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特許7351863フラッシュメモリシステム内のワード線と制御ゲート線との間の結合を低減するための方法及び装置
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  • 特許-フラッシュメモリシステム内のワード線と制御ゲート線との間の結合を低減するための方法及び装置 図1
  • 特許-フラッシュメモリシステム内のワード線と制御ゲート線との間の結合を低減するための方法及び装置 図2A
  • 特許-フラッシュメモリシステム内のワード線と制御ゲート線との間の結合を低減するための方法及び装置 図2B
  • 特許-フラッシュメモリシステム内のワード線と制御ゲート線との間の結合を低減するための方法及び装置 図3
  • 特許-フラッシュメモリシステム内のワード線と制御ゲート線との間の結合を低減するための方法及び装置 図4
  • 特許-フラッシュメモリシステム内のワード線と制御ゲート線との間の結合を低減するための方法及び装置 図5
  • 特許-フラッシュメモリシステム内のワード線と制御ゲート線との間の結合を低減するための方法及び装置 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】フラッシュメモリシステム内のワード線と制御ゲート線との間の結合を低減するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G11C 16/08 20060101AFI20230920BHJP
【FI】
G11C16/08 120
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020569843
(86)(22)【出願日】2019-05-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-11
(86)【国際出願番号】 US2019030768
(87)【国際公開番号】W WO2019240893
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-04-25
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-08
(31)【優先権主張番号】16/118,272
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】201810626274.X
(32)【優先日】2018-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500147506
【氏名又は名称】シリコン ストーリッジ テクノロージー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SILICON STORAGE TECHNOLOGY, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】キアン、シャオゾウ
(72)【発明者】
【氏名】ユエ、カイマン
(72)【発明者】
【氏名】ルオ、ガン ヤン
【合議体】
【審判長】須田 勝巳
【審判官】山崎 慎一
【審判官】脇岡 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-151290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C16/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラッシュメモリシステムであって、該フラッシュメモリシステムは、
フラッシュメモリセルのアレイであって、前記フラッシュメモリセルは行及び列に編成され、各フラッシュメモリセルはワード線端子、制御ゲート端子、及び浮遊ゲートを備える、フラッシュメモリセルのアレイと、
複数のワード線であって、前記複数のワード線の各々は、前記アレイの行内の前記フラッシュメモリセルの前記ワード線端子に結合される、複数のワード線と、
複数の制御ゲート線であって、前記複数の制御ゲート線の各々は、前記アレイの行内の前記フラッシュメモリセルの前記制御ゲート線端子に結合される、複数の制御ゲート線と、
み出し動作の前に選択された行用の制御ゲート線を第1の電圧源(VCG-ΔV)に結合し、前記選択された行に結合されたワード線が高に駆動される読み出し動作中に前記選択された行用の前記制御ゲート線を第2の電圧源(V CG )に結合するためのデカップリング回路であって、前記第1の電圧源は、前記第2の電圧源によって生成される電圧より量ΔV少ない電圧を生成する、デカップリング回路と、を備え、
