(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】パイロット弁
(51)【国際特許分類】
F16K 31/06 20060101AFI20230920BHJP
【FI】
F16K31/06 305G
F16K31/06 305D
F16K31/06 305L
(21)【出願番号】P 2021571611
(86)(22)【出願日】2020-09-04
(86)【国際出願番号】 CN2020113437
(87)【国際公開番号】W WO2021077918
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2022-02-04
(31)【優先権主張番号】201921764030.4
(32)【優先日】2019-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515266108
【氏名又は名称】浙江盾安人工環境股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Zhejiang DunAn Artificial Environment Co., Ltd
【住所又は居所原語表記】Diankou Industry Zone, Zhuji, Zhejiang, China
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】陳 建軍
(72)【発明者】
【氏名】劉 海波
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第1916466(CN,A)
【文献】特開2002-260918(JP,A)
【文献】特開2009-079605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/00-31/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状の構造である弁体と、
中空構造であり、前記弁体の一端に嵌合されて固定される、透磁性材料からなる透磁性スリーブと、
前記透磁性スリーブの周方向に沿って巻装される電磁コイルを含み、前記透磁性スリーブに嵌合されるコイルアセンブリと、
を含
み、
前記透磁性スリーブは、両端に開口を有する中空構造であり、前記透磁性スリーブの一端の開口の縁は、内側に折り曲げられて、環状をなす板状の取り付け板を形成し、前記取り付け板は、前記弁体の一端の端部に当接される、パイロット弁。
【請求項2】
前記弁体は、円柱状の中空構造である弁スリーブ、及び前記弁スリーブ内に収容されて取り付けられる弁芯を含み、前記透磁性スリーブは、前記弁スリーブの一端の外壁に嵌合されて固定され、前記弁スリーブの前記透磁性スリーブから離れた一端の側壁には、入口、及び前記入口と連通可能な出口が開設され、前記弁芯は、前記出口を開放又は密閉するように、前記弁スリーブの長手方向に沿ってスライドすることができる、請求項1に記載のパイロット弁。
【請求項3】
前記弁スリーブは、導管及び台座を含み、前記導管は、両端にそれぞれ前記入口及び取り付け口を有する管状構造であり、前記導管の前記取り付け口から離れた一端の側壁には、前記入口と連通可能な前記出口が開設され、前記台座は、前記導管の前記取り付け口を有する一端に密封固定され、前記透磁性スリーブは、前記導管の前記取り付け口を有する一端の外壁に嵌合されて固定される、請求項2に記載のパイロット弁。
【請求項4】
前記弁体は、弾性復帰部材を更に含み、前記弾性復帰部材は、前記弁スリーブ内に収容されて取り付けられ、前記弁芯に前記透磁性スリーブから前記出口に向かう方向の弾性力を提供する、請求項2に記載のパイロット弁。
【請求項5】
前記弁スリーブの一端の外壁には、取り付け溝が開設され、前記取り付け溝は、前記弁スリーブの周方向に沿って前記弁スリーブの外壁の縁に設けられ、前記透磁性スリーブは、前記取り付け溝内に嵌合されて固定される、請求項2に記載のパイロット弁。
【請求項6】
前記電磁コイルの前記透磁性スリーブの外面上における投影は、前記透磁性スリーブの外面内に位置する、請求項1に記載のパイロット弁。
【請求項7】
前記透磁性スリーブは、両端に開口を有する中空筒状構造である、請求項1に記載のパイロット弁。
【請求項8】
前記取り付け板には、取り付け孔が開設され、前記弁体の一端の端面の前記取り付け孔と対向する位置には、連結孔が開設され、前記パイロット弁は、連結部材を更に含み、前記連結部材は、軸方向に制限するように、前記取り付け孔に穿設され、且つ前記連結孔内に固定される、請求項
