(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】保護具における眼鏡構造のテンプル前部の支持部材
(51)【国際特許分類】
G02C 3/00 20060101AFI20230920BHJP
G02C 11/06 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
G02C3/00
G02C11/06
(21)【出願番号】P 2021539679
(86)(22)【出願日】2020-01-16
(86)【国際出願番号】 EP2020051031
(87)【国際公開番号】W WO2020148389
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2021-07-07
(31)【優先権主張番号】102019101083.7
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513096082
【氏名又は名称】ファンナー・シュッツベクライドゥング・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Pfanner Schutzbekleidung GmbH
【住所又は居所原語表記】Herrschaftswiesen 11 6842 Koblach Austria
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファンナー、アントン
【審査官】加藤 範久
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-191745(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0272484(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0047322(US,A1)
【文献】特開2008-118401(JP,A)
【文献】特表2021-517778(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108496107(CN,A)
【文献】特開2015-205104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 1/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護具の眼鏡構造のテンプルであって、
テンプル前部と、
取り付け孔を画定し、前記取り付け孔に隣接する弾性アームを有する、前記テンプル前部の支持部材とを備え、
前記テンプル前部は、
前記支持部材の前記取り付け孔に留めることができる弾性突起部と、
前記弾性突起部に隣接した位置に設けられた突起とを備え、
前記テンプル前部は、前記弾性突起部によって前記取り付け孔にクリップ留めすることができ、
前記テンプル前部は、前記取り付け孔に取り付けられた前記弾性突起部を中心に回転させることによって、使用位置と非使用位置との間で旋回可能であり、
前記支持部材の前記弾性アームは、前記テンプル前部が前記弾性突起部を中心として旋回するときに動く角度範囲のなかに存在するように、前記支持部材の前記取り付け孔の接線方向に沿って延びる、弾性変形可能な細長いアームとして前記支持部材と一体的に形成され、
前記弾性アームは、前記弾性アームからそれに非平行な方向に延出し、前記テンプル前部を前記非使用位置に固定するために用いられる固定用延出部を有し、
前記弾性アームは、力の加わっていない状態にあるとき、前記支持部材の前記取り付け孔を画定する板状部分の表面に平行または同一のベース平面内に存在し、
前記テンプル前部が旋回運動している間、前記突起が前記弾性アームの前記固定用延出部に接触すると、それにより前記弾性アームが弾性力に抗して動かされ、前記弾性アームが前記ベース平面から離れ、前記テンプル前部が前記非使用位置にあるとき、前記突起が、前記ベース平面内にある前記弾性アームの前記固定用延出部に接触し、係合することにより、前記テンプル前部が前記非使用位置に保持され、固定されることを特徴とするテンプル。
【請求項2】
保護具の眼鏡構造であって、
請求項1に記載のテンプルを少なくとも1つを備える、保護具の眼鏡構造。
【請求項3】
聴覚保護具であって、
眼鏡構造とともに、
少なくとも1つの耳保護部と、
ヘッドバンドとを備え、
前記眼鏡構造は、前記眼鏡構造を前記聴覚保護具に取り付けるための2つのテンプルを含み、前記2つのテンプルの各々は請求項1に記載のテンプルであり、
