態II-33に記載の医薬組成物。
【0233】
実施形態II-35.前記がんが、肺がん;頭頸部がん;耳、鼻または咽喉がん;および上気道または下気道のがんからなる群から選択される、実施形態II-34に記載の使用のための化合物、使用、または医薬組成物。
【0234】
実施形態II-36.前記がんが肺がんである、実施形態II-34またはII-35に記載の使用のための化合物、使用、または医薬組成物。
【0235】
実施形態II-37.前記呼吸器状態が非がん性疾患である、実施形態II-29に記載の使用のための化合物、実施形態II-31に記載の使用、または実施形態II-33に記載の医薬組成物。
【0236】
実施形態II-38.前記呼吸器状態が、喘息、アレルギーおよびCOPDからなる群から選択される、実施形態II-29に記載の使用のための化合物、実施形態II-31に記載の使用、または実施形態II-33に記載の医薬組成物。
【0237】
実施形態II-39.前記呼吸器状態が気道消化器状態である、実施形態II-29に記載の使用のための化合物、実施形態II-31に記載の使用、または実施形態II-33に記載の医薬組成物。
【0238】
実施形態II-40.化合物または医薬組成物が鼻腔内または気管内投与用に製剤化される、実施形態II-28からII-39のいずれか一項に記載の使用のための化合物、使用、または医薬組成物。
【0239】
実施形態II-41.化合物または医薬組成物が吸入用に製剤化される、実施形態II-28からII-40のいずれか一項に記載の使用のための化合物、使用、または医薬組成物。
【0240】
実施形態II-42.化合物または医薬組成物が、1つまたは複数の追加の治療剤とともに投与するために製剤化される、実施形態II-28からII-41のいずれか一項に記載の使用のための化合物、使用、または医薬組成物。
【0241】
実施形態II-43.前記1つまたは複数の追加の治療剤が、グルココルチコイド、ベータ-アドレナリン受容体アゴニスト、抗PD-1、抗PD-L1および抗CTLA-4からなる群から選択される、実施形態II-42に記載の使用のための化合物、使用、または医薬組成物。
【実施例】
【0242】
以下の実施例は本開示を例示するために提供され、これを限定するものと解釈されるべきでない。これらの実施例では、別段の指示がない限り、全ての部およびパーセンテージは重量による。実施例中の略語を以下に述べる。
【表1】
化学合成実施例
(合成実施例1A)
中間体:3-(2-アミノ-6-クロロ-5-(5-(シアノメチル)-2-メトキシベンジル)ピリミジン-4-イル)プロパン酸の合成
【化84】
ステップ1:2-(3-ホルミル-4-メトキシフェニル)アセトニトリル
【0243】
2-(4-メトキシフェニル)アセトニトリル(1.0当量)、ジクロロ(メトキシ)メタン(1.3当量)の無水DCM(0.2M)中溶液に、窒素下、0℃でTiCl4(2.0当量)を添加した。反応物を0℃で30分間撹拌し、次いで、2.5N HClでクエンチした。有機層を乾燥させ、濃縮して、標題化合物を淡黄色固体として得た。
ステップ2:ジエチル(E)-2-(5-(シアノメチル)-2-メトキシベンジリデン)-3-オキソヘキサンジオエート
【0244】
2-(3-ホルミル-4-メトキシフェニル)アセトニトリル(1.0当量)およびジエチル3-オキソヘキサンジオエート(1.2当量)のトルエン(0.4M)中溶液に、触媒量のピペリジンおよび酢酸を添加した。反応混合物を150℃で3日間加熱し、次いで、濃縮して、標題化合物を粗生成物として得た。
ステップ3:ジエチル2-(5-(シアノメチル)-2-メトキシベンジル)-3-オキソヘキサンジオエート
【0245】
ジエチル(E)-2-(5-(シアノメチル)-2-メトキシベンジリデン)-3-オキソヘキサンジオエートの溶液を、水素雰囲気下、EA(0.4M)中50%湿潤Pd/C(4%重量当量)の存在下、50℃で16時間撹拌した。Pd/Cを濾別し、濾液を濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(PE/EA=20:1)によって精製して、標題化合物を得た。
ステップ4:3-(2-アミノ-5-(5-(シアノメチル)-2-メトキシベンジル)-6-ヒドロキシピリミジン-4-イル)プロパン酸
【0246】
MeOH(0.3M)中ジエチル2-(5-(シアノメチル)-2-メトキシベンジル)-3-オキソヘキサンジオエート(1.0当量)および炭酸グアニジン(2.0当量)の混合物を85℃で16時間撹拌した。沈殿を濾過によって回収した。固体を水で洗浄し、真空中で乾燥させて、標題化合物を白色固体として得た。
ステップ5:3-(2-アミノ-6-クロロ-5-(5-(シアノメチル)-2-メトキシベンジル)ピリミジン-4-イル)プロパン酸
【0247】
3-(2-アミノ-5-(5-(シアノメチル)-2-メトキシベンジル)-6-ヒドロキシピリミジン-4-イル)プロパン酸のPOCl
3(0.3M)中溶液を、窒素下、100℃で1時間撹拌した。反応物をrtに冷却し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を水で希釈し、固体NaHCO
3の添加によってpHを7に調整した。混合物を50℃で1時間撹拌し、次いで、rtに冷却した。沈殿を濾過によって回収した。濾過ケークを水で洗浄し、真空中で乾燥させて、標題化合物を白色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 7.18 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.02 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.66 (s, 1H), 3.87-3.80 (m, 7H), 2.62-2.55 (m, 4H).
