(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法、情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
B25J 9/10 20060101AFI20230920BHJP
B25J 13/08 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
B25J9/10 A
B25J13/08 A
(21)【出願番号】P 2021573667
(86)(22)【出願日】2020-01-28
(86)【国際出願番号】 JP2020002987
(87)【国際公開番号】W WO2021152697
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊川 祐一郎
(72)【発明者】
【氏名】永田 良
(72)【発明者】
【氏名】大石 信夫
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-113867(JP,A)
【文献】特開2006-110702(JP,A)
【文献】特開平06-099372(JP,A)
【文献】特開2019-166626(JP,A)
【文献】国際公開第2018/092243(WO,A1)
【文献】米国特許第04675502(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 9/10-13/08
B23K 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動軸を中心に回動するアームを備えたアームロボットを制御する制御装置であって、
前記アームを目標位置へ配置させたときの前記回動軸の補正角度を含む補正情報を記憶する記憶部と、
前記補正情報に含まれる目標位置に対する前記補正角度を取得し該補正角度に基づいて前記アームを回動させる制御部と、
を備え
、
前記記憶部は、前記アームを指定点へ配置させたときに計測した前記アームの位置に基づいて設定された前記回動軸の補正角度を前記指定点ごとに対応付けた前記補正情報を記憶し、
前記制御部は、前記指定点以外の目標位置に対して、前記補正角度の補間として、前記目標位置に近接する前記複数の指定点の前記補正角度に対し前記目標位置から前記指定点までの距離に反比例した重み付けを行った補正角度を導出し、導出した該補正角度に基づいて前記アームを回動させる、制御装置。
【請求項2】
回動軸を中心に回動するアームを備えたアームロボットを制御する制御装置であって、
前記アームを目標位置へ配置させたときの前記回動軸の補正角度を含む補正情報を記憶する記憶部と、
前記補正情報に含まれる目標位置に対する前記補正角度を取得し該補正角度に基づいて前記アームを回動させる制御部と
、を備え
、
前記記憶部は、指定点を前記目標位置として配置したときの補正角度を前記指定点ごとに対応付けた前記補正情報を記憶し、
前記制御部は、前記目標位置が前記指定点以外であった場合に、前記目標位置に近接する前記複数の指定点の補正角度に対して、前記目標位置から前記指定点までの距離に反比例した重み付けを行って導出した補正角度を取得する、制御装置。
【請求項3】
前記アームロボットは、前記アームとして第1アーム及び第2アームを含む多関節ロボットであり、
前記記憶部は、X軸、Y軸及びZ軸を含む三次元座標の前記指定点に対応付けられた前記回動軸の補正角度を含む前記補正情報を記憶し、
前記制御部は、前記指定点間に存在する目標位置を取得したときには、該目標位置に近接する複数の前記指定点を抽出し、抽出した該指定点の補正角度に該指定点以外の指定点と該目標位置との距離を乗算した値をそれぞれ加算し、前記指定点間の距離因子で除算して前記重み付けを行う、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記アームロボットは、前記アームとして第1アーム及び第2アームを含む多関節ロボットであり、
前記記憶部は、前記目標位置へ前記アームを配置する際に前記第1アームと前記第2アームとに複数の配置位置が存在する場合は、該複数の配置位置に対してそれぞれ設定された前記補正角度を含む前記補正情報を記憶し、
前記制御部は、前記目標位置及び前記アームの配置位置に応じた前記補正角度を取得し該補正角度に基づいて前記アームを回動させる、請求項1~3のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記目標位置を取得したときには、逆運動学に基づき、前記回動軸の指示角度を取得し、前記補正情報に基づいて前記補正角度を取得して前記指示角度を前記補正角度で補正し、補正後の指示角度で前記アームを回動させる、請求項1~4のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
回動軸を中心に回動するアームを備えたアームロボットを制御する制御方法であって、
前記アームを目標位置へ配置させたときの前記回動軸の補正角度を含む補正情報に含まれる目標位置に対する前記補正角度を取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得した前記補正角度に基づいて前記アームを回動させる制御ステップと
、を含
み、
前記取得ステップにおいて、指定点を前記目標位置としたときの補正角度に基づき、前記目標位置の近傍にある複数の前記指定点に対する前記補正角度に対して、前記目標位置から前記指定点までの距離に反比例した重み付けを行って導出された前記補正角度を取得する、制御方法。