1に記載のパイロット弁。
【請求項9】
前記コイルアセンブリは、前記透磁性スリーブの周方向に沿って設けられるコイルボビンを更に含み、前記コイルボビンは、前記透磁性スリーブの外壁に嵌合されて固定され、前記電磁コイルは、前記透磁性スリーブの周方向に沿って前記コイルボビンに巻装される、請求項1に記載のパイロット弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
[001] 本出願は、2019年10月21日に出願された、出願番号が201921764030.4であり、発明の名称が「パイロット弁」である中国特許出願の優先権を主張しており、その全ての内容は参照によって本出願に組み込まれる。
【0002】
[002] 本出願は、電磁弁の技術分野に関し、特に、パイロット弁に関する。
【背景技術】
【0003】
[003] パイロット弁は、電磁制御される産業機器として、流体を制御するために用いられる自動化基礎デバイスである。現在パイロット弁は、何れも単一の電磁石と復帰ばねとを採用してパイロット弁の開閉を制御している。開放時には、電磁コイルに高電流を提供して流体の圧力とばねの予圧とを克服させる必要があり、且つ開放後には、弁芯が閉鎖するまで低電流を維持するため、電磁コイルの通電時間が長く、発熱しやすくなり、電磁コイルの温度が高すぎるとパイロット弁の作業性能に影響を及ぼし、パイロット弁の作業信頼性が低くなる。
【発明の概要】
【0004】
[004] 本出願の様々な実施例によれば、円柱状の構造である弁体と、中空構造であり、弁体の一端に嵌合されて固定される、透磁性材料からなる透磁性スリーブと、透磁性スリーブの周方向に沿って巻装される電磁コイルを含み、透磁性スリーブに嵌合されるコイルアセンブリと、を含むパイロット弁が提供される。
【0005】
[005] 一実施例において、弁体は、円柱状の中空構造である弁スリーブ、及び弁スリーブ内に収容されて取り付けられる弁芯を含み、透磁性スリーブは、弁スリーブの一端の外壁に嵌合されて固定され、弁スリーブの透磁性スリーブから離れた一端の側壁には、入口、及び入口と連通可能な出口が開設され、弁芯は、出口を開放又は密閉するように、弁スリーブの長手方向に沿ってスライドすることができる。
【0006】
[006] 一実施例において、弁スリーブは、導管及び台座を含み、導管は、両端にそれぞれ入口及び取り付け口を有する管状構造であり、導管の取り付け口から離れた一端の側壁には、入口と連通可能な出口が開設され、台座は、導管の取り付け口を有する一端に密封固定され、透磁性スリーブは、導管の取り付け口を有する一端の外壁に嵌合されて固定される。
【0007】
[007] 一実施例において、弁体は、弾性復帰部材を更に含み、弾性復帰部材は、弁スリーブ内に収容されて取り付けられ、弁芯に透磁性スリーブから出口に向かう方向の弾性力を提供する。
【0008】
[008] 一実施例において、弁スリーブの一端の外壁には、取り付け溝が開設され、取り付け溝は、弁スリーブの周方向に沿って弁スリーブの外壁の縁に設けられ、透磁性スリーブは、取り付け溝内に嵌合されて固定される。
【0009】
[009] 一実施例において、電磁コイルの透磁性スリーブの外面上における投影は、透磁性スリーブの外面内に位置する。
【0010】
[010] 一実施例において、透磁性スリーブは、両端に開口を有する中空筒状構造である。
【0011】
[011] 一実施例において、透磁性スリーブは、両端に開口を有する中空構造であり、透磁性スリーブの一端の開口の縁は、内側に折り曲げられて、環状をなす板状の取り付け板を形成し、取り付け板は、弁体の一端の端部に当接される。
【0012】
[012] 一実施例において、取り付け板には、取り付け孔が開設され、弁体の一端の端面の取り付け孔と対向する位置には、連結孔が開設され、パイロット弁は、連結部材を更に含み、連結部材は、軸方向に制限するように取り付け孔に穿設され、且つ連結孔内に固定される。
【0013】
[013] 一実施例において、コイルアセンブリは、透磁性スリーブの周方向に沿って設けられるコイルボビンを更に含み、コイルボビンは、透磁性スリーブの外壁に嵌合されて固定され、電磁コイルは、透磁性スリーブの周方向に沿ってコイルボビンに巻装される。
【0014】