前記眼鏡構造の前記聴覚保護具への取り付けは、前記2つのテンプルそれぞれの前部に設けられた支持部材を前記ヘッドバンドに取り付けることによって達成されることを特徴とする聴覚保護具。
【請求項4】
請求項3に記載の聴覚保護具であって、
前記ヘッドバンドは、少なくとも1つのピボット軸を有し、
前記少なくとも1つのピボット軸には、前記少なくとも1つの耳保護部が枢動可能に支持され、かつ前記少なくとも1つのピボット軸には、前記2つのテンプルのそれぞれの支持部材が取り付けられることを特徴とする聴覚保護具。
【請求項5】
請求項4に記載の聴覚保護具であって、
前記少なくとも1つのピボット軸は、両端部にレセプタクルを有し、
前記2つのテンプルは、前記レセプタクルに適合する嵌合部分を介して前記少なくとも1つのピボット軸に取り付けられることを特徴とする聴覚保護具。
【請求項6】
請求項5に記載の聴覚保護具であって、
前記嵌合部分は枢動用突出部であることを特徴とする聴覚保護具。
【請求項7】
請求項3~6のいずれか一項に記載の聴覚保護具であって、
前記2つのテンプルの少なくとも1つは、少なくとも3部品を有する構造であり、ヘッドバンド側部分、前部、及び中間部分を含み、
前記ヘッドバンド側部分は、前記支持部材として設けられ、
前記支持部材は、前記中間部分に関節運動可能に結合されており、前記前部は前記中間部分に摺動可能に支持されることを特徴とする聴覚保護具。
【請求項8】
請求項7に記載の聴覚保護具であって、
前記前部は、前記中間部分において少なくとも2箇所のラッチ位置を取ることができることを特徴とする聴覚保護具。
【請求項9】
請求項4または5に記載の聴覚保護具であって、
前記少なくとも1つの耳保護部は、フォーク状の支持ブラケットにより前記少なくとも1つのピボット軸上で支持されることを特徴とする聴覚保護具。
【請求項10】
請求項9に記載の聴覚保護具であって、
前記少なくとも1つの耳保護部は、2つの枢動用突出部を介して前記フォーク状の支持ブラケットに支持されることを特徴とする聴覚保護具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護具における眼鏡構造のテンプル前部のための支持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
支持部材は、さまざまな状況で配置できる。例示的な利用分野は、聴覚保護具に関連する。このような聴覚保護具は、特に、聴覚及び人の目または顔を保護する環境で使用される。このようにして、例えば、林業労働者、建設現場、または人の聴覚及び目のリスクを伴う他の職業において、現場でのより高い安全性が確立される。また、日焼け防止のために色付き眼鏡が使用される。
【0003】
ここでは、「聴覚保護具」という用語が使用されている。この語は非常に広義の語として理解されるべきである。また聴覚保護具は、通信用、または音楽視聴用、または他の情報のやり取りを実行するためだけに提供されるデバイスにも関連する。イヤークッション及びヘッドバンドを有する従来のヘッドホンは、前記した本開示の意味の範囲内での「聴覚保護具」でもある。「聴覚保護具」と「ヘッドホン」とが一般的に近い概念であることは、現代の聴覚保護手段が通信手段を備えている場合が多いことからも明らかである。つまり、耳保護のために耳保護部には、関係者との通信を可能にするために、スピーカーと、場合によってはマイクへのインタフェースが含まれていることがよくある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、眼鏡構造が使用位置(すなわち着用者の目の前の位置)と非使用位置(すなわち眼鏡構造が着用者の目の前にない位置、特に上側に回された位置)との間で快適に旋回可能であるように、特にそれに関連して、眼鏡構造が2つの位置の間で意図せずに旋回されることが防止されるようにする、テンプル前部の支持部材を提供することである。
【0005】