(合成実施例1B)
中間体:(S)-1-(メチルチオ)ヘプタン-3-アミンの合成
【化85】
ステップ1:tert-ブチル(E)-ヘプタ-2-エノエート
【0248】
ペンタナール(1.0当量)およびTHF(1M)中tert-ブチル2-(トリフェニル-λ5-ホスファニリデン)アセテート(1.05当量)の混合物を50℃で16時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、PEを添加した。固体を濾別し、濾液を蒸発乾固した。粗残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液:PE~PE/EA=100:1)によって精製して、標題化合物を黄色油状物として得た。
ステップ2:tert-ブチル(S)-3-(ベンジル((S)-1-フェニルエチル)アミノ)ヘプタノエート
【0249】
-78℃の(S)-N-ベンジル-1-フェニルエタン-1-アミン(1.3当量)のTHF(0.9M)中溶液に、2.5M n-BuLi(1.2当量)を20分間にわたって滴加した。混合物を-78℃で10分間撹拌し、次いで、THF(0.7M)中tert-ブチル(E)-ヘプタ-2-エノエート(1.0当量)を滴加した。得られた混合物を-78℃で30分間撹拌し、次いで、NH4Cl水溶液でクエンチし、EAで抽出した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液:PE~PE/EA=100:1)によって精製して、標題化合物を黄色油状物として得た。
ステップ3:(S)-3-(ベンジル((S)-1-フェニルエチル)アミノ)ヘプタン-1-オール
【0250】
0℃のtert-ブチル(S)-3-(ベンジル((S)-1-フェニルエチル)アミノ)ヘプタノエート(1.0当量)の無水THF(0.4M)中溶液に、LiAlH4(1.6当量)を少しずつ添加した。添加後、混合物をr.t.で5時間撹拌した。混合物を1.0M NaOH溶液でクエンチし、濾過し、濾液をEAで抽出した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液:PE~PE/EA=5:1)によって精製して、標題化合物を黄色油状物として得た。
ステップ4:(S)-3-アミノヘプタン-1-オール
【0251】
(S)-3-(ベンジル((S)-1-フェニルエチル)アミノ)ヘプタン-1-オール(1.0当量)のMeOH(0.1M)中溶液を、H2雰囲気下、Pd/C(10%wt)の存在下で、50℃で48時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、標題化合物を褐色油状物として得た。
ステップ5:tert-ブチル(S)-(1-ヒドロキシヘプタン-3-イル)カルバメート
【0252】
0℃の(S)-3-アミノヘプタン-1-オール(1.0当量)の1:1 ジオキサン/H2O(0.5M)中溶液に、NaOH(1.2当量)およびBoc2O(1.2当量)を添加し、rtに加温した。反応が完了した後、混合物をH2O/EAに分配した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液:PE~PE/EA=3:1)によって精製して、標題化合物を白色固体として得た。
ステップ6:(S)-3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ヘプチルメタンスルホネート
【0253】
DCM(0.4M)中tert-ブチル(S)-(1-ヒドロキシヘプタン-3-イル)カルバメート(1.0当量)およびTEA(1.2当量)の混合物に塩化メタンスルホニル(1.1当量)を滴加し、0℃で1時間撹拌した。得られた混合物をEAと水に分配した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、標題化合物を褐色油状物として得た。