【請求項7】
回動軸を中心に回動するアームを備えたアームロボットの位置を補正する補正値を設定する情報処理装置であって、
前記アームを目標位置としての指定点へ配置させたときに計測した前記アームの位置を取得して前記回動軸の補正角度を求め、複数の前記指定点における補正角度
と、前記目標位置から前記指定点までの距離に反比例した重み付けを前記複数の指定点の補正角度に対して行って導出された補正角度とを含む補正情報を設定する設定部、を備えた情報処理装置。
【請求項8】
前記アームロボットは、前記アームとして第1アーム及び第2アームを含む多関節ロボットであり、
前記設定部は、前記目標位置へ前記アームを配置する際に前記第1アームと前記第2アームとに複数の配置位置が存在する場合は、該複数の配置位置に対してそれぞれ対応する前記補正角度を含む前記補正情報を設定する、請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記設定部は、前記目標位置へ前記アームを移動する指示角度で前記回動軸を回動した際の前記アームの位置と前記目標位置との差分を減じる前記補正角度を求める、請求項7又は8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記設定部は、光学トラッキング装置で測定した前記アームの位置を該光学トラッキング装置から取得し、取得した前記アームの位置を用いて前記補正角度を求める、請求項7~9のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
回動軸を中心に回動するアームを備えたアームロボットの位置を補正する補正値を設定する情報処理方法であって、
前記アームを目標位置としての指定点へ配置させたときに計測した前記アームの位置を取得して前記回動軸の補正角度を求める導出ステップと、
複数の前記指定点における補正角度
と、前記目標位置から前記指定点までの距離に反比例した重み付けを前記複数の指定点の補正角度に対して行って導出された補正角度とを含む補正情報を設定する設定ステップと、
を含む情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、制御装置、制御方法、情報処理装置及び情報処理方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、アームロボットとしては、例えば、各関節を駆動するアクチュエータを備え、指定された目標位置を補正パラメータにより補正してロボットアームを動作させるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この多関節アームロボットでは、複数の作業点に対して空間座標値と補正値とを対応付けた補正パラメータを目標位置に反映させることによって、必要な作業精度を確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/092243号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1の装置では、目標位置を補正することによって必要な作業精度を確保することができるが、まだ十分ではなく、作業精度を更に高めることが望まれていた。
【0005】
本開示は、このような課題に鑑みなされたものであり、アームロボットの作業精度をより高めることができる制御装置、制御方法、情報処理装置及び情報処理方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示する制御装置、制御方法、情報処理装置及び情報処理方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示の制御装置は、
回動軸を中心に回動するアームを備えたアームロボットを制御する制御装置であって、
前記アームを目標位置へ配置させたときの前記回動軸の補正角度を含む補正情報を記憶する記憶部と、
前記補正情報に含まれる目標位置に対する前記補正角度を取得し該補正角度に基づいて前記アームを回動させる制御部と、
を備えたものである。
【0008】
この制御装置では、アームロボットのアームを目標位置へ配置させたときの回動軸の補正角度を含む補正情報を記憶部に記憶し、補正情報に含まれる目標位置に対する補正角度を取得し、この補正角度に基づいてアームを回動させる。この制御装置では、制御する回動軸の角度を直接的に補正するため、例えば、間接的に目標位置を補正するものなどに比して、作業精度をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ワーク作業システム10及び設定システム40の一例を示す概略説明図。
【
図2】記憶部33に記憶された補正情報34の一例の説明図。
【
図3】補正情報設定処理ルーチンの一例を表すフローチャート。
【
図6】作業処理ルーチンの一例を表すフローチャート。
【
図8】角度補正と位置補正における位置ずれ量の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で開示するワーク作業システム10及び設定システム40の実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。
図1は、ワーク作業システム10の一例を示す概略説明図である。