ΔVは、前記選択された行の前記ワード線が高に駆動されると、前記選択された行用の前記制御ゲート線と前記選択された行用の前記ワード線との間の寄生容量に起因して前記読み出し動作中に生成される、前記選択された行用の前記制御ゲート線の電圧の増加とほぼ等しい、フラッシュメモリシステム。
【請求項2】
前記デカップリング回路は、読み出し動作中に前記第2の電圧源を前記選択された行に選択的に結合するための第2のスイッチと、前記読み出し動作の前に前記第1の電圧源を前記選択された行に選択的に結合するための第1のスイッチと、を備える、請求項1に記載のフラッシュメモリシステム。
【請求項3】
前記フラッシュメモリセルは、分割ゲートフラッシュメモリセルである、請求項1に記載のフラッシュメモリシステム。
【請求項4】
前記フラッシュメモリセルは、分割ゲートフラッシュメモリセルである、請求項2に記載のフラッシュメモリシステム。
【請求項5】
読み出し動作中にフラッシュメモリシステム内の隣接するワード線から制御ゲート線をデカップリングする方法であって、前記フラッシュメモリシステムは、行及び列に編成されたフラッシュメモリセルのアレイと、複数のワード線であって、前記複数のワード線の各々は、前記アレイの行内の前記フラッシュメモリセルのワード線端子に結合される、複数のワード線と、複数の制御ゲート線であって、前記複数の制御ゲート線の各々は、前記アレイの行内の前記フラッシュメモリセルの制御ゲート線端子に結合される、複数の制御ゲート線と、を備え、各フラッシュメモリセルは、ワード線端子と、制御ゲート端子と、浮遊ゲートと、を含み、前記方法は、
読み出し動作の前に選択された行用の制御ゲート線を第1の電圧源(VCG-ΔV)に結合するステップと、
前記選択された行用のワード線を第3の電圧源に結合し、前記読み出し動作中に前記選択された行用の制御ゲート線を第2の電圧源(VCG)に結合するステップであって、前記第1の電圧源によって生成される電圧は、前記第2の電圧源によって生成される電圧より量ΔV少ない、結合するステップと
含み、
前記選択された行用の前記制御ゲート線と前記選択された行用の前記ワード線との間の寄生容量により、前記選択された行用の前記制御ゲート線の電圧は、前記選択された行用の前記ワード線が前記第3の電圧源に結合された後に、ΔVにほぼ等しい量増加する、方法。
【請求項6】
前記読み出し動作の前に選択された行用の制御ゲート線を第1の電圧源に結合するステップは、前記選択された行用の前記制御ゲート線と前記第1の電圧源との間のスイッチを閉じるステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記読み出し動作中に前記選択された行用の前記制御ゲート線を第2の電圧源に結合するステップは、前記選択された行用の前記制御ゲート線と前記第2の電圧源との間のスイッチを閉じるステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記フラッシュメモリセルは、分割ゲートフラッシュメモリセルである、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記フラッシュメモリセルは、分割ゲートフラッシュメモリセルである、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記フラッシュメモリセルは、分割ゲートフラッシュメモリセルである、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、2018年6月15日に出願された中国特許出願第201810626274.X号、及び2018年8月30日に出願された「Method and Apparatus for Reducing Coupling Between Word Lines and Control Gate Lines in a Flash Memory System」と題する米国特許出願第16/118,272号に対する優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
寄生容量及び寄生抵抗に起因するフラッシュメモリシステム内のワード線と制御ゲート線との間で生じ得る結合を低減するための方法及び装置が開示される。
【背景技術】
【0003】