ステップ7:tert-ブチル(S)-(1-(メチルチオ)ヘプタン-3-イル)カルバメート
【0254】
DMF(0.7M)中(S)-3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ヘプチルメタンスルホネート(1.0当量)およびMeSNa(2.0当量)の混合物を70℃で16時間撹拌した。得られた混合物をEAと水に分配した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液:PE~PE/EA=10:1)によって精製して、標題化合物を黄色がかった油状物として得た。
ステップ8:(S)-1-(メチルチオ)ヘプタン-3-アミン
【0255】
tert-ブチル(S)-(1-(メチルチオ)ヘプタン-3-イル)カルバメート(1.0当量)のDCM(0.5M)中溶液に、過剰な4M HCl/ジオキサン(1/3体積当量)を添加した。得られた混合物をr.t.で16時間撹拌し、減圧下で濃縮した。残渣をEt
2Oで粉砕し、沈殿した固体を濾過によって回収して、標題化合物を白色固体(HCl塩)として得た。LC-MS: [M+H]
+ = 162
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.43 (br s, 3H), 3.41-3.38 (m, 1H), 2.71 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 2.13 (s, 3H), 2.11-2.03 (m, 1H), 2.00-1.91 (m, 1H), 1.82-1.66 (m, 2H), 1.52-1.32 (m, 4H), 0.92 (t, J = 7.2 Hz, 3H).
(合成実施例1C)
中間体:(S)-1-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ヘプタン-3-アミンの合成
【化86】
ステップ1:(S)-N-ベンジル-1-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-((S)-1-フェニルエチル)ヘプタン-3-アミン
【0256】
(S)-3-(ベンジル((S)-1-フェニルエチル)アミノ)ヘプタン-1-オール(1.0当量)のDCM(0.3M)中溶液に、0℃でTEA(1.5当量)およびTBSCl(1.2当量)を添加した。反応物を16時間にわたってr.t.に加温した。反応物を水でクエンチし、有機層を乾燥させ、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(PE:EA=100:1~10:1)によって精製して、標題化合物を得た。
ステップ2:(S)-1-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ヘプタン-3-アミン
【0257】
(S)-N-ベンジル-1-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-((S)-1-フェニルエチル)ヘプタン-3-アミン(1.0当量)のMeOH(0.24M)中溶液に、50%湿潤Pd/C(10%wt)を添加した。溶液を水素雰囲気下50℃で16時間撹拌した。固体を濾過し、濾液を濃縮して、標題化合物を淡黄色油状物として得た。
1H NMR(400 MHz, CDCl
3) δ 3.74-3.70 (m, 2H), 2.85-2.83 (m, 1H), 1.64-1.27 (m, 8H), 0.85-0.91 (m, 12H), 0.07(s, 6H).