図2は、記憶部33に記憶された補正情報34の一例の説明図である。ワーク作業システム10は、作業対象の物品(ワークW)に対して所定作業を行うアームロボット20を複数備えて構成されている。ワーク作業システム10は、1以上のアームロボット20と、アームロボット20が配設される基台11と、ワークWを配置する作業用部材13を作業領域へ搬送及び固定する搬送部12と、アームロボット20を制御する制御PC30とを備えている。なお、ワーク作業システム10の左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は、
図1に示した通りとする。また、アームロボット20は全方位に可動するため固定される特定の方向はないが、説明の便宜のため、アームロボット20に対しては、
図1に示した方向を左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)として説明する。
【0011】
アームロボット20は、作業対象のワークWに対して所定の作業を実行する装置として構成されている。ワークWは、例えば、機械部品、電気部品、電子部品、化学部品など各種の部品のほか、食品、バイオ、生物関連の物品などが挙げられる。また、所定の作業としては、例えば、採取位置から配置位置まで採取、移動、配置する移動作業や、部品を組み付ける組付け作業、加工を施す加工作業、粘性材料を塗布する塗布作業、加熱する加熱作業、化学的及び/又は物理的な所定処理を行う処理作業及び検査を行う検査作業などが挙げられる。組付け作業としては、例えば、ネジ、ボルトなどの締結部材の締結作業や、コネクタの挿入作業、配線に関する取回し作業、部品のはめ込み作業、部材の取付作業、ワークを押さえる押さえ付け作業などが挙げられる。加工作業としては、研削作業、切削作業、変形作業、接続作業、接合作業などが挙げられる。粘性材料としては、接着剤やはんだペースト、グリスなどが挙げられる。検査作業としては、例えば、上述した1以上の作業結果を検査する作業などが挙げられ、ワークWの移動作業を伴うものとしてもよい。
【0012】
このアームロボット20は、回動軸24を中心に回動するアーム21を備えた作業ロボットである。アームロボット20は、アーム21と、エンドエフェクタ22と、駆動部23と、を備えている。アーム21は、多関節アームであり、第1アーム21aと第2アーム21bとを備えている。エンドエフェクタ22は、ワークWに対して所定の作業を行う部材であり、アーム21の先端に回動可能に接続されている。駆動部23は、アーム21を駆動するモータである。この駆動部23は、第1アーム21aに接続された第1回動軸24aや、第2アーム21bに接続された第2回動軸24bを回動駆動する。なお、ここでは、第1アーム21aや第2アーム21bをアーム21と総称し、第1回動軸24aや第2回動軸24bを回動軸24と総称する。
【0013】
制御PC30は、ワーク作業システム10に含まれるアームロボット20の全体を制御するコンピュータである。この制御PC30は、制御装置31と、表示部38と、入力装置39とを備えている。制御装置31は、本開示の制御装置の機能を有している。制御装置31は、CPU32を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、データを記憶する記憶部33を備えている。制御装置31は、アームロボット20の駆動部23などへ駆動信号を出力する。表示部38は、アームロボット20に関する情報を含む画面を表示するものであり、例えば液晶ディスプレイである。入力装置39は、各種入力を行うマウスやキーボードなどである。
【0014】
記憶部33は、例えば、HDDなど、大容量の記憶装置として構成されている。記憶部33には、アーム21の制御に用いる補正情報34などが記憶されている。補正情報34には、
図2に示すように、アーム21を目標位置としての指定点へ配置させたときの回動軸24の補正角度を含む情報である。指定点は、アーム21が作業可能な動作範囲において3次元マトリックスを構成する座標点である。この指定点は、X軸、Y軸及びZ軸の空間内に等間隔に定められているこの補正情報34では、各指定点ごとに第1アーム21aや第2アーム21bに対応する補正角度が対応づけられている。各指定点には、後述する補正情報設定処理により実際に測定された補正角度が対応づけられている。
図2において、補正情報34では、説明の便宜のため、例えば、第1回動軸24aの角度補正値が△Qj1、第2回動軸24bの角度補正値が△Qj2、のように規定され、指定点の座標に対応づけられている。補正角度は、目標位置へアーム21を移動する指示角度で回動軸24を回動した際のアーム21の先端位置(実測位置)と、目標位置との差分を減じる値として規定されている。制御装置31は、設定システム40で作成された補正情報54を取得し、記憶部33に補正情報34として記憶する。
【0015】
設定システム40は、ワーク作業システム10の出荷前の調整を行うシステムとして構成されており、例えば、アームロボット20の制御に用いられる値を設定する処理を実行する。設定システム40は、情報処理PC50と、光学トラッキング装置60とを備えている。
【0016】