この課題は、独立請求項に記載の特徴によって解決される。その他の有利な効果を奏する本発明の実施形態が、従属請求項に記載される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、保護具の眼鏡構造のテンプル前部の支持部材に関し、前記支持部材は、取り付け孔及び弾性アームとを有し、前記テンプル前部は、前記テンプル前部に設けられた弾性突起部によって前記取り付け孔にクリップ留めすることができ、前記テンプル前部は、前記取り付け孔に取り付けられた前記弾性突起部を回転させることによって、使用位置と非使用位置との間で旋回可能であり、前記弾性アームは、前記テンプル前部が旋回運動したとき、弾性力に抗して動かされて、前記テンプル前部を前記非使用位置に固定する。このようにして確立された前記テンプル前部と前記支持部材との接続部は着脱自在であり、眼鏡構造を簡単に交換することができる。さらに、1つの同じ眼鏡構造をさまざまな用途に使用可能となる。前記テンプル前部は、比較的容易に弾性アームの弾性力に抗して旋回させることができ、弾性アームはテンプル前部を非使用位置に固定する。一般的に、非使用位置は眼鏡構造を上側に回された位置である。非使用位置の眼鏡構造は重力のためにこの位置から離れようとするが、前記弾性アームがこれを防止する。
【0007】
好ましくは、前記弾性アームは、力の加わっていない状態にあるとき、前記取り付け孔が存在する平面に平行または同一平面であるベース平面内にあり、前記弾性アームは、前記テンプル前部の旋回運動中に前記ベース平面を離れる。このように、前記取り付け孔と前記弾性アームにより、前記支持部材のコンパクトな構成が可能となる。前記弾性アームが前記ベース平面からわずかに離れることで、前記テンプル前部の旋回運動が可能となる。使用位置から非使用位置への旋回運動において、前記弾性アームは、好ましくは、最初にベース平面に配置されるが、この段階で、特定の状態に変形させ、ベース平面から離すことも可能である。前記テンプル前部を旋回させると、弾性アームが動かされて(または曲げられて)ベース平面から離れる。非使用位置に達した後、弾性アームは再びベース平面に向かう方向に、または完全にベース平面内に入るように動く。このようにして、弾性アームによりテンプル前部が非使用位置から使用位置に戻るのを防止できる。
【0008】
この回動防止は、前記弾性アーム上に設けられ、前記弾性アームからそれに非平行な方向に延出し、前記テンプル前部を前記非使用位置に固定するために用いられる固定用延出部によって実現される。固定用延出部により、テンプル前部が意図せず不意に非使用位置から外れることが防止され、非使用位置に確実に固定できる。
【0009】
また、本発明により保護具の眼鏡構造のテンプルが提供され、前記テンプルは、テンプル前部とともに、支持部材を備え、前記テンプル前部は、前記支持部材の取り付け孔に留めることができる弾性突起部と、前記弾性突起部に隣接した位置に設けられた突起とを備え、前記弾性アームは、力の加わっていない状態にあるときにベース平面内に存在し、前記テンプル前部が旋回運動して、前記弾性アームが前記ベース平面から離れるとき、前記突起は固定用延出部に接触して、係合により当該位置に保持されて、前記テンプル前部を不使用位置に固定する。
【0010】
本発明はさらに、本発明によるテンプルを少なくとも1つ備える保護具の眼鏡構造に関する。
【0011】
また、本発明により、聴覚保護具が提供され、前記聴覚保護具は、眼鏡構造とともに、少なくとも1つの耳保護部と、ヘッドバンドとを備え、前記眼鏡構造は、前記眼鏡構造を前記聴覚保護具に取り付けるための2つのテンプルを含み、前記眼鏡構造の前記聴覚保護具への取り付けは、前記2つのテンプルそれぞれの前部に設けられた支持部材を前記ヘッドバンドに取り付けることによって達成される。聴覚保護具のヘッドバンドに眼鏡構造を取り付ける構造が、単純な構成の課題の解決手段を提供可能とする基礎となる。聴覚保護具上の眼鏡構造が固定される位置は、好ましくは、眼鏡構造と耳保護部とが独立して動くことが可能、特にそれらの動きにおいて互いに干渉しないことが可能となる、ヘッドバンドに接続可能な耳保護部から十分に離隔した位置である。聴覚保護具に、眼鏡構造の取り付けが可能な耳保護部用の支持ブラケットを設ける必要はない。むしろ、眼鏡構造と聴覚保護具との間のインタフェースが聴覚保護具の基本構成要素、すなわちヘッドバンドに割り当てられるため、聴覚保護具が多様な支持ブラケットを備えることも可能となる。したがって、本発明の基本的な技術思想の基礎となるのは、ヘッドバンド及び眼鏡構造の意図した効果が得られる構成である。この構成により、聴覚保護具に高い設計自由度を持たせることができる。前述の様々なタイプの聴覚保護具とは別の形態、すなわち、通信手段を備えていない聴覚保護具、通信手段を備えた聴覚保護具、または単なるヘッドホンとして機能するものにおいて多様な眼鏡構造も使用可能であることに留意されたい。例えば、眼鏡構造が、単に機械的な保護機能を有する場合や、良好な後方換気が良好になるように縁部が開いた構造を有する場合があり得る。或いは、眼鏡構造が、化学薬品などの有害物質が周辺から侵入するのを防ぐために、縁部を閉じた構造を有していてもよい。眼鏡構造が日焼け止め機能を提供してもよい。さらに眼鏡構造が、視覚補助機能を有するものでもよい、すなわち、いわゆる光学的な眼鏡の機能を有していてもよい。眼鏡構造はまた、バイザーと呼ばれるような形態とすることもできる。この場合、眼鏡構造はフルフェイスバイザーまたはハーフバイザーであり得る。上記の眼鏡構造の種々の特徴はすべて、部分的にまたは全体に組み合わせて眼鏡構造に与えることができる。