(合成実施例2)
化合物1B、(S)-3-(5-(5-((2H-テトラゾール-5-イル)メチル)-2-メトキシベンジル)-2-アミノ-6-((1-(メチルスルホニル)ヘプタン-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)プロパン酸の合成
【化87】
ステップ1:3-(2-アミノ-5-(5-(シアノメチル)-2-メトキシベンジル)-6-(((S)-1-(メチルチオ)ヘプタン-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-N-((S)-1-(メチルチオ)ヘプタン-3-イル)プロパンアミド
【0258】
ニートな(S)-1-(メチルチオ)ヘプタン-3-アミン(2.0当量)中3-(2-アミノ-6-クロロ-5-(5-(シアノメチル)-2-メトキシベンジル)ピリミジン-4-イル)プロパン酸(1.0当量)を、Ar雰囲気下、100℃で6時間撹拌した。混合物をDCMと1Nクエン酸に分配した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(溶離液DCM/MeOH=100:1~20:1)によって精製して、標題化合物を得た。一置換化合物も単離した。
ステップ2:3-(5-(5-((2H-テトラゾール-5-イル)メチル)-2-メトキシベンジル)-2-アミノ-6-(((S)-1-(メチルチオ)ヘプタン-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-N-((S)-1-(メチルチオ)ヘプタン-3-イル)プロパンアミド
【0259】
ジオキサン(0.07M)中3-(2-アミノ-5-(5-(シアノメチル)-2-メトキシベンジル)-6-(((S)-1-(メチルチオ)ヘプタン-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-N-((S)-1-(メチルチオ)ヘプタン-3-イル)プロパンアミド(1.0当量)の混合物に、Bu2SnO(2.0当量)およびTMSN3(5.0当量)を添加した。混合物をN2下120℃で5時間撹拌し、次いで、濃縮して、標題化合物を得て、これをさらに精製することなく次のステップに使用した。
ステップ3:3-(5-(5-((2H-テトラゾール-5-イル)メチル)-2-メトキシベンジル)-2-アミノ-6-(((S)-1-(メチルスルホニル)ヘプタン-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-N-((S)-1-(メチルチオ)ヘプタン-3-イル)プロパンアミド
【0260】
0℃の3-(5-(5-((2H-テトラゾール-5-イル)メチル)-2-メトキシベンジル)-2-アミノ-6-(((S)-1-(メチルチオ)ヘプタン-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-N-((S)-1-(メチルチオ)ヘプタン-3-イル)プロパンアミド(1.0当量)、1:1:1 THF/MeOH/H2O(0.02M)の撹拌溶液に、オキソン(2.0当量)を添加した。得られた混合物を0℃で3時間撹拌した後、飽和Na2S2O3水溶液でクエンチした。混合物をEA/水に分配した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濃縮して、標題化合物を得た。
ステップ4:(S)-3-(5-(5-((2H-テトラゾール-5-イル)メチル-2-メトキシベンジル)-2-アミノ-6-((1-(メチルスルホニル)ヘプタン-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)プロパン酸
【0261】
3-(5-(5-((2H-テトラゾール-5-イル)メチル)-2-メトキシベンジル)-2-アミノ-6-(((S)-1-(メチルスルホニル)ヘプタン-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-N-((S)-1-(メチルチオ)ヘプタン-3-イル)プロパンアミド(1.0当量)のエチレングリコール(0.1M)中撹拌溶液に、6N KOH(10当量)を添加した。得られた混合物を150℃で48時間撹拌した。懸濁液を1:1 MeOH/H
2Oで希釈し、次いで、濾過した。濾液を分取HPLC(HCOOH/MeCN/H
2O)によって精製して、標題化合物を白色固体として得た。LC-MS: [M+H]
+ = 561.3.
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 7.02 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 6.92 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.74 (s, 1H), 6.17 (br, 2H), 6.10 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 4.23 (m, 1H), 4.01 (s, 2H), 3.83 (s, 3H), 3.67 (s, 2H), 3.09-2.80 (m, 5H), 2.58 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 2.45-2.40 (m, 2H), 1.97-1.84 (m, 1H), 1.80-1.70 (m, 1H), 1.44-1.31 (m, 2H), 1.17-1.15 (m, 2H), 1.06-1.02 (m, 2H), 0.77 (t, J = 7.2 Hz, 3H).
(合成実施例3)
化合物2B、(S)-3-(2-アミノ-5-(5-(カルボキシメチル)-2-メトキシベンジル)-6-((1-ヒドロキシヘプタン-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)プロパン酸の合成
【化88】
ステップ1:(S)-3-(2-アミノ-6-((1-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ヘプタン-3-イル)アミノ)-5-(5-(シアノメチル)-2-メトキシベンジル)ピリミジン-4-イル)プロパン酸および3-(2-アミノ-6-(((S)-1-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ヘプタン-3-イル)アミノ)-5-(5-(シアノメチル)-2-メトキシベンジル)-ピリミジン-4-イル)-N-((S)-1-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ヘプタン-3-イル)プロパンアミド
【0262】
3-(2-アミノ-6-クロロ-5-(5-(シアノメチル)-2-メトキシベンジル)ピリミジン-4-イル)プロパン酸(1.0当量)およびニートな(S)-1-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ヘプタン-3-アミン(3.0当量)を140℃で3時間撹拌した。反応混合物をrtに冷却し、さらに精製することなく次のステップに直接使用した。
ステップ2:(S)-3-(2-アミノ-5-(5-(カルボキシメチル)-2-メトキシベンジル)-6-((1-ヒドロキシヘプタン-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)プロパン酸
【0263】
前のステップからの粗混合物をDMSO(0.2M)に溶解し、等体積の10N KOHを添加した。混合物を130℃で2時間撹拌し、次いで、rtに冷却した。上層を分離し、分取HPLC(移動相:0.1%FA/CH
3CN/H
2O)によって精製して、標題化合物を淡褐色固体として得た。LC-MS: [M+H]
+ = 475.4.
