(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】ステアリングホイールのための操作ユニットおよび該操作ユニットを備えたステアリングホイール
(51)【国際特許分類】
B62D 1/08 20060101AFI20230920BHJP
【FI】
B62D1/08
(21)【出願番号】P 2021505809
(86)(22)【出願日】2019-07-26
(86)【国際出願番号】 EP2019070279
(87)【国際公開番号】W WO2020025506
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-07-01
(32)【優先日】2018-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519311743
【氏名又は名称】アウディオ モービル エレクトローニク ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス シュトッタン
(72)【発明者】
【氏名】リヒァルト フライ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ハートハイアー
(72)【発明者】
【氏名】ゲルハルト ラントグラーフ
【審査官】松永 謙一
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-514043(JP,A)
【文献】特開2015-229450(JP,A)
【文献】特開2000-211529(JP,A)
【文献】特開2004-142615(JP,A)
【文献】特開2009-214749(JP,A)
【文献】特開昭62-128878(JP,A)
【文献】米国特許第06862807(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/00-1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイール(2)のための操作ユニットであって、前記ステアリングホイール(2)のステアリングホイールスポーク(3)内に挿入可能な、少なくとも1つのケーシング側壁(4.1)およびケーシング底部(4.2)を有するケーシング(4)と、該ケーシング(4)内に設けられた電気的な接触エレメント(5.1,6.1,7.1)と、前記接触エレメント(5.1,6.1,7.1)に電気的に切替え式に作用する、前記ケーシング(4)に可動に支承された少なくとも1つの操作エレメント(5.2,6.2,7.2)とを備えた、操作ユニットにおいて、
前記操作ユニット(1)が、ステアリングホイール温度調節のための換気装置(8)と、該換気装置(8)により通気される流れ通路(9)とを有していて、該流れ通路(9)が、前記ケーシング底部(4.2)により形成され、前記ケーシング(4)において入口開口および出口開口(9.1,9.2)を有していることを特徴とする、操作ユニット。
【請求項2】
前記換気装置(8)が、軸流羽根車(8.2)を有している、請求項1記載の操作ユニット。
【請求項3】
前記羽根車(8.2)が、前記流れ通路(9)の入口側に設けられている、請求項2記載の操作ユニット。
【請求項4】
前記換気装置(8)が、前記ケーシング底部(4.2)の前記流れ通路(9)内に設けられている、請求項1から3までのいずれか1項記載の操作ユニット。
【請求項5】
前記換気装置(8)が、換気装置ケーシング(8.3)を有していて、該換気装置ケーシング(8.3)が、前記ケーシング(4)に接続している、請求項1から3までのいずれか1項記載の操作ユニット。
【請求項6】
前記換気装置(8)の前記換気装置ケーシング(8.3)が、前記ケーシング底部(4.2)に接続している、請求項5記載の操作ユニット。
【請求項7】
前記ケーシング(4)が、前記換気装置ケーシング(8.3)に設けられた係止凹部(10.2)に係合する少なくとも1つの係止フック(10.1)を有し、これにより前記換気装置ケーシング(8.3)が前記ケーシング(4)に固定的に結合される、請求項5または6記載の操作ユニット。
【請求項8】
前記換気装置ケーシング(8.3)に設けられた係止凹部(10.2)に係合する前記係止フック(10.1)が、係合によって前記換気装置ケーシング(8.3)を前記ケーシング(4)に取外し可能に結合する、請求項7記載の操作ユニット。
【請求項9】