デジタル不揮発性メモリは、周知である。例えば、図1は、ソース領域101、ドレイン領域102(ビット線24に結合)、チャネル領域104の第1の部分上方の浮遊ゲート103、チャネル領域104の第2の部分上方のワード線端子105(典型的にはワード線に結合)、基板108、浮遊ゲート103上方の制御ゲート106(典型的には制御ゲート線に結合)、及びソース領域101上方の消去ゲート107(典型的には消去ゲート線に結合)を備える、4つのゲートの分割ゲートフラッシュメモリセル100を示す。この構成は、米国特許第6,747,310号に記載され、この米国特許は、あらゆる目的のため参照により本明細書に組み込まれる。ここで、全てのゲートは、浮遊ゲート103を除いて、非浮遊ゲートであり、それらは電圧源に電気的に接続されている又は接続可能であることを意味する。メモリセル100のプログラミングは、加熱された電子をチャネル領域104から浮遊ゲート103に注入させることによって行われる。メモリセル100の消去は、電子を浮遊ゲート103から消去ゲート107にトンネリングさせることによって行われる。
【0004】
表1は、読み出し、消去、及びプログラム動作を実行するためのメモリセル100の端子に印加され得る典型的な電圧範囲を示す。
表1:図1のフラッシュメモリセル100の動作
【表1】
【0005】
図2Aは、行及び列に配置されたセル100のアレイを備える先行技術のフラッシュメモリシステム200を示す。ここでは、2行及び列のみが示されているが、アレイは任意の数の行及び任意の数の列を含むことができることを理解されたい。この例におけるセル100は、図1に示される種類のものであり、消去ゲートは2つの隣接する行の間で共有される又は併合される
【0006】
図2Aに示されるセルの最上行において、ワード線201は、その行内の各セル100の各ワード線端子105に接続し、制御ゲート線202は、その行内の各セル100の各制御ゲート端子106に接続し、消去ゲート203は、その行内の各セル100の各共有された消去ゲート端子107に接続する。
【0007】
図2Aに示されるセルの第2の行において、ワード線205は、その行内の各セル100の各ワード線端子105に接続し、制御ゲート線204は、その行内の各セル100の各制御ゲート端子106に接続し、消去ゲート203は、その行内の各セル100の各共有された消去ゲート端子107に接続する。特に、消去ゲート線203は、最上行及び第2の行の間で共有された各セル100の消去ゲート端子107に接続する。
【0008】
図2Bを参照すると、ワード線、制御ゲート線、及び浮遊ゲートの近接性は、寄生効果を作り出す。具体的には、寄生容量は、ワード線201と制御ゲート線202との間、及びワード線205と制御ゲート線204との間などの、隣接するワード線と制御ゲート線との間に存在し、また、寄生容量は、最上行の各セル100内のワード線201と浮遊ゲートとの間、及び第2の行の各セル100内のワード線205と浮遊ゲートとの間にも存在する。
【0009】
寄生容量は、(1)1つの端子がワード線に接続され、1つの端子が制御ゲート線に接続された、各セル100内に位置する寄生コンデンサ210、及び(2)1つの端子がワード線に接続され、1つの端子がセル内の浮遊ゲート103に接続された、各セル100内に位置する寄生コンデンサ220と、を用いてモデル化することができる。
【0010】
寄生コンデンサ210の影響は、ワード線及び/又は制御ゲート線の電圧の変化に応答する、隣接するワード線と制御ゲート線との間の電圧結合が存在することである。寄生コンデンサ220の影響は、ワード線及び/又は浮遊ゲートの電圧の変化に応答する、各セル100内のワード線と浮遊ゲートとの間の電圧結合が存在することである。
【0011】
寄生コンデンサ210及び220は、ワード線及び制御ゲート線を、特定の電圧までより長く充電してより長く放電させることになる。この寄生容量は、放電中に各セル100を通じて電流を変化させることの望ましくない影響があり、読み出しエラーを引き起こす可能性がある。結果として、読み出し感知動作についてのエラーの余地が低減される。この問題は、ワード線及び制御ゲート線の目標スイッチング速度が増加するにつれて悪化する。
【0012】
加えて、各ワード線及び制御ゲート線は、大きな寄生抵抗を有する。この抵抗は、デバイスの相対的に小さいサイズ及び線幅に起因する。寄生抵抗は、各行内のセル100間に位置する寄生抵抗器230によってモデル化することができる。
【0013】
図3は、この寄生容量及び寄生抵抗の負の影響の一例を与える。この例では、ワード線201は、読み出し動作のために選択され、高に駆動される。制御ゲート線202の電圧は、ワード線201との結合に起因してVCGからVCG+ΔVまで上昇し、次いで、VCGまで放電する。ワード線201が放電した後、制御ゲート202はVCG-ΔVまで放電し、その後充電してVCGに戻る。
【0014】
制御ゲート線202の追加のΔVは、読み出し動作中にセル電流を増加させる。読み出し動作が、V CG +ΔVからV CG まで放電するために制御ゲート線202に十分な時間を提供しない場合、「0」を記憶している選択されたセルは、「1」を含むと誤って解釈され得る。この問題を回避するために、スイッチング速度は、数十ナノ秒のオーダーの放電期間を可能にしなければならない。したがって、寄生容量及び寄生抵抗は、精度の低いシステムをもたらすであろう。