1H NMR (400 MHz, CD
3OD) δ 7.17 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.95 (s, 1H), 6.91 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 4.43-4.40 (m, 1H), 3.88 (s, 3H), 3.82-3.76 (m, 2H), 3.43-3.30 (m, 4H), 2.96 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 2.52 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 1.80-1.00 (m, 8H), 0.80 (t, J = 7.6 Hz, 3H).
(合成実施例4)
化合物3B、(S)-3-(5-(5-((2H-テトラゾール-5-イル)メチル)-2-メトキシベンジル)-2-アミノ-6-((1-ヒドロキシヘプタン-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)プロパン酸の合成
【化89】
ステップ1:(S)-3-(2-アミノ-6-((1-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ヘプタン-3-イル)アミノ)-5-(5-(シアノメチル)-2-メトキシベンジル)ピリミジン-4-イル)プロパン酸および3-(2-アミノ-6-(((S)-1-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ヘプタン-3-イル)アミノ)-5-(5-(シアノメチル)-2-メトキシベンジル)ピリミジン-4-イル)-N-((S)-1-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ヘプタン-3-イル)プロパンアミド
【0264】
3-(2-アミノ-6-クロロ-5-(5-(シアノメチル)-2-メトキシベンジル)ピリミジン-4-イル)プロパン酸(1.0当量)およびニートな(S)-1-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ヘプタン-3-アミン(3.0当量)を140℃で3時間撹拌した。反応混合物をrtに冷却し、さらに精製することなく次のステップに直接使用した。
ステップ2:(S)-3-(5-(5-((2H-テトラゾール-5-イル)メチル)-2-メトキシベンジル)-2-アミノ-6-((1-ヒドロキシヘプタン-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)プロパン酸
【0265】
ジオキサン(0.14M)中の前のステップからの粗混合物(1.0当量)に、TMSN3(2.9当量)およびBu2SnO(1.5当量)を添加し、密封管中100℃で6時間加熱した。反応混合物をrtに冷却し、10N KOH(35当量)および等体積のn-BuOHを添加した。反応物を130℃で3時間加熱した。固体を濾別し、濾液を濃縮し、分取HPLC(移動相:0.1%TFA/CH3CN)によって精製して、標題化合物を白色固体として得た。LC-MS: [M+H]+ = 499.4. 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.15 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.95-6.90 (m, 2H), 4.43-4.40 (m, 1H), 4.09 (s, 2H), 3.88 (s, 3H), 3.79 (s, 2H), 3.39-3.41 (m, 2H), 2.90 (t, J = 6.4Hz, 2H), 2.51 (t, J = 6.0Hz, 2H), 1.75-1.00 (m, 8H), 0.78 (t, J = 7.6 Hz, 3H).