【0012】
好ましくは、保護具のヘッドバンドが、少なくとも1つのピボット軸を有し、前記少なくとも1つのピボット軸には、前記少なくとも1つの耳保護部が枢動可能に支持される。耳保護部のためにピボット軸を利用することで、耳保護部を容易に装着できるようになり、また耳保護部が着用者の耳に当たる際に当たり方を変えて適切な接触にすることが可能になる。この実施形態によれば、ピボット軸には二重の機能が与えられている。すなわちピボット軸は、耳保護部を固定するだけでなく、眼鏡構造を固定する役割も果たす。このようにして、特に単純で合理的な構成の設計が可能となる。
【0013】
前記少なくとも1つのピボット軸は、両端部にレセプタクルを有し、前記2つのテンプルは、前記レセプタクルに適合する嵌合部分を介して前記少なくとも1つのピボット軸に固定される構成が特に有利である。眼鏡構造に設けられた嵌合部分は、ピボット軸のレセプタクルに適合するので、ヘッドバンド上での眼鏡構造の確実な支持が保証される。前記嵌合部分は、テンプルのクリップ状の端部に配置され、前記クリップ状の端部は、ヘッドバンドを構造的に外囲し、及び/または摩擦が生ずるように外囲する。
【0014】
この場合、前記嵌合部分は枢動用突出部であるのが有利である。
【0015】
少なくとも1つのテンプルが少なくとも3部品を有する構造であり、ヘッドバンド側部分、前部、及び中間部分を含み、前記ヘッドバンド側部分は、前記支持部材として設けられ、前記支持部材は、前記中間部分に関節運動可能に結合されており、前記前部は前記中間部分に摺動可能に支持される構成が有利である。前記中間部分と前記前部が協働してテンプル前部を形成する。これにより、眼鏡構造がヘッドバンドに回転可能に取り付けられるだけでなく、テンプルの長さも調整可能となる。このようにして、例えば、異なる作業条件下で様々な条件設定を選択可能とするべく眼鏡構造の着用者への適合度を変えることができる。さらに、聴覚保護具があらゆる着用者にフィットすることが保証される。前記前部と前記中間部分との間で関節運動可能な接続を設けることもでき、この場合、摺動可能な接続はヘッドバンド部と中間部分との間に設けられる。
【0016】
上記の構成に関連して、前記前部は、前記中間部分において少なくとも2箇所のラッチ位置(相対移動が止められる位置)を取ることができる構成が有利である。ラッチ位置が取れることで、テンプルの長さが意図せずに変化することがなくなる。
【0017】
さらに、本発明による聴覚保護具は、前記少なくとも1つの耳保護部は、フォーク状の支持ブラケットにより前記少なくとも1つのピボット軸上で支持される構成としてもよい。フォーク状の支持ブラケットは、眼鏡構造も取り付けられているピボット軸を介してヘッドバンドに枢動可能に接続される。直接的な保護を与える耳保護部は、支持ブラケットに簡単に取り付けることができる。
【0018】
この場合、前記少なくとも1つの耳保護部は、2つの枢動用突出部を介して前記フォーク状の支持ブラケットに支持されるのが有利である。支持ブラケットが、枢動用突出部を介して耳保護部を支持する構成により、耳保護部が、支持ブラケット内で回転可能となる。
【0019】
本発明はさらに、本発明による聴覚保護具ともに使用するための眼鏡構造に関する。
【0020】
本発明はさらに、本発明による聴覚保護具ともに使用するためのヘッドバンドに関する。
【0021】
本発明は、本明細書において、特に好ましい実施形態に基づき添付図面を参照して説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明による眼鏡構造のテンプルを含む聴覚保護具の一部を示しており、テンプル前部は使用位置に配置されている。
【
図2】
図2は、本発明によるテンプルを含む聴覚保護具の一部を示しており、テンプル前部は非使用位置に配置されている。
【
図3】
図3は、聴覚保護具の支持ブラケットに取り付けられたテンプル前部の支持部材を示す。
【
図7】
図7は、本発明による聴覚保護具の正面図を示す。
【
図8】
図8は、本発明による聴覚保護具の斜視側面図を示す。
【
図9】
図9は、本発明による聴覚保護具の斜視側面図を示し、眼鏡構造は片側でヘッドバンドから取り外されている状態が示されている。
【