[014] 上記のパイロット弁は、使用時に、電磁コイルに通電し、このとき、電磁コイルは、弁体内に磁界を生成させ、パイロット弁は、電磁コイルによって生成された磁気力の作用下で開かれる。透磁性スリーブは、透磁性材料からなるため、コイルアセンブリと弁体との間に設けられる透磁性スリーブは、電磁コイルによって生成される磁界に対して収束作用を果たして、電磁コイルの吸着力を増大させるとともに、電磁コイル上の電流を減少させて、電力を降下させるため、電磁コイルの温度上昇が比較的に低い。従って、パイロット弁の作業過程において、電磁コイルに長時間通電しても、電磁コイル上の作業温度が高くなりすぎないため、パイロット弁の作業信頼性を大幅に向上させた。
【図面の簡単な説明】
【0015】
[015] ここで開示されたこれらの発明の実施例及び/又は例をより良く記述及び説明するために、1つ以上の図面を参照することができる。図面を説明するために用いられる追加の詳細又は例は、開示された発明、現在説明する実施例及び/又は例、並びに現在理解されているこれらの発明の最適な形態のうちのいずれかの範囲を制限するものとしてみなされるべきではない。
【0016】
【
図1】[016] 本出願の好ましい実施例におけるパイロット弁の構成模式図である。
【
図2】[017]
図1に示すパイロット弁における弁スリーブの構成模式図である。
【
図3】[018]
図2に示す弁スリーブにおける導管の構成模式図である。
【
図4】[019] 本出願の一実施例における透磁性スリーブの構成模式図である。
【
図5】[020] 本出願の他の実施例における透磁性スリーブの構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[021] 本出願の理解を容易にするために、以下に関連する図面を参照して本出願を更に全面的に説明する。図面には本出願の好ましい実施例が示されている。但し本出願は、多くの異なる形態で実現することができ、本文で説明する実施例に限定されない。むしろこれらの実施例は、本出願の開示内容に対する理解をより完全且つ全面的なものにすることを目的として提供される。
【0018】
[022] なお、部材が別の部材に「固定される」とされる場合は、別の部材上に直接固定されてもよく、又は、間に置かれる部材が存在してもよい。1つの部材が別の部材に「接続される」とされる場合は、別の部材に直接接続されてもよく、又は、間に置かれる部材が同時に存在してもよい。本文で使用される「垂直」、「水平」、「左」、「右」という用語及び類似した表現は、単に説明を目的としているものである。
【0019】
[023] 特に定義しない限り、本文で使用される全ての技術及び科学用語は、本出願の当業者によって一般に理解される意味と同じである。本文において、本出願の明細書に使用される用語は、単に実施例の目的を具体的に説明するためのものであり、本出願を制限するものではない。本文で使用される「及び/又は」という用語は、関連する項目の任意及び全ての組み合わせを1つ又は複数含む。
【0020】
[024]
図1を参照すると、本出願の好ましい実施例におけるパイロット弁10は、弁体100と、透磁性スリーブ200と、コイルアセンブリ300と、を含む。
【0021】
[025]
図2も併せて参照すると、弁体100は円柱状の構造である。具体的には弁体100は、入口110、及び入口110と連通可能な出口120を有する。ここで、外部の流体は、入口110を介して弁体100内に入ることができ、弁体100内の流体は、出口120を介して弁体100外に流出することができる。実際の使用過程において、パイロット弁10が開放状態にある場合、出口120は開放されて入口110と連通され、パイロット弁10が閉鎖状態にある場合、出口120は密閉され、このとき出口120は入口110と連通できない。
【0022】
[026] 再び
図1を参照すると、本実施例において、弁体100は、円柱状の中空構造である弁スリーブ130、及び弁スリーブ130内に収容されて取り付けられる弁芯140を含む。弁スリーブ130は、主に支持作用を果たしており、通常、ステンレス鋼、合金鋼等の強度が比較的に大きい材料からなる。弁スリーブ130の側壁には、入口110、及び入口110と連通可能な出口120が開設される。弁芯140は、出口120を開放又は密閉するように弁スリーブ130の長手方向に沿ってスライドすることができる。これにより、弁芯140は、弁スリーブ130内を移動してパイロット弁10の開閉を実現することができる。
【0023】
[027] 更に本実施例において、出口120は複数である。複数の出口120は、弁スリーブ130の長手方向に沿って順に離間して設けられる。実際の使用過程において、開放する出口120の数を制御できるように、弁芯140の移動距離を制御することで、パイロット弁10によって流体の流量に対する制御を実現している。具体的には、出口120は3つであり、このときパイロット弁10は四方弁である。