前記係止フック(10.1)が、前記流れ通路(9)の延長部に延びている、請求項7または8記載の操作ユニット。
【請求項10】
前記ケーシング底部(4.2)が、凹所(12)を有していて、該凹所(12)内に前記換気装置(8)が設けられている、請求項6から9までのいずれか1項記載の操作ユニット。
【請求項11】
前記ケーシング(4)が、前記ステアリングホイールスポーク(3)における取付けのために、少なくとも1つの係止エレメント(11.1)を有する、請求項1から10までのいずれか1項記載の操作ユニット。
【請求項12】
前記流れ通路(9)が、横断面で見て前記換気装置(8)から前記出口開口(9.1)に向かって先細りする、請求項1から11までのいずれか1項記載の操作ユニット。
【請求項13】
スポーク内側通路(3.2)を有するステアリングホイールスポーク(3)を備えたステアリングホイールであって、前記ステアリングホイールスポーク(3)内に挿入された、請求項1から12までのいずれか1項記載の操作ユニット(1)を備え、前記操作ユニット(1)の前記流れ通路(9)が、前記スポーク内側通路(3.2)に流れ接続されている、ステアリングホイール。
【請求項14】
前記操作ユニット(1)の前記出口開口(9.1)が、前記ステアリングホイールスポーク(3)の前記スポーク内側通路(3.2)に流体密に接続している、請求項13記載のステアリングホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングホイールと、該ステアリングホイールのための操作ユニットであって、ステアリングホイールのステアリングホイールスポーク内に挿入可能な、少なくとも1つのケーシング側壁とケーシング底部とを有するケーシング、ケーシング内に設けられた電気的な接触エレメントおよびケーシングに可動に支承された、接触エレメントに電気的に切替え式に作用する少なくとも1つの操作エレメントを備えた、ステアリングホイールのための操作ユニットとに関する。
【0002】
先行技術
ステアリングホイールのステアリングホイールスポークの開口内に設けられた操作ユニットは、先行技術から知られている(欧州特許第2537173号明細書)。このような装置は、ケーシング側壁およびケーシング底部を備えた、ステアリングホイールスポーク内に挿入可能なケーシングを有している。このケーシングは、大抵の場合、自動車の機器を操作するための複数の電気的なスイッチ、たとえばトグルスイッチも支持している。このためには、スイッチは、ケーシング内に設けられた接触エレメントと、ケーシングに可動に支承された操作エレメントとを有している。この操作エレメントは、接触エレメントに電気的に切替え式に作用する。比較的に狭いスペースしかない状況に基づいて、このような操作ユニットはコンパクトな構造状況を満たさなければならない。
【0003】
さらに、先行技術からは、自動車のステアリングホイールを、ステアリングホイールスポーク内に挿入された換気装置を用いて温度調整することが知られている(独国実用新案第29817868号明細書)。しかし、このことは比較的に手間がかかり、さらにステアリングホイールの特別なシェル形構造を必要とする。
【0004】
さらに、ステアリングホイール冷却が、米国特許出願公開第2017/0217284号明細書から知られている。
【0005】
したがって、本発明は、冒頭で述べた先行技術を起点として、コンパクトな構造状況を断念することなしに、ステアリングホイールのための操作ユニットの機能性を拡張するという課題を有している。
【0006】
発明の概要
本発明は、課された課題を請求項1の特徴部に記載の特徴により解決する。
【0007】
操作ユニットが、換気装置と、この換気装置により通気される流れ通路とを有している場合、操作ユニットは、ステアリングホイール温度調節に役立つことができ、これによりその機能性を拡張することができる。流れ通路が、ケーシング底部により形成され、流れ通路が、ケーシングにおいて入口開口および出口開口を有している場合、さらに、操作ユニットにおける小さな構造サイズを確保したままにすることができる。このことは、特に、流れ通路を形成するための操作ユニットの二重の底部に基づいていて、これにより操作ユニットの構造深さへの流れ通路の影響を小さく維持することができる。このことは、さらに、流れ通路が入口開口と出口開口とを互いに異なる端面に有している場合に、改善することができる。したがって、本発明に係る操作ユニットは、ステアリングホイールの温度調節に寄与することができるにもかかわらず、コンパクトな構造サイズにより優れていることができる。