図10】
図10は、テンプルをヘッドバンドに取り付けるための固定手段の詳細を示す。
【
図11】
図11は、テンプルをヘッドバンドに取り付けるための固定手段の詳細を示す。
【
図12】
図12は、聴覚保護具の詳細を示し、テンプルの3部品構造が示されている。
【
図13】
図13は、聴覚保護具を装着している人を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書及び図面において同一の参照符合が繰り返し使用される場合、その符合は本開示の同一のまたは類似の構成要素を表す。
【0024】
図1は、本発明による眼鏡構造のテンプル(眼鏡のつるに相当する部分)を含む聴覚保護具10の一部を示しており、テンプル前部112が使用位置に配置された状態を示す。
図2は、本発明によるテンプルを含む聴覚保護具10の一部を示しており、テンプル前部112は非使用位置に配置された状態が図示されている。
図3は、聴覚保護具10の支持ブラケットに取り付けられたテンプル前部112の支持部材を示す。
図4は、テンプル前部112の一部を示す。
図5は、テンプル前部112の一部を示す。
図6は、テンプル前部112の支持部材を示す。テンプル前部112は、中間部分36及び前部34を有する。前部34は、眼鏡構造124に接続されている。中間部分36上には弾性突起部118が配置されている。さらに、弾性突起部118に隣接して突起122が設けられている。支持部材110(本明細書ではヘッドバンド側部分32とも呼ばれる)は、取り付け孔114及び弾性アーム116を備える。弾性アーム116上で、固定用延出部120は、本実施形態では弾性アーム116に垂直に延びるよう配設されている。
図6では、固定用延出部120は図面から図を見る側に向かう方向に突出している。
図5及び
図6に基づいて、テンプル20、22のアセンブリを説明できる。この目的のために、テンプル前部112の弾性突起部118は、特に
図6の観察者の
側から
図面に向か
う方向に、支持部材110の取り付け孔114に押し込まれる。テンプル前部112と支持部材110が連結するとすぐに、テンプル前部112は支持部材110内で旋回可能となる。
図1の例では図示される使用位置から左への旋回に関して、突起122が固定用延出部120に接触し、弾性アームは弾性力に逆らって動かされ、すなわち
図1においては図面を見る手前側に向かう方向に、
図6においては図面を見る側から離れる方向に動かされる。突起122が固定用延出部120を完全に通過するとすぐに、弾性アーム116は弾性力で元の状態に戻るように動くことができる。この状態は、
図2で達成される。このとき固定用延出部120を有する弾性アーム116は、突起122に対する障害物となる。突起122が存在する場合、眼鏡構造12が意図せずに使用位置に戻る程度まで弾性アームが再度変形することを可能にするには重力の作用では通常十分ではない。使用位置に戻ることは、通常、眼鏡構造12を有する保護具の着用者が手を動かし、眼鏡構造12を非使用位置から使用位置に積極的に旋回させた場合にのみ可能となる。
【0025】
図7は、聴覚保護具10の正面図を示す。聴覚保護具10は、ヘッドバンド18を有する。ヘッドバンド18には、支持ブラケット38が関節運動可能に取り付けられている。関節運動を可能にするピボット軸24は、実質的に
図7において図を見る側から奥に向かう方向に延びる。支持ブラケット38には、耳保護部14、16が関節運動可能に取り付けられている。関節運動可能な接続部は、枢動用突出部40と、耳保護部14、16の対応するレセプタクルとによって提供される。枢動用突出部もレセプタクルも、支持ブラケット38または耳保護部14、16によって隠されているため、図では見えていない。耳保護部14は、通信手段を備えた耳保護部である。耳保護部はスピーカーを含み、マイク42がそれに接続されている。通信手段は、無線通信インタフェース、例えば、ブルートゥース(登録商標)インタフェースを介して動作してもよい。他方の耳保護部16は、パッシブ耳保護部であり、つまりこの耳保護部は耳を保護するためだけに機能し、通信手段は含まれていない。他方の耳保護部16が、第1の耳保護部14と同様に、通信手段を備えていてもよい。別の変形例では、耳保護部の1つ、例えば第1の耳保護部14は、説明したように通信手段を備え、他方の耳保護部、例えば耳保護部16は、例えばデジタルラジオ機能によって音楽を聴くことが可能である。デジタルラジオ機能は必ずしも耳保護部16と一体に設けられる必要はないが、携帯電話、特にスマートフォンのデジタル無線機能を借りて提供されてもよく、この場合は受信手段、場合によっては送信手段、ならびに音を再生するための手段が耳保護部16に設けられれば十分である。さらに、ヘッドバンド18には、眼鏡構造12が取り付けられる。これらの眼鏡構造12は、他の構成要素とともに、透明な部分を有する眼鏡構造44、ならびにそれに取り付けられたテンプル20、22を有する。テンプル20、22の端部には、クリップ状のホルダ46、48が設けられている。これらのホルダ46、48は、ヘッドバンド18を部分的に外囲している。