【0024】
[028] 更に本実施例において、弁スリーブ130はステンレス鋼スリーブである。ステンレス鋼は、比較的に高い強度を有するだけでなく、良好な耐食性も有する。従って弁スリーブ130をステンレス鋼とすると、弁スリーブ130の使用過程で発生する割れ等の損傷の確率を低減させるだけでなく、弁スリーブ130が流体と長時間接触した後に腐食する確率も低減させることができ、弁スリーブ130が比較的に長い使用寿命を有するようになり、更にはパイロット弁10の使用寿命を効果的に延長した。
【0025】
[029]
図3も併せて参照すると、更に本実施例において、弁スリーブ130は導管131及び台座132を含む。導管131は、両端にそれぞれ入口110及び取り付け口1311を有する管状構造である。導管131の取り付け口1311から離れた一端の側壁には、入口110と連通可能な出口120が開設される。台座132は、導管131の取り付け口1311を有する一端に密封固定される。実際の生産製造過程において、まず、弁芯140等の部品を導管131内に取り付けてから、台座132を導管131の取り付け口1311を有する一端に密封固定してもよい。従って、弁スリーブ130を導管131及び台座132とすることで、パイロット弁10の組み立てがより容易になる。具体的には、台座132は、導管131の取り付け口1311を有する一端に取り外し可能に固定され、パイロット弁10のメンテナンスに有利である。
【0026】
[030] 透磁性スリーブ200は、透磁性材料からなる。これにより、透磁性スリーブ200は比較的に良い透磁性を有するようになり、一般には、冷間圧延鋼(例えば、ST12、DC01、SPCC等)、合金鋼(例えば、Cr12等)等の透磁性が比較的に良い材料からなる。透磁性スリーブ200は、中空構造である。透磁性スリーブ200は、弁体100の一端に嵌合されて固定される。透磁性スリーブ200は、溶接、ねじ接続等によって弁体100に固定接続されてもよい。具体的には、透磁性スリーブは弁スリーブ130の一端に嵌合されて固定される。
【0027】
[031] 再び
図1から
図3を参照すると、本実施例において、弁スリーブ130の一端の外壁には取り付け溝133が開設される。取り付け溝133は、弁スリーブ130の周方向に沿って弁スリーブ130の外壁の縁に設けられる。透磁性スリーブ200は、取り付け溝133内に嵌合されて固定される。これにより、透磁性スリーブ200の取り付け過程において、透磁性スリーブ200を取り付け溝133内に嵌合させて固定接続すればよく、透磁性スリーブ200と弁スリーブ130との軸方向における位置合わせの過程が省かれて、透磁性スリーブ200の組み立て過程が大幅に簡素化された。更に、取り付け溝133は、透磁性スリーブ200に対して軸方向に制限する作用を有し、透磁性スリーブ200と弁スリーブ130とを固定する過程において、出口120に向かう方向に沿ってスライドすることを回避することができ、透磁性スリーブ200の組み立て過程が更に簡素化された。
【0028】
[032] 再び
図1を参照すると、コイルアセンブリ300は、透磁性スリーブ200に嵌合される。コイルアセンブリ300は、透磁性スリーブ200の周方向に沿って巻装される電磁コイル310を含む。パイロット弁10を開放する必要がある場合は、まず、電磁コイル310に通電する必要があり、このとき、通電後の電磁コイル310は、弁体100内で磁界を生成させ、弁芯140は、電磁コイル310によって生成された磁気力の作用下で弁スリーブ130の長手方向に沿って移動して、出口120を開放又は密閉する。具体的には、電磁コイル310上の電流の方向を変えるだけで、弁芯140が弁スリーブ130内で移動する方向を変えることができ、これによりパイロット弁10の開閉状態の切り換えが実現される。
【0029】
[033] 透磁性スリーブ200は、透磁性が比較的に良い透磁性材料からなるため、コイルアセンブリ300と弁体100との間に設けられる透磁性スリーブ200は、電磁コイル310によって生成される磁界に対して収束作用を果たして、電磁コイル310の吸着力を増大させるとともに、電磁コイル310上の電流を減少させて、電力を降下させるため、電磁コイル310の温度上昇が比較的に低い。従って、パイロット弁10の作業過程において、電磁コイル310に長時間通電しても電磁コイル310上の作業温度が高くなりすぎないため、パイロット弁10の作業信頼性を大幅に向上させた。