【0008】
操作ユニットの構造サイズは、換気装置が軸流羽根車を有している場合に、さらに減じることができる。
【0009】
好適には、羽根車が、流れ通路の入口側に設けられていて、これにより、ステアリングホイールスポークの内部構造に対応して、羽根車において、ケーシングの出口開口において可能であるよりも増大された直径を許容することができる。高められた圧力比およびステアリングホイールのこれにより改善された温度調節を見込むことができる。
【0010】
換気装置が、ケーシング底部の流れ通路内に設けられている場合、操作ユニットのケーシングは、換気装置を保護し、支持することもできる。このことは、操作ユニットにおける構造手間をさらに減じ、さらに固有の換気装置ケーシングを省略し、ケーシング底部が、この換気装置ケーシングを形成することができる。
【0011】
代替的には、換気装置が、換気装置ケーシングを有していて、換気装置ケーシングが、ケーシングに接続することも考えられる。これによって、換気装置に、メンテナンス目的で比較的に簡単にアクセスすることができ、これにより操作ユニットの取扱いをさらに容易にすることができ、このことは、特に、換気装置の換気装置ケーシングがケーシング底部に接続する場合に云える。
【0012】
操作ユニットのケーシングと換気装置ケーシングとの間の簡単かつ確実な結合は、係止結合部により可能にすることができる。このためには、ケーシングが、換気装置ケーシングに設けられた係止凹部内に係合する少なくとも1つの係止フックを形成し、これにより換気装置ケーシングをケーシングに固定的に結合する。好適には、この結合部は、たとえばメンテナンスまたは修理のための換気装置の交換を容易にするために、取外し可能である。
【0013】
換気装置の組付けは、係止フックが流れ通路の延長部に延びている場合に、さらに容易にすることができる。
【0014】
操作ユニットの構造サイズは、ケーシング底部が凹所を有していて、この凹所内に換気装置が設けられている場合に、さらに減じることができる。さらに、これにより換気装置はケーシングから突出せず、このことは、操作ユニットの組付けをさらに容易にすることができる。
【0015】
ステアリングホイールにおける操作ユニットの組付けは、ケーシングが、ステアリングホイールスポークにおける取付けのために、少なくとも1つの係止エレメントを形成することにより、容易にすることができる。
【0016】
流れ通路が、横断面で見て、換気装置から出口開口に向かって先細りする場合、これにより生じる圧力増大により、ステアリングホイールの温度調節における特性をさらに改善することができる。
【0017】
本発明に係る操作ユニットは、特に、スポーク内側通路を有するステアリングホイールスポークを備えたステアリングホイールのために特に適している。ステアリングホイールの正確な温度調節は、ステアリングホイールスポーク内に挿入された操作ユニットの流れ通路が、ステアリングホイールのスポーク内側通路に流れ接続されている場合に可能にすることができる。
【0018】
スポーク内側通路と換気装置との十分な連結は、操作ユニットの出口開口がステアリングホイールスポークのスポーク内側通路に流体密に接続する場合に達成することができる。さらに、これにより、構造的に簡単な形式で換気装置における流体技術的な短絡を回避することができる。温度調節の高められた効率ならびに改善された温度管理を見込むことができる。
【0019】
図面には、本発明の対象が例示的に1つの構成バリエーションにつき詳細に図示されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【0021】
発明を実施するための方法
図1によれば、
図1に破線で図示されたステアリングホイール2用の操作ユニット1が例示的に断面図で図示される。操作ユニット1は、ステアリングホイール2のステアリングホイールスポーク3内に着脱可能に取り付けられており、このためには、ステアリングホイールスポーク3は、収容部3.1を有している。この収容部3.1内に、操作ユニット1のケーシング4が、好適には、
図2に示した平面図においても確認することができるように、ステアリングホイール2に面一に挿入されている。
【0022】
ケーシング4は、閉じたケーシング側壁4.1と、ケーシング底部4.2とを有している。さらにケーシングは、