生物学的実施例
(生物学的実施例1)
HEK-TLR7アッセイ
【0266】
この実施例は、本明細書に開示される化合物がヒトTLR7に対するin vitro活性を有することを実証する。
【0267】
HEK-Blue(商標)TLR7細胞をInvitrogen(サンディエゴ、カリフォルニア)から購入した。以下の説明は製品情報シートから取った。
【0268】
「HEK-Blue(商標)hTLR7細胞は、NF-kBの活性化をモニタリングすることによって、ヒトTLR7(hTLR7)の刺激を試験するために設計されている。HEK-Blue(商標)hTLR7細胞は、hTLR7遺伝子および最適化分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)レポーター遺伝子のHEK293細胞へのコトランスフェクションによって得られた。SEAPレポーター遺伝子は、5つのNF-kBおよびAP-1結合部位に融合したIFN-b最小プロモーターの制御下に置かれる。TLR7リガンドによる刺激がNF-kBおよびAP-1を活性化し、それによってSEAPの産生が誘導され、これがHEK-Blue(商標)検出細胞培養培地によって検出される。」
【0269】
典型的なアッセイプロトコールは以下のステップを含んでいた:
1.細胞を製品情報シートに従って培養した。
2.DMSO中10mM化合物ストックを最初に3mMに希釈し、次いで、DMSOを使用して3倍段階希釈して、10pt希釈を得た。
3.さらなる20倍希釈のために3μlの希釈DMSOを57μlのHEK-Blue(商標)検出培地に添加した。
4.10μlのアッセイ培地中希釈化合物を、384ウェルプレート中の40μlの細胞培養物(HEK-Blue(商標)検出培地中)に添加した。最終細胞濃度=細胞8000個/ウェル。
5.プレートを、37℃、5%CO2で16時間インキュベートした。620~655nmで分光光度計を使用してSEAPを決定した。
【0270】
化合物1B~3BをHEK-TLR7活性について測定し、AZD8848および化合物50と比較した。AZD8848は、先行技術の吸入TLR7アゴニストを表し、喘息患者を処置するために臨床的に使用されている(Delaney et. al. BMJ Open Respir Res. 2016 Feb 23;3(1):e000113)。
【化90】
【0271】
化合物1B~3BのHEK-TLR7 EC
50は0.23~0.27マイクロMの範囲であった。コンパレーター化合物AZD8848は、0.037マイクロMのHEK-TLR7 EC
50を有した。コンパレーター化合物50は、0.26マイクロMのHEK-TLR7 EC
50を有した。これらの結果を以下に要約する:
【表2】
(生物学的実施例2)
製剤調製および溶解度試験
【0272】
この実施例は、喘息を処置するために使用される公知のTLR7アゴニストと比較して改善された本明細書に開示されるTLR7アゴニストの溶解度を実証する。
【0273】
化合物1B~3B、コンパレーター化合物AZD8848およびコンパレーター化合物50を、1mg/mL濃度で水中0.5%カルボキシメチルセルロースに懸濁した。適量の1N NaOH(化合物1B~3B、化合物50)および1N HCl(AZD8848)を添加することによって、pHを6~7に調整した。得られた製剤をボルテックスし、投与前に4℃で保管した。
【0274】
化合物1B~3Bおよび化合物50の溶液は透明であり、濁った懸濁液であったAZD8848と比較して良好な溶解度を示した。鼻腔内投与のために水中0.5%カルボキシメチルセルロースを生理食塩水で置換することができた。溶解度結果は類似である。
(生物学的実施例3)
薬力学的実験
【0275】
この実施例は、本明細書に開示される化合物がin vivoで高レベルのTLR7標的活性化を有することを実証する。
【0276】
IP-10は、TLR7標的活性化のバイオマーカーである。IP-10の高い産生レベルは、in vivoでの高い標的結合の指標である。この試験では、3匹のBALB/cマウス/群に60マイクログラムの化合物1B、2B、3B、化合物50またはAZD8848を鼻腔内投与した。試験化合物を0.5%カルボキシメチルセルロース中1mg/mL溶液として製剤化した。動物を5時間後に屠殺した。Meso Scale Discoveryから購入した市販のELISAキットを使用して、血清IP-10濃度を測定した。
【0277】
化合物1B~3Bのマウスへの鼻腔内投与によって、コンパレーター化合物(AZD8848および化合物50)またはビヒクルと比較して高いIP-10の血清濃度が得られた(
図1)。ビヒクル、AZD8848または化合物50を投与されたマウスの平均IP-10濃度はそれぞれ、17pg/mL、96pg/mLおよび125pg/mLであった。比較して、化合物1B、2Bまたは3Bを投与されたマウスは、それぞれ、約700、150および1300pg/mLという高いIP-10の平均血清濃度を有していた。