【0030】
[034] 再び
図1を参照すると、本実施例において、弁体100は、弾性復帰部材150を更に含む。弾性復帰部材150は、ばね、ゴムパッド等であってもよい。具体的には、本実施例において、弾性復帰部材150はばねである。弾性復帰部材150は、弁スリーブ130内に収容されて取り付けられ、弁芯140に透磁性スリーブ200か
ら出口120に向かう方向の弾性力を提供する。具体的には、弾性復帰部材150は、台座132と弁芯140との間に挟持される。
【0031】
[035] パイロット弁10の開放過程は、まず電磁コイル310に通電して、弁芯140が、電磁コイル310によって生成された磁気力の作用下で、出口120から透磁性スリーブ200に向かう方向に出口120が開放されるまでスライドすることによって、入口110と出口120とが連通されるようになり、パイロット弁10の開放操作が実現され、このとき、弾性復帰部材150は圧縮状態にある。
【0032】
[036] パイロット弁10の閉鎖過程は、電磁コイル310を電気的に遮断し、このとき、弁芯140が、弾性復帰部材150によって提供される弾性力の作用下で、透磁性スリーブ200から出口120に向かう方向に出口120が密閉されるまでスライドすることによって、入口110と出口120とが遮断されるようになり、パイロット弁10の閉鎖操作が実現される。
【0033】
[037] これにより、弾性復帰部材150を設置することで、電磁コイル10に通電することなく、パイロット弁10の閉鎖を実現することができるため、パイロット弁10のエネルギー消費が大幅に削減された。
【0034】
[038] 本実施例において、透磁性スリーブ200及び弁スリーブ130の径方向の断面形状は、何れも円環状である。弁スリーブ130の径方向の断面を円環状とすることで、弁スリーブ130の内壁がより滑らかになり、パイロット弁10の運転をよりスムーズにするだけでなく、流体の弁スリーブ130内での抵抗も効果的に減少させ、更には、パイロット弁10の運転精度をより高める。透磁性スリーブ200の径方向の断面を円環状とすることで、透磁性スリーブ200と弁スリーブ110との接触面積を効果的に増大させて、透磁性スリーブ200と弁スリーブ130との固定効果を高めるだけでなく、コイル310によって生成される磁界の収束も有利になる。
【0035】
[039] 再び
図1を参照すると、本実施例において、電磁コイル310の透磁性スリーブ200の外面上における投影は、透磁性スリーブ200の外面内に位置する。従って、透磁性スリーブ200は、通電後の電磁コイル310に対してより均一な吸着力を提供することができ、電磁コイル310によって生成される磁界の収束効果をより良くして、電磁コイル310の温度上昇を更に低減させた。従って、電磁コイル310の透磁性スリーブ200の外面上における投影を透磁性スリーブ200の外面内に位置するようにすることによって、パイロット弁10の作業信頼性を更に向上させた。
【0036】
[040]
図4も併せて参照すると、一実施例において、透磁性スリーブ200は、両端に開口を有する中空筒状構造である。これにより、透磁性スリーブ200を取り付ける場合、透磁性スリーブ200を弁体100の一端に嵌合させ、溶接等の方式によって弁体100に固定すればよい。具体的には、透磁性スリーブ200は、溶接によって弁体100に固定接続される。これにより、透磁性スリーブ200を両端に開口を有する中空筒状構造とすることで透磁性スリーブ200の構造が比較的に簡単になり、加工も比較的に簡単になり、パイロット弁10の構造が効果的に簡素化された。
【0037】
[041]
図5も併せて参照すると、他の実施例において、透磁性スリーブ200は、両端に開口を有する中空構造である。透磁性スリーブ200の一端の開口の縁は、内側に折り曲げられて、環状をなす板状の取り付け板210を形成する。取り付け板210は、弁体100の一端の端部に当接される。これにより、透磁性スリーブ200の取り付け過程において、取り付け板210は透磁性スリーブ200に対して軸方向に制限する作用を果たすように弁体100の一端の端部に当接されて、透磁性スリーブ200の固定を容易にする。具体的には、取り付け板210は、弁体100の一端の端部に固定接続される。透磁性スリーブ200を弁スリーブ100に取り付ける必要がある場合、中空筒状構
造を弁体100の一端に嵌合させ、取り付け板
210を弁体100の一端の端部に固定接続すればよく、そのため、透磁性スリーブ200の取り付け固定がより容易になる。