情報処理PC50は、ワーク作業システム10に含まれるアームロボット20の動作を測定し、アームロボット20の制御に用いられる値などを設定するコンピュータである。この情報処理PC50は、制御装置51と、表示部58と、入力装置59とを備えている。制御装置51は、本開示の情報処理装置の機能を有し、且つアームロボット20を制御する制御装置31の機能も有している。制御装置51は、CPU52を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、データを記憶する記憶部53を備えている。制御装置51は、例えば、アームロボット20で用いる補正角度を含む補正情報54を設定し、ワーク作業システム10へ出力する。制御装置51は、光学トラッキング装置60などへ制御信号を出力し、光学トラッキング装置60から測定信号などを入力する。記憶部53は、アームロボット20で用いられる補正情報54などを記憶する。表示部58は、ワーク作業システム10に関する情報を含む画面を表示するものであり、例えば液晶ディスプレイである。入力装置59は、各種入力を行うマウスやキーボードなどである。
【0017】
光学トラッキング装置60は、例えば、測定対象に対してレーザーを照射することによって、測定対象の3次元座標を求める装置である。この光学トラッキング装置60は、アーム21が目標位置である指定点へ移動した際に、アーム21の先端にある作業点の3次元座標を求める装置である。この光学トラッキング装置60によって、指定点とアーム21の作業点とのずれ量を把握することができる。
【0018】
次に、こうして構成された本実施形態の設定システム40の動作、特に、アームロボット20のアーム21の位置ずれを補正する補正角度を求める処理について説明する。ここでは、説明の便宜のため、第1アーム21aと第2アーム21bとの2つのアームの回動角度を例として説明する(
図4,5参照)。
図3は、情報処理PC50のCPU52が実行する補正情報設定処理ルーチンの一例を表すフローチャートである。
図4は、XY座標における指示値と測定値の説明図である。
図5は、別のアーム配置の一例の説明図である。補正情報設定処理ルーチンは、記憶部53に記憶され、作業者の開始入力に応じて実行される。作業者は、ワーク作業システム10の出荷前において、アームロボット20の補正値を設定する際に、情報処理PC50をアームロボット20に接続し、光学トラッキング装置60を配置したのち、情報処理PC50に開始入力を行う。
【0019】
このルーチンを開始すると、制御装置51のCPU52は、補正角度を求める指定点を設定する(S100)。指定点は、アーム21の動作範囲の3次元マトリクス状に設定されており、所定の順番、例えば、原点から順に設定される。ここでは、指定点a(Xa,Ya)が設定される(
図4)。なお、
図4、5では、説明の便宜のため、XY平面上の指定点a~dの座標を示している。次に、CPU52は、逆運動学に基づいて、所定のアーム21の配置で指定点にアーム21の先端の作業点Pが重なるよう、各アーム21を回動する指示角度を求め(S110)、求めた指示角度でアーム21を制御する(S120)。CPU52は、例えば、
図4に示すように、設定された指定点a(Xa,Ya)に作業点Pが重なるよう、第1回動軸24aは指示角度Qj1a、第2回動軸24bには指示角度Qj2aとしその角度になるよう駆動部23を制御する。
【0020】
次に、CPU52は、光学トラッキング装置60により作業点Pの座標を計測させ、作業点Pの測定座標を光学トラッキング装置60から取得し(S130)、指定点と作業点Pとの差分の距離を減じる各回動軸24の補正角度を求める(S140)。
図4に示すように、CPU52は、指定点(Xa,Ya…Xd,Yd)に対して、測定座標(Xa’,Ya’…Xd’,Yd’)を取得し、この指定点と測定座標との関係から、逆運動学(f(X,Y)=Qj1,Qj2)を用いて回動軸24の角度を求めると、指定点に対して指定角度(Qj1a,Qj2a…Qj1d,Qj2d)と測定座標に対して測定角度(Qj1a’,Qj2a’…Qj1d’,Qj2d’)とが得られる。この指定角度と測定角度との差分値を、それぞれ測定座標と指定点とが重なる補正角度(△Qj1a,△Qj2a…△Qj1d,△Qj2d)とする。なお、補正角度△Qj1aが指定点aでの第1回動軸24aの補正値(Qj1a’-Qj1a)であり、補正角度△Qj2aが指定点aでの第2回動軸24bの補正値(Qj2a’-Qj2a)である。
【0021】
続いて、CPU52は、求めた補正角度を指定点に対応づけて補正情報54へ記憶し(S150)、現在のアーム21の配置におけるすべての指定点に対して補正角度を求めたか否かを判定する(S160)。すべての指定点に対して補正角度を求めていないときには、CPU52は、S100以降の処理を実行する。即ち、CPU52は、次の指定点を設定し、その指定点に作業点が重なるようにアーム21を制御し、実際の作業点Pと指定点とのずれを減じる回動軸24の補正角度を求めて補正情報54に記憶させる。
【0022】
一方、S160で、現在のアーム21の配置におけるすべての指定点に対して補正角度を求めたときには、CPU52は、指定点と作業点Pとが重なる他のアーム21の配置があるか否かを判定する(S170)。他のアーム21の配置があるときには、CPU52は、アーム21の配置位置を変更し(S180)、S100以降の処理を実行する。
図5に示すように、アーム21は、指定点の位置によっては、いわゆる左手系、右手系のように、複数のアーム21の配置で作業点Pを指定点に重ねることができる。CPU52は、このような別パターンについても補正角度を求めるのである。一方、S170で他のアーム21の配置がないときには、CPU52は、補正情報54を制御PC30へ出力し(S190)、このルーチンを終了する。このようにして、CPU52は、各指定点に対して回動軸24の角度を補正する補正角度を設定し、制御PC30へ補正情報34として記憶させる。