図2においても判るように、複数の電気的なスイッチ5,6,7を支持している。これらのスイッチ5,6,7はそれぞれ、ケーシング4内に設けられた電気的な接触エレメント5.1,6.1,7.1と、ケーシング4に可動に支承された操作エレメント5.2,6.2,7.2とから構成されている。操作エレメント5.2,6.2,7.2は、電気的に切替え式に接触エレメント5.1,6.1,7.1に作用する。例示的に、電気的なスイッチ5,7は、押しボタンであってよく、電気的なスイッチ5,7に対して真ん中のスイッチ6は、トグルスイッチである。
【0023】
さらに、操作ユニット1は、換気装置8と、換気装置8により通気される流れ通路9とを含んでいる。この流れ通路9により、ステアリングホイール2を温度調節し、たとえば冷却および/または加熱することができる。流れ通路9は、ケーシング底部4.2により形成され、ケーシング底部4.2は、流れ通路9のこの領域において、二重床として構成されている。この構造により、操作ユニット1の小さな構造深さが保証される。
【0024】
さらに、このことは、ケーシング4が入口開口および出口開口9.1,9.2を流れ通路9の互いに異なる端面側に有していることによっても保証される。このことは、ステアリングホイールスポーク3のスポーク内側通路3.2への操作ユニット1の装着若しくは接続を容易にする。さらに、これらの入口開口および出口開口9.1,9.2は、ケーシング底部4.2に設けられており、これによって、流れ通路の領域における構造がさらに簡略化される。
【0025】
換気装置8は、電気的な駆動装置8.1と、駆動装置8.1により駆動接続された軸流羽根車8.2と、換気装置ケーシング8.3とを有していて、これによりコンパクトな構造形式を保証することができる。換気装置ケーシング8.3は、駆動装置8.1および羽根車8.2を保護する。
【0026】
換気装置ケーシング8.3は、入口開口9.2に接続し、第1の係止結合部10を介して操作ユニット1のケーシング4に着脱可能に、かつ固定的に結合されている。この係止結合部10は、換気装置ケーシング8.3に設けられた係止凹部10.2に係合する係止フック10.1により形成される。これにより換気装置8およびケーシング4は、安定的に互いに結合する。さらに、係止フック10.1は、流れ通路9の延長部に延びている。このことは、ケーシング4における換気装置8の簡単な組付けを可能にし、係止結合部10への捩れ力を回避する。
【0027】
入口開口9.2に換気装置8が設けられていることにより、羽根車8.2は、流れ通路9の入口側に設けられている。このことは、換気装置のこの領域における構造への荷重を軽減する。この領域におけるステアリングホイールスポーク3の増大された構造深さにより、羽根車8.2を十分に大きな直径で構成することが可能であり、これにより高い容積流を形成することができる。このことは、ステアリングホイール2の正確な温度調節を可能にする。ケーシング底部4.2は、凹所12を有している。この凹所12は、流れ通路9の入口開口9.2に接続する。この凹所12内に、換気装置8が設けられていて、凹所内に設けられた換気装置8が、ケーシング4から側方で突出しないように構成されている。これにより、ステアリングホイールスポーク3に設けられた収容部3.1内への操作ユニット1の挿入が容易になる。凹所は、入口開口9.2においてケーシング底部4.2の上側のケーシング底部壁が、ケーシング底部4.2の下側のケーシング底部壁から突出することにより、例えば簡単に構造的に無理なく形成することができる。
【0028】
代替的には、換気装置8が、ケーシング底部4.2の流れ通路9内に設けられていることも考えられ、このことは
図1に破線で図示されている。これにより、換気装置8のために換気装置ケーシング8.3は不要であり、ケーシング底部4.2は、これにより換気装置8の残りの構成部材の支持体として働くことができる。
【0029】
操作ユニット1は、ステアリングホイールスポーク3に、第2の係止結合部11を介して着脱可能に、かつ固定的に結合されている。このためには、ケーシング4は、たとえばケーシング底部4.2に対して傾斜して延びる係止エレメント11.1を有し、この係止エレメント11.1は、この係止エレメント11.1に対して相補的に形成された、ステアリングホイールスポーク3に設けられた係止部11.2内に係合する。
【0030】
さらに、出口開口9.1は、スポーク内側通路3.2に流体密に接続し、このことは、ステアリングホイール2を温度調節するための空気案内路における短絡を阻止する。