【0038】
[042] 更に、本実施例において、取り付け板210には、取り付け孔(図示せず)が開設される。弁体100の一端の端面の取り付け孔と対向する位置には、連結孔(図示せず)が開設される。パイロット弁10は、連結部材(図示せず)を更に含む。連結部材は、軸方向に制限するように取り付け孔に穿設され、且つ連結孔内に固定される。透磁性スリーブ200の取り付け過程において、透磁性スリーブ200を弁体100の一端に嵌合させ、連結部材を、軸方向に制限するように取り付け孔に穿設し、連結部材の透磁性スリーブ200内に伸入した一端が連結孔内に穿設されて固定されれば、透磁性スリーブ200の弁体100への取り付け及び固定を実現することができる。これにより、連結部材の設置は透磁性スリーブ200の取り付けをより容易にする。
【0039】
[043] 具体的には、締付連結部材はねじ締付具であり、連結孔はねじ孔である。ねじ締付具は取り付け孔に穿設され、且つねじ孔にねじ接続される。これにより、透磁性スリーブ200が弁体100に取り外し可能に接続されることが実現され、透磁性スリーブ200の着脱がより容易になる。従って、実際の使用過程において、透磁性スリーブ200が損傷する等の状態が発生しても透磁性スリーブ200を交換することができ、パイロット弁10の使用寿命を効果的に延長した。
【0040】
[044] なお、透磁性スリーブ200の固定方式は、第1に、連結部材を利用して取り付け板210を弁体100の一端の端部に固定接続して、透磁性スリーブ200の取り付けをより簡単にすること、第2に、溶接の方式によって弁体100と透磁性スリーブ200とを固定接続して、透磁性スリーブ200と弁体100との固定効果を高めること、第3に、連結部材を利用して取り付け板210を弁体100の一端の端部に固定接続してから、溶接の方式によって透磁性スリーブ200を弁体100に溶接して、透磁性スリーブ200の固定効果を更に高めることを含む。
【0041】
[045] 再び
図1を参照すると、本実施例において、コイルアセンブリ300は、透磁性スリーブ200の周方向に沿って設けられるコイルボビン320を更に含む。コイルボビン320は、透磁性スリーブ200の外壁に嵌合されて固定される。電磁コイル310は、透磁性スリーブ200の周方向に沿ってコイルボビン320に巻装される。パイロット弁10の加工製造過程において、まず、コイル310をコイルボビン320に巻装して、コイルアセンブリ300を形成してから、コイルボビン320を透磁性スリーブ200の外壁に嵌合させて固定することによって、コイルアセンブリ300の取り付けを実現する。これにより、コイルボビン320は、主に電磁コイル310を取り付けるために用いられ、電磁コイル310の弁体100への取り付けをより容易にする。
【0042】
[046] 上記のパイロット弁10は、使用時に電磁コイル310に通電し、このとき、電磁コイル310は弁体100内に磁界を生成させ、パイロット弁10は、電磁コイル310によって生成された磁気力の作用下で開かれる。透磁性スリーブ200は、透磁性材料からなるため、コイルアセンブリ300と弁体100との間に設けられる透磁性スリーブ200は、電磁コイル310によって生成される磁界に対して収束作用を果たして、電磁コイル310の吸着力を増大させるとともに、電磁コイル310上の電流を減少させて、電力を降下させるため、電磁コイル310の温度上昇が比較的に低い。従って、パイロット弁10の作業過程において、電磁コイル310に長時間通電しても、電磁コイル310上の作業温度が高くなりすぎないため、パイロット弁10の作業信頼性を大幅に向上させた。
【0043】
[047] 上述した実施例の各技術特徴は、任意の組み合わせが可能であり、説明を簡潔にするために、上記の実施例における各技術特徴の可能な組み合わせについては全て説明されていないが、これらの技術特徴の組み合わせに矛盾がない限り、何れも本明細書に記載された範囲とみなされるべきである。
【0044】
[048] 上述した実施例は、単に本出願のいくつかの実施形態を示すものにすぎず、その説明が比較的に具体的且つ詳細ではあるが、そのために出願の特許請求の範囲を制限するものとして理解されるべきではない。当業者にとって、本出願の趣旨を逸脱しないことを前提にいくつかの変形及び改善を行うことは、何れも本出願の保護範囲に含まれることを指摘しておかなければならない。従って、本出願の特許の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に準ずるものとする。