【0023】
次に、ワーク作業システム10の動作、特に補正情報34を用いてアームロボット20を制御する処理について説明する。
図6は、制御PC30のCPU32が実行する作業処理ルーチンの一例を表すフローチャートである。
図7は、指定点以外に存在する目標位置eの説明図である。作業処理ルーチンは、記憶部33に記憶され、作業者の開始入力に応じて実行される。アームロボット20は、ワークWを供給位置から作業用部材13上の目標位置e(Xe,Ye)へ移動させる処理を行う場合を具体例として説明する。
【0024】
このルーチンを開始すると、制御装置31のCPU32は、アームロボット20の作業を行う目標位置を取得し(S200)、アーム21の所定の配置位置に応じ、逆運動学に基づいて、目標位置にアーム21の作業点Pが重なるよう、各アーム21を回動する指示角度を求める(S210)。アームロボット20において、アーム21の配置位置は、左腕系で動作するか右腕系で動作するかなど、その作業環境に応じて優先的なものが予め規定されているものとする。次に、CPU32は、目標位置に近い指定点を補正情報34から抽出し、目標位置が指定点と同じ座標であるか否かを判定する(S220)。目標位置が指定点と同じ座標であるときには、指定点に対応づけられた各回動軸24の補正角度がそのまま利用可能であるため、CPU32は、補正情報34から補正角度を取得し(S240)、取得した補正角度で指示角度を補正した値を用いて回動軸24を回動させる(S270)。
【0025】
一方、S230で目標位置が指定点と同じ座標でないときには、CPU32は、補間処理を行い、最も有効な補正角度を計算により求める(S250~S260)。具体的には、CPU32は、S220で抽出した指定点の補正角度を取得し(S250)、目標位置と指定点との距離に反比例した重み付けを行い、補正角度を導出する(S260)。そして、CPU32は、導出した補正角度で指示角度を補正した値を用いて回動軸24を回動させる(S270)。ここでは、CPU32は、指定点以外の目標位置に対して、補正角度の補間として、目標位置に近接する複数の指定点の補正角度に対し目標位置から指定点までの距離に反比例した重み付けを行った補正角度を導出する。即ち、目標位置が複数の指定点の間にあるときには、CPU32は、目標位置から距離がより近い指定点の影響をより強く与えた補正角度を計算により求めるのである。
【0026】
補正角度の導出について具体例を用いて説明する。ここでは、
図7に示すように、指定点a~dの間に目標位置e(Xe,Ye)がある場合について説明する。また、距離La~Ldは、それぞれ指定点a~dと目標位置eとの距離とする。目標位置eへアーム21を駆動する場合、例えば、指定点aでの角度誤差は、目標位置eに対して、式(1)、(2)で表すだけ影響を与える。即ち、第1回動軸24aでは、指定点aに対応付けられた補正角度△Qj1aに、距離La~Ldを乗算しLaで除算した項を、更に1つの指定点からの距離を含まない残りの距離の全てを乗算した値をそれぞれの指定点ごとに求めたものの総和(Lb×Lc×Ld+La×Lc×Ld+La×Lb×Ld+La×Lb×Lc:以下、指定点間の距離因子とも称する)で除算した値が目標位置eに影響する。同様に、第2回動軸24bでは、補正角度△Qj2aに、距離La~Ldを乗算しLaで除算した項を、距離因子で除算した値が目標位置eに影響する。そして、目標位置eに対しては、指定点a~dが影響を与えるため、目標位置eでの補正角度は、距離の反比例した重み付けを行うと、第1回動軸24aに対して式(3)の補正角度△Qj1e、第2回動軸24bに対して、式(4)の補正角度△Qj2eが計算によって求められる。このように、CPU32は、指定点間に存在する目標位置を取得したときには、目標位置に近接する複数の指定点を抽出し、抽出した指定点の補正角度に該指定点以外の指定点と該目標位置との距離を乗算した値をそれぞれ加算し、指定点間の距離因子で除算して重み付けを行った補正角度を補間して得るのである。
【0027】
【0028】
S270で補正角度で補正した指示角度で回動軸24を制御したあと、CPU32は、アームロボット20の作業が全て終了したか否かを判定し(S280)、作業が全て終了していないときには、S200以降の処理を繰り返し実行する。一方、S280で全ての作業が終了したときには、CPU32は、このルーチンを終了する。
【0029】
ここで、補正情報34に含まれた補正角度による補正精度について実際に検討した。
図8は、角度補正と位置補正における位置ずれ量の説明図である。
図8は、5軸アームロボットの第2関節J2のヨーを0.5°捻った状態での目標位置(真値)と実測位置との差(距離)を求めた結果である。なお、ここでは、簡便な説明とするため、XY平面座標で説明するが、XYZの三次元座標に適用することができる。例えば、XYロボットでは、絶対精度を保証するために、目標位置(X,Y)に補正値を加味する補正を行うことがある。これをアームロボットに適用すると、目標位置(X,Y)に補正値を加減しXY座標補正を行い(X’,Y’)、これを逆運動学に基づいて各回動軸24の指示角度へ変換する処理となる(Qj1,Qj2)。これを位置補正と称する。一方、本開示の角度補正では、目標位置(X,Y)から逆運動学に基づいて各回動軸24の指示角度(Qj1’,Qj2’)を求め、これに角度補正(△Qj1,△Qj2)を加味し、各回動軸24の指示角度(Qj1,Qj2)とする。角度補正では、位置から角度に変換する間接的な補正に比して、直接的な指令値である指示角度を補正するため、