【0015】
必要なのは、フラッシュメモリシステム内のワード線と制御ゲート線との間、及びワード線と浮遊ゲートとの間の寄生容量を低減するフラッシュメモリシステムである。
【発明の概要】
【0016】
寄生容量及び寄生抵抗に起因するフラッシュメモリシステム内のワード線と制御ゲート線との間で生じ得る結合を低減するための方法及び装置が開示される。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】先行技術のフラッシュメモリセルの断面を示す。
図2A】先行技術のフラッシュメモリセルのアレイの一部を示す。
図2B図2Aの先行技術のフラッシュメモリセルのアレイにおける寄生容量及び寄生抵抗を示す。
図3】読み出し動作中の制御ゲート線の寄生容量及び寄生抵抗の影響を示す例示的な波形を示す。
図4】デカップリング回路の一実施形態を示す。
図5図4のシステムのための例示的な波形を示す。
図6】デカップリング回路の別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図4は、フラッシュメモリシステム400を示す。フラッシュメモリシステム400は、デカップリング回路410を追加したフラッシュメモリシステム200と同様である。デカップリング回路410は、スイッチ401及び402を備える。読み出し動作中、選択された行用の制御ゲート線は、スイッチ401によって電圧VCGに結合され、非選択行用の制御ゲート線は、スイッチ402によって電圧VCG-ΔVに結合される。
【0025】
デカップリング回路410の効果を図5に示す。この例では、ワード線201は、読み出し動作のために選択され、スイッチ402は最初閉じられ、次いで開かれ、ワード線201が高に駆動されると、制御ゲート線202は、VCG-ΔVからVCG-ΔV+ΔV(VCGに等しい)まで駆動され、これは、読み出し動作中に選択された行用の制御ゲート線の所望の電圧レベルである。ワード線201が放電した後、スイッチ402は閉じられ、制御ゲート線202は放電し、VCG-ΔVまで戻る。
【0026】
別の実施形態を図6に示す。デカップリング回路600(デカップリング回路410の代わりに使用することができる)は、スイッチ601、602、603、604、605、及び606、並びにインバータ607を備える。ワード線201及び制御ゲート202の行を伴う読み出し動作の間、ワード線201は高に駆動される。スイッチ602は、開いたままである。インバータ607の出力は低になり、スイッチ601は閉じる。スイッチ604及び605もまた、電圧VCGが制御ゲート線202に供給されるように閉じられる。
【0027】
ワード線201及び制御ゲート202の行が選択されない場合、ワード線201は低になる。スイッチ602は閉じられる。インバータ607の出力は高になり、スイッチ601は開く。スイッチ604及び605もまた、電圧VCG-ΔVが制御ゲート線202に供給されるように閉じられる。
【0028】
プログラム動作中、電圧Vep(HV)が制御ゲート線202に供給されるように、スイッチ603及び604が閉じられる。
【0029】
消去動作中、制御ゲート線202が接地に引かれるように、スイッチ606が閉じられる。
【0030】
本明細書で使用される場合、「の上方に(over)」及び「に(on)」という用語は両方とも、「に直接」(中間材料、要素、又は空間がそれらの間に何ら配設されない)、及び「の上に間接的に」(中間材料、要素、又は空間がそれらの間に配設される)を包括的に含むことに留意するべきである。同様に、「隣接した」という用語は、「直接隣接した」(中間材料、要素、又は空間がそれらの間に何ら配設されない)、及び「間接的に隣接した」(中間材料、要素、又は空間がそれらの間に配設される)を含み、「に取り付けられた」は、「に直接取り付けられた」(中間材料、要素、又は空間がそれらの間に何ら配設されない)、及び「に間接的に取り付けられた」(中間材料、要素、又は空間がそれらの間に配設される)を含み、「電気的に結合された」は、「に直接電気的に結合された」(要素を一緒に電気的に接続する中間材料又は要素がそれらの間にない)、及び「に間接的に電気的に結合された」(要素を一緒に電気的に接続する中間材料又は要素がそれらの間にある)を含む。例えば、要素を「基板の上方に」形成することは、その要素を基板に直接、中間材料/要素をそれらの間に何ら伴わずに、形成すること、及びその要素を基板の上に間接的に、1つ以上の中間材料/要素をそれらの間に伴って、形成することを含み得る。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6