【0278】
これらの結果は、化合物1B、2Bまたは3Bを投与されたマウスが、同用量の先行技術の吸入TLR7アゴニストであるAZD8848と比較して1.5倍~14倍高い濃度のIP-10バイオマーカーを誘導したことを実証している。AZD8848は、生物学的実施例1に記載されるHEK TLR7 in vitroアッセイで報告されるように化合物1B~3Bと比較して1桁より強力であることが示されたので、これは特に驚くべきことである。
【0279】
化合物1Bおよび3Bはまた、同用量の化合物50と比較して5.6倍~10倍高い濃度のIP-10バイオマーカーを誘導した。化合物50、1Bおよび3Bは、生物学的実施例1で報告されるように類似のin vitro HEK TLR7 EC50を有することが示されたので、これは特に驚くべきことである。
(生物学的実施例4)
CT26転移性肺がんモデル
【0280】
この実験は、本明細書に開示される化合物による処置が、肺がんマウスモデルにおいて生存時間の延長をもたらしたことを実証する。
【0281】
肺がんモデルを確立するために、ルシフェラーゼを安定的に発現する5e5 CT26細胞(Imanis Life Sciences)を、0日目に雌Balb/cマウスに静脈内注射した。曝露後の4日目に、マウスに麻酔をかけ、全身生物発光イメージング(IVIS;Perkin Elmer)に供して、腫瘍量およびin vivo位置を決定した。検出可能な肺腫瘍を有するマウスを試験に登録し、平均生物発光および分散が試験群の全てで等価になるように、無作為化した。動物に、指示される処置を合計8用量で1週間に2回投与し、毎週画像化して処置の過程にわたる総腫瘍量を決定した。
【0282】
この試験では、化合物1B、2Bおよび3Bの鼻腔内投与を、抗PD-L1と組み合わせて、マウスに投与した。抗PD-L1は、PD-L1およびその保護効果に対する遮断剤として機能する抗体である。PD-L1を遮断することによって、抗PD-L1は、腫瘍細胞が免疫系による破壊を受けやすくなることを可能にする。公知のTLR7化合物であるAZD8848をコンパレーターとして使用し、抗PD-L1と組み合わせてマウスに投与した。抗PD-L1と組み合わせた化合物50もコンパレーターとしてこの試験で試験した。各処置群は10匹のマウスを含んでいた。
【0283】
ビヒクルまたは抗PD-L1で処置されたマウス対象の生存期間中央値は21日であった(
図2)。AZD8848と組み合わせた抗PD-L1で処置されたマウスの生存期間中央値は23日であった。化合物50と組み合わせた抗PD-L1で処置されたマウスについての生存期間中央値は29日であった。抗PD-L1で処置されたマウスと比較して、AZD8848または化合物50と組み合わせた抗PD-L1は統計学的に有意でなかった。驚くべきことに、化合物1B、2Bおよび3Bは、生存期間中央値をそれぞれ36日(p<0.01)、32日(p<0.05)および36日(p<0.01)に延ばした。よって、抗PD-L1と組み合わせた本明細書に開示される化合物の鼻腔内投与は、ビヒクル単独、抗PD-L1単独、抗PD-L1と組み合わせたAZD8848(コンパレーター化合物)、または抗PD-L1と組み合わせた化合物50(別のコンパレーター化合物)で処置されたマウスと比較して、長いマウスの生存をもたらした。長い生存期間は、吸入投与用に開発されたAZD8848では達成することができない驚くべき結果である。AZD8848は生物学的実施例1で報告されるように化合物1B~3Bよりも低いin vitro HEK TLR7 EC
50を有することが示されたので、この結果は特に驚くべきものである。長い生存期間はまた、国際公開第2018/106606号の構造的に類似のアナログである化合物50では達成することができない驚くべき結果である。化合物50および化合物1B~3Bは生物学的実施例1で報告されるようにHEK TLR7アッセイで類似のEC
50活性を有することが示されたので、この結果は特に驚くべきものである。
【0284】
さらに、生物発光イメージングによって測定されるマウスの腫瘍量を処置の過程にわたって測定した。化合物1B、2Bまたは3Bの投与に関連する平均生物発光は、腫瘍細胞の注射後20日間超にわたって、抗PD-L1、または抗PD-L1と化合物50もしくはAZD8848との組合せで処置されたマウスの測定値よりも低かった、
図3。これは、抗PD-L1と組み合わせた化合物1B、2Bまたは3Bの使用が、抗PD-L1、または抗PD-L1と化合物50もしくはAZD8848との組合せによる処置と比較して腫瘍細胞の増殖を遅延させることを示唆している。減少した腫瘍量結果は、上に論じられる増加した中央生存率と一致する。
均等物
【0285】
本発明を上に示される具体的な実施形態と合わせて説明してきたが、その多くの代替、改変およびその他の変形が当業者に明らかである。このような代替、改変および変形の全てが本発明の精神および範囲内に入ることが意図されている。