図8に示すように、より高い精度を示すことが明らかとなった。このように、補正角度を用いることによって、一般的にティーチングで制御するアームロボットに対し、絶対精度を与えることができることがわかった。
【0030】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の制御装置31が本開示の制御装置に相当し、アームロボット20がアームロボットに相当し、アーム21、第1アーム21a、第2アーム21bがロボットアームに相当し、回動軸24、第1回動軸24a及び第2回動軸24bが回動軸に相当し、記憶部33が記憶部に相当し、補正情報34が補正情報に相当し、CPU32が制御部に相当する。また、制御装置51が情報処理装置に相当し、CPU52が設定部に相当し、光学トラッキング装置60が光学トラッキング装置に相当する。なお、本実施形態では、制御装置31の動作を説明することにより本開示の制御方法の一例も明らかにしており、また、制御装置51の動作を説明することにより本開示の情報処理方法の一例を明らかにしている。
【0031】
以上説明した実施形態の制御PC30は、回動軸24を中心に回動するアーム21を備えたアームロボットを制御する制御装置31を備え、アーム21を目標位置としての指定点へ配置させたときの回動軸24の補正角度を含む補正情報34を記憶する記憶部33と、補正情報34に含まれる目標位置に対する補正角度を取得しこの補正角度に基づいてアーム21を回動させる制御部としてのCPU32を備える。この制御装置31では、アームロボット20のアーム21を目標位置へ配置させたときの回動軸24の補正角度を含む補正情報34を記憶部33に記憶し、補正情報34に含まれる目標位置に対する補正角度を取得し、この補正角度に基づいてアーム21を回動させる。この制御装置31では、制御する回動軸24の角度を直接的に補正するため、例えば、間接的に目標位置を補正するものなどに比して、作業精度をより高めることができる。
【0032】
また、記憶部33は、アーム21を指定点へ配置させたときに計測した回動軸24の角度に基づいて設定された回動軸24の補正角度を指定点ごとに対応付けた補正情報34を記憶し、CPU32は、指定点以外の目標位置に対して、補正角度の補間として、目標位置に近接する複数の指定点の補正角度に対し目標位置から指定点までの距離に反比例した重み付けを行った補正角度を導出し、導出した補正角度に基づいてアーム21を回動させる。この制御装置31では、直接的に補正角度が設定された指定点以外の目標位置に対しては、指定点までの距離に反比例した重み付けを行う、即ち、より近い指定点の補正値がより強く影響する補正角度を補間して求めるため、指定点以外の目標位置に対しても、作業精度をより高めることができる。更に、アームロボット20は、アーム21として第1アーム21a及び第2アーム21bを含む多関節ロボットであり、記憶部33は、X軸、Y軸及びZ軸を含む三次元座標の指定点に対応付けられた回動軸24の補正角度を含む補正情報34を記憶し、CPU32は、指定点間に存在する目標位置を取得したときには、この目標位置に近接する複数の指定点を抽出し、抽出した指定点の補正角度に指定点以外の指定点と目標位置との距離を乗算した値をそれぞれ加算し、指定点間の距離因子で除算して重み付けを行う。この制御装置31では、三次元座標の指定点と目標位置との関係において、その距離に応じた適切な補正角度を導出することができる。
【0033】
更にまた、記憶部33は、目標位置へアーム21を配置する際に第1アーム21aと第2アーム21bとに複数の配置位置が存在する場合は、複数の配置位置に対してそれぞれ設定された補正角度を含む補正情報34を記憶し、CPU32は、目標位置及びアーム21の配置位置に応じた補正角度を取得し、補正角度に基づいてアーム21を回動させる。この制御装置31では、アーム21の配置位置に応じて適切な補正を行うことができる。そして、CPU32は、目標位置を取得したときには、逆運動学に基づき、回動軸24の指示角度を取得し、補正情報34に基づいて補正角度を取得して指示角度を補正角度で補正し、補正後の指示角度でアームを回動させる。この制御装置31では、逆運動学に基づいてアーム21を動作させることにより、直接的なアーム21の位置の補正を行うことができるため、作業精度をより高めることができる。
【0034】
また、情報処理PC50は、回動軸24を中心に回動するアーム21を備えたアームロボット20の位置を補正する補正値を設定する情報処理装置である。この制御装置51は、アーム21を目標位置としての指定点へ配置させたときに計測したアーム21の位置を取得して回動軸24の補正角度を求め、複数の指定点における補正角度を含む補正情報54を設定する設定部としてのCPU52を備える。この情報処理PC50では、アーム21を目標位置としての指定点へ配置させたときに計測したアーム21の位置から回動軸24の角度を取得して回動軸24の補正角度を求め、複数の指定点における補正角度を含む補正情報54を設定する。この情報処理PC50では、上記制御装置31と同様に、制御する回動軸24の角度を直接的に補正するため、例えば、間接的に目標位置を補正するものなどに比して、アームロボット20の作業精度をより高めることができる。
【0035】