【0026】
図8は、聴覚保護具10の斜視側面図を示す。この図では、テンプル20、22に設けられた複数の部品からなる設計を見ることができる。各テンプル20、22は、ヘッドバンド側部分32、すなわちテンプル前部112の支持部材110、及び各ヘッドバンド側部分32の端部に設けられた、ヘッドバンド18にテンプル20、22を接続させるホルダ46、48である。各ヘッドバンド側部分32は、それぞれ、ジョイント軸50を介して中間部分36に接続されている。これらのジョイント軸50により、眼鏡構造12を上向きに、すなわち、ヘッドバンド18に向かう方向に旋回させることが可能となる。中間部分36は、前部34を摺動可能に収容する。図では、中間位置が示されている。前部34は、中間部分36からさらに引き出す方向に動かしたり、なかにさらに押し込む方向に動かしたりすることができる。このようにして、テンプル20、22の全長が変更される。支持ブラケット38はピボット軸24を介してヘッドバンド18に接続されるが、
図2はさらに、そのピボット軸24が、テンプル20、22のホルダ46、48に対してどの位置に配置されているかを詳細に示している。特にピボット軸24は、ホルダ46、48のクリップ状の突起同士を接続する。アクティブな耳保護部14は、その外面において通信を制御するための制御要素52を備える。
【0027】
図9は、片側でヘッドバンド18から取り外されている眼鏡構造12の聴覚保護具10の斜視側面図を示す。ホルダ48がその取り付け部から取り外されているために、支持ブラケット38がヘッドバンド18に接続される部分で用いられるピボット軸24をより詳細に見ることができる。ピボット軸24は、ヘッドバンド18の一端及び支持ブラケット38をそれぞれ貫通するピン54を含む。各ピン54の端部には、レセプタクル26が設けられている(
図5を参照)。ホルダ46、48がこの領域でヘッドバンド18を抱き込む状態になると、枢動用突出部28、30(
図4を参照)がレセプタクル26によって受容されて、ホルダ46、48がヘッドバンド18をしっかりと保持することが明示されている。
【0028】
図10は、テンプル20、22をヘッドバンド18に取り付けるために用いられる固定手段の詳細を示す。テンプル20のクリップ状の端部として形成されたホルダ46は、図を見る側の反対側の後方に位置する中央部分と、図を見る側に向かって突出する2つの端部とを含む。端部には、
図4の紙面内で実質的に延びる枢動用突出部28、30が配置されている。これらの枢動用突出部28、30は、レセプタクル26に保持されている(
図5を参照)。
【0029】
図11に、テンプル20、22を取り付けるために用いられる固定手段の詳細を示す。ここで、ピボット軸24として機能するピン54は、端部の側面に見られ、図中2つの同心円によって示されている。この図で内側の円は、枢動用突出部28、30の一方に対するレセプタクル26の外周を示す(
図4を参照)。
【0030】
図12は、聴覚保護具10の詳細を示しており、テンプル20、22の3部品構造が示されている。この実施形態では、テンプルは、ホルダ48と、中間部分36と、前部34を含むヘッドバンド側部分32と備える。中間部分36は、前部34の中間部分36でのラッチ位置(相対移動が止められる位置)を示す3つのマークを有する。
【0031】
【0032】
上記の説明、図面、及び特許請求の範囲に開示された本発明の特徴は、個々の特徴としても任意の特徴の組み合わせとしても本発明を実施において重要であり得る。
【符号の説明】
【0033】
10 聴覚保護具
12 眼鏡構造
14 耳保護部
16 耳保護部
18 耳保護部
20 テンプル
22 テンプル
24 ピボット軸
26 レセプタクル
28 枢動用突出部
30 枢動用突出部
32 ヘッドバンド側部分
34 前部
36 中間部分
38 支持ブラケット
40 枢動用突出部
42 マイク
44 眼鏡構造
46 ホルダ
48 ホルダ
50 ジョイント軸
52 制御要素
54 ピン
110 支持部材
112 テンプル前部
114 取り付け孔
116 弾性アーム
118 弾性突起部
120 固定用延出部
122 突起
124 眼鏡構造