また、CPU52は、目標位置へアーム21を配置する際に第1アーム21aと第2アーム21bとに複数の配置位置が存在する場合は、複数の配置位置に対してそれぞれ対応する補正角度を含む補正情報34を設定する。この情報処理PC50では、アーム21の配置位置に応じて適切な補正を行うことができる。更に、CPU52は、目標位置へアーム21を移動する指示角度で回動軸24を回動した際のアーム21の位置と目標位置との差分を減じる補正角度を求める。この情報処理PC50では、より適切な補正角度を求めることができる。更にまた、CPU52は、光学トラッキング装置60で測定したアーム21の位置を光学トラッキング装置60から取得し、取得したアームの位置を用いて補正角度を求める。この情報処理PC50では、光学トラッキング装置60を用いて、より適切な補正角度を求めることができる。
【0036】
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0037】
例えば、上述した実施形態では、ワーク作業システム10と設定システム40とが両方ある場合を説明したが、ワーク作業システム10のみでもよいし、設定システム40のみでもよい。また、上述した実施形態では、ワーク作業システム10の出荷時に設定システム40で補正値を設定するものとしたが、特にこれに限定されない。例えば、制御PC30に情報処理PC50の機能を加えて、制御PC30が補正角度を設定することができるものとしてもよい。この制御PC30では、定期的な作業ロボット20の調整を行うことができる。
【0038】
上述した実施形態では、制御PC30は、距離に応じた重み付けを行った補正角度を用いるものとしたが、この処理を省略してもよい。例えば、制御装置31は、指定点の密度をより高めるなどした補正情報34を記憶した上で、最も距離が近い指定点の補正角度を用いるものとしてもよい。この制御装置31によっても、アームロボット20の作業精度をより高めることができる。
【0039】
上述した実施形態では、記憶部33は、アーム21の配置位置が複数存在する場合は、それに応じた複数の補正角度を含む補正情報34を記憶部33に記憶するものとしたが、特にこれに限定されず、作業ロボット20で用いるアーム21の配置のみの補正角度を含む補正情報34としてもよい。この制御装置31でも、補正情報34を用いることによって、アームロボット20の作業精度をより高めることができる。また、情報処理PC50は、アーム21の配置位置が複数存在する場合は、それに応じた複数の補正角度を求めるものとしたが、特にこれに限定されず、作業ロボット20で用いるアーム21の配置のみの補正角度を求めるものとしてもよい。
【0040】
上述した実施形態では、情報処理PC50は、光学トラッキング装置60からアーム21の位置座標を取得し、補正角度を設定するものとしたが、特に光学トラッキング装置60に限定されない。情報処理PC50は、光学トラッキング装置とは異なる他の座標測定装置からアーム21の位置座標を取得するものとしてもよい。
【0041】
上述した実施形態では、制御装置31をアームロボット20の外部に接続された制御PC30が備えるものとして説明したが、特にこれに限定されず、例えば、アームロボット20の内部に備えるコントローラを制御装置としてもよい。また、上述した実施形態では、本開示の内容を制御装置31や制御装置51として説明したが、制御方法や情報処理方法としてもよい。また、制御方法を実行するプログラムとしてもよいし、情報処理方法を実行するプログラムとしてもよい。
【0042】
ここで、本開示の制御装置や情報処理装置は、以下のように構成してもよい。例えば、本開示の制御装置において、前記記憶部は、前記アームを指定点へ配置させたときに計測した前記アームの位置に基づいて設定された前記回動軸の補正角度を前記指定点ごとに対応付けた前記補正情報を記憶し、前記制御部は、前記指定点以外の目標位置に対して、前記補正角度の補間として、前記目標位置に近接する前記複数の指定点の前記補正角度に対し前記目標位置から前記指定点までの距離に反比例した重み付けを行った補正角度を導出し、導出した該補正角度に基づいて前記アームを回動させるものとしてもよい。この制御装置では、直接的に補正角度が設定された指定点以外の目標位置に対しては、指定点までの距離に反比例した重み付けを行う、即ち、より近い指定点の補正値がより強く影響する補正角度を補間して求めるため、指定点以外の目標位置に対しても、作業精度をより高めることができる。
【0043】
重み付けを行う本開示の制御装置において、前記アームロボットは、前記アームとして第1アーム及び第2アームを含む多関節ロボットであり、前記記憶部は、X軸、Y軸及びZ軸を含む三次元座標の前記指定点に対応付けられた前記回動軸の補正角度を含む前記補正情報を記憶し、前記制御部は、前記指定点間に存在する目標位置を取得したときには、該目標位置に近接する複数の前記指定点を抽出し、抽出した該指定点の補正角度に該指定点以外の指定点と該目標位置との距離を乗算した値をそれぞれ加算し、前記指定点間の距離因子で除算して前記重み付けを行うものとしてもよい。この制御装置では、三次元座標の指定点と目標位置との関係において、その距離に応じた適切な補正角度を導出することができる。
【0044】
本開示の制御装置において、前記アームロボットは、前記アームとして第1アーム及び第2アームを含む多関節ロボットであり、前記記憶部は、前記目標位置へ前記アームを配置する際に前記第1アームと前記第2アームとに複数の配置位置が存在する場合は、該複数の配置位置に対してそれぞれ設定された前記補正角度を含む前記補正情報を記憶し、前記制御部は、前記目標位置及び前記アームの配置位置に応じた前記補正角度を取得し該補正角度に基づいて前記アームを回動させるものとしてもよい。この制御装置では、アームの配置位置に応じて適切な補正を行うことができる。ここで、アームは、右手系動作と左手系動作とを基本動作とし、前記補正情報には、右手系動作用の補正角度と、左手系動作用の補正角度とが含まれているものとしてもよい。
【0045】
本開示の制御装置において、前記制御部は、前記目標位置を取得したときには、逆運動学に基づき、前記回動軸の指示角度を取得し、前記補正情報に基づいて前記補正角度を取得して前記指示角度を前記補正角度で補正し、補正後の指示角度で前記アームを回動させるものとしてもよい。この制御装置では、逆運動学に基づいてアームを動作させることにより、直接的なアームの位置の補正を行うことができるため、作業精度をより高めることができる。
【0046】
本開示の制御方法は、
回動軸を中心に回動するアームを備えたアームロボットを制御する制御方法であって、
前記アームを目標位置へ配置させたときの前記回動軸の補正角度を含む補正情報に含まれる目標位置に対する前記補正角度を取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得した前記補正角度に基づいて前記アームを回動させる制御ステップと、
を含むものである。
【0047】
この制御方法では、上記制御装置と同様に、制御する回動軸の角度を直接的に補正するため、例えば、間接的に目標位置を補正するものなどに比して、作業精度をより高めることができる。なお、この制御方法において、上述したいずれかの制御装置の態様を採用してもよいし、上述したいずれかの制御装置の機能を発現するステップを含むものとしてもよい。
【0048】
本開示の情報処理装置は、
回動軸を中心に回動するアームを備えたアームロボットの位置を補正する補正値を設定する情報処理装置であって、
前記アームを目標位置としての指定点へ配置させたときに計測した前記アームの位置を取得して前記回動軸の補正角度を求め、複数の前記指定点における補正角度を含む補正情報を設定する設定部、を備えたものである。
【0049】
この情報処理装置では、アームを目標位置としての指定点へ配置させたときに計測したアームの位置から回動軸の角度を取得して回動軸の補正角度を求め、複数の指定点における補正角度を含む補正情報を設定する。この情報処理装置では、上記制御装置と同様に、制御する回動軸の角度を直接的に補正するため、例えば、間接的に目標位置を補正するものなどに比して、アームロボットの作業精度をより高めることができる。
【0050】
本開示の情報処理装置において、前記アームロボットは、前記アームとして第1アーム及び第2アームを含む多関節ロボットであり、前記設定部は、前記目標位置へ前記アームを配置する際に前記第1アームと前記第2アームとに複数の配置位置が存在する場合は、該複数の配置位置に対してそれぞれ対応する前記補正角度を含む前記補正情報を設定するものとしてもよい。この情報処理装置では、アームの配置位置に応じて適切な補正を行うことができる。
【0051】
本開示の情報処理装置において、前記設定部は、前記目標位置へ前記アームを移動する指示角度で前記回動軸を回動した際の前記アームの位置と前記目標位置との差分を減じる前記補正角度を求めるものとしてもよい。この情報処理装置では、より適切な補正角度を求めることができる。
【0052】
本開示の情報処理装置において、前記設定部は、光学トラッキング装置で測定した前記アームの位置を該光学トラッキング装置から取得し、取得した前記アームの位置を用いて前記補正角度を求めるものとしてもよい。この情報処理装置では、光学トラッキング装置を用いて、より適切な補正角度を求めることができる。この光学トラッキング装置としては、レーザートラッキング装置などが挙げられる。
【0053】
本開示の情報処理方法は、
回動軸を中心に回動するアームを備えたアームロボットの位置を補正する補正値を設定する情報処理方法であって、
前記アームを目標位置としての指定点へ配置させたときに計測した前記アームの位置を取得して前記回動軸の補正角度を求める導出ステップと、
複数の前記指定点における補正角度を含む補正情報を設定する設定ステップと、
を含むものである。
【0054】
この情報処理方法は、上記情報処理装置と同様に、制御する回動軸の角度を直接的に補正するため、例えば、間接的に目標位置を補正するものなどに比して、アームロボットの作業精度をより高めることができる。なお、この情報処理方法において、上述したいずれかの情報処理装置の態様を採用してもよいし、上述したいずれかの情報処理装置の機能を発現するステップを含むものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本開示は、ロボットアームを備える作業ロボットの分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0056】
10 ワーク作業システム、11 基台、12 搬送部、13 作業用部材、20 アームロボット、21 アーム、21a 第1アーム、21b 第2アーム、22 エンドエフェクタ、23 駆動部、24 回動軸、24a 第1回動軸、24b 第2回動軸、30 制御PC、31 制御装置、32 CPU、33 記憶部、34 補正情報、38 表示部、39 入力装置、40 設定システム、50 情報処理PC、51 制御装置、52 CPU、53 記憶部、54 補正情報、58 表示部、59 入力装置、60 光学トラッキング装置、W ワーク。